説明

光ディスク再生装置、および光ディスク再生方法

【課題】ディスクの製造に要するコストを増大させることなく、かつ主情報の読み取り精度を悪化させることなく副情報を記録し、かつ、副情報自体の再生を、信頼性が高く、安定した読み取りを可能にする。
【解決手段】追記マークが少なくとも一部に記録されている、所定領域の位置を特定する所定領域特定回路と、所定領域内に含まれる、複数のピット及びまたはランドの、個々の長さを検出するピット及びまたはランド長検出回路と、検出された前記各ピット及びまたはランド長が、所定の長さ以上であることを判別する、所定長判別回路を有し、前記所定の長さ以上であると判別された、ピット及びまたはランドの該中央部を第2情報の検出区間として、該第2情報検出区間の再生信号から、第2情報を再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD、DVD及びBlu−rayディスク等の光ディスクから情報を再生する光ディスク再生装置、および光ディスク再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスクは、安価なデジタル情報の記録媒体として、幅広く利用されている。また、技術の進歩に伴い、年々高密度化が進み、例えば、CD、からDVD、さらにBlu−rayディスクといった、より、大容量化が近年進んでいる。一方、光ディスク容量が増すことで、1枚の光ディスクに記録されるデジタルコンテンツの価値は高まり、記録されるデジタルコンテンツの著作権の保護が極めて重要な技術課題となっている。
【0003】
しかしながら、昨今では、光ディスクから不正にデジタルコンテンツを複製する海賊版メーカのような違法な光ディスク製造業者が氾濫している。このことは、デジタル著作物の健全な流通を阻害するとともに、著作権者への正当な利益分配が成されない状況を作り出している。
【0004】
そこで、コンテンツデータそのものが記録される第1情報を主情報とし、第1情報を再生するために必要な、例えば第1情報の暗号化鍵等の第2情報を、副情報として、第1情報に重畳記録する方式が、各種提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、凹凸マークによってデジタル著作物が記録された光ディスクにおいて、案内溝にトラッキングを行ったレーザ照射によって凹凸マーク上の再生膜の反射率を変化させる技術が開示されている。
【0006】
この特許文献1に記載の光ディスクを用いることにより、例えばレンタル等に利用される光ディスクであっても、回収を必要としない光ディスクを提供することができる。
【0007】
また、例えば、特許文献2には、凹凸マークの内、所定長さ以上のマークまたはスペースについて、副のデータ列に基づいて、マークまたはスペースのエッジより所定距離だけ離間した箇所で、局所的に情報記録面の反射率を変化させて、副情報を記録する技術が開示されている。
【0008】
この特許文献2に記載の発明によれば、凹凸マークのエッジの位置情報に影響を与えないタイミングで、マークまたはスペースの反射率を局所的に変化させる。したがって、マーク列で表される主のデータ列の光ピックアップによる再生に何ら影響を与えることなく、かつ違法コピーを困難にする副情報を記録することができる。
【0009】
また、例えば、特許文献3には、変調された主情報に従って、チャネルビット長の整数倍に同期した凹凸マークを形成した後、前記凹凸マーク上に反射膜を形成した光ディスクに対して、凹凸マークの最長マークよりも長い間隔で、かつチャネルビット長の整数倍に同期したレーザ光を照射することによって、反射膜の反射率を微小に変化させて追記マークを形成する技術が開示されている。
【0010】
この特許文献3に記載の発明によれば、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を記録することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
【0011】
しかしながら、これらの方法によっても、光ディスクの製造に要するコストを増大させることなく、かつ主情報の読み取り精度を悪化させることなく、不正複製を防止しながら光ディスクの媒体固有情報を記録することは困難である。また、主情報の記録領域を犠牲にすること無しに、かつ効率的に、不正複製を防止しながら光ディスクの媒体固有情報を記録することは困難である。さらに、副情報自体の再生を、信頼性が高く、安定した読み取りを保証することは、困難である。
【0012】
何故ならば、特許文献1で開示された発明においては、光ディスク上に一定以上の強度の記録レーザを照射して、その照射部分の反射率を変化させるために予め光ディスク上に案内溝を形成することが開示されている。通常、案内溝と凹凸マークとが形成された光ディスクを作成する場合、光ディスク原盤上に、凹凸マークを記録した後に、凹凸マークを真ん中の位置にするように再度、案内溝を記録するか、案内溝を記録した後に凹凸マークを記録する必要がある。しかしながら、Blu−rayディスクの場合、これらトラック間の位置あわせは、半径方向に数十ナノメートルオーダーの精度が必要となり、通常のマスタリング装置では案内溝と凹凸マークとをともに記録することは困難である。これを実現するためには、特殊なマスタリング装置が必要になり、光ディスクの製造に要するコストの増大は避けられない。
【0013】
また、特許文献2で開示された発明においては、所定長さ以上のマークまたはスペースのマークエッジから所定距離だけ離間した箇所にレーザ照射を行っている。そのため、予め所定長さ以上のマーク又はスペースを検索して記憶する必要があり、副情報を記録する記録時間を無駄に消費し、光ディスクの製造に要するコストが増大する。また、予め所定長さ以上のマーク又はスペースの存在が分かっている例えば同期符号部のみに副情報を記録する場合、百数十ビットもの媒体固有情報を記録するためには、それ相応の記録領域が必要となる。そのため、この場合においても記録時間又は再生時間を無駄に消費してしまう。
【0014】
また、特許文献3で開示された発明においては、追記マーク部の反射率変化を微小変化に留めることで、主情報の読み取り精度を悪化させないことは可能であるが、一方、反射率変化が微小なため、相対的に変化が大きい凹凸マークからの再生信号が外乱となり、副情報自体の読み取り精度が悪化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平9−306030号公報
【特許文献2】特許第3454410号公報
【特許文献3】国際公開第2007/139077号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、光ディスクの製造に要するコストを増大させることなく、かつ主情報の読み取り精度を悪化させることなく副情報を記録し、さらに、副情報自体の再生を、信頼性が高く、安定した読み取りを可能にする光ディスク再生装置、および光ディスク再生方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、本発明の光ディスク再生装置は、ピット及びランドが形成された光ディスクから第1の情報を再生するとともに、レーザ光の照射によって前記光ディスクの反射膜の光学的特性を変化させて形成された追記マークが、少なくとも一部に形成されている所定の領域から、第2の情報を再生する光ディスク再生装置であって、前記ピット及びランドが円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って前記レーザ光が照射される位置を制御するトラッキング制御手段と、前記ピット及びランドに再生レーザを照射した反射光から再生信号を抽出する再生信号抽出手段と、前記再生信号から、前記第1情報を再生する第1情報再生手段と、前記所定領域の位置を特定する所定領域特定手段と、前記追記マークが形成された部分、および前記所定領域内には、複数のピット及びランドが含まれており、前記所定領域内に含まれる、複数のピット及びまたはランドの、個々の長さを検出するピット及びまたはランド長検出手段と、検出された前記各ピット及びまたはランド長が、所定の長さ以上であることを判別する、所定長判別手段と、前記所定の長さ以上であると判別された、ピット及びまたはランドの該中央部を第2情報の検出区間として、該第2情報検出区間の再生信号から、前記第2情報を再生する第2情報再生手段とを、有することを特徴に備えたものである。
【0018】
また、本発明の光ディスク再生方法は、ピット及びランドが形成された光ディスクから第1の情報を再生するとともに、レーザ光の照射によって前記光ディスクの反射膜の光学的特性を変化させて形成された追記マークが、少なくとも一部に形成されている所定の領域から、第2の情報を再生する光ディスク再生方法であって、前記ピット及びランドが円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って前記レーザ光が照射される位置を制御するトラッキング制御ステップと、前記ピット及びランドに再生レーザを照射した反射光から再生信号を抽出する再生信号抽出ステップと、前記再生信号から、前記第1情報を再生する第1情報再生ステップと、前記所定領域の位置を特定する所定領域特定ステップと、前記追記マークが形成された部分、および前記所定領域内には、複数のピット及びランドが含まれており、前記所定領域内に含まれる、複数のピット及びまたはランドの、個々の長さを検出するピット及びまたはランド長検出ステップと、検出された前記各ピット及びまたはランド長が、所定の長さ以上であることを判別する、所定長判別ステップと、前記所定の長さ以上であると判別された、ピット及びまたはランドの該中央部を第2情報の検出区間として、該第2情報検出区間の再生信号から、前記第2情報を再生する第2情報再生ステップとを、有することを特徴に備えたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光ディスク再生装置、および光ディスク再生方法によれば、光ディスクの製造に要するコストを増大させることなく、かつ主情報の読み取り精度を悪化させることなく副情報を記録し、かつ、副情報自体の再生を、信頼性が高く、安定した読み取りを可能にすることができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態1における光ディスク再生装置に用いられる、光ディスクの外観図
【図2】実施の形態1における光ディスクの構成図
【図3】実施の形態1における光ディスク再生装置の構成図
【図4】実施の形態1における光ディスクの記録面を示す概念図
【図5】実施の形態1における光ディスクの理想的な波形を示す概念図
【図6】実施の形態1における光ディスクの理想的な波形を示す概念図
【図7】実施の形態1における光ディスクの記録面を示す概念図
【図8】実施の形態2における光ディスク再生方法の構成図
【図9】実施の形態1における積算処理の詳細を説明するタイミング図
【図10】実施の形態1における積算処理の詳細を説明するタイミング図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における光ディスク再生装置に用いられる、光ディスクの外観図である。
【0023】
図1において、101は、光ディスクであり、凹凸状のピット及びランドが、同心円状、或いはスパイラル状に形成され、コンテンツデータ等の第1情報が、記録されている。102は、追記マークであり、レーザ光の照射によって光ディスク101の反射膜の光学的特性を変化させて形成されており、第1情報を再生するための、例えば鍵情報等の、第2情報が記録されている。例えば、反射膜の反射率の変化や、反射膜の透過率の変化、屈折率変化、あるいは、物理的な形状変化等、を行うことで、光学的特性を変化させることができる。
【0024】
図2は、光ディスク101のデータ構造を示す構成図であり、ピット及びランドの形成によって記録された、第1情報は、複数のECCブロック、例えば201、202に分割して記録されている。ECCブロックは、媒体の傷や埃等に起因する誤りを訂正する際の最小単位であり、一般的に、記録や再生の単位としても用いられる。
【0025】
また、各ECCブロックは、複数のセクタ、例えば203、204に分割され、さらに、各セクタは、複数のフレームに分割される。各セクタには、セクタのアドレス情報が付加されている。また、各フレームの先頭部には、記録データの変調符号で発生しない所定パターンが形成された、図示しないSYNCマークが付加されており、これらのアドレス情報やSYNCマークは、再生時のフォーマット同期に用いられる。
【0026】
各セクタは、フレーム0からフレーム25の計26フレームから構成されている。また、これらの、各ECCブロック、あるいは各セクタには、アドレス情報が付加されており、再生時には、このアドレス情報を再生することで、所望のアドレスから、データを再生できることが可能な構成になっている。
【0027】
図2において、206、および207は、追記マークである。本実施の形態においては、追記マークは、特定のECCブロック202の、各セクタのフレーム13に記録されている。ここでは、各フレーム13において、SYNCマークから、所定のバイト数の位置から、所定バイト長の、追記マークを記録する所定領域205が予め定まっており、所定領域の、前半部、あるいは後半部のいずれかに、追記マークが記録されている。
【0028】
追記マーク206は、所定領域205の後半部に記録されており、追記マーク207は、所定領域205の前半部に記録される。例えば、所定領域205の、前半部に記録することで1の記録、後半部に記録することで0の記録とすることで、一つの所定領域で、1ビットの第2情報を記録することができる。また、逆に、追記マークが前半部、あるいは後半部の、いずれに記録されているかを判別することで、第2情報の再生が可能になる。
【0029】
また、ここでは、1ビットの第2情報を、1つの所定領域に記録する場合の例を説明したが、複数の所定領域に跨って、1ビットの第2情報を記録しても良く、容易に拡張が可能である。この場合、追記マークが記録される領域が大きくなり、再生する際の、1ビットの検出精度を上げることができる。
【0030】
以上の光ディスク101では、コンテンツデータ等の第1情報は、凹凸状のピット及びランドで記録されている。また、第2情報は、所定の領域の少なくとも一部に、追記マークを記録することで記録されている。
【0031】
図4は、追記マークが未記録状態(a)、および、追記マークの記録状態(b)の、それぞれ、ピットとランドの記録面を示す概念図である。
【0032】
図4において、401および403はピット、402および404はランド、405は追記マークである。
【0033】
図4において、ピット401、403および、ランド402、404は、交互にかつ連続的に円周方向に形成されることで、トラックが形成されている。
【0034】
図4の(b)は、未記録状態(a)のピットとランドの上に、追記マーク405が形成された様子を示しており、追記マーク405は、複数のピット403とランド404に跨って、形成されている。
【0035】
追記マーク405は、下地となるピット403およびランド404の、各々の長さや並び、あるいはパターン等に依存せず、予め定めた、所定領域の前半部、あるいは後半部のいずれかに追記マークを連続的に記録される。
【0036】
この結果、追記マークの記録時に、ピットやランドの長さ情報を予め知る必要がなく、また、SYNCマーク等の既知の特定パターンを必要とせずに、記録することが出来、光ディスクの製造に要するコストを増大させることなく追記マークを記録できる。
【0037】
また、実施の形態1では、第1情報は、例えば、公知の(1,7)変調等の、最小反転距離が2のランレングス制限符号で変調され、変調符号をnrzi変換して、0、1のそれぞれを、ピットあるいはランドに割り当てて、記録されている。 従って、各ピット401、403、及びランド402、404は、変調符号の1時間単位をTとすると、2Tから8Tの長さとなる。
【0038】
高密度化が進んでいる光ディスクでは、これらの各ピットやランドの実際の長さは、1μm以下の非常に小さいものとなっており、これらのピットやランドからの再生信号には、符号間干渉による波形歪が生じる。符号間干渉の大きい再生信号においても誤り率の低いデータを得るため、近年高密度化が進む光ディスク記録再生装置において、その再生信号処理方式にPRML信号処理方式が採用されることが多くなっている。PRML信号処理では、記録再生系の特性に応じたPR方式で再生信号を波形等化し、ビタビ復号器等の最尤復号(ML)によって復号処理を行う。以下の説明では、記録再生系の特性が、PR(1,2,2,1)に従うものを例に説明する。記録符号B(k)(kは時刻を表す)とPR等化出力の振幅値Y(k)は、式1で表される。
【0039】
[式1] Y(k)=B(k−3)+2×B(k−2)+2×B(k−1)+B(k)
図5は、2Tから8Tまでの、各長さの孤立ピットからの再生信号の、理想的な波形を示す概念図である。
【0040】
図5において、501は、各ピットの長さに対応した、2Tから8Tの再生波形である。 再生波形501では、その信号レベルが一定になる安定区間502が存在する。ここでは、5Tより長いピットからの再生波形は、信号レベルが6で一定となっている。安定区間502の長さは、8T信号が最大となり、ピットが短くなるに従い小さくなっている。また、安定区間502は、各ピットの概中央部で安定する。
【0041】
図6は、追記マークを記録した場合の、2Tから8Tまでの、各長さの孤立ピットからの再生信号の、理想的な波形を示す概念図である。
【0042】
図6において、破線で示す601は、未記録部の再生波形であり、図5の再生波形501と同じである。実線で示す602は記録部の再生波形である。ここでは、追記マークを記録することで、光ディスクの反射率が微小に高くなる例を示しており、記録部の再生波形602に示すように、追記マークを記録することで、各ピットからの各再生波形の信号レベルが、高くなっている。
【0043】
また、記録部の再生波形601では、図5で説明した、未記録部の再生波形と同様に、その信号レベルが一定になる安定区間が存在している。ここでは、5Tより長いピットからの再生波形は、信号レベルが6を少し超えた所で、一定となっている。また、各安定区間は、各ピットの概中央部で安定している。
【0044】
追記マークは、光ディスクの反射率の微小変化により記録する。記録による反射率変化を微小に抑えることにより、図4の(b)に示すように、複数のピットおよびランドの跨って記録したとしても、ピット、及びランドからの再生信号の変化が小さくでき、第1情報の読み取りに、悪影響を及ぼすことなく、再生することができる。およそ10%程度以下の反射率変化の場合、第1情報の読み取りに、エラーを起こすことなく、再生することができる。
【0045】
一方、第2情報の検出は、前記微小な反射率変化を検出して再生しなければならない。実施の形態1では、微小変化を安定して、信頼性高く検出するために、信号レベルが一定となる安定区間のみを、第2情報の検出区間として、第2情報の信号検出に用いる。安定区間では、未記録の場合も追記マークが記録された場合も、その信号レベルは、各々一定となっているため、それぞれの信号レベルを検出することが容易になり、信頼性高い再生を行うことが可能となっている。
【0046】
さらに、実施の形態1では、後で説明するように、単に、再生波形のレベル差を検出するのでなく、複数のピット、あるいはランドに跨って追記マークを記録し、そこに含まれる複数のピットあるいはランドの、各第2情報の検出区間における信号レベル値を加算処理することで、さらに信頼性の高い、第2情報の検出を行うことを可能にしている。加算処理は、各波形の長さに依存して、その信号レベルを加算する。
【0047】
例えば、603は、8T信号の安定区間であり、8T信号の場合の、第2情報の検出区間となる。8T信号の場合、その信号レベルが安定している区間は、4T分の長さがある。そこで、再生信号を4回サンプルし、その各信号レベルを加算する。
【0048】
また、604は、5T信号の安定区間であり、5T信号の場合の、第2情報の検出区間となる。5T信号の場合、その信号レベルが安定している区間は、1T分の長さがある。そこで、再生信号を1回サンプルし、その信号レベルを1回加算する。同様に、6T信号の場合、再生信号を2回加算し、7T信号の場合、3回加算する。
【0049】
図7は、追記マークの記録状態の、ピットとランドの記録面を示す概念図である。
【0050】
図7において、701は追記マークである。702から706は、各々、5T、2T、4T、8T、2Tの長さのピットである。前記したように、5Tより長いピットの概中央部が、第2情報の検出区間となる。706は、5Tピットの第2情報の検出区間であり、707は、8Tピットの第2情報検出区間である。5T未満の長さのピットには、検出区間は無い。
【0051】
第2情報の検出区間(5T)706では、1回の信号レベルの加算を行う。第2情報の検出区間(8T)706では、4回の信号レベルの加算を行う。図7に示すピットの並び例では、計5回の信号レベルの加算が行われる。
【0052】
このような加算処理は、追記マークを記録する各所定領域205に対して行われる。各所定領域205には、前に説明したように、前半部と後半部のどちらに記録マークが存在している。
【0053】
従って、加算処理は、所定領域206の前半部と後半部で個々に行い、各加算値の大小比較を行うことで、前半部と後半部のどちらに記録マークが存在しているかを推定することができ、第2情報として、0が記録されているか、1が記録されているかが判別できる。加算処理を行うことで、1つのレベル差が微小であったとしても、未記録部と記録部をそれぞれ加算することで、レベル差をより確実に検出することが可能になる。
【0054】
以上のような加算処理を行うことで、実施の形態1では、傷や埃等で、信号レベルの一部に異常をきたした場合でも、その影響を、相対的に小さくすることができ、1回の信号レベルの差が微小であったとして、より信頼性高い、第2情報の再生が可能になる。
【0055】
図3は、以上説明した光ディスク101から、第1情報及び第2情報を再生する、実施の形態1における光ディスク再生装置の構成図である。
【0056】
図3において、301は光ディスクであり、図1における101と同じである。302は、光学レンズ及び半導体レーザー等で構成された光ヘッド、303は、光ヘッド302からの出射光を、ピットとランドで形成されたトラックに追従させるための、トラッキング制御回路、304は、ピットとランドが形成された記録面上に、光ヘッド302からの出射光を集光させるフォーカス制御回路である。305は、光ディスク301からの反射光を光電変換したものを増幅して、再生信号319を抽出するRFアンプ回路、306は、再生信号319から、クロック成分を抽出し、さらに、2値化を行って2値化データ321を生成するPLL/2値化回路である。307は、PLL/2値化回路306の2値化を行う過程で得られる、各ピット及びランドのエッジ情報から、各ピット及びランド毎の長さ320を検出するピット長検出回路である。309は、2値化データ321をデジタル復調し、復調データ321を生成する復調回路、308は、2値化データ321から、前記したSYNCマーク等の検出や、復調回路309からの復調データ321からアドレス情報を抽出し、図2に示す光ディスクフォーマットに同期した、各種タイミング信号323を生成するフォーマット制御回路である。310は、復調データ322を入力とし、媒体の傷や埃等に起因する誤りを訂正して、第1情報318を生成する誤り訂正回路である。
【0057】
311は、フォーマット制御回路308で生成されたアドレス情報や各種タイミング信号323から、追記マークが少なくとも一部に形成されている、所定領域205の位置を特定した所定領域位置信号324、及びその前半部と後半部を識別するための前後半識別信号325を生成する所定領域特定回路である。312は、各ピット及びランド毎の長さ320から、5T以上のピットとランドを識別する所定長判別回路である。
【0058】
314は、所定の長さ以上であると判別された、ピット及びまたはランドの中央部を第2情報の検出区間として積算処理を行う積算回路、313は、積算回路で行われる積算処理の回数を、所定領域205の前半部と後半部毎に計数する積算回数計数回路である。315は、積算回路314で積算された積算値328を2値化し、第2情報317を生成する2値化回路である。329は、光ディスク再生装置全体を制御する制御CPUである。
【0059】
以上のように構成された実施の形態1における光ディスク再生装置の動作を、以下詳細に説明する。
【0060】
はじめに、第1情報の再生動作を説明する。
【0061】
光ヘッド302から出射された光ビームは、トラッキング制御回路303、およびフォーカス制御回路304により、光ディスク301のピットおよびランドで構成されたトラックに集光され、凹凸形状のピットおよびランドのパターンにより、強度変調された反射光が、光ヘッドに302に返る。 反射光は、光ヘッド内の光検出器により、光電変換され、RFアンプ回路305に送出される。RFアンプ回路305は、アナログ再生信号を増幅すると共に、AD変換して、再生信号319として、PLL/2値化回路306に送出する。再生信号319は、PLL/2値化回路306によって、クロック信号の生成及び、2値化処理が施される。2値化処理は、公知のPRML信号処理によって行われる。ここでは、PR(1,2,2,1)等価方式、およびビタビ復号が行われる。
【0062】
PLL/2値化回路306によって2値化された、2値化データ321は、フォーマット制御回路308と、復調回路309に送出される。フォーマット制御回路308では、2値化データ321から、各フレーム先頭に記録されたSYNCマーク等を検出し、SYNC同期処理を行い、ディスクフォーマットに同期した、各種タイミング信号323を生成する。また、フォーマット制御回路308は、後述する復調データ322を入力し、各セクタに記録されたアドレスを検出し、アドレス同期も行う。
【0063】
復調回路309は、2値化データ321をデジタル復調し、復調データ322を生成する。ここでは、復調回路309は、公知の(1,7)変調の復調処理を行う。
【0064】
誤り訂正回路310は、復調データ322を入力とし、媒体の傷や埃等に起因する誤りを訂正して、第1情報318を生成する。誤り訂正は、公知の、リードソロモン符号の復号等が用いられる。以上の動作で、第1情報318が再生される。
【0065】
次に、第2情報の再生動作を説明する。
【0066】
第1情報の再生と同様に、RFアンプ回路305によって、増幅、およびAD変換された再生信号319は、PLL/2値化回路306、及び、積算回路314に送出される。PLL/2値化回路306では、前記したように、再生信号319の、2値化処理が行われる。この際、PLL/2値化回路306に内蔵された、ピット長検出回路307によって、各ピットの長さが検出される。各ピットの長さは、2値化データ321の、各High区間、あるいはLow区間のいずれかの長さ、すなわち、クロック数に相当し、クロック信号の生成および2値化処理の中で、容易に検出することができる。
【0067】
ピット長検出回路307で検出された各ピット長320は、所定長判別回路312に送出される。所定長判別回路312は、所定の長さ以上のピット長を判別し、判別したピットの概中央部を示す、第2情報の検出区間信号326を生成する。実施の形態1では、所定の長さは5であり、5クロック以上の長さを有する、各ピットの概中央部が、第2情報の検出区間となる。第2情報の検出区間信号326は、積算回数計数回路313、および積算回路314に送出される。
【0068】
一方、フォーマット制御回路308では、第1情報の再生と同様に、2値化データ321、及び復調信号322を用いて、ディスクフォーマットに同期した、各種タイミング信号323の生成と、各セクタに記録されたアドレスを検出し、アドレス同期を行う。各種タイミング信号323、およびアドレス情報、および、PLL/2値化回路306で生成されたクロック信号等が、所定領域特定回路311に送出される。尚、図3では、アドレス情報、およびクロック信号等は省略している。
【0069】
所定領域特定回路311は、各種タイミング信号323やアドレス情報から、図2の、追記マークを記録する所定領域205の位置を示す、所定領域特定信号324と、その前半部を指定する前半部指定信号325を生成する。所定領域特定信号324、および前半部指定信号325は、アドレス情報や、各種タイミング信号323、及び、クロック信号から生成される。ここでは、図2に示すように、所定ECCブロックの、各セクタのフレーム13の所定位置を指定し、カウンタ等から容易に構成できる。これらの、所定領域特定信号324、および前半部指定信号325は、積算回路314および積算回数計数回路313に送出される。
【0070】
積算回数計数回路313では、所定領域特定信号324、前半部指定信号325、及び第2情報の検出区間信号326から、第2情報の検出区間の積算回数を、所定領域の前半部と後半部でそれぞれ計数し、所定領域の前半部と後半部で、第2情報の検出区間の積算回数を等しくするるための、積算回数調整信号327を生成する。積算回数調整信号327は、例えば、前半部で、合計n回の積算を計数した場合、後半部でも、n回の積算を計数するまで、highとなる信号である。
【0071】
積算回路314は、所定領域特定信号324、前半部指定信号325、第2情報の検出区間信号326、および、積算回数調整信号327で指定される、所定領域の前半部と後半部の、再生信号319を、それぞれ積算する。
【0072】
図9、及び図10は、積算回数計数回路313と積算回路314の動作を詳細に説明するための、ピットパターンと制御信号の例のタイミング図である。
【0073】
図9は、所定領域の前半部、図10は、所定領域の後半部であり、図9の915と図10の1009が同一箇所である。また、図9の前半部に、追記マークが記録されている。
【0074】
図9において、901は追記マークであり、902は5Tピット、903は、2Tピット、904は4Tピット、905は8Tピット、906は2Tピットである。また、907は8Tピット905の第2情報の検出区間であり、8Tピット905の中央部に4Tの幅を有する。908は、5Tピット902の中央部の1T幅を有する。
【0075】
図10において、1002は6Tピット、1003は、2Tピット、1004は4Tピット、1005は7Tピット、1006は2Tピットである。また、1007は7Tピット1005の第2情報の検出区間であり、7Tピット1005の中央部に3Tの幅を有する。1008は、6Tピット1002の第2情報の検出区間であり、6Tピット1002の中央部の2T幅を有する。
【0076】
図9及び図10において、aは、所定領域特定信号であり、図3の324と同じであり、追記マークが、前半部あるいは後半部のいずれかに記録される所定領域を識別する信号である。所定領域特定信号aは、所定領域の開始点909でHighになり、終了点1015でLowになる。
【0077】
bは、前半部指定信号であり、図3の325と同じであり、所定領域の前半部と後半部を識別する信号である。前半部指定信号bは、所定領域の開始点909でHighになり、前半部の終了点915、すなわち後半部の開始点1009でLowになる。
【0078】
cは、第2情報の検出区間信号であり、図3の326と同じであり、5T以上の各ピットの中央部でHighになる。第2情報の検出区間信号cは、5Tピット902の中央部で1T期間、8Tピット905の中央部で、4T期間highになる。また、6Tピット1002の 中央部で2T期間、7Tピット1005の中央部で、3T期間それぞれHighになる。
【0079】
ここでは、簡単のために、前半部と後半部でそれぞれ3回の積算を行う例を示す。dは、積算回数調整信号であり、図3の327と同じであり、前半部と後半部の積算回数を一致させるために用いられる。積算回数調整信号dは、第2情報の検出区間信号cのhigh区間が、前半部及び後半部でそれぞれ、合計3になるまで、highとなる。前半部では、910でhighとなり、911でLowになり、1期間のhighとなる。次に、912でhighとなり、913でlowになり、2期間のhigh、すなわち、計3期間のhighとなる。後半部では、1010でhighとなり、1011でLowになり、2期間のhighとなる。次に、1012でhighとなり、1013でlowになり、1期間のhigh、すなわち、計3期間のhighとなる。前半部と後半部で、各々、計3期間のhighとなり、この3区間の、再生信号レベルを積算することで、第2情報を検出する。前半部と後半部で、積算回数を一致させることで、より正確な積算結果の比較を行うことが可能になる。
【0080】
積算回数調整信号d、すなわち図3の327は、積算回数計数回路313で生成される。積算回数計数回路313は、カウンタ等で容易に構成できる。
【0081】
積算回路314は、積算回数調整信号cのhigh期間のみを、前半部と後半部でそれぞれ、再生信号319を、積算する。積算回路314は、前半部と後半部用の2つの加算器と、所定領域特定信号324、前半部指定信号325、第2情報の検出区間信号326、および、積算回数調整信号327をゲート信号に用いる。さらに、2個の加算器の加算結果の差を計算して、積算結果328を出力する。尚、積算回路314は、前半部で加算、後半部で減算処理を行うことで、各加算結果の大小関係を導出する構成にしても構わない。
【0082】
2値化回路315は、積算結果328を2値化して、第2情報を再生する。積算結果328が、正の値か、負の値かに対応して、0、あるいは1に2値化する。
【0083】
例えば、図9、及び図10に示したように前半部に追記マークが記録されている場合、前半部の加算結果−後半部の加算結果は、正になり、第2情報の再生結果を1とし、逆に、後半部に追記マークが記録されている場合、前半部の加算結果−後半部の加算結果は、負となり、第2情報の再生結果は0として、第2情報の再生を行うことができる。
【0084】
以上説明したように、実施の形態1では、所定領域内に含まれる、複数のピット部の、個々の長さを検出し、検出された各ピット長が、所定の長さ以上であることを判別し、所定の長さ以上であると判別された、ピットの概中央部を第2情報の検出区間として、第2情報を再生する。5Tより長いピットの概中央部を第2情報の検出区間とすることで、再生波形の信号レベルが一定となる安定区間のみを、第2情報の信号検出に用いることができ、微小な反射率変化により追記マークを記録した場合でも、第2情報の検出を、信頼性高く、安定して行うことができる。
【0085】
さらに、実施の形態1では、所定の領域の前半部、および後半部ごとに、前記第2情報検出区間からの再生信号の再生信号レベルを積算し、各々の大小関係に基づいて、第2情報を再生し、さらに、第2情報検出区間の積算回数を計数する積算回数計数回路によって、積算する回数を所定の領域の前半部と後半部で等しくすることができ、より安定した、信頼性の高い第2情報の再生が可能となっている。
【0086】
尚、以上説明した、実施の形態1では、ピット部の再生信号のみを積算処理に用いたが、ランド部のみ、あるいは、ピットとランドの両方を用いて、第2情報の検出を行っても構わない。
【0087】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における光ディスク再生方法の構成を示す、構成図である。尚、実施の形態2の光ディスク再生方法2で用いられる光ディスクの説明は、実施の形態1で説明したものと同じであるので、ここでは省略する。
【0088】
図8において、801は光ディスクであり、図1における101と同じである。802は、光学レンズ及び半導体レーザー等で構成された光ヘッド、812は、光ヘッド802からの出射光を、ピットとランドで形成されたトラックに追従させるための、トラッキング制御ステップ、824は、ピットとランドが形成された記録面上に、光ヘッド802からの出射光を集光させるフォーカス制御ステップである。803は、光ディスク801からの反射光を光電変換したものを増幅して、再生信号816を抽出する再生信号抽出ステップ、804は、再生信号816から、クロック成分を抽出し、さらに、2値化を行って2値化データ817を生成するPLL/2値化ステップである。805は、PLL/2値化ステップ804の2値化を行う過程で得られる、各ピット及びランドのエッジ情報から、各ピット及びランド毎の長さ823を検出するピット長検出ステップである。807は、2値化データ817をデジタル復調し、さらに、媒体の傷や埃等に起因する誤りを訂正して、第1情報813を生成する第1情報再生ステップである。806は、2値化データ817から、前記したSYNCマーク等の検出やアドレス情報を抽出し、図2に示す光ディスクフォーマットに同期した、各種タイミング信号818を生成するフォーマット制御ステップである。
【0089】
808は、フォーマット制御ステップ806で生成された図示しないアドレス情報や、各種タイミング信号818から、追記マークが少なくとも一部に形成されている、所定領域205の位置を特定した所定領域位置信号820、及びその前半部と後半部を識別するための前後半識別信号819を生成する所定領域特定ステップである。809は、各ピット及びランド毎の長さ823から、5T以上のピットとランドを識別する所定長判別ステップである。
【0090】
811は、所定の長さ以上であると判別された、ピット及びまたはランドの中央部を第2情報の検出区間として積算処理を行うことにより、第2情報を再生する第2情報再生ステップ、810は、第2情報再生ステップ811で行われる積算処理の回数を、所定領域205の前半部と後半部毎に計数する積算回数計数ステップである。
【0091】
以上のように構成された実施の形態2における光ディスク再生方法の動作を、以下詳細に説明する。
【0092】
はじめに、第1情報の再生動作を説明する。
【0093】
光ヘッド802から出射された光ビームは、トラッキング制御ステップ812、およびフォーカス制御ステップ824により、光ディスク801のピットおよびランドで構成されたトラックに集光され、凹凸形状のピットおよびランドのパターンにより、強度変調された反射光が、光ヘッドに802に返る。 反射光は、光ヘッド内の光検出器により、光電変換され、再生信号抽出ステップ803に送出される。再生信号抽出ステップ803は、アナログ再生信号を増幅すると共に、AD変換して、再生信号816として、PLL/2値化ステップ804に送出する。再生信号816は、PLL/2値化ステップ804によって、クロック信号の生成及び、2値化処理が施される。2値化処理は、公知のPRML信号処理によって行われる。ここでは、PR(1,2,2,1)等価方式、およびビタビ復号が行われる。
【0094】
PLL/2値化ステップ804によって2値化された、2値化データ817は、フォーマット制御ステップ806と、第1情報再生ステップ807に送出される。フォーマット制御ステップ806では、2値化データ817から、各フレーム先頭に記録されたSYNCマーク等を検出し、SYNC同期処理を行い、ディスクフォーマットに同期した、各種タイミング信号818を生成する。また、フォーマット制御ステップ806は、各セクタに記録されたアドレスを検出し、アドレス同期も行う。
【0095】
第1情報再生ステップ807は、2値化データ817をデジタル復調し、さらに、媒体の傷や埃等に起因する誤りを訂正して、第1情報813を生成する。以上の動作で、第1情報813が再生される。
【0096】
次に、第2情報の再生動作を説明する。
【0097】
第1情報の再生と同様に、再生信号抽出ステップ803によって、増幅、およびAD変換された再生信号816は、PLL/2値化ステップ804、及び、第2情報再生ステップ811に送出される。PLL/2値化ステップ804では、前記したように、再生信号816の、2値化処理が行われる。この際、PLL/2値化回路ステップ804に含まれた、ピット長検出ステップ805によって、各ピットの長さが検出される。
【0098】
各ピットの長さは、2値化データ817の、各High区間、あるいはLow区間のいずれかの長さ、すなわち、クロック数に相当し、クロック信号の生成および2値化処理の中で、容易に検出することができる。
【0099】
ピット長検出ステップ805で検出された各ピット長823は、所定長判別ステップ809に送出される。所定長判別ステップ809は、所定の長さ以上のピット長を判別し、判別したピットの概中央部を示す、第2情報の検出区間信号821を生成する。実施の形態2では、所定の長さは5であり、5クロック以上の長さを有する、各ピットの概中央部が、第2情報の検出区間となる。第2情報の検出区間信号821は、積算回数計数ステップ810、および第2情報再生ステップ811に送出される。
【0100】
一方、フォーマット制御ステップ806では、第1情報の再生と同様に、2値化データ817から、ディスクフォーマットに同期した、各種タイミング信号818の生成と、各セクタに記録されたアドレスを検出し、アドレス同期を行う。各種タイミング信号818、およびアドレス情報、および、PLL/2値化ステップ804で生成されたクロック信号等が、所定領域特定ステップ808に送出される。尚、図8では、アドレス情報、およびクロック信号等は省略している。
【0101】
所定領域特定ステップ808は、各種タイミング信号818やアドレス情報から、図2の、追記マークを記録する所定領域205の位置を示す、所定領域特定信号820と、その前半部を指定する前半部指定信号819を生成する。所定領域特定信号820、および前半部指定信号819は、図2に示す所定ECCブロックの、各セクタのフレーム13の所定位置を指定し、カウンタ等から容易に構成できる。これらの、所定領域特定信号820、および前半部指定信号819は、第2情報再生ステップ814、および積算回数計数ステップ810に送出される。
【0102】
積算回数計数ステップ810では、所定領域特定信号820、前半部指定信号819、及び第2情報の検出区間信号321から、第2情報の検出区間の積算回数を、所定領域の前半部と後半部でそれぞれ計数し、所定領域の前半部と後半部で、第2情報の検出区間の積算回数を等しくするるための、積算回数調整信号822を生成する。積算回数調整信号822は、例えば、前半部で、合計n回の積算を計数した場合、後半部でも、n回の積算を計数するまで、Highとなる信号である。
【0103】
第2情報再生ステップ811は、所定領域特定信号820、前半部指定信号819、第2情報の検出区間信号821、および、積算回数調整信号822で指定される、所定領域の前半部と後半部の、再生信号816を、それぞれ積算し、その大小関係から、第2情報を再生する。積算処理の詳細は、実施1の形態1の図9、図10で説明したものと同等であるので、ここでは省略する。
【0104】
第2情報再生ステップ811は、積算回数調整信号822のhigh期間のみを、前半部と後半部でそれぞれ、再生信号816を、積算する。第2情報再生ステップ811は、前半部と後半部用の2つの加算器と、所定領域特定信号820、前半部指定信号819、第2情報の検出区間信号821、および、積算回数調整信号822をゲート信号に用いる。さらに、2個の加算器の加算結果の大小関係から、第2情報814を再生する。
【0105】
例えば、図9、及び図10に示したように前半部に追記マークが記録されている場合、前半部の加算結果−後半部の加算結果は、正になり、第2情報の再生結果を1とし、逆に、後半部に追記マークが記録されている場合、前半部の加算結果−後半部の加算結果は、負となり、第2情報の再生結果は0として、第2情報の再生を行うことができる。
【0106】
以上説明したように、実施の形態2では、所定領域内に含まれる、複数のピット部の、個々の長さを検出し、検出された各ピット長が、所定の長さ以上であることを判別し、所定の長さ以上であると判別された、ピットの概中央部を第2情報の検出区間として、第2情報を再生する。信号レベルが一定となる安定区間のみを、第2情報の検出区間として、第2情報の信号検出に用いる。安定区間では、未記録の場合も追記マークが記録された場合も、その信号レベルは、各々一定となっているため、それぞれの信号レベルを、より安定して行うことができ、信頼性の高い第2情報の再生が可能になっている。
【0107】
さらに、実施の形態2では、所定の領域の前半部、および後半部ごとに、前記第2情報検出区間からの再生信号の再生信号レベルを積算し、各々の大小関係に基づいて、第2情報を再生することで、より信頼性の高い第2情報の再生が可能となっている。
【0108】
尚、以上の実施の形態2では、ピット部の再生信号のみを積算処理に用いたが、ランド部のみ、あるいは両方を用いても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明に係る光ディスク再生装置、および光ディスク再生方法は、光ディスクの製造に要するコストを増大させることなく、かつ主情報の読み取り精度を悪化させることなく副情報を記録し、かつ、副情報自体の再生を、信頼性が高く、安定した読み取りを可能にすることができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
【符号の説明】
【0110】
102,206,207,405,901 追記マーク
205 所定領域
307 ピット長検出回路
311 所定領域特定回路
312 所定長判別回路
313 積算回数計数回路
314 積算回路
401,403 ピット
402,404 ランド
603,604,706,707,907,908,1007,1008 第2情報の検出区間
805 ピット長検出ステップ
807 第1情報再生ステップ
808 所定領域特定ステップ
809 所定長判別ステップ
810 積算回数計数ステップ
811 第2情報再生ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピット及びランドが形成された光ディスクから第1の情報を再生するとともに、レーザ光の照射によって前記光ディスクの反射膜の光学的特性を変化させて形成された追記マークが、少なくとも一部に形成されている所定の領域から、第2の情報を再生する光ディスク再生装置であって、
前記ピット及びランドが円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って前記レーザ光が照射される位置を制御するトラッキング制御手段と、
前記ピット及びランドに再生レーザを照射した反射光から再生信号を抽出する再生信号抽出手段と、前記再生信号から、前記第1情報を再生する第1情報再生手段と、前記所定領域の位置を特定する所定領域特定手段と、
前記追記マークが形成された部分、および前記所定領域内には、複数のピット及びランドが含まれており、前記所定領域内に含まれる、複数のピット及びまたはランドの、個々の長さを検出するピット及びまたはランド長検出手段と、
検出された前記各ピット及びまたはランド長が、所定の長さ以上であることを判別する、所定長判別手段と、
前記所定の長さ以上であると判別された、ピット及びまたはランドの概中央部を第2情報の検出区間として、前記第2情報検出区間の再生信号から、前記第2情報を再生する第2情報再生手段、とを有することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項2】
第1の情報は、最小反転距離が2のランレングス制限符号で変調されており、前記第1情報再生手段は、PR(1,2,2,1)方式の波形等価を用いて第1情報を再生し、前記所定の長さは、前記最小反転距離の2に対して、5以上であることを特徴とする請求項1記載の光ディスク再生装置。
【請求項3】
第2情報の1ビットは、複数の前記所定の領域に跨って記録されていることを特徴とする請求項1記載の光ディスク再生装置。
【請求項4】
追記マークは、前記光ディスクの反射率を微小に変化させることで形成されたことを特徴とする請求項1記載の光ディスク再生装置。
【請求項5】
前記微小な反射率変化は、前記第1情報再生手段による、第1情報の再生時に、再生エラーにならない範囲で、前記光ディスクの反射率を変化させることを特徴とする請求項4記載の光ディスク再生装置。
【請求項6】
前記反射率変化は、前記追記マークの未記録の再生信号振幅に対して、10%未満の反射率の変化であることを特徴とする、請求項5記載の光ディスク再生装置。
【請求項7】
第2情報再生手段は、前記第2情報検出区間からの再生信号の再生信号レベルを、所定基準と比較することで、第2情報を再生することを特徴とする請求項6記載の光ディスク再生装置。
【請求項8】
追記マークは、前記所定の領域の1/2の長さを有し、前記所定の領域の前半部、或いは後半部のいずれかに形成されていることを特徴とする請求項4記載の光ディスク再生装置。
【請求項9】
第2情報再生手段は、前記所定の領域の前半部、および後半部ごとに、前記第2情報検出区間からの再生信号の再生信号レベルを積算し、各々の大小関係に基づいて、第2情報を再生することを特徴とする請求項8記載の光ディスク再生装置。
【請求項10】
第2情報検出区間からの再生信号の再生信号レベルを積算する際に、前記第2情報検出区間の積算回数を計数する積算回数計数手段をさらに備え、積算する回数を前記所定の領域の前半部と後半部で等しくし、前記第2情報を検出することを特徴とする、請求項9記載の光ディスク再生装置。
【請求項11】
ピット及びランドが形成された光ディスクから第1の情報を再生するとともに、レーザ光の照射によって前記光ディスクの反射膜の光学的特性を変化させて形成された追記マークが、少なくとも一部に形成されている所定の領域から、第2の情報を再生する光ディスク再生方法であって、
前記ピット及びランドが円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って前記レーザ光が照射される位置を制御するトラッキング制御ステップと、
前記ピット及びランドに再生レーザを照射した反射光から再生信号を抽出する再生信号抽出ステップと、前記再生信号から、前記第1情報を再生する第1情報再生ステップと、前記所定領域の位置を特定する所定領域特定ステップと、
前記追記マークが形成された部分、および前記所定領域内には、複数のピット及びランドが含まれており、前記所定領域内に含まれる、複数のピット及びまたはランドの、個々の長さを検出するピット及びまたはランド長検出ステップと、
検出された前記各ピット及びまたはランド長が、所定の長さ以上であることを判別する、所定長判別ステップと、
前記所定の長さ以上であると判別された、ピット及びまたはランドの概中央部を第2情報の検出区間として、前記第2情報検出区間の再生信号から、前記第2情報を再生する第2情報再生ステップ、とを有することを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項12】
第1の情報は、最小反転距離が2のランレングス制限符号で変調されており、前記第1情報再生ステップは、PR(1,2,2,1)方式の波形等価を用いて第1情報を再生し、前記所定の長さは、前記最小反転距離の2に対して、5以上であることを特徴とする請求項11記載の光ディスク再生方法。
【請求項13】
第2情報の1ビットは、複数の前記所定の領域に跨って記録されていることを特徴とする請求項11記載の光ディスク再生方法。
【請求項14】
追記マークは、前記光ディスクの反射率を微小に変化させることで形成されたことを特徴とする請求項11記載の光ディスク再生方法。
【請求項15】
前記微小な反射率変化は、前記第1情報再生ステップによる、第1情報の再生時に、再生エラーにならない範囲で、前記光ディスクの反射率を変化させることを特徴とする請求項14記載の光ディスク再生方法。
【請求項16】
前記反射率変化は、前記追記マークの未記録の再生信号振幅に対して、10%未満の反射率の変化であることを特徴とする、請求項15記載の光ディスク再生方法。
【請求項17】
第2情報再生ステップは、前記第2情報検出区間からの再生信号の再生信号レベルを、所定基準と比較することで、第2情報を再生することを特徴とする請求項16記載の光ディスク再生方法。
【請求項18】
追記マークは、前記所定の領域の1/2の長さを有し、前記所定の領域の前半部、或いは後半部のいずれかに形成されていることを特徴とする請求項14記載の光ディスク再生方法。
【請求項19】
第2情報再生ステップは、前記所定の領域の前半部、および後半部ごとに、前記第2情報検出区間からの再生信号の再生信号レベルを積算し、各々の大小関係に基づいて、第2情報を再生することを特徴とする請求項18記載の光ディスク再生方法。
【請求項20】
第2情報検出区間からの再生信号の再生信号レベルを積算する際に、前記第2情報検出区間の積算回数を計数する積算回数計数ステップをさらに備え、積算する回数を前記所定の領域の前半部と後半部で等しくし、前記第2情報を検出することを特徴とする、請求項19記載の光ディスク再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−198401(P2011−198401A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62323(P2010−62323)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】