説明

光ディスク装置及びデータ処理方法

【課題】リボケーションリストの識別情報が改竄されたり、あるいは正当に更新されていなかったような場合でも、コンテンツの不正利用を禁止できるようにする。
【解決手段】光ディスク1には、特定の光ディスク又は光ディスク装置を識別するための識別情報3,4、識別情報3,4のバージョン情報及び更新年月日を示す情報が記録されている。光ディスク装置6の記憶装置7には、特定の光ディスク又は光ディスク装置を識別するための識別情報8,9、識別情報8,9のバージョン情報及び更新年月日を示す情報が記憶されている。光ディスク装置6は、光ディスク1に記録された識別情報3,4及び記憶装置7に記録された識別情報8,9の正当性を、バージョン情報及び更新年月日に基づいて判断し、正当性があると判断した場合にのみ光ディスク1を用いたデータの記録・再生を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置及びそのデータ処理方法に関する。特に、正当なライセンス等を受けていない光ディスクや光ディスク装置を用いたデータの記録再生を禁止するためのリボケーションリストの正当性を判断することができる光ディスク装置及びデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ディスク装置では、正当なライセンス等を受けていない(不正な)光ディスクや光ディスク装置を用いたコンテンツの記録再生を禁止するため、リボケーションリストが用いられている。光ディスクに記録されたコンテンツを再生する際、また光ディスクにコンテンツを記録する際には、光ディスクに記録されているリボケーションリストの識別情報に基づいて、光ディスクや光ディスク装置が正当なもの否かを判断し、正当でないと判断した場合には、コンテンツの記録再生を行わないようになっている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2003/030167号パンフレット
【特許文献2】特開2002−135243号公報
【特許文献3】特開2002−133767号公報
【特許文献4】特開2002−132587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光ディスクに記録されたリボケーションリストの識別情報が改竄されたり、光ディスク装置に保持された識別情報が適正に更新されていなかった場合には、不正な光ディスクや光ディスク装置を用いたコンテンツの再生が行われる可能性がある。例えば、ライセンスを更新せずに光ディスク装置を使用している者が、その光ディスク装置に保持されている古いリボケーションリストを更新していない場合には、本来無効化されているはずの光ディスク装置を使用してコンテンツを読み出すことができ、その結果、コンテンツの不正利用を放置することになる。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、リボケーションリストの識別情報が改竄されたり、あるいは正当に更新されていなかったような場合でも、コンテンツの利用を禁止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光ディスク装置は、特定の光ディスク又は光ディスク装置を識別するための識別情報と、前記識別情報のバージョンを示すバージョン情報と、前記識別情報の更新時を示す更新時情報とが記録された光ディスクを用いて、データの記録、再生又はその両方を行う光ディスク装置であって、特定の光ディスク又は光ディスク装置を識別するための識別情報と、前記識別情報のバージョンを示すバージョン情報と、前記識別情報の更新時を示す更新時情報とを保持する記憶手段と、前記光ディスクに記録された前記識別情報、及び、前記記憶手段に保持された前記識別情報の正当性を、それぞれのバージョン情報及び更新時情報に基づいて判断し、正当性があると判断した場合にのみ前記光ディスクに対するデータの記録、再生又はその両方を許可する判断手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係るデータ処理方法は、特定の光ディスク又は光ディスク装置を識別するための識別情報と、前記識別情報のバージョンを示すバージョン情報と、前記識別情報の更新時を示す更新時情報とが記録された光ディスクを用いて、データの記録、再生又はその両方を行うデータ処理方法であって、特定の光ディスク又は光ディスク装置を識別するための識別情報と、前記識別情報のバージョンを示すバージョン情報と、前記識別情報の更新時を示す更新時情報とを記憶手段に保持する工程と、前記光ディスクに記録された前記識別情報、及び、前記記憶手段に保持された前記識別情報の正当性を、それぞれのバージョン情報及び更新時情報に基づいて判断し、正当性があると判断した場合にのみ前記光ディスクに対するデータの記録、再生又はその両方を許可する判断工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光ディスク及び光ディスク装置の記憶手段に、識別情報のバージョン情報及び更新時情報を保持するようにしたので、これらを用いて識別情報の正当性を確認することが可能になる。その結果、改竄され、あるいは正当に更新されていない識別情報を使用したコンテンツの不正使用を排除することができる。
【0009】
また、光ディスクに記録された識別情報のバージョンが、光ディスク装置の記憶手段に保持された識別情報のバージョンよりも新しいと判断した場合に、記憶手段に保持された識別情報を更新することにより、常に最新の識別情報に基づく判断を行うことが可能になる。
【0010】
また、光ディスク装置をドライブ装置とホスト装置とに分けて構成することにより、パーソナルコンピュータ等に柔軟に対応した不正排除のシステムを実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る光ディスク装置6(情報処理装置)の構成を示すブロック図である。光ディスク1は、暗号処理を施されたコンテンツが記録された記録媒体である。光ディスク1には、制御情報2と、メディア識別情報3と、デバイス識別情報4と、鍵束情報5とが記録されている。
【0012】
制御情報2は、コンテンツの暗号、復号、記録、再生等に関する情報である。例えば、光ディスク1のコンテンツには違法コピーを防ぐための暗号処理が施されているため、制御情報2には、復号処理に必要な情報が含まれている。また、制御情報2には、コンテンツへのアクセスを補助するための情報、及び、コンテンツの管理や記録再生補助のための管理情報が含まれている。
【0013】
メディア識別情報3は、記録、再生又はその両方の動作を許可しない不正な(例えば正当なライセンスを受けていない)光ディスクを特定するための光ディスク固有の情報、又は光ディスク製造者固有の情報を含む。メディア識別情報3は、また、当該メディア識別情報3を管理するための情報として、メディア識別情報3の新旧を表すバージョン情報と、各バージョンのメディア識別情報3を発行した年月日の情報と、メディア識別情報3のバージョンの正当性を確認するための確認情報とを含む。
【0014】
デバイス識別情報4は、記録、再生又はその両方の動作を許可しない不正な光ディスク装置を特定するための光ディスク装置固有の情報、又は光ディスク装置製造者固有の情報を含む。デバイス識別情報4は、また、当該デバイス識別情報4を管理するための情報として、デバイス識別情報4の新旧を表すバージョン情報と、各バージョンのデバイス識別情報4を発行した年月日の情報と、デバイス識別情報4のバージョンの正当性を確認するための確認情報とを含む。
【0015】
鍵束情報5は、暗号コンテンツの複合に用いられ、また不正な複合鍵を無効化するための情報である。
【0016】
光ディスク装置6は、光ディスク1に対するコンテンツの記録、再生又はその両方(以下、単に記録・再生とする。)を行うものである。この光ディスク装置6は、装置電源が遮断されてもデータを保持可能な不揮発性メモリで構成される記憶装置(記憶手段)7と、光ディスク1に対するデータの記録・再生を行う記録再生装置10と、これらを制御する制御部(CPU)15とを有している。
【0017】
光ディスク装置6の記憶装置7は、不正な光ディスクを特定するためのメディア識別情報8と、不正な光ディスク装置を特定するためのデバイス識別情報9とを記憶している。この記憶装置7は、必要に応じて情報を書き換えることもできるよう構成されている。
【0018】
メディア識別情報8は、不正な光ディスクを特定するための光ディスク固有の情報、又は光ディスク製造者固有の情報を含む。このメディア識別情報8は、また、当該メディア識別情報8を管理するための情報として、メディア識別情報8の新旧を表すバージョン情報と、メディア識別情報8を更新した年月日の情報と、メディア識別情報8のバージョンの正当性を確認するための確認情報とを含む。
【0019】
デバイス識別情報9は、不正な光ディスク装置を特定するための光ディスク装置固有の情報、又は光ディスク装置製造者固有の情報を含む。デバイス識別情報9は、また、当該デバイス識別情報9を管理するための情報として、デバイス識別情報9の新旧を表すバージョン情報と、デバイス識別情報9を更新した年月日を表す情報と、デバイス識別情報9のバージョンの正当性を確認するための確認情報とを含む。
【0020】
記録再生装置10は、光ディスク1から読み出したデータを再生し、又は外部から入力されたデータを光ディスク1に記録する。データの再生処理としては、例えば、コンテンツの暗号を解く復号処理、及び、外部へのデータの転送や映像信号や音声信号の復号処理を行う。データの記録処理としては、外部から入力されたコンテンツデータを暗号化して、光ディスク1に記録する処理を行う。
【0021】
光ディスク装置6は、さらに、コンテンツの暗号を解くために用いられる装置固有の鍵を含む装置固有情報11を記憶している。光ディスク1の暗号化されたコンテンツを復号するときには、この鍵を用いて復号処理を行う。装置固有情報11は、また、装置の製造シリアル番号を含んでおり、この製造シリアル番号により光ディスク装置6を特定することができる。リボケーションリストを用いて光ディスク装置6を無効化するときは、この復号鍵や製造シリアル番号により光ディスク装置6を特定する。
【0022】
図2(A)は、光ディスク1に記録されたメディア識別情報3についての上述したバージョン情報、発行年月日の情報及び確認情報の例を示す図である。光ディスク1には、メディア識別情報3のバージョン毎に、そのバージョンのメディア識別情報3が発行された年月日の情報(更新時情報)と、当該バージョンの正当性を確認するための確認情報(ここでは確認コード)とが記憶されている。なお、確認コードは、バージョン番号や発行年月日を引数として関数計算した結果でもよいし、乱数を用いた独立した値でもよい。ただし、容易に類推されるものであってはならない。
【0023】
光ディスク1には、また、デバイス識別情報4についても、図2(A)に示したように、デバイス識別情報4のバージョン毎に、そのバージョンのデバイス識別情報4が発行された年月日の情報と、当該バージョンの正当性を確認するための確認情報(ここでは確認コード)とが記憶されている。
【0024】
図2(B)は、光ディスク装置6の記憶装置7に記憶されたメディア識別情報8についてのバージョン情報及び更新年月日の情報の例を示す図である。光ディスク装置6の記憶装置7には、メディア識別情報8の最終更新バージョンと、その更新年月日の情報とが記憶されている。また、光ディスク装置6の記憶装置7には、デバイス識別情報9についても、図2(B)に示したように、最終更新バージョンと、その更新年月日の情報とが記憶されている。
【0025】
次に、本実施の形態における光ディスク装置6の動作を説明する。光ディスク装置6に光ディスク1が装填されると、光ディスク装置6の制御部(CPU)15は、図3に示すデバイス識別情報の確認処理と、図4に示すメディア識別情報の確認処理とを実行する。以下、それぞれの処理について説明する。
【0026】
図3は、デバイス識別情報の確認処理を示すフローチャートである。光ディスク装置6は、光ディスク1が装填されると、まず、デバイス識別情報のバージョンの比較を行う(ステップS101)。すなわち、光ディスク1のデバイス識別情報4のバージョン情報を読み出し、光ディスク装置6の記憶装置7に記憶されたデバイス識別情報9のバージョン情報を読み出し、これらを比較して新旧の判断を行う。例えば、光ディスク1のデバイス識別情報4のバージョン情報が4.0で、光ディスク装置6のデバイス識別情報9のバージョン情報が3.0であった場合には、光ディスク装置6のデバイス識別情報9のバージョンの方が古いと判断する。
【0027】
光ディスク装置6のデバイス識別情報9のバージョンの方が古いと判断した場合には(ステップS101でYES)、後述するディスク改竄チェック処理(ステップS104)に進む。光ディスク装置6のデバイス識別情報9の方が新しい、又は同バージョンと判断した場合には(ステップS101でNO)、次の確認コードの比較処理(ステップS102)に進む。
【0028】
確認コードの比較処理(ステップS102)では、デバイス識別情報の確認コードの比較を行う。ここでは、デバイス識別情報を付与するライセンサーが一つのバージョンに一つの確認コードを付与していたものとする。このステップS102では、光ディスク1に記録されたデバイス識別情報4の確認コードを読み出し、光ディスク装置6のデバイス識別情報9の確認コードを(例えばバージョン番号や更新年月日を因数とした関数計算等により)算出し、これらを比較することで、デバイス識別情報のバージョンが正当か否かの確認を行う。なお、確認コード以外の情報に基づいて、デバイス識別情報のバージョンが正当か否かの確認を行ってもよい。このステップS102の処理が実行されるのは、光ディスク装置6のデバイス識別情報9のバージョンの方が新しい場合であるため、このステップS102で双方の確認コードが一致すると、光ディスク装置6のデバイス識別情報9が不正に書き換えられた可能性があることになる。
【0029】
光ディスク1のデバイス識別情報4の確認コードと、光ディスク装置6のデバイス識別情報9の確認コードとが一致した場合には(ステップS102でYES)、後述するデータ更新処理(ステップS105)に進む。確認コードが一致しなかった場合には(ステップS102でNO)、次の更新年月日の比較処理(ステップS103)に進む。なお、光ディスク1及び光ディスク装置6のデバイス識別情報4,9が同じバージョンであった場合には、確認コードが一致したときにステップS102からステップS103に進むものとする。
【0030】
更新年月日の比較処理(ステップS103)では、デバイス識別情報の更新年月日の比較を行う。すなわち、光ディスク装置6の記録装置7に記憶されたデバイス識別情報9の更新年月日を読み出し、光ディスク1に記録されたデバイス識別情報4の各バージョンの発行年月日よりも新しいかどうかを確認することで、デバイス識別情報9の更新の正当性を確認する。
【0031】
このステップS103の処理が実行されるのは、光ディスク装置6のデバイス識別情報9のバージョンが新しい場合(ステップS101でYES)であるため、光ディスク装置6のデバイス識別情報9の更新年月日が、光ディスク1のデバイス識別情報4の各バージョンの発行年月日よりも新しい場合には(ステップS103でYES)、デバイス識別情報9の正当性が確認されたとして、処理を終了する。一方、光ディスク装置6のデバイス識別情報9の更新年月日が、光ディスク1のデバイス識別情報4の各バージョンの発行年月日のいずれかと同じ、又はそれより古い場合には(ステップS103でNO)、デバイス識別情報9の正当性が確認されないとして、後述するデータ更新処理(ステップS104)に進む。なお、光ディスク1及び光ディスク装置6のデバイス識別情報4,9が同じバージョンであった場合には、光ディスク装置6のデバイス識別情報9の更新年月日が、光ディスク1に記録されたデバイス識別情報4の最新バージョンの発行年月日と同じときに、デバイス識別情報9の正当性が確認されたとして処理を終了するものとする。
【0032】
上述したステップS101で、光ディスク装置6のデバイス識別情報9のバージョンの方が古いと判断した場合には(ステップS101でNO)、ディスク改竄チェック処理(ステップS104)を行う。このディスク改竄チェック処理では、デバイス識別情報4の正当性、すなわちデバイス識別情報4が改竄されていないか否かを確認する。認証情報とは、例えば、バージョン情報を引数としたハッシュ関数結果を用いた数値である。光ディスク装置1ではバージョン情報を元に同じハッシュ計算を行い、結果が同じ数値であれば、改竄されていないと判断する。認証情報は、不正コピーにより製造された光ディスクを発見する上で特に有効である。光ディスク1のデバイス識別情報4が改竄されていると判断した場合には(ステップS104でYES)、当該光ディスク1に対する情報の記録・再生を禁止する(ステップS106)。光ディスク1のデバイス識別情報4が改竄されていないと判断した場合には(ステップS104でNO)、次のデータ更新処理(ステップS105)に進む。
【0033】
データ更新処理(ステップS105)では、光ディスク1に記録されたデバイス識別情報9を、光ディスク装置6の記憶装置7に書き込むことで、光ディスク装置6のデバイス識別情報9を更新する。
【0034】
従って、例えば、光ディスク装置6を使用していた者が、リボケーションリストのデバイス識別情報9を不正に書き換えていたとしても、このデータ更新処理(ステップS105)によりデバイス識別情報9が強制的に更新されるため、この光ディスク装置6を用いてコンテンツを不正に記録・再生することはできなくなる。
【0035】
また、例えば、ライセンスを更新せずに光ディスク装置6を使用していた者が、意図的にリボケーションリストを長期間更新していなかったとしても、このデータ更新処理(ステップS105)によりデバイス識別情報9が強制的に更新されるため、この光ディスク装置6を用いてコンテンツを不正に記録・再生することはできなくなる。
【0036】
図3に示したデバイス識別情報の確認処理が完了したのち、図4に示すメディア識別情報の確認処理が実行される。図4は、メディア識別情報の確認処理を示すフローチャートである。このメディア識別情報の確認処理では、デバイス識別情報の確認処理(図3)と同様、バージョンの比較処理(S201)、確認コードの比較処理(S202)、更新年月日の比較処理(S203)、ディスク改竄チェック処理(S204)及びデータ更新処理(S205)が行われる。
【0037】
バージョンの比較処理(S201)では、光ディスク1のメディア識別情報3のバージョン情報を読み出し、光ディスク装置6の記憶装置7に記憶されたメディア識別情報8のバージョン情報を読み出し、これらを比較して新旧の判断を行う。光ディスク装置6のメディア識別情報8のバージョンの方が古いと判断した場合には(ステップS201でNO)、後述するディスク改竄チェック処理(ステップS204)に進む。光ディスク装置6のメディア識別情報8のバージョンの方が新しい、又は同バージョンと判断した場合には(ステップS201でNO)、次の確認コードの比較処理(ステップS202)に進む。
【0038】
確認コードの比較処理(ステップS202)では、光ディスク1に記録されたメディア識別情報3の確認コードを読み出し、光ディスク装置6のメディア識別情報8の確認コードを算出し、これらを比較することで、メディア識別情報のバージョンが正当か否かの確認を行う。光ディスク1のメディア識別情報3の確認コードと、光ディスク装置6のメディア識別情報8の確認コードとが一致した場合には(ステップS202でYES)、後述するデータ更新処理(ステップS205)に進む。確認コードが一致しなかった場合には(ステップS202でNO)、次の更新年月日の比較処理(ステップS203)に進む。なお、光ディスク1及び光ディスク装置6のメディア識別情報3,8が同じバージョンであった場合には、確認コードが一致したときにステップS202からステップS203に進むものとする。
【0039】
更新年月日の比較処理(ステップS203)では、光ディスク装置6の記録装置7に記録されているメディア識別情報8の更新年月日が、光ディスク1に記録されたメディア識別情報3の各バージョンの発行年月日よりも新しいかどうかを確認することで、メディア識別情報8の更新の正当性を確認する。光ディスク装置6のメディア識別情報8の更新年月日が、光ディスク1に記録されたメディア識別情報3の各バージョンの発行年月日よりも新しい場合には(ステップS203でYES)、メディア識別情報8の正当性が確認されたとして、処理を終了する。一方、光ディスク装置6のメディア識別情報8の更新年月日が、光ディスク1に記録されたメディア識別情報3の各バージョンの発行年月日のいずれかと同じ、又は古い場合には(ステップS203でNO)、メディア識別情報8の正当性が確認されないとして、後述するデータ更新処理(ステップS203)に進む。なお、光ディスク1及び光ディスク装置6のメディア識別情報3,8が同じバージョンであった場合には、光ディスク装置6のメディア識別情報8の更新年月日が、光ディスク1に記録されたメディア識別情報3の最新バージョンの発行年月日と同じときに、メディア識別情報8の正当性が確認されたとして処理を終了するものとする。
【0040】
上述したステップS201で、光ディスク装置6のメディア識別情報8のバージョンの方が古いと判断した場合には(ステップS201でNO)、ディスク改竄チェック処理(ステップS204)を行う。このディスク改竄チェック処理では、例えば光ディスク1に記録された認証情報を用いて、メディア識別情報3の改竄の有無を判断する。光ディスク1のメディア識別情報3が改竄されていると判断した場合には(ステップS204でYES)、当該光ディスク1に対する情報の記録・再生を禁止する(ステップS206)。光ディスク1のメディア識別情報3が改竄されていないと判断した場合には(ステップS204でNO)、次のデータ更新処理(ステップS205)に進む。
【0041】
データ更新処理(ステップS205)では、光ディスク1に記録されたメディア識別情報3を、光ディスク装置6の記憶装置7に書き込むことで、光ディスク装置6のメディア識別情報8を更新する。
【0042】
従って、例えば、光ディスク装置6を使用していた者が、リボケーションリストのメディア識別情報8を不正に書き換えていたとしても、このデータ更新処理(ステップS205)によりメディア識別情報8が強制的に更新されるため、この光ディスク装置6を用いてコンテンツを不正に記録・再生することはできなくなる。
【0043】
図5は、光ディスク装置6の起動時の処理である。光ディスク装置6は、起動時、すなわち電源投入時において、自らの光ディスク装置6、又は接続されている他の装置の固有の識別情報を読み出し(ステップS301)、記憶装置7に記憶したデバイス識別情報9と一致するか否かを確認する(ステップS302)。この確認処理は、起動時のほか、光ディスク装置6のデバイス識別情報の確認処理(図3)が行われた後にも実行される。上述したように、デバイス識別情報9は常に最新の情報に更新されているため、光ディスク装置6が正規にライセンス更新等されたものでない場合には、この光ディスク装置6を用いて、光ディスク1に対するコンテンツの記録・再生を行うことはできない(ステップS303)。
【0044】
以上説明したように、この実施の形態1では、光ディスク装置6に記憶されているデバイス識別情報9及びメディア識別情報8の正当性を、バージョン情報及び更新年月日に基づいて確認した上で、コンテンツの記録・再生を許可するようにしたので、改竄された識別情報や、古い(更新されていない)識別情報を利用したコンテンツの不正使用を排除することができる。
【0045】
特に、光ディスク装置6が保持している識別情報(メディア識別情報8、デバイス識別情報9)のバージョンよりも、光ディスク1が保持している識別情報(メディア識別情報3、デバイス識別情報4)のバージョンの方が新しい場合には、光ディスク装置6が保持している識別情報を更新するようにしたので、常に最新のリボケーションリストによる処理が可能となる。
【0046】
また、光ディスク装置6が保持している識別情報及び光ディスク1に記録された識別情報について、バージョン情報、更新年月日、及び確認コードに基づいて正当性の判断を行った上で、光ディスク装置6が保持している識別情報を更新するようにしたので、光ディスク装置6の識別情報が改竄されていた場合であっても、本来の識別情報に戻すことができ、正常なリボケーションリストによるコンテンツ処理が可能となる。
【0047】
変形例.
図6は、実施の形態1におけるデバイス識別情報の確認処理(図3)の変形例を示すブロック図であり、図7は、実施の形態1におけるメディア識別情報の確認処理(図4)の変形例を示すブロック図である。
【0048】
図6に示すデバイス識別情報の確認処理の変形例では、実施の形態1と同様に、光ディスク装置6のデバイス識別情報9の確認コードと、光ディスク1のデバイス識別情報4の確認コードとを比較するが(ステップS102)、双方の確認コードが一致した場合(正当性が認められない場合)には、デバイス識別情報9の更新を行うのではなく、光ディスク1に対する記録・再生を禁止する(ステップS106)。さらに、実施の形態1と同様に、光ディスク装置6のデバイス識別情報9の更新年月日と、光ディスク1のデバイス識別情報4の発行年月日とを比較するが(ステップS103)、光ディスク装置6のデバイス識別情報9の更新年月日が、光ディスク1のデバイス識別情報4の各バージョンの発行年月日より古いか又は同じ場合には、デバイス識別情報9の更新を行うのではなく、光ディスク1に対する記録・再生を禁止する(ステップS106)。
【0049】
また、図7に示すメディア識別情報の確認処理の変形例では、実施の形態1と同様に、光ディスク装置6のメディア識別情報8の確認コードと、光ディスク1のメディア識別情報3の確認コードとを比較するが(ステップS202)、双方の確認コードが一致した場合には、メディア識別情報3の更新を行うのではなく、光ディスク1に対する記録・再生を禁止する(ステップS206)。さらに、実施の形態1と同様に、光ディスク装置6のメディア識別情報8の更新年月日と、光ディスク1のメディア識別情報3の各バージョンの発行年月日とを比較するが(ステップS203)、光ディスク装置6のメディア識別情報8の更新年月日が、光ディスク1のメディア識別情報3の各バージョンの発行年月日より古いか又は同じ場合には、メディア識別情報8の更新を行うのではなく、光ディスク1に対する記録・再生を禁止する(ステップS206)。
【0050】
図6及び図7に示した変形例によっても、光ディスク装置6のデバイス識別情報9又はメディア識別情報8が改竄されている可能性がある場合には、光ディスク1に対するコンテンツの記録・再生が禁止されるため、不正な装置を用いたコンテンツの記録・再生を排除することができる。
【0051】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2に係る光ディスク装置6及び記録媒体1を示すブロック図である。この実施の形態2における光ディスク装置6は、ドライブ装置12とホスト装置13とで構成されている。光ディスク装置6は、ドライブ装置12及びホスト装置13を含むことを除いて、実施の形態1と同様に構成されている。
【0052】
ドライブ装置12は、光ディスク1へのアクセスを行い、ホスト装置13とのインタフェースに読み出したデータを出力する。ホスト装置13とのインタフェースはATA/ATAPIなどの標準バスインタフェースが用いられており、データ出力時には、バスキーでコンテンツデータを暗号化する。
【0053】
ホスト装置13は、ドライブ装置12から転送されてきたデータの処理を行う。例えば、コンテンツの暗号を解く復号処理、外部へのデータの転送、及び映像信号や音声信号の復号などを行う。
【0054】
図9は、実施の形態2に係る情報処理装置によるデバイス識別情報の確認処理を示すフローチャートである。このデバイス識別情報の確認処理では、まず、ドライブ装置12とホスト装置13とが相互に認証し合う処理である相互認証処理(ステップS107)が行われる。
【0055】
相互確認処理(ステップS107)では、ドライブ装置12は、読み出したコンテンツデータを標準のバスインタフェースに出力するため、ホスト装置13との認証処理を行う。認証処理とは、ドライブ装置12とホスト装置13が、著作権を保護するための同一の暗号復号処理に対応していることを相互に確認する処理である。また、標準インタフェースにコンテンツを出力するために使い捨てのバスキーを生成する。この認証処理によりドライブ装置12とホスト装置13とが同一のバスキーを共有することが可能となり、ドライブ装置12とホスト装置13との間のコンテンツの送受信は、このバスキーを用いた暗号処理を施した信号により行われる。
【0056】
相互認証処理(ステップS107)が正常に終了した後は、実施の形態1で説明したように、デバイス識別情報の確認処理(図3に示したステップS101〜S106)が行われる。そののち、実施の形態1で説明したように、メディア識別情報の確認処理(図4に示したステップS201〜S206)が行われる。
【0057】
この実施の形態2によれば、光ディスク装置6をドライブ装置と12ホスト装置13とに分けて構成することにより、パーソナルコンピュータ等に柔軟に対応した不正排除のシステムを実現することが可能となる。
【0058】
なお、上述した実施の形態1及び2では、デバイス識別情報とメディア識別情報とを用いることで光ディスク1及び光ディスク装置6の正当性を確認するようにしたが、デバイス識別情報のみ、又はメディア識別情報のみを用いてもよい。
【0059】
また、上述した実施の形態1及び2では、識別情報の正当性を判断するために、バージョン情報、更新年月日及び確認情報を用いたが、識別情報の正当性が判断できるものであれば、他の情報を利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光ディスク装置及び光ディスクを示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光ディスクに記憶されたデバイス識別情報のバージョン情報、更新年月日の情報及び確認情報を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るデバイス識別情報の確認処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1に係るメディア識別情報の確認処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光ディスク装置の起動時の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1に係るデバイス識別情報の確認処理の変形例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係るメディア識別情報の確認処理の変形例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2に係る光ディスク装置及び光ディスクを示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係るデバイス識別情報の確認処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 光ディスク、 2 制御情報、 3,8 メディア識別情報、 4,9 デバイス識別情報、 5 鍵束情報、 6 光ディスク装置、 7 記憶装置、 10 記録再生装置、 11 装置固有情報、 12 ドライブ装置、 13 ホスト装置。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の光ディスク又は光ディスク装置を識別するための識別情報と、前記識別情報のバージョンを示すバージョン情報と、前記識別情報の更新時を示す更新時情報とが記録された光ディスクを用いて、データの記録、再生又はその両方を行う光ディスク装置であって、
特定の光ディスク又は光ディスク装置を識別するための識別情報と、前記識別情報のバージョンを示すバージョン情報と、前記識別情報の更新時を示す更新時情報とを保持する記憶手段と、
前記光ディスクに記録された前記識別情報、及び、前記記憶手段に保持された前記識別情報の正当性を、それぞれのバージョン情報及び更新時情報に基づいて判断し、正当性があると判断した場合にのみ前記光ディスクに対するデータの記録、再生又はその両方を許可する判断手段と
を備えたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記光ディスクには、さらに、前記識別情報のバージョン情報及び更新時情報の正当性を確認するための確認情報が記憶されており、
前記判断手段は、前記確認情報を利用して、前記識別情報のバージョン情報及び更新時情報の正当性を確認することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記光ディスクに記録された前記識別情報のバージョンが、前記記憶手段に保持された前記識別情報のバージョンよりも新しいと判断した場合には、前記記憶手段に保持された前記識別情報を更新することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記識別情報は、データの記録、再生又はその両方を許可しない光ディスク又は光ディスク装置を特定する情報であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記光ディスクに記録された認証情報に基づき、前記光ディスクに記録された前記識別情報が改竄されているか否かを判断することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記光ディスクへのアクセスが可能なドライブ装置と、前記ドライブ装置との間でデータの送受信が可能なホスト装置とを備えることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の光ディスク装置。
【請求項7】
特定の光ディスク又は光ディスク装置を識別するための識別情報と、前記識別情報のバージョンを示すバージョン情報と、前記識別情報の更新時を示す更新時情報とが記録された光ディスクを用いて、データの記録、再生又はその両方を行うデータ処理方法であって、
特定の光ディスク又は光ディスク装置を識別するための識別情報と、前記識別情報のバージョンを示すバージョン情報と、前記識別情報の更新時を示す更新時情報とを記憶手段に保持する工程と、
前記光ディスクに記録された前記識別情報、及び、前記記憶手段に保持された前記識別情報の正当性を、それぞれのバージョン情報及び更新時情報に基づいて判断し、正当性があると判断した場合にのみ前記光ディスクに対するデータの記録、再生又はその両方を許可する判断工程と
を含むことを特徴とするデータ処理方法。
【請求項8】
前記光ディスクには、さらに、前記識別情報のバージョン情報及び更新時情報の正当性を確認するための確認情報が記憶されており、
前記判断工程において、前記確認情報を利用して、前記識別情報のバージョン情報及び更新時情報の正当性を確認することを特徴とする請求項7に記載のデータ処理方法。
【請求項9】
前記判断工程において、前記光ディスクに記録された前記識別情報のバージョンが、前記記憶手段に保持された前記識別情報のバージョンよりも新しいと判断した場合には、前記記憶手段に保持された前記識別情報を更新することを特徴とする請求項7又は8に記載のデータ処理方法。
【請求項10】
前記識別情報は、データの記録、再生又はその両方を許可しない光ディスク又は光ディスク装置を特定する情報であることを特徴とする請求項7から9までのいずれか1項に記載のデータ処理方法。
【請求項11】
前記判断工程において、前記光ディスクに記録された認証情報に基づき、前記光ディスクに記録された前記識別情報が改竄されているか否かを判断することを特徴とする請求項7から10までのいずれか1項に記載のデータ処理方法。
【請求項12】
前記光ディスクへのアクセスが可能なドライブ装置と、前記ドライブ装置との間でデータの送受信が可能なホスト装置と備えた光ディスク装置を用いる場合において、
前記ドライブ装置と前記ホスト装置との相互認証を行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項7から11までのいずれか1項に記載のデータ処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−310935(P2007−310935A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137253(P2006−137253)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】