説明

光ディスク装置

【課題】騒音が小さく、薄型に設計でき、組立作業性が良好で、コスト高にならず、摩耗も少ないディスククランパーを組み込んだ光ディスク装置を提供する。
【解決手段】中央に円錐状凸部8dが形成された耐摩耗材よりなるクランパートップ8aと、中心部にスピンドルモータ6の出力軸6aの先端部を挿入する軸挿入筒8hが形成され、クランパートップ8aに下方から上下可動に組み付けられると共に、外周部に複数形成された第一起立片8kの上端の係止爪8jをクランパー支持体9の開口部9aの周縁に係止させることによって該開口部に取付られたクランパーボトム8bと、クランパートップ8aとクランパーボトム8bとの間に挟着された圧縮コイルバネ8cとでディスククランパー8を構成し、クランパー支持体9の開口部9aの上方に押さえ片9bを形成した光ディスク装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVDやCDなどの光ディスクに記録・再生を行う光ディスク装置に関し、特に、光ディスクをチャックするディスククランパーを改良した光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な光ディスク装置は、光ピックアップとターンテーブルが搭載されたトラバースシャーシをその後端部でローダーシャーシに上下回動可能に取付け、ターンテーブルの上方にディスククランパーを配置してメインシャーシのクランパー支持体の開口部に回転自在に取付けている。そして、光ディスクをトレイに載せてターンテーブルとディスククランパーの間に送り込んだときに、トラバースシャーシをカムスライダーによって上昇(上方に回動)させ、ターンテーブルとディスククランパーとで光ディスクの中央開口縁を挟持して光ディスクを回転させながら、光ピックアップからレーザービームを光ディスクに照射して記録・再生を行うように構成されている。
【0003】
このような光ディスク装置に組み込まれるディスククランパーには、クランパートップとクランパーボトムの間にマグネットとヨークを内蔵し、ターンテーブルの上面にヨークを設けたマグネット方式のクランパーと、一端をバネで下方に付勢した溝型のプレートによってクランパーの上面中央の突起を押さえるバネ方式のクランパーとがある。
【0004】
一方、クランパーの中心に調芯部材を上下可動に配置し、上下動させるクランパー保持部材とクランパーとの間に、クランパーをターンテーブルの方へ付勢する圧縮コイルバネを配置したディスククランパーが知られている(特許文献1)。また、上部クランパーにマグネットを保持させると共にターンテーブルにヨークを設け、上部クランパーとバッククランパーとの間にコイルバネを設けたディスククランパーも知られている(特許文献2)。更に、クランパ本体にマグネットを取付けると共に、クランパ本体とクランパリングの間に3つのコイルスプリングを介在させたディスククランパーも知られている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2004−171651号公報
【特許文献2】特開2003−157600号公報
【特許文献3】実開昭62−187444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のマグネット方式のディスククランパーは、薄型に設計できるという長所がある反面、クランパーがターンテーブルに磁着されたり離反したりするときの騒音(衝撃音)が大きく、しかも、マグネットやヨークを使用するのでコスト高になるという短所がある。また、従来のバネ方式のディスククランパーは、騒音が小さく、コスト高にならないという長所がある反面、プレートに弾接するクランパー上面中央の突起が回転に伴って摩耗し易く、薄型に設計することも難しいという短所がある。
【0006】
これに対し、特許文献1のディスククランパーは、圧縮コイルバネを用いるため騒音を小さくできるけれども、圧縮コイルバネの他に調芯部材を組み込む必要があり、クランパー保持部材を上下動させる機構も設ける必要があることから、コスト高になるという短所がある。また、特許文献2,3のディスククランパーはいずれも、マグネットとコイルバネを併用して組み込むものであるから、やはりコスト高になり、組立作業性も良くないという短所がある。
【0007】
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、騒音が小さく、薄型に設計でき、組立作業性が良好で、コスト高にならず、摩耗も少ないディスククランパーを組み込んだ光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る光ディスク装置は、ターンテーブルを搭載したトラバースシャーシがその後端部でローダーシャーシに上下回動可能に取付けられ、ターンテーブルの上方にディスククランパーが配置されてローダーシャーシのクランパー支持体の開口部に回転自在に取付けられた光ディスク装置であって、
上記ディスククランパーは、中央に円錐状凸部が形成された耐摩耗材よりなるクランパートップと、中心部にスピンドルモータの出力軸の先端部を挿入する軸挿入筒が形成され、クランパートップに下方から上下可動に組み付けられると共に、外周部に複数形成された第一起立片の上端の係止爪を上記クランパー支持体の開口部の周縁に係止させることによって該開口部に取付られたクランパーボトムと、上記クランパートップと上記クランパーボトムとの間に挟着された圧縮コイルバネとで構成されており、
上記クランパー支持体の開口部の上方には、上記ターンテーブルとクランパーボトムとで光ディスクを挟持したときにクランパートップの円錐状凸部の頂部を押さえる押さえ片が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の光ディスク装置においては、クランパートップの円錐状凸部の頂部が凸球面に形成され、この頂部と押さえ片との接触部分にグリースが塗布されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の光ディスク装置においては、クランパートップの円錐状凸部の裾部に圧縮コイルバネの一端を受けるバネ受け段部が形成されていることが好ましく、クランパートップの円錐状凸部の中腹部に圧縮コイルバネの一端を受けるバネ受け段部が形成されていると一層好ましい。そして、クランパーボトムの軸挿入筒の外側に、圧縮コイルバネの他端の位置ズレを抑える環状凸部が軸挿入筒と同心的に形成されていることも好ましい。
【0011】
更に、クランパーボトムの外周部に、上端に係止爪を有する上記第一起立片と、上端に係止爪を有する第二起立片とが交互に複数ずつ形成されると共に、上記クランパートップの外周部に、上記第一起立片を遊嵌させる起立片遊嵌用凹欠部と、上記第二起立片を下方から挿通させる起立片挿通口とが交互に複数ずつ形成され、それぞれの起立片挿通口にそれぞれの第二起立片を下方から挿通して上端の係止爪を起立片挿通口の口縁に係止させることによって、上記クランパーボトムが上記クランパートップに上下可動に組み付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光ディスク装置では、光ディスクがトレイに載置されてディスククランパーとターンテーブルの間に送られると、ターンテーブルを搭載したトラバースシャーシが上昇(上方へ回動)し、スピンドルモータの出力軸の先端がクランパーボトムの軸挿入筒に挿入されて、ディスククランパーとターンテーブルが同心的に位置決めされ、クランパーボトムと上昇するターンテーブルによって光ディスクの中央開口縁が挟持されると共に、ディスククランパーがターンテーブルに持ち上げられて、クランパートップの円錐状凸部の頂部がクランパー支持体の押さえ片に下方から当たる。このように円錐状凸部の頂部が当たると、クランパートップはそれ以上持ち上げられないが、クランパーボトムはターンテーブルによって更に持ち上げられて、圧縮コイルバネを押し縮めるため、この押し縮められた圧縮コイルバネの弾発力が作用するクランパーボトムとターンテーブルによって光ディスクが上下から強く挟持されて回転し、この光ディスクに光ピックアップからレーザービームが照射されて記録・再生が行われる。そして、記録・再生が終わると、上記と逆動作してディスククランパーとターンテーブルが離れ、光ディスクがトレイに載置されて取り出される。
【0013】
本発明の光ディスク装置に取付けられるディスククランパーは、上記のようにクランパートップの円錐状凸部の頂部をクランパー支持体の押さえ片で押さえ、クランパートップとクランパーボトムとの間に挟着された圧縮コイルバネの弾発力を利用して、光ディスクをクランパーボトムとターンテーブルとで上下から挟持するものであるから、上述した光ディスクの一連の挟持動作中、及び、挟持解除動作中に発生する衝撃音などの騒音が、従来のマグネット方式のものに比べて遥かに小さくなる。しかも、比較的安価な圧縮コイルバネをクランパートップとクランパーボトムの間に挟着するだけであるから、部品点数が少なく、組立作業性が良好で、コストダウンを図ることができ、従来のバネ方式のクランパーよりも薄型に設計できるようになる。また、クランパートップが耐摩耗材からなるものであるため、円錐状凸部の頂部の摩耗が少なく、特に、頂部を凸球面に形成して該頂部と押さえ片との接触部分にグリースを塗布したものは、円錐状凸部の頂部が点接触に近い状態で接触し、且つ、グリースによって接触部分が潤滑されるので、摩耗が実質的に生じなくなる。
【0014】
本発明の光ディスク装置において、クランパートップの円錐状凸部の裾部に圧縮コイルバネの一端を受けるバネ受け段部が形成されたものは、このバネ受け段部によって圧縮コイルバネの一端の取付安定性が向上するため、圧縮コイルバネが脱転し難くなる。そして、クランパートップの円錐状凸部の中腹部に圧縮コイルバネの一端を受けるバネ受け段部が形成されたものは、圧縮コイルバネの取付安定性の向上に加えて、ストロークが長くなるため、その分だけバネ定数を小さくして光ディスクの挟持力(クランパーボトムの押圧力)を安定させることができる。また、クランパーボトムの軸挿入筒の外側に、圧縮コイルバネの他端の位置ズレを抑える環状凸部が軸挿入筒と同心的に形成されたものは、圧縮コイルバネの他端の取付安定性も向上するので、圧縮コイルバネの脱転を確実に防止することができる。
【0015】
更に、本発明の光ディスク装置において、クランパーボトムの外周部に、上端に係止爪を有する第一起立片と、上端に係止爪を有する第二起立片を交互に複数ずつ形成すると共に、上記クランパートップの外周部に、上記第一起立片を遊嵌させる起立片遊嵌用凹欠部と、上記第二起立片を下方から挿通させる起立片挿通口を交互に複数ずつ形成し、それぞれの起立片挿通口にそれぞれの第二起立片を下方から挿通して上端の係止爪を起立片挿通口の口縁に係止させることによってクランパーボトムを上記クランパートップに上下可動に組み付けたものは、後述するように、ディスククランパーを極く簡単に組み立ててクランパー支持体の開口部に取付けることができ、しかも、クランパーとターンテーブルが離れたときでも、第一起立片によって該開口部とディスククランパーをほぼ同心的な位置関係に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の斜視図、図2はターンテーブルが下降した状態にある同装置の部分断面図、図3はターンテーブルが上昇してディスククランパーとの間に光ディスクを挟持した状態にある同装置の部分断面図、図4は同装置のディスククランパーの分解斜視図である。
【0018】
この光ディスク装置は、図1に示すように、合成樹脂製のローダーシャーシ1の内側に、合成樹脂製のトラバースシャーシ2を、その後端部の左右二箇所でゴムダンパーと取付ネジを用いて上下回動可能に取付けたものであって、このトラバースシャーシ2を上下に揺動させるカムスライダー3がメインシャーシ1の前枠部の内側に取付けられている。
【0019】
このトラバースシャーシ2には、ターンテーブル4と光ピックアップ5が搭載されており、ターンテーブル4は、図2,図3に示すように、トラバースシャーシ2の前部に搭載されたスピンドルモータ6の出力軸6aに固着されている。そして、光ピックアップ5は、図1に示すように、トラバースシャーシ2に設けた2本のガイド軸7,7(主軸と副軸)に沿ってターンテーブル4に対し接近・離反可能に搭載されている。
【0020】
また、ローダーシャーシ1の内側には、光ディスクをターンテーブル4とディスククランパー8の間に送り込むトレイ10が前後方向にスライド可能に取付けられており、更に、カムスライダー3、光ピックアップ5、トレイ10を作動させる駆動モータ(不図示)と駆動力伝達歯車機構(不図示)が、ローダーシャーシ1とトラバースシャーシ2に設けられている。
【0021】
図1,図2に示すように、ターンテーブル4の上方に配置されたディスククランパー8は、ローダーシャーシ1の左右側壁間に架設された板金製のクランパー支持体9の開口部9aに回転自在に取付けられている。このクランパー支持体9には、図3に示すようにディスククランパー8とターンテーブル4とで光ディスクDを挟持したときにディスククランパー8の円錐状凸部8dの頂部を押さえる台形の押さえ片9bが、開口部9aを跨ぐように形成されている。
【0022】
上記のディスククランパー8は、図2,図3,図4に示すように、クランパートップ8aとクランパーボトム8bと圧縮コイルバネ8cとで構成されており、従来のバネ方式のディスククランパーに比べると薄型になっている。
【0023】
ディスククランパー8のクランパートップ8aは、硬質合成樹脂や金属(例えばSECC等)などの耐摩耗材で作製されたものであって、この円形のクランパートップ8aの半径はクランパー支持体9の開口部9aの半径よりも少し小さく設定されている。そして、このクランパートップ8aの中央には、頂部を凸球面とした円錐状凸部8dが形成されており、この円錐状凸部8dの裾部には、圧縮コイルバネ8cの一端(上端)を受けるバネ受け段部8eが環状に形成されている。また、このクランパートップ8aの外周部には、後述するクランパーボトム8bの第一起立片8kを遊嵌させる起立片遊嵌用凹欠部8fと、後述する第二起立片8nを下方から挿通させる起立片挿通口8gとが、交互に3つずつ形成されている。
【0024】
上記円錐状凸部8dの頂部は、図2に示すようにディスククランパー8とターンテーブル4が離れているときには、クランパー支持体9の押さえ片9bとの間に隙間を残しているが、図3に示すように光ディスクDがクランパーボトム8bとターンテーブル4で挟持されてディスククランパー8が持ち上げられると、押さえ片9bに下方から圧接するようになっており、この円錐状凸部8dの頂部と押さえ片9bとの接触部分に潤滑用のグリース(不図示)が塗布されている。
【0025】
ディスククランパー8のクランパーボトム8bは合成樹脂で射出成形されたものであって、この円形のクランパーボトム8bの中央には、スピンドルモータ6の出力軸6aの先端が挿入される軸挿入筒8hが形成されており、その外側には環状凸部8iが軸挿入筒8hと同心的に形成されている。この環状凸部8iは、図2,図3に示すように圧縮コイルバネ8cの他端(下端)に嵌め込むことによって、圧縮コイルバネ8cの他端(下端)の位置ズレを抑えるものである。
【0026】
また、このクランパーボトム8bの外周部には、上端に係止爪8jを有する第一起立片8kと、上端に係止爪8mを有する第二起立片8nとが交互に3つずつ形成されており、この第二起立片8nを図2に示すようにクランパートップ8aの起立片挿通口8gに下方から挿通して上端の係止爪8mを起立片挿通口8gの口縁に係止させることによって、クランパーボトム8bがクランパートップ8aに上下可動に且つ脱落しないように組み付けられている。そして、図2に示すように、第一起立片8kをクランパートップ8aの起立片遊嵌用凹欠部8fに遊嵌し、上端の係止爪8jをクランパー支持体9の開口部9aの周縁に係止させることによって、クランパーボトム8bが該開口部9aに上下可動に且つ脱落しないように組み付けられている。
【0027】
第一起立片8kは、ディスククランパー8の回転に支障がでないように、クランパートップ8aの半径に等しい曲率半径で湾曲形成されており、第一起立片8kとクランパー支持体9の開口部9aの周縁との間には隙間が確保されている。そして、第一起立片8kの幅寸法はクランパー支持体9の押さえ片9bの幅寸法よりも大きく設定されており、クランパー支持体9から押さえ片9bを切り起こして形成した跡の切溝部分に第一起立片8kの上端の係止爪8jが嵌まり込まないようになっている。
【0028】
また、このクランパーボトム8bの下面外周部には厚肉の環状リブ8pが形成されており、図3に示すように、この環状リブ8pとターンテーブル4の外周部上面の環状リブ4aによって光ディスクDの中央開口縁がしっかりと挟持されるようになっている。
【0029】
圧縮コイルバネ8cは、その自然のバネ長がクランパートップ8aのバネ受け段部8eからクランパーボトム8bの上面(バネ受け面)までの間隔よりも少し長い、コイル径の一定したコイルバネであって、その一端(上端)はクランパートップ8aのバネ受け段部8eに嵌め込まれており、その他端(下端)はクランパーボトム8bの環状凸部8iに外嵌されて位置ズレすることなくクランパーボトム8bのバネ受け面に圧接している。このように圧縮コイルバネ8cがクランパートップ8aのバネ受け段部8eとクランパーボトム8bのバネ受け面との間に挟着されると、バネ受け段部8eによって圧縮コイルバネ8cの上端の取付安定性が向上し、環状凸部8iによって圧縮コイルバネ8cの下端の位置ずれが抑えられて取付安定性が向上するため、圧縮コイルバネ8cが脱転する心配はなくなる。
【0030】
上記のディスククランパー8は、次の要領で作業性良く組み立てられてクランパー支持体9の開口部9aに取付けられる。まず、クランパートップ8aを裏返して、バネ受け段部8eに圧縮コイルバネ8cの一端を嵌め込む。そして、クランパーボトム8bを裏返して、環状凸部8iを圧縮コイルバネ8cの他端に嵌込み、その状態でクランパーボトム8bを押しながら、第一起立片8kをクランパートップ8aの起立片遊嵌用凹欠部8fに遊嵌させると共に、第二起立片8nをクランパートップ8aの起立片挿通口8gに挿通して、第二起立片8nの係止爪8mを起立片挿通口8gの口縁に係止させ、クランパーボトム8bをクランパートップ8aに上下可動に且つ脱落しないように組み付けてディスククランパー8を組み立てる。次いで、このディスククランパー8をクランパー支持体9の開口部9aに下方から嵌め込み、クランパーボトム8bの第一起立片8kを開口部9aの周縁に係止させて、脱落しないように取付ける。
【0031】
以上のようなディスククランパー8を取付けた光ディスク装置では、図1,図2に示すようにトラバースシャーシ2が下降(下方へ回動)してディスククランパー8とターンテーブル4が離れたトレイオープンの状態において、光ディスクをトレイ10に載せてディスククランパー8とターンテーブル4の間に送り込むと、カムスライダー3がスライドして図3に示すようにトラバースシャーシ2が上昇(上方へ回動)し、スピンドルモータ6の出力軸6aの先端がクランパーボトム8bの軸挿入筒8hに挿入されて、ディスククランパー8とターンテーブル4が同心的に位置決めされる。そして、クランパーボトム8bと上昇するターンテーブル4によって光ディスクDの中央開口縁が挟持されると共に、ディスククランパー8がターンテーブル4で持ち上げられて、クランパートップ8aの円錐状凸部8dの頂部が押さえ片9bに下方から圧接する。このときには、光ピックアップ5はガイド軸7,7に沿ってトラバースシャーシ2の後部へ移動する。
【0032】
上記のように円錐状凸部8dの頂部が押さえ片9bに当たると、クランパートップ8aはそれ以上持ち上げられないが、クランパーボトム8bはターンテーブル4によって更に持ち上げられて、圧縮コイルバネ8cを押し縮めるため、圧縮コイルバネ8cの弾発力が強くなり、この弾発力を受けるクランパーボトム8bとターンテーブル4によって光ディスクDが上下から強く挟持されて回転する。すると、光ピックアップ7がガイド軸7,7に沿ってターンテーブル4の方に移動しながらレーザービームを光ディスクDに照射し、記録・再生が行われる。そして、記録・再生が終わると、上記と逆動作してディスククランパー8とターンテーブル4が離れ、光ディスクDがトレイ10に載置されて取り出される。
【0033】
この光ディスク装置に取付けられたディスククランパー8は、既述したようにクランパートップ8aの円錐状凸部8dの頂部を押さえ片9bで押さえ、クランパートップ8aのバネ受け段部8eとクランパーボトム8bとの間に挟着された圧縮コイルバネ8cの弾発力を利用して、光ディスクDをクランパーボトム8bとターンテーブル4とで上下から挟持して回転させものであるから、上述した光ディスクの一連の挟持動作中、及び、挟持解除動作中に発生する衝撃音などの騒音が、従来のマグネット方式のものに比べると遥かに小さくなる。しかも、比較的安価な圧縮コイルバネ8cをクランパートップ8aのバネ受け段部8eとクランパーボトム8bの間に挟着するだけであるから、部品点数が少なく、既述したように組立作業性が良好で、コストダウンを図ることができ、従来のバネ方式のクランパーよりも薄型に設計できるようになる。また、クランパートップ8aが耐摩耗材からなるものであり、しかも、その円錐状凸部8dの頂部を凸球面に形成して該頂部と押さえ片9bとの接触部分にグリースを塗布してあるため、円錐状凸部8dの頂部が摩耗する心配は殆どない。
【0034】
図5は本発明の光ディスク装置に組み込まれるディスククランパーの他の例を示す断面図である。
【0035】
このディスククランパーは、クランパートップ8aの円錐状凸部8dの中腹部に、圧縮コイルバネの一端(上端)を受けるバネ受け段部8eを環状に形成し、前述した圧縮コイルバネ8cよりもコイル径が小さい圧縮コイルバネ80cの一端(上端)をバネ受け段部8eに嵌め込むと共に、他端(下端)をクランパーボトム8bの環状凸部8iの内側に嵌め込んで、クランパートップ8aのバネ受け段部8eとクランパーボトム8bのバネ受け面との間に圧縮コイルバネ80cを挟着している。
【0036】
このディスククランパー8の他の構成は、前述したディスククランパー8と同様であるので、図5において同一部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0037】
このようなディスククランパー8を取付けた光ディスク装置は、前述した光ディスク装置の作用効果に加えて、圧縮コイルバネ80cのストロークを長くできる分だけバネ定数を小さくして光ディスクDの挟持力を安定させることができるといった作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の斜視図である。
【図2】ターンテーブルが下降した状態にある同装置の部分断面図である。
【図3】ターンテーブルが上昇してディスククランパーとの間に光ディスクを挟持した状態にある同装置の部分断面図である。
【図4】同装置のディスククランパーの分解斜視図である。
【図5】本発明の光ディスク装置に組み込まれるディスククランパーの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ローダーシャーシ
2 トラバースシャーシ
3 カムスライダー
4 ターンテーブル
5 光ピックアップ
6 スピンドルモータ
6a 出力軸
8 ディスククランパー
8a クランパートップ
8b クランパーボトム
8c,80c 圧縮コイルバネ
8d 円錐状凸部
8e バネ受け段部
8f 起立片遊嵌用凹欠部
8g 起立片挿通口
8h 軸挿入筒
8i 環状凸部
8j,8m 係止爪
8k 第一起立片
8n 第二起立片
9 クランパー支持体
9a 開口部
9b 押さえ片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンテーブルを搭載したトラバースシャーシがその後端部でローダーシャーシに上下回動可能に取付けられ、ターンテーブルの上方にディスククランパーが配置されてローダーシャーシのクランパー支持体の開口部に回転自在に取付けられた光ディスク装置であって、
上記ディスククランパーは、中央に円錐状凸部が形成された耐摩耗材よりなるクランパートップと、中心部にスピンドルモータの出力軸の先端部を挿入する軸挿入筒が形成され、クランパートップに下方から上下可動に組み付けられると共に、外周部に複数形成された第一起立片の上端の係止爪を上記クランパー支持体の開口部の周縁に係止させることによって該開口部に取付られたクランパーボトムと、上記クランパートップと上記クランパーボトムとの間に挟着された圧縮コイルバネとで構成されており、
上記クランパー支持体の開口部の上方には、上記ターンテーブルとクランパーボトムとで光ディスクを挟持したときにクランパートップの円錐状凸部の頂部を押さえる押さえ片が形成されていることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
上記クランパートップの円錐状凸部の頂部が凸球面に形成され、この頂部と上記押さえ片との接触部分にグリースが塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
上記クランパートップの円錐状凸部の裾部に、上記圧縮コイルバネの一端を受けるバネ受け段部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
上記クランパートップの円錐状凸部の中腹部に、上記圧縮コイルバネの一端を受けるバネ受け段部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
上記クランパーボトムの軸挿入筒の外側に、上記圧縮コイルバネの他端の位置ズレを抑える環状凸部が軸挿入筒と同心的に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項6】
上記クランパーボトムの外周部に、上端に係止爪を有する上記第一起立片と、上端に係止爪を有する第二起立片とが交互に複数ずつ形成されていると共に、上記クランパートップの外周部に、上記第一起立片を遊嵌させる起立片遊嵌用凹欠部と、上記第二起立片を下方から挿通させる起立片挿通口とが交互に複数ずつ形成されており、それぞれの起立片挿通口にそれぞれの第二起立片を下方から挿通して上端の係止爪を起立片挿通口の口縁に係止させることによって、上記クランパーボトムが上記クランパートップに上下可動に組み付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−269730(P2008−269730A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113890(P2007−113890)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】