説明

光ディスク装置

【課題】回転開始電圧の印加を中止してスピンドルモータの故障を未然に防ぎ、装置本体の信頼性の向上を図った光ディスク装置を提供する。
【解決手段】回転開始電圧によってスピンドルモータ13の回転動作を開始した後、FGセンサ12で検出したスピンドルモータ13の回転数が、所定時間以内に一定回転数を超えなかった場合、制御部10は、FGセンサ12が検出するスピンドルモータ13の回転数が一定回転数を超えるまで再印加処理を繰り返す間欠駆動制御を行う。この再印加処理は、回転開始電圧の印加を一旦停止して回転開始電圧をスピンドルモータ13に再び印加する処理である。そして、制御部10は、カウンタ10Aのカウント値が所定値Nに達するまでは、間欠駆動制御を行う。一方、制御部10は、カウンタ10Aのカウント値が所定値Nに達すると、間欠駆動制御を停止してスピンドルモータ13への回転開始電圧の印加を中止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクを回転させながら、該光ディスクに記録されているデータを読取る光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスクに対し読取パワーのレーザ光を照射し、該光ディスクに記録されているデータを読取る光ディスク装置が一般に普及している。
【0003】
周知のように、従来の光ディスク装置は、スピンドルモータの回転数(又は線速度)が目標値になるように、光ディスクを回転制御するスピンドルサーボ制御を行う。このスピンドルサーボ制御の制御系は、一般的に、光ディスクを回転させるスピンドルモータと、該スピンドルモータに取り付けられ、該スピンドルモータの回転数を検出するFGセンサと、該FGセンサの出力信号に基づいて該スピンドルモータの回転制御を行うFGサーボ回路と、を備える。
【0004】
従来の光ディスク装置は、スピンドルモータの回転動作を開始する時、まず、回転を開始するための回転開始電圧をスピンドルモータに印加する。そして、回転開始電圧によってスピンドルモータの回転動作を開始した後、FGセンサで検出したスピンドルモータの回転数が一定回転数を超えると、従来の光ディスク装置は上記スピンドルサーボ制御を行う。
【0005】
一方、回転開始電圧によってスピンドルモータの回転動作を開始した後、FGセンサで検出したスピンドルモータの回転数が一定回転数を超えない場合、FGセンサが検出するスピンドルモータの回転数が一定回転数を超えるまで、電圧を印加し続ける。そして、一定回転数を超えた後、従来の光ディスク装置は上記スピンドルサーボ制御を行う。この一定回転数を超えない場合とは、例えば光ディスクが正しくチャッキングされていない場合、スピンドルモータが故障している場合、スピンドルモータにゴミが溜まって回転が鈍くなっている場合、ユーザが光ディスクを手で止めている場合が考えられる。
なお、特許文献1では、光ディスク装置が提案されている。
【特許文献1】特開2002−50107公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ユーザが光ディスクを手で止めている場合等に、電圧をスピンドルモータに印加し続けても、あまり効果が期待できない。
また、このような場合にFGセンサが検出するスピンドルモータの回転数が一定回転数を超えるまで電圧を印加し続けると、スピンドルモータは長期間その電圧を受けることになる。そのため、スピンドルモータがその回転開始電圧に耐えられず、故障してしまう恐れがあった。また、スピンドルモータが回転開始電圧によって発生する熱に耐えられず、故障してしまう恐れもあった。ここで、スピンドルモータが故障すると、光ディスクを回転できなくなる。このため、スピンドルモータが故障するということは、即ち、光ディスク装置の故障を意味する。
従って、従来の光ディスク装置には、装置本体の信頼性が低いという問題があった。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決しようとするものであり、回転開始電圧の印加を中止してスピンドルモータの故障を未然に防ぎ、装置本体の信頼性の向上を図った光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光ディスク装置は、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0009】
(1)光ディスクを回転させるスピンドルモータと、
前記スピンドルモータの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記スピンドルモータの回転動作を開始する時、回転を開始するための回転開始電圧を前記スピンドルモータに印加するモータ駆動開始手段と、
前記モータ駆動開始手段によって前記スピンドルモータの回転動作を開始した後に、前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が一定回転数を超えると、前記スピンドルモータの回転数をサーボ制御により目標回転数に制御するスピンドルサーボ制御手段と、を備える光ディスク装置において、
前記モータ駆動開始手段は、
前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が前記回転開始電圧の印加開始から所定時間以内に前記一定回転数を超えなかった場合、前記回転開始電圧の印加を一旦停止して前記回転開始電圧を前記スピンドルモータに再び印加する再印加処理を、前記回転数検出手段が検出する前記スピンドルモータの回転数が前記一定回転数を超えるまで繰り返す間欠駆動制御を行う間欠制御手段と、
前記再印加処理を行った回数をカウントするカウント手段と、を有し、
前記間欠制御手段は、前記カウント手段のカウント値が所定値に達するまでは前記間欠駆動制御を行い、前記カウント値が前記所定値に達すると前記間欠駆動制御を停止して前記スピンドルモータへの前記回転開始電圧の印加を中止する。
【0010】
この構成において、光ディスクは、例えばDVDである。光ディスク装置は、例えばDVDプレーヤ、DVDレコーダである。また、所定時間は、スピンドルモータの電圧(具体的には熱)に対する耐性の観点から定める。その理由は、所定時間が長すぎると、従来の光ディスク装置同様、スピンドルモータがその電圧(具体的には熱)に耐えられず、故障してしまう恐れがあるためである。また、所定値は、スピンドルモータの電圧(具体的には熱)に対する耐性の観点から定める。その理由は、所定値が多すぎると、従来の光ディスク装置同様、スピンドルモータが多回数の電圧の印加に耐えられず、故障してしまう恐れがあるためである。
この構成においては、スピンドルモータへの回転開始電圧の印加を間欠的に行っているので、スピンドルモータが長期間に渡って電圧を受けることがなくなる。また、所定値を適正な値に設定しているので、スピンドルモータが多回数の電圧の印加に晒されることもなくなる。そのため、スピンドルモータが回転開始電圧に耐えられず、故障してしまうことがなくなる。また、スピンドルモータが回転開始電圧によって発生する熱に耐えられず、故障してしまうことがなくなる。
以上より、スピンドルモータの故障を未然に防ぐことができる。従って、装置本体の信頼性の向上を図れる。
【0011】
(2)前記間欠制御手段は、前記間欠駆動制御を行っている間、前記カウント手段の前記カウント値に応じて前記回転開始電圧の値を変える。
【0012】
この構成では、スピンドルモータにゴミが溜まって回転が鈍くなっているケースを想定している。
回転開始電圧の値を一定にしてスピンドルモータを回転させるより、回転開始電圧の値を変化させてスピンドルモータを回転させる方が、ゴミを除去できる場合もある。
この構成においては、例えば、間欠制御手段は、カウント値が増えるにつれて、回転開始電圧の値を高くする。又は、間欠制御手段は、カウント値が増えるにつれて、回転開始電圧の値を低くする。又は、間欠制御手段は、カウント値が増えるにつれて、回転開始電圧の値を高くしたり低くしたりする。
以上より、スピンドルモータの故障を一層未然に防ぐことができる。従って、装置本体の信頼性の向上を一層図れる。
【0013】
(3)前記スピンドルモータの近傍に、温度を測定する温度測定手段を設け、
前記間欠制御手段は、前記間欠駆動制御を行っている間に前記温度測定手段が一定温度以上を測定した時、前記間欠駆動制御を停止して前記スピンドルモータへの前記回転開始電圧の印加を中止する。
【0014】
スピンドルモータに印加した回転開始電圧によって、スピンドルモータは熱を発生する。そのため、その熱により、スピンドルモータの周辺部材(回転数検出手段など)は熱負荷を受けることになる。
この構成においては、スピンドルモータに印加した回転開始電圧によって発生する熱がスピンドルモータの周辺部材に悪影響(故障など)を与えないよう、温度測定手段を設けている。
そして、間欠制御手段は、温度測定手段が一定温度以上を測定した時に間欠駆動制御を停止することにより、スピンドルモータに印加した回転開始電圧によって発生する熱がスピンドルモータの周辺部材に悪影響を与えることを防止する。ここで、一定温度は、スピンドルモータから発生する熱に対する周辺部材の耐性の観点から定める。
以上より、スピンドルモータの周辺部材の故障を未然に防ぐことができる。従って、装置本体の信頼性の向上を一層図れる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、スピンドルモータの故障を未然に防ぐことができる。従って、装置本体の信頼性の向上を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態である光ディスク装置について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態である光ディスク装置の主要部の構成を示すブロック図である。光ディスク装置1は、光ディスク装置1の各部を制御する制御部10と、光ディスク100にレーザ光を照射し、その反射光を検出する光ピックアップ2と、該反射光に基づいてRF信号を生成するRFアンプ3と、該RF信号から再生信号を生成し、装置1の外部に出力する記録再生部7と、を備えている。光ディスク装置1は、所謂DVDプレーヤである。また、光ディスク100は、DVD(Digital Versatile Disk)である。
【0018】
さらに、光ディスク装置1は、光ディスク100を回転させるスピンドルモータ13と、スピンドルモータ13に取り付けられ、スピンドルモータ13の回転数を検出するFG(FrequencyGenerator)センサ12と、FGセンサ12から入力された回転数を示すFGパルス信号に基づいてスピンドルモータ駆動信号を生成するサーボ回路4と、電源部(不図示)によって商用電源から取り出された駆動電源を該電源部から取得し、回転開始電圧を生成するモータ駆動開始部9と、制御部10の指示によりドライバ回路5への入力を切替える選択回路8と、入力された電気信号に基づいてスピンドルモータ13を駆動するドライバ回路5と、を備える。
なお、FGセンサ12が、本発明の「回転数検出手段」に相当する。また、サーボ回路4、ドライバ回路5が、本発明の「スピンドルサーボ制御手段」に相当する。また、制御部10、モータ駆動開始部9が、本発明の「モータ駆動開始手段」に相当する。また、制御部10、モータ駆動開始部9が、本発明の「間欠制御手段」に相当する。
【0019】
記憶部11は、例えばEEPROMで構成される。記憶部11は、主制御プログラムを格納する。また、記憶部11は、スピンドルモータ13が回転禁止状態であるかどうかを示すフラグ11Aを記憶する。
【0020】
制御部10は、例えばマイクロコンピュータで構成される。制御部10は、上記主制御プログラムで処理されるデータを展開するためのワークフィールドとしてのRAM(不図示)と、後述の再印加処理を行った回数をカウントするカウンタ10Aと、後述の回転開始電圧の印加時間を計測するタイマー回路10Bと、を内蔵する。
なお、カウンタ10Aが、本発明の「カウント手段」に相当する。
【0021】
光ピックアップ2は、図示しないレーザダイオード(LD)、コリメータレンズ、ビームスプリッタ、対物レンズ、フォトディテクタ、スレッドモータ、アクチュエータを備えている。
光ピックアップ2は、公知の光ディスク装置と同様に、光ディスク100の半径方向に延びる軸に移動自在に取り付けられている。スレッドモータが、光ピックアップ2を光ディスク100の半径方向に移動する。
LDは、レーザ光を出力する光源である。フォトディテクタは、複数の受光素子で形成されており、光ディスク100からの反射光を検出する。フォトディテクタは、例えば、受光領域がほぼ均等に4分割されており、4つの受光領域を形成している。
対物レンズは、光ディスク100に対するレーザ光の照射位置を調節する。また、アクチュエータは、対物レンズを光ディスク100に接離する方向、および光ディスク100の半径方向に移動させる。
【0022】
ここで、以下、再生時における動作について説明する。
【0023】
光ピックアップ2は、光ディスク100に対して読取パワーのレーザ光を照射し、光ディスク100からの反射光をフォトディテクタで検出する。これにより、光ディスク装置1は、光ディスク100に記録されているデータを光学的に読み出す。
【0024】
RFアンプ3は、光ピックアップ2に設けられたフォトディテクタを構成する複数の受光素子で検出した光ディスク100からの反射光に基づいてRF信号を生成する。そして、RFアンプ3は、そのRF信号を増幅して記録再生部7に出力する。RF信号は、光ディスク100に記録されているデータの読取信号である。
【0025】
記録再生部7は、そのRF信号を処理して映像と音声のデータを取り出す。ここで、取り出されるデータは、例えばMPEGでエンコードされている。そして、記録再生部7は、これをデコードして再生信号を生成し、光ディスク装置1の外部に出力する。光ディスク装置1には、例えば液晶モニタやスピーカが接続される。
【0026】
次に、スピンドルサーボ制御について、図2を参照しつつ説明する。
【0027】
図2は、本発明の実施形態である光ディスク装置において制御部の光ディスクセット時の動作を示すフローチャートである。光ディスク100が光ディスク装置1にセットされると、制御部10は、タイマー回路10Bのタイマーをスタートする(S1)。ここで測定開始する時間は、回転開始電圧の印加時間に相当する。この時間は、後述のS4で用いる。
【0028】
なお、光ディスク100が光ディスク装置1にセットされた時、選択回路8は、ドライバ回路5への入力を、スイッチの切替えによりモータ駆動開始部9に与えている。この理由は、最初に高い電圧を印加して光ディスク100を回すためである。
また、光ディスク100が光ディスク装置1にセットされた時、制御部10は、記憶部11のフラグ11Aが回転許可状態(「0」)に設定されている場合のみ、本ルーチンを実行する。
【0029】
次に、制御部10は、スピンドルモータ13の回転を開始するための回転開始電圧を印加するようモータ駆動開始部9に指示する(S2)。これにより、モータ駆動開始部9は、選択回路8及びドライバ回路5を介して、上記の駆動電源から生成した回転開始電圧をスピンドルモータ13に印加する。そして、スピンドルモータ13は、印加された電圧によってモータを回し、光ディスク100を回転させる。
【0030】
回転開始電圧によってスピンドルモータ13の回転動作を開始した後、FGセンサ12で検出したスピンドルモータ13の回転数が、所定時間以内に一定回転数を超えると(S3、S4)、光ディスク装置1はスピンドルサーボ制御を行う。S4の判定は、S1においてタイマー回路10Bで測定している時間が所定時間以内かどうかにより行われる。
【0031】
上記のスピンドルサーボ制御について詳述する。まず、制御部10は、ドライバ回路5への入力をサーボ回路4に切替えるよう選択回路8に指示する。光ディスク100が回転すると、FGセンサ12は、一回転毎に均等な幅のパルス信号をFGパルス信号としてサーボ回路4に出力する。サーボ回路4は、FGセンサ12から入力された回転数を示すFGパルス信号に基づいて、スピンドルモータ13の回転数を目標値にするためのスピンドルモータ駆動信号を生成し、ドライバ回路5に出力する。ドライバ回路5は、入力された電気信号に基づいてスピンドルモータ13を駆動する。これらの一連の動作を繰り返すことにより、スピンドルサーボ制御が行われる。
【0032】
一方、回転開始電圧によってスピンドルモータ13の回転動作を開始した後、FGセンサ12で検出したスピンドルモータ13の回転数が、所定時間以内に一定回転数を超えなかった場合(S3、S4)、制御部10は、FGセンサ12が検出するスピンドルモータ13の回転数が一定回転数を超えるまで再印加処理を繰り返す間欠駆動制御を行う(S5〜S8→S1〜S4)。この再印加処理は、回転開始電圧の印加を一旦停止して回転開始電圧をスピンドルモータ13に再び印加する処理である。そして、制御部10は、カウンタ10Aのカウント値が所定値Nに達するまでは(S6判断否定)、間欠駆動制御を行う(S5〜S8→S1〜S4)。一方、制御部10は、カウンタ10Aのカウント値が所定値Nに達すると(S6判断肯定)、間欠駆動制御を停止してスピンドルモータ13への回転開始電圧の印加を中止する(S9)。
【0033】
上記の間欠駆動制御について以下詳述する。
【0034】
図3は、間欠駆動制御における再印加処理とカウント値との関係を示す図である。図3Aは、再印加処理の様子を示す図である。図3Bは、再印加処理のカウント値を示す図である。
【0035】
FGセンサ12で検出したスピンドルモータ13の回転数が、電圧の印加開始から所定時間以内に一定回転数を超えなかった場合(S3、S4)、制御部10は、カウンタ10Aのカウント値をインクメント(+1)する(S5)。S4を設けた理由は、スピンドルモータ13への回転開始電圧の印加を間欠的に行うためである。ここで、所定時間が長すぎると、従来の光ディスク装置同様、スピンドルモータ13がその電圧(具体的には熱)に耐えられず、故障してしまう恐れがある。そこで、所定時間は、スピンドルモータ13の電圧(具体的には熱)に対する耐性の観点から定める。所定時間は、例えば「1秒」である。
なお、制御部10は、再印加処理を行う前の段階、即ち初めてS5を通過する段階ではS5をスルーし、カウンタ10Aのカウント値をインクメントしない。
【0036】
制御部10は、カウンタ10Aのカウント値が所定値Nに達しているかどうかを判断する(S6)。ここで、所定値Nが多すぎると、従来の光ディスク装置同様、スピンドルモータ13が多回数の電圧の印加に耐えられず、故障してしまう恐れがある。そこで、所定値Nは、スピンドルモータ13の電圧(具体的には熱)に対する耐性の観点から定める。所定値Nは、例えば「5」である。
【0037】
カウンタ10Aのカウント値が所定値Nに達していなければ、制御部10は、電圧の印加を停止し(S7)、スピンドルモータ13の回転が停止するのを待つ(S8)。S8の判定は、FGセンサ12からのFGパルス信号をサーボ回路4を介して調べることにより行われる。
【0038】
スピンドルモータ13の回転が停止すると(S8)、制御部10は、タイマーを(再)スタートする(S1)。
以上のようにして、制御部10は図3に示すような間欠駆動制御を行う。そして、カウンタ10Aのカウント値が所定値Nに達すると(S6判断肯定)、制御部10は、間欠駆動制御を停止してスピンドルモータ13への回転開始電圧の印加を中止する(S9)。
【0039】
このように、スピンドルモータ13への回転開始電圧の印加を間欠的に行っているので、スピンドルモータ13が長期間に渡って電圧を受けることがなくなる。また、所定値Nを適正な値に設定しているので、スピンドルモータ13が多回数の電圧の印加に晒されることもなくなる。そのため、スピンドルモータ13が回転開始電圧に耐えられず、故障してしまうことがなくなる。また、スピンドルモータ13が回転開始電圧によって発生する熱に耐えられず、故障してしまうことがなくなる。
以上より、スピンドルモータ13の故障を未然に防ぐことができる。従って、装置本体1の信頼性の向上を図れる。
【0040】
S9の後、制御部10は、記憶部11のフラグ11Aを回転禁止状態(「0」から「1」)に設定し(S10)、本処理を終了する。詳述すると、制御部10は、回転禁止状態では、モータ駆動開始部9が回転開始電圧をスピンドルモータ13に印加することを禁止する。このため、このルーチンの直後にユーザが光ディスク100をセットし直しても、回転開始電圧がスピンドルモータ13に印加されることはない。
以上より、スピンドルモータ13の故障を一層未然に防ぐことができる。従って、装置本体1の信頼性の向上を一層図れる。
なお、制御部10は、回転禁止状態設定から一定時間経過後、記憶部11のフラグ11Aを回転許可状態(「1」から「0」)に設定すると良い。一定時間は、例えば1時間である。
【0041】
また、本発明の実施形態は、以下の変形例を採用することができる。
【0042】
図4は、本発明の実施形態の変形例において間欠駆動制御における再印加処理とカウント値との関係を示す図である。この変形例では、スピンドルモータ13にゴミが溜まって回転が鈍くなっている場合を想定している。
【0043】
上記の間欠駆動制御を行っている間、S2において、制御部10は、カウント値に応じて、回転開始電圧の値をモータ駆動開始部9に変えさせても良い。例えば、図4Aに示すように、制御部10は、カウント値が増えるにつれて、回転開始電圧の値を高くするようモータ駆動開始部9に指示する(S2)。または、図4Bに示すように、制御部10は、カウント値が増えるにつれて、回転開始電圧の値を低くするようモータ駆動開始部9に指示する(S2)。または、図4Cに示すように、制御部10は、カウント値が増えるにつれて、回転開始電圧の値を高くしたり低くしたりするようモータ駆動開始部9に指示する(S2)。
【0044】
図3に示すように回転開始電圧の値を一定にしてスピンドルモータ13を回転させるより、図4に示すように回転開始電圧の値を変化させてスピンドルモータ13を回転させる方が、ゴミを除去できる場合もある。
【0045】
以上より、スピンドルモータ13の故障を一層未然に防ぐことができる。従って、装置本体1の信頼性の向上を一層図れる。
【0046】
次に、本発明の他の実施形態である光ディスク装置について説明する。
【0047】
図5は、本発明の他の実施形態である光ディスク装置の主要部の構成を示すブロック図である。図1の光ディスク装置1と図5の光ディスク装置101とが構成において異なる点は、スピンドルモータ13の近傍に、その近傍の温度を測定するサーミスタ20を設けた点である。
【0048】
スピンドルモータ13に印加した回転開始電圧によって、スピンドルモータ13は熱を発生する。そのため、その熱により、スピンドルモータ13の周辺部材(FGセンサ12など)は熱負荷を受けることになる。そこで、スピンドルモータ13に印加した回転開始電圧によって発生する熱がスピンドルモータ13の周辺部材に悪影響(故障など)を与えないよう、サーミスタ20を設けている。
ここで、サーミスタ20が、本発明の「温度測定手段」に相当する。
【0049】
図6は、本発明の他の実施形態である光ディスク装置において制御部の光ディスクセット時の動作を示すフローチャートである。この動作は、図2のS3とS4の間にS20を追加した動作であり、その他の処理(S1〜S10)については同じである。
【0050】
制御部10は、間欠駆動制御を行っている間、サーミスタ20の温度を、ライン10Cを介して監視する(S20)。そして、制御部10は、間欠駆動制御を行っている間にサーミスタ20が一定温度以上を測定した時(S20判断否定)、間欠駆動制御を停止してスピンドルモータ13への回転開始電圧の印加を中止する(S9)。一定温度は、スピンドルモータ13から発生する熱に対する周辺部材(FGセンサ12など)の耐性の観点から定める。一定温度は、例えば50℃である。
【0051】
このように、スピンドルモータ13に印加した回転開始電圧によって発生する熱がスピンドルモータ13の周辺部材に悪影響を与えることを防止する。
以上より、スピンドルモータ13の周辺部材(FGセンサ12など)の故障を未然に防ぐことができる。従って、装置本体1の信頼性の向上を一層図れる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態である光ディスク装置の主要部の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態である光ディスク装置において制御部の光ディスクセット時の動作を示すフローチャート
【図3】本発明の実施形態において間欠駆動制御における再印加処理とカウント値との関係を示す図
【図4】本発明の実施形態の変形例において間欠駆動制御における再印加処理とカウント値との関係を示す図
【図5】本発明の他の実施形態である光ディスク装置の主要部の構成を示すブロック図
【図6】本発明の他の実施形態である光ディスク装置において制御部の光ディスクセット時の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0053】
1−光ディスク装置
2−光ピックアップ
3−RFアンプ
4−サーボ回路
5−ドライバ回路
7−記録再生部
8−選択回路
9−モータ駆動開始部
10−制御部
11A−フラグ
11−記憶部
12−センサ
13−スピンドルモータ
20−サーミスタ
100−光ディスク
101−光ディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを回転させるスピンドルモータと、
前記スピンドルモータの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記スピンドルモータの回転動作を開始する時、回転を開始するための回転開始電圧を前記スピンドルモータに印加するモータ駆動開始手段と、
前記モータ駆動開始手段によって前記スピンドルモータの回転動作を開始した後に、前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が一定回転数を超えると、前記スピンドルモータの回転数をサーボ制御により目標回転数に制御するスピンドルサーボ制御手段と、を備える光ディスク装置において、
前記スピンドルモータの近傍に、温度を測定する温度測定手段を設け、
前記モータ駆動開始手段は、
前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が前記回転開始電圧の印加開始から所定時間以内に前記一定回転数を超えなかった場合、前記回転開始電圧の印加を一旦停止して前記回転開始電圧を前記スピンドルモータに再び印加する再印加処理を、前記回転数検出手段が検出する前記スピンドルモータの回転数が前記一定回転数を超えるまで繰り返す間欠駆動制御を行う間欠制御手段と、
前記再印加処理を行った回数をカウントするカウント手段と、を有し、
前記間欠制御手段は、
(1)前記カウント手段のカウント値が所定値に達するまでは、前記カウント値に応じて前記回転開始電圧の値を変えつつ前記間欠駆動制御を行い、
(2)前記間欠駆動制御を行っている間に前記温度測定手段が一定温度以上を測定した時、前記間欠駆動制御を停止して前記スピンドルモータへの前記回転開始電圧の印加を中止し、
(3)前記カウント値が前記所定値に達すると、前記間欠駆動制御を停止して前記スピンドルモータへの前記回転開始電圧の印加を中止する光ディスク装置。
【請求項2】
光ディスクを回転させるスピンドルモータと、
前記スピンドルモータの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記スピンドルモータの回転動作を開始する時、回転を開始するための回転開始電圧を前記スピンドルモータに印加するモータ駆動開始手段と、
前記モータ駆動開始手段によって前記スピンドルモータの回転動作を開始した後に、前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が一定回転数を超えると、前記スピンドルモータの回転数をサーボ制御により目標回転数に制御するスピンドルサーボ制御手段と、を備える光ディスク装置において、
前記モータ駆動開始手段は、
前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が前記回転開始電圧の印加開始から所定時間以内に前記一定回転数を超えなかった場合、前記回転開始電圧の印加を一旦停止して前記回転開始電圧を前記スピンドルモータに再び印加する再印加処理を、前記回転数検出手段が検出する前記スピンドルモータの回転数が前記一定回転数を超えるまで繰り返す間欠駆動制御を行う間欠制御手段と、
前記再印加処理を行った回数をカウントするカウント手段と、を有し、
前記間欠制御手段は、前記カウント手段のカウント値が所定値に達するまでは前記間欠駆動制御を行い、前記カウント値が前記所定値に達すると前記間欠駆動制御を停止して前記スピンドルモータへの前記回転開始電圧の印加を中止する光ディスク装置。
【請求項3】
前記間欠制御手段は、前記間欠駆動制御を行っている間、前記カウント手段の前記カウント値に応じて前記回転開始電圧の値を変える請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記スピンドルモータの近傍に、温度を測定する温度測定手段を設け、
前記間欠制御手段は、前記間欠駆動制御を行っている間に前記温度測定手段が一定温度以上を測定した時、前記間欠駆動制御を停止して前記スピンドルモータへの前記回転開始電圧の印加を中止する請求項2又は3に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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