説明

光ディスク装置

【課題】PMAに対して規格に従わない位置にデータが記録されている光ディスクに対してPMA追記位置を補正することで、他の光ディスク装置においてもデータの読み書きを可能にする。
【解決手段】PMA取得処理部5aは、光ディスク1に対する初期化処理時に、光ディスク1に設けられたPMA(Program Memory Area)からデータを取得する。PMA取得処理部5aは、PMAに対してデータが記録済みの最終位置を検出し、この最終位置が予め決められた規定位置と一致しない場合に、データの追記を開始するPMA追記位置を最終位置に最も近い規定位置に補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCD−R/RW等の追記可能な光ディスクにデータを記録する光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD−R等の追記可能な光ディスクには、データを追記可能とするために、データが記録済みのトラックなどを示すデータを記録するための領域、例えばPMA(Program Memory Area)が設けられている。
【0003】
例えば、CD−Rでは、情報記録領域のデータエリアより内側にPMAが設けられており、このPMAにはデータエリアの既にデータが記録されているトラックの位置などの情報が記録される。光ディスク装置にとってPMAは、データ記録済みのトラック情報を把握する上で重要な役割を持つ。
【0004】
PMAへの最初のデータ(PMAデータ)はPMA開始アドレスに記録する。このPMA開始アドレスは、書き換え不能情報として光ディスクに記録されており、各光ディスクに固有である。PMAには、PMA開始アドレスから10ブロックを単位として、その整数倍のPMAデータが一度に記録される。2番目以降のPMAデータは、直前のPMAデータに続けて記録する。
【0005】
また、PMAには、1つのトラックに対して同一PMAデータが5ブロックに記録され、最終のPMAデータの記録が終了した時点で記録済みの総PMAデータ数が10の倍数になることが規格上定められている。
【0006】
しかしながら、PMAに対するデータの記録動作が正常に行われず、規格に従わない位置でデータの記録が終了してしまった場合には、この光ディスクに対するデータの追記ができなくなってしまう。
【0007】
従来では、PMAに対するデータの記録動作に失敗して、記録動作が途中で失敗してしまった場合に、記録失敗情報を修復する追記型光ディスク記録方法が考えられている(特許文献1参照)。
【0008】
特許文献1に記載された追記型光ディスク記録方法では、PMAに対するデータ記録動作を失敗した場合には、データ記録を失敗した位置から残りのデータを書き足すことによって、規格に従う完全な形式に修復する。
【特許文献1】特開平9−82039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように特許文献1に記載された追記型光ディスク記録方法では、PMAに対するデータの記録途中で記録動作が終了してしまった場合には記録失敗情報を修復することができるが、PMA追記位置が規格に従わない誤った位置となっている光ディスクについて修復することはできない。
【0010】
例えば、光ディスクのPMAに記録されたデータの記録品位が良くなく、特に10ブロック中の最後の数ブロックが可読でない場合、あるいは既に記録されているデータのPMA記録長が規格に従う本来あるべき長さからずれている場合には、光ディスク装置によっては、この光ディスクのデータ記録形式を理解できず、データの読み書きができなくなってしまう。
【0011】
本発明の目的は、PMAに対して規格に従わない位置にデータが記録されている光ディスクに対してPMA追記位置を補正することで、他の光ディスク装置においてもデータの読み書きを可能にする光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、追記可能な光ディスクにデータを記録する光ディスク装置において、前記光ディスクに対する初期化処理時に、前記光ディスクに設けられたPMA(Program Memory Area)からデータを取得するPMA取得処理手段を有し、前記PMA取得処理手段は、前記PMAに対してデータが記録済みの最終位置を検出し、この最終位置が予め決められた規定位置と一致しない場合に、データの追記を開始するPMA追記位置を、前記最終位置に最も近い規定位置に補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、PMAに対するデータ記録済みの最終位置が予め決められた規定位置と一致しない場合には、PMA追記位置が最終位置に最も近い規定位置に補正されることにより、データを追記する場合に、規格に沿った規定位置から書き込むことができる。従って、PMAに対して規格に従わない位置にデータが記録されていた光ディスクに対しても、自光ディスク装置においてデータを追記した以後では、他の光ディスク装置においてもデータの読み出しあるいは追記を正常に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
図1における光ディスク1は、例えばデータの追記が可能なCD−R等とする。光ディスク1は、スピンドルモータ2に装着される。光ディスク1は、スピンドルモータ2がアクチュエータ4の制御により駆動されることにより回転される。
【0015】
光ピックアップヘッド3は、光学系、レーザ発光ダイオード、フォトダイオード、トラッキングアクチュエータ、フォーカスアクチュエータ等を含み、光ディスク1に対してデータの読み書きを行うために、信号制御部6の制御によりレーザ光を光ディスク1に照射する。光ピックアップヘッド3は、信号制御部6の制御のもとでフォーカスアクチュエータにより対物レンズをフォーカシング方向(レンズの光軸方向)に移動させてフォーカスを調整し、またトラッキングアクチュエータにより対物レンズをトッラキング方向(ディスク1の半径方向)にシフトさせてトラッキングを調整する。また、光ピックアップヘッド3は、アクチュエータ4の制御より駆動されるスレッドモータ(図示せず)により、光ディスク1の半径方向に移動される。
【0016】
制御装置5は、プロセッサやメモリ(RAM、ROM等)を含んで構成されるもので、メモリに記憶された各種プログラムを実行することで装置全体を総合的に制御する。制御装置5は、光ピックアップヘッド3を光ディスク1の半径方向に移動させるためのフィード制御、光ピックアップヘッド3の対物レンズをフォーカシング方向およびトラッキング方向に移動させる対物レンズ制御、スピンドルモータ2を駆動して光ディスク1を回転させるためのスピンドル制御等を司る。
【0017】
本実施形態における制御装置5は、光ディスク装置に光ディスク1が装着された際に実行する初期化処理において、光ディスク1のPMAに記録されたデータを取得して、データの記録位置が規格に従わない誤った位置にある場合にPMA追記位置を補正することができるPMA取得処理部5aの機能が設けられる。PMA取得処理部5aは、記憶部5b(メモリ)に記憶されるバッファA,B、PMA登録数カウンタ5c、異常数カウンタ5d、正常アドレスバッファ5eを用いて、PMAデータを取得し、PMA追記位置を設定する処理を実行する。詳細については後述する。
【0018】
信号制御部6は、光ピックアップヘッド3からレーザ光を照射させ、光ディスク1に対するデータ読み書きのための信号処理を行うもので、光ピックアップ3が読み取った信号を増幅し、また光ピックアップ3へ書き込み信号を供給するRF回路、そのRF回路の信号からトラックのアドレスを検出するアドレスデコーダ、RF回路からの信号に基づいてスピンドルモータ2および図示しないスレッドモータを制御するサーボ制御回路、光ディスク1に記録するデータをエンコードし、また光ディスク1から読み出されたデータをデコードするエンコーダ/デコーダなどを含む。
【0019】
バッファ7は、データを一時記録するもので、信号制御部6から得た光ディスク1に記録されていたデータ、また書込み待ちのデータ(サブコードデータを含む)、並びにデータを読み出し/書込みする光ディスク1上の位置情報などが記録される。バッファ7に記録された光ディスク1から読み出されたデータは、ホストPC(パーソナルコンピュータ)からの要求に応じて通信制御部8を通じて送信され、また光ディスク1に書き込むべきデータが通信制御部8を通じてホストPCから受信される。また、バッファ7に記録されたデータは、制御装置5により読み出されて、PMA取得処理を含む各種の処理に参照される。
【0020】
通信制御部8は、外部の例えばホストPCなどのホスト装置との間でデータを送受信するためのインターフェイスである。
【0021】
図2は、本実施形態の光ディスク装置がデータ記録の対象とする追記可能な光ディスク1(例えばCD−R)を説明する図である。
【0022】
図2(a)に示すように、光ディスク1の情報記録領域には、ユーザデータが記録されるデータエリア11より内周側にPMA(Program Memory Area)10が設けられている。
【0023】
図2(b)に示すように、PMA10には、PMA開始アドレスから10ブロックを単位として、整数倍のPMAデータが一度に追記される。PMAデータには、例えばデータエリア11にユーザデータが記録されたトラック位置を示すデータを含む。また、PMAには、1つのトラックに関して同一のデータが5ブロックに記録される。
【0024】
本実施形態における光ディスク装置は、例えば他の光ディスク装置においてPMAに記録されたPMAデータの記録品位が悪いために読み出せない場合や、記録されたPMAデータが10ブロック単位となっていない場合であっても、PMA追記位置を規格に従う10ブロック単位の位置に補正してPMAデータを追記することで、その後、自光ディスク装置だけでなく他の光ディスク装置においても、この光ディスク1に対するデータの読み書きを可能にする。
【0025】
次に、本実施形態における光ディスク装置の動作について説明する。
図3は、本実施形態の光ディスク装置に光ディスク1が装着された際に実行される初期化作業を説明するフローチャートである。
【0026】
まず、光ディスク装置の制御装置5は、光ディスク1が挿入されると、この光ディスク1に対するディスクタイプ判別を行う(ステップA1)。ここでは、CD−R等のPMAが設けられた光ディスク1であるか否かを判別する。
【0027】
次に、制御装置5は、光ディスク1に対するデータの読み書きを安定して実行することができるように動作特性調整を実行する(ステップA2)。これはフォーカスゲインなどの信号制御部6の信号処理特性を、処理対象としている光ディスク1に対してデータを読み書きする際に最適な状態に調整する。
【0028】
続いて、制御装置5は、光ディスク1のPMAに記録済みのPMAデータを取得し、同時にPMAデータが記録済みの最終位置を検出し、この最終位置をもとにして、データの追記を開始するPMA追記位置を設定する(ステップA3)。以下、この処理をPMA取得処理と称する。
【0029】
こうしてPMA取得処理を経て初期化処理を完了すると、光ディスク1に対するデータの読み書きが可能になる。
【0030】
次に、PMA取得処理の詳細な動作について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、制御装置5は、アクチュエータ4を通じてスピンドルモータ2を駆動して光ディスク1を回転させると共に、光ピックアップヘッド3をPMAデータが記録されているアドレス、すなわちPMA開始アドレス位置にシークさせる(ステップB1)。シークが完了した以降では、制御装置5は、光ディスク1に記録されたデータの読み取りを実行することで、PMAに記録されている最初のPMAデータから順番に、バッファ7を経由して読み出すことができる。
【0031】
シークが完了すると、制御装置5のPMA取得処理部5aは、PMAデータを読み取る準備として、記憶部5bの各バッファA,B、PMA登録数カウンタ5c、異常数カウンタ5dを初期化し(ステップB2)、続いて正常アドレスバッファ5eを初期化する(ステップB3)。
【0032】
PMA取得処理部5aは、記憶部5bの初期化が完了すると、バッファ7を経由してPMAデータを1つ(1ブロック分のデータ)を読み込んでバッファAに記録させる(ステップB4)。以下、この工程を工程(1)として説明する。工程(1)は、制御上のループの開始点である。
【0033】
次に、PMA取得処理部5aは、読み込んだPMAデータが正常であるかを判別する。読み込んだデータが正常とは、例えば、PMAのブロック毎に付与されているエラー検出コードを用いてエラー検出動作を行っても問題が検出されないことを示す。以下、PMAデータが正常であった場合の処理について説明する。
【0034】
まず、PMA取得処理部5aは、バッファAに記憶されたPMAデータについてエラーが検出されなかった場合には、正常アドレスバッファ5eに、現在のPMAデータと同時に取得したアドレス、すなわち正常なPMAデータが記録されていたアドレスを格納する(ステップB6)。
【0035】
次に、PMA取得処理部5aは、バッファAに記録されたPMAデータが、データエリア11にユーザデータが記録されたトラックを示す正常なPMAデータとして既に登録済みであるかを判別する(ステップB7)。最初のPMAデータについては、まだ登録されたPMAデータが存在しないので登録済みとは判定されない。
【0036】
以降のPMAデータについての処理時に、登録済みのPMAデータの1つと一致すると判定された場合には、このPMAデータは不要なので、異常数カウンタ5dを初期化し(ステップB8)、ステップB4に戻り、次のPMAデータをバッファAに読み込む。
【0037】
一方、バッファAのPMAデータが登録済みのPMAデータと一致しない場合には、続いてバッファBに記録されたPMAデータと一致するかを調べる(ステップB9)。バッファAとバッファBに記録されたPMAデータが一致しない場合には(ステップB9、No)、何れのPMAデータが正常であるか確認できないため、バッファAに記録されたPMAデータをバッファBにコピーして次のPMAデータに対する処理に備え、ステップB4に戻って次のPMAデータをバッファAに読み込む。
【0038】
これに対して、バッファAに記録されたPMAデータがバッファBに記録されたPMAデータと一致した場合(ステップB9、Yes)、PMA取得処理部5aは、連続して同じPMAデータが読み出されたことから信頼性が高いとして、バッファAに記録されているPMAデータを追加登録する(ステップB11)。
【0039】
PMA取得処理部5aは、PMAデータの登録が終了すると、異常数カウンタ5dを初期化して(ステップB12)、ステップB4に戻って次のPMAデータをバッファAに読み込む。バッファAに読み込んだPMAデータが登録済みのPMAデータと一致する場合には(ステップB7、Yes)、前述したように、既に登録済みのPMAデータであるので不要とする。光ディスク1のPMAには、1つのトラックに対して同一のPMAデータが5ブロック分記録されるため、一部のデータが読みとれなかったとしても少なくとも2ブロック分のPMAデータが正常であれば追加登録することができる。
【0040】
次に、バッファAに読み込んだPMAデータが異常であった場合について説明する。
PMA取得処理部5aは、バッファAに読み込んだPMAデータが異常と判別した場合(ステップB5、No)、異常数カウンタ5dをインクリメント(+1)する。
【0041】
ここで、異常数カウンタ5dの値が4に満たない場合、PMA取得処理部5aは、ステップB4に戻り、次のPMAデータをバッファAに読み込む。ここでは、PMAデータの異常数が4以上となるまで、繰り返しPMAデータを読み込む。
【0042】
すなわち、PMAには10ブロック単位でPMAデータが記録され、1つのトラックに対して同一PMAデータが5ブロックに連続して記録される。従って、5ブロックのうち異常数が3以下である場合には、残りの2ブロックに記録されたPMAデータによって、前述したステップB9において正常なPMAデータとして判断することができ、5ブロックのうち異常数が4以上となった場合には、PMAに対するデータの記録が異常であると判断することができる。
【0043】
さて、異常数カウンタ5dの値が4以上になった場合(ステップB14、No)、PMA取得処理部5aは、これ以降、正常なPMAデータが取得できないものと判断して終了処理を開始する。まず、PMA取得処理部5aは、現在、正常アドレスバッファ5eに記録されている正常アドレスに+1したアドレスをPMA追加位置とする(ステップB15)。以下、この工程を構成(2)として説明する。
【0044】
続いて、PMA取得処理部5aは、PMA記録量を、PMA追記位置とPMA開始アドレスとの差から計算し(ステップB16)、このPMA記録量に基づいてPMA追記位置の補正方法を判別する。
【0045】
PMA取得処理部5aは、PMA記録量を10で割った剰余が8または9である場合には(ステップB17、Yes)、10からこの剰余を差し引いた値をPMA位置に加算することによってPMA位置を補正する(ステップB18)(図6参照)。すなわち、 現在のPMA追記位置(PMAデータが記録された最終位置)が、PMA開始アドレスから10ブロックの整数倍の位置である規定位置に届かずその差が2以内である場合には、アドレスを進める方向で10の整数倍のアドレス位置をPMA追記位置とする。
【0046】
なお、図4中のステップB17,B19,B20に示す「%」は、左辺の値を右辺の値で割って生じる剰余を求める演算子である。
【0047】
また、PMA記録量を10で割った剰余が0である場合(ステップB19、Yes)、PMA取得処理部5aは、現在のPMA追記位置が規格に従う正しい位置にあるものとし、PMA追記位置を補正することなくPMA取得処理を終了する(図5参照)。
【0048】
また、PMA記録量を10で割った剰余が1である場合には(ステップB20、Yes)、PMA取得処理部5aは、PMA追記位置を1手前(−1)にすることによってPMA追記位置を補正する(ステップB21)。すなわち、現在のPMA追記位置(最終位置)が、規定位置を超えてその差が1以内である場合には、アドレスを戻す方向で10の整数倍のアドレス位置をPMA追記位置とする。
【0049】
また、PMA記録量を10で割った剰余が前述したその他の場合、すなわち剰余が8,9,0,1以外の場合には、現在のPMA追記位置が正常な位置から離れすぎているため、PMA追記位置の補正を行わず光ディスク1を追記禁止状態にする(ステップB22)。現在のPMA追記位置が修復不能なまでにずれていた場合には、光ディスク1を追記禁止にすることで、それ以上、光ディスク1に記録されたデータが破壊されることないようにして、光ディスク1に記録されたデータの読み取りのみは可能な状態とすることができる。
【0050】
図5乃至図8は、前述した終了処理を説明するための図であり、本実施形態の光ディスク装置による初期化処理が終了した状態並びにデータ追記状態の一例を示している。図5乃至図8は、光ディスク1のPMAに記録されたデータの状態がそれぞれ異なる例を示している。
【0051】
図5は、PMAへのデータの記録が規格に従う正常な状態の光ディスク1を初期化した直後の状態を示している。
【0052】
図5においてPMAには、PMA開始アドレスから20ブロックだけ記録されており、PMA追記位置がPMA開始アドレス+20の位置となっている。この場合、PMA追記位置が規格に従う10ブロック単位の整数倍の位置となっているので、他の光ディスク装置においても正常にデータの追記が可能である。
【0053】
図6(a)は、PMAへのデータの記録が規格に従わない光ディスク1を初期化した直後の状態を示している。ここで、規格に従わない光ディスク1(不具合ディスク)としては、例えば、他の光ディスク装置において記録されたPMAの最終ブロック(例えば2ブロック分)がデータ未記録のままで10ブロック単位の整数倍の位置となっていないか、または記録品位劣悪のために正常な読取ができないものとする。
【0054】
図6(a)において、図4の工程(2)(ステップB15)において設定されるPMA追記位置がPMA追記位置(当初)として示す位置(18ブロック)であり、またPMA取得処理が終了した時点のPMA追記位置がPMA追記位置(補正後)として示す位置である。
【0055】
図6(a)に示すように、PMA追記位置(当初)がPMA開始アドレス+18の位置であるのでPMA記録量=18である。従って、「PMA記録量%10」の計算結果は「8」となり、PMA追記位置に対して+2とする補正をすることにより、その結果、PMA追記位置(補正後)は、PMA開始位置+20となる。ここでは、PMA開始アドレスから10ブロックの整数倍の位置である規定位置に届かずその差が2以内であるため、アドレスを進める方向で10の整数倍のアドレス位置にPMA追記位置を補正している。
【0056】
図6(b)は、本実施形態における光ディスク装置によりPMA追記位置(補正後)からPMAデータを20ブロック分だけ追記した状態を示している。「追記1」に示す始めの10ブロック分のPMAデータは、PMA開始アドレス+20の位置から記録され、「追記2」に示す次の10ブロック分のPMAデータは、PMA開始アドレス+30の位置からそれぞれ記録されている。すなわち、規格に準拠した正しい形式によるPMA追記位置からPMAデータが10ブロック単位で記録されている。
【0057】
図6(b)に示すように、光ディスク1に対して10ブロック単位でPMAデータを記録していくことで、PMA追記位置が順次正常なアドレス位置に移動されていく。従って、この光ディスク1を他の光ディスク装置において使用する場合においても、正しいPMA追記位置からPMAデータを追記していくことができる。
【0058】
図7(a)は、PMAへのデータの記録が規格に従わない光ディスク1を初期化した直後の状態を示している。ここで、規格に従わない不具合光ディスクとしては、例えば、他の光ディスク装置においてPMAに記録されたPMAデータが、10ブロック単位の整数倍の位置を超えて記録されているものとする。
【0059】
図7(a)において、図4の工程(2)(ステップB15)において設定されるPMA追記位置がPMA追記位置(当初)として示す位置(21ブロック)であり、またPMA取得処理が終了した時点のPMA追記位置がPMA追記位置(補正後)として示す位置である。
【0060】
図7(a)に示すように、PMA追記位置(当初)がPMA開始アドレス+21の位置であるのでPMA記録量=21である。従って、「PMA記録量%10」の計算結果は「1」となり、PMA追記位置に対して−1とする補正をすることにより、その結果、PMA追記位置(補正後)は、PMA開始位置+20となる。ここでは、現在のPMA追記位置(最終位置)が、規定位置を超えてその差が1以内であるので、アドレスを戻す方向で10の整数倍のアドレス位置にPMA追記位置を補正している。
【0061】
図7(b)は、本実施形態における光ディスク装置によりPMA追記位置(補正後)からPMAデータを20ブロック分だけ追記した状態を示している。図6(b)に示す場合と同様に、補正されたPMA追記位置から追記された「追記1」「追記2」に示す10ブロック分のPMAデータは、それぞれ規格に準拠した正しい形式によるPMA追記位置から記録されている。従って、この光ディスク1を他の光ディスク装置において使用する場合においても、正しいPMA追記位置からPMAデータを追記していくことができる。
【0062】
図8は、他の光ディスク装置においてPMAに対してPMAデータ記録された最終位置が規格を大きく外れた状態を示している。
図8において、図4の工程(2)(ステップB15)において設定されるPMA追記位置がPMA追記位置(当初)として示す位置(25ブロック)である。
【0063】
図8に示す例では、PMA記録量を10で割った剰余が8,9,0,1以外の場合に当たるため、追記禁止の状態にすることで、光ディスク1に記録されたデータが破壊されることないようにする。
【0064】
このようにして、本実施形態における光ディスク装置では、PMAに対するデータ記録済みのPMA追記位置(最終位置)が、PMA開始アドレスから10ブロック単位の予め決められた規定位置と一致しない場合には、PMA追記位置が最終位置に最も近い規定位置に補正するので、PMAに対してデータを追記する場合に規格に沿った規定位置から書き込むことができる。従って、PMAに対して規格に従わない位置にデータが記録されていた光ディスクに対しても、本実施形態における光ディスク装置において初期化処理(PMA取得処理)をした以後では、他の光ディスク装置においても正常にデータの読み出しあるいは追記を実行することができる。
【0065】
また、PMA追記位置を補正することができないPMAに対するPMAデータの記録長が異常な光ディスク1については、追記禁止状態にすることで、データの追記によってデータが破壊されることを防ぎ、それまでに記録されたデータの読み取りについては可能とすることができる。
【0066】
なお、前述した説明では、追記型の光ディスクとしてCD−R/RWを例にしているが、他の追記型の光ディスクを対象とすることも勿論可能である。
【0067】
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態における光ディスク装置の構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態の光ディスク装置がデータ記録の対象とする追記可能な光ディスク1を説明する図。
【図3】本実施形態の光ディスク装置に光ディスク1が装着された際に実行される初期化作業を説明するフローチャート。
【図4】PMA取得処理の詳細な動作について示すフローチャート。
【図5】PMAへのデータの記録が規格に従う正常な状態の光ディスク1を初期化した直後の状態を示す図。
【図6】PMAへのデータの記録が規格に従わない光ディスク1を初期化した直後及び追記後の状態を示す図。
【図7】PMAへのデータの記録が規格に従わない光ディスク1を初期化した直後及び追記後の状態を示す図。
【図8】PMAへのデータの記録長が異常な状態の光ディスク1を初期化した直後の状態を示す図。
【符号の説明】
【0069】
1…光ディスク、2…スピンドルモータ、3…光ピックアップヘッド、4…アクチュエータ、5…制御装置、5a…PMA取得処理部、5b…記憶部、5c…PMA登録数カウンタ、5d…異常数カウンタ、5e…正常アドレスバッファ、6…信号制御部、7…バッファ、8…通信制御部、A,B…バッファ、10…PMA、11…データエリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
追記可能な光ディスクにデータを記録する光ディスク装置において、
前記光ディスクに対する初期化処理時に、前記光ディスクに設けられたPMA(Program Memory Area)からデータを取得するPMA取得処理手段を有し、
前記PMA取得処理手段は、
前記PMAに対してデータが記録済みの最終位置を検出し、この最終位置が予め決められた規定位置と一致しない場合に、データの追記を開始するPMA追記位置を、前記最終位置に最も近い規定位置に補正することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記PMA取得手段は、
最終位置が予め決められた規定位置と一致しない場合に、前記最終位置と前記規定位置との差が予め決められた範囲内であれば前記PMA追記位置を補正し、範囲外であれば前記光ディスクに対するデータの追記を禁止にすることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記PMA取得手段は、前記最終位置と前記規定位置との差が、前記規定位置の前後のそれぞれに対して設定された範囲内にあれば前記PMA追記位置を補正することを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記規定位置をPMA開始アドレスから10の整数倍のアドレスとし、
前記PMA取得処理手段は、
前記最終位置が前記規定位置に届かずその差が2以内である場合には、アドレスを進める方向で10の整数倍のアドレスをPMA追記位置とし、
前記最終位置が前記規定位置を超えてその差が1以内である場合には、アドレスを戻す方向で10の整数倍のアドレスをPMA追記位置とすることを特徴とする請求項2または請求項3記載の光ディスク装置。
【請求項5】
PMA(Program Memory Area)を有する追記可能な光ディスクにデータを記録する光ディスク装置において、
前記PMAに対してデータが記録済みの最終位置+1のアドレスからPMA開始アドレスを引いて得られるPMA記録量の値が10の倍数である場合には、前記PMAに対するデータの追記を開始するPMA追記位置を前記記録済み最終位置+1のアドレス位置とし、
前記PMA記録量の値が10の倍数に届かず、その差が2以内である場合には、前記PMA追記位置を、アドレスを進める方向の10の倍数のアドレス位置とし、
前記PMA記録量の値が10の倍数を超えて、その差が1以内である場合には、前記PMA追記位置を、アドレスを戻す方向の10の倍数のアドレス位置とし、
その他の場合には前記光ディスクに対する追記を禁止にする制御装置を有したことを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−80879(P2009−80879A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248192(P2007−248192)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(504224854)東芝サムスン ストレージ・テクノロジー株式会社 (74)
【Fターム(参考)】