説明

光ディスク装置

【課題】1個のモータで光ピックアップ及びディスクトレイを駆動する光ディスク装置であって、正確に駆動を切り替えることができる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】メインシャーシ1と、ディスクトレイ2と、トラバースシャーシ3と、光ピックアップ5と、カムスライダ7と、カムスライダ7に備えられたラックギヤ741と歯合するトレイギヤ14とを有し、カムスライダ7が、ラックギヤ741が形成されたスライダラック部74にラックギヤ741と近接して形成された貫通孔であるスリット742を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体である光ディスクメディアをディスクトレイを用いて搬入/搬出す光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像や音楽等を記録、再生する機器として、光ディスクメディアの記録面に光を照射し、情報の記録又は情報の再生を行う光ディスク装置が広く用いられている。前記光ディスク装置として、前記光ディスクメディアをディスクトレイに載置し、搬入/搬出を行うトレイローディングタイプがある。トレイローディングタイプの光ディスク装置は前記光ディスクメディアが載置された前記ディスクトレイを前記光ディスク装置の外部から内部に又は内部から外部に移動させることで前記光ディスクメディアを前記光ディスク装置の内部に搬入又は外部に搬出する。
【0003】
従来のトレイローディングタイプの光ディスク装置について図面を参照して説明する。図7は従来の光ディスク装置の概略平面図であり、図8は図7に示す光ディスク装置の内部構成を示す概略配置図である。図7に示すように、光ディスク装置は、メインシャーシ91と、メインシャーシ91に摺動可能に支持され、メインシャーシ91の外部のディスク着脱位置と内部の記録再生位置との間を往復するディスクトレイ92と、ディスクトレイ92の摺動方向(前後方向)に対して略垂直な方向に旋回することでディスクトレイ92に対して昇降するトラバースシャーシ93とを備えている。
【0004】
トラバースシャーシ93は、光ピックアップ95と、光ディスクメディアを駆動するディスク駆動機構94と、複数の歯車を組み合わせた駆動機構96とを備えている。トラバースシャーシ93の旋回によって、ディスク駆動機構94のターンテーブル942がディスクトレイ92に載置されている光ディスクメディアを持ち上げ支持する。
【0005】
メインシャーシ91の底面にはトレイギヤ914が回動自在に配置されている。トレイギヤ914はトラバースシャーシ93の位置にかかわらず駆動機構96との歯車のひとつと歯合しており、駆動機構96からトレイギヤ914に駆動力が伝達される。また、メインシャーシ91には、ディスクトレイ92の摺動方向及びトラバースシャーシ93の昇降方向に対して直交する方向に摺動するカムスライダ97が配置されている。
【0006】
カムスライダ97は、光ピックアップ95に備えられたラックボス951と係合するトリガーガイド971と、トレイギヤ914と歯合するスライダラック974とを備えている。トレイギヤ914とスライダラック974とが歯合しているとき、カムスライダ97の駆動力はトレイギヤ914から伝達される。
【0007】
カムスライダ97の駆動力の切り替えの詳細について図面を参照して説明する。図9は従来の光ディスク装置におけるカムスライダの駆動力の切り替えタイミングを示す図である。図9は横方向にカムスライダ97の位置を示している。
【0008】
光ディスクメディアの記録/再生が終了すると、光ピックアップ95は正面側に移動する。光ピックアップ95が正面側の所定の位置まで移動すると、ラックボス951がトリガーガイド971と係合する。光ピックアップ95が正面側に移動することで、ラックボス951がトリガーガイド971の側面部を押し、カムスライダ97が移動する。ラックボス951はスライダラック974のギヤ歯がトレイギヤ914の谷に入り込む点まで、カムスライダ97を押す。
【0009】
スライダラック974がトレイギヤ914と歯合することで、カムスライダ97の駆動力はラックボス951がトリガーガイド971を押す力から、トレイギヤ914からスライダラック974に伝達される力に切り替わる。このとき、ラックボス951がトリガーガイド971によって正面側に引っ張られ、ラックが駆動機構96と離れる。モータから出力される力が伝達される相手は、光ピックアップ95からカムスライダ97に切り替わる。
【0010】
図9に示すように、カムスライダ97では、ラックボス951からの力による駆動が終了するのと同時に、トレイギヤ914からの力による駆動が開始する。精度良く切り替わるためには、切り替わる時点でスライダラック974とトレイギヤ914とが確実に歯合する必要がある。すなわち、カムスライダ97の位置と、ラックボス951の回転位置とは常に一定の位置関係である必要がある。
【0011】
しかしながら、従来の光ディスク装置では、ディスク駆動部その他の可動部からの振動或いは外部からの衝撃によって、カムスライダ97が動いてしまったり、トレイギヤ914が回転してしまったりすることがある。このとき、スライダラック974とトレイギヤ914のギヤ歯の山同士が接触する場合がある。また、カムスライダ97がラックボス951に押されたとき、スライダラック974のギヤ歯の山の部分とトレイギヤ914の山の部分とが接触し、スライダラック974がトレイギヤ914に弾かれる場合がる。このような現象が発生すると、ディスクトレイ92が外部に搬出されるとき、ギヤ鳴り等の異音が発生し品位を低下させることがあり、最悪、ディスクトレイ92が搬出されなくなることも考えられる。
【0012】
そこで、特開2006−79726号公報に記載のディスク装置では、筐体に突起を形成し、カムスライダに形成されている山形カム面と突起とが係合することで、前記カムスライダの振動や衝撃による移動を規制し、カムスライダとピニオンとの位置関係が一定の条件(スライダラックとピニオンとが確実に歯合する条件)を維持する。これにより、カムスライダの駆動の切り替えを円滑に行い、ディスクトレイの搬出が安定して行われる。
【0013】
また、特開2007−18665号公報に記載のディスク装置では、カムスライダに突起が設けられており、前記突起がトレイギヤのギヤ歯と係合することで、前記トレイギヤの振動や衝撃による移動を規制し、カムスライダとトレイギヤとの位置関係が一定の条件(スライダラックとトレイギヤとが確実に歯合する条件)を維持する。これにより、カムスライダの駆動の切り替えを円滑に行い、ディスクトレイの搬出が安定して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−79726号公報
【特許文献2】特開2007−18665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
光ディスク装置の内部には、光ピックアップ(光源)、モータ等の熱を発する部材が多く備えられており、使用時間が長くなると環境温度が高くなる。前記カムスライダや前記トレイギヤは樹脂の一体成型体であり、環境温度の上昇によって膨張する。前記カムスライダや前記トレイギヤが膨張した場合、前記カムスライダと前記トレイギヤとの位置関係がずれていなくても、スライダラックとトレイギヤとのギヤ歯が接触し、異音(ギヤ鳴り)が発生し、さらには、歯合できずにディスクトレイが搬出されない不具合が発生する場合がある。
【0016】
本発明は、1個のモータで光ピックアップ及びディスクトレイを駆動する光ディスク装置であって、ディスクトレイによる光ディスクメディアの搬送を円滑に行うことができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、前記メインシャーシに形成された開口より入出可能に支持されたディスクトレイと、前記メインシャーシに旋回可能に支持されたトラバースシャーシと、前記トラバースシャーシに摺動可能に支持された光ピックアップと、前記メインシャーシに摺動可能に支持されており、前記トラバースシャーシを昇降させるカム溝を具備し、前記ディスクトレイの移動と前記トラバースシャーシの移動を切り替えるカムスライダと、前記メインシャーシに支持され、前記カムスライダに備えられたラックギヤと歯合するトレイギヤとを有し、前記カムスライダは前記光ピックアップに備えられたラックボスが係合されるトリガーガイドを備えており、前記トラバースシャーシが下降するとき、前記カムスライダの駆動は前記トリガーガイドが前記ラックボスに押されることで開始され、前記カムスライダが所定量移動した後、前記ラックギヤが前記トレイギヤと歯合するものであり、光ディスク装置に光を照射することで情報の記録又は再生を行う光ディスク装置であって、前記カムスライダは前記トリガーガイドが前記ラックボスにて押されている間に、前記ラックギヤが前記トレイギヤと歯合するように形成されており、前記カムスライダが、前記ラックギヤが形成されたスライダラック部に前記ラックギヤと近接して形成された貫通孔であるスリットを備えていることを特徴とする。
【0018】
この構成によると、前記スライダラック部にスリットが形成されているので、前記ラックギヤと前記トレイギヤとがうまく歯合できなかった場合でも、前記ラックギヤが撓み、無理な負荷を逃がすことができる。スライダラック及び(又は)トレイギヤに環境変化による膨張、収縮が発生した場合でも、前記ラックボスと前記トレイギヤとを確実に歯合させることができる。これにより、前記ディスクトレイを確実に駆動させることができ、光ディスクメディアが内部から排出されなくなる不具合を抑制することが可能である。
【0019】
また、前記トレイギヤと前記ラックギヤとの歯合がうまくいかなかった場合でも、前記ラックギヤが撓んで力を逃がすので、ギヤ鳴りを低減することができるとともに、ギヤ歯の破損を抑制することができる。
【0020】
上記構成において、前記スリットは、少なくとも、前記カムスライダが前記ラックボスに押されて前記トレイギヤと最初に歯合する前記ラックギヤのギヤ歯の近傍に形成されていてもよく、前記ラックギヤの長さよりも長く、その両端部が前記ラックギヤの両端部よりも前記ラックギヤの長手方向、外側となるように形成されていてもよい。
【0021】
上記構成において、前記ディスクトレイが前記メインシャーシ内部に移動するとき、前記カムスライダの駆動は前記スライダボスが前記ガイド溝に押されることで開始されるものであり、前記カムスライダが所定量移動した後、前記ラックギヤが前記トレイギヤと歯合するものであり、前記カムスライダが、前記ガイド溝に前記スライダボスが押されている間に、前記ラックギヤが前記トレイギヤと歯合するように形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、1個のモータで光ピックアップ及びディスクトレイを駆動する光ディスク装置であって、ディスクトレイによる光ディスクメディアの搬送を円滑に行うことができる光ディスク装置を提供することができる。
【0023】
また本発明によると、ディスクトレイが搬送されるとき、歯車が歯合できずに負荷がかかることによる歯車の破損を抑制でき、長期にわたり安定して動作する光ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかる光ディスク装置の上部から見た概略配置図である。
【図2】図1に示す光ディスク装置の内部構造の概略配置図である。
【図3】本発明にかかる光ディスク装置の正面側から見た概略配置図である。
【図4】カムスライダのスライダラック部を拡大した平面図である。
【図5】本発明にかかる光ディスク装置における駆動力が切り替わるタイミングを示す図である。
【図6】本発明にかかる光ディスク装置を用いたDVDレコーダの斜視図である。
【図7】従来の光ディスク装置の概略平面図である。
【図8】図7に示す光ディスク装置の内部構成を示す概略配置図である。
【図9】従来の光ディスク装置におけるカムスライダの駆動力の切り替えタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる光ディスク装置の上部から見た概略配置図であり、図2は図1に示す光ディスク装置の内部構造の概略配置図である。なお、図2では、説明の便宜上、ディスクトレイ及びトラバースシャーシを省略している。
【0026】
光ディスク装置Aは、メインシャーシ1と、光ディスクメディアを載置し、メインシャーシ1に対し光ディスクメディアを搬入/搬出するディスクトレイ2と、ディスクトレイ2の摺動方向の奥側をメインシャーシ1に旋回可能に支持され、旋回することでディスクトレイ2に接近/離反するトラバースシャーシ3とを備えている。そして、トラバースシャーシ3には、光ディスクメディアを下方から持ち上げ回転駆動するディスク駆動部4と、光ディスクメディアに光を照射し、情報の記録/再生を行う光ピックアップ5と、ディスクトレイ2、トラバースシャーシ3及び光ピックアップ5を駆動する駆動機構6とを備えている。
【0027】
なお、以下の説明において、ディスクトレイ2がメインシャーシ1より突出する方向を正面側(図中F)、ディスクトレイ2がメインシャーシ1の内部に進入する方向を背面側(図中B)とする。
【0028】
図1に示すように、メインシャーシ1は長方形状の底面部11と、底面部11に突設された壁部12とを備えた、有底函体である。壁部12の正面側にはディスクトレイ2が突出/進入する開口13が形成されている。底面部11及び壁部12は樹脂の一体成型体である。また、光ディスク装置はメインシャーシ1の上部を覆うカバーシャーシを備えており(不図示)、カバーシャーシを取り付けることでメインシャーシ1は密閉される。
【0029】
また、メインシャーシ1には底面11に回転可能に支持されたトレイギヤ14を備えている。トレイギヤ14は底面11に直交する軸周りに回動する平歯車である。トレイギヤ14は駆動機構6に含まれる歯車と歯合しており、駆動機構6からの駆動力が伝達され回転する。さらに、メインシャーシ1にはディスクトレイの摺動方向と直交する方向に摺動するカムスライダ7が備えられている。
【0030】
図1に示すように、メインシャーシ1の底面11の背面側には、上側に向かって突出したボス10が備えられている。ボス10はフローティングゴム(ダンパー)100が外嵌されており、フローティングゴム100が外嵌されたボス10がトラバースシャーシ3の背面側に形成されたボス孔30を貫通している。ボス10の外径はボス孔30の内径よりも小さく、その隙間の分だけトラバースシャーシ3はディスクトレイ2に対して旋回(昇降)可能となっている。また、ボス10とボス孔30の隙間に、フローティングゴム100が配置されていることで、トラバースシャーシ3の旋回時のがたつきを抑制することができる。
【0031】
ディスクトレイ2は樹脂の一体成型体である。メインシャーシ1の開口13より最も突出し、光ディスクメディアを交換するためのディスク交換位置と、メインシャーシ1の内部の光ディスクメディアの情報を記録/再生するための記録/再生位置との間を摺動可能となるように、メインシャーシ1に支持されている。
【0032】
ディスクトレイ2は、上面に光ディスクメディアを載置するための段差20と、ディスクトレイ2の長さ方向に延びるラックギヤであるトレイラック21と、下面に形成されたガイド溝22とを備えている(図2参照)。段差20は小径(直径8cm)の光ディスクメディアを載置できる小径段差20Sと、大径(直径12cm)の光ディスクメディアを載置できる大径段差20Lとを備えている。ディスクトレイ2には、矩形状の開口窓23が形成されており、ディスク駆動部5が開口窓23を通って光ディスクメディアを持ち上げる。そして、カバーシャーシに備えらたクランパ(不図示)とで光ディスクメディアを滑らないように挟持する。
【0033】
小径段差20Sと大径段差20Lとは中心が同じ位置になるように形成されており、小径段差20Sのほうが大径段差20Lよりも深く形成されている。これにより、小径の光ディスクメディアは小径段差20Sに、大径の光ディスクメディアは大径段差20Lに載置される。
【0034】
図2に示すように、トレイラック21はディスクトレイ2の位置(開口13に対する位置)によって、トレイギヤ14と歯合するように形成されている。トレイラック21とトレイギヤ14とが歯合しているとき、トレイギヤ14の回転がトレイラック21に伝達され、ディスクトレイ2は摺動する。なお、トレイラック21はディスクトレイ2が最も背面側にあるとき、トレイギヤ14と離れている。
【0035】
図2に示すように、ガイド溝22はディスクトレイ2の摺動方向と平行して延びる直線部221と、直線部221に対して所定の角度だけ屈曲して形成された斜行部222と、直線部221に対して直交する直交部223とを備えている。そして、ガイド溝22において、直線部221、斜行部222、直交部223とは連結され、一本の繋がった凹溝が形成されている。なお、本実施形態にかかるディスクトレイ2では、2本のガイド溝が形成されているが、図2中右側は開口窓23が形成されている関係上、斜行部222と直交部223のみを備えた構成となっている。
【0036】
図2に示すようにトラバースシャーシ3は正面より突出した昇降ボス31を備えている。昇降ボス31はカムスライダ7に形成されている後述のカム溝73に係合されている。カムスライダ7が摺動することで昇降ボス31がカム溝73に押され、トラバースシャーシ3は旋回する。
【0037】
トラバースシャーシ3に配置されたディスク駆動部4は、動力源であるモータ41と、モータ41の出力軸に固定され、光ディスクメディアの記録面の中央を支持するターンテーブル42とを備えている。そして、光ピックアップ5は光ディスクメディアに光を照射するための光学系(レンズ、光源等を含む)と駆動部を備えており、トラバースシャーシ3に形成された摺動窓32に、光ディスクメディアの径方向に移動できるように配置されている。
【0038】
図2に示すように、光ピックアップ5はトラバースシャーシ3に配置されたガイドレール50に摺動可能に支持されている。光ピックアップ5は、ラック51を備えており、ラック51は光ピックアップ5の位置によって、駆動機構6に駆動される。また、ラック51の正面側の先端部には、ラックボス511と、突出部512とを備えている。なお、ラック51は2つのラックギヤを重ねた、いわゆる、ダブルラック構造となっていてもよい。ダブルラックの場合、一方のラックギヤが光ピックアップ5の移動が停止した後も、移動することが可能である。
【0039】
光ピックアップ5は最も正面側の位置を初期位置としており、この初期位置を基準として移動量を調整するものである。光ピックアップ5はトラバースシャーシ3が退避位置に移動するとき、初期位置に移動する。このとき、ラックボス511はカムスライダ7の後述するトリガーガイド72と係合される。また、突出部512はメインシャーシ1の底面部11より突設された係止部111の正面側と係合する。突出部512と係止部111とが係合することで、トラバースシャーシ3が退避位置に移動するときに、光ピックアップ5が背面側に移動するのを抑制することが可能である。
【0040】
図2に示すように、駆動機構6はモータ60と、モータ60の回転を伝達するための複数個の平歯車が組み合わされた歯車群61とを備えている。歯車群61は、トレイギヤ14と歯合する歯車及びピックアップ5に備えられたラック51と歯合する歯車とを備えている。なお、光ピックアップ5が初期位置に移動したとき、ラック51と歯車群61の歯車とは歯合していない。
【0041】
ディスク駆動部4、光ピックアップ5及び駆動機構6はトラバースシャーシ3に配置されている。トラバースシャーシ3はターンテーブル42が光ディスクメディアを支持するクランプ位置と、ディスク駆動部4がディスクトレイ2の移動の邪魔にならない退避位置との間を旋回するものである。トラバースシャーシ3はディスクトレイ2が所定の位置まで進入してきたとき、ディスクトレイ2に向かって旋回する。また、トラバースシャーシ3が退避位置まで旋回した後、ディスクトレイ2が外部に向かって送出される。
【0042】
ディスクトレイ2の移動の開始/終了及びトラバースシャーシ3の移動の終了/開始とは連動して行われるものであり、カムスライダ7によって適切なタイミングで切り替えられる。
【0043】
本発明にかかる光ディスク装置に用いられるカムスライダの詳細について図面を参照して説明する。図3は本発明にかかる光ディスク装置の正面側から見た概略配置図であり、図4はカムスライダのスライダラック部を拡大した平面図である。
【0044】
図3、図4に示すように、カムスライダ7は上面に突設されディスクトレイ2のガイド溝22に係合されたスライダボス71と、下面に形成され光ピックアップ5のラックボス511が挿入されるトリガーガイド72と、トラバースシャーシ3に形成されている昇降ボス31が挿入/係合されるカム溝73と、摺動方向の端部に形成されたスライダラック部74とを備えている。
【0045】
スライダボス71は、ガイド溝22に係合されている。ディスクトレイ2が移動することでスライダボス71はガイド溝22の異なる部分と係合される。すなわち、ディスクトレイ2の突出量によって、スライダボス71は直線部221、斜行部222及び直交部223とそれぞれ係合される。なお、ディスクトレイ2が完全にメインシャーシ1の内部に配置されているとき、スライダボス71は直交部223と係合されている。
【0046】
図1、図2に示すように、スライダボス71が直線部221と係合されているとき、ディスクトレイ2が摺動してもスライダボス71はガイド溝22から力を受けない。同様に、スライダボス71が直交部223と係合されているとき、カムスライダ7が摺動してもスライダボス71がガイド溝22に力を付与しない。スライダボス71が斜行部222にあるときのみ、ディスクトレイ2の摺動によってガイド溝22からスライダボス71が押される、或いは、カムスライダ7の摺動によってスライダボス71がガイド溝22を押す。
【0047】
図3に示すようにカム溝73は、左側から、上溝731、斜溝732及び下溝733を備えた貫通孔である。上溝731及び下溝733はディスクトレイ2の下面に対して平行に形成されており、斜溝732は上溝731と下溝733を連結している。カム溝73にはトラバースシャーシ3の昇降ボス31が係合されている。昇降ボス31が上溝731と係合しているとき、トラバースシャーシ3はクランプ位置にあり、下溝733と係合しているとき、トラバースシャーシ3は退避位置にある。なお、斜溝732にあるときは、カムスライダ7の摺動により昇降ボス31が押され、クランプ位置へ、或いは、退避位置へ移動する。
【0048】
図4に示すように、トリガーガイド72はカムスライダ7の下面に形成されている。トリガーガイド72は、背面側が開放されており、背面側の開放部分より光ピックアップ5のラックボス511が進入することができる。光ディスク装置において、トラバースシャーシ3がクランプ位置から旋回(下降)するとき、光ピックアップ5は正面側に移動される。光ピックアップ5が正面側に移動することで、ラックボス511がトリガーガイド72に係合される。トリガーガイド72はカムスライダ7の摺動方向及び光ピックアップ5の摺動方向に対して斜めに形成されており、ラックボス511にトリガーガイド72の内壁面が押されてカムスライダ7が摺動する。
【0049】
スライダラック部74は正面側に形成されたラックギヤ741と、ラックギヤ741に沿って形成された貫通孔であるスリット742とを備えている。ラックギヤ741はカムスライダ7の位置によって、トレイギヤ14と歯合するものである。さらに説明すると、カムスライダ7がその摺動範囲の両端部にあるとき、ラックギヤ741はトレイギヤ14歯合せず、中間部にあるときのみ歯合する。カムスライダ7が摺動範囲の中間部にあるとき、トレイギヤ14の回転力がラックギヤ741に伝達され、カムスライダ7は摺動する。
【0050】
上述しているように、カムスライダ7の位置はディスクトレイ2及びトラバースシャーシ3の位置と関係している。そして、カムスライダ7の摺動のきっかけは、スライダボス71がディスクトレイ2のガイド溝22の斜行部222に押されることであり、光ピックアップ5のラックボス511にトリガーガイド72が押されることである。
【0051】
次にディスクトレイ2の突出(光ディスクメディアが載置されている場合アンローディング)及び進入(光ディスクメディアが載置されている場合ローディング)について詳しく説明する。図5は本発明にかかる光ディスク装置における駆動力が切り替わるタイミングを示す図である。図5はディスクトレイ2が記録/再生位置からディスク交換位置に移動するときのカムスライダ7の摺動力の切り替わりを示すものであり、上段がラックボス511による摺動、下段がトレイギヤ14とラックギヤ741との歯合によるトレイギヤ14による摺動を示している。
【0052】
記録/再生が終了した光ディスクメディアを取り出す、或いは光ディスクメディアを搬入するためにディスクトレイ2が開口13から突出する手順である。ディスクトレイ2はメインシャーシ1の内部の記録/再生位置にあり、トラバースシャーシ3はクランプ位置まで旋回してきている。まず、光ピックアップ5が正面側の初期位置まで移動する。そして、光ピックアップ5が初期位置に近接したとき、ラック51に形成されたラックボス511がトリガーガイド72の背面側の開放部より内部に侵入する。
【0053】
内部に侵入したラックボス511はトリガーガイド72の内壁面を押し、カムスライダ7を摺動させる。すなわち、駆動機構6からラック51に伝達された力が、ラックボス511を介してトリガーガイド72に作用し、カムスライダ7を摺動させている。カムスライダ7が所定の位置まで移動すると、ラックギヤ741がトレイギヤ14と歯合する。
【0054】
図5に示すように、本発明にかかる光ディスク装置Aにおいて、カムスライダ7はトリガーガイド72がラックボス511に押されることによる摺動が終了する前に、ラックギヤ741とトレイギヤ14とが歯合するように、ラックギヤ741の位置が調整されている。
【0055】
光ピックアップ5の摺動は光ディスクメディアに光を照射しつつ、光ディスクメディアの径方向に移動し、照射した光が光ディスクメディアのトラック上に正確に照射させるものである。ゆえに、光ピックアップ5の移動は精度が高くなくてはならない。そこで、ラック51のピッチは細かく、ラック51と歯合する歯車のピッチも細かい。一方で、カムスライダ7の摺動は、限られた時間内で一定距離摺動する必要であり、ラックギヤ741のピッチがラック51に比べて大きい。
【0056】
カムスライダ7がラックボス511に押されているときその摺動速度は、光ピックアップ5の摺動速度に影響されるので遅い。一方、ラックギヤ741とトレイギヤ14との歯合によるカムスライダ7の摺動速度はピッチが大きい分、ラックボス511によるものよりも速い。これによりカムスライダ7の摺動速度に差ができる。よって、ラックボス511に押されている状態から、ラックギヤ741がトレイギヤ14と歯合し、トレイギヤ14からの駆動力で摺動するときは、ラック51、カムスライダ7及びトレイギヤ14の動作が厳密に同期している必要がある。
【0057】
光ディスク装置Aでは、光ピックアップ5やモータ41、60等発熱源を含んでおり、その発熱によって内部環境が高温になる場合が多い。内部環境が高温になると樹脂で形成されている、カムスライダ7、トレイギヤ14、ラック51は膨張し、ピッチが変化する。各部材のピッチが変化することで、カムスライダ7の摺動時にラックギヤ741の移動速度がトレイギヤ14のギヤ歯の周速度と同期できなくなる場合がある。このとき、ラックギヤ741のギヤ歯はトレイギヤ14のギヤ歯にはじかれるが、ラックギヤ741はスリット742によって、撓むことができる(図4中、破線のラックギヤ741)。
【0058】
ラックギヤ741が撓むことで、ギヤ歯同士が激しく接触するのを回避することができる。これにより、ギヤ歯がはじかれたときの衝撃を吸収するので、ギヤ鳴りを低減することができる。また、ラックギヤ741が撓んでトレイギヤ14の回転を待つことができ、はじかれた次のギヤ歯と歯合し、トレイギヤ14の回転力をラックギヤ741に伝達し、カムスライダ7を確実に駆動することができる。これにより、カムスライダ7が摺動せず、トラバースシャーシ3が下降しない、すなわち、ディスクトレイ2が外部に突出しなくなる不具合の発生を抑えることができる。
【0059】
なお、カムスライダ7において、ラックギヤ741の長さ又は位置を変えることで、カムスライダ7のラックボス511による駆動とトレイギヤ14による駆動とが両方行われるタイミングを変えることができる。このタイミングは、ラックギヤ741がトレイギヤ14とが確実に歯合するとともに、トレイギヤ14による摺動によってラックボス511が引っ張られてラック51に無理な力がかからないタイミングであることが好ましい。
【0060】
トレイギヤ14からラックギヤ741に駆動力が伝達されており、カムスライダ741はトレイギヤ14から離れる方向(図中左)に摺動する。昇降ボス31のカム溝73内での位置が上溝731から斜溝732に替わる。昇降ボス31は斜溝732から力を受け、ディスクトレイ2から離れる方向に移動する。これにより、トラバースシャーシ3は退避位置に移動する。ターンテーブル42が光ディスクメディアを支持していた場合、その光ディスクメディアはディスクトレイ2の段差20に載置される。
【0061】
カムスライダ7がさらに摺動すると、昇降ボス31のカム溝73内での位置が斜溝732から下溝733に替わる。これにより、トラバースシャーシ3は退避位置に完全に移動し、ターンテーブル42がディスクトレイ2の摺動の邪魔にならない。カムスライダ7の摺動開始から昇降ボス31が下溝733に移動するまで、スライダボス71はディスクトレイ2のガイド溝22の直交部223内を摺動しており、ディスクトレイ2は停止したままである。
【0062】
昇降ボス31が下溝733に移動するまでカムスライダ7が摺動すると、スライダボス71がガイド溝22の直交部223から斜行部222に移動する。カムスライダ7が摺動すときにスライダボス71が斜行部222の内壁面と接触し、内壁面を押す。これにより、ディスクトレイ2は正面側に移動を開始する。スライダボス71のガイド溝22内の位置が斜行部222から直線部221に変わる直前に、カムスライダ7のラックギヤ741がトレイギヤ14から離れる。これと同時に、ディスクトレイ2の下面に形成されているトレイラック21とトレイギヤ14とが歯合し、トレイギヤ14の回転がトレイラック21に伝達されディスクトレイ2が正面側に摺動し、開口13より突出する。このとき、スライダボス71がガイド溝22の斜行部222の内壁面に押されてカムスライダ7はわずかに移動する。これにより、ラックギヤ741はトレイギヤ14と完全に離れる。
【0063】
ディスクトレイ2の摺動が、スライダボス71からガイド溝22が押されている状態から、トレイラック21が切り替わるタイミングも、カムスライダ7の切り替えのときと同様に両方の駆動方法で駆動されるようにしてもよい。トレイラック21とラックギヤ741とのピッチが同じ或いは略同じであり、ギヤ歯の歯合ミスが発生しにくいので、駆動方法が重ならないように切り替えのタイミングを設定していてもよい。
【0064】
その後、トレイギヤ14の回転がトレイラック21に伝達されることで、ディスクトレイ2が正面側に摺動する。このとき、スライダボス71はガイド溝22の直線部221と係合しており、ディスクトレイ2の摺動によってカムスライダ7は移動しない。また、直線部221に係合されていることで、外部からの力が作用によるカムスライダ7の摺動も制限される。
【0065】
つぎに、ディスクトレイ2がメインシャーシ1の内部に移動する手順について説明する。ディスクトレイ2は開口13よりメインシャーシ1の外部に突出している。このとき、ディスクトレイ2の背面側の一部はメインシャーシ1の内部に残っており、ディスクトレイ2のトレイラック21はトレイギヤ14と歯合している。
【0066】
また、カムスライダ7は最も左側にあり、スライダボス71はガイド溝22の直線部221と係合しており、ラックギヤ741はトレイギヤ14と歯合していない。そして、昇降ボス31がカム溝73の下溝733と係合しており、トラバースシャーシ3は退避位置にある。
【0067】
駆動機構6のモータ60が回転されると、歯車群61の各歯車にモータ60の回転が伝達され、トレイギヤ14が回転する。トレイギヤ14の回転力は、トレイギヤ14と歯合しているトレイラック21に伝達され、ディスクトレイ2はメインシャーシ1の内部に向かって摺動する。ディスクトレイ2の摺動にしたがってガイド溝22が移動し、スライダボス71のガイド溝22に対する相対位置も変化する。ガイド溝22の直線部221はディスクトレイ2の摺動方向と同じ方向に延伸しており、スライダボス71は直線部221と接触しにくく、接触しても、カムスライダ7の摺動方向に向かう力を受けない。すなわち、スライダボス71がガイド溝22の直線部221と係合しているときは、カムスライダ7は停止している。
【0068】
ディスクトレイ2がメインシャーシ1の内部に移動し、スライダボス71がガイド溝22の斜行部222まで到達すると、斜行部222の内壁面と接触する。ディスクトレイ2が摺動すると、スライダボス71が斜行部222の内壁面に押され、カムスライダ7は摺動を開始する。カムスライダ7が所定の長さ摺動されるとスライダラック部74のラックギヤ741が移動し、トレイギヤ14と歯合される。ラックギヤ741とトレイギヤ14とが歯合されると同時に、トレイラック21はトレイギヤ14から離れる。そして、カムスライダ7はトレイギヤ14からラックギヤ741に伝達される力によって摺動される。
【0069】
カムスライダ7が摺動され、スライダボス71が斜行部222内を移動することで、スライダボス71が斜行部222の内壁部(カムスライダ7の摺動を開始させたときのスライダボス71が接触した壁部と対向する内壁部)を押す。ディスクトレイ2はトレイラック21とトレイギヤ14とが歯合していなくてもスライダボス71から駆動力を付勢され、摺動する。スライダボス71が斜行部222から直交部223に到達したとき、ディスクトレイ2は完全にメインシャーシ1の内部に完全に収納される。直交部223はディスクトレイ2の摺動方向と直交しているので、カムスライダ7が摺動しても、スライダボス71からの力を受けず、ディスクトレイ2は移動しない。
【0070】
一方、カムスライダ7が摺動することで、昇降ボス31のカム溝73における位置が変化する。最初、昇降ボス31は下溝733と係合されており、トラバースシャーシ3は退避位置にある。カムスライダ7が移動しても昇降ボス31が下溝733にある間は、トラバースシャーシ3は退避位置から動かない。カムスライダ7が所定の位置まで移動すると、昇降ボス31が斜溝732に移動する。昇降ボス31の位置が下溝733から斜溝732へ切り替わるタイミングと、スライダボス71の位置が斜行部222から直交部223へ切り替わるタイミングが同じとなるように、斜行部222及び下溝733の長さは調整されている。
【0071】
昇降ボス31のカム溝73内での位置の切り替わるタイミングと、スライダボス71のガイド溝22内での位置の切り替わるタイミングを合わせることで、ディスクトレイ2が記録/再生位置への移動が完了してから、トラバースシャーシ3の旋回が開始する。これにより、ディスクトレイ2が摺動している最中に、ターンテーブル42がディスクトレイ2や光ディスクメディアと接触し、破損や故障が発生するのを抑制することが可能である。
【0072】
カムスライダ7が摺動するときに、昇降ボス31は斜溝732から力を受け、上方(ディスクトレイ2の方向)に押される。これにより、トラバースシャーシ3はディスクトレイ2に向かって旋回し、ターンテーブル42はディスクトレイ2に向かって上昇する。そして、ターンテーブル42はディスクトレイ2の開口窓23を貫通し、光ディスクメディアを持ち上げて、クランパとで光ディスクメディアを挟持する。
【0073】
一方、トラバースシャーシ3が旋回することで光ピックアップ5のラックボス511がトリガーガイド72に下面側から係合する。昇降ボス31のカム溝73との係合が斜溝732から上溝731に切り替わることで、トラバースシャーシ3は完全にクランプ位置まで旋回する。これにより、突出部512が係止部111の上部に移動し光ピックアップ5は摺動可能となる。そして、カムスライダ7が摺動されることで、ラックボス511がトリガーガイド72の内壁面に押される。これにより、ラック51がわずかに背面側に移動し、駆動機構6の歯車群61の歯車のひとつと歯合する。ラック51が歯車群61の歯車のひとつと歯合し背面側に移動することで、ラックボス511を押した面と対向して形成された内壁面をラックボス511が押すことで、カムスライダ7はさらに移動され、ラックギヤ741が完全にトレイギヤ14から離れる。
【0074】
以上のようにして、ディスクトレイ2はディスク交換位置から記録/再生位置に移動する。なお、光ピックアップ5のラック51が歯車群61の歯車のひとつと歯合を開始したとき、ラックギヤ741はトレイギヤ14と歯合している。ラック51と歯車群61のひとつの歯車との歯合が失敗しても、ラックギヤ741がトレイギヤ14と歯合しており、ラックボス511がラック51と歯車とが歯合するまでトリガーガイド72に押される。このとき、ラックギヤ741に作用する無理な力はラックギヤ741が撓むことで逃がすので、ギヤ歯が破損するのを抑制することができる。また、容易に力を逃がすことができるので、ギヤ鳴りを抑制することも可能である。
【0075】
なお上述の例では、トラバースシャーシ3が上昇或いは下降するときの光ピックアップ5の駆動からカムスライダ7の駆動に切り替わるタイミングについて説明しているが、スライダボス71がディスクトレイ2のガイド溝22の斜行部222に押されているのと同時に、ラックギヤ741がトレイギヤ14と歯合するように形成されていてもよい。このように形成されていることで、ディスクトレイ2の移動後、確実にカムスライダ7を駆動することができ、トラバースシャーシ3の駆動を精度良く行うことが可能である。
【0076】
以上に示した、カムスライダを用いることで、ディスクトレイ2、トラバースシャーシ3の動作を正確なタイミングで、確実に動作させることができるので、高い動作精度の光ディスク装置を提供することができる。
【0077】
また、光ディスクメディアの搬入/搬出動作時に歯車がかみ合わないときのギヤ鳴りの発生を抑えることができ、また、ギヤ鳴りが発生したとしても、その音を小さくすることができ、それだけ、動作品質の高い光ディスク装置を提供することが可能である。
【0078】
図6は本発明にかかる光ディスク装置を用いたDVDレコーダの斜視図である。図6に示すように、DVDレコーダRdは、筐体Ohの内部に光ディスク装置Aが配置されており、筐体Ohの正面に配置されたフロントパネルFpに形成された開口Opより光ディスクメディアDsをディスクトレイ2に載置して光ディスク装置Aの内部に挿入するものである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、記録媒体として光ディスクメディアを用いる電子機器(たとえば、DVDプレーヤ、DVDレコーダ等)に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 メインシャーシ
2 ディスクトレイ
21 トレイラック
22 ガイド溝
23 開口窓
3 トラバースシャーシ
30 ボス孔
31 昇降ボス
32 摺動窓
4 ディスク駆動部
41 モータ
42 ターンテーブル
5 光ピックアップ
51 ラック
511 ラックボス
512 突出部
6 駆動機構
61 歯車群
62 モータ
7 カムスライダ
71 スライダボス
72 トリガーガイド
73 カム溝
74 スライダラック部
741 ラックギヤ
742 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインシャーシと、
前記メインシャーシに形成された開口より入出可能に支持されたディスクトレイと、
前記メインシャーシに旋回可能に支持されたトラバースシャーシと、
前記トラバースシャーシに摺動可能に支持された光ピックアップと、
前記メインシャーシに摺動可能に支持されており、前記トラバースシャーシを昇降させるカム溝を具備し、前記ディスクトレイの移動と前記トラバースシャーシの移動を切り替えるカムスライダと、
前記メインシャーシに支持され、前記カムスライダに備えられたラックギヤと歯合するトレイギヤとを有し、
前記カムスライダは前記光ピックアップに備えられたラックボスが係合されるトリガーガイドを備えており、
前記トラバースシャーシが下降するとき、前記カムスライダの駆動は前記トリガーガイドが前記ラックボスに押されることで開始され、前記カムスライダが所定量移動した後、前記ラックギヤが前記トレイギヤと歯合するものであり、光ディスクメディアに光を照射することで情報の記録又は再生を行う光ディスク装置であって、
前記カムスライダは前記トリガーガイドが前記ラックボスにて押されている間に、前記ラックギヤが前記トレイギヤと歯合するように形成されており、
前記カムスライダが、前記ラックギヤが形成されたスライダラック部に前記ラックギヤと近接して形成された貫通孔であるスリットを備えていることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記スリットは、少なくとも、前記カムスライダが前記ラックボスに押されて前記トレイギヤと最初に歯合する前記ラックギヤのギヤ歯の近傍に形成されていることを請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記スリットは、前記ラックギヤの長さよりも長く、その両端部が前記ラックギヤの両端部よりも前記ラックギヤの長手方向、外側となるように形成されている請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記ディスクトレイが前記メインシャーシ内部に移動するとき、前記カムスライダの駆動は前記スライダボスが前記ガイド溝に押されることで開始されるものであり、前記カムスライダが所定量移動した後、前記ラックギヤが前記トレイギヤと歯合するものであり、
前記カムスライダが、前記ガイド溝に前記スライダボスが押されている間に、前記ラックギヤが前記トレイギヤと歯合するように形成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−257545(P2010−257545A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108788(P2009−108788)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】