説明

光ディスク記録装置

【課題】光ディスクに記録されたタイトルに対して行われる編集処理の内容が光ディスクに書き込まれてしまった後に、編集前の状態に復元することができる光ディスク記録装置を提供する。
【解決手段】光ディスクにタイトルを記録する記録部と、前記光ディスクに記録された前記タイトルに対して編集を行う際に前記記録部を制御する編集処理部(ステップS60の処理を実行する手段)と、前記編集の実行処理において変更対象となるデータを前記編集の実行処理前に記録媒体にバックアップするバックアップ処理部(ステップS50の処理を実行する手段)と、前記バックアップ処理部によってバックアップされたデータを前記光ディスクに記録することで前記編集の前の状態に復元する処理を実行する復元処理部(ステップS70の処理を実行する手段)とを備える光ディスク記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクにタイトルを記録する光ディスク記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク記録装置は、光ディスクに記録されたタイトルに対して削除、部分削除、チャプター挿入、プレイリスト作成などの編集を行うことができるものが一般的である。なお、ここで、タイトルとは、一度に編集が行われるストリームを示す単位のことであり、例えば、1回の録画によって得られた番組データなどが該当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−214807号公報(段落0020)
【特許文献2】特開2008−152892号公報(請求項4)
【特許文献3】特開2007−89020号公報(請求項5)
【特許文献4】特開2008−311723号公報(段落0006)
【特許文献5】特開2003−224811号公報(段落0044乃至0047)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光ディスク記録装置では、光ディスクに記録されたタイトルに対して行われる編集処理の内容が光ディスクに書き込まれてしまった場合には、編集前の状態に復元することができないという問題があった。
【0005】
なお、特許文献1には、編集経過を保持しておき、この編集経過のうちいずれかを変更したい場合には、その操作に戻ることができる録画番組編集システムが開示されているが、当該録画番組編集システムでは編集処理の内容が確定された後に編集前の状態に復元することはできない。したがって、特許文献1に開示されている録画番組編集システムは上記の問題を解決するものではない。
【0006】
また、特許文献2には、複数のタイトルの一括削除を電源終了時に処理する記録再生装置が開示されているが、当該記録再生装置では一括削除後に一括削除前の状態に復元することはできない。したがって、特許文献2に開示されている記録再生装置は上記の問題を解決するものではない。
【0007】
また、特許文献3には、タイトル消去の分類情報が付加されたタイトルの録画の再生終了により当該録画の消去可否の選択画面の表示出力を形成する記録再生装置が開示されているが、当該記録再生装置ではタイトル消去の選択が確定してタイトルが消去された後に消去前の状態に復元することはできない。したがって、特許文献3に開示されている記録再生装置は上記の問題を解決するものではない。
【0008】
また、特許文献4には、ユーザが誤って編集を中断させた場合でも、操作手段の操作によりすぐに目的の映像データを探し出すことができ、すぐに編集を再開することができる映像編集装置が開示されているが、当該映像編集装置では編集処理の内容が確定された後に編集前の状態に復元することはできない。したがって、特許文献4に開示されている映像編集装置は上記の問題を解決するものではない。
【0009】
また、特許文献5には、セグメントの指定を元に戻すことにより、編集を元に戻すことができるPVR録画装置が開示されているが、当該PVR録画装置では編集処理の内容が確定された後(編集の完了操作後)に編集前の状態に復元することはできない。したがって、特許文献5に開示されているPVR録画装置は上記の問題を解決するものではない。
【0010】
本発明は、上記の状況に鑑み、光ディスクに記録されたタイトルに対して行われる編集処理の内容が光ディスクに書き込まれてしまった後に、編集前の状態に復元することができる光ディスク記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明に係る光ディスク記録装置は、光ディスクにタイトルを記録する記録部と、前記光ディスクに記録された前記タイトルに対して編集を行う際に前記記録部を制御する編集処理部と、前記編集の実行処理において変更対象となるデータを前記編集の実行処理前に記録媒体にバックアップするバックアップ処理部と、前記バックアップ処理部によってバックアップされたデータを前記光ディスクに記録することで前記編集の前の状態に復元する処理を実行する復元処理部とを備える構成とする。
【0012】
このような構成によると、光ディスクに記録されたタイトルに対して行われる編集処理の内容が光ディスクに書き込まれてしまった後に、編集前の状態に復元することができる。これにより、ユーザが誤った編集を実行してしまった場合でも編集のやり直しが可能になるため、利便性が向上する。また、バックアップ処理部がバックアップするデータのサイズは比較的小さいので、バックアップ処理部がバックアップするデータについての前記記録媒体の占有率はほとんど問題にならない。
【0013】
前記バックアップ処理部によるバックアップが、前記編集の実行処理前に自動的に行われることが望ましい。
【0014】
また、前記編集処理部が、VRモードでフォーマットされたDVDに記録された前記タイトルに対して編集を行う場合、前記バックアップ処理部が、ナビゲーション情報と、ファイルシステム情報に含まれるパーティション情報とをバックアップするようにする。
【0015】
また、前記編集処理部が、ビデオモードでフォーマットされたDVDに記録された前記タイトルに対して編集を行う場合、前記バックアップ処理部が、ナビゲーション情報のみをバックアップするようにする。
【0016】
また、前記記録媒体としては、例えば、前記光ディスク記録装置に搭載されているハードディスクが挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、光ディスクに記録されたタイトルに対して行われる編集処理の内容が光ディスクに書き込まれてしまった後に、編集前の状態に復元することができる光ディスク記録装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】は、本発明に係る光ディスク記録装置の一概略構成例を示す図である。
【図2】は、図1に示す光ディスク記録装置の編集に関連する動作を示すフローチャートである。
【図3】は、DVDがビデオモードである場合の編集メニューの表示例を示す図である。
【図4】は、DVDがVRモードである場合の編集メニューの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明に係る光ディスク記録装置の一概略構成例を図1に示す。
【0020】
図1に示す光ディスク記録装置は、HDD(Hard Disk Drive)搭載DVDレコーダであって、チューナ1と、映像音声処理部2と、OSD(On Screen Display)部3と、出力部4と、HDD記録再生部5と、DVD記録再生部6と、制御部7と、不揮発性メモリ8と、受光部9とを備えている。なお、制御部7が、請求項に記載の編集処理部、バックアップ処理部、及び復元処理部の主体となる。
【0021】
チューナ1は、アンテナ10から受け取ったテレビ放送信号の選局及び復調(例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調)を行う。映像音声処理部2は、チューナ1から受け取った映像音声信号又はHDD記録再生部5若しくはDVD記録再生部6で再生された映像音声信号を出力部4に送ったり、チューナ1から受け取った映像音声信号をHDD記録再生部5又はDVD記録再生部6に送ったりする。OSD部3は、制御部7からの指示に基づいて生成したOSD画像データを出力部4に送る。出力部4は、映像音声処理部2から受け取った映像信号とOSD部3から受け取ったOSD画像データとを合成した合成映像信号を外部に出力したり、上記合成処理を行わず映像音声処理部2から受け取った映像信号をそのまま外部に出力したり、上記合成処理を行わずOSD部3から受け取ったOSD画像データをそのまま外部に出力したり、映像音声処理部2から受け取った音声信号を外部に出力したりする。出力部4の出力信号は、図1に示す光ディスク記録装置に接続されるテレビ受像機(不図示)に送出される。図1に示す光ディスク記録装置に接続されるテレビ受像機は、出力部4の出力信号に基づく映像表示および音声出力を行う。
【0022】
HDD記録再生部5は、映像音声処理部2から受け取った映像音声信号をハードディスクに記録したり、ハードディスクに記録されている映像音声信号を再生したりする。また、DVD記録再生部6は、映像音声処理部2から受け取った映像音声信号をDVDに記録したり、DVDに記録されている映像音声信号を再生したりする。なお、DVDは、DVD記録再生部6に対して着脱自在に装着される。
【0023】
受光部9は、リモコン送信機(不図示)から送信されたリモコン赤外線信号を受光して電気信号に変換し、さらにその電気信号から操作コードを抽出して制御部7に出力する。制御部7は、不揮発性メモリ8に格納されている制御プログラム及び各種設定(例えば、各操作コードと各機能との対応関係を示すデータテーブル等)と、受光部9から受け取った操作コードと、図1に示す光ディスク記録装置の本体に設けられている操作キー群(不図示)から出力される信号によって定まる操作コードとに応じて、図1に示す光ディスク記録装置の各部を制御する。
【0024】
以上のような構成である図1に示す光ディスク記録装置の編集に関連する動作について図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0025】
ユーザが編集メニューの表示を指示する操作をリモコン送信機あるいは図1に示す光ディスク記録装置の本体に設けられている操作キー群に対して行うと、図2のフローチャート動作が開始する。
【0026】
まずステップS10において、編集メニューを表示するためのOSD画像データが出力部4から出力され、図1に示す光ディスク記録装置に接続されるテレビ受像機の表示画面に編集メニューが表示される。ビデオモードでフォーマットされているDVD−RまたはビデオモードでフォーマットされているDVD−RWがDVD記録再生部6に装着されている場合の編集メニューの表示例を図3に示し、VRモードでフォーマットされているDVD−R、VRモードでフォーマットされているDVD−RW、またはVRモードでフォーマットされているDVD−RAMがDVD記録再生部6に装着されている場合の編集メニューの表示例を図4に示す。なお、DVDがDVD記録再生部6に装着されるときあるいは電源が投入されるときのローディングにより、制御部7は、DVDの種類やモードを予め判別している。
【0027】
ステップS10に続くステップS20において、制御部7は、ユーザが編集メニューの項目を選択する操作をリモコン送信機あるいは図1に示す光ディスク記録装置の本体に設けられている操作キー群に対して行った否かを判定する。編集メニューの項目が選択された場合(ステップS20のYES)、ステップS30に移行する。
【0028】
ステップS30において、制御部7は、選択された編集メニューの項目が“編集前に戻す”であるか否かを判定する。選択された編集メニューの項目が“編集前に戻す”でなければ(ステップS30のNO)、ステップS40に移行する。一方、選択された編集メニューの項目が“編集前に戻す”であれば(ステップS30のYES)、ステップS70に移行する。
【0029】
ステップS40において、制御部7は、ユーザが選択を確定する操作(例えば、決定キーの押圧)をリモコン送信機あるいは図1に示す光ディスク記録装置の本体に設けられている操作キー群に対して行った否かを判定する。選択が確定した場合(ステップS40のYES)、ステップS50に移行する。
【0030】
ステップS50において、制御部7は、後述するステップS60の処理において変更対象となるデータをHDD記録再生部5に記録させる。これにより、後述するステップS60の処理において変更対象となるデータを、変更前にバックアップすることができる。
【0031】
ステップS50に続くステップS60において、制御部7は、編集内容に応じた記録をDVD記録再生部6に命じて編集を実行し、その後フロー動作を終了する。
【0032】
DVDにおいて、タイトルは、ナビゲーション情報と、ファイルシステム情報と、ストリーム情報とで管理、構成されている。ストリーム情報はディスクのフォーマットや追記録画が行われない限り変更されない。また、ビデオモードでフォーマットされているDVDにおいては、ファイルシステム情報はファイナライズ時に作成される。したがって、ビデオモードでフォーマットされているDVDがDVD記録再生部6に装着されている場合、ステップS60の処理において変更対象となるデータはナビゲーション情報のみになる。これに対して、VRモードでフォーマットされているDVDがDVD記録再生部6に装着されている場合、ステップS60の処理において変更対象となるデータはナビゲーション情報であるVR_MANGR.IFOファイルと、ファイルシステム情報に含まれているパーティション情報とになる。
【0033】
上述した通り、選択された編集メニューの項目が“編集前に戻す”であれば(ステップS30のYES)、ステップ70の処理が行われる。ステップS70において、制御部7は、過去に実行したステップS50の処理においてHDD記録再生部5にバックアップしているデータの記録をDVD記録再生部6に命じて、編集前の状態に復元する処理を実行し、その後フロー動作を終了する。
【0034】
以上のような動作により、DVDに記録されたタイトルに対して行われる編集処理の内容がDVDに書き込まれてしまった後に、編集前の状態に復元することができる。なお、誤った復元を防止する観点から、ステップS50においてバックアップしているデータは、追記録画、DVD記録再生部6からのディスク取り出し、電源オフなどがあった場合に、破棄されることが望ましい。ステップS50においてバックアップしているデータを破棄した場合、例えば、図3や図4に示す編集メニューの表示において“編集前に戻す”の項目をグレーアウト表示にするとよい。
【0035】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【0036】
例えば、上述した実施形態では、光ディスクがDVDであったが、DVD以外の光ディスクにタイトルを記録する光ディスク記録装置に本発明を適用してもよい。
【0037】
また、例えば、上述した実施形態では、編集の実行処理において変更対象となるデータをHDD記録再生部5のハードディスクにバックアップしたが、ハードディスク以外の記録媒体に記録するようにしてもよい。例えば、光ディスク記録装置に内蔵されているフラッシュメモリ等の不揮発性メモリやRAM(Random Access Memory)等の一時記憶メモリにバックアップしてもよく、また、光ディスク記録装置にUSB(Universal Serial Bus)コネクタやSDカードスロット等の外部メモリ用インターフェースを備えている場合は外部メモリ用インターフェースに接続される外部メモリにバックアップしてもよい。
【0038】
また、例えば、上述した実施形態では、テレビ放送番組を光ディスクに録画しているが、テレビ放送番組以外のデータの記録であるタイトルを編集の対象としても本発明を適用することができる。例えば、光ディスク記録装置に外部入力端子が設けられている場合、外部入力されたデータの記録であるタイトルを編集の対象にすることができる。
【0039】
また、例えば、上述した実施形態では、図2に示すように、選択された編集メニューの項目が“編集前に戻す”であれば(ステップS30のYES)、ステップ70の処理が行われる形態であったが、ステップS30とステップS70との間にステップS40と同一のステップを設ける形態に変形してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 チューナ
2 映像音声処理部
3 OSD部
4 出力部
5 HDD記録再生部
6 DVD記録再生部
7 制御部
8 不揮発性メモリ
9 受光部
10 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクにタイトルを記録する記録部と、
前記光ディスクに記録された前記タイトルに対して編集を行う際に前記記録部を制御する編集処理部と、
前記編集の実行処理において変更対象となるデータを前記編集の実行処理前に記録媒体にバックアップするバックアップ処理部と、
前記バックアップ処理部によってバックアップされたデータを前記光ディスクに記録することで前記編集の前の状態に復元する処理を実行する復元処理部とを備えることを特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項2】
前記バックアップ処理部によるバックアップが、前記編集の実行処理前に自動的に行われる請求項1に記載の光ディスク記録装置。
【請求項3】
前記編集処理部が、VRモードでフォーマットされたDVDに記録された前記タイトルに対して編集を行う場合、
前記バックアップ処理部が、ナビゲーション情報と、ファイルシステム情報に含まれるパーティション情報とをバックアップする請求項1または請求項2に記載の光ディスク記録装置。
【請求項4】
前記編集処理部が、ビデオモードでフォーマットされたDVDに記録された前記タイトルに対して編集を行う場合、
前記バックアップ処理部が、ナビゲーション情報のみをバックアップする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ディスク記録装置。
【請求項5】
前記記録媒体が、前記光ディスク記録装置に搭載されているハードディスクである請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ディスク記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−18710(P2012−18710A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154146(P2010−154146)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】