説明

光ディスク記録装置

【課題】回路規模を大幅に増大させることなく、光ディスク記録装置における記録ストラテジ信号間のスキュー量を調整できるようにする。
【解決手段】光ディスク記録装置は、デューティ比50%のパルス信号を、第1の記録ストラテジ信号として第1のチャネルに出力するとともに、第2の記録ストラテジ信号として第2のチャネルに出力し、少なくとも第1のチャネルを経由した第1の記録ストラテジ信号および第2のチャネルを経由した第2の記録ストラテジ信号を用いて光ディスクへの書き込みを行い、書き込みを行った場合における戻り光を電気信号に変換し、該電気信号の電圧レベルを所定の閾値電圧以上または所定の閾値電圧以下に制限し、第1のチャネルを経由した第1の記録ストラテジ信号と第2のチャネルを経由した第2の記録ストラテジ信号との間のスキューを、電圧レベルが制限された電気信号に基づいて検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク記録装置に関し、特に、光ディスクへの書き込みを行う際に用いられる記録ストラテジ信号(ライトストラテジパルス)間のスキューを調整するスキュー調整回路、スキュー調整回路を備えた光ディスク記録装置、および、スキュー調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクへのデータ記録は、光ディスクに照射されるレーザの光量を、記録すべきデータ列に応じて時間軸で制御することで行われる。時間軸情報の制御を行う2値の信号は、記録ストラテジ信号(記録ストラテジパルス、ライトストラテジパルス)と呼ばれる。複数のチャネルのそれぞれを経由した複数の記録ストラテジ信号を用いることで、複雑な光量制御を実現することができる。
【0003】
記録ストラテジ信号のチャネル間のスキュー(すなわち、相対的な遅延)は、記録品質に影響を及ぼす。スキュー量は、LSI内部の信号伝送線の長さのみならず、基板配線、レーザドライバ特性等にも依存する。したがって、光ディスク記録装置の開発段階において、基板レイアウトを変更する際には、スキュー量の調整が必要とされる。
【0004】
また、温度変化、電源電圧変化等に応じて、スキュー量を調整する信号遅延回路に含まれるトランジスタの特性が変化し、補正量が変動することより、スキュー量が動的に変化することもある。このような動的な要因によるスキュー量の変化に対しては、光ディスク記録装置の実使用状況下で、スキュー量を調整する手段が必要となる。
【0005】
特許文献1には、熱干渉や符号間干渉を精密に補償しつつ光記録を行う方法が記載されている。また、特許文献2には、装置内温度、関連回路部分の電源電圧、集積回路のプロセスに起因するばらつき、フレキシブルプリント基板とその周辺部品との距離の変化に伴う伝送波形の変化等の影響を考慮し、記録ストラテジ信号を良好に保つための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−217933号公報
【特許文献2】特開2006−120252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は、本発明者によってなされたものである。
【0008】
光ディスクドライブにおけるデータ記録動作においては、複数本の記録ストラテジ信号を、記録データであるNRZI(Non Return to Zero Inverted)信号に同期させつつ、制御ICからレーザドライバを経由して出力し、レーザを発光させるタイミングを決定する。1つのピットを形成する際にも、複数レベルのパワーを細かく遷移させる必要がある。したがって、複数本のパルスのハイ/ロウ(High/Low)の組み合わせにより、それぞれのパワーレベルに応じたタイミングを制御する必要がある。また、各光量レベルに関しては、D/Aコンバータ(DAC)等を用いて指示電流を別途制御する。
【0009】
記録ストラテジ信号のチャネル間のスキュー(複数のチャネル間の信号伝送遅延差)は、記録品質に大きな影響を与える。スキュー量は、LSI内部の信号伝送線の長さのみならず、基板配線、レーザドライバ特性等にも依存するため、スキュー量を適切に補正することが好ましい。
【0010】
また、スキュー量を調整する信号遅延回路を構成するトランジスタの特性も、温度、電源電圧等に応じて変化することから、スキューの補正量が変動し、スキュー量の増大を招くおそれもある。したがって、光ディスク記録装置の実使用環境下において、スキュー量を動的に調整する必要がある。
【0011】
特許文献1に記載された方法では、記録ストラテジ信号の生成において、意図するレーザ光量の遷移を実現するように、ハイ(High)レベルおよびロウ(Low)レベルへの各エッジの遷移タイミングを、細かく変更できるようにしている。
【0012】
図9は、特許文献1に記載された光ディスク記録装置のように、記録ストラテジ信号の各チャネル間のスキュー調整用として遅延量補正回路および測定回路を有していない光ディスク記録装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
パルス生成回路111は、記録ストラテジ信号W1〜W3を、それぞれ、チャネルCH1〜CH3へ出力する。CPU112は、電流値制御部115に対して電流値を指示するための電流指示データを送出する。電流値制御部115は、電流値指示データに従って、電流源CS1〜CS3の電流値を設定する。スイッチSW1〜SW3は、それぞれ、チャネルCH1〜CH3を経由して受信した記録ストラテジ信号W1〜W3のレベルに応じてオン・オフする。レーザドライバ116は、電流源CS1〜CS3から受けた電流の総量に応じて、光源117のレーザ光量を調整する。ビームスプリッタ118は、光源117から入射したレーザ光を対物レンズ119を経由して光ディスク140へと導く。光検出器121は、対物レンズ119およびビームスプリッタ118を介して受けた戻り光を電気信号に変換する。
【0014】
図9に示す光ディスク記録装置においては、基板上配線およびパルス生成回路111を設計する際に、スキュー量を限りなく小さくするように考慮することで、記録ストラテジ信号W1〜W3の間のスキューの影響を最小化する。しかし、このような対策によると、基板、回路等の設計に制限が課されるのみならず、スキュー量の動的な調整を行うことができない。
【0015】
図10は、スキューが生じた場合の問題について説明するための図である。図10は、図9の地点Aから地点Bにおいてチャネル間の相対的な遅延が増大した場合におけるレーザ光量の時間的な遷移を示す。図10(a)は、パルス生成回路111の近傍の地点Aにおける記録ストラテジ信号W1〜W3のパルス波形を示す。一方、図10(b)は、レーザドライバ116の近傍の地点Bにおける記録ストラテジ信号W1〜W3のパルス波形を示す。また、図10(c)は、遅延がある場合(実線)と遅延がない場合(破線)におけるレーザ光量の遷移を示す。図10(b)のように遅延がある場合には、レーザ光量は、図10(c)に示すように理想的な光量の遷移からずれる。このとき、意図したピット列を光ディスク140上に形成することができず、記録品質が劣化する。
【0016】
そこで、特許文献2に記載されているように、基板上の信号伝送経路等で付加される各チャネル間のスキュー量を補正することが考えられる。図11は、特許文献2に記載された光ディスク記録装置の構成を概略的に示すブロック図である。図11に示した光ディスク記録装置では、チャネルCH1〜CH3間の位相差を測定するための回路をレーザダイオードドライバ(LDD:Laser Diode Driver)に設けることで、記録ストラテジ信号の相対的な遅延量を求める。さらに、求めた遅延量を、記録ストラテジ信号のタイミング生成を行う遅延挿入回路113へ受け渡すことで、遅延量を補正する。
【0017】
図11に示した光ディスク記録装置では、パルス生成回路111は、内部記録ストラテジ信号Wi1〜Wi3を生成して出力する。CPU130は、外部ストラテジ信号We1〜We3の間のスキューに関する情報をIC間データとして受け、遅延挿入回路113に対して、スキューに応じて遅延量を変更するように指示する。遅延挿入回路113は、CPU130からの指示に従って、内部記録ストラテジ信号Wi1〜Wi3のそれぞれに遅延を挿入して、外部記録ストラテジ信号We1〜We3として出力する。位相差検出回路131、ローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)132、アナログ・デジタルコンバータ(A/Dコンバータ、ADC)133およびレジスタ回路134は、外部記録ストラテジ信号We1〜We3のスキューを検出し、IC間データとして、CPU130に出力する。
【0018】
しかしながら、特許文献2に記載された光ディスク記録装置によると、位相ずれ測定用の専用回路として、位相差検出回路131、LPF132、ADC133等の複雑かつ規模の大きい回路をLDDに設ける必要がある。また、得られた測定結果において、その測定回路のパス自身での遅延を考慮しなければならない。しかし、かかる遅延を補正する手段がないことから、測定結果の精度が低い。
【0019】
そこで、回路規模を大幅に増大させることなく、光ディスク記録装置における記録ストラテジ信号間のスキュー量を調整できるようにすることが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一視点に係る光ディスク記録装置は、
デューティ比50%のパルス信号を、第1の記録ストラテジ信号として第1のチャネルに出力するとともに、第2の記録ストラテジ信号として第2のチャネルに出力するパルス生成手段と、
少なくとも前記第1のチャネルを経由した前記第1の記録ストラテジ信号および前記第2のチャネルを経由した前記第2の記録ストラテジ信号を用いて光ディスクへの書き込みを行う書き込み手段と、
前記書き込み手段が書き込みを行った場合における戻り光を電気信号に変換する光検出手段と、
前記電気信号の電圧レベルを所定の閾値電圧以上または所定の閾値電圧以下に制限する制限手段と、
前記第1のチャネルを経由した前記第1の記録ストラテジ信号と、前記第2のチャネルを経由した前記第2の記録ストラテジ信号との間のスキューを、前記制限された電気信号に基づいて検出するスキュー検出手段と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る光ディスク記録装置によると、回路規模を大幅に増大させることなく、光ディスク記録装置における記録ストラテジ信号間のスキュー量を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態に係る光ディスク記録装置の構成を一例として示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る光ディスク記録装置の通常記録時における動作を一例として示すタイミングチャートである。
【図3】第1の実施形態に係る光ディスク記録装置におけるCPUによる制御動作を一例として示すフローチャートである。
【図4】チャネルCH1、CH2間においてスキューずれがある場合における、第1の実施形態に係る光ディスク記録装置のスキュー検出時の動作を一例として示すタイミングチャートである。
【図5】チャネルCH1、CH2間においてスキューずれがない場合における、第1の実施形態に係る光ディスク記録装置のスキュー検出時の動作を一例として示すタイミングチャートである。
【図6】第2の実施形態に係る光ディスク記録装置の構成を一例として示すブロック図である。
【図7】チャネルCH1、CH2間においてスキューずれがある場合における、第2の実施形態に係る光ディスク記録装置のスキュー検出時の動作を一例として示すタイミングチャートである。
【図8】チャネルCH1、CH2間においてスキューずれがない場合における、第2の実施形態に係る光ディスク記録装置のスキュー検出時の動作を一例として示すタイミングチャートである。
【図9】特許文献1に記載された光記録装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図10】特許文献1に記載された光記録装置におけるスキューずれを一例として示すタイミングチャートである。
【図11】特許文献2に記載された光ディスク記録装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
はじめに、本発明の概要について説明する。なお、この概要に付記する図面参照符号は、専ら理解を助けるための例示であり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0024】
図1を参照すると、本発明に係る光ディスク記録装置は、デューティ比50%のパルス信号を、第1の記録ストラテジ信号として第1のチャネル(例えばCH1)に出力するとともに、第2の記録ストラテジ信号として第2のチャネル(例えばCH2)に出力するパルス生成手段(14)と、少なくとも第1のチャネル(CH1)を経由した第1の記録ストラテジ信号および第2のチャネル(CH2)を経由した第2の記録ストラテジ信号を用いて光ディスク(40)への書き込みを行う書き込み手段(20)と、書き込み手段(20)が書き込みを行った場合における戻り光を電気信号に変換する光検出手段(光検出器21)と、電気信号の電圧レベルを所定の閾値電圧以上または所定の閾値電圧以下に制限する制限手段(制限回路22)と、第1のチャネル(CH1)を経由した第1の記録ストラテジ信号と、第2のチャネル(CH2)を経由した第2の記録ストラテジ信号との間のスキューを、制限された電気信号に基づいて検出するスキュー検出手段(27)と、を備える。
【0025】
ここで、パルス生成手段(14)は、デューティ比50%かつ位相差のないパルス信号の一方を、第1の記録ストラテジ信号として第1のチャネル(CH1)に出力するとともに、他方を、第2の記録ストラテジ信号として第2のチャネル(CH2)に出力するようにしてもよい。
【0026】
かかる構成によると、光ディスク記録装置に対して簡易な回路を追加することで、記録ストラテジ信号間のスキューを検出することが可能となる。したがって、本発明によると、回路規模を大幅に増大させることなく、光ディスク記録装置における記録ストラテジ信号間のスキュー量を調整できるようにすることができる。
【0027】
また、パルス生成手段(14)は、スキュー検出手段(27)によりスキューが検出された場合には、デューティ比50%かつ相対的な位相差が調整されたパルス信号の一方を、第1の記録ストラテジ信号として第1のチャネル(CH1)に出力するとともに、他方を、第2の記録ストラテジ信号として第2のチャネル(CH2)に出力するようにしてもよい。
【0028】
かかる構成によると、第1のチャネル(CH1)を経由した第1の記録ストラテジ信号と、第2のチャネル(CH2)を経由した第2の記録ストラテジ信号との間におけるスキューを解消することが可能となる。
【0029】
さらに、スキュー検出手段(27)は、制限された電気信号を2値化した信号のデューティ比が50%であるか否かに応じてスキューを検出するようにしてもよい。
【0030】
デューティ比50%のパルス信号を、第1の記録ストラテジ信号として第1のチャネル(CH1)に出力するとともに、第2の記録ストラテジ信号として第2のチャネル(CH2)に出力した場合において、第1のチャネル(CH1)を経由した第1の記録ストラテジ信号と、第2のチャネル(CH2)を経由した第2の記録ストラテジ信号との間におけるスキューがゼロであるときに限り、かかる2値化信号のデューティ比は50%となる(図4、図5)。したがって、スキュー検出手段(27)は、2値化信号のデューティ比が50%である場合にはスキューが存在せず、それ以外の場合にはスキューが存在するものと判定することができる。
【0031】
図6を参照すると、スキュー検出手段(32)は、制限された電気信号と制限された電気信号の位相を180度ずらした信号との自己相関に基づいてスキューを検出するようにしてもよい。
【0032】
デューティ比50%のパルス信号を、第1の記録ストラテジ信号として第1のチャネル(CH1)に出力するとともに、第2の記録ストラテジ信号として第2のチャネル(CH2)に出力した場合において、第1のチャネル(CH1)を経由した第1の記録ストラテジ信号と、第2のチャネル(CH2)を経由した第2の記録ストラテジ信号との間におけるスキューが存在するか否かに応じて、自己相関の値が変動する(図7、図8)。したがって、スキュー検出手段(32)は、自己相関の値に基づいて、スキューの有無を判定することができる。
【0033】
以下、実施形態に係る光ディスク記録装置について、図面を参照して詳細に説明する。実施形態に係る光ディスク記録装置は、デューティ比50%かつ位相差がゼロである信号を任意の2つのチャネルの記録ストラテジ信号として出力し、遅延を挿入した上で記録動作を行う。このときの戻り光のRF信号にレベルリミット処理を施した信号について、2値化後信号のデューティ比を検出することにより、これら2つのチャネル間のスキューの有無を判定する。また、以下の実施形態では、デューティ比の検出方法として、2通り方法を提案する。
【0034】
第1の実施形態では、偶数次高調波成分を抜き出し、その成分の信号振幅を測定する。デューティ比が50%の矩形波のスペクトラムは、基本波の他に奇数次高調波成分のみを含む。しかし、デューティ比が50%からずれると、矩形波のスペクトラムにおいて、偶数次高調波成分が増加する。したがって、バンドパスフィルタ(Band−Pass Filter、BPF)により、例えば2次高調波だけを取り出して振幅を検出することにより、デューティ比の50%からのずれの有無を判別することができる。
【0035】
一方、第2の実施形態では、元の信号と元の信号の位相をπ(rad)だけ遅らせた信号との乗算値の平均、すなわち、自己相関値を求めることでデューティ比を検出する。
【0036】
なお、以下に詳述する光ディスク記録装置において、チャネル間スキューは、光源までの経路に依存するものの、「レーザ照射〜光検出器〜RF2値化エッジ検出」までの経路に依存しない。したがって、光ディスク制御における基本的な回路を使用することにより、容易にスキュー量を測定することが可能となる。すなわち、実施形態に係る光ディスク装置によると、簡易な追加回路で動的にスキュー補正を行うことができる。
【0037】
(実施形態1)
第1の実施形態に係る光ディスク記録装置について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の光ディスク記録装置の構成を一例として示すブロック図である。図1を参照すると、光ディスク記録装置は、パルス生成手段14、書き込み手段20、光検出器21、制限回路22、ゲイン/オフセット調整回路23、2値化処理回路24、スキュー検出手段27を備えている。
【0038】
パルス生成手段14は、パルス生成回路11、CPU12、および、遅延挿入回路13を備えている。また、書き込み手段20は、電流値制御部15、電流源CS1〜CS3、スイッチSW1〜SW3、レーザドライバ16、光源17、ビームスプリッタ18、および、対物レンズ19を備えている。なお、書き込み手段20の構成は、図9に示した光ディスク記録装置において対応する手段の構成と同様であることから、説明を省略する。
【0039】
パルス生成回路11は、通常モードにおいて、エンコード処理した記録データに従って内部記録ストラテジ信号Wi1〜Wi3を生成する。また、パルス生成回路11は、スキュー検出モードにおいて、内部記録ストラテジ信号Wi1〜Wi3として、デューティ比50%の固定周波数の信号、または、ロウ固定の信号を出力する。
【0040】
本実施形態では、一例として、記録ストラテジ信号のチャネル数を3つとしている。ただし、本発明において、チャネル数は3つに限定されない。
【0041】
光検出器21は、戻り光を電気信号に変換してRF信号として出力する。光ディスク記録装置は、一般に、光検出器21と同様の機能を有する光検出器を有しており、再生動作(光ディスク40に記録されているデータを読み出す動作)において、この機能を使用する。
【0042】
RF信号は、通常、ゲイン・オフセット調整回路23、A/D変換器(非図示)を通過し、デジタルデータに変換された後、コンパレータ、PRML(Partial−Response Maximum Likelihood)回路等の2値化処理回路24を介して、2値化データに加工される。本実施形態では、この機能をデータ記録動作中にも動作させる。ただし、本実施形態の動作を行う場合における「2値化処理」として、PRML技術を使用するよりも、中点での単純な2値化コンパレータ動作を行うことが好ましい。
【0043】
本実施形態では、このような光ディスク記録装置による通常の再生動作で必要とされる回路に対して、さらに、制限回路(リミッタ回路)22およびスキュー検出手段27を追加することで、スキューずれを検出する。
【0044】
制限回路22は、所定の閾値電圧以下(または閾値電圧以上)の信号を入力すると、出力信号を閾値電圧に固定する。本実施形態では、制限回路22に入力されるRF信号の極性の定義として、ピット形成を行って光量が増大するに従って、制限回路22への入力信号の電圧レベルは低下するものとする。この定義によると、制限回路22は、所定の閾値電圧以下の信号が入力されると、閾値電圧を出力する。なお、閾値電圧は、容易に変更可能とすることが好ましい。
【0045】
スキュー検出手段27は、2値化処理回路24で生成された信号のデューティ比を計測する。スキュー検出手段27は、バンドパスフィルタ(Band−Pass Filter、BPF)25および振幅測定回路26を備えている。スキュー検出手段27は、BPF25および振幅測定回路26を用いて、記録ストラテジ信号間の位相ずれの有無を判定する。
【0046】
BPF25は、記録ストラテジ信号の出力信号周波数の2倍周波数(第2次高調波周波数)を通過帯域の中心とし、基本波周波数および第3次高調波周波数の帯域ではゲイン圧縮する。ここで、BPF25の通過帯域の中心周波数は、偶数次高調波であればよい。したがって、中心周波数は2倍周波数に限定されず、4倍周波数、6倍周波数等としてもよい。
【0047】
振幅測定回路26は、入力信号のピーク値およびボトム値を検出し、入力信号の振幅と所定の閾値とを比較する。振幅測定回路26は、入力信号の振幅が所定の閾値以下である場合には、位相ずれがないものと判定する。一方、入力信号の振幅が所定の閾値よりも大きい場合には、振幅測定回路26は、位相ずれがあるものと判定する。
【0048】
CPU12は、挿入遅延量を変更しつつ、スキュー検出手段27によりスキューが検出されなくなるまで、遅延量の挿入とスキューの検出とを繰り返す。これにより、チャネル間における記録ストラテジ信号のスキューを補正することが可能となる。
【0049】
遅延挿入回路13は、パルス生成回路11と同一のクロック信号を用いるカウンタとして実現してもよいし、直列に接続されたバッファ回路として実現してもよい。
【0050】
次に、本実施形態に係る光ディスク記録装置の動作について説明する。
【0051】
図2は、光ディスク記録装置が通常の記録動作を行う場合における、記録データパターンであるNRZI信号、外部記録ストラテジ信号We1〜We3(チャネルCH1〜CH3)の典型的な記録波形、および、戻り光(ないしRF信号)を一例として示すタイミングチャートである。通常の記録動作では、各外部記録ストラテジ信号のチャネルCH1〜CH3から、NRZI信号に同期して、異なるタイミングの信号が出力される。これらの各記録ストラテジ信号チャネルにより、予めCPU12から指示されているそれぞれの電流源CS1〜CS3のオン/オフ(ON/OFF)を制御し、光源17に流す全電流量を制御する。これにより、例えば、ピット形成部の先端部および後端部で光量を増大させる等の光量制御が可能となる。
【0052】
なお、本実施形態では、電流源を3つの電流源CS1〜CS3とした。しかし、記録ストラテジ信号のチャネル数と同様に、電流源の数も3つに限定されない。
【0053】
次に、本実施形態に係る光ディスク記録装置によるスキュー検出動作について説明する。
【0054】
スキュー検出動作時には、パルス生成回路11は、記録ストラテジ信号チャネルのうちの、スキューを補正する対象の2チャネルに対して、デューティ比50%の信号を出力する。一方、パルス生成回路11は、これらの2チャネル以外のチャネルの出力をロウ(Low)固定とする。
【0055】
CPU12は、挿入遅延回路13において挿入する遅延量を変更し、記録動作を行い、スキュー検出手段27で位相ずれの有無判定を行うまでの一連の動作を制御する。CPU12は、位相ずれが検出されなくなるまで、一連の動作を繰り返す。
【0056】
CPU12から電流源CS1〜CS3のそれぞれに対して指示する電流値を、いずれも、所定の同一の電流値としてもよい。ただし、記録ストラテジ信号をロウ固定としたチャネルに対応する電流源の電流値は、ドントケアとなるため、任意の値としてもよい。したがって、記録ストラテジ信号をデューティ比50%としたチャネルに対応する電流源の電流値のみを、所定の同一の電流値としてもよい。
【0057】
また、この電流値の固定値は、1つのチャネルのみの出力を行った場合に、戻り光RFのリミッタ入力信号として、閾値電圧を下回るか、または、記録動作でないときの電圧レベルと閾値電圧の1/2を下回る電圧レベルになるような光量に相当する電流値とする必要がある。なぜなら、位相がずれた状態で記録が行われた場合に、いずれか一方の記録ストラテジ信号チャネルのみがハイ(High)となっている区間も、戻り光のRF信号を2値化したときに、記録が行われたピット部(本実施形態では、RF信号の2値化後のレベルがロウレベル)として検出する必要があるからである。
【0058】
ある基準チャネルを選択し(例えばチャネルCH1)、スキュー補正動作を基準チャネル以外の各チャネルに対して行うことにより、すべてのチャネルに対する相対的なスキュー量が一意に決定される。得られた各チャネルに必要な遅延量を挿入遅延回路13にフィードバックすることで、スキュー補正が完了する。
【0059】
図3は、CPU12による制御動作を一例として示すフローチャートである。CPU12による制御動作を、図3を参照して説明する。
【0060】
まず、CPU12は、電流源CS1〜CS3のそれぞれに対して、所定の同一の電流値を設定する(ステップS1)。次に、CPU12は、チャネルCH1〜CH3のいずれについても、記録ストラテジパルスの遅延補正量をゼロに設定する(ステップS2)。
【0061】
次に、CPU12は、チャネルCH1、CH2に対する内部記録ストラテジパルスWi1、Wi2として、デューティ比50%のパルス信号を出力し、チャネルCH3に対する内部記録ストラテジパルスWi3として、ロウ固定の信号を出力するように、パルス生成回路11に指示する。さらに、CPU12は、これらのストラテジ信号に基づいて書き込み動作を行うように書き込み手段20に指示する(ステップS3)。
【0062】
次に、CPU12は、書き込み手段20が書き込みを行った場合における戻り光を電気信号に変換し、電気信号の電圧レベルを所定の閾値電圧以上に制限し、制限された電気信号を2値化するとともに、2値化した信号のデューティ比を測定するように、それぞれ、光検出器21、制限回路22、2値化処理回路24、および、スキュー検出手段27に指示する(ステップS4)。
【0063】
CPU12は、デューティ比の測定結果に従って、チャネルCH1を経由した外部記録ストラテジ信号We1と、チャネルCH2を経由した外部記録ストラテジ信号We2との間に位相のずれがあるかどうかを判定する(ステップS5)。
【0064】
位相のずれが存在する場合には(ステップS5のYes)、CPU12は、チャネルCH2に対する内部記録ストラテジ信号Wi2に挿入する遅延量を変更するように、遅延挿入回路13に指示し(ステップS6)、ステップS3に戻る。一方、位相のずれが存在しない場合には(ステップS5のNo)、CPU12はチャネルCH1、CH2間のスキュー調整を終了し、ステップS7へ進む。
【0065】
次に、CPU12は、チャネルCH1、CH3に対する内部記録ストラテジパルスWi1、Wi3として、デューティ比50%のパルス信号を出力し、チャネルCH2に対する内部記録ストラテジパルスWi2として、ロウ固定の信号を出力するように、パルス生成回路11に指示する。さらに、CPU12は、これらのストラテジ信号に基づいて書き込み動作を行うように書き込み手段20に指示する(ステップS7)。
【0066】
次に、CPU12は、書き込み手段20が書き込みを行った場合における戻り光を電気信号に変換し、電気信号の電圧レベルを所定の閾値電圧以上に制限し、制限された電気信号を2値化するとともに、2値化した信号のデューティ比を測定するように、それぞれ、光検出器21、制限回路22、2値化処理回路24、および、スキュー検出手段27に指示する(ステップS8)。
【0067】
CPU12は、デューティ比の測定結果に従って、チャネルCH1を経由した外部記録ストラテジ信号We1と、チャネルCH3を経由した外部記録ストラテジ信号We3との間に位相のずれがあるかどうかを判定する(ステップS9)。
【0068】
位相のずれが存在する場合には(ステップS9のYes)、CPU12は、チャネルCH3に対する内部記録ストラテジ信号Wi3に挿入する遅延量を変更するように、遅延挿入回路13に指示する(ステップS10)。一方、位相のずれが存在しない場合には(ステップS9のNo)、CPU12はチャネルCH1、CH3間のスキュー調整を終了する。
【0069】
以上のフローにより、チャネルCH1、CH2間のスキューおよびチャネルCH1、CH3間のスキューの双方が解消される。したがって、すべてのチャネルCH1〜CH3間のスキューが解消される。
【0070】
図4および図5は、チャネルCH1、CH2間のスキュー補正を実施する場合におけるタイミングチャートを一例として示す。図4は、チャネルCH1を経由した外部記録ストラテジ信号We1と、チャネルCH2を経由した外部記録ストラテジ信号We2との間にスキューが存在する場合のタイミングチャートを示す。一方、図5は、チャネルCH1を経由した外部記録ストラテジ信号We1と、チャネルCH2を経由した外部記録ストラテジ信号We2との間にスキューが存在しない場合のタイミングチャートを示す。
【0071】
図4を参照すると、スキューが存在する場合には、戻り光を電気信号(RF信号)に変換し、電気信号の電圧レベルを所定の閾値電圧(リミットレベル)以上に制限し、制限された電気信号を2値化した信号のデューティ比は50%以外の値をとる。
【0072】
一方、図5を参照すると、スキューが存在しない場合には、戻り光を電気信号に変換し、電気信号の電圧レベルを所定の閾値電圧以上に制限し、制限された電気信号を2値化した信号のデューティ比は50%となる。
【0073】
したがって、スキュー検出手段27は、制限された電気信号を2値化した信号のデューティ比を計測することにより、スキューの有無を判定することが可能となる。
【0074】
本実施形態の光ディスク記録装置の構成および動作によると、光ディスク記録装置の実使用条件下において、記録ストラテジ信号のチャネル間スキューを容易かつ動的に補正することが可能となる。また、本実施形態によると、光ディスク記録装置の再生動作のために設けられた光検出器21、2値化処理回路24等をスキュー調整動作においても利用することで、スキュー調整のために新たに追加すべき回路を、簡易で小規模な回路とすることができる。したがって、本実施形態の光ディスク記録装置によると、回路規模を大幅に増大させることなく、記録ストラテジ信号間のスキュー量を調整することが可能となる。
【0075】
(実施形態2)
第2の実施形態に係る光ディスク記録装置について、図面を参照して説明する。図6は、本実施形態の光ディスク記録装置の構成を一例として示すブロック図である。図6を参照すると、光ディスク記録装置は、パルス生成手段14、書き込み手段20、光検出器21、制限回路22、ゲイン/オフセット調整回路23、A/Dコンバータ(ADC)28、および、スキュー検出手段32を備えている。
【0076】
パルス生成手段14は、パルス生成回路11、CPU12、および、遅延挿入回路13を備えている。また、書き込み手段20は、電流値制御部15、電流源CS1〜CS3、スイッチSW1〜SW3、レーザドライバ16、光源17、ビームスプリッタ18、および、対物レンズ19を備えている。なお、書き込み手段20の構成は、図9に示した光ディスク記録装置において対応する手段の構成と同様であることから、説明を省略する。また、パルス生成手段14の構成は、図1に示した第1の実施形態に係る光ディスク記録装置において対応する手段の構成と同様であることから、説明を省略する。
【0077】
本実施形態の光ディスク記録装置は、スキュー検出手段32の構成、および、2値化処理回路24(図1)をADC28とした点において、第1の実施形態に係る光ディスク記録装置(図1)と相違する。
【0078】
図6を参照すると、スキュー検出手段32は、FIFO回路29と、乗算器30と、加算器およびラッチ回路を有する平均化回路31とを備えている。スキュー検出手段32は、ADC28から出力された信号と、この信号の位相をFIFO回路29でπだけ遅延させた信号との自己相関に基づいて、スキューを検出する。
【0079】
ADCは、通常の再生動作時、信号処理をデジタル処理で実現する場合に一般的に使用される。したがって、光ディスク記録装置がすでにADCを備えている場合には、スキュー調整のために別途ADC28を設ける必要はない。ADC28は、記録動作中のRF信号をデジタルデータに変換する。
【0080】
FIFO回路29は、ADC28から出力されたデジタルデータを入力とし、記録ストラテジ信号に出力したデューティ比50%の信号の周期の1/2だけ遅延させた信号を生成する。言い換えると、FIFO回路29は、ADC28から出力されたデータに対して位相π(rad)だけ遅延させたデータを出力する。乗算器30は、FIFO回路29からの出力信号とADC28からの出力信号とを乗算して出力する。平均化回路31は、乗算器30から出力された信号を平均化して出力する。平均化回路31から出力された信号を「自己相関値」と呼ぶ。
【0081】
自己相関値の振る舞いは、2チャネル間の記録ストラテジ信号のスキューの有無に応じて大きく変動する。スキューが発生していない場合には、RF信号のデューティ比が50%に保たれているため、自己相関値は絶対値の大きい負値となる。一例として、RF信号のハイ(High)レベルを「+1」、ロウ(Low)レベルを「−1」に規格化した場合には、理想的な自己相関値は「−1」となる。
【0082】
一方、スキューが発生している場合には、RF信号のデューティ比が50%からずれているために、自己相関値はスキューが発生していない場合よりも大きい値をとる。
【0083】
CPU12は、自己相関値が小さい値となるように挿入遅延量を変更するよう、遅延挿入回路13に指示する。これにより、記録ストラテジ信号の2チャネル間におけるスキューを調整することができる。
【0084】
第1の実施形態の光ディスク記録装置と比較すると、本実施形態の光ディスク記録装置では、RF信号の2値化閾値を厳密に決める必要がなくなる上、厳密に帯域を管理されたBPF25(図1)も必要とされない。
【0085】
なお、本発明によると、さらに下記の形態が可能となる。
[形態1]
上記一視点に係る光ディスク記録装置のとおりである。
[形態2]
前記パルス生成手段は、デューティ比50%かつ位相差のないパルス信号の一方を、前記第1の記録ストラテジ信号として前記第1のチャネルに出力するとともに、他方を、前記第2の記録ストラテジ信号として前記第2のチャネルに出力するようにしてもよい。
[形態3]
前記パルス生成手段は、前記スキュー検出手段によりスキューが検出された場合には、デューティ比50%かつ相対的な位相差が調整されたパルス信号の一方を、前記第1の記録ストラテジ信号として前記第1のチャネルに出力するとともに、他方を、前記第2の記録ストラテジ信号として前記第2のチャネルに出力するようにしてもよい。
[形態4]
前記スキュー検出手段は、前記制限された電気信号を2値化した信号のデューティ比が50%であるか否かに応じて前記スキューを検出するようにしてもよい。
[形態5]
前記スキュー検出手段は、前記制限された電気信号を2値化した信号に含まれる偶数次高調波の振幅を参照し、該信号のデューティ比が50%であるか否かを判定するようにしてもよい。
[形態6]
前記スキュー検出手段は、前記制限された電気信号と前記制限された電気信号の位相を180度ずらした信号との自己相関に基づいて前記スキューを検出するようにしてもよい。
[形態7]
デューティ比50%のパルス信号を、第1の記録ストラテジ信号として第1のチャネルに出力するとともに、第2の記録ストラテジ信号として第2のチャネルに出力するパルス生成手段と、
少なくとも前記第1のチャネルを経由した前記第1の記録ストラテジ信号および前記第2のチャネルを経由した前記第2の記録ストラテジ信号を用いて光ディスクへの書き込みを行った場合における戻り光を電気信号に変換する光検出手段と、
前記電気信号の電圧レベルを所定の閾値電圧以上または所定の閾値電圧以下に制限する制限手段と、
前記第1のチャネルを経由した前記第1の記録ストラテジ信号と、前記第2のチャネルを経由した前記第2の記録ストラテジ信号との間のスキューを、前記制限された電気信号に基づいて検出するスキュー検出手段と、を備えることを特徴とするスキュー調整回路が提供される。
[形態8]
上記スキュー調整回路において、前記パルス生成手段は、デューティ比50%かつ位相差のないパルス信号の一方を、前記第1の記録ストラテジ信号として前記第1のチャネルに出力するとともに、他方を、前記第2の記録ストラテジ信号として前記第2のチャネルに出力するようにしてもよい。
[形態9]
上記スキュー調整回路において、前記パルス生成手段は、前記スキュー検出手段によりスキューが検出された場合には、デューティ比50%かつ相対的な位相差が調整されたパルス信号の一方を、前記第1の記録ストラテジ信号として前記第1のチャネルに出力するとともに、他方を、前記第2の記録ストラテジ信号として前記第2のチャネルに出力するようにしてもよい。
[形態10]
上記スキュー調整回路において、前記スキュー検出手段は、前記制限された電気信号を2値化した信号のデューティ比が50%であるか否かに応じて前記スキューを検出するようにしてもよい。
[形態11]
上記スキュー調整回路において、前記スキュー検出手段は、前記制限された電気信号と前記制限された電気信号の位相を180度ずらした信号との自己相関に基づいて前記スキューを検出するようにしてもよい。
[形態12]
デューティ比50%のパルス信号を、第1の記録ストラテジ信号として第1のチャネルに出力するとともに、第2の記録ストラテジ信号として第2のチャネルに出力する工程と、
少なくとも前記第1のチャネルを経由した前記第1の記録ストラテジ信号および前記第2のチャネルを経由した前記第2の記録ストラテジ信号を用いて光ディスクへの書き込みを行った場合における戻り光を電気信号に変換する工程と、
前記電気信号の電圧レベルを所定の閾値電圧以上または所定の閾値電圧以下に制限する工程と、
前記第1のチャネルを経由した前記第1の記録ストラテジ信号と、前記第2のチャネルを経由した前記第2の記録ストラテジ信号との間のスキューを、前記制限された電気信号に基づいて検出する工程と、を含むことを特徴とするスキュー調整方法が提供される。
【0086】
なお、先行技術文献である上記の特許文献の開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0087】
11、111 パルス生成回路
12、112 CPU
13、113 遅延挿入回路
14 パルス生成手段
15、115 電流値制御部
16、116 レーザドライバ
17、117 光源
18、118 ビームスプリッタ(Beam Splitter)
19、119 対物レンズ
20 書き込み手段
21、121 光検出器
22 制限回路
23 ゲイン/オフセット調整回路
24 2値化処理回路
25 バンドパスフィルタ(BPF)
26 振幅測定回路
27、32 スキュー検出手段
28、133 A/Dコンバータ(ADC)
29 FIFO回路
30 乗算器
31 平均化回路
40、140 光ディスク
130 CPU
131 位相差検出回路
132 ローパスフィルタ(LPF)
134 レジスタ回路
CH1〜CH3 チャネル
CS1〜CS3 電流源
SW1〜SW3 スイッチ
W1〜W3 記録ストラテジ信号
We1〜We3 外部記録ストラテジ信号
Wi1〜Wi3 内部記録ストラテジ信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デューティ比50%のパルス信号を、第1の記録ストラテジ信号として第1のチャネルに出力するとともに、第2の記録ストラテジ信号として第2のチャネルに出力するパルス生成手段と、
少なくとも前記第1のチャネルを経由した前記第1の記録ストラテジ信号および前記第2のチャネルを経由した前記第2の記録ストラテジ信号を用いて光ディスクへの書き込みを行う書き込み手段と、
前記書き込み手段が書き込みを行った場合における戻り光を電気信号に変換する光検出手段と、
前記電気信号の電圧レベルを所定の閾値電圧以上または所定の閾値電圧以下に制限する制限手段と、
前記第1のチャネルを経由した前記第1の記録ストラテジ信号と、前記第2のチャネルを経由した前記第2の記録ストラテジ信号との間のスキューを、前記制限された電気信号に基づいて検出するスキュー検出手段と、を備えることを特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項2】
前記パルス生成手段は、デューティ比50%かつ位相差のないパルス信号の一方を、前記第1の記録ストラテジ信号として前記第1のチャネルに出力するとともに、他方を、前記第2の記録ストラテジ信号として前記第2のチャネルに出力することを特徴とする、請求項1に記載の光ディスク記録装置。
【請求項3】
前記パルス生成手段は、前記スキュー検出手段によりスキューが検出された場合には、デューティ比50%かつ相対的な位相差が調整されたパルス信号の一方を、前記第1の記録ストラテジ信号として前記第1のチャネルに出力するとともに、他方を、前記第2の記録ストラテジ信号として前記第2のチャネルに出力することを特徴とする、請求項1または2に記載の光ディスク記録装置。
【請求項4】
前記スキュー検出手段は、前記制限された電気信号を2値化した信号のデューティ比が50%であるか否かに応じて前記スキューを検出することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光ディスク記録装置。
【請求項5】
前記スキュー検出手段は、前記制限された電気信号と前記制限された電気信号の位相を180度ずらした信号との自己相関に基づいて前記スキューを検出することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光ディスク記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−89265(P2013−89265A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227267(P2011−227267)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】