説明

光トランシーバの制御装置

【課題】 コネクタ側に特別の細工をすることなく、光コネクタの挿脱に応じてレーザ出力を制御し、レーザ光の外部への放出を確実に抑えることを可能にした光トランシーバの制御装置を提供する。
【解決手段】 光コネクタの挿脱に応じて、光トランシーバから出力される光出力のオン・オフを制御する光トランシーバの制御装置が、光トランシーバに設けられた磁石と、光トランシーバ内に設けられ、磁石の磁気を検出する磁気センサと、磁気センサの検出信号に応答して、光トランシーバの光出力を制御する制御手段とで構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光トランシーバの制御装置に係わり、特に、光コネクタを光トランシーバに挿脱する際、光トランシーバの出力であるレーザ光が外部に漏れて、人体に照射されないようにした光トランシーバの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光トランシーバにおいて、XFP(10 Gigabit Small Form Factor Pluggable Module)、SFP(Small Form Factor Pluggable Module)等、装置実装時に光学部品の開口部が前面に露出する製品が多くなってきている。
【0003】
これらの製品は、電源供給状態での光コネクタの交換が前提となっているため、交換時に前面からレーザ光を放出している状態になってしまい、レーザの強さによっては人体への影響があるため、遮蔽構造が必要となる。
【0004】
図4は、従来の光トランシーバの遮蔽構造の一例を示す図である。
【0005】
図4において、101は、光トランシーバの筐体の光コネクタ接続口102にはめ込まれているシャッターである。シャッター101は板バネとなっており、光コネクタ接続時は光コネクタの壁面に沿って倒れこみ、光コネクタ接続口を形成するようになっている。
【0006】
しかしながら、このようなシャッター構造においては、次のような課題がある。
【0007】
即ち、シャッター101が板バネのため、塑性変形する可能性があり、又、コネクタの挿脱時にシャッター101が抜け落ちてしまう可能性もあり、更に、コネクタ接続時には、シャッター101が元の位置に戻ろうとする力が働き、コネクタの接続信頼性を損ねるという欠点があった。
【0008】
又、特許文献1には、コネクタ24に磁石を設けると共に、送信モジュール10側にホールセンサ14を設け、ホールセンサ14が磁石の磁気を検出したときのみ、送信モジュール10内のレーザ光源をオン状態に制御するインターロックシステムが開示されている。
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1の場合、コネクタ側に磁石を設けなければならず、このために、高価になってしまい、更に、磁石が設けられていないコネクタを挿入した場合、システムが正常に作動しない等、多くの欠点があった。
【特許文献1】特公平7−101248号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記した点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コネクタ側に特別の細工をすることなく、光コネクタの挿脱に応じてレーザ出力を制御し、レーザ光の外部への放出を確実に抑えることを可能にした信頼性の高い新規な光トランシーバの制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記した目的を達成するために、基本的には、以下に記載されたような技術構成を採用するものである。
【0012】
即ち、本発明に係わる光トランシーバの制御装置の第1の態様は、
光コネクタの挿脱に応じて、光トランシーバから出力される光出力のオン・オフを制御する光トランシーバの制御装置において、
前記光トランシーバ内に設けられた磁石と、
前記光トランシーバ内に設けられ、前記磁石の磁気を検出する磁気センサと、
前記磁気センサの検出信号に応答して、前記光トランシーバの光出力を制御する制御手段と、
で構成したことを特徴とするものであり、
又、第2の態様は、
前記磁石と磁気センサとは、前記光コネクタを挟むように配置されていることを特徴とするものであり、
又、第3の態様は、
前記磁気センサは、MRセンサであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光トランシーバの制御装置は、上記のように構成したので、光コネクタの挿脱によりレーザ光の発光の有無を決める為、光コネクタ未接続時のレーザ光の外部への放出を確実に抑えることができる。
【0014】
又、光コネクタに対し不要な力をかけない構造であるから、信頼性を損ねることがなく、長寿命になる。
【0015】
更に、光コネクタに特別の細工を施さない構造であるから、使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の光トランシーバの制御装置では、光モジュールの筐体1内に、磁石7とこの磁石7の磁気を検出するMRセンサ5a、5bとが、装着された光コネクタ11を挟むように配置されている。
【0017】
そして、光コネクタが、光トランシーバの所定の位置に装着されていないときには、MRセンサ5a、5bが、磁石7の磁気を検出することが出来ないように構成されているから、制御手段10が、TOSA(Transmitting Optical Sub−Assembly)4a、ROSA(Receiving Optical Sub−Assembly)4bへの電源供給を停止する。従って、レーザ光が外部に放出されることはない。
【0018】
一方、光コネクタ11が、光トランシーバの所定の位置に装着されると、MRセンサ5a、5bが、磁石7の磁気を検出し、MRセンサ5a、5bの検出信号に基づいて、制御手段が、TOSA4a、ROSA4bへの電源供給を開始するので、光トランシーバとしての動作を開始する。
【実施例】
【0019】
次に、本発明の光トランシーバの制御装置について、図を用いて詳細に説明する。
【0020】
図1を参照すると、光モジュールの筐体1の一方の端部には、光コネクタ11挿入用の開口部2a、2bが設けられ、他方の端部には、接続端子3を露出させる開口部が設けられている。
【0021】
光モジュール内のTOSA4a、ROSA4b、MRセンサ5a、5b、接続端子3は、回路基板6上に搭載されており、MRセンサ5a、5bは、筐体1の内壁に形成した溝に固定され、又、磁石7は、筐体1に形成した凹部に固定されている。
【0022】
そして、MRセンサ5aと磁石7とは、挿入された光コネクタ11を挟むように配置され、又、MRセンサ5bと磁石7とは、挿入された光コネクタ(図示していない)を挟むように配置されている。
【0023】
図3は、本発明の電気的構成を示すブロック図であり、制御手段10が、MRセンサ5a、5bの検出信号に基づき、光サブユニットのTOSA4a、ROSA4bへの電源供給を制御するように構成している。
【0024】
このように構成された本発明の光モジュールは、例えば、通信装置のマザーボード等の基板に設けられたケージに対して着脱可能に構成されている。そして、光モジュールは、ケージ内に平行な姿勢で装着された際に、ケージに係止されてロック状態になり、基板側に設けられた電気コネクタに接続される。このとき、光モジュールに電源供給が開始されるが、光コネクタ11が装着されていないために、磁石7よりの磁界9を通常MRセンサ5a、5bが検出することが出来ない。このため、回路基板6上に設けられた制御手段10は、TOSA4a、ROSA4bからなる光サブユニット4に対しての電源供給を行わない。このために、レーザ光が外部に放出されることはない。
【0025】
一方、入力側接続口2bに、外部から光モジュールに光信号を入力するための入力側の光コネクタ(図示していない)が接続され、出力側接続口2aに、光モジュールから外部に光信号を出力するための出力側の光コネクタ11が接続されると、それぞれの光コネクタ11内部に設けられている磁性体からなるバネ12を介して、磁石7の磁界9がMRセンサ5a、5bに届くことにより、制御手段10は、TOSA4a、ROSA4bからなる光サブユニット4に対し電源供給を開始し、光トランシーバとしての動作を開始する。
【0026】
また、一方の光コネクタを引き抜いたとき、MRセンサ5a又は5bに対しての磁石7の磁界9が遮断される為、光サブユニット4に対する電源供給が停止し、レーザ光が外部へ放出がなされることはない。
【0027】
次に、本発明の他の実施例について図2を参照して詳細に説明する。
【0028】
図2の実施例では、光コネクタ11が装着されていないとき、MRセンサ5a、5bは、磁石7の磁界9を検出することができるように、MRセンサ5a、5bが配置され、光サブユニット4に対しての電源供給が停止されるようになっている。
【0029】
そして、光コネクタ11が挿入されたとき、光コネクタ内に設けられているフェルール13により磁石7の磁界9が遮られ、MRセンサ5a、5bは、磁石7の磁界9を検出できなくなり、その結果、光サブユニット4に対し電源供給され、光トランシーバとしての動作を開始する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施例の構成を示す図である。
【図3】本発明の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】従来技術の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0031】
1 筐体
2a、2b 接続口
3 接続端子
4 光サブユニット
4a TOSA
4b ROSA
5a MRセンサ
5b MRセンサ
6 回路基板
7 磁石
9 磁界
10 制御手段
11 光コネクタ
12 バネ
13 フェルール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタの挿脱に応じて、光トランシーバから出力される光出力のオン・オフを制御する光トランシーバの制御装置において、
前記光トランシーバ内に設けられた磁石と、
前記光トランシーバ内に設けられ、前記磁石の磁気を検出する磁気センサと、
前記磁気センサの検出信号に応答して、前記光トランシーバの光出力を制御する制御手段と、
で構成したことを特徴とする光トランシーバの制御装置。
【請求項2】
前記磁石と磁気センサとは、前記光コネクタを挟むように配置されていることを特徴とする請求項1記載の光トランシーバの制御装置。
【請求項3】
前記磁気センサは、MRセンサであることを特徴とする請求項1又は2記載の光トランシーバの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−192823(P2009−192823A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33444(P2008−33444)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】