説明

光パルス速度制御装置及び光パルスの速度制御方法

【課題】簡易な構成の光パルス速度制御装置及び光パルスの速度制御方法を提供する。
【解決手段】信号光となるパルス光を送信する送信機10とパルス光を受信する受信機12とを接続する光ファイバ14と、光ファイバ14に設けられ、パルス光を増幅する光アンプ15とを有し、光アンプ15により、光ファイバ14の透過光強度が線形変化する領域の最大の入射光強度より大きな入射光強度に、パルス光を増幅して制御することにより、光ファイバ14で発生する誘導ブリルアン散乱による後方散乱光の強度を制御し、後方散乱光による群屈折率の変化の大きさを制御して、パルス光の速度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送ネットワークにおけるパルス光の速度制御を行う光パルス速度制御装置及び光パルスの速度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送ネットワークにおいて、WDM(Wavelength Division Multiplexing)伝送により1心のファイバ当たりの伝送容量が増加している。これらの光ファイバが終端されるルータでは、伝送データの処理を光から電気に変換して処理を行っている。従って、ルータにおける伝送データの光−電気変換処理及び電気信号処理がボトルネックとなっている。
【0003】
そこで、OADM(Optical Add/Drop Multiplexer)や光スイッチといった光信号を電気に変換することなく処理を行うデバイスが用いられてきている。しかしながら、これらの技術は、波長を基にしたパス制御、又は、静的なスイッチング処理に留まり、伝送データの単位であるパケット毎のルーティングといった柔軟な制御を行うことができない。特に、パルス光の伝播速度制御が柔軟に行えないことから、信号処理部における、信号の衝突が問題である。
【0004】
これを回避するためには、光信号を電気に変換することなく保持できる光バッファが必要となる。近年、この光バッファの実現に向けて、パルス光の伝播速度が変化するスローライト現象についての検討がなされている。パルス光の伝播速度制御は、光が伝播する媒質の群屈折率を変化させることで実現され、群屈折率の制御は、被制御対象の信号光とは別にポンプ光と呼ばれる光を媒質に入射することによって実現される。
【0005】
ここで、誘導ブリルアン散乱(SBS;Stimulated Brillouin Scattering)と呼ばれる現象を用いた場合のパルス光の速度制御法方法の概要を説明する。
【0006】
誘導ブリルアン散乱とは、入射光と音響フォノンとの相互作用によって生じる散乱現象で、スペクトル線幅の狭い光を光ファイバに入射すると、入射光と反対の伝播方向に、ブリルアンシフト周波数と呼ばれる周波数だけ低い周波数を持つストークス光を発生する。このとき、ストークス光を発生させる入射光をポンプ光と呼ぶことにする。つまり、ポンプ光の周波数をfp、ブリルアンシフト周波数をfbとすると、ストークス光の周波数はfp−fbとなる。
【0007】
ここで、中心周波数がfp−fbである信号光を、ポンプ光に対向して光ファイバに入射すると、光ファイバ中でポンプ光から信号光へ光パワーが移り、信号光がゲインされる。このゲインは、図7(a)に示すとおりfp−fbを中心にローレンツ型のスペクトル特性を持っており、このゲインにはクラマース・クローニッヒの関係と呼ばれる法則から、同じくfp−fbを中心に図7(b)に示す屈折率変化が生じる。
【0008】
群屈折率は、
【数1】

の関係から求められ、図7(c)に示すスペクトル特性の群屈折率変化が生じ、群屈折率はfp−fbを中心に増加する。パルス光の伝播速度は真空中の光の速度を群屈折率で割ったものになるので、パルス光はゲインされると共に、伝播速度が遅くなる。ゲイン量や群屈折率変化量のピーク値は、ポンプ光強度に比例するため、ポンプ光の強度を制御することによって、パルス光の速度を制御できる。又、ポンプ光周波数がfp、信号光の周波数がfp+fbである場合、先に説明したゲインとは逆に、パルス光にロスが生じる。このロスのスペクトル特性は、図7(a)〜(c)に示した特性の正負反転の特性であり、ロスや群屈折率変化量のピークを示す周波数はfp+fbとなり、群屈折率はfp+fbにおいて減少する。つまり、パルス光はロスを受けると共に、パルス光の伝播速度が速くなる。この現象に関しても、ロスや群屈折率変化のピーク値は、ポンプ光強度に比例するため、ポンプ光強度の制御によるパルス光の速度制御が実現できる。
【0009】
【非特許文献1】Kwang Yong Song et al., "Observation pf pulse delaying and advancement in optical fibers using stimulated Brillouin", Optics Express, Vol. 13, Issue 1, pp.82-88, January 2005
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
パルス光の速度制御を実現するためには、図8に示すように、信号光を送信する送信機10と信号光を受信する受信機12とが光ファイバ14で接続された光伝送ネットワークにおいて、光ファイバ14に設けた光カプラ13を介して、光源11を接続し、ポンプ光を入射する必要がある。信号光の周波数をfsとすると、fs+fb又はfs−fbの周波数を持つポンプ光を、信号光と対向して光ファイバ14に入射する必要があるため、ポンプ光周波数の制御や安定化のためには、その構成が複雑になるという問題があった。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、簡易な構成の光パルス速度制御装置及び光パルスの速度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する第1の発明に係る光パルス速度制御装置は、
信号光となるパルス光を送信する送信機と前記パルス光を受信する受信機とを接続する光ファイバと、
前記光ファイバに設けられ、前記パルス光を増幅する光アンプとを有し、
前記光アンプにより、前記光ファイバの透過光強度が線形変化する領域の最大の入射光強度より大きな入射光強度に、前記パルス光を増幅して制御することにより、前記光ファイバで発生する誘導ブリルアン散乱による後方散乱光の強度を制御し、前記後方散乱光による群屈折率の変化の大きさを制御して、前記パルス光の速度を制御することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第2の発明に係る光パルス速度制御装置は、
第1の発明に記載の光パルス速度制御装置において、
前記光ファイバの前記光アンプ側に設けられ、前記光ファイバで発生した前記後方散乱光を前記光ファイバから分波する分波器と、
前記分波器に一端が接続された他の光ファイバと
前記他の光ファイバの他端が接続されると共に前記光ファイバの前記受信機側に設けられ、前記光ファイバに対して前記パルス光とは反対の伝播方向に前記後方散乱光を合波する合波器とを有することを特徴とする。
なお、分波器、合波器としては、光カプラ又は光サーキュレータ等が使用可能である。
【0014】
上記課題を解決する第3の発明に係る光パルスの速度制御方法は、
信号光となるパルス光を送信する送信機と前記パルス光を受信する受信機とを接続する光ファイバと、
前記光ファイバに設けられ、前記パルス光を増幅する光アンプとを用い、
前記光アンプにより、前記光ファイバの透過光強度が線形変化する領域の最大の入射光強度より大きな入射光強度に、前記パルス光を増幅して制御することにより、前記光ファイバで発生する誘導ブリルアン散乱による後方散乱光の強度を制御し、前記後方散乱光による群屈折率の変化の大きさを制御して、前記パルス光の速度を制御することを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する第4の発明に係る光パルスの速度制御装方法は、
信号光となるパルス光を送信する送信機と前記パルス光を受信する受信機とを接続する光ファイバと、
前記光ファイバに設けられ、前記パルス光を増幅する光アンプと、
前記光ファイバの前記光アンプ側に設けられた分波器と、
前記分波器に一端が接続された他の光ファイバと、
前記他の光ファイバの他端が接続されると共に前記光ファイバの前記受信機側に設けられた合波器とを用い、
前記光アンプにより、前記光ファイバの透過光強度が線形変化する領域の最大の入射光強度より大きな入射光強度に、前記パルス光を増幅して制御することにより、前記光ファイバで発生する誘導ブリルアン散乱による後方散乱光の強度を制御すると共に、前記光ファイバで発生した前記後方散乱光を前記分波器により前記光ファイバから分波し、分波した前記後方散乱光を前記光ファイバに対して前記パルス光とは反対の伝播方向に前記合波器により再入射し、前記後方散乱光及び再入射した前記後方散乱光による群屈折率の変化の大きさを制御して、前記パルス光の速度を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1、第3の発明によれば、光アンプと光ファイバのみで光パルス速度制御装置が実現できるので、従来の手法では必須であるポンプ光を発生させる機構(ポンプ光発生光源及びそれに伴う機器)を省略して、構成を簡易にすることができ、経済的となる効果を奏する。又、信号光に対するポンプ光を、信号光自らが誘導ブリルアン散乱によって作り出すことができるため、ポンプ光の周波数制御が不要となり、パルス光の速度制御の精度が向上するという効果を奏する。
【0017】
第2、第4の発明によれば、分波器、合波器及びこれらを接続する他の光ファイバを更に設けたので、誘導ブリルアン散乱光を周回させて、光ファイバの出射側から入射するリング構成とすることができ、光アンプが低出力であっても、速度制御が実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る光パルス速度制御装置及び光パルスの速度制御方法の実施形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明に係る光パルス速度制御装置及び光パルスの速度制御方法の実施形態の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、本実施例の光パルス速度制御装置16は、信号光となるパルス光を送信する送信機10とパルス光を受信する受信機12とが光ファイバ14で接続された光伝送ネットワークにおいて、光ファイバ14の送信機10側に光アンプ15を設けることにより、光ファイバ14と光アンプ15とのみで光パルス速度制御装置16を構成したものである。このように、本実施例の光パルス速度制御装置16は、簡易な構成で実現される。
【0020】
本実施例の光パルス速度制御装置16において、光アンプ15は、送信機10からのパルス光を、光ファイバ14における誘導ブリルアン散乱の閾値(本発明においては、光ファイバ14の透過光強度が線形変化する領域の最大の入射光強度を閾値と定義する。)を越える強度に増幅している。この理由を、図2(a)、(b)を用いて説明する。なお、図2(a)、(b)は、光ファイバ14として、シングルモードファイバ25kmを使用したものである。光アンプ15の出射光強度、即ち、光ファイバ14への入射光強度に対して、光ファイバ14での反射光強度、透過光強度を測定すると、図2(a)に示すような変化が現れる。図2(a)に示すように、光ファイバ14への入射光強度を増加させていくと、ある入射光強度を超えると、突然反射光強度が増加していることがわかる。これが、誘導ブリルアン散乱による反射光である。
【0021】
一方、透過光強度は、ある入射光強度から増加しない現象が見られる。これは、誘導ブリルアン散乱による反射光の影響により損失を受けているからであり、図2(b)に示すように、この損失の増加に伴って、パルスの進みは増大することになる。つまり、光アンプ15からの入射光強度を増加させる際、透過光強度の増加がログスケールにおける線形的な増加から外れた点、つまり、閾値より高い出力を光アンプ15から入射すれば、パルス光の速度を制御することが可能となる。そして、このような現象を利用して、後述の図4に示すように、光ファイバ14への入射光強度を光アンプ15で制御することにより、パルス光の速度を制御することが可能となる。なお、閾値の具体的な数値は、ファイバ長やファイバの種類、パルス光源のスペクトル線幅等によって異なるため、これらの構成に応じて閾値を求め、求められた閾値に基づいて、光アンプ15による増幅強度を制御すればよい。
【0022】
光アンプ15としては、例えば、EDFA(エルビニウム・ドープド・ファイバ・アンプ)、ラマン増幅器等が使用可能である、EDFAを光アンプ15として用いる場合には、EDFAに入射する励起光の強度を制御することにより、EDFAによる増幅強度を制御することができ、その結果、パルス光の速度制御も可能となる。
【0023】
従って、本実施例の光パルス速度制御装置16において、送信機10からのパルス光の強度は、光ファイバ14に入射する前に光アンプ15により閾値を越える強度に増幅される。その後、光ファイバ14に増幅されたパルス光を入射すると、光ファイバ14中で誘導ブリルアン散乱が発生する。この散乱によって発生する後方散乱光は、パルス光から見てブリルアン周波数のシフト周波数量だけ低い周波数を持つ。この後方散乱光の周波数をfpとすると、パルス光の周波数はfp+fbとなり、後方散乱光がポンプ光の役割を果たし、パルス光が存在する周波数にロスを生じさせる。このロスには、先で述べたように屈折率変化が伴い、それにより群屈折率が減少する。これにより、パルス光の速度が速くなる。そして、パルス光の速度は、入射させるパルス光の強度によって制御できる。なぜなら、入射させるパルス光の強度を増加させると、後方散乱光の強度が増加し、群屈折率の変化量が増加するからである。従って、光ファイバ14に入射させるパルス光の強度を光アンプ15で制御することにより、光ファイバ14で発生する誘導ブリルアン散乱による後方散乱光の強度を制御し、後方散乱光による群屈折率の変化の大きさを制御して、パルス光の速度を制御することになる。
【0024】
図3は、パルス幅が約20nsの信号を用いた場合のパルス光の波形変化を示すグラフである。ここでは、例として、光アンプ15によるパルス光の増幅後の出力パワーPinを、3.9dBm、18dBm、21.7dBmにした場合のパルス波形を示す。又、図4は、入射光強度に対するパルスの進みを表したものである。図3、図4に示すように、入射光強度を増加させると、パルス光の速度も増加することも確認でき、入射光強度を制御することにより、パルスの進み、すなわち、パルス光の速度を制御できることが確認できた。
【実施例2】
【0025】
図5は、本発明に係る光パルス速度制御装置及び光パルスの速度制御方法の実施形態の他の一例を示す概略構成図である。なお、図5において、図1に示す光パルス速度制御装置と同等の構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0026】
本実施例の光パルス速度制御装置17は、図5に示すように、図1(実施例1)に示す光パルス速度制御装置16に対して、光ファイバ14の光アンプ15側に設けられた光カプラ13a(分波器)と、光カプラ13aに一端が接続された他の光ファイバ18と、光ファイバ18の他端が接続されると共に光ファイバ14の受信機12側に設けられた光カプラ13b(合波器)とを更に設けた構成である。つまり、光ファイバ14の両端側に、光カプラ13a、13bを設けると共に、光カプラ13a、13bを光ファイバ18で接続することにより、光リング構成を追加している。このように、本実施例の光パルス速度制御装置17も、光ファイバ14、18、光アンプ15、光カプラ13a、13bのみで構成されており、比較的簡易な構成で実現される。なお、光カプラ13a、13bに代えて、光サーキュレータを用いてもよい。
【0027】
光カプラ13a、13b、光ファイバ18からなる光リング構成において、パルス光の入射により光ファイバ14で発生した誘導ブリルアン散乱による後方散乱光は、光カプラ13aにより光ファイバ14から分波される。そして、分波された後方散乱光波は、光ファイバ18を経由して、光カプラ13bに伝播され、光ファイバ14に対して、パルス光とは反対の伝播方向に光カプラ13bにより合波されて、光ファイバ14に入射されることになる。この光リング構成により、光ファイバ14において、パルス光が出射される側(光カプラ13b側)から後方散乱光を再入射する構成としている。
【0028】
従って、光アンプ15により増幅された送信機10からのパルス光を光ファイバ14へ入射し、誘導ブリルアン散乱によって発生する後方散乱光を、光カプラ13aにより取り出し、光ファイバ18、光カプラ13bにより、光ファイバ14へ入射することにより、この後方散乱光を光ファイバ14のパルス光出射端側からパルス光入射端側へ入射することになり、パルス光に対するポンプ光として機能させることができる。このような構成により、誘導ブリルアン散乱によって発生する後方散乱光を光ファイバ14へ再入射するようにしているため、図1(実施例1)に示す光パルス速度制御装置16と比較して、入射光強度が小さくても、パルス光の速度制御が可能となり、速度制御に必要となる入射光強度を低減することができる。
【0029】
図6は、実施例1の場合と実施例2の場合における入射光強度に対するパルスの進みを示すグラフである。このように、リング構成を設けることで、同じパルスの進みを実現するために必要となる入射光強度が少なくてもよいことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、光信号の速度制御を実現する機能を持ち、光バッファや可変遅延回路として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る光パルス速度制御装置及び光パルスの速度制御方法の実施形態に一例を示す概略構成図である。
【図2】(a)は、光ファイバへの入射光強度に対して、その反射光強度、透過光強度の変化を示すグラフであり、(b)は、SBSに起因する損失とパルスの進みとの関係を示すグラフである。
【図3】図1に示す光パルス速度制御装置において、入射光強度を変化させた場合のパルス光の波形変化を示すグラフである。
【図4】図1に示す光パルス速度制御装置において、入射光強度に対するパルスの進み特性を示すグラフである。
【図5】本発明に係る光パルス速度制御装置及び光パルスの速度制御方法の実施形態の他の一例を示す概略構成図である。
【図6】入射光強度に対するパルスの進み特性を、図1に示す光パルス速度制御装置と図4に示す光パルス速度制御装置とで比較したグラフである。
【図7】誘導ブリルアン散乱によって引き起こされるゲイン、屈折率変化、群屈折率変化のスペクトル特性を示すグラフである。
【図8】従来の誘導ブリルアン散乱を用いた場合の光パルス速度制御装置示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0032】
10 送信機
11 光源
12 受信機
13、13a、13b 光カプラ
14、18 光ファイバ
15 光アンプ
16、17 光パルス速度制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号光となるパルス光を送信する送信機と前記パルス光を受信する受信機とを接続する光ファイバと、
前記光ファイバに設けられ、前記パルス光を増幅する光アンプとを有し、
前記光アンプにより、前記光ファイバの透過光強度が線形変化する領域の最大の入射光強度より大きな入射光強度に、前記パルス光を増幅して制御することにより、前記光ファイバで発生する誘導ブリルアン散乱による後方散乱光の強度を制御し、前記後方散乱光による群屈折率の変化の大きさを制御して、前記パルス光の速度を制御することを特徴とする光パルス速度制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光パルス速度制御装置において、
前記光ファイバの前記光アンプ側に設けられ、前記光ファイバで発生した前記後方散乱光を前記光ファイバから分波する分波器と、
前記分波器に一端が接続された他の光ファイバと、
前記他の光ファイバの他端が接続されると共に前記光ファイバの前記受信機側に設けられ、前記光ファイバに対して前記パルス光とは反対の伝播方向に前記後方散乱光を合波する合波器とを有することを特徴とする光パルス速度制御装置。
【請求項3】
信号光となるパルス光を送信する送信機と前記パルス光を受信する受信機とを接続する光ファイバと、
前記光ファイバに設けられ、前記パルス光を増幅する光アンプとを用い、
前記光アンプにより、前記光ファイバの透過光強度が線形変化する領域の最大の入射光強度より大きな入射光強度に、前記パルス光を増幅して制御することにより、前記光ファイバで発生する誘導ブリルアン散乱による後方散乱光の強度を制御し、前記後方散乱光による群屈折率の変化の大きさを制御して、前記パルス光の速度を制御することを特徴とする光パルスの速度制御方法。
【請求項4】
信号光となるパルス光を送信する送信機と前記パルス光を受信する受信機とを接続する光ファイバと、
前記光ファイバに設けられ、前記パルス光を増幅する光アンプと、
前記光ファイバの前記光アンプ側に設けられた分波器と、
前記分波器に一端が接続された他の光ファイバと、
前記他の光ファイバの他端が接続されると共に前記光ファイバの前記受信機側に設けられた合波器とを用い、
前記光アンプにより、前記光ファイバの透過光強度が線形変化する領域の最大の入射光強度より大きな入射光強度に、前記パルス光を増幅して制御することにより、前記光ファイバで発生する誘導ブリルアン散乱による後方散乱光の強度を制御すると共に、前記光ファイバで発生した前記後方散乱光を前記分波器により前記光ファイバから分波し、分波した前記後方散乱光を前記光ファイバに対して前記パルス光とは反対の伝播方向に前記合波器により再入射し、前記後方散乱光及び再入射した前記後方散乱光による群屈折率の変化の大きさを制御して、前記パルス光の速度を制御することを特徴とする光パルスの速度制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−63951(P2009−63951A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233653(P2007−233653)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】