説明

光ピックアップ、光ディスク装置及び立上プリズム

【課題】本発明は、光ピックアップ20の光路上の部品を小型化することができる
【解決手段】本発明は、受光した光ビーム80を分割面30bよって反射及び透過することにより第1出射光ビーム80A及び第2出射光ビーム80Bに分割し、第2出射光ビーム80Bの方向を反射面30dによって変化させて第1出射光ビーム80A及び第2出射光ビーム80Bを隣接させると共にその方向を統一させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ、光ディスク装置及び立上プリズムに関し、例えばDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクに対応する光ディスク装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図15に示すように、光ディスク装置における光ピックアップ1として、レーザダイオード2からレーザ光を出射し、その光束縦幅及び横幅が対物レンズ26に入射されるときの光ビームの光束幅である入射光束幅Tdまで拡大された状態で光ビームを立上プリズム5に入射し、この立上プリズム5によってレーザ光の角度を90°変化させて当該光ディスク100に対して直角に立ち上げることにより、対物レンズ6を介して当該光ビームを光ディスク100の信号記録層100aに照射するようになされたものがある。
【0003】
このような構成の光ピックアップ1では、立上プリズム5及び対物レンズ6が光ディスク100に対する直角方向に並べられて配置されるため、この対物レンズ近傍の厚さTt(光ディスク100から立上プリズムの底まで)が厚くなり易く、この対物レンズ近傍の厚さTtが光ピックアップ1全体の厚さを決定することが多い。
【0004】
この対物レンズ近傍の厚さTtは、ワーキングディスタンスTaと、対物レンズ6の厚さTbと、当該対物レンズ6のフォーカス方向の駆動範囲として確保される当該対物レンズ6と立上プリズム5との間隔であるレンズ/プリズム間隔Tcと、立上プリズム5の厚さを決定する入射光束幅Tdとの和として、以下の数式に従って算出することができる。
【0005】
Tt=Ta+Tb+Tc+Td・・・(1)
【0006】
ここで、図16に示すように、入射光束幅Tdは、光ディスク100のカバー層100bの厚みTv、対物レンズ6の開口数NA、当該カバー層100bの屈折率nDISK、及び空気中の屈折率nAIRの関係から、以下の数式に従って算出することができる。
【0007】
Td=2×D=2×(D+D)・・・(2)
【0008】
=Tv×tan(sin−1(NA/nDISK))・・・(3)
【0009】
=(1/2Tb+Ta)×tan(sin−1(NA/nAIR))・・・(4)
【0010】
例えば、光ディスク100がDVDであると仮定し、ワーキングディスタンスTaを1.2[mm]、対物レンズ6の厚さTbを2.0[mm]、カバー層100bの屈折率nDISKを1.5、空気中の屈折率nAIRを1.0として上記数式(2)、(3)及び(4)を用いて算出すると、Td=3.82[mm]となる。
【0011】
ここで、レンズ/プリズム間隔Tc=0.8[mm]として数式(1)に代入して対物レンズ近傍Ttの値を算出すると、Tt=Ta+Tb+Tc+Td=1.2+2.0+0.8+3.82=7.82[mm]となり、この値が光ピックアップ1における対物レンズ近傍Ttの最小値となる。
【0012】
ここで、立上プリズム5を光ディスク100に対する平行方向にずらすと共に、立上プリズム5及び対物レンズ6を直角方向に一部重なるように配置することにより、レンズ/プリズム間隔Tcを小さくして光ピックアップを薄型化するようになされたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−134701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで光ピックアップにおいては、さらなる小型化が要求されている。しかしながら、上述した光ピックアップ1は、その光束幅が入射光束幅Tdでなる光ビームを立上プリズム5に入射するため、光路上の光学部品のサイズを入射光束幅Td未満にすることが不可能であり、光ピックアップをさらに小型化したいという要求に対応することができないという問題があった。
【0014】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、光路上の部品を小型化する光ピックアップ、光ディスク装置及び立上プリズムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる課題を解決するため本発明の光ピックアップ及び光ディスク装置においては、光ディスクに対して平行方向に光ビームを発射する光源と、光ビームを平行光に変換するコリメータレンズと、コリメータレンズによって変換された光ビームを入射して光ディスクに対して直角方向に立ち上げる立上プリズムと、立ち上げられた光ビームを集光して光ディスクに照射する対物レンズとを設け、立上プリズムは、光ビームの一部を第1分割光ビームとして光ディスクに対して直角方向に反射すると共に、光ビームの残りを第2分割光ビームとして透過させる分割面と、第2分割光ビームの光路上に配置され、第2分割光ビームを反射させて第1分割光ビームに隣接させると共にその方向を統一させる反射面とを有するようにした。
【0016】
これにより、第1分割光ビーム及び第2分割光ビームを併せて光束幅が広がった1つの光ビームとして使用することができるため、立上プリズムに入射する光ビームの光束幅を対物レンズに入射するときの入射光束幅の約半分にできる。
【0017】
さらに、本発明の立上プリズムにおいては、光ディスクに対して平行に入射された光ビームの一部を第1分割光ビームとして光ディスクに対して直角方向に反射すると共に、光ビームの残りを第2分割光ビームとして透過させる分割面と、第2分割光ビームの光路上に配置され、第2分割光ビームを反射させて第1分割光ビームに隣接させると共にその方向を統一させる反射面とを設けるようにした。
【0018】
これにより、第1分割光ビーム及び第2分割光ビームを併せて光束幅が広がった1つの光ビームとして使用することができるため、立上プリズムに入射する光ビームの光束幅を対物レンズに入射するときの入射光束幅の約半分にできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1分割光ビーム及び第2分割光ビームを併せて光束幅が広がった1つの光ビームとして使用することができるため、立上プリズムに入射する光ビームの光束幅を対物レンズに入射するときの光束幅の約半分にし得、かくして光路上の部品を小型化する光ピックアップ、光ディスク装置及び立上プリズムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0021】
(1)光ディスク装置の全体構成
図1において10は、全体として光ディスク装置を示している。この光ディスク装置10は、制御部12が光ディスク装置10の各部を制御するようになされている。
【0022】
すなわち制御部12は、サーボ回路13を介してスピンドルモータ14を回転させ、ターンテーブル(図示せず)に載置された光ディスク100を回転駆動する。また制御部12は、サーボ回路13を介して送りモータ15を回転させ、ガイド軸17に沿って光ピックアップ20を光ディスク100の半径方向に移動させる。さらに制御部12は信号処理部18を制御し、光ディスク100に対するデータの読出及び書込を実行させる。
【0023】
これに加えて制御部12は光ピックアップ20の図示しないレンズ駆動装置を制御し、当該光ピックアップ20の対物レンズをトラッキング方向及びフォーカス方向に駆動する。
【0024】
(2)第1の実施の形態
図2は光ピックアップ20の構成を示している。レーザダイオード22は、信号処理部18(図1)から供給される駆動電流に応じてレーザ光を光ディスク100と平行に出射し、その中央部分である光ビーム80をビームスプリッタ23へ入射する。ビームスプリッタ23はレーザダイオード22から入射された光ビーム80を反射し、コリメータレンズ24へ入射する。
【0025】
コリメータレンズ24は、発散光である光ビーム80を平行光へ変換して立上プリズム30へ入射する。立上プリズム30は、入射された光ビーム80を光ディスク100に対して直角になるようにその角度を90°変化させて出射し、対物レンズ26に入射する。そして対物レンズ26は、光ビーム80を集光して光ディスク100の信号記録層100aに照射する。また対物レンズ26は、光ビーム80が信号記録層100aによって反射されてなる戻り光ビーム81を受光し、立上プリズム30に入射する。
【0026】
立上プリズム30は、入射された戻り光ビーム81の角度を90度変化させ、当該戻り光ビーム81をコリメータレンズ24とビームスプリッタ23を介して調整レンズ27に入射させる。調整レンズ27は、戻り光ビーム81の収差を調整するとともにその倍率を変換してフォトディテクタ28に入射する。そして、フォトディテクタ28は戻り光ビーム81を光電変換して再生RF信号を生成し、信号処理部18(図1)に供給するようになされている。
【0027】
本発明の光ピックアップ20は、立上プリズム30に入射された光ビーム80の光束縦幅Dvを入射光束幅Tdまで広げて対物レンズ26に入射するようになされている。次に、この立上プリズム30について、図3、図4及び図5を用いて説明する。
【0028】
なお、図4及び図5では、光ビーム80の光束と、立上プリズム30との関係を明確にするため、レーザダイオード22と、コリメータレンズ24と、対物レンズ26と、光ディスク100とを併せて図示して他の光学部品については省略すると共に、便宜上、レーザダイオード22及び立上プリズム30を平行に表示している。
【0029】
図3に示すように、立上プリズム30は、厚さWtが入射光束幅Tdの約半分であり、縦幅Wv及び横幅Whが入射光束幅Tdとほぼ同じでなる直方体形状を有している。この立上プリズム30は、同一材料でなる分割プリズム31及び反射プリズム32からなり、分割プリズム31及び反射プリズム32の各一面が貼り合わされることにより形成されている。
【0030】
この分割プリズム31は、2側面が直角二等辺三角形でなる2つの三角プリズムが貼り合わされることによって形成される。この2つの三角プリズム間の分割面30bには、光ビームの約50%を反射し、残りの約50%を透過させる半透反射膜を有する。
【0031】
同様に、反射プリズム32は、2側面が直角二等辺三角形でなる2つの三角プリズムが貼り合わされることによって形成され、この2つの三角プリズム間の反射面30dに光ビームを全反射する全反射膜を有している。
【0032】
この立上プリズム30は、分割プリズム31の入射面30aによって受光した光ビーム80を分割プリズム31の第1出射面30c及び反射プリズム32の第2出射面30eから対物レンズ26へ入射する。
【0033】
図4及び図5に示すように、立上プリズム30は、入射面30aから光ビーム80を受光すると、分割面30bによってこの光ビーム80の約50%を第1出射光ビーム80Aとして反射して、光ディスク100に対して直角になるようにその角度を90°変化させて第1出射面30cから出射する。
【0034】
一方、立上プリズム30は、分割面30bによって光ビーム80の残り約50%を第2出射光ビーム80Bとして透過させ、さらに反射面30dによって反射することにより、第2出射光ビーム80Bを光ディスク100に対して直角になるようにその角度を90°変化させて第2出射面30eから出射する。
【0035】
このように、立上プリズム30は、受光した光ビーム80を2つにほぼ均等分割し、第1出射光ビーム80A及び第2出射光ビーム80Bとして隣り合う第1出射面30c及び第2出射面30eから隣接させて出射させることにより、光束縦幅Dvが入射光束幅Tdでなる出射光ビーム80Xとして対物レンズ26に入射するようになされている。
【0036】
これにより、立上プリズム30は、立上プリズム30に入射される際の光ビーム80の光束縦幅Dvを入射光束幅Tdの1/2に抑えることができるため、対物レンズ近傍の厚さTtを減少させると共に、光ピックアップ20における光路上の部品の厚さを低減することができる。
【0037】
ちなみに、この立上プリズム30が使用された光ピックアップ20における対物レンズ近傍の厚さTtを、上述した光ディスク100がDVD(Digital Versatile Disc)のときと同条件で数式(1)に従って算出すると、Tt=Ta+Tb+Tc+Td=1.2+2.0+0.8+1/2(3.82)=5.91[mm]となり、従来の光ピックアップ1における対物レンズ近傍の厚さTtと比較して、対物レンズ近傍の厚さTtを入射光束幅Tdの半分である1.91[mm]も薄くすることができる。
【0038】
(3)第2の実施の形態
図6は、第2の実施の形態を示すもので、図3〜図5に示す第1の実施の形態に対応する部分を同一符号で示し、図2と同一構成でなる光学部品の一部を省略している。光ピックアップ20aは、立上プリズム30の前段及び後段にλ/4波長板でなる第1波長板41及び第2波長板42を有していると共に、分割面30bにP波のみを反射してS波を透過させる偏光半透反射膜を有している。
【0039】
光ピックアップ20aは、レーザダイオード22によって発射された光ビーム80をコリメータレンズ24によって平行光に変換し、第1波長板41に入射する。第1波長板41は、単一方向振動でなる光ビーム80をP波及びS波からなる円偏光ビーム80aに変換して立上プリズム30に入射する。
【0040】
この立上プリズム30は、分割プリズム31の入射面30aから円偏光ビーム80aを受光すると共に、分割面30bによって光ビーム80aの約50%を占めるP波を第1出射光ビーム80Aaとして反射し、光ディスク100に対して直角になるようにその角度を90°変化させて第1出射面30cから出射する。
【0041】
一方、立上プリズム30は、分割面30bによって光ビーム80aの残り約50%を占めるS波を第2出射光ビーム80Baとして透過させ、さらに反射面30dによって反射して光ディスク100に対して直角になるようにその角度を90°変化させて第2出射面30eから出射する。
【0042】
このように、立上プリズム30は、受光した光ビーム80aを第1出射光ビーム80Aa及び第2出射光ビーム80Baに分割し、隣り合う出射面30c及び出射面30eから隣接させて出射することにより、光束縦幅Dvが入射光束幅Tdでなる出射光ビーム80Yとして出射し、この出射光ビーム80Xを第2波長板42に入射する。そして第2波長板42は、この出射光ビーム80Xを再び円偏光に変換し、対物レンズ26に入射するようになされている。
【0043】
これにより、この光ピックアップ20aは、上述したように対物レンズ近傍の厚さTtを減少させると共に、光ビーム80の光束縦幅Dvを小さく抑えて光路上の部品の厚さを低減することができる。
【0044】
(4)第3の実施の形態
図7、図8及び図9は、第3の実施の形態を示すもので、図3〜図5に示す第1の実施の形態に対応する部分を同一符号で示しており、図2と同一構成でなる光学部品の一部を省略している。光ピックアップ20bは、立上プリズム30の代わりに、光ビーム80の光束縦幅Dvだけでなく、光束横幅Dhをも広げる立上プリズム50を有している。なお便宜上、レーザダイオード22及び立上プリズム50を平行に表示している。
【0045】
図7に示すように、立上プリズム50は、厚さWtが入射光束幅Tdの約半分であり、光ディスク100に対する平行方向に平行な縦幅Wvが入射光束幅Tdのほぼ1.5倍であり、横幅Whが入射光束幅Tdとほぼ同一でなる直方体形状を有している。
【0046】
立上プリズム50は、一辺が入射光束幅Tdの約半分でなる立方体形状の6つのプリズム(第1分割プリズム51A、第2分割プリズム52A、第3分割プリズム53A、第1反射プリズム51B、第2反射プリズム52B及び第3反射プリズム53B)から構成され、当該6つのプリズムにおける当接する各面がそれぞれ貼り合わされることによって形成されている。
【0047】
第1分割プリズム51A、第2分割プリズム52A及び第3分割プリズム53Aは、いずれも直角二等辺三角形の2側面を有する2つの三角プリズムによって構成され、当該2つの三角プリズム間の第1分割面50b、第2分割面50c及び第3分割面50tにそれぞれ半透反射膜を有している。
【0048】
同様に第1反射プリズム51B、第2反射プリズム52B及び第3反射プリズム53Bは、いずれも直角二等辺三角形の2側面を有する2つの三角プリズムによって構成されると共に、当該2つの三角プリズム間の第1反射面50s、第2反射面50e及び第3反射面50uにそれぞれ全反射膜を有している。
【0049】
第1分割プリズム51A及び第1反射プリズム51Bは、分割面50b及び反射面50sがそれぞれ光ディスク100に対して直角に、かつ光ビーム80に対して45°になるように配置される。一方、第2分割プリズム52A、第2反射プリズム52B、第3分割プリズム53A及び第3反射プリズム53Bは、第2分割面50c、第2反射面50e、第3分割面50t及び第3反射面50uが光ディスク100及び光ビーム80に対して45°になるようにそれぞれ配置される。
【0050】
この立上プリズム50は、第1分割プリズム51Aの入射面50aによって受光した光ビーム80を、第2分割プリズム52Aの第1出射面50d、第2反射プリズムの第2出射面50f、第3分割プリズム53Aの第3出射面50v及び第3反射プリズム53Bの第4反射面50wから対物レンズ26へ入射する。
【0051】
図8及び図9に示すように、立上プリズム50は、光ビーム80を受光すると、第1分割面50bによって光ビーム80Hの約50%を第1平行方向分割光ビーム80Hとして透過させる。
【0052】
立上プリズム50は、第2分割面50cによってこの第1平行方向分割光ビーム80Hの約50%を第1出射光ビーム80Iとして反射して、その角度を光ディスク100に対して直角になるように90°変化させて出射面50dから出射する。
【0053】
一方、立上プリズム50は、第2分割面50cによって第1平行方向分割光ビーム80Hの残りの約50%を第2出射光ビーム80Jとして透過させる。立上プリズム50は、第2反射面50eによってこの第2出射光ビーム80Jを反射して、その角度を光ディスク100に対して直角になるように90°変化させて出射面50fから出射する。
【0054】
さらに、立上プリズム50は、第1分割面50bによって光ビーム80の残り約50%を第2平行方向分割光ビーム80Kとして反射して、光ディスク100に平行な同一平面内でその角度を90°変化させる。さらに立上プリズム50は、第1反射面50sによって第2平行方向分割光ビーム80Kの角度を光ディスク100に平行な同一平面内で再び90°変化させて、第1平行方向分割光ビーム80Hと同一の方向に偏向する。
【0055】
立上プリズム50は、第3分割面50tによってこの第2平行方向分割光ビーム80Kの約50%を第3出射光ビーム80Lとして反射し、その角度を光ディスク100に対して直角になるように90°変化させて出射面50vから出射する。
【0056】
一方、立上プリズム50は、第3分割面50tによって第2平行方向分割光ビーム80Kの残りの約50%を第4出射光ビーム80Mとして透過させる。立上プリズム50は、この第4出射光ビーム80Mを第3反射面50uによって反射し、その角度を光ディスク100に対して直角になるように90°変化させて出射面50wから出射する。
【0057】
このように、立上プリズム50は、受光した光ビーム80を第1分割面50bで透過及び反射することによって光ディスク100に対する平行方向に2分割すると共に、反射された第2平行方向分割光ビーム80Kを第1反射面50sによってさらに反射して透過された第1平行方向分割光ビーム80Hに隣接させると共にその方向を統一させることにより、光ビーム80の光束横幅Dhを入射光束幅Tdまで広げる。
【0058】
立上プリズム50は、第1平行方向分割光ビーム80H及び第2平行方向分割光ビーム80Kを透過及び反射によってそれぞれ第2分割面50c及び第3分割面50tによってさらに分割する。立上プリズム50は、透過させた第2出射光ビーム80J及び第4出射光ビーム80Mを第2反射面50e及び第3反射面50uによって反射して、第1出射光ビーム80I及び第3出射光ビーム80Lにそれぞれ隣接させると共にその方向を統一させ、隣接する4つの出射面50d、50f、50v及び50wから出射光ビームZとして出射することにより、光ビーム80の光束縦幅Dvを入射光束幅Tdまで広げることができる。
【0059】
これにより、光ピックアップ20bでは、立上プリズム50に入射される光ビーム80の光束縦幅Dvに加え、光束横幅Dhを入射光束幅Tdの半分に減少させることができるため、光路上の部品を光ディスク100に対する直角方向だけでなく、平行方向にも小型化することができ、光ピックアップ20bを一段と小型化することができる。
【0060】
(5)動作及び効果
以上の構成において、光ピックアップ20の立上プリズム30は、受光した光ビーム80を分割面30bでの反射及び透過により分割光ビームである第1出射光ビーム80A及び第2出射光ビーム80Bに分割し、反射された第1出射光ビーム80Aを出射すると共に、透過された第2出射光ビーム80Bを反射面30dによって反射して第1出射光ビーム80Aに隣接させると共にその方向を統一させて出射する。
【0061】
これにより、立上プリズム30は、入射光束幅Tdの約半分の高さでなる入射面30aによって受光した光ビーム80の光束縦幅Dvを、入射光束幅Tdでなる出射光ビーム80Xとしてその光束縦幅Dvを広げた状態で出射することができる。
【0062】
また、立上プリズム30は、光ビーム80を分割すると共に隣接させて出射するため、光ビーム80の光強度の大きいピーク部分を複数箇所に分散させることができ、従来の光ビーム80を引き伸ばす方法と比較して、光ビーム80の強度分布を均一化することができる。
【0063】
さらに、立上プリズム30は、対物レンズ26の前段において、光ビーム80を光ディスク100に対して直角になるよう立ち上げると共に、当該光ビーム80の光束縦幅Dvを約2倍に広げることができるため、入射させる光束縦幅Dvを入射光束径Tdの約半分にすることができ、光ピックアップ20全体における光路上の部品の厚みを削減することができる。
【0064】
また、立上プリズム30は、分割面30b及び反射面30dを平行に配置させることにより、光ビーム80の方向を統一させる。さらに、立上プリズム30は、分割面30b及び反射面30dを光ディスク100に対して45°になるように配置させると共に分割面30b及び反射面30dの端部が光ディスク100に対して平行方向に離間せず、かつ重ならないように配置させることにより、分割された第1分割光ビームである第1出射光ビーム80A及び第2分割光ビームである第2出射光ビーム80Bを隣接させる。
【0065】
これにより、立上プリズム30を側面が直角二等辺三角形でなる複数の三角プリズムを組み合わせるだけの簡易な構成にすることができる。
【0066】
これに加えて、図7の立上プリズム50は、受光した光ビーム80を平行方向分割面である第1分割面50bによる透過及び反射によって光ディスク100の平行方向に分割し、反射した第2平行分割光ビーム80Kを再び平行方向反射面である第1反射面50sによって反射させ、透過した第1平行方向分割光ビーム80Hに隣接させると共にその方向を統一させることにより、光ビーム80の進行方向を変化させないで光ビーム80の光束横幅Dhを入射光束幅Tdまで広げることができる。
【0067】
すなわち、立上プリズム50は、第1〜第3分割面50b、50c、50t及び第1〜第3反射面50s、50e及び50uの配置を適宜選択することにより、光ビーム80の光束幅を光ディスク100に対する平行方向又は直角方向のどちらかを自由に選択して広げることができると共に、光ビーム80を偏向するか否かを適宜選択できる。
【0068】
また、立上プリズム50は、光ビーム80を第1平行方向分割光ビーム80H及び第2平行方向分割光ビーム80Kに分割した後、第2分割面50c及び第3分割面50tによって再分割し、第2反射面50e及び第3反射面50uによって反射することにより、第1〜第4出射光ビーム80I、80J、80L及び80Mからなる出射光ビーム80Zを出射するようにした。
【0069】
このように、立上プリズム50では、分割及び反射を複数回実行することにより、光ビーム80の分割数を自由に選択でき、光ビーム80の光束幅を自由な大きさまで拡大したり、光ビーム80の光強度の分布を調整することができる。
【0070】
以上の構成によれば、立上プリズム30は、受光した光ビーム80を分割面30bよって反射及び透過することにより第1出射光ビーム80A及び第2出射光ビーム80Bに分割し、第2出射光ビーム80Bの方向を反射面30dによって変化させて第1出射光ビーム80A及び第2出射光ビーム80Bを隣接させると共にその方向を統一させることにより、第1分割光ビーム及び第2分割光ビームを併せて光束幅が広がった1つの光ビームとして使用することができるため、受光する光ビーム80の光束縦幅Dvを入射光束幅Tdの約半分に減少させることができ、かくして光路上の部品を小型化することができる。
【0071】
(6)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、反射プリズム32が直方体形状を有するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図10及び図11に示すように、三角柱形状を有する反射プリズム33及び34でなるようにしても良い。
【0072】
また上述の実施の形態においては、直方体形状を有する反射プリズム32に反射面30dが形成されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図12に示すように、板ガラスでなる反射板35上に反射面30dを形成するようにしても良い。
【0073】
さらに上述の実施の形態においては、立上プリズム30は、4つの三角プリズムが組み合わされることによって構成されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図13及び図14に示すように、三角プリズム36A及び36Bと、側面が平行四辺形でなる四角柱形状を有する平行四辺形プリズム36Cとを組み合わせたり、三角プリズム37A及び平行四辺形プリズム37Bを組み合わせるようにしても良い。
【0074】
さらに上述の実施の形態においては、反射面30dによって第2出射光ビーム80Bを第1出射光ビーム80Aに隣接させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば第2出射光ビーム80Bの一部を第1出射光ビーム80Aに重ねるようにしても良い。これにより、光ビーム80における光強度の小さい端部同士を重ねてその光強度を大きくすることができ、光強度の分布を調整することができる。
【0075】
さらに上述の実施の形態においては、分割面30b及び反射面30dはそれぞれ光ディスク100に対して45°に傾斜されると共にその端部が重ならないように配置されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、分割面30b及び反射面30dの傾斜角度は光ビーム80の光路などの各種条件によって適宜変更することができ、これに合わせて分割面30b及び反射面30dの端部を重なるように若しくは離すように配置させて第1出射光ビーム80A及び第2出射光ビーム80Bを隣接させるようにしても良い。
【0076】
さらに上述の実施の形態においては、分割面30b及び反射面30dが平行に配置されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、分割面30b及び反射面30dの光ディスク100に対する傾斜角度を同一にしなかった場合でも、立上プリズム30を構成する各三角プリズムの屈折率などを調整することにより、第2出射光ビーム80Bの方向を第1出射光ビーム80Aに統一させることができる。
【0077】
さらに上述の実施の形態においては、反射面30bが入射光ビーム80Aの約50%を反射して約50%を透過させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、出射光ビーム80Xとして必要となる光強度分布に応じて、適宜変更することができる。
【0078】
さらに上述の実施の形態においては、分割面30b及び反射面30dが共に45°に傾斜されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、光路に応じてその傾斜角度を自由に設定するようにしても良い。
【0079】
さらに上述の実施の形態においては、第1波長板41が立上プリズム30の前段に配置されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、コリメータレンズ24と立上プリズム30の間に配置されれば良く、その位置は適宜選択される。
【0080】
さらに上述の実施の形態においては、光ディスク100に平行な光ビーム80を直角に立ち上げる立上プリズム30に適用されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば光ピックアップ20の光路上に設置される引き伸ばしプリズムや、光ビーム80の光強度分布を調整する調整プリズムとして使用されるようにしても良い。
【0081】
さらに上述の実施の形態においては、1つの分割面30bによって光ビーム80を2分割するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば2つの分割面30b1及び30b2を設け、分割面30b1に光ビーム80の約33%を反射し、残り約67%を透過する透反射膜を設け、分割面30b2に光ビーム80の約50%を反射し、残り50%を透過する半透反射膜を設けることにより、光ビーム80を3分割するようにしても良い。
【0082】
さらに上述の実施の形態においては、分割プリズム31及び反射プリズム32を構成する三角プリズムが全て同一材料を用いて形成されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、異種材料を使用しても良く、この場合、第2出射光ビーム80Bの光路を変更させないように分割プリズム31を構成する2つの三角プリズムにおける屈折率の差異が±50×10−5以内に設定されることが好ましい。
【0083】
さらに上述の実施の形態においては、光源としてのレーザダイオード22と、コリメータレンズとしてのコリメータレンズ24と、立上プリズムとしての立上プリズム30と、分割面としての分割面30bと、反射面としての反射面30dと、対物レンズとしての対物レンズ26とによって光ピックアップとしての光ピックアップ20を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる光源と、コリメータレンズと、立上プリズムと、分割面と、反射面と、対物レンズとによって本発明の光ピックアップを構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の光ピックアップ、光ディスク装置及び立上プリズムは、例えば各種電子機器に使用される光ディスクドライブに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】光ディスク装置の全体構成を示す略線図である。
【図2】光ピックアップの構成を示す略線図である。
【図3】第1の実施の形態における立上プリズムの構成を示す略線図である。
【図4】第1の実施の形態における光ピックアップの略線的断面図である。
【図5】第1の実施の形態における光ピックアップの略線的上面図である。
【図6】第2の実施の形態における光ピックアップの略線的断面図である。
【図7】第3の実施の形態における立上プリズムの構成を示す略線図である。
【図8】第3の実施の形態における光ピックアップの略線的断面図である。
【図9】第3の実施の形態における光ピックアップの略線的上面図である。
【図10】他の実施の形態における光ピックアップ(1)の略線的断面図である。
【図11】他の実施の形態における光ピックアップ(2)の略線的断面図である。
【図12】他の実施の形態における光ピックアップ(3)の略線的断面図である。
【図13】他の実施の形態における光ピックアップ(4)の略線的断面図である。
【図14】他の実施の形態における光ピックアップ(5)の略線的断面図である。
【図15】従来の光ピックアップの構成を示す略線図である。
【図16】入射光束幅の算出の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
【0086】
22……レーザダイオード、23……ビームスプリッタ、24……コリメータレンズ、26……対物レンズ、27……調整レンズ、28……フォトダイオード、30、50……立上プリズム、30a……入射面、30b……分割面、30c……第1出射面、30d……反射面、30e……第2出射面、31……分割プリズム、32……反射プリズム、50a……入射面、50b……第1分割面、50c……第2分割面、50d……第2反射面、50e……第2反射面、50s……第1分割面、50t……第2分割面、50u……第3反射面、51A……第1分割プリズム、51B……第1反射プリズム、52A……第2分割プリズム、52B……第2反射プリズム、53A……第3分割プリズム、53B……第3反射プリズム、80A……第1出射ビーム、80B……第2出射ビーム、80H……第1平行方向分割光ビーム、80K……第2平行方向分割光ビーム、80I……第1出射光ビーム、80J……第2出射光ビーム、80L……第3出射光ビーム、80M……第4出射光ビーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに対して平行方向に光ビームを発射する光源と、
上記光ビームを平行光に変換するコリメータレンズと、
上記コリメータレンズによって変換された上記光ビームを入射して上記光ディスクに対して直角方向に立ち上げる立上プリズムと、
立ち上げられた上記光ビームを集光して上記光ディスクに照射する対物レンズと
を具え、
上記立上プリズムは、
上記光ビームの一部を第1分割光ビームとして上記光ディスクに対して直角方向に反射すると共に、上記光ビームの残りを第2分割光ビームとして透過させる分割面と、上記第2分割光ビームの光路上に配置され、上記第2分割光ビームを反射させて上記第1分割光ビームに隣接させると共にその方向を統一させる反射面とを有する
ことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
上記立上プリズムは、
上記分割面の前段に、上記光ビームの一部を第1平行方向分割光ビームとして透過させると共に、上記光ビームの残りを上記光ディスクに対して平行な平面内で第2平行方向分割光ビームとして反射させる平行方向分割面と、上記第2分割光ビームの光路上に配置され、上記第2分割光ビームを反射させて上記第1分割光ビームに隣接させると共にその方向を統一させる平行方向反射面とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項3】
上記立上プリズムは、
上記対物レンズに入射するときの光束の幅である入射光束幅の約半分の光束縦幅でなる上記光ビームを入射する
ことを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ。
【請求項4】
上記分割面のうち上記第1の分割面は、
上記光ビームを上記光ディスクに対して平行方向に分割し、
上記分割面のうち第2の分割面は、
分割された第1の分割光ビーム及び第2の分割光ビームを上記光ディスクに対して直角方向に分割する
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項5】
上記分割面及び上記反射面は、
ほぼ平行に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項6】
上記分割面は、
2つのプリズムの界面にそれぞれ形成され、
上記2つのプリズムは、その屈折率差が±50×10−5の範囲内にあること
を特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項7】
上記光ピックアップは、
単一振動光を円偏光に変換するλ/4波長板
を具え、
上記分割面は、
円偏光の上記光ビームを振動方向に応じて2つに分割する
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項8】
上記分割面は、
上記光ビームの約50%を透過し、上記光ビームの約50%を反射することにより、上記光ビームをほぼ均等に分割する
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項9】
上記立上プリズムは、
三角プリズムが複数組み合わされることにより構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項10】
上記立上プリズムは、
2つの三角プリズムが組み合わされた直方体形状又は立方体形状を有するプリズムを、2個ないし6個組み合わせることによって構成されている
ことを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ。
【請求項11】
光ディスクに対して平行方向に光ビームを発射する光源と、
上記光ビームを平行光に変換するコリメータレンズと、
上記コリメータレンズによって変換された上記光ビームを入射して上記光ディスクに対して直角方向に立ち上げる立上プリズムと、
立ち上げられた上記光ビームを集光して上記光ディスクに照射する対物レンズと、
上記対物レンズを上記光ディスクの所望のトラックへ駆動する駆動部と
を具え、
上記立上プリズムは、
上記光ビームの一部を第1分割光ビームとして上記光ディスクに対して直角方向に反射すると共に、上記光ビームの残りを第2分割光ビームとして透過させる分割面と、上記第2分割光ビームの光路上に配置され、上記第2分割光ビームを反射させて上記第1分割光ビームに隣接させると共にその方向を統一させる反射面とを有する
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項12】
光ディスクに対して平行に入射された光ビームの一部を第1分割光ビームとして上記光ディスクに対して直角方向に反射すると共に、上記光ビームの残りを第2分割光ビームとして透過させる分割面と、
上記第2分割光ビームの光路上に配置され、上記第2分割光ビームを反射させて上記第1分割光ビームに隣接させると共にその方向を統一させる反射面と
を具えることを特徴とする立上プリズム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−257794(P2007−257794A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83577(P2006−83577)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】