説明

光ピックアップの防塵構造

【課題】フォーカス方向及びトラッキング方向に変位する光学アクチュエータ側の対物レンズと、光学ベース側の光学部品と、の相互間空間を防塵壁で外部から遮蔽することによって光学部品への埃の付着を防止する。
【解決手段】対物レンズ11と光学部品60との相互間空間Aを挟む両側に防塵壁80をが配備する。防塵壁80を、隙間空間Wを隔てて位置する一対の片部81,82に分割する。一方側の片部81を上記光学ベース側に設け、他方側の片部82を光学アクチュエータ側に設ける。それらの片部81,82は、光学アクチュエータ10が、フォーカス方向での上限位置及び下限位置の相互間で変位するときに隙間空間Wを隔ててトラッキング方向で常時重なり合う長さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ、特に、可動子としての光学アクチュエータ側の対物レンズや光学ベース側のミラーなどの光学部品に埃が付着して光学性能が劣化する、という事態を防ぐための対策が講じられた光ピックアップの防塵構造に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体であるディスクの記録面を光学的に走査する機能を備えた光ピックアップは、発光素子や受光素子、ミラー、その他の光学部品が組み付けられた光学ベースに、対物レンズを備えた可動子としての光学アクチュエータを取り付けることによって構成されている。
【0003】
この種の光ピックアップに採用されている可動子としての光学アクチュエータは対物レンズが装着されたレンズホルダーを有し、所定の電磁駆動手段の作用によって、フォーカス方向やトラッキング方向などの多方向に変位可能に光学ベースに取り付けられている。レンズホルダーを多方向変位可能にベース部材に取り付けるための構成としては、たとえば、光学ベース側に固定した配線基板から片持ち状に延び出させた複数本のワイヤーの端部にレンズホルダーを取り付ける、といった手段が多々採用されている。
【0004】
ところで、光ピックアップには、可動子としての光学アクチュエータが、光学ベースの上面に積み重ね状に設置されているタイプや、光学ベースに形成された凹所に収容されているタイプがあり、後者のタイプの光ピックアップは、可動子としての光学アクチュエータが、光学ベースの上面から突出しないために前者に比べて光ピックアップの薄形化を促進しやすいといった利点などを有している。
【0005】
図3には薄形化された光ピックアップを概略側面図で示してある。図示の光ピックアップPは、可動子としての光学アクチュエータ10を、光学ベース50に具備されている凹所51に区画形成されている設置スペースSに収容することによって当該光ピックアップPの薄形化を図っている。なお、光学ベース50には、光ピックアップPの走行を記録媒体としてのディスクの半径方向に案内するための主軸や副軸(不図示)に摺動自在に係合される係合部52,53のほか、制御基板54、平板状のカバー55などが備わっている。
【0006】
図3に示した光ピックアップでは、光学アクチュエータ10の設置スペースSが光学ベース50の上面で開放されていて、しかも、その設置スペースSは、光学アクチュエータ10のトラッキング方向及びフォーカス方向の変位を許容し得る広さを有している。そのため、この種の薄型の光ピックアップPは、その内部が、光学アクチュエータ10の設置スペースSを経て外部に対して剥き出し状態になっていると云える。そのように光ピックアップPの内部が外部に対して剥き出し状態になっていると、外部から光ピックアップPの内部に埃が侵入し、その埃が、光学ベース50側で光学アクチュエータ10の対物レンズ11との対向位置に設置されたミラーなどの光学部品60に付着して光学性能を劣化させてしまうという事態を生じるおそれがある。特に、図3に示したように、光学ベース50の側壁に上記設置スペースSを側方に向けて開放するような開口56を形成することが要求されている光ピックアップでは、埃がその開口56を経て光ピックアップの内部に侵入しやすいために上記事態を生じる懸念が大きいということが云える。
【0007】
この点を図4を参照して具体的に説明する。図4(A)(B)(C)は薄型の光ピックアップの光学ベース50及び光学アクチュエータ10の概略構成を示した説明図である。同図の光学ベース50はその側壁に開口56を有していて、この開口56が光学アクチュエータ10の設置スペース51を側方に向けて開放している。また、同図には光学アクチュエータ10のフォーカス方向での中立位置を一点鎖線Lで示してある。
【0008】
図4(A)のように光学アクチュエータ10がフォーカス方向で中立位置Lに位置しているときに、光ピックアップで発生する気流が開口56や光学ベース10の凹所51の上面の開放箇所57などを経て矢印F1,F2のように光学アクチュエータ10の設置スペースSに流入すると、その気流Fと共に埃も設置スペースSに容易に侵入してしまって光学部品60に付着するということが起こり得る。同図(B)のように光学アクチュエータ10がフォーカス方向で中立位置Lからその上限位置まで幅H1だけ変位したとき、及び、同図(C)のように光学アクチュエータ10がフォーカス方向で中立位置Lからその下限位置まで幅H2だけ変位したときのいずれの場合にも、上記同様に、光ピックアップで発生する気流F1,F2と共に埃が設置スペースSに容易に侵入してしまって光学部品60に付着するということが起こり得る。
【0009】
そこで、比較例として、図3に示した開口56を無くし、その開口56を側壁で塞いだ光学ベース50を試作した。図5(A)(B)(C)は、この構成の光ピックアップの概略構成を示した説明図である。58は側壁である。同図にも、上記同様に光学アクチュエータ10のフォーカス方向での中立位置を一点鎖線Lで示してある。
【0010】
この比較例によると、図5(A)のように光学アクチュエータ10がフォーカス方向で中立位置Lに位置しているとき、同図(B)のようにフォーカス方向で中立位置Lからその上限位置まで幅H1だけ変位したとき、及び、同図(C)のように光学アクチュエータ10がフォーカス方向で中立位置Lからその下限位置まで幅H2だけ変位したときの各場合に、光ピックアップで発生する気流F1は光学ベース50の側壁(上記開口56を塞いでいる側壁)58に当たってその周囲に逃がされる。しかしながら、光ピックアップで発生する他の気流F2が光学ベース10の凹所51の上面の開放箇所57を経て光学アクチュエータ10の設置スペースSに流入する可能性があり、そのために、埃が設置スペースSに容易に侵入してしまって光学部品60に付着するということが起こり得る。
【0011】
一方、光ピックアップの分野では、防塵カバーによって光学アクチュエータや光学部品を防塵することが周知である(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。ここで掲げた特許文献1には、カバーの側面と光学ベースとの間に存在する隙間から埃の侵入を防止することについての記述がある。また、特許文献2では、光学ベースの凹部に設置されたアクチュエータや光学部品を、光学ベースの凹部の周縁部(光学ベースの外周部)に設けた保護用周壁部によって防塵することが示唆されている。この特許文献2による防塵対策は、図5を参照して説明した光ピックアップに見られるような側壁58による防塵対策と軌を一にしている。さらに、特許文献3では、ベースに取り付けた透明な蓋部によって、コンパクトディスクプレーヤのピックアップ部の上面を覆うことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−232678号公報
【特許文献2】特許第3503340号公報
【特許文献3】特開平9−97441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
冒頭で説明したように、光ピックアップ、特に、図3を参照して説明したような薄型の光ピックアップでは、図4又は図5を参照して説明したように光ピックアップで発生する気流と共に埃が光学アクチュエータ10の設置スペースSに容易に侵入してしまって光学部品60に付着するということが起こり、光ピックアップの光学性能が劣化することがあるという問題があった。
【0014】
この問題は、特許文献1に見られるようなカバーの側面と光学ベースとの間に存在する隙間から埃の侵入を防止するための対策や、特許文献2に見られるような光学ベースに保護用周壁部を設けるという対策によっては、到底解決することができない。また、特許文献3に見られるように、透明な蓋部でピックアップ部の上面を覆うという対策では、透明な蓋部が余分に必要になってそれだけ部品点数が増え、組立工程が複雑になるのでコスト高になる。
【0015】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、可動子としての光学アクチュエータ側の対物レンズとその対物レンズに対設された光学ベース側の光学部品との相互間空間を防塵壁で外部から遮蔽することを基本として、部品を追加することなく、光学アクチュエータのフォーカス方向及びトラッキング方向の変位に支障をきたさずに対物レンズや光学部品への埃の付着を防止することを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る光ピックアップの防塵構造は、対物レンズを有する可動子としての光学アクチュエータと、この光学アクチュエータの上記対物レンズに対設された光学部品が取り付けられた光学ベースと、を備える。そして、上記対物レンズと上記光学部品との相互間空間を挟む両側のうちの少なくとも片側に防塵壁が配備されている。また、この防塵壁が、上記光学アクチュエータのトラッキング方向で、そのトラッキング変位幅よりも広い隙間空間を隔てて位置する一対の片部に分割されていて、一方側の片部が上記光学ベース側に設けられ、他方側の片部が上記光学アクチュエータ側に設けられていると共に、それらの片部は、上記光学アクチュエータが、フォーカス方向での上限位置及び下限位置の相互間で変位するときに上記隙間空間を隔てて上記トラッキング方向で常時重なり合う長さを有している。
【0017】
この構成を採用すると、光学アクチュエータ側の対物レンズとその対物レンズに対設された光学ベース側の光学部品との相互間空間が防塵壁で外部から遮蔽されるので、対物レンズや光学部品に埃が付着するという事態が防止される。そして、防塵壁が、光学ベース側の一方側の片部と、光学アクチュエータ側の他方側の片部とに分割されていて、それらの片部同士が、トラッキング方向では一定の隙間空間を隔てて位置し、かつ、フォーカス方向では、光学アクチュエータがその上限位置及び下限位置の相互間で変位するときに上記隙間空間を隔てて常時重なり合うように構成されていることにより、光学アクチュエータのフォーカス方向及びトラッキング方向の変位に支障をきたすことがない。
【0018】
本発明では、他方側の上記片部と光学アクチュエータの上記対物レンズを保持しているレンズホルダーとが樹脂で成形された一体の構造体に含まれ、一方側の上記片部が上記光学ベースと一体に樹脂で成形されていることが望ましい。この構成であると、一方側及び他方側の各片部が、光学ベースやレンズホルダーに各別に樹脂で一体成形されているので、それらの各片部を別部品として構成する必要がない。
【0019】
本発明では、上記構造体が、上記相互間空間を挟む両側に配備された一対の一方側の上記片部の対向空間の上方を覆う覆板部を有して、その覆板部に他方側の上記片部が設けられていることが望ましい。この構成であると、光学アクチュエータ側の対物レンズと光学ベース側の光学部品との相互間空間が、光学ベース側の一方側の片部と覆板部を有する構造体とによって取り囲まれるので、光学部品に埃がいっそう付着しにくくなる。
【0020】
本発明では、上記光学アクチュエータが、上記光学ベースに具備された凹所に収容されている、という構成を採用することが可能であり、この構成であると、光ピックアップの薄形化が促進される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係る光ピックアップの防塵構造によると、部品を追加することなく、光学アクチュエータのフォーカス方向及びトラッキング方向の変位に支障をきたさずに対物レンズや光学部品への埃の付着を防止することが可能になる。また、光ピックアップの薄形化を促進するための防塵構造としても有益である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態による光ピックアップの要部を概略で示した斜視図である。
【図2】図2(A)(B)(C)は本発明に係る光ピックアップの概略構成を示した説明図である。
【図3】薄形化された光ピックアップの概略側面図である。
【図4】図4(A)(B)(C)は薄型の光ピックアップの概略構成を示した説明図である。
【図5】図5(A)(B)(C)は、比較例としての薄型の光ピックアップの概略構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の実施形態による光ピックアップの要部を概略で示した斜視図であり、図2(A)(B)(C)は本発明に係る光ピックアップの概略構成を示した説明図である。
【0024】
図1の実施形態による光ピックアップにおいて、可動子としての光学アクチュエータ10は、樹脂成形体でなる光学ベース50に具備された凹所51に区画形成された設置スペースSに収容されている。このように光学アクチュエータ10が光学ベース50の凹所51の設置スペースSに収容されていることによって、当該光ピックアップの薄形化が図られている。
【0025】
光学ベース10には、レーザダイオードでなる発光素子や光検出器のほか、回折格子(グレーチング)、ハーフミラー、コリメータレンズなどの必要な光学部品が組み付けられていて、それらの光学部品によって一定の光路が形成されている。図1及び図2には光学部品60としてハーフミラー61を示してある。また、光学ベース50の側壁には、上記設置スペースSを側方に向けて開放する開口56が形成されている。
【0026】
これに対し、可動子としての光学アクチュエータ10は、対物レンズ11を保持しているレンズホルダー12を有し、このレンズホルダー12が、図示していない電磁駆動手段の作用によって、フォーカス方向Yやトラッキング方向Xなどの多方向に変位可能に光学ベース50に取り付けられている。レンズホルダー12を多方向変位可能に光学ベース50に取り付けるための構成として、光学ベース50側に固定した配線基板から片持ち状に延び出させた複数本のワイヤー71の端部にレンズホルダー12を取り付けるといった手段が採用されている。
【0027】
この構成の光ピックアップでは、発光素子からの投射光が、回折格子、ハーフミラー61、コリメータレンズ、対物レンズ11を経て、図示していないディスクの記録面に集光され、その戻り光が、対物レンズ11、コリメータレンズ及びハーフミラー61を経て光検出器に導かれる。したがって、このような光学系を有する光ピックアップによるディスクに対する光学的処理性能、言い換えると記録再生性能は、ハーフミラー61などの光学部品に埃が付着することによって劣化するおそれがある。
【0028】
この実施形態において、光学アクチュエータ10側の対物レンズ11と光学ベース50側の光学部品60としてのハーフミラー61との相互間空間Aを挟む両側に防塵壁80が配備されている。この防塵壁80は、光学ベース50の外部から上記相互間空間Aの内部に埃が侵入することを抑制するために設けられるのであって、光学ベース50の凹所51に位置している。この防塵壁80は、光学ベース50の凹所51の底面に上向きに突設された一対の一方側の片部81,81と、可動子としての光学アクチュエータ10側に設けられて下向きに垂下された一対の他方側の片部82,82とに分割されている。そして、図例の防塵壁80にあっては、一対の一方側の片部81,81が、一対の他方側の片部82,82の内側に位置している。この点は、一対の一方側の片部81,81が、一対の他方側の片部82,82の外側に位置するように構成しておいてもよい。
【0029】
また、他方側の片部82と光学アクチュエータ10の対物レンズ11を保持しているレンズホルダー12とが樹脂で一体に成形された門形の構造体20に含まれている。さらに具体的には、構造体13が、上記した一対の他方側の片部82,82とレンズホルダー12とを含んでいるほか、それらのレンズホルダー12とその両側に位置している一対の他方側の片部82,82とに亘る覆板部13を含んでいて、覆板部13に片部82,82が設けられている。したがって、門形の構造体13は、光学ベース50側の一対の一方側の片部81,81の対向空間の上方を覆う形態を有している。
【0030】
図2(A)(B)(C)には、図1に示した薄型の光ピックアップの概略構成が示されている。同図には光学アクチュエータ10のフォーカス方向での中立位置を一点鎖線Lで示してある。
【0031】
図2(A)に示したように、一方側の片部81と他方側の片部82とは、可動子としての光学アクチュエータ10のトラッキング方向Xの変位幅(トラッキング変位幅)よりも広い隙間空間Wを隔てて位置している。この隙間空間Wの広さは、光学アクチュエータ10のトラッキング幅よりも少しだけ広ければよく、いたずらに広くすることは光ピックアップの大形化を来したり防塵作用を損なったりするので好ましくない。また、図2(A)のように光学アクチュエータ10がフォーカス方向Yで中立位置Lに位置しているとき、同図(B)のようにフォーカス方向で中立位置Lからその上限位置まで幅H1だけ変位したとき、及び、同図(C)のように光学アクチュエータ10がフォーカス方向で中立位置Lからその下限位置まで幅H2だけ変位したときのいずれの場合にも、一方側の片部81と他方側の片部82とは上記した隙間空間Wを隔てて重なり合う長さを有している。言い換えると、一方側及び他方側の片部81,82同士は、光学アクチュエータ10が、フォーカス方向Yでの上限位置及び下限位置の相互間で変位するときに、上記隙間空間Wを隔てて常時重なり合うように構成されている。したがって、同図(B)のように光学アクチュエータ10がフォーカス方向Yで中立位置Lから上限位置に至る変位幅H1だけ変位したときには、一方側の片部81の上端が他方側の片部82の下端よりも上位に位置している。同図(B)には、一方側の片部81の上端と他方側の片部82の下端との相互間隔を符号C1で示してある。また、同図(C)のように光学アクチュエータ10がフォーカス方向Yで中立位置Lから下限位置に至る変位幅H2だけ変位したときにも、一方側の片部81の上端が他方側の片部82の下端よりも上位に位置している。同図(C)には、一方側の片部81の上端と他方側の片部82の下端との相互間隔を符号C2で示してある。
【0032】
この実施形態によると、図2(A)(B)(C)に示したように、光学アクチュエータ10が上限位置及び下限位置の相互間で変位するときに、光学アクチュエータ10側の対物レンズ11とその対物レンズ11に対設された光学ベース50側の光学部品60としてのハーフミラー61との相互間空間Aが、光学ベース50側の一方側の片部81と光学アクチュエータ10側の他方側の片部82とでなる防塵壁80によって外部から常時遮蔽されているので、光学アクチュエータ10が中立位置Lに位置しているときは勿論、上限位置及び下限位置の相互間で変位するときに、光ピックアップで発生する気流F1が開口56を経て凹所51に流入したとしても、その気流F1が防塵壁80に当たってその周囲に逃がされる。そのため、防塵壁80で囲まれた上記相互間空間Aに埃が侵入しにくくなり、その相互空間Aに配備されている光学部品60としてのハーフミラー61に塵芥が付着するという事態が起こりにくい。
【0033】
また、この実施形態では、図1に示したように一対の他方側の片部82,82とレンズホルダー12と覆板部13,13とを有する門形の構造体20が、光学ベース50側の一対の他方側の片部81,81の対向空間の上方を覆う形態を有しているので、光ピックアップで発生する気流F2が光学ベース10の凹所51の上面の開放箇所57を経て光学アクチュエータ10の凹所51に流入したとしても、その気流が上記相互間空間Aには侵入しにくい。そのため、埃が上記相互間空間Aに侵入して光学部品60としてのハーフミラー61に付着することが防止される。
【0034】
この実施形態では、一方側の片部81と他方側の片部82とによって形成されている防塵壁80が、対物レンズ11と光学部品としてのハーフミラー61との相互間空間Aを挟む両側に配備されている。この点につき、上記相互間空間Aの他側に光学ベース50の凹所51の壁面が近接して位置している場合には、上記相互間空間Aの片側だけに防塵壁80が配備されていてもよい。この場合には、相互間空間Aの片側からの埃の侵入が防塵壁80によって防止され、相互間空間Aの他側からの埃の侵入は光学ベース50の凹所51の壁面によって防止される。
【符号の説明】
【0035】
10 光学アクチュエータ
11 対物レンズ
12 レンズホルダー
13 覆板部
20 構造体
50 光学ベース
51 凹所
60 光学部品
61 ハーフミラー
80 防塵壁
81 一方側の片部
82 他方側の片部
A 対物レンズと光学部品との相互間空間
W 隙間空間
X トラッキング方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズを有する可動子としての光学アクチュエータと、この光学アクチュエータの上記対物レンズに対設された光学部品が取り付けられた光学ベースと、を備える光ピックアップにおいて、
上記対物レンズと上記光学部品との相互間空間を挟む両側のうちの少なくとも片側に防塵壁が配備され、
この防塵壁が、上記光学アクチュエータのトラッキング方向で、そのトラッキング変位幅よりも広い隙間空間を隔てて位置する一対の片部に分割されていて、一方側の片部が上記光学ベース側に設けられ、他方側の片部が上記光学アクチュエータ側に設けられていると共に、それらの片部は、上記光学アクチュエータが、フォーカス方向での上限位置及び下限位置の相互間で変位するときに上記隙間空間を隔てて上記トラッキング方向で常時重なり合う長さを有していることを特徴とする光ピックアップの防塵構造。
【請求項2】
他方側の上記片部と光学アクチュエータの上記対物レンズを保持しているレンズホルダーとが樹脂で成形された一体の構造体に含まれ、一方側の上記片部が上記光学ベースと一体に樹脂で成形されている請求項1に記載した光ピックアップの防塵構造。
【請求項3】
上記構造体が、上記相互間空間を挟む両側に配備された一対の一方側の上記片部の対向空間の上方を覆う覆板部を有して、その覆板部に他方側の上記片部が設けられている請求項2に記載した光ピックアップの防塵構造。
【請求項4】
上記光学アクチュエータが、上記光学ベースに具備された凹所に収容されている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載した光ピックアップの防塵構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−155810(P2012−155810A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15952(P2011−15952)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】