説明

光ファイバおよび赤外線パイロメータを用いたタンディッシュ内の溶鋼の連続的な温度測定のための装置

連続鋳造機タンディッシュ(2)の場合のような、溶鋼(1)の連続的な温度測定用に開発されたシステムは、光学的プロセスを用いて連続鋳造機の速度を制御し、冷却ジャケット(30)によって保護された光学赤外線センサ(8)で構成される。この2色センサ(8)は光ファイバ(9)および光学信号変換器(10)に取付けられており、高い熱および光伝導率のセラミック管(15)の内部に焦点が合わされており、これによりタンディッシュ(2)内の溶鋼(1)の正確な温度読取が可能となる。この実際的な装置により、現在使用されている方法の不都合な点が回避される。オペレータが高温に晒される時間が短縮され、メンテナンス中断時間が減少し、運転リスクが最小限に抑えられ、安全性が向上し迅速で簡易な取替えが可能になるため、スラブ品質が向上し、その結果コストを削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学的プロセスを用いた溶鋼の連続的な温度測定のためのシステムに導入される改良である。
【背景技術】
【0002】
過去数十年の間、製鋼所は生産性およびエネルギ節約制御の両面において、ならびに環境保護の観点から絶え間ない改良を受けてきた。
【0003】
製鋼プロセスでは、特に高温での厳密な熱制御が要求されることを考慮すると、温度測定は、適切な生産フローの開発に必要な条件を達成するのに重要な役割を果たす。溶鉱炉および精錬器の内部での気体と固体との間の化学反応は、温度制御が製品品質の面で最高の結果を達成するために不可欠であるプロセス段階の例である。
【0004】
これらのプロセスにおける温度測定は、転炉、ラドルおよび連続鋳造タンディッシュ内の溶鋼の取扱いを含むため非常に困難であることに鑑みて、温度監視は特殊な白金または貴金属合金の熱電対を利用して行なわれる。そのような熱電対は、最終的な測定用の使い捨てヘッドに取付けられるか、または連続鋳造凝固プロセスの場合のような長時間の測定用に適切に保護される。このプロセスには、最適な連続鋳造機動作制御および適切なスラブ品質を得るために、連続的な温度測定が必要とされる。
【0005】
現在採用されている方法は、ある材料から放射された光に基づいた動作原理を有する光学赤外線パイロメータである。光はセンサによって捕らえられ、光ファイバによって信号変換器(光学から電気信号へ)まで送信される。読取は電子信号変換器によって数式で処理され、変換器は、温度を計算して表示する。このシステムは基本的に、測定装置、関節式マニピュレータ、信号変換装置および制御システムで構成される。
【0006】
測定装置は関節式マニピュレータに機械的に連結され、信号変換装置に電気的に接続される。
【0007】
測定ユニットそのものである光学ユニットは、1つの光学センサ、固定管、スチールホースおよび光ファイバを備える。光ファイバは光学センサからの信号を信号変換装置まで搬送し、信号変換装置は次にそれを電気信号として制御システムへ送信する。
【0008】
測定管は、溶鋼内に浸漬し、かつ光学センサの視界として働くセラミック管である。
測定を行なうため、関節式マニピュレータは測定システムをタンディッシュの上方に位置決めするよう操縦し、セラミック測定管が金属槽内に沈み込んで予め定められた深さに下降するまで測定システムを移動させる。光学センサと金属槽内に浸漬した測定管の端との間の距離の調節、ならびに測定管の特徴的な内部プロファイルおよびセンサ配置により、センサが所望の視界に焦点を合わせることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
経済的観点から、この方法はB型の白金センサ(熱電対)を使用するよりも有利であることが判明した。しかし、ある技術的および動作問題に直面した。たとえば、赤外線センサ本体内の高温(>200℃)、センサを保護するための温度監視の必要性、センサ保護および据付ボックスの種類、センサを固定するのに必要なステンレス鋼管の長さおよび内
径、応用例を適切なものにしてセラミック装置の交換をより容易にすること、測定に影響を与えない理想的なセンサおよび光ファイバの冷却、センサとセラミック管の底部との間の正確な距離の決定、精密な測定を実行するためのセラミック管の内径の規定、好適なセラミック管の長さ、セラミック管内部のシリカの発生および除去、センサおよび光ファイバ冷却システム内の気体の圧力変化、鋼の槽レベルが変化した際の測定障害、ステンレス鋼管内のセンサの固定および配置、測定応答時間の調節、補正係数の調節、2つのセンサの測定比(傾き)などである。
【0010】
この発明の目的は、これらの問題を解決し、連続鋳造などの高温を含むプロセスにおける連続的な温度測定のための光学計器を使用できるようにすることである。測定管および光学計器の両方を適合および保護できるよう装置を設計した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
開発した測定装置は、光学赤外線センサ(8)を保護するための冷却ジャケット(30)を特徴として備える。これは2色センサ(8)であって、光ファイバ(9)および光学信号変換器(10)(光学から電気信号へ)が設けられている。光学赤外線センサ(8)は、プレス加工されグラファイト処理されたアルミナで形成されるセラミック管(15)の内部に焦点が合わされており、セラミック管は高速な光および熱伝導率を提供可能であるため、溶鋼(1)がタンディッシュ(2)内にある間に鋼の温度を正確に測定することが可能となる。このセラミック管(15)の寿命は、生成中の鋼の等級に依存する。それは平均で24時間持続し、最終的にさらに長く持続する。正確な製造および運転中の取替の容易性を確実にするために、セラミック管(15)のベースを変化させた。セラミック管(15)の交換をより容易にするために、光学センサ(13)冷却固定管に改良を導入した。光学センサ温度監視熱電対(21)は温度コントローラ(24)に取付けられており、温度が定められた値よりも高い場合は視聴覚表示(25)を発生する。
【0012】
光学赤外線センサ(8)の基本動作原理は、ある材料からの光放射の読取に基づく。照射光は光学赤外線センサ(8)によって読取られて光ファイバ(9)によって信号変換器(10)まで送信され、信号変換器は、この信号を光学から電気へ(4から20mAの出力へ)変換する。2色光学赤外線センサ(8)には同時読取用の2つのセンサが設けられている。読取は電子信号変換器(10)によって数式で処理され、変換器は、セラミック管(15)の温度に比例した処理温度を計算して出力として送り出す。式結果はセラミック管(15)の放射率には依存せず、むしろ、セラミック管(15)が晒される温度に比例した、熱くなったセラミック管内部で発生した波長にのみ依存する。
【0013】
このシステムでは、セラミック管(15)は運転の15時間ごと、すなわちタンディッシュ(2)が変更される際に取替えられる必要があるが、光学赤外線センサ(8)を交換する必要はない。この取替えは速くて容易な作業である。
【0014】
この測定装置を使用する利点は、オペレータが高温に晒される時間の短縮、運転安全性の向上、運転コストの削減、メンテナンスコストの低下、測定信頼性の向上、およびプロセスコンピュータを介した鋳造速度の制御の可能性である。
【0015】
光学赤外線センサ(8)は、セラミック管(15)の交換中に外部衝撃によってもなんら損傷しないように組立てられているため、本装置は、測定およびセラミック管(15)の取替処理中にオペレータに干渉されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の装置を示す図である。
【図2】本発明の装置を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1 溶鋼、2 タンディッシュ、3 測定装置、4 関節式マニピュレータ、5 信号変換装置、6 制御システム、7 マニピュレータアームおよび不活性ガス吸入口、8 光学赤外線センサ、9 光ファイバ、10 光学信号変換器、11 スチールホース、12 光学センサ固定ニップル、13 光学センサ固定冷却管、14 セラミック測定装置用誘導管、15 セラミック管、16 不活性ガス排出口、17 ロッキングロッド、18 ロッキングロッドヒンジ、19 ロッキングロッド固定用摘みナット、20 メンテナンスアクセスカバー、21 光学センサ温度監視熱電対、22 マニピュレータアーム、23 セラミック管座部、24 内部センサ温度コントロール、25 視聴覚ディスプレイ、26 局所連続温度ディスプレイ、27 連続鋳造機のプログラム可能な論理コントローラ、28 監視ステーション、29 プロセスコンピュータ、30 冷却ジャケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造機タンディッシュ(2)内の鋼(1)の場合のような、溶鋼の連続温度測定を意図した、光ファイバおよび赤外線パイロメータを用いたタンディッシュ内の溶鋼の連続温度測定のための装置であって、
前記タンディッシュ(2)内部の溶融した前記鋼(1)のレベルの変化による温度測定不安定性を減少させるためにセラミック管(15)の長さが増大することを特徴とし、
前記セラミック管(15)は、測定プロセスにおいて前記セラミック管(15)内部で形成されるシリカ粒子を除去できるように不活性ガス排出口(16)が設けられており、冷却不活性ガス圧力制御を用いて測定安定性を維持し、
前記セラミック管(15)は座部(23)上に支持され、摘みナット(19)などに取付けられた関節式ロッキングロッド(17)で固定される、装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−545975(P2008−545975A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515006(P2008−515006)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/BR2006/000133
【国際公開番号】WO2006/130941
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(507402967)ウジナス・シデルルジカス・デ・ミナス・ジェライス・ソシエダッド・アノニマ・ウジミナス (1)
【氏名又は名称原語表記】USINAS SIDERURGICAS DE MINAS GERAIS S.A. USIMINAS
【Fターム(参考)】