説明

光ファイバケーブル、配線方法、及び切断工具

【課題】本発明の課題は、光ファイバケーブルを開閉することで光ファイバケーブルの径(厚み)を変化させて配線できる光ファイバケーブルを提供することにある。
【解決手段】本発明は、光ファイバ心線もしくは光ファイバテープ心線と抗張力体とを被覆した光ファイバケーブルであって、光ファイバケーブルの長手方向に沿った1以上の屈曲部である凹部3と、前記屈曲部である凹部3の両側に前記屈曲部である凹部3を支点として開閉自在な2以上の対向部であるインドアケーブル(A側)5、インドアケーブル(B側)6とを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内、特にアパートや小規模マンションにおける光配線に利用する光ファイバケーブル、配線方法、及び切断工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信社会の発展を受けて、大容量のデータ通信を行うことができる光ファイバ通信が広がり始めている。そのため、一般家庭においても光ファイバを引き込むFTTH(Fiber To The Home)の加入者が増加しており、建物内においても光ファイバを用いた情報通信のための配線システムが利用されるようになっている。
【0003】
従来、建物内での光配線工事で利用される光ファイバケーブルとして、インドア光ファイバケーブル(例えば、特許文献1参照。)があるが、この光ファイバケーブルはその径が一定のため、例えばドアなどの狭窄部を通過させようとするとき、狭窄部の前後でキャビネットなどの接続用品を利用し、狭窄部の配線にはその空間に応じた径の光ファイバケーブルを用いること、狭窄部に付近の壁面を貫通して光ファイバケーブルをそのまま配線することや、狭窄部が存在しない箇所まで迂回して配線することが実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−161867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、光サービス拡大に伴う光配線工事の増大に対処するため、建物内における光配線工事の即応化が求められている。しかし、建物内の光配線工事で狭窄部の前後において接続用品を設け、異なる光ファイバケーブルを利用することや、狭窄部に付近の壁面に貫通工事を施して光ファイバケーブルをそのまま配線すること、狭窄部が存在しない箇所まで迂回して配線することは、光配線工事の施工時間の増加につながることが考えられる。
【0006】
また、建物内の環境は多種多様であり、接続用品を設けることや、貫通工事を施すこと、迂回することも不可能な建物に関しては、工事を中止することになるため、光サービスの拡大の妨げになることも考えられる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、光ファイバケーブルを開閉することで光ファイバケーブルの径(厚み)を変化させ、狭窄部で配線する際に光ファイバケーブルの径(厚み)を部分的に小さくすることで、接続用品を設けることや貫通工事を施すこと、迂回することをしないで配線する光ファイバケーブル及びその配線方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、光ファイバ心線もしくは光ファイバテープ心線と抗張力体とを被覆した光ファイバケーブルであって、光ファイバケーブルの長手方向に沿った1以上の屈曲部と、前記屈曲部の両側に前記屈曲部を支点として開閉自在な2以上の対向部とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
また本発明は、前記光ファイバケーブルにおいて、光ファイバケーブルの屈曲部及び対向部は一体であることを特徴とするものである。
【0010】
また本発明は、前記光ファイバケーブルにおいて、光ファイバケーブルの対向部間は、楔、切り裂き紐、接着シート又は接着剤を連続又は間欠的に設けることを特徴とするものである。
【0011】
また本発明は、前記光ファイバケーブルを用いて配線する配線方法であって、隙間などの狭窄部においては前記光ファイバケーブルの対向部は屈曲部を支点として、180度回転させることにより、開放して配線し、狭窄部以外においては対向部を重ね合せて配線することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記光ファイバケーブルを切断する工具であって、刃と刃の幅を調整する刃幅調整機構と刃が挿入する深さを調整する刃高調整機構を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、建物内にて光配線工事を行うとき、ドアの隙間などの狭窄部においては前記光ファイバケーブルの屈曲部にて対向部を開閉し、前記光ファイバケーブルの径(厚み)を小さくすることで、狭窄部の前後に接続用品を用いて異なる径の光ファイバケーブルを接続すること、壁面に貫通工事を施すこと、狭窄部から迂回することなしにそのまま狭窄部を通過して光配線工事を施すことができるため、光配線工事の施工時間を低減することができる。
【0014】
また、前記光ファイバケーブルが開閉機能を持つことで、厚みだけではなく幅の調整も可能になり、幅方向における狭窄部と厚み方向における狭窄部の両方に対応することが可能である。
【0015】
また、本発明の光ファイバケーブルの厚みを任意の光ファイバケーブル、例えばインドア光ファイバケーブルの径に設定すると、その径に対応したその他の光配線工事物品、例えば光コネクタなど、をそのまま利用することができ、本発明専用の光配線工事物品を利用することなく施工できるため、光配線工事物品の品目を増やすことが必要なくなり、光配線工事の施工性を向上することができる。
【0016】
また、前記光ファイバケーブルの開閉機能の非開放時には厚みが増加するため、本発明の光ファイバケーブルに曲げを加えた際にも過大な曲げが半径方向に加わりにくくなり、同様に施工性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る光ファイバケーブルを180度開放したときの断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る光ファイバケーブルを部分的に開放したときの斜視図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る光ファイバケーブルを部分的に開放したときの上面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る光ファイバケーブルを部分的に開放したときの状態を上部から示した上面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る光ファイバケーブルを用いて光配線工事を施したときの状態を示す構成説明図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。
【図9】本発明の第6の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。
【図10】本発明の第7の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。
【図11】本発明の第8の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。
【図12】本発明の第9の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。
【図13】本発明の第10の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。
【図14】本発明の第11の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。
【図15】本発明の第12の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。
【図16】本発明の第13の実施形態に係る光ファイバケーブルの重ね合わせ状態の断面図である。
【図17】本発明の第13の実施形態に係る光ファイバケーブルの開放状態の断面図である。
【図18】本発明の実施形態に係る固定方法として接着シート又は接着剤を利用した光ファイバケーブルを示す斜視図である。
【図19】本発明の実施形態に係る固定方法として接着剤を利用した別の光ファイバケーブルを示す斜視図である。
【図20】本発明の実施形態に係る固定方法としてテープ材を利用した光ファイバケーブルを示す斜視図である。
【図21】本発明の実施形態に係る固定方法としてバインド線を利用した光ファイバケーブルを示す斜視図である。
【図22】本発明の実施形態に係る固定方法として剥離シートを利用した光ファイバケーブルを示す斜視図である。
【図23】本発明の実施形態に係る固定方法として剥離シートを利用した光ファイバケーブルを示す斜視図である。
【図24】本発明の実施形態に係る固定方法として剥離シートを利用した光ファイバケーブルを示す斜視図である。
【図25】本発明の実施形態に係る固定方法として磁石を利用した光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図26】本発明の実施形態に係る剥離方法として楔を利用した光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図27】本発明の実施形態に係る剥離方法として切り裂き紐を利用した光ファイバケーブルを示す斜視図である。
【図28】本発明の実施形態に係る固定方法の別の形態の光ファイバケーブルを示す斜視図である。
【図29】本発明の実施形態に係る固定方法を容易に剥離する別の方法の光ファイバケーブルを示す側面図である。
【図30】本発明の実施形態に係る切断工具の一例を示す斜視図である。
【図31】本発明の実施形態に係る切断工具の他の例を示す斜視図である。
【図32】本発明の実施形態に係る切断工具(上面)に設けられた刃及び刃幅調整ねじの動作を示す断面図である。
【図33】本発明の実施形態に係る切断工具における刃幅及び刃高調整機構を示した側面図である。
【図34】本発明の実施形態に係る切断工具における刃幅及び刃高調整機構を示した斜視図である。
【図35】本発明の実施形態に係る切断工具におけるスライダを用いた刃幅及び刃高調整機構を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0019】
図1及び図2は本発明の第1の実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図及び斜視図である。図1及び図2に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1はテンションメンバ(抗張力体)4と光ファイバ心線2を被覆したものであり、インドアケーブル1の長手方向に沿って一体に連結した屈曲部を形成する凹部3と、前記凹部3の両側に凹部3を支点として開閉自在な対向部の境界面(上下)7を備える。また、インドアケーブル1は長手方向に延伸しており、被覆された光ファイバ心線2及びテンションメンバ4、凹部3も同様に延伸している。テンションメンバ4は繊維強化プラスチック、鋼線あるいは樹脂より形成される。
【0020】
図1に示すように、インドアケーブル1は境界面(上下)7で接触しており、この状態で凹部3は中空状になっている。
【0021】
図2に示すように、インドアケーブル1は連結した屈曲部を形成する凹部3を支点としてインドアケーブル(A側)5とインドアケーブル(B側)6の2つの対向部に境界面(上下)7から開放され、2つの対向部は0〜180度の範囲で角度可変可能である。この凹部3と2つの対向部であるインドアケーブル(A側)5、インドアケーブル(B側)6は一体となっている。インドアケーブル(A側)5にはテンションメンバ4が埋設され、インドアケーブル(B側)6には光ファイバ心線2が埋設される。
【0022】
図3は本発明の第2の実施形態に係る光ファイバケーブルを180度開放したときの断面図である。図3に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1は角度可変の支点となる凹部3を上下に持ち、凹部3を中心として左右に光ファイバ心線2とテンションメンバ4を備えた形状になっている。
【0023】
図4は本発明の第3の実施形態に係る光ファイバケーブルを部分的に開放したときの斜視図である。図4に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1は例えばドアなどの狭窄部を通過して配線する際にインドアケーブル1の一部を開放することでそのまま通過して配線することが可能である。これは例えば、インドアケーブル1のインドアケーブル(A側)5をインドアケーブル(B側)6より180度開放し、境界面(左右)8を境目として、切り離すことで可能になる。この開放については180度でなくとも狭窄部を通過できる厚みを確保できる角度でよい。
【0024】
図5は本発明の第4の実施形態に係る光ファイバケーブルを部分的に開放したときの上面図である。図5に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1の被覆部材に柔軟性を持つ材料、例えばPVCやポリエチレンなどを利用することによって、インドアケーブル(A側)5を境界面(左右)8で切り離す必要もなく、インドアケーブル(A側)5とインドアケーブル(B側)6をその柔軟性を利用してひねることで180度開放することも可能になる。この場合、ひねり部分43のように、切断されていない境界部分が残る。
【0025】
図6は本発明の第3の実施形態に係る光ファイバケーブルを部分的に開放したときの状態を上部から示した上面図である。インドアケーブル1を境界面(左右)8において開放したとき、開放していない部分を重ね合わせ状態A、開放したときの状態を開放状態Bとする。この開放状態Bは凹部3において0度より大きく角度可変したときが全て当てはまるとする。
【0026】
図7は本発明の第3の実施形態に係る光ファイバケーブルを用いて光配線工事を施したときの状態を示す構成説明図である。この例では建物の住戸内にドア越し配線を行ったときのものである。これは光ファイバケーブルであるインドアケーブル1をドア10までの経路では重ね合わせ状態Aで壁面9等に配線し、ドア10の狭窄部である隙間11にて、前記光ファイバケーブルの対向部は屈曲部(凹部)を支点として、180度回転させることにより開放状態Bにて配線し、ドアを通過した際の狭窄部以外においては再び前記光ファイバケーブルの対向部を開放しない重ね合わせ状態Aにて配線している。
【0027】
図8乃至図17は本発明の実施形態に係る光ファイバケーブルの内部に収納する光ファイバ心線、光ファイバテープ心線、抗張力体(テンションメンバ)などの収納物や形状を示した開放状態の断面図又は重ね合わせ状態の断面図である。
【0028】
図8は本発明の第5の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。図8に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1の内部に光ファイバ心線2を1本とテンションメンバ4を2本収納したものである。この例では光ファイバ心線2は凹部3,3の間に収納されている。
【0029】
図9は本発明の第6の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。図9に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1の内部に光ファイバテープ心線12を1本、テンションメンバ4を1本収納したものである。この例では光ファイバテープ心線12を対向部に設けている。すなわち、光ファイバテープ心線12とテンションメンバ4とを被覆した光ファイバケーブルであって、前記光ファイバケーブルの長手方向に沿った2つの屈曲部である凹部3の両側には前記凹部3を支点として開閉自在な対向部が設けられる。前記対向部と凹部3は一体に設けられる。
【0030】
図10は本発明の第7の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。図10に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1の内部に光ファイバ心線2を1本とテンションメンバ4を2本収納したものである。この例では、光ファイバ心線2を収納した対向部にテンションメンバ4も収納した例となっている。
【0031】
図11は本発明の第8の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。図11に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1の対向部にノッチ13を凹部3と並行して設けたものである。この例では光ファイバ心線2の上下に1つずつノッチ13を設けた例となっている。このノッチ13に沿って加傷することでインドアケーブル1を切り開きやすくすることができ、内部に収納された光ファイバ心線2を容易に取り出すことが可能になる。
【0032】
図12は本発明の第9の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。図12に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1の凹部3の形状を断面三角形状にしたものである。例えば、この凹部3の断面三角形状を鋭角から鈍角(0より大きく180度より小さい)まで変更することで、円形状と比較してインドアケーブル1を開放する角度を様々に調整することができる。
【0033】
図13は本発明の第10の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。図13に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1の対向部の形状を半円形状にしたものである。インドアケーブル1の対向部の形状を半円形状にすることで重ね合わせ状態において円形状になり、円形狭窄部に関しても配線しやすくなる。
【0034】
図14は本発明の第11の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。図14に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1の凹部3を2つにしたものである。この凹部3を増加させることで、開放状態における対向部を増加させることが可能になり、狭窄部の形状、例えば狭窄部の高さだけではなく幅も狭いときなどに、対向部を片方だけ開放するなどして、狭窄部に合わせて配線することが可能になる。なお、インドアケーブル1の被覆には、図11と同様のノッチ13を設けている。
【0035】
図15は本発明の第12の実施形態に係る光ファイバケーブルを開放したときの断面図である。図15に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1の四隅を面取りしたものである。インドアケーブル1の四隅を面取りし、丸エッジ14を設けることで配線時の摩擦を低減し、配線しやすいようにすることが可能になる。また、対向部の一部に中空状の収納部15及び開口用のスリット16を設けることで光ファイバ心線2をあらかじめ被覆することなく収納することも可能であり、後から出し入れすることもできる。
【0036】
図16は本発明の第13の実施形態に係る光ファイバケーブルの重ね合わせ状態の断面図であり、図17は同じく開放状態の断面図である。図16及び図17に示すように、光ファイバケーブルであるインドアケーブル1の連結した屈曲部を形成する凹部3を細くしたものである。凹部3を切り込みではなく、橋形状にしたことで、重ね合わせ状態の時に2つの対向部の境界面(上下)7に間隙17が現れるようになっている。この場合、重ね合わせ状態時に対向部が浮くことで開放しやすくなる。
【0037】
図18乃至図25は本発明の実施形態に係る光ファイバケーブルの重ね合わせ状態におけるインドアケーブル(A側)とインドアケーブル(B側)の固定方法である。固定方法については図18乃至図25の方法をとらなくても可能であるが、固定方法をとることでより強固になる。
【0038】
図18は本発明の実施形態に係る固定方法として接着シート又は接着剤を利用した光ファイバケーブルを示す斜視図である。インドアケーブル1の対向部であるインドアケーブル(A側)5とインドアケーブル(B側)6の境界となる境界面(上下)7間において接着シートを貼付又は接着剤を塗布した接着層18を設けることで重ね合わせ状態時における固定を強固にすることができる。この接着層18は連続又は間欠状に施す。
【0039】
図19は本発明の実施形態に係る固定方法として接着剤を利用した別の光ファイバケーブルを示す斜視図である。インドアケーブル1の対向部であるインドアケーブル(A側)5とインドアケーブル(B側)6の凹部3とは逆の側面にて接着剤を塗布し、接着点19を設けることで重ね合わせ状態時における固定を強固にすることができる。この接着点19は連続又は間欠状に施す。
【0040】
図20は本発明の実施形態に係る固定方法としてテープ材を利用した光ファイバケーブルを示す斜視図である。インドアケーブル1の重ね合わせ状態において、テープ材20をインドアケーブル1の周囲に間欠状に被覆することで、重ね合わせ状態時における固定を強化する。このテープ材20は一部遊びであるテープ除去部21を設け、遊び部分を剥離することで容易にテープ材20を除去することが可能になる。
【0041】
図21は本発明の実施形態に係る固定方法としてバインド線を利用した光ファイバケーブルを示す斜視図である。インドアケーブル1の重ね合わせ状態において、バインド線22をスパイラル状に被覆して固定する。このバインド線22を切断などすることで容易に除去することが可能になる。
【0042】
図22乃至図24は本発明の実施形態に係る固定方法として剥離シートを利用した光ファイバケーブルを示す斜視図である。図22に示すように、インドアケーブル1の重ね合わせ状態において、剥離シート23を境界面(上下)7の一部に設置すると共に境界面(上下)7から剥離シート23の一部が外部に導出するように設置する。この剥離シート23はそのものが接着性能を持つものでもよいし、他の接着性能を保持した物質を利用してもよい。この剥離シート23を介して、インドアケーブル1の対向部であるインドアケーブル(A側)5とインドアケーブル(B側)6を強固に固定する。
【0043】
この剥離シート23を利用した固定方法は図23に示すように、インドアケーブル(A側)5とインドアケーブル(B側)6を開放したい部分において剥離シート23をインドアケーブル1の長手方向と垂直に切り目である剥離シートカット部24を設ける。この状態で図24に示すように、切り目を入れた剥離シート23を剥離シートカット部24を利用して水平方向C又は上下方向Dに力を加えることでインドアケーブル(A側)5とインドアケーブル(B側)6を開放する。この残りの剥離シート23はそのまま残すことも可能であるし、剥離シート23をインドアケーブル1の長手方向の一部に切り目を入れて除去することもできる。
【0044】
図25は本発明の実施形態に係る固定方法として磁石を利用した光ファイバケーブルを示す断面図である。図25に示すように、インドアケーブル1において、対向部それぞれに磁石27を収納する。この磁石27の磁力を利用して重ね合わせ時状態において強固に固定し、また容易に剥離することができる。
【0045】
図26及び図27は本発明の実施形態に係るインドアケーブル(A側)とインドアケーブル(B側)の剥離方法である。
【0046】
図26は本発明の実施形態に係る剥離方法として楔を利用した光ファイバケーブルを示す断面図である。図26に示すように、インドアケーブル1の重ね合わせ状態において、前記インドアケーブル1の対向部の境界面(上下)7間には楔25が一部を境界面(上下)7から外部に導出するように連続又は間欠的に設置する。この楔25は重ね合わせ部の凹部3と逆の側面に配置され、そのものが接着性能を持つものでもよいし、他の接着性能を保持した物質を利用してもよい。この楔25を配置するとき、重ね合わせ部の当該部分に切り込みを入れてもよいし、切り込みを入れずに配置してもよい、また、楔25の厚みや形状は任意のものである。この楔25に押圧Eを加えることで、接着部分26に上下方向に力が加わり、境界面(上下)7を境目にして上下に剥離する。
【0047】
図27は本発明の実施形態に係る剥離方法として切り裂き紐を利用した光ファイバケーブルを示す斜視図である。図27に示すように、本剥離方法は主にインドアケーブルの端末部分において利用するものである。本方法においては、あらかじめインドアケーブル1の対向部の境界面(上下)7間の長手方向に切り裂き紐28を連続又は間欠的に収納する。この切り裂き紐28はインドアケーブル1の凹部3においてインドアケーブル(A側)5とインドアケーブル(B側)6における隙間部分に収納することで、インドアケーブル1の厚みに影響することなく収納することができる。この切り裂き紐28を境界面(上下)7に沿った方向に引くことで切り裂くことが可能になる。この固定方法としては、図18乃至図25における固定方法が使用可能である。
【0048】
図28及び図29は本発明の実施形態に係る固定方法の別の形態と容易に剥離する別の方法の光ファイバケーブルを示す斜視図及び側面図である。図28に示すように、本固定方法は図18で示したように、インドアケーブル1の側面に接着点19を設けるものであるが、この場合、インドアケーブル1の側面にV字カット29を設けることで接着点19をはみ出さずに設けることができるため、インドアケーブル1の幅に影響を与えることなく固定することができる。これを例えば図29に示すように、曲げ力Fを加えることによって、インドアケーブル(A側)5とインドアケーブル(B側)6を剥離することができる。この曲げ力Fを用いる剥離方法は、図18乃至図27において使用することができる。
【0049】
図30乃至図35は本発明の実施形態に係る光ファイバケーブルを切断する切断工具を示したものである。
【0050】
図30及び図31は本発明の実施形態に係る切断工具の異なる例を示す斜視図である。光ファイバケーブルであるインドアケーブル1を切断する際に、刃と刃の幅を調整する機構(刃幅調整機構)と刃が挿入する深さを調整する機構(刃高調整機構)にねじ又はスライダを利用した切断工具である。
【0051】
図30に示すように、切断工具30は刃が設けられた切断工具(上面)32と刃を受ける面である切断工具(下面)33、インドアケーブル1を切断する刃34、その刃と刃の幅を調整する機構(刃幅調整機構)である刃幅調整ねじ35、刃が挿入する深さを調整する機構(刃高調整機構)である刃高調整ねじ36を備え、切断工具(上面)32と切断工具(下面)33は軸31によって自由に開閉することができる。この切断工具(上面)32と切断工具(下面)33の間にインドアケーブル1を挟み、刃を調整することでインドアケーブル1の任意の部分を切り取ることができる。また、この切断工具30は図31に示すように、その刃幅調整機構及び刃高調整機構にスライダを用いることが可能であり、このスライダを用いた機構である刃幅調整スライダ37と刃高調整スライダ38を用いることでねじを用いたときと同様にインドアケーブル1の任意の部分を切断することが可能である。
【0052】
図32乃至図34は本発明の実施形態に係る切断工具における刃幅及び刃高調整機構を示した構成図である。
【0053】
図32は本発明の実施形態に係る切断工具(上面)に設けられた刃34及び刃幅調整ねじ35の動作を示した断面図である。この刃幅調整ねじ35は刃幅調整ねじ(ねじ頭)39を締めたり緩めたりすることで、刃幅調整ねじ35のねじのピッチに応じて刃34と刃34の幅を調整することが可能である。この刃幅調整ねじ35や刃34は図33に示すように、刃押さえ41に設けられており、刃押さえ41から刃34を自由に脱着可能になっている。この刃押さえ41に対して刃高調整ねじ36が設けられており、切断工具(上面)32にある刃高調整ねじ(ねじ頭)40を締めたり緩めたりすることで刃押さえ41ごと刃の高さを調整することが可能になっている。また図34に示すように、刃幅調整ねじ35は刃押さえ41に設けられており、刃幅及び刃高調整機構はお互い干渉しあわないようになっている。
【0054】
図35は本発明の実施形態に係る切断工具におけるスライダを用いた刃幅及び刃高調整機構を示す側面図である。スライダを用いた刃幅調整機構である刃幅調整スライダ37は切断工具(上面)32の一部を空洞にし、そこにはめ込みスライドさせる機構となっている。この刃34は前記ねじ利用の刃幅及び刃高調整機構と同様に刃押さえ41に設けられており、刃34を自由に脱着することが可能になっている。刃高調整スライダ38にある刃高調整スライダ(ストッパ部)42は刃押さえ41が下部に下がることを防ぐようになっており、調整された刃の深さ以上に切断することが防止されている。
【0055】
前記刃幅及び刃高調整機構は一例であり、これらの機能を損なわないならば任意の組み合わせを用いることも組み合わせることも可能になっている。
【0056】
また、切断工具には市販の工具を利用することも可能であり、例えば図4のインドアケーブル1において開放されたインドアケーブル(A面)を凹部3に沿ってニッパやカッタなどを利用して切り取ることも可能である。
【0057】
以上のように本発明によれば、光ファイバ心線もしくは光ファイバテープ心線と抗張力体とを被覆した光ファイバケーブルであって、長手方向に沿った1以上の屈曲部(凹部)と、前記屈曲部の両側に前記屈曲部を支点として開閉自在な2以上の対向部とを具備することにより、ドアの隙間などの狭窄部であっても、光ファイバケーブルの対向部を開き、光ファイバケーブルの径(厚み)を小さくすることで、光配線工事を施すことができる。前記光ファイバケーブルの屈曲部及び対向部は一体に設けてもよい。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態にそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…インドアケーブル、2…光ファイバ心線、3…凹部、4…テンションメンバ(抗張力体)、5…インドアケーブル(A側)、6…インドアケーブル(B側)、7…境界面(上下)、8…境界面(左右)、9…壁面、10…ドア、11…隙間、12…光ファイバテープ心線、13…ノッチ、14…丸エッジ、15…収納部、16…スリット、17…間隙、18…接着層、19…接着点、20…テープ材、21…テープ材除去部、22…バインド線、23…剥離シート、24…剥離シートカット部、25…楔、26…接着部分、27…磁石、28…切り裂き紐、29…V字カット、30…切断工具、31…軸、32…切断工具(上面)、33…切断工具(下面)、34…刃、35…刃幅調整ねじ、36…刃高調整ねじ、37…刃幅調整スライダ、38…刃高調整スライダ、39…刃幅調整ねじ(ねじ頭)、40…刃高調整ねじ(ねじ頭)、41…刃押さえ、42…刃高調整スライダ(ストッパ部)、43…ひねり部分、A…重ね合わせ状態、B…開放状態、C…水平方向、D…上下方向、E…押圧、F…曲げ力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ心線もしくは光ファイバテープ心線と抗張力体とを被覆した光ファイバケーブルであって、
光ファイバケーブルの長手方向に沿った1以上の屈曲部と、
前記屈曲部の両側に前記屈曲部を支点として開閉自在な2以上の対向部と
を具備することを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記光ファイバケーブルの屈曲部及び対向部は一体であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記光ファイバケーブルの対向部間は、楔、切り裂き紐、接着シート又は接着剤を連続又は間欠的に設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバケーブル。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバケーブルを用いて配線する配線方法であって、隙間などの狭窄部においては前記光ファイバケーブルの対向部は屈曲部を支点として、180度回転させることにより、開放して配線し、狭窄部以外においては対向部を重ね合せて配線することを特徴とする光ファイバケーブルの配線方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバケーブルを切断する工具であって、刃と刃の幅を調整する刃幅調整機構と刃が挿入する深さを調整する刃高調整機構を備えることを特徴とする光ファイバケーブルの切断工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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