説明

光ファイバケーブル

【課題】中間分岐作業を短時間で実行できるとともに、光ファイバ心線の損傷を防止できる光ファイバケーブルを提供する。
【課題手段】光ファイバ集合体、テンションメンバ及び仕切りテープが外被より一体的に被覆され、ノッチをガイドとして仕切りテープに到達する切込みを入れることにより、外被を複数分割して中間分岐される光ファイバケーブルにおいて、仕切りテープを、光ファイバ集合体と接触する一方の面に外被と接着一体化されない非接着部を有するとともに、他方の面に外被と接着一体化される接着部を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ心線の両側にテンションメンバを配して、外被で一括被覆したドロップ光ケーブルやインドア光ケーブルとして用いる様な光ファイバケーブルに関し、特に光ファイバ心線と外被の間に介在される仕切りテープの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及に伴い、光ファイバを一般家庭に直接引き込んで高速通信サービスを実現するFTTH(Fiber To The Home)が急速に拡大している。一般に、FTTHに用いられる光ファイバケーブルには複数本の光ファイバが収容されている。この光ファイバケーブルからFTTH利用者宅に光ファイバを引き落とす場合には、光ファイバケーブルを中間分岐して所望の光ファイバを分離して取り出す必要がある。通常、このような中間分岐作業は、光信号の伝送を中断しない活線状態で行われる。
そこで、活線状態で光ファイバケーブルの中間分岐作業を行ったときに、曲げにより伝送損失が増加したり、光ファイバが損傷したりするのを防止すべく、様々な技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
図7は、特許文献1で開示されている自己支持型の光ファイバケーブルの断面構造を示す図である。図7に示すように、光ファイバケーブル50は、8本の光ファイバ心線51aが2段俵積み状に配列された光ファイバ集合体51の幅方向両側にテンションメンバ52が配置されるとともに、光ファイバ集合体51の配列面に接触するように仕切りテープ53が配置され、これらが外被54で一体的に被覆されて構成されている。また、外被54には、外側から光ファイバ集合体51の配列面に向かうV字状のノッチ54a、54bが4箇所(片側2箇所)に形成されている。
光ファイバケーブル50を中間分岐する場合、ノッチ54a、54bをガイドとして外被54に専用工具の切込刃を食い込ませ、この状態で工具をケーブルの長手方向に所定長だけ移動させる。仕切りテープ53は外被54及び個々の光ファイバ心線51aと接着していないので、外被54が4分割され、仕切りテープ53及び光ファイバ集合体11が外被54から分離される。そして、分割された部分において、外被54及び仕切りテープ53を切断し、所望の光ファイバ心線51aを取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4224092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、光ファイバケーブル50においては、仕切りテープ53と外被54が接着していないため、中間分岐時には、仕切りテープ53が外被54から分離した状態となる。したがって、4分割された外被54の切断とは別に、2枚の仕切りテープ53を切断する工程が必要となる。
このように、従来の光ファイバケーブル50では、中間分岐作業における切断点数が多くなるため、作業時間が長くなり、また光ファイバ心線51aを誤って切断したり挟んだりして損傷させてしまう危険性が高くなる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、中間分岐作業を短時間で実行できるとともに、光ファイバ心線の損傷を防止できる光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、複数本の光ファイバ心線が平行に配列されてなる光ファイバ集合体と、
前記光ファイバ集合体の幅方向両側に配置されるテンションメンバと、
前記光ファイバ集合体の配列面に前記光ファイバ心線と接触するように配置される仕切りテープと、
前記光ファイバ集合体、前記テンションメンバ及び前記仕切りテープを一体的に被覆するとともに、両側から前記光ファイバ集合体の配列面に向けて2対のノッチが形成された外被と、を備え、
前記ノッチをガイドとして前記仕切りテープに到達する切込みを入れることにより、前記外被を複数分割して中間分岐される光ファイバケーブルにおいて、
前記仕切りテープは、前記光ファイバ集合体と接触する一方の面に前記外被と接着一体化されない非接着部を有するとともに、他方の面に前記外被と接着一体化される接着部を有していることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光ファイバケーブルにおいて、前記仕切りテープは、前記他方の面に接着性樹脂からなる接着層を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光ファイバケーブルにおいて、前記仕切りテープは、前記他方の面に凹凸加工が施されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光ファイバケーブルにおいて、前記凹凸加工が施された領域における輪郭曲線の算術平均高さRaが10μm以上で、輪郭曲線要素の平均長さRSmが0.5mm以下であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の光ファイバケーブルにおいて、前記仕切りテープは、前記他方の面に前記外被と係合する係合片を有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバケーブルにおいて、前記ノッチの間隔が、前記光ファイバ集合体の配列幅よりも大きく、前記仕切りテープの幅よりも小さく設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか一項に記載の光ファイバケーブルにおいて、前記仕切りテープの幅が、前記光ファイバ集合体の配列幅よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7の何れか一項に記載の光ファイバケーブルにおいて、前記接着部の幅が、前記ノッチの間隔よりも小さく設定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8の何れか一項に記載の光ファイバケーブルにおいて、前記仕切りテープの非接着部が、前記外被よりも融点の高い材料で構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、中間分岐時に仕切りテープが外被と接着した状態となるので、1回の切断工程で外被と仕切りテープを同時に切断することができる。したがって、中間分岐作業を短時間で実行できるとともに、光ファイバ心線の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図2】光ファイバケーブルの外観斜視図である。
【図3】光ファイバケーブルにおける寸法設計を説明するための図である。
【図4】光ファイバケーブルの中間分岐時の状態を示す図である。
【図5】第2実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図6】第3実施形態に係る光ファイバケーブルを示す断面図である。
【図7】従来の光ファイバケーブルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は第1実施形態に係る光ファイバケーブル10を示す断面図で、図2は光ファイバケーブル10の外観斜視図ある。
図1、2に示すように、光ファイバケーブル10は、ケーブル部10Aと支持線部10Bが、切断容易な幅狭の首部10Cにより間欠的に連結された自己支持型の光ファイバケーブルである。ケーブル部10Aは、光ファイバ集合体11、テンションメンバ(抗張力体)12及び仕切りテープ13が、外被14により一体的に被覆された構成を有している。支持線部10Bは、例えば外径0.4〜0.7mmの鋼線15が外被16により被覆された構成を有している。
図2に示すように、光ファイバケーブル10では、ケーブル部10Aが支持線部10Bに対して弛ませた状態、すなわち余長が付与された状態で連結されており、光ファイバケーブル10にクロージャを容易に後設置できるようになっている。
【0019】
ケーブル部10Aにおいて、光ファイバ集合体11は、4本の光ファイバ心線11aを一列に配列し、下層において隣接する2本の光ファイバ心線11aの間に生じる谷間に上層の光ファイバ心線11aが位置するように、2段俵積み状に積層して構成されている。ここで、光ファイバ心線とは、裸光ファイバに必要最小限の被覆(一次被覆)を施した光ファイバ素線に、紫外線硬化型樹脂からなる2次被覆を施したものである。
テンションメンバ12は、例えば鋼線、鋼撚り線、又は繊維強化プラスチックなどで構成され、光ファイバ集合体11の幅方向両側に光ファイバ集合体11と平行に配置されている。このテンションメンバ12により、光ファイバ心線11aに加わる張力が緩和される。
【0020】
仕切りテープ13は、光ファイバ集合体11の配列面と直接接触して光ファイバ集合体11を挟むように、光ファイバ集合体11に縦添えに配置されている。第1実施形態では、仕切りテープ13を、外被14と接着性の悪い樹脂材料で構成されたテープ基材13aに、外被14と接着性の良い樹脂材料で構成された接着層13bを形成した構成としている。
ここで、「外被と接着性が悪い」とは中間分岐時に外被14と容易に分離することを意味し、「外被と接着性が良い」とは中間分岐時に外被14と容易に分離せず外被14に追従することを意味する。つまり、テープ基材13aが外被14と接着一体化されない非接着部となり、接着層13bが外被14と接着一体化される接着部となる。
【0021】
テープ基材13aは、例えば、外被14の押出成型時の温度において溶融しない程度の高い融点を有する材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド樹脂、又はポリエステルエラストマ樹脂等)で構成される。これにより、テープ基材13aは、光ファイバ集合体11(個々の光ファイバ心線11a)と接触して配置されるが、接着はされない。すなわち、仕切りテープ13と光ファイバ集合体11は中間分岐時に容易に分離可能となる。
望ましくは、外被14よりも硬質の材料でテープ基材13aを構成する。これにより、セミが外被14に産卵管を突き刺しても、テープ基材13aにより産卵管のさらなる侵入が制止されるので、光ファイバケーブル10のセミ耐性が向上する。
【0022】
接着層13bは、例えばポリアミド系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリオレフィン系接着剤の様な合成系接着剤で構成される。特に、接着層13bを外被14の押出成型時の温度で溶融するホットメルトタイプの接着剤で構成することで、外被14の押出成型において容易に仕切りテープ13と外被14を接着させることができる。
接着層13bは、テープ基材13aに対して長手方向に一様に形成してもよいし、部分的に形成してもよい。通常、中間分岐時には外被14の除去長は約300mmとされるので、長手方向に例えば100mm以下の間隔で接着層13bを形成すれば、中間分岐部分において仕切りテープ13は外被14から分離しないと考えられる。
【0023】
外被14は、例えばポリエチレン、難燃ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルで構成され、光ファイバ集合体11、テンションメンバ12及び仕切りテープ13を一体的に被覆する。外被14には、両側から光ファイバ集合体11の配列面に向けて対向する2対のV字状ノッチ14a、14bが形成されている。このノッチ14a、14bにより、外被14の所望の位置に切込刃を比較的小さい押圧力で精度よく案内して食い込ませることができる。
なお、外被14の外形は図1に示すように略矩形状であってもよいし、楕円状であってもよい。また、外被14を硬質な材料で構成することで、セミ耐性を向上させることができる。この場合、仕切りテープ13にはセミ耐性を向上させるための硬度は要求されない。
【0024】
ここで、光ファイバケーブル10においては、光ファイバ集合体11の配列幅D、仕切りテープ13の幅(テープ基材13aの幅)Wt、接着層13bの幅Wa、ノッチ14a、14bの間隔Mを、図3に示すように設定するのが望ましい。
すなわち、ノッチ14a、14bの間隔Mは、光ファイバ集合体11の配列幅Dよりも大きく、仕切りテープ13の幅Wtよりも小さく設定される。ノッチ14a、14bの間隔Mを光ファイバ集合体11の配列幅Dよりも大きくすることで、ノッチ14a、14bの軸線上に光ファイバ心線11aは位置しなくなる。したがって、ノッチ14a、14bをガイドとして外被14に切込刃を食い込ませたときに、誤って食い込み深さが大きくなっても光ファイバ心線11aが損傷することはない。また、ノッチ14a、14bの間隔Mを仕切りテープ13の幅Wtよりも小さくすることで、切込刃が確実に仕切りテープ13に到達する。したがって、中間分岐時に外被14が確実に4分割される。
【0025】
仕切りテープ13の幅Wtは、光ファイバ集合体11の配列幅Dよりも大きく設定される。これにより、仕切りテープ13が光ファイバ集合体11の配列面に直接接触して全面を覆うこととなるので、外被14の押出成型時に、光ファイバ集合体11と仕切りテープ13の隙間、及び光ファイバ心線11a同士の隙間に外被14の樹脂材料が入り込まない。すなわち、光ファイバ集合体11の配列面は外被14と接触せず、側面だけが外被14と密着することとなる。したがって、中間分岐時に、光ファイバ集合体11は仕切りテープ13及び外被14から容易に分離される。
【0026】
接着層の幅Waは、ノッチ14a、14bの間隔Mよりも小さく設定される。これにより、ノッチ14a、14bをガイドとして外被14に切込刃を食い込ませたときに、ノッチ14a、14bの内側部分(ノッチ14a、14bに挟まれた部分)において仕切りテープ13が外被14に確実に接着される一方、ノッチ14a、14bの外側部分においては仕切りテープ13が外被14から確実に分離される。
【0027】
図4は、光ファイバケーブル10の中間分岐時の状態を示す図である。なお、図4では、支持線部10B及び首部10Cを省略して、ケーブル10Aのみを示している。
光ファイバケーブル10を中間分岐する場合、まずケーブル10Aと支持線部10Bの結合部(首部10C)を数箇所切断し、ケーブル部10Aと支持線部10Bを分離する。そして、外被14に形成された4箇所のノッチ14a、14bをガイドとして外被14に専用工具の切込刃を食い込ませ、この状態で工具をケーブルの長手方向に所定長だけ移動させる。仕切りテープ13と光ファイバ集合体11は接着されておらず、また光ファイバ集合体11と外被14の接触箇所は小さいので、図4に示すように外被14は4分割され、光ファイバ集合体11が外被14から容易に分離される。すなわち、光ファイバ心線11aに局所的な曲げを生じさせることなく中間分岐作業が行われる。
【0028】
このとき、仕切りテープ13は外被14に接着されているので、上下に分割された外被141、142に追従する。仕切りテープ13の接着層13bの幅Waによっては仕切りテープ13が左右に分割された外被143、144に接着されることもあるが、外被141、142との接着領域に比較すると小さいので、外被143、144からは容易に分離される。また、接着層13bの幅Waがノッチ14a、14bの間隔Mよりも小さく設定されていれば(図3参照)、仕切りテープ13と外被143、144との接着領域はなくなるので、仕切りテープ13は外被143、144から自然に分離される。
【0029】
そして、分割された部分において、外被14及び仕切りテープ13を切断し、所望の光ファイバ心線11aを取り出す。このとき、外被141又は142と仕切りテープ13は接着一体化されているので、外被141、142とこれらに接着されている仕切りテープ13を同時に切断することができる。すなわち、作業者は仕切りテープ13の存在を意識することなく中間分岐作業を行うことができる。
【0030】
このように、光ファイバケーブル10は、複数本の光ファイバ心線11aが平行に配列されてなる光ファイバ集合体11と、光ファイバ集合体11の幅方向両側に配置されるテンションメンバ12と、光ファイバ集合体11の配列面と接触するように配置される仕切りテープ13と、光ファイバ集合体11、テンションメンバ12及び仕切りテープ13を一体的に被覆するとともに、両側から光ファイバ集合体11の配列面に向けて2対のノッチ14a、14bが形成された外被14とを備えている。
また、仕切りテープ13は、光ファイバ集合体11と接触する一方の面に外被14と接着一体化されない非接着部(テープ基材13a)を有するとともに、他方の面に外被14と接着一体化される接着部(接着層13b)を有している。
そして、光ファイバケーブル10は、外被14に形成されたノッチ14a、14bをガイドとして仕切りテープ13に到達する切込みを入れることにより、外被14を4分割して中間分岐される。
【0031】
光ファイバケーブル10によれば、作業者は仕切りテープ13の存在を意識することなく中間分岐作業を行うことができるので、作業性が格段に向上する。また、光ファイバ心線11aに局所的な曲げを生じさせることなく中間分岐作業が行われるので、曲げにより伝送損失が増加したり、光ファイバが損傷したりするのを防止できる。
【0032】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係る光ファイバケーブル20を示す断面図である。
光ファイバケーブル20の基本的な構成は、第1実施形態の光ファイバケーブル10と同様であるので詳細な説明を省略する。第1実施形態の光ファイバケーブル10の構成要素と同一又は対応する構成要素には20番台で置き換えた符号を付している。
【0033】
第2実施形態の光ファイバケーブル20では、仕切りテープ23の構造が第1実施形態と異なっている。すなわち、第2実施形態においては、仕切りテープ23は外被24と接着性の悪い樹脂材料で構成され、光ファイバ集合体21と接触する一方の面23aが平坦に加工され、他方の面23bが凹凸状に加工されている。仕切りテープ23の他方の面23bを凹凸状に加工することで、アンカー効果により仕切りテープ23と外被24は接着される。つまり、仕切りテープ23の平坦に加工された面23aが外被24と接着一体化されない非接着部となり、凹凸状に加工された面23bが外被24と接着一体化される接着部となる。
【0034】
ここで、凹凸状に加工された面23bにおいては、JIS B 0601で定義される輪郭曲線の算術平均高さRaが10μm以上で、輪郭曲線要素の平均長さRSmが0.5mm以下となるようにするのが望ましい。これにより、中間分岐作業において仕切りテープ23と外被24が分離されない程度の強固な接着力が確実に実現される。
【0035】
また、仕切りテープ23の接着幅(凹凸上に加工される領域の幅)は、ノッチ間隔よりも小さく設定される。これにより、ノッチ24a、24bをガイドとして外被24に切込刃を食い込ませたときに、ノッチ24a、24bの内側部分(ノッチ24a、24bに挟まれた部分)において仕切りテープ23が外被14に確実に接着される。一方、ノッチ24a、24bの外側部分においては仕切りテープ23が外被24から確実に分離される。
【0036】
このように、仕切りテープ23は、光ファイバ集合体21と接触する一方の面に外被24と接着一体化されない非接着部(平坦に加工された面23a)を有するとともに、他方の面に外被24と接着一体化される接着部(凹凸上に加工された面23b)を有している。
したがって、光ファイバケーブル20によれば、第1実施形態と同様に、作業者は仕切りテープ23の存在を意識することなく中間分岐作業を行うことができるので、作業性が格段に向上する。また、光ファイバ心線21aに局所的な曲げを生じさせることなく中間分岐作業が行われるので、曲げにより伝送損失が増加したり、光ファイバが損傷したりするのを防止できる。
【0037】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態に係る光ファイバケーブル30を示す断面図である。
光ファイバケーブル30の基本的な構成は、第1実施形態の光ファイバケーブル10と同様であるので詳細な説明を省略する。第1実施形態の光ファイバケーブル10の構成要素と同一又は対応する構成要素には30番台で置き換えた符号を付している。
【0038】
第3実施形態の光ファイバケーブル30では、仕切りテープ33の構造が第1実施形態と異なっている。すなわち、第3実施形態においては、仕切りテープ33は外被34と接着性の悪い樹脂材料で構成され、テープ基材33aに外被34と係合する係合片33bが連結された断面H形状となっている。なお、係合片33bの形状は、中間分岐時に外被34に係合した状態が保持される形状であれば、特に制限されない。
仕切りテープ33の一方の面に係合片33bを設けることで、テープ基材33aと係合片33bの連結部位に外被34が入り込んで硬化されるため、中間分岐時に外被34から仕切りテープ33は脱落不能となる。つまり、仕切りテープ23のテープ基材33aが外被34と接着一体化されない非接着部となり、係合片33bが外被34と接着一体化される接着部となる。
【0039】
このように、仕切りテープ33は、光ファイバ集合体31と接触する一方の面に外被34と接着一体化されない非接着部(テープ基材33a)を有するとともに、他方の面に外被34と接着一体化される接着部(係合片33b)を有している。
したがって、光ファイバケーブル30によれば、第1実施形態と同様に、作業者は仕切りテープ33の存在を意識することなく中間分岐作業を行うことができるので、作業性が格段に向上する。また、光ファイバ心線31aに局所的な曲げを生じさせることなく中間分岐作業が行われるので、曲げにより伝送損失が増加したり、光ファイバが損傷したりするのを防止できる。
【0040】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0041】
例えば、光ファイバ集合体の構成は、上記実施形態で示した配列態様に限定されない。光ファイバ集合体において、例えば、1配列の光ファイバ心線の本数を4本以上としてもよいし、光ファイバ心線の配列数(積層数)を1段又は3段以上としてもよい。また、俵積み状ではなく、下層の光ファイバ心線の直上に上層の光ファイバ心線が位置するように積層して、光ファイバ集合体を構成するようにしてもよい。さらには、複数本の光ファイバ素線を平行に配列してテープ状に一体化した光ファイバテープ心線を複数枚重ねて光ファイバ集合体を構成することもできる。
【0042】
また例えば、上記実施形態では、支持線を備えた光ファイバケーブルについて説明したが、本発明は支持線を備えていない光ファイバケーブルに適用することもできる。
また、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態における仕切りテープの構造を組み合わせることで、外被と仕切りテープの接着力をさらに強固とすることもできる。
【0043】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
10 光ファイバケーブル
10A ケーブル部
10B 支持線部
10C 首部
11 光ファイバ集合体
11a 光ファイバ心線
12 テンションメンバ
13 仕切りテープ
13a テープ基材(非接着部)
13b 接着層(接着部)
14 外被
14a、14b ノッチ
15 鋼線
16 外被

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の光ファイバが平行に配列されてなる光ファイバ集合体と、
前記光ファイバ集合体の幅方向両側に配置されるテンションメンバと、
前記光ファイバ集合体の配列面と接触するように配置される仕切りテープと、
前記光ファイバ集合体、前記テンションメンバ及び前記仕切りテープを一体的に被覆するとともに、両側から前記光ファイバ集合体の配列面に向けて2対のノッチが形成された外被と、を備え、
前記ノッチをガイドとして前記仕切りテープに到達する切込みを入れることにより、前記外被を複数分割して中間分岐される光ファイバケーブルにおいて、
前記仕切りテープは、前記光ファイバ集合体と接触する一方の面に前記外被と接着一体化されない非接着部を有するとともに、他方の面に前記外被と接着一体化される接着部を有していることを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記仕切りテープは、前記他方の面に接着性樹脂からなる接着層を有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記仕切りテープは、前記他方の面に凹凸加工が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバケーブル。
【請求項4】
前記凹凸加工が施された領域における輪郭曲線の算術平均高さRaが10μm以上で、輪郭曲線要素の平均長さRSmが0.5mm以下であることを特徴とする請求項3に記載の光ファイバケーブル。
【請求項5】
前記仕切りテープは、前記他方の面に前記外被と係合する係合片を有することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項6】
前記ノッチの間隔が、前記光ファイバ集合体の配列幅よりも大きく、前記仕切りテープの幅よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項7】
前記仕切りテープの幅が、前記光ファイバ集合体の配列幅よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項8】
前記接着部の幅が、前記ノッチの間隔よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項9】
前記仕切りテープの非接着部が、前記外被よりも融点の高い材料で構成されていることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の光ファイバケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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