説明

光ファイバテープ心線、光ファイバケーブル、及び光ファイバテープ心線の製造方法

【課題】中間部での単心分離を容易にすると共に、光ファイバケーブルに乱雑に収容できるようにした光ファイバテープ心線を提供する。
【解決手段】光ファイバテープ心線1は、互いの間隔を離して平行に並べられた複数心の光ファイバ心線2が樹脂で一体的に被覆されたテープ心線部1aと、複数心の光ファイバ心線2が一体化されていない単心部1bとが長手方向に交互に形成されている。テープ心線部1aは、光ファイバ心線2及びその被覆層3からなる心線部4aと、心線部4a間を連結する連結部4bとを有し、連結部4bの厚みを心線部4aの厚みよりも小さくし、被覆層3を形成する樹脂のヤング率を0.5〜50MPa、伸びを50〜250%とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに間隔を離して平行に並べられた複数心の光ファイバ心線を樹脂で被覆してなる光ファイバテープ心線、光ファイバケーブル、及び光ファイバテープ心線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバ心線、例えば、外径0.125mmのガラスファイバに保護被覆を施して外径を0.25mmとした光ファイバ心線の複数心を平行に並べた状態で被覆樹脂により一括被覆を施してテープ状にした光ファイバテープ心線が知られている。被覆樹脂としては、通常、紫外線硬化型樹脂が用いられ、光ファイバ心線は互いに密着配列した状態で一括被覆されている。
【0003】
このような光ファイバテープ心線の端部では光ファイバ心線毎に単心分離し、各光ファイバ心線の先端に光コネクタを接続して、この光コネクタを介して各光ファイバ心線に信号光を入力または出力するようにしている。また、光ファイバテープ心線の端部ではなく中間部で単心分離を行うことが必要となる場合もあるが、中間部で単心分離を行うためには特殊な治具が用いられていた。
【0004】
上記の光ファイバテープ心線に含まれる複数心の光ファイバ心線のうちのいずれかが既に通信に使用されている場合がある。このような活線状態において中間部で単心分離を行うと、使用中の光ファイバ心線を指で触れたり、あるいは、使用中の光ファイバ心線を治具で小径に曲げたりすることから、使用中の光ファイバ心線の損失が一時的に増加することがある。このような損失の増加は、光ファイバ心線を用いた通信に悪影響を与えることがある。
【0005】
これに対して、テープ心線部と単心部とを長手方向に交互に形成することにより、中間部で単心分離を行う際に損失の増加を抑制することができる光ファイバテープ心線が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
図7は、特許文献1に記載された光ファイバテープ心線を示す図である。図中、100は光ファイバテープ心線を示す。光ファイバテープ心線100は、4心の光ファイバ心線101の長手方向に間欠的に樹脂(紫外線硬化型樹脂など)で被覆されている。すなわち、光ファイバテープ心線100の長手方向に対して、4心の光ファイバ心線101の全周が被覆樹脂で一体化されたテープ心線部102と、4心の光ファイバ心線101が被覆樹脂で一体化されていない単心部103とが形成されている。これによれば、被覆樹脂で一体化されていない単心部103で容易に単心分離を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4049154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図7に示した光ファイバテープ心線100は、テープ状であり、且つ、曲がらないため、スロット型光ファイバケーブルに収容する際には、スロットの溝内に各テープ心線を整列させる必要がある。このため、収容作業に手間がかかっていた。これに対して、各テープ心線を整列させることなく、ある程度乱雑に収容できるようにすれば、収容作業を簡単にできると考えられる。
【0009】
しかし、曲げられない複数の光ファイバテープ心線100を乱雑にスロットの溝に収容していくと、各テープ心線に曲げ応力が加わり、過剰な歪みと光損失を増加させてしまうという問題がある。このため、各テープ心線がスロットの溝内である程度自由に曲げられるように、テープ心線に湾曲性を持たせる必要がある。
【0010】
例えば、光ファイバ心線間の間隔を大きくし、その連結部分の厚みを薄くすることで、ある程度の湾曲性を付与できると考えられるが、被覆樹脂自体が低いヤング率で高い伸びを持つものでないと、乱雑な収容に耐えられるだけの十分な湾曲性を得ることはできない。従来の被覆樹脂は、ヤング率が200〜1000MPa、伸びが20〜50%程度が一般的であるが、これでは十分な湾曲性を得ることは難しい。
【0011】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、中間部での単心分離を容易にすると共に、光ファイバケーブルに乱雑に収容できるようにした光ファイバテープ心線、光ファイバテープ心線を複数収容した光ファイバケーブル、及び光ファイバテープ心線の製造方法を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による光ファイバテープ心線は、互いの間隔を離して平行に並べられた複数心の光ファイバ心線が樹脂で一体的に被覆されたテープ心線部と、前記複数心の光ファイバ心線が一体化されていない単心部とが長手方向に交互に形成された光ファイバテープ心線であって、前記テープ心線部は、前記光ファイバ心線及びその被覆層からなる心線部と、該心線部間を連結する連結部とを有し、前記連結部の厚みを前記心線部の厚みよりも小さくし、前記樹脂のヤング率を0.5〜50MPa、伸びを50〜250%としている。
また、連結部の長さを20〜150μm、心線部の被覆層の厚みを2〜25μm、連結部の厚みを40〜200μmとするのが好ましい。
【0013】
本発明による光ファイバケーブルは、上記の光ファイバテープ心線を複数含むものである。また、光ファイバケーブルに収容される複数の光ファイバテープ心線は、テープ心線部のピッチが互いに異なっているのが好ましい。また、光ファイバテープ心線を複数収容したスロットを備え、スロットに上巻きテープを巻き付け、その外側を外被で被覆したものが好ましい。
【0014】
本発明による光ファイバテープ心線の製造方法は、互いの間隔を離して平行に並べられた複数心の光ファイバ心線の長手方向に沿って樹脂を間欠的に塗布することにより、複数心の光ファイバ心線が樹脂で一体的に被覆されたテープ心線部と、複数心の光ファイバ心線が一体化されていない単心部とを交互に形成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数心の光ファイバ心線を被覆樹脂で一体化した部分と、一体化していない部分とを長手方向に交互に形成することにより、中間部での単心分離を容易にすることができ、さらに、光ファイバ心線間の間隔を離し、その連結部分の厚みを薄くすると共に、曲げ易い樹脂で被覆することにより、光ファイバテープ心線を光ファイバケーブルに乱雑に収容することができるため、収容作業の手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による光ファイバテープ心線の一例を示す図である。
【図2】本発明による光ファイバテープ心線のその他の例を示す図である。
【図3】本発明による光ファイバテープ心線の製造方法の一例を説明するための図である。
【図4】単心分離装置の構成例を示す図である。
【図5】本発明による光ファイバテープ心線のその他の例を示す図である。
【図6】本発明による光ファイバテープ心線のケーブル実装例を示す図である。
【図7】特許文献1に記載された光ファイバテープ心線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1〜6を参照しながら、本発明の光ファイバテープ心線、光ファイバケーブル、及び光ファイバテープ心線の製造方法に係る好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明による光ファイバテープ心線の一例を示す図である。図1(A)は光ファイバテープ心線を上面から見た図、図1(B)は光ファイバテープ心線のXX′断面を示す図、図1(C)は光ファイバテープ心線のYY′断面を示す図である。図中、1は光ファイバテープ心線(以下、テープ心線という)を示す。光ファイバ心線2としては、例えば、外径0.125mmのガラスファイバに保護被覆を施して外径を0.25mmとしたものが用いられる。
【0018】
本発明は、複数心の光ファイバ心線を被覆樹脂で一体化した部分と、一体化していない部分とを長手方向に交互に形成することにより、中間部での単心分離を容易にし、さらに、光ファイバ心線間の間隔を離し、その連結部分の厚みを薄くすると共に、曲げ易い樹脂で被覆することにより、光ファイバテープ心線を光ファイバケーブルに乱雑に収容できるようにし、収容作業の手間を軽減するものである。
【0019】
このための構成として、図1に示すように、テープ心線1は、互いの間隔を離して平行に並べられた複数心の光ファイバ心線2が樹脂で一体的に被覆されたテープ心線部1aと、複数心の光ファイバ心線2が一体化されていない単心部1bとが長手方向に交互に形成されている。すなわち、テープ心線部1aは、複数心の光ファイバ心線2と、複数心の光ファイバ心線2を共通の樹脂で一体的に被覆した被覆層3とで構成され、単心部1bは、被覆層3がなく複数心の光ファイバ心線2のみで構成されている。この単心部1bの各光ファイバ心線2は、被覆樹脂で一体化されておらず、それぞれ独立した状態になっているため、単心分離を容易に行うことができる。
【0020】
また、テープ心線部1aは、光ファイバ心線2及びその被覆層3からなる心線部4aと、心線部4a間を連結する連結部4bとを有し、連結部4bの厚みが心線部4aの厚みよりも小さくなるように形成されている。そして、被覆層3を形成する樹脂は、例えば、紫外線硬化型樹脂であり、そのヤング率を0.5〜50MPa、伸びを50〜250%としている。従来の光ファイバテープ心線の被覆樹脂は、ヤング率が200〜1000MPa、伸びが20〜50%程度であるため、これに比べて柔軟で曲げ易いと言える。これにより、テープ心線1を厚み方向にある程度自由に曲げることができ、テープ心線1が湾曲した状態で光ファイバケーブルのスロットの溝内に収容させることができる。
【0021】
図1(A)において具体例を示すと、連結部4bの長さL1を20〜150μm、光ファイバ心線2の外径W1を0.25mm、心線部4aの被覆層3の厚みW2を2〜25μm、連結部4bの厚みW3を40〜200μmとし、4心の光ファイバ心線2でテープ心線1を構成した。
【0022】
また、光ファイバ心線2として、外径0.125mmのガラスファイバに保護被覆を施して外径0.20mmとしたものを用い、4心を並べて図1のような構造としてもよい。例えば、心線部4aの被覆層3の厚みW2を5μm(=0.005mm)、連結部4bの長さL1を40μm(0.04mm)とした場合、光ファイバ心線間のピッチ(中心間の距離)は、0.20mm+0.005mm×2+0.04mm=0.25mmとなり、従来用いられている0.25mmピッチのテープ心線と同一のピッチとなる。
【0023】
このため、汎用の融着接続機に用いるホルダにテープ心線部1aを位置決めして一括で融着接続することができる。ここで、ピッチが合っていない場合、連結部4bを弾性変形させて、ホルダに嵌め込むことになるが、このように、ピッチが合うことで無理なく、ホルダに挿入することができる。また、光ファイバ心線2の外径を小さくすることで、高密度に充填することが可能となる。
【0024】
このように、複数心の光ファイバ心線2を被覆樹脂で一体化したテープ心線部1aと、被覆樹脂で一体化していない単心部1bとを長手方向に交互に形成することにより、中間部での単心分離を容易にすることができる。そして、さらに、テープ心線部1aにおいては光ファイバ心線2間の間隔を離し、その連結部分の厚みを薄くすると共に、曲げ易い樹脂で被覆することにより、テープ心線1を光ファイバケーブルに乱雑に収容できるため、収容作業の手間を軽減することが可能となる。
【0025】
図2は、本発明による光ファイバテープ心線のその他の例を示す図である。図2(A)は光ファイバテープ心線を上面から見た図、図2(B)は光ファイバテープ心線のXX′断面を示す図、図2(C)は光ファイバテープ心線のZZ′断面を示す図である。本例のテープ心線1′は、図1に示したテープ心線1と比べ単心部の構成が異なっている。すなわち、テープ心線1′を構成するテープ心線部1a及び単心部1b′共に、複数心の光ファイバ心線2と、複数心の光ファイバ心線2を共通の樹脂で一体的に被覆した被覆層3とで構成されているが、単心部1b′は連結部4bが切断されており、各光ファイバ心線2がそれぞれ独立した状態になっている。このため、図1のテープ心線1と同様に、単心分離を容易に行うことができる。
【0026】
図3は、本発明による光ファイバテープ心線の製造方法の一例を説明するための図である。まず、図1に示した4心のテープ心線1を製造する場合の第1の製造方法について説明する。図3に示すように、単心の光ファイバ心線2が巻かれた4つのボビン5それぞれから光ファイバ心線2を集線装置6に供給し、この集線装置6で4心の光ファイバ心線2を所定の間隔を保持した状態で集合させる。そして、集合させた4心の光ファイバ心線2を塗布装置7に供給し、この塗布装置7で未硬化の紫外線硬化型樹脂が間欠的に塗布される。
【0027】
すなわち、塗布装置7では、互いの間隔を離して平行に並べられた4心の光ファイバ心線2の長手方向に沿って紫外線硬化型樹脂が間欠的に塗布される。これにより、紫外線硬化型樹脂で一体被覆する第1の部分と、一体被覆しない第2の部分とが交互に形成される。そして、第1の部分と第2の部分とが交互に形成された4心の光ファイバ心線2は、紫外線照射炉8に送られ、ここで紫外線が照射され、第1の部分に塗布された紫外線硬化型樹脂が硬化される。
【0028】
これにより、光ファイバ心線2に被覆層3が形成され、第1の部分はテープ心線部1aとされる。また、紫外線硬化型樹脂が塗布されていない第2の部分は、光ファイバ心線2に被覆層3が形成されず、このまま単心部1bとされる。このようにして、テープ心線部1aと単心部1bとが長手方向に交互に形成されたテープ心線1はテープ心線巻取り装置10に巻き取られる。なお、この第1の製造方法では単心分離装置9は不要である。
【0029】
上記の第1の製造方法では、4心の光ファイバ心線2の長手方向に対して紫外線硬化型樹脂を間欠塗布した後、全長に渡って紫外線が照射される。これにより、紫外線硬化型樹脂が塗布された部分にのみ被覆層3を形成することができる。
【0030】
また、別の製造方法(第2の製造方法)でテープ心線部1aと単心部1bとを長手方向に交互に形成するようにしてもよい。この第2の製造方法では、4心の光ファイバ心線2の長手方向に対して紫外線硬化型樹脂を全長塗布した後、紫外線硬化型樹脂で一体被覆する第1の部分にのみ間欠的に紫外線を照射して硬化させる。これにより第1の部分にのみ被覆層3を形成することができる。つまり、一体被覆しない第2の部分には紫外線を照射しないため、この第2の部分に塗布された紫外線硬化樹脂は未硬化のままとなる。そして、この未硬化樹脂を除去することで、被覆層3のない単心部1bを形成することができる。このようにして、テープ心線部1aと単心部1bとを長手方向に交互に形成してもよい。
【0031】
さらに、第3の製造方法として、図2に示した4心のテープ心線1′を製造する場合について説明する。上記例と同様に、単心の光ファイバ心線2が巻かれた4つのボビン5それぞれから光ファイバ心線2を集線装置6に供給し、この集線装置6で4心の光ファイバ心線2を所定の間隔を保持した状態で集合させる。そして、集合させた4心の光ファイバ心線2を塗布装置7に供給し、この塗布装置7で未硬化の紫外線硬化型樹脂が塗布される。そして、紫外線硬化型樹脂が塗布された4心の光ファイバ心線2は紫外線照射炉8に送られ、ここで紫外線が照射され、硬化される。これにより4心の光ファイバ心線2の全長に渡って被覆層3が形成される。なお、この断面は図2(B)に示したようになる。
【0032】
第3の製造方法の場合、紫外線照射炉8で被覆層3が形成されたテープ心線は、単心分離されていないため、後段に設けられた単心分離装置9を利用する。図4に示すように、単心分離装置9は、櫛刃付き押え蓋9aと、テープホルダ6bとで構成される。まず、紫外線照射炉8を出たテープ心線は、テープホルダ9bに供給され(S1)、単心分離させる部分(単心部1b′に相当)に対して櫛刃付き押え蓋9aを上(図の矢印の方向)から押え付ける(S2)。この櫛刃付き押え蓋9aの刃により、単心分離させる部分の連結部4bが分断されて、単心部1b′が形成される。
【0033】
そして、単心部1b′を形成した後、櫛刃付き押え蓋9bを上方に退避させ、このまま単心分離させない部分(テープ心線部1aに相当)だけテープ心線を送り(S3)、次に単心分離させる部分がきたら櫛刃付き押え蓋9aを押え付けて、単心部1b′を形成する。以後、櫛刃付き押え蓋9bの上下動を所定間隔で繰り返し実行して、テープ心線部1aと単心部1b′とを長手方向に交互に形成する。このようにして製造されたテープ心線1′はテープ心線巻取り装置10に巻き取られる。なお、単心部1b′で分断された各光ファイバ心線2には被覆層3が形成されているが、各光ファイバ心線2を使用する際に必要に応じて被覆層3を除去すればよい。
【0034】
図2に示したテープ心線1′は、複数心の光ファイバ心線2が互いの間隔を離して平行に配置されているため、単心分離装置9による単心分離が可能となる。これにより、光ファイバ心線2に損傷を与えることがなく、また、安全且つ簡単に単心分離を行うことができる。
【0035】
このように、塗布装置7で塗布される紫外線硬化型樹脂は、間欠的ではなく、連続で塗布し、後に単心分離装置9で間欠的に刃を入れて単心部1b′を形成するようにしてもよい。なお、紫外線照射炉8で被覆層3が形成されたテープ心線に刃を入れる場合、図3のようにライン上で間欠的に刃を入れるようにしてもよいし、あるいは、オフラインで巻変えながら行ってもよい。オフラインでの巻変えによる方法では、紫外線照射炉8で被覆層3が形成されたテープ心線を一旦巻き取り、単心分離した後に、テープ心線巻取り装置10に巻き取るようにする。
【0036】
図5は、本発明による光ファイバテープ心線のその他の例を示す図である。前述の図1〜4では4心(光ファイバ心線2を4本)の場合を例示して説明したが、テープ心線の心数は4心に限定されるものではない。本例のテープ心線の場合、心数を8心としている。なお、心数以外の構成は図1又は図2で説明したテープ心線と同様である。このように、テープ心線の心数を増やした場合でも、容易に単心分離することができ、連結部で自在に折り曲げることができるため、光ファイバケーブルへの収容性をより高めることができる。
【0037】
図6は、本発明による光ファイバテープ心線のケーブル実装例を示す図である。このスロット型光ファイバケーブル11は、鋼線,鋼撚線等からなるテンションメンバ12が中心部に埋設され、外面側にSZ状に形成された複数条の溝を有する樹脂製のロッドからなるSZスロット13を用いて形成される。なお、複数枚のテープ心線1(又はテープ心線1′)を収容するスロットは、このSZスロットに限定されるものではなく、他の形状のスロットであっても同様に適用することができる。
【0038】
SZスロット13の溝には、例えば、複数枚のテープ心線1を収容し、SZスロット13の外周に粗巻き紐14、上巻きテープ15を巻き付けてテープ心線1を覆っている。そして、上巻きテープ15の外側は、押出し成形で形成されるケーブル外被16で被覆されている。
【0039】
SZスロット13には、5つの溝13a〜13eが形成されており、溝13a〜13eにそれぞれ3枚のテープ心線1が収容されている。溝13aには3枚のテープ心線1を従来のテープ心線と同様に整列させた状態で収容している。また、溝13b〜13eには3枚のテープ心線1を折り曲げた状態で収容している。
【0040】
ここで、図6のようなスロット型光ファイバケーブル11においては光ファイバ心線の高密度化という要求がある。一般に、光ファイバ心線を高密度に収容するためにはテープ心線ではなく、単心線とすることが望ましいが、単心線の場合、テープ心線のように一括で融着接続できないため、接続作業に多大な時間を要してしまう。これに対して、本発明のテープ心線1のように、テープ心線部1aと単心部1bとを交互に形成し、且つ、光ファイバ心線2間の間隔を離し、その連結4bの厚みを薄くすると共に、曲げ易い樹脂で被覆することで、テープ心線の一括融着接続というメリットを損なうことなく、高密度でランダム(乱雑)な収容を実現することができる。
【0041】
また、より高密度な実装を実現するためには、スロット型光ファイバケーブル11に収容される複数枚のテープ心線1のテープ心線部1aのピッチが互いに異なるように構成することが望ましい。これは、テープ心線部1aが重なって収容されてしまうと、高密度化の妨げとなるためである。テープ心線部1aのピッチが互いに異なるようにしておけば、テープ心線部1aが重ならずにSZスロット13の溝内に収容できるため、光ファイバ心線2をケーブル内に高密度で実装することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…光ファイバテープ心線(テープ心線)、2…光ファイバ心線、3…被覆層、4a…心線部、4b…連結部、5…ボビン、6…集線装置、7…塗布装置、8…紫外線照射炉、9…単心分離装置、10…テープ心線巻取り装置、11…光ファイバケーブル、12…テンションメンバ、13…SZスロット、13a〜13b…溝、14…粗巻き紐、15…上巻きテープ、16…ケーブル外被。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの間隔を離して平行に並べられた複数心の光ファイバ心線が樹脂で一体的に被覆されたテープ心線部と、前記複数心の光ファイバ心線が一体化されていない単心部とが長手方向に交互に形成された光ファイバテープ心線であって、
前記テープ心線部は、前記光ファイバ心線及びその被覆層からなる心線部と、該心線部間を連結する連結部とを有し、前記連結部の厚みを前記心線部の厚みよりも小さくし、前記樹脂のヤング率を0.5〜50MPa、伸びを50〜250%としたことを特徴とする光ファイバテープ心線。
【請求項2】
前記連結部の長さを20〜150μm、前記心線部の被覆層の厚みを2〜25μm、前記連結部の厚みを40〜200μmとしたことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバテープ心線。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光ファイバテープ心線を複数含むことを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項4】
前記光ファイバケーブルに収容される複数の光ファイバテープ心線は、前記テープ心線部のピッチが互いに異なっていることを特徴とする請求項3に記載の光ファイバケーブル。
【請求項5】
前記光ファイバテープ心線を複数収容したスロットを備え、該スロットに上巻きテープを巻き付け、その外側を外被で被覆してなることを特徴とする請求項3又は4に記載の光ファイバケーブル。
【請求項6】
互いの間隔を離して平行に並べられた複数心の光ファイバ心線の長手方向に沿って樹脂を間欠的に塗布することにより、前記複数心の光ファイバ心線が前記樹脂で一体的に被覆されたテープ心線部と、前記複数心の光ファイバ心線が一体化されていない単心部とを交互に形成することを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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