説明

光ファイバーケーブル素線の保護装置

【課題】長尺防護チューブを保護カバーで被覆して室内壁面などに配線する。
【解決手段】光ファイバーケーブル素線1は2芯の光ファイバーケーブルの外被覆を剥いて取り出し、柔軟タイプのプラスチック素材からなる透明の長尺防護チューブ2内に挿通させたものである。この長尺防護チューブ2は室内の壁面等に貼着される長尺のチューブ嵌め込み案内体3の上部に形成されたスリット3aから押し込めてトンネル状の空間部3bに嵌め込まれる。チューブ嵌め込み案内体3は、比較的、柔軟なプラスチック素材等で形成される。この案内体3の底面には、接着剤4が塗布されていて、室内の壁面等に貼着される。また、チューブ嵌め込み案内体3の両側面には、保護カバー5を装着する際の係止溝3cが形成されていて、この係止溝3cに保護カバー5の係合部5aを嵌め込んで保護カバー5を装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ファイバーケーブル素線を光ファイバーケーブルから剥き出して各家庭の室内壁面等に沿わせて配線する際の光ファイバーケーブル素線の保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバーケーブルが各家庭の様々な用途(例えば、通信、共聴、防犯)に使用されるようになって来ている。しかし、既存の住宅や集合住宅には、光ファイバーケーブルが敷設されていないことが多い。このため、これら住宅の壁面や、床面にも光ファイバーケーブルをあまり目立つこと無く配線することが要望されている。通常、上記住宅内で使用される光ファイバーケーブルは、2芯から4芯のケーブルが多いが、例えば、2芯の光ファイバーケーブルでも、室内の壁面や床面に沿わせて配線する際には、プラスチックカバー(約1〜2cm)を使用して光ファイバーケーブルを保護して配線する手段が採用されている。
【特許文献1】特開2005−237126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、2芯の光ファイバーケーブルを既存の住宅や集合住宅内に配線するには、光ファイバーケーブルを天井裏や壁裏に隠蔽配線することが望ましいが、隠蔽配線ができない住宅の場合には、上述のように光ファイバーケーブルを、プラスチックカバーで被覆して配線する手段が講じられるために、どうしても目立つ配線になってしまう問題がある。このため、特に、既存の住宅や集合住宅に光ファイバーケーブルを後から配線するには、できるだけ目立たないように配線することが要望されている。
【0004】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、光ファイバーケーブル素線を光ファイバーケーブルから剥き出して各家庭の室内壁面等に沿わせて配線する際に、その光ファイバーケーブル素線を柔軟なプラスチック材からなる長尺防護チューブ内に挿通させて素線を防護してから、長尺防護チューブを保護カバーで被覆して室内壁面などに配線するようにした光ファイバーケーブル素線の保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記の課題を達成するために、第1発明は、光ファイバーケーブル素線を挿通させた長尺の防護チューブと、この防護チューブが嵌め込まれる空間部を有する室内に配設されるチューブ嵌め込み案内体と、このチューブ嵌め込み案内体を覆うように装着される保護カバーと、を備えたことを特徴とするものである。
【0006】
第2発明は、前記防護チューブには、その外周に小径のチューブを有し、この小径のチューブに光ファイバーケーブル素線保護鋼線を貫通させてその鋼線を防護チューブに固定させたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
以上述べたように、この発明によれば、既存の住宅や集合集宅においても、多様で大容量の情報の送受信が可能な光ファイバーケーブルを、住宅内に目立つことなく配線することができるとともに、その配線工事も比較的簡単でありながら、光ファイバーケーブル素線の防護長尺チューブを引っ張っても容易に抜けないようにできる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態を示す断面図で、図1において、1は光ファイバーケーブル素線(シングルモード0.25mmの素線)で、この光ファイバーケーブル素線1は、例えば、2芯の光ファイバーケーブルの外被覆を剥いて取り出し、柔軟タイプのプラスチック素材からなる透明で内径の直径が約0.7mm〜5mm程度の長尺防護チューブ2内に挿通させたものである。
【0009】
この長尺防護チューブ2は、図2に示す室内の壁面等に貼着される長尺のチューブ嵌め込み案内体3の上部に形成されたスリット3aから押し込めてトンネル状の空間部3bに嵌め込まれる。なお、チューブ嵌め込み案内体3は、比較的、柔軟なプラスチック素材等で形成される。
【0010】
この案内体3の底面には、接着剤4(両面テープ)が塗布されていて、室内の壁面等に貼着される。また、チューブ嵌め込み案内体3の両側面には、保護カバー5を装着する際の係止溝3cが形成されていて、この係止溝3cに保護カバー5の係合部5aを嵌め込んで保護カバー5を装着する。なお、チューブ嵌め込み案内体3に保護カバー5を装着したときの大きさは、高さが約2.5〜6mm、幅が約5〜8mm程度のものである。
【0011】
図3は、チューブ嵌め込み案内体3に長尺防護チューブ2を嵌め込んで、案内体3に保護カバー5を被せて室内の壁面部10に沿わせて配設し、さらに天井部11に沿わせたときの配置構成図で、この図3において、壁面部10から天井部11に向かう場合の角部における長尺防護チューブ2の曲げ角度Rは、約3〜10mm程度で配置する。なお、図中のA,B部の長さは、約8〜20mm程度である。
【0012】
図4は、2芯の光ファイバーインドアケーブル12を室外から室内に引き込む時の壁裏隠蔽部20における長尺防護チューブ2と光ファイバーインドアケーブル12との処理状態を示す構成図であり、図5は長尺防護チューブ2の端末部の拡大斜視図である。
【0013】
図4、図5において、光ファイバーインドアケーブル12の端末部分を加工して、光ファイバーケーブル素線1と一対の光ファイバーケーブル素線保護鋼線6を剥き出し、光ファイバーケーブル素線1は長尺防護チューブ2内を挿通させる。その長尺防護チューブ2は、壁面部10を貫通させて、室内に導き、壁面部10に沿ってチューブ嵌め込み案内体3を用いて壁面に配設する。
【0014】
長尺防護チューブ2を壁面に配設する際に、長尺防護チューブ2は、単に光ファイバーケーブル素線1を挿通してあるだけ、壁裏隠蔽部20の位置で長尺防護チューブ2の端部は固定してないために、室内配線中に長尺防護チューブ2が抜けてくる虞がある。
【0015】
このため、長尺防護チューブ2が抜けないように、長尺防護チューブ2の外周に一対の小径のチューブ7を設け、この小径のチューブ7に光ファイバーインドアケーブル12に設けられている一対の光ファイバーケーブル素線保護鋼線6を、図5に示すように貫通させて引き出し、引き出した鋼線6をU字状に折り曲げてから周囲をテープ8で巻き付け固定し、さらに、その外周囲近傍を熱収縮チューブ9を用いて固定する。
【0016】
このように構成することにより、長尺防護チューブ2は、配線中に引っ張っても、光ファイバーケーブル素線保護鋼線6によって固定されるために抜けることがなくなる。なお、その固定部分と光ファイバーインドアケーブル12は、壁裏隠蔽部20で固定させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態を示す断面図。
【図2】チューブ嵌め込み案内体の斜視図。
【図3】チューブ嵌め込み案内体に長尺防護チューブを嵌め込んで保護カバーを被せ室内の壁面部、天井部に沿わせたときの配置構成図。
【図4】壁裏隠蔽部における長尺防護チューブと光ファイバーインドアケーブルとの処理状態を示す構成図。
【図5】長尺防護チューブ2の端末部の拡大斜視図。
【符号の説明】
【0018】
1…光ファイバーケーブル素線
2…長尺防護チューブ
3…チューブ嵌め込み案内体
3a…スリット
3b…空間部
3c…係止溝
4…接着剤
5…保護カバー
5a…係合部
6…光ファイバーケーブル素線保護鋼線
7…小径のチューブ
8…テープ
9…熱収縮チューブ
10…壁面部
11…天井部
12…光ファイバーインドアケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーケーブル素線を挿通させた長尺の防護チューブと、
この防護チューブが嵌め込まれる空間部を有する室内に配設されるチューブ嵌め込み案内体と、
このチューブ嵌め込み案内体を覆うように装着される保護カバーと、を備えたことを特徴とする光ファイバーケーブル素線の保護装置。
【請求項2】
前記防護チューブは、その外周に小径のチューブを有し、この小径のチューブに光ファイバーケーブル素線保護鋼線を貫通させてその鋼線を防護チューブに固定させたことを特徴とする請求項1記載の光ファイバーケーブル素線の保護装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−70399(P2008−70399A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246223(P2006−246223)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000153340)日本メックス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】