説明

光ファイバ心線接続箱用収納箱

【解決手段】光ファイバ心線接続箱Aを収納するための光ファイバ心線接続箱用収納箱Hであって、前記光ファイバ心線接続箱の底部a1に、導入口a1aと光ファイバ心線を保持する保持金具1とを設け、また、前記光ファイバ心線接続箱用収納箱の天部h2に、光ファイバ心線複合架空地線Bが導入される導入口h2aを形成し、更に、前記光ファイバ心線接続箱用収納箱の底部h1に、複数個の水抜孔h1aを穿設したものである。
【効果】アルミ管に浸入した雨水はアルミ管の切断部の端部から放出されて、アルミ管内に溜まらず、従って、凍結による光ファイバ心線の圧迫が解消されて、心線の歪も無くなり、伝送特性の低下を解消でき、伝送品質を良好に保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線鉄塔の上部に架設された光ファイバ心線複合架空地線同士、又は、光ファイバ心線複合架空地線引下げ用光ファイバケーブル同士を接続するための光ファイバ心線接続箱を収納するための光ファイバ心線接続箱用収納箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄塔の上部に架設された光ファイバ心線複合架空地線や光ファイバ心線複合架空地線引下げ用光ファイバケーブル同士を接続する場合、光ファイバ心線複合架空地線接続箱(以下、単に、光ファイバ心線接続箱と称する。)が用いられている。
【0003】
図1に示すように、光ファイバ心線接続箱Aは、箱型に形成された接続箱本体A1と、接続箱本体A1に雨水等が入り込まないように、接続箱本体A1に被蓋される図示されていない蓋体とから構成されている。接続箱本体A1は、底部a1と、該底部a1と相対する天部a2と、相対する垂直側部a3、a3と、奥壁部a4とから構成されている。
【0004】
接続箱本体A1の底部a1には、光ファイバ心線接続箱A内に光ファイバ心線複合架空地線Bを引き込むための導入口a1aが設けられており、また、導入口a1aが位置する底部a1の下面部には、把持金具1が配設されている。光ファイバ心線複合架空地線Bは、把持金具1で把持され、光ファイバ心線複合架空地線Bが、光ファイバ心線接続箱A内に引き込まれることになる。
【0005】
光ファイバ心線複合架空地線Bは、図2に示すように、その中心部に、光ファイバ心線ユニットB1が配設されており、光ファイバ心線ユニットB1は、一例として、図2に示されているように、6心の光ファイバ心線b1からなり、6心の光ファイバ心線b1からなる光ファイバ心線ユニットB1が、3個、配置されている。また、光ファイバ心線b1の外周に沿って、アルミスぺーサB2が設けられており、アルミスペーサB2及び光ファイバ心線ユニットB1が、アルミ管B3の内に収容されており、更に、アルミ管B3の外周には、アルミ覆鋼線B4が配置されている。図2には、8本のアルミ覆鋼線B4が配置されている例が示されている。
【0006】
上述したような構成を有する光ファイバ心線複合架空地線B同士の接続する場合には、鉄塔T等の上部に架設された光ファイバ心線複合架空地線Bを、地上近くに配置された光ファイバ心線接続箱Aまで引き下げる。地上近くに配置された光ファイバ心線接続箱Aまで引き下げられた光ファイバ心線複合架空地線Bには、図4に示されているように、光ファイバ心線接続箱Aより低い位置にて略U字状の曲部B’が形成され、次いで、光ファイバ心線複合架空地線Bを、光ファイバ心線接続箱A内に導入するとともに、光ファイバ心線複合架空地線Bのアルミ覆鋼線B4を、把持金具1で把持する。その後、光ファイバ心線接続箱A内にて、アルミ覆鋼線B4を所定の長さに切断して、アルミ管B3を露出し、更に、アルミ管B3を所定の長さに切断して、光ファイバ心線ユニットB1を構成する光ファイバ心線b1を露出するとともに、アルミスペーサB2を切除して、アルミ管B3を、光ファイバ心線接続箱Aのスペーサ取付具2に取り付け、次いで、光ファイバ心線b1を取り出して、光ファイバ心線b1同士の接続等を、蓋体が取り外された光ファイバ心線接続箱A内で行い、光ファイバ心線接続箱Aの収納トレイ3に光ファイバ心線b1を収納する。
【0007】
上述した、送電線路を落雷等から防護するための避雷等の機能を有するための架空地線と、送電線路等を管理等する光ファイバ心線からなる通信線路とからなる光ファイバ心線複合架空地線Bを収容する光ファイバ心線接続箱Aが、一例として、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−271555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、光ファイバ心線複合架空地線Bは、常時、強い張力を受け、且つ、長期間設置されているために、損傷を受けることがある。このような損傷の多くは、光ファイバ心線b1を内包するアルミ管B3に亀裂やクラックが発生することである。
【0010】
アルミ管B3に亀裂等が生じると、雨水等が、アルミ覆鋼線B4とアルミ管B3の間に侵入し、更に、クラック個所からアルミ管B3内に雨水が入り込み、雨水等が、アルミ管B3とアルミスペーサB2との間に浸入することになる。
【0011】
ところで、上述したように、地上近くに配置された光ファイバ心線接続箱Aまで引き下げられた光ファイバ心線複合架空地線Bには、光ファイバ心線接続箱Aより低い位置にて略U字状の曲部B’が形成されることになるが、クラックが生じたアルミ管B3に侵入した雨水は、略U字状の曲部B’に溜まり、更には、光ファイバ心線接続箱Aの内部まで浸水するという問題がある。
【0012】
また、アルミ管B3に雨水が浸入し凍結すると、アルミ管B3内の光ファイバ心線b1を圧迫して変形させ、光ファイバ心線b1の伝送特性の損失による伝送品質の低下が生じるという問題があった。特に、略U字状に曲げられた曲部B’に雨水が溜まり易く、従来より、このような問題の改善が望まれていた。
【0013】
本発明の目的は、上述した従来のように光ファイバ心線複合架空地線接続箱が有する課題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述した目的を達成するために、光ファイバ心線接続箱を収納するための光ファイバ心線接続箱用収納箱であって、前記光ファイバ心線接続箱の底部に、導入口と光ファイバ心線を保持する保持金具とを設け、また、前記光ファイバ心線接続箱用収納箱の天部に、光ファイバ心線複合架空地線が導入される導入口を形成し、更に、前記光ファイバ心線接続箱用収納箱の底部に、複数個の水抜孔を穿設したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上述した構成を有しているので、以下に記載する効果を奏することができる。
【0016】
光ファイバ心線接続箱を収納するための光ファイバ心線接続箱用収納箱であって、前記光ファイバ心線接続箱の底部に、導入口と光ファイバ心線を保持する保持金具とを設け、また、前記光ファイバ心線接続箱用収納箱の天部に、光ファイバ心線複合架空地線が導入される導入口を形成し、更に、前記光ファイバ心線接続箱用収納箱の底部に、複数個の水抜孔を穿設したので、アルミ管に浸入した雨水はアルミ管の切断部の端部から放出されて、アルミ管内に溜まらず、従って、凍結による光ファイバ心線の圧迫が解消されて、心線の歪も無くなり、伝送特性の低下を解消でき、伝送品質を良好に保つことができる。
【0017】
また、アルミ管から放出された雨水は、光ファイバ心線接続箱用収納箱の底部に穿設された水抜孔から、光ファイバ心線接続箱用収納箱外に放出されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の光ファイバ心線複合架空地線接続箱の蓋体を開放した状態の正面図である。
【0019】
【図2】図2は、本発明の光ファイバ心線複合架空地線の構成横断面図である。
【0020】
【図3】図3は、光ファイバ心線架空地線同士の光ファイバ心線複合架空地線接続箱への引き込みを示す概略図である。
【0021】
【図4】図4は、鉄塔から引き下げられた状態の光ファイバ心線複合架空地線の状態を示す概略正面図である。
【0022】
【図5】図5は、本発明の光ファイバ心線接続箱用収納箱の正面図である。
【0023】
【図6】図6は、本発明の光ファイバ心線接続箱用収納箱から蓋体が取り除かれた状態の光ファイバ心線接続箱用収納箱の正面図である。
【0024】
【図7】図7は、本発明の光ファイバ心線接続箱用収納箱の裏面図である。
【0025】
【図8】図8は、本発明を構成する複合架空地線把持金具の平面図である。
【0026】
【図9】図9は、本発明を構成する複合架空地線把持金具の垂直断面図である。
【0027】
【図10】図10は、本発明の光ファイバ心線接続箱用収納箱に収納された光ファイバ心線複合架空地線接続箱に導入架空地線を剥離し切断しアルミ管が取り除かれた状態の光ファイバ心線が収納された状態の概略図である。
【実施例】
【0028】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら、実施例に限定されるものではない。
【0029】
なお、上述した光ファイバ心線接続箱Aや光ファイバ心線複合架空地線Bの構成は、本発明においても同じであるので、その詳細な説明は省略するとともに、同じ構成部材については、同じ符号を使用する。
【0030】
図5〜図7に示されているように、Hは、その内部に、光ファイバ心線接続箱Aが収容される光ファイバ心線接続箱用収納箱であり、光ファイバ心線接続箱用収納箱Hは、収納箱本体H1と観音開き状の蓋体H2とから構成されており、収納箱本体H1は、底部h1と、該底部h1と相対する天部h2と、相対する垂直壁部h3、h3と、奥壁部h4とから構成されている。また、収納箱本体H1の天部h2には、光ファイバ心線複合架空地線Bが導入される導入口h2aが形成されているとともに、導入口h2aが位置する天部h2には、複合架空地線把持金具4が取り付けられている。
【0031】
図8及び図9に示されているように、複合架空地線把持金具4の一方の端部4aには、光ファイバ心線複合架空地線Bが挿入される挿入部4bと、複合架空地線把持金具4の長手方向(水平方向)の全体に亘たって、且つ、その中心線4cに沿って、貫通孔4dが形成されており、更に、貫通孔4dを境にして、複合架空地線把持金具4は、長手方向の略中心部分4eまで2分割されている。このように分割された一対の分割部4fは、遊動状態に構成されており、一方の分割部4fともう一方の分割部4fとは、分割部4fに穿設された図示されていないボルト挿通孔にボルト4gを挿通するとともに、ボルト4gにナット4hを螺合させることにより、一対の分割部4fが締め付け固定されるように構成されている。
【0032】
光ファイバ心線接続箱用収納箱Hの天部h2に穿設された導入口h2aに、複合架空地線把持金具4のもう一方の端部4iを挿入するとともに、グロメット4jを介して、適当な取付部材4kにより、光ファイバ心線接続箱用収納箱Hに、複合架空地線把持金具4が取り付けられるように構成されている。また、もう一方の端部4i付近の貫通孔4dを囲むように、グロメット4mが配設されている。
【0033】
複合架空地線把持金具4を構成する貫通孔4dのもう一方の端部4iに、グロメット4mを介して、嵌合部材5を嵌合することにより、複合架空地線把持金具4に、嵌合部材5が取り付けられるように構成されている。また、光ファイバ心線接続箱用収納箱Hの収納箱本体H1を構成する底部h1には、複数個の水抜孔h1aが穿設されている。
【0034】
光ファイバ心線接続箱用収納箱Hの収納箱本体H1を構成する奥壁部h4には、上述した光ファイバ心線接続箱Aが取り付けられるように、取付脚h4aが配置されている。また、光ファイバ心線接続箱Aが配設される光ファイバ心線接続箱用収納箱Hの中央空間部を除く左右の側部空間部S1には、光ファイバ心線複合架空地線Bを構成する光ファイバ心線ユニットB1が導入されるように構成されている。
【0035】
次に、上述したような構成部材を有する光ファイバ心線接続箱用収納箱Hの組み立てについて、図10等を用いて説明する。
【0036】
先ず最初に、光ファイバ心線接続箱用収納箱Hの収納箱本体H1を構成する天部h2に穿設された導入口h2aに、複合架空地線把持金具4を挿入し、複合架空地線把持金具4を、収納箱本体H1を構成する天部h2に取り付ける。
【0037】
次いで、収納箱本体H1の奥壁部h4に形成された取付脚h4aに、光ファイバ心線接続箱Aを、適当な固着部材を介して、取り付ける。このようにして、光ファイバ心線接続箱が取り付けられた光ファイバ心線接続箱用収納箱Hを、鉄塔Tに取り付ける。
【0038】
鉄塔Tの上部に架設された光ファイバ心線複合架空地線Bを引き下げるとともに、所定の長さにアルミ覆鋼線B4を切断して、アルミ覆鋼線B4を、収納箱本体H1に取り付けた複合架空地線把持金具4の挿入部4bに挿入し、更に、アルミ管B3を、複合架空地線把持金具4の貫通孔4dを通しておき、アルミ覆鋼線B4を、一対の分割部4fによりボルト4gとナット4hとにより締め付けることにより、アルミ覆鋼線B4を、収納箱本体H1に取り付ける。
【0039】
その後、複合架空地線把持金具4の貫通孔4dを通して、光ファイバ心線接続箱用収納箱H内に挿入されたアルミ管B3は、側部空間部S1内にて、アルミ管B3が切断されて、光ファイバ心線ユニットB1を構成する光ファイバ心線b1が露出される。切断されたアルミ管B3の切断端部は、下方方向、即ち、収納箱本体H1を構成する底部h1に向けて配置されるように構成されている。
【0040】
次いで、アルミ管B3から露出された光ファイバ心線b1は、収納箱本体H1の内部を通り、接続箱本体A1の底部a1に穿設された導入口a1aに導入され、光ファイバ心線b1同士を接続し接続部を、収納トレイ3に収納して接続作業がを終了する。
【0041】
本願の光ファイバ心線接続箱用収納箱Hは、上述したように、光ファイバ心線b1同士を接続する収納トレイ3を有する光ファイバ心線接続箱Aを、光ファイバ心線接続箱用収納箱H内に設置し、光ファイバ複合架空地線Bを光ファイバ心線接続箱Aに導入して、アルミ管B3を、光ファイバ心線接続箱用収納箱H内にて切断し、露出された光ファイバ心線b1だけを、光ファイバ心線接続箱Aに導入したので、アルミ管B3の曲部も無く、雨水も光ファイバ心線接続箱Aに浸入することがなくなり、雨水から生じる上述した問題点は解消され、伝送特性の品質の向上が図られる。
【0042】
また、光ファイバ心線接続箱用収納箱Hに導入した光ファイバ心線複合架空地線Bのアルミ管B3を切断して露出させて、アルミ管B3の切断端部を複合架空地線配置部に配置するとともに、アルミ管B3の切断端部を下向きにして配置したことで、アルミ管B3の破損等で浸入した雨水等は、アルミ管B3の切断端部から放出されることになる。次いで、放出された雨水等は、光ファイバ心線接続箱用収納箱Hの収納箱本体H1を構成する底部h1に穿設された水抜孔h1aから、光ファイバ心線接続箱用収納箱Hの箱外に放出される。そのため、アルミ管B3に浸入した雨水による損傷を回避することができる。
【0043】
更に、光ファイバ心線複合架空地線Bは、光ファイバ心線接続箱用収納箱Hの上部から導入したので、略U字状の曲部B’が形成されることがなく、従って、光ファイバ心線b1のストレスも緩和でき、伝送品質をより向上することができる。
【符号の説明】
【0044】
A・・・・・・・・・・光ファイバ心線接続箱
B・・・・・・・・・・光ファイバ心線複合架空地線
B1・・・・・・・・・光ファイバ心線ユニット
b1・・・・・・・・・光ファイバ心線
B2・・・・・・・・・アルミスペーサ
B3・・・・・・・・・アルミ管
B4・・・・・・・・・アルミ覆鋼線
H・・・・・・・・・・光ファイバ心線接続箱用収納箱
h1a・・・・・・・・水抜孔



【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ心線接続箱を収納するための光ファイバ心線接続箱用収納箱であって、前記光ファイバ心線接続箱の底部には、導入口と光ファイバ心線を保持する保持金具とが設けられており、また、前記光ファイバ心線接続箱用収納箱の天部には、光ファイバ心線複合架空地線が導入される導入口が形成されており、更に、前記光ファイバ心線接続箱用収納箱の底部には、複数個の水抜孔が穿設されていることを特徴とする光ファイバ心線接続箱用収納箱。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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