説明

光ヘッド及び光記録再生装置

【課題】 光ヘッドの共振を抑制するとともに、構成部品の剥離を防止する。
【解決手段】 開示される光ヘッド1は、対物レンズ駆動装置2と、ハウジング3とを有している。対物レンズ駆動装置2は、対物レンズ12を駆動するものである。ハウジング3は、対物レンズ駆動装置2を支持している。対物レンズ駆動装置2は、ハウジング3の貫通部21に遊嵌された状態で、ハウジング3に、貫通部21の上周縁部21aにおいて接着剤4〜4により固着されているとともに、貫通部21の下周縁部において接着剤4〜4とは硬度の異なる接着剤により固着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク等の光記録媒体にデータの記録又は再生を行う光ヘッド及びこの光ヘッドを備えた光記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光ヘッド(光ピックアップ)には、対物レンズをフォーカス方向とトラッキング方向とへ可動自在に収容したアクチュエータベースを設け、アクチュエータベースの傾きを調整してこのアクチュエータベースをハウジング(ピックアップハウジング)に固定したものがある。この光ヘッドでは、アクチュエータベースに嵌合凸部を形成し、この嵌合凸部が微小なクリアランスをもって嵌合される嵌合凹部をハウジングに形成し、嵌合凸部と嵌合凹部との少なくとも一方の表面に塗布した接着剤によりこれらの嵌合凸部と嵌合凹部とを嵌合状態で接着している(例えば、特許文献1参照。)。以下、この技術を第1の従来例と呼ぶ。
【0003】
また、従来の光ヘッドには、ハウジングの上面に複数のピンを突設し、このハウジングにアクチュエータ(対物レンズアクチュエータ)を組み付けた時に各ピンを受入れ可能な複数の開口部をアクチュエータベースに設けているものもある。この光ヘッドでは、対物レンズの傾き調整後に、各開口部内に各ピンを嵌合した状態で開口部内に半田等の接着剤を充填してアクチュエータベースをハウジングに接着固定している(例えば、特許文献2参照。)。以下、この技術を第2の従来例と呼ぶ。
【0004】
また、従来の光ヘッドでは、一端部から所定長さまで形成された第1の穴と、第1の穴に連続し、第1の穴より直径がやや大きい第2の穴とを有する鏡筒の一端部にレーザダイオードを収容して固定している。この鏡筒の第1の穴に外周面に熱硬化形接着剤を塗布したコリメートレンズを収容して予め設定された位置に調整した後、第1の穴と第2の穴とが連結する部分に形成された段部とコリメートレンズとの間に紫外線硬化形接着剤を充填し、紫外線を照射して、コリメートレンズを鏡筒に仮固定している。次に、内周面にネジ部が形成された第2の穴にナットをねじ込み、レーザダイオードより光ビームを出射し、このナットの端面でコリメートレンズを押し付けてコリメートレンズの固定位置を微小移動させながら、コリメートレンズの出射光を観察し、出射光が平行になった位置で熱硬化形接着剤を塗布した部分に熱を加えてコリメートレンズを本固定している(例えば、特許文献3参照。)。以下、この技術を第3の従来例と呼ぶ。
【0005】
また、従来の光記録再生装置には、光ディスクへのフォーカス及びラジアル方向に対物レンズを駆動する対物レンズ駆動装置に複数個の突起部が設けられ、受発光素子を保持する光学基台には、対物レンズ駆動装置の突起部を固定するための複数の凹部を有しており、これらの凹部は上記突起部を固定するとともに、上記対物レンズ駆動装置の調整範囲を規定しているものがある。この従来の光記録再生装置では、固定部側の突起部は、光学的反応などにより固化する接着剤を用いて固定している。一方、非固定部側の突起部は、半田付け等の蝋付け、もしくは溶接などのような金属的結合によって固定している(例えば、特許文献4参照。)。以下、この技術を第4の従来例と呼ぶ。
【0006】
【特許文献1】特開平7−311951号公報(請求項1,[0018]〜[0023]、図1)
【特許文献2】特開2001−319343号公報(請求項1,[0005]〜[0007]、図1,図2)
【特許文献3】特開平4−143929号公報(第3頁左上欄第9行目〜右上欄第14行目、第2図,第3図)
【特許文献4】特開2000−285495号公報(請求項1,請求項2,[0022]〜[0027],[0031],[0032]、図5,図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した第1〜第3の従来例では、光ヘッドの各構成部品を固定する接着剤の具体的な物理的特性、特に、硬化後の硬度については言及していない。しかし、対物レンズの位置ずれやスキューずれの防止、あるいは、高温環境下における特性などの信頼性を考慮して、一般的には、硬度が高い接着剤が使用されている。このように、光ヘッドの構成部品を固定する接着剤に高い硬度のものを使用すると、例えば、光記録媒体が偏芯して回転した場合には、光ヘッドのトラッキング方向の開ループ位相特性において、5〜9kHz程度の周波数で共振し、トラッキングサーボが不安定となってしまう。これにより、光記録媒体に対するトラッキングサーボ追従ができなくなってしまうおそれがあった。
【0008】
また、例えば、光ヘッドを備えた光記録再生装置が自動車に搭載され、この自動車が真夏の炎天下に放置された場合、光記録再生装置が設置されているダッシュボード近傍の温度は、70〜80℃程度にまで上昇する。この後、操縦者等の搭乗者が自動車に搭乗し、エアーコンディショナーを運転させると、車内温度は、搭乗者にとって快適な26〜28℃程度まで下降する。このように、光ヘッドを備えた光記録再生装置の周囲温度が急激に変化した場合、上記した高い硬度の接着剤で光ヘッドの構成部品が緊密に固定されていると、接着剤を含めた各構成部品の熱膨張係数が異なっているため、接着剤等の収縮又は伸長により、例えば、アクチュエータベースがハウジングから剥離してしまうおそれがあった。これにより、例えば、対物レンズが傾くことにより、レーザダイオードから出射される光ビームが光記録媒体に正しく照射されず、光記録媒体にデータの記録又は再生を行うことができなくなるおそれがあった。
【0009】
一方、上記した第4の従来例では、異なる固定方法を用いているので、工程が複雑になるという問題があった。また、金属的結合を用いた場合、固定時に発生する熱が被固定物を介して固定を予定していない部品にまで伝達され、その部品の温度を高めるおそれがある。この場合、当該部品の溶融温度が低い場合には熱により変形してしまうなど、固定とは無関係な部品に悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、上述のような課題を解決することができる光ヘッド及び光記録再生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明に係る光ヘッドは、対物レンズを駆動する対物レンズ駆動装置と、前記対物レンズ駆動装置を硬度の異なる接着剤を介して支持するハウジングとを有していることを特徴としている。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の光ヘッドに係り、前記接着剤は、ショアD硬度が65〜90である第1の接着剤と、ショアA硬度が30〜50である第2の接着剤であることを特徴としている。
また、請求項3記載の発明に係る光記録再生装置は、請求項1又は2に記載の光ヘッドを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、請求項1記載の発明に係る光ヘッドが、対物レンズを駆動する対物レンズ駆動装置と、前記対物レンズ駆動装置を硬度の異なる接着剤を介して支持するハウジングとを有していることによって、この光ヘッドを光記録再生装置に用いた場合には、光ヘッド全体の共振が抑制され、トラッキングサーボが安定するとともに、構成部品の剥離が防止される。
【0014】
また、本発明によれば、請求項3記載の発明に係る光記録再生装置は、請求項1又は2に記載の光ヘッドを備えている。従って、この光記録再生装置では、光記録媒体が偏芯して回転した場合であっても、光記録媒体に対するトラッキングサーボ追従を良好に行うことができる。また、周囲温度が急激に変化した場合であっても、光記録媒体にデータの記録又は再生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る光ヘッド1の外観構成を示す斜視図、図2は、図1に示す光ヘッド1の外観構成を裏側から見た斜視図、図3は、図1に示す光ヘッド1の外観構成を示す分解斜視図である。この例の光ヘッド1は、対物レンズ駆動装置2と、ハウジング3とを有している。
【0016】
対物レンズ駆動装置2は、図3に示すように、レンズホルダ11の一端部11a近傍に形成された貫通部11bの外周に接着剤等で対物レンズ12が固着されており、対物レンズ12をフォーカス方向及びトラッキング方向に駆動する。レンズホルダ11の略中央に形成された貫通部11cには、磁気回路を構成する永久磁石13、13及びヨーク14が配置されている。また、レンズホルダ11の貫通部11aには、フォーカシング用のコイル19とトラッキング用のコイル20とが設けられている。
【0017】
ハウジング3は、例えば、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)あるいはマグネシウム(Mg)等の金属や液晶ポリマ(LCP)等の合成樹脂などからなる。ハウジング3には、上記対物レンズ駆動装置2の外周形状と略相似形状であって、上記対物レンズ駆動装置2が遊嵌される貫通部21が形成されている。対物レンズ駆動装置2は、図4及び図5に示すように、ハウジング3の貫通部21に遊嵌された状態で、ハウジング3に、貫通部21の上周縁部21aの2箇所以上の数箇所(図1の例では、4箇所)において接着剤4〜4により固着されているとともに、貫通部21の下周縁部21bの2箇所以上の数箇所(図2の例では、4箇所)において接着剤5〜5により固着されている。これにより、ハウジング3は、上記対物レンズ駆動装置2を支持する。
【0018】
ハウジング3の内部には、図示しないが、レーザダイオードから出射される光ビームの光路を変更して、対物レンズ12から出射させるとともに、対物レンズ12から入射された光ビームをフォトダイオード等からなる光検出器の受光面に収束させるためのビームスプリッタ、コリメートレンズ等からなる光学系が設けられている。
【0019】
接着剤4〜4は、対物レンズ駆動装置2の周縁上部をハウジング3に固着する役割を果たすとともに、対物レンズ駆動装置2を所定の精度でハウジング3に位置決めをする役割を果たしている。一方、接着剤5〜5は、対物レンズ駆動装置2の周縁下部をハウジング3に固着する役割を果たすとともに、対物レンズ駆動装置2の振動の減衰、衝撃の緩衝などを行うダンパーとしての役割を果たしている。
【0020】
この場合、接着剤4〜4の硬度は、例えば、ショアD硬度が65〜90であることが好ましい。一方、接着剤5〜5の硬度は、例えば、ショアA硬度が30〜50であることが好ましい。ここで、ショアD硬度とは、JIS K−6253(DIN 53 505)のタイプDデュロメータで測定された硬度をいい、ショアA硬度とは、JIS K−6253(DIN 53 505)のタイプAデュロメータで測定された硬度をいう。
【0021】
接着剤4〜4及び5〜5は、例えば、エポキシ系、シアノアクリレート系、ポリウレタン系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、合成ゴム系、クロロプレンゴム系溶剤形、合成ゴム系ラテックス形、感圧性、エマルジョン形、ホットメルト形、エラストマー系ホットメルト形、ポリアミド系ホットメルト形などがある。
【0022】
次に、対物レンズ駆動装置2をハウジング3に接着剤4〜4及び5〜5により固着する詳細な方法について説明する。対物レンズ駆動装置2を構成するレンズホルダ11は、図3に示すように、外周部の略中央及び他端部11d近傍に、対物レンズ駆動装置2をハウジング3に固着するための接合部15〜18が設けられている。接合部15〜18は、略直方体形状を呈しており、レンズホルダ11と一体的に形成されていても良いし、レンズホルダ11とは別個に作製され、接着剤等によりレンズホルダ11に接合されていても良い。一方、ハウジング3の貫通部21には、図3〜図5に示すように、貫通部21に上記対物レンズ駆動装置2が遊嵌された際に接合部15〜18と対向する位置に、接合凹部22a〜25a及び22b〜25bが形成されている。
【0023】
まず、図4に示すように、対物レンズ駆動装置2をハウジング3の貫通部21に遊嵌させた状態において、対物レンズ駆動装置2を予め設定された位置に調整する。次に、対物レンズ駆動装置2を構成する接合部15の上端部15a近傍側面とハウジング3を構成する接合凹部22a及びその近傍側面とを接合するために接着剤4を塗布し、対物レンズ駆動装置2の接合部16の上端部16a近傍側面とハウジング3の接合凹部23a及びその近傍側面とを接合するために接着剤4を塗布する。同様に、対物レンズ駆動装置2の接合部17の上端部17a近傍側面とハウジング3を構成する接合凹部25a及びその近傍側面とを接合するために接着剤4を塗布し、対物レンズ駆動装置2の接合部18の上端部18a近傍側面とハウジング3の接合凹部25a及びその近傍側面とを接合するために接着剤4を塗布する。これにより、対物レンズ駆動装置2が所定の位置精度でハウジング3に仮固定される。
【0024】
次に、図5に示すように、対物レンズ駆動装置2が仮固定されたハウジング3を裏返した後、対物レンズ駆動装置2の接合部15の下端部15b近傍側面とハウジング3の接合凹部22b及びその近傍側面とを接合するために接着剤5を塗布し、対物レンズ駆動装置2の接合部16の下端部16b近傍側面とハウジング3の接合凹部23b及びその近傍側面とを接合するために接着剤5を塗布する。同様に、対物レンズ駆動装置2の接合部17の下端部17b近傍側面とハウジング3を構成する接合凹部25b及びその近傍側面とを接合するために接着剤5を塗布し、対物レンズ駆動装置2の接合部18の下端部18b近傍側面とハウジング3の接合凹部25b及びその近傍側面とを接合するために接着剤5を塗布する。これにより、対物レンズ駆動装置2がハウジング3に本固定される。
【0025】
ここで、図6に図1に示すA部分の拡大斜視図を示すとともに、図7に図6のB−B'矢視図を示す。なお、図6では、接合部17及び18と接合凹部24a、25a及び25bとの関係を分かりやすくするために、接着剤4及び4、対物レンズ駆動装置2の他の構成部品は示していない。一方、図7においても、接合部17及び18と接合凹部24a、25a及び25bとの接合状態を分かりやすくするために、対物レンズ駆動装置2の他の構成部品は示していない。
【0026】
各接着剤4及び5は、例えば、ハウジング3の高さをh、接着剤4の厚さ(塗布量)をh、接着剤4の厚さ(塗布量)をhとすると、式(1)〜式(3)を満たすように塗布する。
=h/6〜5h/6 ・・・(1)
=h/6〜5h/6 ・・・(2)
+h<h ・・・(3)
他の接着剤4、4、4、5、5及び5のそれぞれ塗布量についても、式(1)〜式(3)のそれぞれに対応した3つの式を満たすように塗布する。
【0027】
接着剤4〜4及び5〜5の塗布量を上記式(1)〜式(3)で規定したのは以下に示す理由による。まず、接着剤4〜4及び5〜5の塗布量がh/6より少ない場合には、所定の接着強度が得られず、光ヘッド1の使用時に、接着剤4〜4又は5〜5が剥離し、対物レンズ駆動装置2がハウジング3から脱落してしまうおそれがある。一方、接着剤4〜4及び5〜5の塗布量が5h/6より多い場合には、接着剤4〜4と対応する接着剤5〜5とが混合してしまうおそれがある。接着剤4〜4と対応する接着剤5〜5との混合を確実に避けるために、接着剤4〜4及び5〜5の塗布量は4h/6程度までとすることがより好ましい。さらに、接着剤4〜4の塗布量と対応する接着剤5〜5の塗布量の和がハウジング3の高さhより大きいということは、接着剤4〜4と対応する接着剤5〜5とが互いに混合し、対物レンズ駆動装置2の動きが制限されるとともに、所定の位置精度が得られなかったり、接着剤5〜5のダンパーとしての機能が十分に果たされなかったりするおそれがある。
【0028】
図8は、上記構成を有する光ヘッド1のトラッキング方向の開ループにおける位相特性の一例である。図8において、曲線aは、接着剤4〜4の硬度がショアD硬度65〜90であり、接着剤5〜5の硬度がショアA硬度30〜50である場合の特性である。一方、曲線bは、接着剤4〜4及び5〜5の硬度がいずれもショアD硬度65〜90である場合の特性である。
【0029】
図8から分かるように、光ヘッド1において、接着剤5〜5の硬度を接着剤4〜4の硬度に比べて低くした場合には、約7kHzにおける光ヘッド1全体の共振を抑制することができる。一方、上記構成を有する光ヘッド1のトラッキング方向の開ループにおけるゲイン特性については、接着剤5〜5の硬度を接着剤4〜4の硬度に比べて低くした場合と、低くくしなかった場合とで異なるところはない。
【0030】
このように、本発明の実施の形態1においては、対物レンズ駆動装置2は、ハウジング3に、貫通部21の上周縁部21aの4箇所において硬度がショアD硬度65〜90である接着剤4〜4により固着されているとともに、貫通部21の下周縁部21bの4箇所において硬度がショアA硬度30〜50である接着剤5〜5により固着されている。
【0031】
これにより、接着剤4〜4は、対物レンズ駆動装置2を所定の精度でハウジング3に位置決めをする役割を果たす一方、接着剤5〜5は、対物レンズ駆動装置2の振動の減衰、衝撃の緩衝などを行うダンパーとしての役割を果たしている。従って、トラッキング方向の約7kHzにおける光ヘッド1全体の共振が抑制され、トラッキングサーボが安定する。これにより、光記録媒体が偏芯して回転した場合であっても、光記録媒体に対するトラッキングサーボ追従を良好に行うことができる。
【0032】
また、本発明の実施の形態1においては、対物レンズ駆動装置2は、ハウジング3に形成された貫通部21の下周縁部21bの4箇所において硬度がショアA硬度30〜50である接着剤5〜5により固着されている。従って、このような構成を有する光ヘッド1を備えた光記録再生装置では、周囲温度が急激に変化した場合であっても、接着剤5〜5が剥離して対物レンズ駆動装置2がハウジング3から剥離することを防止できる。
【0033】
さらに、本発明の実施の形態1では、接着剤4〜4と接着剤5〜5の硬度は異なるが固定方法は同じである。従って、異なる固定方法を用いている上記した第4の従来例のように、工程が複雑になることはない。また、本発明の実施の形態1では、上記した第4の従来例のような金属的結合を用いていないので、固定時に発生する熱が固定とは無関係な部品に悪影響を及ぼすおそれはない。
【0034】
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2に係る光記録再生装置の構成を示す概略図である。この光記録再生装置は、上記した実施の形態1に係る光ヘッド1と、スピンドルモータ31と、コントローラ32と、レーザ駆動回路33と、レンズ駆動回路34とから概略構成されている。
【0035】
スピンドルモータ31は、コントローラ32の制御の下、光ディスク35を回転駆動する。コントローラ32は、光ヘッド1から供給されるフォトディテクタ検出信号に基づいて、スピンドルモータ31、レーザ駆動回路33及びレンズ駆動回路34を制御する。レーザ駆動回路33は、コントローラ32の制御の下、光ヘッド1を構成する光源(図示略)であるレーザダイオードを駆動するためのレーザ駆動信号を生成し、光ヘッド1に供給する。レンズ駆動回路34は、コントローラ32の制御の下、光ヘッド1を構成する対物レンズ12(例えば、図1参照)のフォーカシング及びトラッキングを制御するためのレンズ駆動信号を生成し、光ヘッド1に供給する。
【0036】
コントローラ32は、フォーカスサーボ追従回路36と、トラッキングサーボ追従回路37と、レーザコントロール回路38とを有している。フォーカスサーボ追従回路36は、光ヘッド1から供給されるフォトディテクタ検出信号に基づいて、回転している光ディスク35の情報記録面に光ヘッド1から出射された光ビームのフォーカスをかけるためのフォーカスサーボ信号を生成し、レンズ駆動回路34に供給する。
【0037】
トラッキングサーボ追従回路37は、光ヘッド1から供給されるフォトディテクタ検出信号に基づいて、光ディスク35の偏芯している信号トラックに対して、光ヘッド1から出射された光ビームのビームスポットを追従させるためのトラッキングサーボ信号を生成し、レンズ駆動回路34に供給する。レーザコントロール回路38は、光ヘッド1から供給されるフォトディテクタ検出信号から抽出された光ディスク35に記録されている記録条件設定情報に基づいて、適切なレーザ駆動信号の生成を行う。
【0038】
このように、本発明の実施の形態2によれば、上記した実施の形態1に係る光ヘッド1を用いて光記録再生装置を構成している。従って、光記録再生装置は、光記録媒体が偏芯して回転した場合であっても、光記録媒体に対するトラッキングサーボ追従を良好に行うことができる。また、周囲温度が急激に変化した場合であっても、光記録媒体にデータの記録又は再生を行うことができる。
【0039】
実施の形態3.
上述の実施の形態1及び2では、光源が1個だけ設けられている光ヘッドや光ヘッドが1個だけ設けられている光記録再生装置の例を示したが、これに限定されない。本発明は、光源が複数個設けられている光ヘッドや光ヘッドが複数個設けられている光記録再生装置にも適用することができる。このような光ヘッド及び光記録再生装置は、例えば、特開2004−295982号公報に開示されている。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、上述した各実施の形態では、光記録媒体が円盤状の光ディスクである例を示したが、これに限定されず、光記録媒体は、矩形状であっても良い。
【0041】
また、上述した各実施の形態では、ヘッド駆動装置2をハウジング3に、貫通部21の上周縁部21aに硬度が高い接着剤4〜4で固着するとともに、貫通部21の下周縁部21bに硬度が低い接着剤5〜5で固着する例を示している。しかし、本発明は、これに限定されない。要するに、トラッキング方向の約7kHzにおける光ヘッド1全体の共振と、対物レンズ駆動装置2のハウジング3からの剥離とを防止することができれば良い。従って、この目的を達成することができるならば、接着剤の種類、接着剤の塗布する箇所及び塗布する箇所の数は、限定されない。
【0042】
また、上述した各実施の形態では、接着剤5〜5自体をダンパーとして機能させる例を示したが、これに限定されず、両面に硬度の高い接着剤が塗布された硬度が低い材料を対物レンズ駆動装置2とハウジング3との間に挿入しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光ヘッドの外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す光ヘッドの外観構成を裏側から見た斜視図である。
【図3】図1に示す光ヘッドの外観構成を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示すハウジングに図3に示す光ヘッドを遊嵌させた状態を示す斜視図である。
【図5】図3に示すハウジングに図3に示す光ヘッドを遊嵌させた状態を裏側から見た斜視図である。
【図6】図1に示す光ヘッドのA部分の拡大斜視図である。
【図7】図6のB−B'矢視図である。
【図8】図1及び図2に示す光ヘッドにおいて対物レンズ駆動装置とハウジングとの接合にいずれも硬度の高い接着剤を用いた場合と、対物レンズ駆動装置の周縁下部とハウジングとの接合に硬度の低い接着剤を用いた場合のそれぞれにおけるトラッキング方向の開ループにおける位相特性の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る光記録再生装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0044】
1 光ヘッド
2 対物レンズ駆動装置
3 ハウジング
〜4 接着剤(第1の接着剤)
〜5 接着剤(第2の接着剤)
11 レンズホルダ
11a 一端部
11b,11c,21 貫通部
11d 他端部
12 対物レンズ
13,13 永久磁石
14 ヨーク
15〜18 接合部
15a〜18a 上端部
15b〜18b 下端部
19 フォーカシング用のコイル
20 トラッキング用のコイル
21a 上周縁部
21b 下周縁部
22a〜25a,22b〜25b 接合凹部
31 スピンドルモータ
32 コントローラ
33 レーザ駆動回路
34 レンズ駆動回路
35 光ディスク
36 フォーカスサーボ追従回路
37 トラッキングサーボ追従回路
38 レーザコントロール回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズを駆動する対物レンズ駆動装置と、
前記対物レンズ駆動装置を硬度の異なる接着剤を介して支持するハウジングと
を有していることを特徴とする光ヘッド。
【請求項2】
前記接着剤は、ショアD硬度が65〜90である第1の接着剤と、ショアA硬度が30〜50である第2の接着剤であることを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光ヘッドを備えることを特徴とする光記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−250080(P2007−250080A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71914(P2006−71914)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】