説明

光モジュールの固定構造

【課題】リードフレームに穴の無い光モジュールを、少ない作業工程で光コネクタのハウジングに固定することができ、しかも、光モジュールに対して、十分な規制力で回り止めを図ることができる光モジュールの固定構造を提供すること。
【解決手段】シールドカバー5に収容されているパッケージ部1a,3aの両側部の一部をハウジング7への嵌合装着方向に沿って露呈させるようにシールドカバー5に形成された複数の切り抜き部21と、切り抜き部21を挿通してパッケージ部1a,3aの両側面に当接するようにハウジング7に装備された複数の側面位置決め突起31と、を備え、光モジュール1,3の両側を、側面位置決め突起31により位置決め固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールを、そのパッケージ部の外周を囲うシールドカバーを介して、光コネクタのハウジングに固定する光モジュールの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
光モジュールとは、電気信号(E)と光信号(O)を相互に変換するための電子部品であり、発光モジュールと受光モジュールに分けられる。そして、これらを一つにパッケージ化した物は、光トランシーバ(FOT=Fiber Optic Transceiver )と呼ばれている。
【0003】
近年の自動車等は、インストルメント・パネル内だけでなく、ドアパネルやルーフパネル等の各所にセンサや電子機器を搭載するものが増えており、それに伴い、車内に配索する制御信号路の数量が急激に増加している。
【0004】
そして、このような制御信号路の数量の増加によってワイヤハーネスが肥大化したり重量化したりすることを防止するために、電線の代わりに光ファイバケーブルを使用し、ケーブル相互の接続やプリント回路基板との接続を光コネクタにより行う信号路の光ファイバ化が進められている。
【0005】
光コネクタは、光ファイバケーブル相互の接続、あるいは光ファイバケーブルと電線との接続、あるいは光ファイバケーブルとプリント回路基板との接続を容易にするために、樹脂製のハウジング内に、前述の光モジュール又は光トランシーバを組み込んだものである。
【0006】
光モジュールは、通常、光信号の出射部又は入射部となる円筒部を有したパッケージ部から電気信号の入力部又は出力部となるリードが延出した構成である。
【0007】
また、光モジュールは、外観上では、パッケージ部から突出したリードフレームに固定穴が装備されたものと、固定穴が装備されていないものに大別することができる。
【0008】
ところで、光モジュールは、光コネクタのハウジングへの固定が不十分で、ガタ付き等で位置ずれが生じると、光軸のずれが発生して、本来の伝送性能が発揮できなくなる。従って、光モジュールはハウジングへしっかりと固定しなければならない。
【0009】
これまで、リードフレームに固定穴が装備されたタイプの光モジュールの場合は、下記特許文献1に記載のように、リードフレーム上の一つの固定穴をハウジング側の突起に係合させ、更に、固定穴を中心として光モジュールが回転しないように2カ所に回転止めを装備した3点支持構造とすることにより、比較的容易にしっかりとした固定を果たすことができる。
【0010】
一方、リードフレームの固定穴が装備されていないタイプの光モジュールの場合は、特許文献1のような3点支持ができない。
【0011】
そこで、このようなタイプの光モジュールの固定構造としては、光モジュールを、そのパッケージ部を収容するシールドカバーを介して、光コネクタのハウジングに固定する構造が提案されている(例えば、下記特許文献2,3参照)。
【0012】
特許文献2に開示された光モジュールの固定構造は、光コネクタのハウジングに装備されたモジュール装着用の受承筒に、光モジュールを嵌合させる第二組み付け工程を実施した後、第三組み付け工程を実施する。
【0013】
上記第二組み付け工程で受承筒に嵌合装着された光モジュールは、パッケージ部の下端がハウジングに突設された平坦な壁に当接して、回り止めされた状態になっている。
【0014】
上記第三組み付け工程は、光モジュールの嵌合装着方向とは直交する方向から前記光モジュール及び受承筒の上にシールドカバーを被せて、光モジュールを前記受承筒に固定(抜け止め)した状態にする工程である。
【0015】
シールドカバーには、光モジュールのパッケージ部を圧入状態に収容する収容部と、前記受承筒の端部に係合して前記光モジュールを受承筒に対して抜け止めする抜け止め部と、が装備されている。上記第三組み付け工程を完了することで、光モジュールが回転不可に前記ハウジングに固定された状態になる。
【0016】
特許文献3に開示された光モジュールの固定構造は、予め光モジュールをシールドカバーの収容部に圧入状態に位置決めした後、前記シールドカバーを前記光モジュールの光軸方向に沿って光コネクタのハウジングに嵌合装着させる。
【0017】
その際、光モジュールのケースの円筒部の外周に形成された平坦な切り欠き面を、前記ハウジングの平坦な切り欠き面に整合させることで、光モジュールを回り止めする。また、前記シールドカバーを前記ハウジングに嵌合装着すると、前記シールドカバーの外側面の貫通孔に前記ハウジング側の突起が係合して、抜け止めとなり、光モジュールが回転不可に前記ハウジングに固定された状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2006−215276号公報
【特許文献2】特開2002−082258号公報
【特許文献2】特開2001−168380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところが、前述の特許文献2に記載の光モジュールの固定構造の場合は、光コネクタのハウジングに対して光モジュールを装着する第二組み付け工程と、前記ハウジング及び光モジュールに対してシールドカバーの装着を行う第三組み付け工程とを個別に行わなければならず、ハウジングへの組み付け工程数が多いため、作業性が悪いという問題が生じた。
【0020】
一方、特許文献3に記載の光モジュールの固定構造の場合は、光モジュールを収容したシールドカバーを光コネクタのハウジングに装着するため、ハウジングへの組み付け工程が1回で済み、作業性の向上を図ることができる。
【0021】
しかし、光モジュールの回り止めを、光モジュールの光軸に近い円筒部外周の幅の狭い切り欠き面で行うため、回り止めに有効な規制力を十分に確保することが難しい。そのため、プリント回路基板等への着脱のために光モジュールに大きな外力が作用すると、光モジュールが動いて(回動して)、光軸のずれ等を招くおそれがあった。
【0022】
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、リードフレームに穴の無い光モジュールを、少ない作業工程で光コネクタのハウジングに固定することができ、しかも、光モジュールに対して、十分な規制力で回り止めを図ることができ、例えばプリント回路基板等への着脱の際に光モジュールに大きな外力が作用しても、光モジュールに光軸のずれを招くことのない安定した固定を行うことができる光モジュールの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)光モジュールのパッケージ部の外周を囲うシールドカバーに形成されたハウジング係合手段と、光コネクタのハウジングに装備されて前記ハウジング係合手段との係合により前記シールドカバーを固定するカバー係止手段とから構成され、
前記シールドカバーを介して前記光モジュールを前記ハウジングに固定する光モジュールの固定構造であって、
前記シールドカバーに収容されているパッケージ部の両側部の一部を前記ハウジングへの嵌合装着方向に沿って露呈させるように前記シールドカバーに形成された前記ハウジング係合手段としての複数の切り抜き部と、
前記ハウジングへの前記シールドカバーの嵌合装着時に、前記切り抜き部を挿通して前記パッケージ部の両側面に当接するように前記ハウジングに装備された前記カバー係止手段としての複数の側面位置決め突起と、を備え、
前記シールドカバーを介して前記ハウジングに装着された光モジュールの両側を、前記側面位置決め突起により位置決め固定することを特徴とする光モジュールの固定構造。
【0024】
(2)前記ハウジングには、前記カバー係止手段として、前記シールドカバーの嵌合装着方向に沿って延設されて前記シールドカバーの上部に露出する前記パッケージ部の上端に摺接する上端位置決めリブと、前記シールドカバーの嵌合装着方向に沿って延設されて前記シールドカバーの下部に露出する前記パッケージ部の下端に摺接する下端位置決めリブと、が備えられ、
前記シールドカバーを介して前記ハウジングに装着された光モジュールの上下を、上端位置決めリブと下端位置決めリブとで位置決め固定することを特徴とする上記(1)に記載の光モジュールの固定構造。
【0025】
(3)前記上端位置決めリブ及び前記下端位置決めリブの内、少なくとも下端位置決めリブは、前記ハウジングのモジュール収容部の開口端付近まで延設されていることを特徴とする上記(2)に記載の光モジュールの固定構造。
【0026】
上記(1)の構成によれば、予め光モジュールのパッケージ部にシールドカバーを組み付けた後、このシールドカバーを光コネクタのハウジングに嵌合装着すると、ハウジングに装備されている側面位置決め突起がシールドカバーの切り抜き部を挿通して、シールドカバーに収容されている光モジュールのパッケージ部の両側面に当接する。これにより、光モジュールは、その両側面を側面位置決め突起により挟まれた形態に把持されて回り止めされる。この時、側面位置決め突起による把持位置は、光モジュールの光軸に対して、光モジュールの円筒部外周位置よりも離れているため、円筒部外周の幅の狭い切り欠き面で周り止めしていた従来の回り止め構造と比較すると、回り止め、及び振れ止めとしてより大きな規制力を発揮する。
【0027】
従って、光モジュールに対して、十分な規制力で回り止めを図ることができ、例えばプリント回路基板等への着脱の際に光モジュールに大きな外力が作用しても、光モジュールに光軸のずれを招くことのない安定した固定を行うことができる。
【0028】
また、光モジュールはシールドカバーと一緒にハウジングへ装着されるため、光モジュールをハウジングに装着する作業工程が1回で済み、作業性の向上を図ることもできる。
【0029】
更に、上記(1)の構成によれば、発光モジュールと受光モジュールとの一対の光モジュールが一つのシールドカバーに収容される形態の場合でも、一対の光モジュール間と一対の光モジュールの両外側の合計3カ所に側面位置決め突起を装備するだけで、各光モジュールの両側を位置決めすることができる。即ち、少数の側面位置決め突起により効率良く各光モジュールの両側部を位置決めすることができる。
【0030】
しかも、それぞれの側面位置決め突起は、光モジュールのリードフレームの大きさに関係なく、強度確保の上で必要な太さ等に設定することができる。
【0031】
従って、簡単な構造でありながら、光モジュールの両側をしっかりと固定することができ、プリント回路基板等への着脱の際に側方への振れや回動により光モジュールの光軸がずれることを防止する上で優れている。
【0032】
上記(2)の構成によれば、光コネクタのハウジングに装着された光モジュールは、両側がハウジングの側面位置決め突起により位置決めされると共に、上下が上端位置決めリブと下端位置決めリブとで位置決めされ、両側及び上下のそれぞれが固定された状態になる。
【0033】
従って、より強固に回り止めすることが可能になり、例えば、プリント回路基板等への着脱の際に光モジュールに大きな外力が作用しても、光モジュールに光軸のずれを招くことのない更に安定した固定を行うことが可能になる。
【0034】
しかも、光モジュールを位置規制する側面位置決め突起や、各位置決めリブは、いずれも、シールドカバーの嵌合装着方向に沿って延設すれば良く、延設方向が揃っているため、これらの側面位置決め突起や各位置決めリブがハウジングの成形時の型抜きを難しくすることがなく、ハウジングの成形を容易にする点でも優れている。
【0035】
上記(3)の構成によれば、シールドカバーをハウジングのモジュール収容部に挿入する際には、モジュール収容部の開口端付近まで延設されている下端位置決めリブにシールドカバー内のパッケージ部の下端を当てた状態でシールドカバーをモジュール収容部内に押し込むことで、シールドカバーを挿入する際の案内部として下端位置決めリブを活用することができる。
そのため、シールドカバーの嵌合装着作業を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明による光モジュールの固定構造によれば、光モジュールを収容したシールドカバーを光コネクタのハウジングに嵌合装着すると、ハウジングに装備されている側面位置決め突起がシールドカバーの切り抜き部を挿通して、シールドカバーに収容されている光モジュールのパッケージ部の両側面に当接する。そして、光モジュールの両側面を挟んでいる各側面位置決め突起が、回り止め、及び振れ止めとしてより大きな規制力を発揮する。
【0037】
従って、光モジュールに対して、十分な規制力で回り止めを図ることができ、例えばプリント回路基板等への着脱の際に光モジュールに大きな外力が作用しても、光モジュールに光軸のずれを招くことのない安定した固定を行うことができる。
【0038】
また、光モジュールはシールドカバーと一緒にハウジングへ装着するため、ハウジングへの組み付け工程が1回で済み、作業性の向上を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る光モジュールの固定構造の一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示したシールドカバーと光モジュールとの分解斜視図である。
【図3】図1に示したハウジングとシールドカバーとの嵌合装着操作を示す拡大斜視図である。
【図4】図1に示したハウジングのモジュール収容部と、シールドカバーとの正面図である。
【図5】図1に示したハウジングのモジュール収容部にシールドカバーを介して光モジュールが固定された状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る光モジュールの固定構造の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
図1は本発明に係る光モジュールの固定構造の一実施形態の分解斜視図、図2は図1に示したシールドカバーと光モジュールとの分解斜視図である。
【0042】
この一実施形態の光モジュールの固定構造は、一対の光モジュール1,3を、シールドカバー5を介して、光コネクタの樹脂製のハウジング7に固定する。
【0043】
図2に示すように、一対の光モジュール1,3は、いずれも、略直方体状のパッケージ部1a,3aから電気信号の入力部又は出力部となる複数本のリード1b,3bが延出した形態である。パッケージ部1a,3aには、光信号の出射部又は入射部となる円筒部1c,3cが設けられている。
【0044】
また、これらの光モジュール1,3は、パッケージ部1a,3aの両側に固定等に使用可能な穴を有したリードフレームが存在していないタイプの光モジュールである。
【0045】
一対の光モジュール1,3の内の一方は、パッケージ部に発光素子を内蔵した発光モジュールであり、他方はパッケージ部に受光素子を内蔵した受光モジュールである。
【0046】
シールドカバー5は、パッケージ部1a,3aの外周を囲う角筒状を成しており、上下は開放している。
【0047】
シールドカバー5は,一対のパッケージ部1a,3aを左右に並べた状態で収容して、発光モジュールと受光モジュールとを一つにパッケージ化した光トランシーバとして取り扱い可能にする。
【0048】
シールドカバー5は、光モジュール1,3の前面側を覆う前面壁5aと、光モジュール1,3の後面側を覆う後面壁5bと、これらの前面壁5aと後面壁5bとの両側縁を連結した両側壁5c,5cと、内部を二つの収容部5d,5dに区画する隔離壁5eとを備えた構成である。各収容部5d,5dは、上下を開放した筒状空間である。これらの収容部5d,5dに収容されたパッケージ部1a,3aは、それぞれの上面及び下面が、収容部5d,5dの開放端に露出する。
【0049】
シールドカバー5の前面壁5aには、各光モジュール1,3の円筒部1c,3cが嵌合する位置決め穴11が設けられている。
【0050】
位置決め穴11は、円筒部1c,3cが略緊密に嵌合するように、内径が設定されている。
【0051】
また、各収容部5d,5dは、円筒部1c,3cの外周が密着状態で嵌合するように、内法寸法が設定されている。
【0052】
シールドカバー5は、シールド性を持たせるために、導電性を有する金属薄板のプレス成形、あるいは導電性を有する合成樹脂材の射出成形により、所定寸法の角筒状に形成されている。
【0053】
本実施形態の光モジュールの固定構造では、光モジュール1,3を収容したシールドカバー5は、図3に示すように、ハウジング7の端部に開口するモジュール収容部15に挿入されて、モジュール収容部15に嵌合装着される。
【0054】
モジュール収容部15に対するシールドカバー5の嵌合装着方向(挿入方向)は、図3に示す矢印A方向である。この矢印A方向は、光モジュール1,3の光軸方向に平行である。
【0055】
本実施形態のハウジング7は、対向する両端にモジュール収容部15が装備されていて、図1に示すように、それぞれのモジュール収容部15に、光モジュール1,3を収容したシールドカバー5が嵌合装着される。
【0056】
シールドカバー5が嵌合装着されたハウジング7の両端部には、図1に示すように、収容したシールドカバー5の外側を覆うように、一対のシールドケース17が被嵌装着される。
【0057】
一対のシールドケース17は、導電性を有する金属薄板のプレス成形により形成されていて、プリント回路基板等に装着されたハウジング7の周囲を覆って、ハウジング7の周囲を電磁遮蔽する。
【0058】
本実施形態の場合、シールドカバー5には、図2及び図4に示すように、収容しているパッケージ部1a,3aの両側部の一部をハウジング7への嵌合装着方向に沿って露呈させる切り抜き部21を設けている。
【0059】
切り抜き部21は、シールドカバー5の下端縁の幅方向の両端と、幅方向の中間部である。幅方向の中間部は、隔離壁5eが装備されている位置である。この中間部の切り抜き部21には、一対のパッケージ部1a,3aの内側縁が露呈する。
【0060】
また、シールドカバー5は、収容したパッケージ部1a,3aの上端面の位置がシールドカバー5の上端縁23の位置に一致するか僅かに上方に突出するように、上端縁23の位置が設定されている。更に、シールドカバー5は、収容したパッケージ部1a,3aの下端面の位置がシールドカバー5の下端縁25の位置に一致するか僅かに下方に突出するように、下端縁の位置が設定されている。
【0061】
このようなシールドカバー5の高さ設定は、後述するハウジング7の上端位置決めリブや下端位置決めリブを、パッケージ部1a,3aの上端面や下端面に摺接させるためである。
【0062】
更に、シールドカバー5の両側壁5c,5cには、モジュール収容部15に嵌合装着したときに、モジュール収容部15に装備されている係合部27に係合して、抜け止めする羽状の弾性係止片29が装備されている。
【0063】
ハウジング7のモジュール収容部15には、図4に示すように、シールドカバー5の3箇所の切り抜き部21に対応する3箇所に、側面位置決め突起31が設けられている。
【0064】
各側面位置決め突起31は、シールドカバー5がモジュール収容部15に嵌合装着される時に、図5に示すように、シールドカバー5の切り抜き部21を挿通して各パッケージ部1a,3aの両側面に当接する。
【0065】
従って、ハウジング7に装着されたシールドカバー5及び光モジュール1,3は、その両側が側面位置決め突起31により挟持された状態に把持されて、幅方向に移動不可に固定される。
【0066】
また、ハウジング7のモジュール収容部15の天井部には、4本の上端位置決めリブ33が設けられている。
【0067】
これらの4本の上端位置決めリブ33相互は、シールドカバー5の幅方向(図4の矢印B方向)に離間して設けられている。また、各上端位置決めリブ33は、シールドカバー5の嵌合装着方向に沿って延設されている。
【0068】
4本の上端位置決めリブ33の内の2本は、一方のパッケージ部1aの上端面の位置決め用で、残る2本は、他方のパッケージ部3aの上端面の位置決め用である。
【0069】
各上端位置決めリブ33は、図5に示すように、モジュール収容部15に嵌合装着されたパッケージ部1a,3aの上端面に摺接して、各パッケージ部1a,3aの上端位置を規制する。
【0070】
更に、モジュール収容部15の底部側には、4本の下端位置決めリブ35が設けられている。
【0071】
これらの4本の下端位置決めリブ35相互は、シールドカバー5の幅方向(図4の矢印B方向)に離間して設けられている。また、各下端位置決めリブ35は、シールドカバー5の嵌合装着方向に沿って延設されている。
【0072】
4本の下端位置決めリブ35の内の2本は、一方のパッケージ部1aの下端面の位置決め用で、残る2本は、他方のパッケージ部3aの下端面の位置決め用である。
【0073】
各下端位置決めリブ35は、図5に示すように、モジュール収容部15に嵌合装着されたパッケージ部1a,3aの下端面に摺接して、各パッケージ部1a,3aの下端位置を規制する。
【0074】
更に、本実施形態の場合、下端位置決めリブ35は、図3にも示すように、先端がハウジングのモジュール収容部の開口端付近に到達するように、延設されている。
【0075】
以上の上端位置決めリブ33及び下端位置決めリブ35は、図5に示すように、モジュール収容部15に装着されたパッケージ部1a,3aの上下から挟んで、位置決め固定する。
【0076】
以上に説明した一実施形態の光モジュールの固定構造において、シールドカバー5に形成した各切り抜き部21、弾性係止片29、上下の開放部は、いずれも、シールドカバー5をハウジング7ハウジング7に連結するためのハウジング係合手段である。
【0077】
また、ハウジング7に装備した係合部27、側面位置決め突起31、上端位置決めリブ33、下端位置決めリブ35は、いずれも、シールドカバー5上のハウジング係合手段との係合によりシールドカバー5を固定するカバー係止手段である。
【0078】
以上に説明した一実施形態の光モジュールの固定構造では、予め光モジュール1,3のパッケージ部1a,3aにシールドカバー5を組み付けた後、このシールドカバー5を光コネクタのハウジング7に嵌合装着する。
【0079】
すると、ハウジング7に装備されている側面位置決め突起31がシールドカバー5の切り抜き部21を挿通して、シールドカバー5に収容されている光モジュール1,3のパッケージ部1a,3aの両側面に当接する。
【0080】
これにより、光モジュール1,3は、その両側面を側面位置決め突起31により挟まれた形態に把持されて回り止めされる。この時、側面位置決め突起31による把持位置は、光モジュール1,3の光軸に対して、光モジュール1,3の円筒部外周位置よりも離れているため、円筒部外周の幅の狭い切り欠き面で周り止めしていた従来の回り止め構造と比較すると、回り止め、及び振れ止めとしてより大きな規制力を発揮する。
【0081】
更に、モジュール収容部15に嵌合装着された各光モジュール1,3のパッケージ部1a,3aは、上下端面が上端位置決めリブ33と下端位置決めリブ35とで挟持されて、上下方向に対しても移動不可に固定される。
【0082】
そして、上端位置決めリブ33及び下端位置決めリブ35の装備位置も、光モジュール1,3の光軸に対して、光モジュール1,3の円筒部外周位置よりも離れているため、円筒部外周の幅の狭い切り欠き面で周り止めしていた従来の回り止め構造と比較すると、これらの上端位置決めリブ33及び下端位置決めリブ35が、回り止め、及び振れ止めとして、大きな規制力を発揮する。
【0083】
即ち、モジュール収容部15に装着された光モジュール1,3は、パッケージ部1a,3aの両側及び上下のそれぞれがしっかりと固定されて、より大きな規制力で回り止めされ、且つ、振れ止めが成される。
【0084】
更に、モジュール収容部15のシールドカバー5の挿入量が規定量に達すると、シールドカバー5の弾性係止片29がハウジング7側の係合部27に係合して、抜け止めも成される。
【0085】
従って、光モジュール1,3に対して、十分な規制力で回り止め、及び振れ止めを図ることができ、例えばプリント回路基板等への着脱の際に光モジュール1,3に大きな外力が作用しても、光モジュール1,3に光軸のずれを招くことのない安定した固定を行うことができる。
【0086】
また、光モジュール1,3はシールドカバー5と一緒にハウジング7へ装着されるため、光モジュール1,3をハウジング7に装着する作業工程が1回で済み、作業性の向上を図ることもできる。
【0087】
更に、上記一実施形態の光モジュールの固定構造では、一対の光モジュール1,3が一つのシールドカバー5に収容される形態の場合でも、一対の光モジュール1,3間と一対の光モジュール1,3の両外側の合計3カ所に側面位置決め突起31を装備するだけで、各光モジュール1,3の両側を位置決めすることができる。即ち、少数の側面位置決め突起31により効率良く各光モジュール1,3の両側部を位置決めすることができる。
【0088】
しかも、それぞれの側面位置決め突起31は、光モジュール1,3のリードフレームの大きさに関係なく、強度確保の上で必要な太さ等に設定することができる。
【0089】
従って、簡単な構造でありながら、光モジュール1,3の両側をしっかりと固定することができ、プリント回路基板等への着脱の際に側方への振れや回動により光モジュール1,3の光軸がずれることを防止する上で優れている。
【0090】
しかも、光モジュール1,3を位置規制する側面位置決め突起31や、各位置決めリブは、いずれも、シールドカバー5の嵌合装着方向に沿って延設すれば良く、延設方向が揃っているため、これらの側面位置決め突起31や各位置決めリブ33,35がハウジング7の成形時の型抜きを難しくすることがなく、ハウジング7の成形を容易にする点でも優れている。
【0091】
更に、本実施形態では、下端位置決めリブ35は、ハウジング7のモジュール収容部15の開口端付近まで延設されている。
【0092】
そのため、シールドカバー5をハウジング7のモジュール収容部15に挿入する際には、下端位置決めリブ35にシールドカバー5内のパッケージ部1a,3aの下端を当てた状態でシールドカバー5をモジュール収容部15内に押し込むことで、シールドカバー5を挿入する際の案内部として下端位置決めリブ35を活用することができる。
そのため、シールドカバー5の嵌合装着作業を容易にすることができる。
【0093】
なお、シールドカバー5に装備されている弾性係止片29は、ハウジング7側の係合部27との係合構造によっては、抜け止めとしてだけでなく、上下方向の移動を規制する位置規制手段として機能させることもできる。
【0094】
そして、弾性係止片29を位置規制手段として機能させることができ、且つ、シールドカバー5が円筒部1c,3cとの係合等によりパッケージ部1a,3aを上下方向に相対移動不可にしっかりと保持している場合には、上記実施形態に示した上端位置決めリブ33や下端位置決めリブ35を省略することも可能である。
【0095】
さらに、本実施形態では、モジュール収容部15に装備する上端位置決めリブ33と下端位置決めリブ35の内、下端位置決めリブ35のみをモジュール収容部15の開口端付近まで延設した構成とした。
【0096】
しかし、上端位置決めリブ33も、下端位置決めリブ35と同様にモジュール収容部15の開口端付近まで延設した構成としても良い。
【0097】
なお、各位置決めリブ33,35の先端部、及び側面位置決め突起31の先端部には、シールドカバー5を挿入し易くするためのテーパを設けるようにしても良い。
【0098】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0099】
1 光モジュール
1a パッケージ部
1b リード
1c 円筒部
3 光モジュール
3a パッケージ部
3b リード
3c 円筒部
5 シールドカバー
5a 前面壁
5c 側壁
5d 収容部
5e 隔離壁
7 ハウジング
11 位置決め穴
15 モジュール収容部
17 シールドケース
21 切り抜き部(ハウジング係合手段)
23 上端縁
25 下端縁
27 係合部(カバー係止手段)
29 弾性係止片(ハウジング係合手段)
31 側面位置決め突起
33 上端位置決めリブ(カバー係止手段)
35 下端位置決めリブ(カバー係止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光モジュールのパッケージ部の外周を囲うシールドカバーに形成されたハウジング係合手段と、光コネクタのハウジングに装備されて前記ハウジング係合手段との係合により前記シールドカバーを固定するカバー係止手段とから構成され、
前記シールドカバーを介して前記光モジュールを前記ハウジングに固定する光モジュールの固定構造であって、
前記シールドカバーに収容されているパッケージ部の両側部の一部を前記ハウジングへの嵌合装着方向に沿って露呈させるように前記シールドカバーに形成された前記ハウジング係合手段としての複数の切り抜き部と、
前記ハウジングへの前記シールドカバーの嵌合装着時に、前記切り抜き部を挿通して前記パッケージ部の両側面に当接するように前記ハウジングに装備された前記カバー係止手段としての複数の側面位置決め突起と、を備え、
前記シールドカバーを介して前記ハウジングに装着された光モジュールの両側を、前記側面位置決め突起により位置決め固定することを特徴とする光モジュールの固定構造。
【請求項2】
前記ハウジングには、前記カバー係止手段として、前記シールドカバーの嵌合装着方向に沿って延設されて前記シールドカバーの上部に露出する前記パッケージ部の上端に摺接する上端位置決めリブと、前記シールドカバーの嵌合装着方向に沿って延設されて前記シールドカバーの下部に露出する前記パッケージ部の下端に摺接する下端位置決めリブと、が備えられ、
前記シールドカバーを介して前記ハウジングに装着された光モジュールの上下を、上端位置決めリブと下端位置決めリブとで位置決め固定することを特徴とする請求項1に記載の光モジュールの固定構造。
【請求項3】
前記上端位置決めリブ及び前記下端位置決めリブの内、少なくとも下端位置決めリブは、前記ハウジングのモジュール収容部の開口端付近まで延設されていることを特徴とする請求項2に記載の光モジュールの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−59183(P2011−59183A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205960(P2009−205960)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】