光伝送システム、光送信装置および光受信装置
【課題】偏波依存性による伝送品質の劣化の抑圧を図る。
【解決手段】光伝送システムは、光送信装置と光受信装置を備える。光送信装置は、偏波制御部および受信部を含む。偏波制御部は、信号光の偏波に対して、通知されたモニタ結果にもとづいて、光受信装置の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数を可変制御して、偏波状態を変化させる。受信部は、通知された信号光の伝送品質のモニタ結果を受信する。光受信装置は、モニタ制御部を有し、モニタ制御部は、モニタ部および通知部を含む。モニタ部は、受信した信号光の伝送品質をモニタする。通知部は、モニタ結果を光送信装置へ通知する。
【解決手段】光伝送システムは、光送信装置と光受信装置を備える。光送信装置は、偏波制御部および受信部を含む。偏波制御部は、信号光の偏波に対して、通知されたモニタ結果にもとづいて、光受信装置の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数を可変制御して、偏波状態を変化させる。受信部は、通知された信号光の伝送品質のモニタ結果を受信する。光受信装置は、モニタ制御部を有し、モニタ制御部は、モニタ部および通知部を含む。モニタ部は、受信した信号光の伝送品質をモニタする。通知部は、モニタ結果を光送信装置へ通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送を行う光伝送システム、光送信を行う光送信装置および光受信を行う光受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光のパラメータには、波長と強度以外に、光の電界の向きと電界の時間変化とを表す偏波がある。光通信ネットワークでは、信号光が光ファイバ伝送路を伝搬する際に、温度等の環境条件、外部からの応力などにより、この偏波の状態が常に変化している。また、光ファイバ伝送路や光増幅器は、偏波依存性を有しており、偏波依存性によって伝送特性が劣化することが知られている。
【0003】
偏波依存性は、主に偏波依存性利得(PDG:Polarization Dependence Gain)および偏波依存性損失(PDL:Polarization Dependence Loss)に起因し、光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal to Noise Ratio)やQ値等を劣化させる。
【0004】
このような偏波依存性利得および偏波依存性損失による影響を低減させるための技術として、送信側で信号光の偏波状態を積極的に変化させて無偏光状態(電場がすべての方向に均一に分布している状態)にする偏波スクランブラが提案されている。
【0005】
偏波スクランブラによって、信号光の偏波をスクランブルし、偏光状態がランダムになった信号光を送信することで、偏波依存性利得および偏波依存性損失によって生じる伝送品質の劣化を低減している。
【0006】
従来技術として、偏波スクランブラを利用した光伝送技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−196523号公報
【特許文献2】特開平9−149006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の偏波スクランブラでは、通常、スクランブル周波数(偏波を回転させる周波数)は、数百kHz〜1MHzであり、このようなスクランブル周波数で偏波状態をランダム化していた。
【0009】
一方、近年になって、大容量・長距離伝送を実現するための技術として、コヒーレント受信技術(Coherent Receiver Technology)が注目されており、コヒーレント受信を適用した光伝送システムの構築が進められている。
【0010】
この場合、例えば、伝送速度が10Gbps以下の既存の光伝送システムは、偏波依存性利得および偏波依存性損失が大きいが、このような既存システムにコヒーレント受信を適用した装置でアップグレードしようとしても、従来の偏波スクランブラを適用することができなかった。
【0011】
コヒーレント受信の偏波追従性は、数十kHz程度なので、従来の偏波スクランブラのスクランブル周波数(数百kHz〜1MHz)では、コヒーレント受信の偏波追従性の周波数を超えてしまうからである。偏波スクランブラを適用することができないと、偏波依存性利得および偏波依存性損失による偏波依存性の影響が出てしまい、伝送品質の劣化を増加させてしまう。
【0012】
このため、既存の光伝送システムに対して、コヒーレント受信のような限定された偏波追従性を持つ光受信装置を適用した場合であっても、偏波依存性利得および偏波依存性損失といった偏波依存性によって生じる伝送品質の劣化を効率よく抑圧する技術が要望されている。
【0013】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、偏波追従性が限定された光受信装置を用いた場合であっても、偏波依存性による伝送品質の劣化の抑圧を図った光伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、光伝送システムが提供される。光伝送システムは、通知されたモニタ結果にもとづいて、受信側の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で、信号光の偏波状態を変化させて送信する偏波制御部を含む光送信装置と、受信した前記信号光の伝送品質をモニタし、前記モニタ結果を前記光送信装置へ通知するモニタ制御部を含む光受信装置とを有する。
【発明の効果】
【0015】
偏波依存性による伝送品質の劣化の抑圧を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光伝送システムの構成例を示す図である。
【図2】光伝送システムの構成例を示す図である。
【図3】光伝送システムの構成例を示す図である。
【図4】ディジタル信号処理部の構成例を示す図である。
【図5】偏波制御部の構成例を示す図である。
【図6】スクランブル周波数と制御電圧との関係を示す図である。
【図7】スクランブル周波数の可変設定動作を示すフローチャートである。
【図8】偏波依存性利得の周波数特性を示す図である。
【図9】偏波追従性の周波数特性を示す図である。
【図10】高調波の周波数成分の抑圧効果を示す図である。
【図11】スクランブル周波数の周波数特性を示す図である。
【図12】スクランブル周波数の最適値を求める動作を説明するための図である。
【図13】光伝送装置の構成例を示す図である。
【図14】光伝送装置の構成例を示す図である。
【図15】光伝送装置の構成例を示す図である。
【図16】光伝送システムの構成例を示す図である。
【図17】光伝送システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は光伝送システムの構成例を示す図である。光伝送システム1は、光送信装置1aと光受信装置2aを備える。
光送信装置1aは、偏波制御部1a−1および受信部1a−2を含む。偏波制御部1a−1は、信号光の偏波に対して、通知されたモニタ結果が最適値になるように、光受信装置2aの偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数を可変制御して、偏波状態を変化させる。受信部1a−2は、通知された信号光の伝送品質のモニタ結果を受信する。
【0018】
光受信装置2aは、モニタ制御部20aを有し、モニタ制御部20aは、モニタ部2a−1および通知部2a−2を含む。モニタ部2a−1は、受信した信号光の伝送品質をモニタする。通知部2a−2は、モニタ結果を光送信装置1aへ通知する。
【0019】
このように、光伝送システム1では、受信した信号光の伝送品質のモニタ結果にもとづいて、偏波追従性の周波数の範囲内で、動作周波数を可変制御して偏波状態を変化させ、最適な偏波状態の信号光を送信する構成とした。
【0020】
これにより、偏波追従性が限定された光受信装置2aに対しても、限定された偏波追従性の周波数の範囲内で設定した動作周波数で偏波制御を行うので、偏波依存性による伝送品質の劣化の抑圧を図ることが可能になる。
【0021】
次に偏波依存性利得および偏波依存性損失について説明する。偏波依存性利得は、信号光と直交する偏波の雑音が増大する現象であり、偏波ホールバーニング(PHB:Polarization Hole Burning)により引き起こされる。
【0022】
偏波ホールバーニングは、信号光を例えば、EDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)に入射した場合、信号光方向と、これと直交する方向とで、増幅率がわずかに異なるという現象である。この現象により、具体的には、信号光に対して直交する自然放出光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)がより大きく増幅することになる。
【0023】
また、偏波依存性損失は、伝送された信号光の偏波状態によって、光部品による挿入損失が変化する現象である。光部品としては、例えば、光中継器を構成する光アイソレータや光カプラ等が該当する。
【0024】
上記のような、偏波依存性利得によって、信号光と直交する偏波の雑音が増大し、偏波依存性損失によって、信号光パワーが変わるので強度変調された状態になり、OSNRの低下および揺らぎの増大を引き起こすことになる。
【0025】
このような偏波依存性利得および偏波依存性損失に対して、偏波スクランブラを用いることで、伝送品質の劣化を低減させることができる。すなわち、信号光の偏波をスクランブルして送信することで、偏波ホールバーニングを抑圧し、偏波依存性損失による強度変調を平均化することができる。
【0026】
次に偏波追従性が限定された受信機に対し、一般的な偏波スクランブラを適用する際の問題点について説明する。偏波追従性が限定された受信機としては、コヒーレント受信を行う受信機が考えられる。
【0027】
コヒーレント受信は、受信した光信号と、受信機内の局部発振光とをミキシングして、受信光信号の電界情報(光の位相および強度)を抽出し、光の電界情報を電気信号に変換した後に復調する受信技術である。
【0028】
また、コヒーレント受信においては、ディジタルコヒーレント受信が広く適用されている。ディジタルコヒーレント受信は、抽出した電界情報の電気信号を、A/Dコンバータで量子化してディジタル信号に変換し、ディジタル信号処理によって復調を行うものである。
【0029】
ディジタルコヒーレント受信方式は、直接検波受信方式や遅延検波受信方式に比べ、波長分散耐力や偏波モード分散耐力が良好なため、伝送容量の増大や伝送品質の改善が見込まれる。
【0030】
しかし、ディジタルコヒーレント受信において、偏波分離等の信号偏波の識別制御は、非常に高負荷な演算処理が求められるので、ディジタルコヒーレント受信の偏波追従性は、数十kHz程度である。
【0031】
このため、従来の偏波スクランブラのスクランブル周波数(数百kHz〜1MHz)と比べて、コヒーレント受信の偏波追従性の周波数は低く、従来の偏波スクランブラに追従することが困難であった。このため、一般的には、コヒーレント受信に対して、偏波スクランブラが適用されることはなかった。
【0032】
一方、偏波のスクランブル周波数と、受信機の受信帯域との関連性においても問題がある。これは、偏波をスクランブルすることで、偏波変調が偏波依存性損失によって強度変調変換されるが、その強度変調成分は、高調波成分を持っている。このため、高調波成分と信号光との相互位相変調または自己位相変調によって、位相雑音が増大するといったものである。したがって、スクランブル周波数が高くなると、位相雑音が受信機の帯域内に入り込み、特性劣化を引き起こすことになる。
【0033】
本技術はこのような点に鑑みてなされたものであり、偏波追従性が限定された光受信装置を用いた場合でも、偏波依存性による伝送品質の劣化の抑圧を図った光伝送システム、さらに該光伝送システムを構成する光送信装置および光受信装置を提供するものである。
【0034】
次にWDM(Wavelength Division Multiplexing)の波長多重化伝送を行ってディジタルコヒーレント受信を行うシステムに対して、光伝送システム1を適用した場合の構成について詳しく説明する。
【0035】
図2、図3は光伝送システムの構成例を示す図である。光伝送システム1−1は、光伝送装置10、20を備えて、双方向のWDM伝送を行うシステムである。光伝送装置10、20間は、光ファイバ伝送路F1、F2を通じて接続する。また、光ファイバ伝送路F1上には、光中継器3a−1〜3a−kが設けられ、光ファイバ伝送路F2上には、光中継器3b−1〜3b−kが設けられる。
【0036】
光伝送装置10は、送信部10s(光送信装置1aに対応)と、受信部10r(受信部1a−2に対応)とを含み、光伝送装置20は、送信部20sと、受信部20r(光受信装置2aに対応)とを含む。なお、送信部10sと送信部20sとは、同等の送信機能を有しており、受信部10rと受信部20rとは、同等の受信機能を有している。
【0037】
送信部10sは、光源11−1〜11−n、変調部12−1〜12−n、合波部13および偏波制御部14(偏波制御部1a−1に対応)を含む。光源11−1〜11−nは、互いに異なる波長λ1〜λnの光波を発出する。
【0038】
変調部12−1〜12−nは、光源11−1〜11−nから発出された搬送波である光波に対して、電気のベースバンド信号にもとづき、所定の変調処理を施して情報を重畳させ、波長λ1〜λnの信号光を生成する。
【0039】
合波部13は、波長λ1〜λnの信号光を合波して、波長多重化信号光(WDM信号光)を生成する。偏波制御部14は、与えられたモニタ情報にもとづいて、受信側でのモニタ結果が最適値となるように、スクランブル周波数を可変に設定する。そして、設定したスクランブル周波数で、WDM信号光の偏波状態を変化させて、偏波制御後のWDM信号光を、光ファイバ伝送路F1を介して送信する。
【0040】
光ファイバ伝送路F1上の光中継器3a−1〜3a−kは、WDM信号光の光中継処理を行う。受信部20rは、分波部21、局部発振光源(以下、局発光源)21−1〜21−n、コヒーレント検波部22−1〜22−n、O/E部23−1〜23−n、ディジタル信号処理部24−1〜24−nおよびモニタ部25を含む。なお、図1で示したモニタ部2a−1の機能はモニタ部25に含まれ、通知部2a−2の機能は、送信部20sに含まれる。
【0041】
分波部21は、光中継伝送されたWDM信号光を受信して、波長毎に分波して、波長λ1〜λnのn本の信号光を出力する。局発光源21−1〜21−nは、局部発振光(局発光)を出力する。
【0042】
コヒーレント検波部22−1は、局発光源21−1から発出された局発光と、波長λ1の信号光とをミキシングして、波長λ1の信号光の電界情報(光の位相および強度)を出力する。同様にして、コヒーレント検波部22−nは、局発光源21−nから発出された局発光と、波長λnの信号光とをミキシングして、波長λnの信号光の電界情報を出力する。
【0043】
O/E部23−1〜23−nは、コヒーレント検波部22−1〜22−nから送信されたそれぞれの電界情報をアナログの電気信号に変換する。ディジタル信号処理部24−1〜24−nは、電界情報を含むアナログ信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号処理によって、受信データの復調制御を行う。ディジタル信号処理部は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)を用いてもよい。
【0044】
モニタ部25は、ディジタル信号処理部24−1で識別された信号の伝送品質のモニタを行う。伝送品質としては、例えば、符号誤り率(BER(Bit Error Rate))やQ値などである。
【0045】
送信部20sは、上述の送信部10sと同様にして、逆方向の光送信を行う。送信部20sからの出力光は、光ファイバ伝送路F2上に配置された光中継器3b−1〜3b−kによって光中継伝送される。
【0046】
また、モニタ部25から出力されたモニタ情報も、対回線である光ファイバ伝送路F2を介して光伝送装置10へ送信される。モニタ情報は、信号光のオーバヘッドに重畳させて対向側へ送信される。または、OSC(Optical Supervisory Channel)信号などを利用して送信してもよい。
【0047】
なお、図3の例では、モニタ部25は、ディジタル信号処理部24−1で処理された信号の伝送品質のみをモニタしており、これについて説明する。スクランブル周波数の値は、主に、偏波依存性利得の特性(偏波ホールバーニングの応答特性)、受信部20rの偏波追従性および受信帯域に依存する(後述する)。
【0048】
これらの特性は、一般的には、信号光の波長依存性に大きく影響されるものではない。このため、上記の光伝送システム1−1は、特定の信号光1波で伝送品質をモニタする構成としたものである。
【0049】
したがって、波長依存性が伝送品質に発生しない場合には、1波の信号光の伝送品質をモニタして、このモニタ結果からWDM信号光の偏波制御(偏波スクランブル)を行うことにより、効率よく制御を行うことができる。
【0050】
図4はディジタル信号処理部の構成例を示す図である。ディジタル信号処理部24は、A/D部24a、波形歪み補償部24b、識別部24cおよび再生部24dを含む。
A/D部24aは、O/E部23−1〜23−nから出力された電界情報が重畳されているアナログ信号のA/D変換を行って量子化し、ディジタル信号に変換する。
【0051】
波形歪み補償部24bは、波長分散や偏波モード分散などの光ファイバ伝送路F1上の非線形効果によって受けた波形歪みをディジタル信号処理で補償する。識別部24cは、波形歪み補償後の信号の識別処理を行う。また、識別処理後の信号は、モニタ部25と再生部24dへ送信される。再生部24dは、識別後の信号から再生処理を行って、ベースバンド情報を抽出しデータ復調を行う。
【0052】
図5は偏波制御部の構成例を示す図である。偏波制御部14は、モニタ情報処理部14a、電圧発生部14bおよび偏波スクランブラ14cを含む。モニタ情報処理部14aは、対向する光伝送装置20から光ファイバ伝送路F2を通じて送信された信号光を受信する。そして、該信号光のオーバヘッドから、ファームウェア処理により、光伝送装置20のBERまたはQ値等の伝送品質のモニタ情報を取り出してデータ保存を行う。また、モニタ情報処理部14aでは、伝送品質が改善されたか否か等の認識処理も行う。
【0053】
電圧発生部14bは、モニタ情報に応じた制御電圧を発生する。偏波スクランブラ14cは、電圧発生部14bから印加された制御電圧にもとづいて、スクランブル周波数を可変し、可変設定したスクランブル周波数にもとづいて、WDM信号光の偏波状態を変化させて出力する。
【0054】
図6はスクランブル周波数と制御電圧との関係を示す図である。横軸は制御電圧、縦軸はスクランブル周波数である。図に示すように、制御電圧の値に応じて、スクランブル周波数の増減を可変することができる。
【0055】
次にモニタした伝送品質にもとづくスクランブル周波数の可変設定動作について、フローチャートを用いて説明する。図7はスクランブル周波数の可変設定動作を示すフローチャートである。
【0056】
〔S1〕偏波制御部14は、スクランブル周波数の初期値f0を設定する。
〔S2〕モニタ部25は、受信信号の伝送品質のモニタを行う。
〔S3〕偏波制御部14は、モニタされた伝送品質にもとづいて、スクランブル周波数を一定方向に可変設定する。この場合、初期値f0から一定方向にn回可変して設定したスクランブル周波数の値f1は、f1=f0+n×Δfと表せる。なお、nは可変設定回数を示し、Δfは初期値f0からの周波数変化分を示す。可変設定回数が1回目の場合は、f1=f0+Δfとなる。
【0057】
〔S4〕モニタ部25は、受信信号の伝送品質のモニタを行う。
〔S5〕偏波制御部14は、伝送品質が改善されたか否かを判断する。改善したと判断した場合はステップS3へ行き、改善しないと判断した場合はステップS6へ行く。
【0058】
なお、改善した場合は、n→n+1として、ステップS3による計算式でスクランブル周波数が計算される(同一方向にさらにΔf分、スクランブル周波数の値を動かすことになる)。
【0059】
〔S6〕偏波制御部14は、モニタされた伝送品質にもとづいて、スクランブル周波数を可変設定する。この場合、ステップS3とは逆方向に周波数値を動かして可変設定する。
【0060】
スクランブル周波数が、初期値f0から逆方向に可変していくときのスクランブル周波数の値をf2とすれば、f2=f1−n×Δfと表せる。
〔S7〕モニタ部25は、受信信号の伝送品質のモニタを行う。
【0061】
〔S8〕偏波制御部14は、伝送品質が改善されたか否かを判断する。改善したと判断した場合はステップS6へ行き、改善しないと判断した場合はステップS2へ戻る。なお、改善した場合は、n→n+1として、ステップS6による計算式でスクランブル周波数が計算される(同一逆方向に向けてさらにΔf分、スクランブル周波数の値を動かすことになる)。
【0062】
次にスクランブル周波数の初期値の求め方について説明する。スクランブル周波数の初期値は、偏波依存性利得の特性(偏波ホールバーニングの応答特性)、受信部20rの偏波追従性および受信帯域にもとづいて設定する。
【0063】
図8は偏波依存性利得の周波数特性を示す図である。グラフg1は、偏波依存性利得の周波数特性を示しており、横軸は周波数(Hz)、縦軸は抑圧効果(ゲイン)である(図中、10E+nは10のn乗を表す)。
【0064】
一般に、光増幅器の偏波依存性利得の発生原因である偏波ホールバーニングの偏波変動に対する応答周波数は10kHz程度である。したがって、スクランブル周波数を10kHzより高くすることで、一定のゲインを得ることができ、偏波依存性利得によるOSNRの低下、および偏波依存性損失による揺らぎの増大に対しても抑圧することができる。このため、偏波依存性利得に対する抑圧効果の周波数特性は、図8に示すようにハイパスフィルタの形状となる。
【0065】
図9は偏波追従性の周波数特性を示す図である。グラフg2は、ディジタル信号処理部24の偏波追従性の周波数特性を示しており、横軸は周波数(Hz)、縦軸はゲインである。
【0066】
ディジタルコヒーレント受信におけるディジタル信号処理部24の偏波追従性は、最大数十kHz程度である。このため、受信側において、送信側でスクランブルされた偏波変動に対応するためには、スクランブル周波数を数十kHzの周波数よりも低く送信側で設定することになる(数十kHzの周波数よりも低周波で偏波をスクランブルすれば、一定のゲインを得ることができて、ディジタル信号処理部24で正常に復調処理を行うことができる)。したがって、偏波追従性の周波数特性は、図9のようにローパスフィルタの形状となる。
【0067】
図10は高調波の周波数成分の抑圧効果を示す図である。グラフg3は、高調波の周波数成分の抑圧効果を示しており、横軸は周波数(Hz)、縦軸は抑圧効果(ゲイン)である。
【0068】
ディジタルコヒーレント受信の受信帯域は、バンドパスフィルタである。光ファイバ伝送路の偏波依存性損失による高調波成分(強度変調成分)を受信帯域外とするためには、高調波の周波数ができるだけ低い方が好ましい。したがって、受信帯域に対する高調波成分の抑圧効果の周波数特性は、図10に示すように、バンドパスフィルタの低周波側の形状を上下反転させた形状となる。
【0069】
上記のような、図8〜図10に示した周波数特性を足し合わせて、スクランブル周波数の初期値を求めることができる。図11はスクランブル周波数の周波数特性を示す図である。グラフg4は、図8〜図10を重ね合わせて得られる、スクランブル周波数の周波数特性を示しており、横軸は周波数(Hz)、縦軸はゲインである。
【0070】
図11に示すように、10kHz近辺のゲインが最も高くなっている。したがって、スクランブル周波数の初期値としては、10kHzを設定すればよいことがわかる。また、図11の周波数特性から、一定ゲインを得るための周波数可変範囲を見積もることもできる。
【0071】
次にスクランブル周波数の最適値を求めるときの動作について説明する。スクランブル周波数の初期値を設定した後、システム運用時には、受信側でモニタされた伝送品質にもとづいて、該システムに最適なスクランブル周波数を求めることになる。
【0072】
図12はスクランブル周波数の最適値を求める動作を説明するための図である。横軸はスクランブル周波数、縦軸はモニタ値(BER)である。
スクランブル周波数の初期値(f0=10kHz)において、受信側での伝送品質(BERとする)のモニタ値がBER0であったとする。偏波制御部14では、図7で示したフローチャートに従い、スクランブル周波数を初期値(f0)から高くしていくものとする。
【0073】
ここで、スクランブル周波数f1におけるモニタ値がBER1であったとする。この場合、BER1>BER0であるので、スクランブル周波数f1よりもスクランブル周波数f0の方が伝送品質は良いことになる。したがって、図7で示したフローチャートに従い、次の操作ではスクランブル周波数をf0から逆方向に低くしていくことになる。
【0074】
周波数操作後、スクランブル周波数f2におけるモニタ値がBER2(<BER0)であったとする。伝送品質は良くなっているので、さらにスクランブル周波数を低くする方向に制御する。ただし、この例では、さらに低くすると、BERが上昇して悪化していく。したがって、スクランブル周波数f2が最適値として求められる。
【0075】
なお、上記において、スクランブル周波数f0を超える周波数領域Cでは、BERが上昇しており、伝送品質が劣化していく。これは、受信機の偏波追従性不足および受信帯域が低いことによる影響と考えられる。
【0076】
また、スクランブル周波数f2からスクランブル周波数f0の間の周波数領域Bでは、BERが下降しており、伝送品質が良好状態になっている。これは、受信帯域よりも光ファイバ伝送路の偏波ホールバーニング周波数が低かった、または受信機の偏波追従性不足が解消された等が考えられる。
【0077】
さらに、スクランブル周波数f0を超えない周波数領域Aでは、BERが上昇しており、伝送品質が劣化していく。これは、光ファイバ伝送路の偏波ホールバーニング周波数よりも受信帯域が低いためであると考えられる。
【0078】
上記では、スクランブル周波数の最適値が初期値よりも低い場合の例を示したが、逆に、スクランブル周波数の最適値が初期値よりも高くなる場合は、受信機(光伝送装置20)の偏波追従性が良い、受信機の帯域が高いことが考えられる。
【0079】
このように、受信側の偏波追従性の周波数範囲の他に、さらに偏波依存性が抑圧される周波数範囲および偏波依存性による高調波成分を受信帯域外とする周波数範囲の少なくとも一方の範囲内でスクランブル周波数の可変設定を行う構成とした。これにより、偏波追従性が限定された光受信装置に対して、最適なスクランブル周波数を設定することが可能になる。
【0080】
次に変形例について説明する。上記では、伝送品質として、BERやQ値をモニタするものとしたが、第1の変形例では、誤り訂正の個数をモニタして、送信側へ誤り訂正個数を対回線で通知するものである。なお、以降の説明では、上述した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付けて、同じ動作の説明については省略する。
【0081】
図13は光伝送装置の構成例を示す図である。第1の変形例における光伝送装置20−1は、受信部20r−1と送信部20sを含む。受信部20r−1は、分波部21、局発光源21−1〜21−n、コヒーレント検波部22−1〜22−n、O/E部23−1〜23−n、ディジタル信号処理部24−1〜24−n、モニタ部25−1および誤り訂正部26−1〜26−nを含む。
【0082】
誤り訂正部26−1〜26−nはそれぞれ、ディジタル信号処理部24−1〜24−nで復調されたデータの誤り訂正を行い、誤り訂正した個数を保持する。モニタ部25−1は、誤り訂正部26−1で求められた誤り訂正の個数をモニタする。誤り訂正個数は、送信部20sによって、モニタ情報として送信側の光伝送装置10へ通知される。
【0083】
次に第2の変形例について説明する。第2の変形例では、伝送品質としてOSNRをモニタして、送信側へOSNRを対回線で通知するものである。
図14は光伝送装置の構成例を示す図である。第2の変形例における光伝送装置20−2は、受信部20r−2と送信部20sを含む。受信部20r−2は、分波部21、局発光源21−1〜21−n、コヒーレント検波部22−1〜22−n、O/E部23−1〜23−n、ディジタル信号処理部24−1〜24−n、モニタ部25−2および光カプラ27を含む。
【0084】
光カプラ27は、分波部21で分波された波長λ1の信号光を2分岐する。2分岐されたうちの一方の信号光は、コヒーレント検波部22−1へ送信され、他方の信号光は、モニタ部25−2へ送信される。モニタ部25−2は、光カプラ27から分岐出力された信号光のOSNRをモニタする。OSNRは、送信部20sによって、モニタ情報として送信側の光伝送装置10へ通知される。
【0085】
次に第3の変形例について説明する。上記では、ある特定の信号光1波の伝送品質のモニタ結果が最良となるようにスクランブル周波数を最適化した。しかし、WDM伝送システムにおいては、偏波スクランブル前の各信号光の偏波状態は一様ではないので、偏波スクランブル後でもスクランブル周期は同じではあるが、偏波状態は一様にはならない。
【0086】
また、光中継器の偏波依存性損失や光ファイバ伝送路上の偏波モード分散も波長依存性がある。したがって、これらの波長依存性が大きいシステムでは、伝送品質にも波長依存性が発生してしまう。
【0087】
そこで、第3の変形例では、伝送品質の波長依存性を抑圧するため、全波長の全信号光の伝送品質のモニタを行い、その平均値を計算し、送信側へ平均値の計算結果を対回線で通知するものである。
【0088】
図15は光伝送装置の構成例を示す図である。第3の変形例における光伝送装置20−3は、受信部20r−3と送信部20sを含む。受信部20r−3は、分波部21、局発光源21−1〜21−n、コヒーレント検波部22−1〜22−n、O/E部23−1〜23−n、ディジタル信号処理部24−1〜24−nおよびモニタ部25−3を含む。
【0089】
モニタ部25−3は、ディジタル信号処理部24−1〜24−nで識別された全信号の伝送品質のモニタを行う。伝送品質としては、例えば、BERやQ値などである。そして、モニタしたn個の伝送品質の値の平均値をとる。この平均値は、送信部20sによって、モニタ情報として送信側の光伝送装置10へ通知される。
【0090】
このように、波長依存性が伝送品質に発生する場合には、受信側において、全波長の全信号光の伝送品質のモニタを行い、その平均値を計算し、平均値にもとづいてWDM信号光の偏波制御を行う構成とした。これにより、波長依存性に適応した偏波制御を行うことが可能になり、さらに伝送品質の向上を図ることが可能になる。
【0091】
次に第4の変形例について説明する。第4の変形例では、伝送品質の波長依存性が大きい場合に、受信側では、全波長の全信号光の伝送品質の複数のモニタ結果を通知し、送信側では、各信号光に偏波制御部をそれぞれ配置して、波長単位に偏波制御を行うものである。
【0092】
図16、図17は光伝送システムの構成例を示す図である。第4の変形例における光伝送システム1−2は、光伝送装置10−4、20−4を備えて、双方向のWDM伝送を行うシステムである。
【0093】
光伝送装置10−4、20−4間は、光ファイバ伝送路F1、F2を通じて接続する。また、光ファイバ伝送路F1上には、光中継器3a−1〜3a−kが設けられ、光ファイバ伝送路F2上には、光中継器3b−1〜3b−kが設けられる。
【0094】
光伝送装置10−4は、送信部10s−4および受信部10r−4を含む。送信部10s−4は、光源11−1〜11−n、変調部12−1〜12−n、合波部13−4および偏波制御部14−1〜14−nを含む。
【0095】
偏波制御部14−1〜14−nそれぞれは、与えられた個々のモニタ情報にもとづいて、受信側でのモニタ結果が最適値となるように、スクランブル周波数を可変に設定する。そして、設定したスクランブル周波数で、波長λ1〜λnの信号光の偏波状態をそれぞれ変化させて出力する。合波部13−4は、偏波制御後の波長λ1〜λnの信号光を合波して、WDM信号光を生成する。
【0096】
光伝送装置20−4は、受信部20r−4と送信部20sを含む。受信部20r−4は、分波部21、局発光源21−1〜21−n、コヒーレント検波部22−1〜22−n、O/E部23−1〜23−n、ディジタル信号処理部24−1〜24−nおよびモニタ部25−4を含む。
【0097】
モニタ部25−4は、ディジタル信号処理部24−1〜24−nで識別された全信号の伝送品質のモニタを行う。伝送品質としては、例えば、BERやQ値などである。そして、n個のモニタ値は、送信部20sによって、モニタ情報として送信側の光伝送装置10−4へ通知される。
【0098】
このように、波長依存性が伝送品質に発生する場合には、受信側において、全波長の全信号光の伝送品質のモニタを行って、全波長分のモニタ値を通知し、通知されたモニタ値にもとづいて波長毎に偏波制御を行う構成とした。これにより、波長依存性に適応した偏波制御を行うことが可能になり、さらに伝送品質の向上を図ることが可能になる。
【0099】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。
(付記1) 通知されたモニタ結果にもとづいて、受信側の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で、信号光の偏波状態を変化させて送信する偏波制御部を含む光送信装置と、
受信した前記信号光の伝送品質をモニタし、前記モニタ結果を前記光送信装置へ通知するモニタ制御部を含む光受信装置と、
を有することを特徴とする光伝送システム。
【0100】
(付記2) 前記偏波制御部は、前記偏波追従性の周波数範囲の他に、さらに偏波依存性が抑圧される周波数範囲および偏波依存性による高調波成分を受信帯域外とする周波数範囲の少なくとも一方の範囲内で前記動作周波数の可変設定を行うことを特徴とする付記1記載の光伝送システム。
【0101】
(付記3) 前記光送信装置は、波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生しない場合には、
前記モニタ制御部は、1波の前記信号光の前記伝送品質をモニタして、1波の前記信号光のモニタ結果を前記光送信装置へ通知し、前記偏波制御部は、前記モニタ結果にもとづいて、前記波長多重化信号光の偏波状態を変化させる、
ことを特徴とする付記1記載の光伝送システム。
【0102】
(付記4) 前記光送信装置は、波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、
前記モニタ制御部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質をそれぞれモニタして平均値を算出し、前記平均値をモニタ結果として前記光送信装置へ通知し、前記偏波制御部は、前記モニタ結果にもとづいて、前記波長多重化信号光の偏波状態を変化させる、
ことを特徴とする付記1記載の光伝送システム。
【0103】
(付記5) 前記光送信装置は、波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、
前記モニタ制御部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質をそれぞれモニタして、各波長の前記信号光の複数のモニタ結果を前記光送信装置へ通知し、前記偏波制御部は、前記モニタ結果にもとづいて、波長多重化前の各波長の前記信号光毎の偏波状態を変化させる、
ことを特徴とする付記1記載の光伝送システム。
【0104】
(付記6) 通知された信号光の伝送品質のモニタ結果を受信する受信部と、
前記モニタ結果にもとづいて、受信側の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で、前記信号光の偏波状態を変化させて送信する偏波制御部と、
を有することを特徴とする光送信装置。
【0105】
(付記7) 前記偏波制御部は、前記偏波追従性の周波数範囲の他に、さらに偏波依存性が抑圧される周波数範囲および偏波依存性による高調波成分を受信帯域外とする周波数範囲の少なくとも一方の範囲内で前記動作周波数の可変設定を行うことを特徴とする付記6記載の光送信装置。
【0106】
(付記8) 波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生しない場合には、前記偏波制御部は、1波の前記信号光の前記伝送品質がモニタされた前記モニタ結果にもとづいて、前記波長多重化信号光の偏波状態を変化させることを特徴とする付記6記載の光送信装置。
【0107】
(付記9) 波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、前記偏波制御部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質がそれぞれモニタされて算出された平均値である前記モニタ結果にもとづいて、前記波長多重化信号光の偏波状態を変化させることを特徴とする付記6記載の光送信装置。
【0108】
(付記10) 波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、前記偏波制御部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質がそれぞれモニタされた複数の前記モニタ結果にもとづいて、波長多重化前の各波長の前記信号光毎の偏波状態を変化させることを特徴とする付記6記載の光送信装置。
【0109】
(付記11) 自己の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で偏波状態が制御された信号光の伝送品質をモニタするモニタ部と、
モニタ結果を通知する通知部と、
を有することを特徴とする光受信装置。
【0110】
(付記12) 前記モニタ部は、前記偏波追従性の周波数範囲の他に、さらに偏波依存性が抑圧される周波数範囲および偏波依存性による高調波成分を受信帯域外とする周波数範囲の少なくとも一方の範囲内の前記動作周波数で偏波状態が制御された信号光の伝送品質をモニタすることを特徴とする付記11記載の光受信装置。
【0111】
(付記13) 送信側から波長多重化信号光が送信されて、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生しない場合には、前記モニタ部は、1波の前記信号光の前記伝送品質をモニタし、前記通知部は、1波の前記信号光のモニタ結果を前記送信側へ通知することを特徴とする付記11記載の光受信装置。
【0112】
(付記14) 送信側から波長多重化信号光が送信されて、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、前記モニタ部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質をそれぞれモニタして平均値を算出し、前記通知部は、前記平均値をモニタ結果として前記送信側へ通知することを特徴とする付記11記載の光受信装置。
【0113】
(付記15) 送信側から波長多重化信号光が送信されて、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、前記モニタ部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質をそれぞれモニタし、前記通知部は、各波長の前記信号光の複数のモニタ結果を前記送信側へ通知することを特徴とする付記11記載の光受信装置。
【符号の説明】
【0114】
1 光伝送システム
1a 光送信装置
1a−1 偏波制御部
1a−2 受信部
2a 光受信装置
20a モニタ制御部
2a−1 モニタ部
2a−2 通知部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送を行う光伝送システム、光送信を行う光送信装置および光受信を行う光受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光のパラメータには、波長と強度以外に、光の電界の向きと電界の時間変化とを表す偏波がある。光通信ネットワークでは、信号光が光ファイバ伝送路を伝搬する際に、温度等の環境条件、外部からの応力などにより、この偏波の状態が常に変化している。また、光ファイバ伝送路や光増幅器は、偏波依存性を有しており、偏波依存性によって伝送特性が劣化することが知られている。
【0003】
偏波依存性は、主に偏波依存性利得(PDG:Polarization Dependence Gain)および偏波依存性損失(PDL:Polarization Dependence Loss)に起因し、光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal to Noise Ratio)やQ値等を劣化させる。
【0004】
このような偏波依存性利得および偏波依存性損失による影響を低減させるための技術として、送信側で信号光の偏波状態を積極的に変化させて無偏光状態(電場がすべての方向に均一に分布している状態)にする偏波スクランブラが提案されている。
【0005】
偏波スクランブラによって、信号光の偏波をスクランブルし、偏光状態がランダムになった信号光を送信することで、偏波依存性利得および偏波依存性損失によって生じる伝送品質の劣化を低減している。
【0006】
従来技術として、偏波スクランブラを利用した光伝送技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−196523号公報
【特許文献2】特開平9−149006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の偏波スクランブラでは、通常、スクランブル周波数(偏波を回転させる周波数)は、数百kHz〜1MHzであり、このようなスクランブル周波数で偏波状態をランダム化していた。
【0009】
一方、近年になって、大容量・長距離伝送を実現するための技術として、コヒーレント受信技術(Coherent Receiver Technology)が注目されており、コヒーレント受信を適用した光伝送システムの構築が進められている。
【0010】
この場合、例えば、伝送速度が10Gbps以下の既存の光伝送システムは、偏波依存性利得および偏波依存性損失が大きいが、このような既存システムにコヒーレント受信を適用した装置でアップグレードしようとしても、従来の偏波スクランブラを適用することができなかった。
【0011】
コヒーレント受信の偏波追従性は、数十kHz程度なので、従来の偏波スクランブラのスクランブル周波数(数百kHz〜1MHz)では、コヒーレント受信の偏波追従性の周波数を超えてしまうからである。偏波スクランブラを適用することができないと、偏波依存性利得および偏波依存性損失による偏波依存性の影響が出てしまい、伝送品質の劣化を増加させてしまう。
【0012】
このため、既存の光伝送システムに対して、コヒーレント受信のような限定された偏波追従性を持つ光受信装置を適用した場合であっても、偏波依存性利得および偏波依存性損失といった偏波依存性によって生じる伝送品質の劣化を効率よく抑圧する技術が要望されている。
【0013】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、偏波追従性が限定された光受信装置を用いた場合であっても、偏波依存性による伝送品質の劣化の抑圧を図った光伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、光伝送システムが提供される。光伝送システムは、通知されたモニタ結果にもとづいて、受信側の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で、信号光の偏波状態を変化させて送信する偏波制御部を含む光送信装置と、受信した前記信号光の伝送品質をモニタし、前記モニタ結果を前記光送信装置へ通知するモニタ制御部を含む光受信装置とを有する。
【発明の効果】
【0015】
偏波依存性による伝送品質の劣化の抑圧を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光伝送システムの構成例を示す図である。
【図2】光伝送システムの構成例を示す図である。
【図3】光伝送システムの構成例を示す図である。
【図4】ディジタル信号処理部の構成例を示す図である。
【図5】偏波制御部の構成例を示す図である。
【図6】スクランブル周波数と制御電圧との関係を示す図である。
【図7】スクランブル周波数の可変設定動作を示すフローチャートである。
【図8】偏波依存性利得の周波数特性を示す図である。
【図9】偏波追従性の周波数特性を示す図である。
【図10】高調波の周波数成分の抑圧効果を示す図である。
【図11】スクランブル周波数の周波数特性を示す図である。
【図12】スクランブル周波数の最適値を求める動作を説明するための図である。
【図13】光伝送装置の構成例を示す図である。
【図14】光伝送装置の構成例を示す図である。
【図15】光伝送装置の構成例を示す図である。
【図16】光伝送システムの構成例を示す図である。
【図17】光伝送システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は光伝送システムの構成例を示す図である。光伝送システム1は、光送信装置1aと光受信装置2aを備える。
光送信装置1aは、偏波制御部1a−1および受信部1a−2を含む。偏波制御部1a−1は、信号光の偏波に対して、通知されたモニタ結果が最適値になるように、光受信装置2aの偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数を可変制御して、偏波状態を変化させる。受信部1a−2は、通知された信号光の伝送品質のモニタ結果を受信する。
【0018】
光受信装置2aは、モニタ制御部20aを有し、モニタ制御部20aは、モニタ部2a−1および通知部2a−2を含む。モニタ部2a−1は、受信した信号光の伝送品質をモニタする。通知部2a−2は、モニタ結果を光送信装置1aへ通知する。
【0019】
このように、光伝送システム1では、受信した信号光の伝送品質のモニタ結果にもとづいて、偏波追従性の周波数の範囲内で、動作周波数を可変制御して偏波状態を変化させ、最適な偏波状態の信号光を送信する構成とした。
【0020】
これにより、偏波追従性が限定された光受信装置2aに対しても、限定された偏波追従性の周波数の範囲内で設定した動作周波数で偏波制御を行うので、偏波依存性による伝送品質の劣化の抑圧を図ることが可能になる。
【0021】
次に偏波依存性利得および偏波依存性損失について説明する。偏波依存性利得は、信号光と直交する偏波の雑音が増大する現象であり、偏波ホールバーニング(PHB:Polarization Hole Burning)により引き起こされる。
【0022】
偏波ホールバーニングは、信号光を例えば、EDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)に入射した場合、信号光方向と、これと直交する方向とで、増幅率がわずかに異なるという現象である。この現象により、具体的には、信号光に対して直交する自然放出光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)がより大きく増幅することになる。
【0023】
また、偏波依存性損失は、伝送された信号光の偏波状態によって、光部品による挿入損失が変化する現象である。光部品としては、例えば、光中継器を構成する光アイソレータや光カプラ等が該当する。
【0024】
上記のような、偏波依存性利得によって、信号光と直交する偏波の雑音が増大し、偏波依存性損失によって、信号光パワーが変わるので強度変調された状態になり、OSNRの低下および揺らぎの増大を引き起こすことになる。
【0025】
このような偏波依存性利得および偏波依存性損失に対して、偏波スクランブラを用いることで、伝送品質の劣化を低減させることができる。すなわち、信号光の偏波をスクランブルして送信することで、偏波ホールバーニングを抑圧し、偏波依存性損失による強度変調を平均化することができる。
【0026】
次に偏波追従性が限定された受信機に対し、一般的な偏波スクランブラを適用する際の問題点について説明する。偏波追従性が限定された受信機としては、コヒーレント受信を行う受信機が考えられる。
【0027】
コヒーレント受信は、受信した光信号と、受信機内の局部発振光とをミキシングして、受信光信号の電界情報(光の位相および強度)を抽出し、光の電界情報を電気信号に変換した後に復調する受信技術である。
【0028】
また、コヒーレント受信においては、ディジタルコヒーレント受信が広く適用されている。ディジタルコヒーレント受信は、抽出した電界情報の電気信号を、A/Dコンバータで量子化してディジタル信号に変換し、ディジタル信号処理によって復調を行うものである。
【0029】
ディジタルコヒーレント受信方式は、直接検波受信方式や遅延検波受信方式に比べ、波長分散耐力や偏波モード分散耐力が良好なため、伝送容量の増大や伝送品質の改善が見込まれる。
【0030】
しかし、ディジタルコヒーレント受信において、偏波分離等の信号偏波の識別制御は、非常に高負荷な演算処理が求められるので、ディジタルコヒーレント受信の偏波追従性は、数十kHz程度である。
【0031】
このため、従来の偏波スクランブラのスクランブル周波数(数百kHz〜1MHz)と比べて、コヒーレント受信の偏波追従性の周波数は低く、従来の偏波スクランブラに追従することが困難であった。このため、一般的には、コヒーレント受信に対して、偏波スクランブラが適用されることはなかった。
【0032】
一方、偏波のスクランブル周波数と、受信機の受信帯域との関連性においても問題がある。これは、偏波をスクランブルすることで、偏波変調が偏波依存性損失によって強度変調変換されるが、その強度変調成分は、高調波成分を持っている。このため、高調波成分と信号光との相互位相変調または自己位相変調によって、位相雑音が増大するといったものである。したがって、スクランブル周波数が高くなると、位相雑音が受信機の帯域内に入り込み、特性劣化を引き起こすことになる。
【0033】
本技術はこのような点に鑑みてなされたものであり、偏波追従性が限定された光受信装置を用いた場合でも、偏波依存性による伝送品質の劣化の抑圧を図った光伝送システム、さらに該光伝送システムを構成する光送信装置および光受信装置を提供するものである。
【0034】
次にWDM(Wavelength Division Multiplexing)の波長多重化伝送を行ってディジタルコヒーレント受信を行うシステムに対して、光伝送システム1を適用した場合の構成について詳しく説明する。
【0035】
図2、図3は光伝送システムの構成例を示す図である。光伝送システム1−1は、光伝送装置10、20を備えて、双方向のWDM伝送を行うシステムである。光伝送装置10、20間は、光ファイバ伝送路F1、F2を通じて接続する。また、光ファイバ伝送路F1上には、光中継器3a−1〜3a−kが設けられ、光ファイバ伝送路F2上には、光中継器3b−1〜3b−kが設けられる。
【0036】
光伝送装置10は、送信部10s(光送信装置1aに対応)と、受信部10r(受信部1a−2に対応)とを含み、光伝送装置20は、送信部20sと、受信部20r(光受信装置2aに対応)とを含む。なお、送信部10sと送信部20sとは、同等の送信機能を有しており、受信部10rと受信部20rとは、同等の受信機能を有している。
【0037】
送信部10sは、光源11−1〜11−n、変調部12−1〜12−n、合波部13および偏波制御部14(偏波制御部1a−1に対応)を含む。光源11−1〜11−nは、互いに異なる波長λ1〜λnの光波を発出する。
【0038】
変調部12−1〜12−nは、光源11−1〜11−nから発出された搬送波である光波に対して、電気のベースバンド信号にもとづき、所定の変調処理を施して情報を重畳させ、波長λ1〜λnの信号光を生成する。
【0039】
合波部13は、波長λ1〜λnの信号光を合波して、波長多重化信号光(WDM信号光)を生成する。偏波制御部14は、与えられたモニタ情報にもとづいて、受信側でのモニタ結果が最適値となるように、スクランブル周波数を可変に設定する。そして、設定したスクランブル周波数で、WDM信号光の偏波状態を変化させて、偏波制御後のWDM信号光を、光ファイバ伝送路F1を介して送信する。
【0040】
光ファイバ伝送路F1上の光中継器3a−1〜3a−kは、WDM信号光の光中継処理を行う。受信部20rは、分波部21、局部発振光源(以下、局発光源)21−1〜21−n、コヒーレント検波部22−1〜22−n、O/E部23−1〜23−n、ディジタル信号処理部24−1〜24−nおよびモニタ部25を含む。なお、図1で示したモニタ部2a−1の機能はモニタ部25に含まれ、通知部2a−2の機能は、送信部20sに含まれる。
【0041】
分波部21は、光中継伝送されたWDM信号光を受信して、波長毎に分波して、波長λ1〜λnのn本の信号光を出力する。局発光源21−1〜21−nは、局部発振光(局発光)を出力する。
【0042】
コヒーレント検波部22−1は、局発光源21−1から発出された局発光と、波長λ1の信号光とをミキシングして、波長λ1の信号光の電界情報(光の位相および強度)を出力する。同様にして、コヒーレント検波部22−nは、局発光源21−nから発出された局発光と、波長λnの信号光とをミキシングして、波長λnの信号光の電界情報を出力する。
【0043】
O/E部23−1〜23−nは、コヒーレント検波部22−1〜22−nから送信されたそれぞれの電界情報をアナログの電気信号に変換する。ディジタル信号処理部24−1〜24−nは、電界情報を含むアナログ信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号処理によって、受信データの復調制御を行う。ディジタル信号処理部は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)を用いてもよい。
【0044】
モニタ部25は、ディジタル信号処理部24−1で識別された信号の伝送品質のモニタを行う。伝送品質としては、例えば、符号誤り率(BER(Bit Error Rate))やQ値などである。
【0045】
送信部20sは、上述の送信部10sと同様にして、逆方向の光送信を行う。送信部20sからの出力光は、光ファイバ伝送路F2上に配置された光中継器3b−1〜3b−kによって光中継伝送される。
【0046】
また、モニタ部25から出力されたモニタ情報も、対回線である光ファイバ伝送路F2を介して光伝送装置10へ送信される。モニタ情報は、信号光のオーバヘッドに重畳させて対向側へ送信される。または、OSC(Optical Supervisory Channel)信号などを利用して送信してもよい。
【0047】
なお、図3の例では、モニタ部25は、ディジタル信号処理部24−1で処理された信号の伝送品質のみをモニタしており、これについて説明する。スクランブル周波数の値は、主に、偏波依存性利得の特性(偏波ホールバーニングの応答特性)、受信部20rの偏波追従性および受信帯域に依存する(後述する)。
【0048】
これらの特性は、一般的には、信号光の波長依存性に大きく影響されるものではない。このため、上記の光伝送システム1−1は、特定の信号光1波で伝送品質をモニタする構成としたものである。
【0049】
したがって、波長依存性が伝送品質に発生しない場合には、1波の信号光の伝送品質をモニタして、このモニタ結果からWDM信号光の偏波制御(偏波スクランブル)を行うことにより、効率よく制御を行うことができる。
【0050】
図4はディジタル信号処理部の構成例を示す図である。ディジタル信号処理部24は、A/D部24a、波形歪み補償部24b、識別部24cおよび再生部24dを含む。
A/D部24aは、O/E部23−1〜23−nから出力された電界情報が重畳されているアナログ信号のA/D変換を行って量子化し、ディジタル信号に変換する。
【0051】
波形歪み補償部24bは、波長分散や偏波モード分散などの光ファイバ伝送路F1上の非線形効果によって受けた波形歪みをディジタル信号処理で補償する。識別部24cは、波形歪み補償後の信号の識別処理を行う。また、識別処理後の信号は、モニタ部25と再生部24dへ送信される。再生部24dは、識別後の信号から再生処理を行って、ベースバンド情報を抽出しデータ復調を行う。
【0052】
図5は偏波制御部の構成例を示す図である。偏波制御部14は、モニタ情報処理部14a、電圧発生部14bおよび偏波スクランブラ14cを含む。モニタ情報処理部14aは、対向する光伝送装置20から光ファイバ伝送路F2を通じて送信された信号光を受信する。そして、該信号光のオーバヘッドから、ファームウェア処理により、光伝送装置20のBERまたはQ値等の伝送品質のモニタ情報を取り出してデータ保存を行う。また、モニタ情報処理部14aでは、伝送品質が改善されたか否か等の認識処理も行う。
【0053】
電圧発生部14bは、モニタ情報に応じた制御電圧を発生する。偏波スクランブラ14cは、電圧発生部14bから印加された制御電圧にもとづいて、スクランブル周波数を可変し、可変設定したスクランブル周波数にもとづいて、WDM信号光の偏波状態を変化させて出力する。
【0054】
図6はスクランブル周波数と制御電圧との関係を示す図である。横軸は制御電圧、縦軸はスクランブル周波数である。図に示すように、制御電圧の値に応じて、スクランブル周波数の増減を可変することができる。
【0055】
次にモニタした伝送品質にもとづくスクランブル周波数の可変設定動作について、フローチャートを用いて説明する。図7はスクランブル周波数の可変設定動作を示すフローチャートである。
【0056】
〔S1〕偏波制御部14は、スクランブル周波数の初期値f0を設定する。
〔S2〕モニタ部25は、受信信号の伝送品質のモニタを行う。
〔S3〕偏波制御部14は、モニタされた伝送品質にもとづいて、スクランブル周波数を一定方向に可変設定する。この場合、初期値f0から一定方向にn回可変して設定したスクランブル周波数の値f1は、f1=f0+n×Δfと表せる。なお、nは可変設定回数を示し、Δfは初期値f0からの周波数変化分を示す。可変設定回数が1回目の場合は、f1=f0+Δfとなる。
【0057】
〔S4〕モニタ部25は、受信信号の伝送品質のモニタを行う。
〔S5〕偏波制御部14は、伝送品質が改善されたか否かを判断する。改善したと判断した場合はステップS3へ行き、改善しないと判断した場合はステップS6へ行く。
【0058】
なお、改善した場合は、n→n+1として、ステップS3による計算式でスクランブル周波数が計算される(同一方向にさらにΔf分、スクランブル周波数の値を動かすことになる)。
【0059】
〔S6〕偏波制御部14は、モニタされた伝送品質にもとづいて、スクランブル周波数を可変設定する。この場合、ステップS3とは逆方向に周波数値を動かして可変設定する。
【0060】
スクランブル周波数が、初期値f0から逆方向に可変していくときのスクランブル周波数の値をf2とすれば、f2=f1−n×Δfと表せる。
〔S7〕モニタ部25は、受信信号の伝送品質のモニタを行う。
【0061】
〔S8〕偏波制御部14は、伝送品質が改善されたか否かを判断する。改善したと判断した場合はステップS6へ行き、改善しないと判断した場合はステップS2へ戻る。なお、改善した場合は、n→n+1として、ステップS6による計算式でスクランブル周波数が計算される(同一逆方向に向けてさらにΔf分、スクランブル周波数の値を動かすことになる)。
【0062】
次にスクランブル周波数の初期値の求め方について説明する。スクランブル周波数の初期値は、偏波依存性利得の特性(偏波ホールバーニングの応答特性)、受信部20rの偏波追従性および受信帯域にもとづいて設定する。
【0063】
図8は偏波依存性利得の周波数特性を示す図である。グラフg1は、偏波依存性利得の周波数特性を示しており、横軸は周波数(Hz)、縦軸は抑圧効果(ゲイン)である(図中、10E+nは10のn乗を表す)。
【0064】
一般に、光増幅器の偏波依存性利得の発生原因である偏波ホールバーニングの偏波変動に対する応答周波数は10kHz程度である。したがって、スクランブル周波数を10kHzより高くすることで、一定のゲインを得ることができ、偏波依存性利得によるOSNRの低下、および偏波依存性損失による揺らぎの増大に対しても抑圧することができる。このため、偏波依存性利得に対する抑圧効果の周波数特性は、図8に示すようにハイパスフィルタの形状となる。
【0065】
図9は偏波追従性の周波数特性を示す図である。グラフg2は、ディジタル信号処理部24の偏波追従性の周波数特性を示しており、横軸は周波数(Hz)、縦軸はゲインである。
【0066】
ディジタルコヒーレント受信におけるディジタル信号処理部24の偏波追従性は、最大数十kHz程度である。このため、受信側において、送信側でスクランブルされた偏波変動に対応するためには、スクランブル周波数を数十kHzの周波数よりも低く送信側で設定することになる(数十kHzの周波数よりも低周波で偏波をスクランブルすれば、一定のゲインを得ることができて、ディジタル信号処理部24で正常に復調処理を行うことができる)。したがって、偏波追従性の周波数特性は、図9のようにローパスフィルタの形状となる。
【0067】
図10は高調波の周波数成分の抑圧効果を示す図である。グラフg3は、高調波の周波数成分の抑圧効果を示しており、横軸は周波数(Hz)、縦軸は抑圧効果(ゲイン)である。
【0068】
ディジタルコヒーレント受信の受信帯域は、バンドパスフィルタである。光ファイバ伝送路の偏波依存性損失による高調波成分(強度変調成分)を受信帯域外とするためには、高調波の周波数ができるだけ低い方が好ましい。したがって、受信帯域に対する高調波成分の抑圧効果の周波数特性は、図10に示すように、バンドパスフィルタの低周波側の形状を上下反転させた形状となる。
【0069】
上記のような、図8〜図10に示した周波数特性を足し合わせて、スクランブル周波数の初期値を求めることができる。図11はスクランブル周波数の周波数特性を示す図である。グラフg4は、図8〜図10を重ね合わせて得られる、スクランブル周波数の周波数特性を示しており、横軸は周波数(Hz)、縦軸はゲインである。
【0070】
図11に示すように、10kHz近辺のゲインが最も高くなっている。したがって、スクランブル周波数の初期値としては、10kHzを設定すればよいことがわかる。また、図11の周波数特性から、一定ゲインを得るための周波数可変範囲を見積もることもできる。
【0071】
次にスクランブル周波数の最適値を求めるときの動作について説明する。スクランブル周波数の初期値を設定した後、システム運用時には、受信側でモニタされた伝送品質にもとづいて、該システムに最適なスクランブル周波数を求めることになる。
【0072】
図12はスクランブル周波数の最適値を求める動作を説明するための図である。横軸はスクランブル周波数、縦軸はモニタ値(BER)である。
スクランブル周波数の初期値(f0=10kHz)において、受信側での伝送品質(BERとする)のモニタ値がBER0であったとする。偏波制御部14では、図7で示したフローチャートに従い、スクランブル周波数を初期値(f0)から高くしていくものとする。
【0073】
ここで、スクランブル周波数f1におけるモニタ値がBER1であったとする。この場合、BER1>BER0であるので、スクランブル周波数f1よりもスクランブル周波数f0の方が伝送品質は良いことになる。したがって、図7で示したフローチャートに従い、次の操作ではスクランブル周波数をf0から逆方向に低くしていくことになる。
【0074】
周波数操作後、スクランブル周波数f2におけるモニタ値がBER2(<BER0)であったとする。伝送品質は良くなっているので、さらにスクランブル周波数を低くする方向に制御する。ただし、この例では、さらに低くすると、BERが上昇して悪化していく。したがって、スクランブル周波数f2が最適値として求められる。
【0075】
なお、上記において、スクランブル周波数f0を超える周波数領域Cでは、BERが上昇しており、伝送品質が劣化していく。これは、受信機の偏波追従性不足および受信帯域が低いことによる影響と考えられる。
【0076】
また、スクランブル周波数f2からスクランブル周波数f0の間の周波数領域Bでは、BERが下降しており、伝送品質が良好状態になっている。これは、受信帯域よりも光ファイバ伝送路の偏波ホールバーニング周波数が低かった、または受信機の偏波追従性不足が解消された等が考えられる。
【0077】
さらに、スクランブル周波数f0を超えない周波数領域Aでは、BERが上昇しており、伝送品質が劣化していく。これは、光ファイバ伝送路の偏波ホールバーニング周波数よりも受信帯域が低いためであると考えられる。
【0078】
上記では、スクランブル周波数の最適値が初期値よりも低い場合の例を示したが、逆に、スクランブル周波数の最適値が初期値よりも高くなる場合は、受信機(光伝送装置20)の偏波追従性が良い、受信機の帯域が高いことが考えられる。
【0079】
このように、受信側の偏波追従性の周波数範囲の他に、さらに偏波依存性が抑圧される周波数範囲および偏波依存性による高調波成分を受信帯域外とする周波数範囲の少なくとも一方の範囲内でスクランブル周波数の可変設定を行う構成とした。これにより、偏波追従性が限定された光受信装置に対して、最適なスクランブル周波数を設定することが可能になる。
【0080】
次に変形例について説明する。上記では、伝送品質として、BERやQ値をモニタするものとしたが、第1の変形例では、誤り訂正の個数をモニタして、送信側へ誤り訂正個数を対回線で通知するものである。なお、以降の説明では、上述した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付けて、同じ動作の説明については省略する。
【0081】
図13は光伝送装置の構成例を示す図である。第1の変形例における光伝送装置20−1は、受信部20r−1と送信部20sを含む。受信部20r−1は、分波部21、局発光源21−1〜21−n、コヒーレント検波部22−1〜22−n、O/E部23−1〜23−n、ディジタル信号処理部24−1〜24−n、モニタ部25−1および誤り訂正部26−1〜26−nを含む。
【0082】
誤り訂正部26−1〜26−nはそれぞれ、ディジタル信号処理部24−1〜24−nで復調されたデータの誤り訂正を行い、誤り訂正した個数を保持する。モニタ部25−1は、誤り訂正部26−1で求められた誤り訂正の個数をモニタする。誤り訂正個数は、送信部20sによって、モニタ情報として送信側の光伝送装置10へ通知される。
【0083】
次に第2の変形例について説明する。第2の変形例では、伝送品質としてOSNRをモニタして、送信側へOSNRを対回線で通知するものである。
図14は光伝送装置の構成例を示す図である。第2の変形例における光伝送装置20−2は、受信部20r−2と送信部20sを含む。受信部20r−2は、分波部21、局発光源21−1〜21−n、コヒーレント検波部22−1〜22−n、O/E部23−1〜23−n、ディジタル信号処理部24−1〜24−n、モニタ部25−2および光カプラ27を含む。
【0084】
光カプラ27は、分波部21で分波された波長λ1の信号光を2分岐する。2分岐されたうちの一方の信号光は、コヒーレント検波部22−1へ送信され、他方の信号光は、モニタ部25−2へ送信される。モニタ部25−2は、光カプラ27から分岐出力された信号光のOSNRをモニタする。OSNRは、送信部20sによって、モニタ情報として送信側の光伝送装置10へ通知される。
【0085】
次に第3の変形例について説明する。上記では、ある特定の信号光1波の伝送品質のモニタ結果が最良となるようにスクランブル周波数を最適化した。しかし、WDM伝送システムにおいては、偏波スクランブル前の各信号光の偏波状態は一様ではないので、偏波スクランブル後でもスクランブル周期は同じではあるが、偏波状態は一様にはならない。
【0086】
また、光中継器の偏波依存性損失や光ファイバ伝送路上の偏波モード分散も波長依存性がある。したがって、これらの波長依存性が大きいシステムでは、伝送品質にも波長依存性が発生してしまう。
【0087】
そこで、第3の変形例では、伝送品質の波長依存性を抑圧するため、全波長の全信号光の伝送品質のモニタを行い、その平均値を計算し、送信側へ平均値の計算結果を対回線で通知するものである。
【0088】
図15は光伝送装置の構成例を示す図である。第3の変形例における光伝送装置20−3は、受信部20r−3と送信部20sを含む。受信部20r−3は、分波部21、局発光源21−1〜21−n、コヒーレント検波部22−1〜22−n、O/E部23−1〜23−n、ディジタル信号処理部24−1〜24−nおよびモニタ部25−3を含む。
【0089】
モニタ部25−3は、ディジタル信号処理部24−1〜24−nで識別された全信号の伝送品質のモニタを行う。伝送品質としては、例えば、BERやQ値などである。そして、モニタしたn個の伝送品質の値の平均値をとる。この平均値は、送信部20sによって、モニタ情報として送信側の光伝送装置10へ通知される。
【0090】
このように、波長依存性が伝送品質に発生する場合には、受信側において、全波長の全信号光の伝送品質のモニタを行い、その平均値を計算し、平均値にもとづいてWDM信号光の偏波制御を行う構成とした。これにより、波長依存性に適応した偏波制御を行うことが可能になり、さらに伝送品質の向上を図ることが可能になる。
【0091】
次に第4の変形例について説明する。第4の変形例では、伝送品質の波長依存性が大きい場合に、受信側では、全波長の全信号光の伝送品質の複数のモニタ結果を通知し、送信側では、各信号光に偏波制御部をそれぞれ配置して、波長単位に偏波制御を行うものである。
【0092】
図16、図17は光伝送システムの構成例を示す図である。第4の変形例における光伝送システム1−2は、光伝送装置10−4、20−4を備えて、双方向のWDM伝送を行うシステムである。
【0093】
光伝送装置10−4、20−4間は、光ファイバ伝送路F1、F2を通じて接続する。また、光ファイバ伝送路F1上には、光中継器3a−1〜3a−kが設けられ、光ファイバ伝送路F2上には、光中継器3b−1〜3b−kが設けられる。
【0094】
光伝送装置10−4は、送信部10s−4および受信部10r−4を含む。送信部10s−4は、光源11−1〜11−n、変調部12−1〜12−n、合波部13−4および偏波制御部14−1〜14−nを含む。
【0095】
偏波制御部14−1〜14−nそれぞれは、与えられた個々のモニタ情報にもとづいて、受信側でのモニタ結果が最適値となるように、スクランブル周波数を可変に設定する。そして、設定したスクランブル周波数で、波長λ1〜λnの信号光の偏波状態をそれぞれ変化させて出力する。合波部13−4は、偏波制御後の波長λ1〜λnの信号光を合波して、WDM信号光を生成する。
【0096】
光伝送装置20−4は、受信部20r−4と送信部20sを含む。受信部20r−4は、分波部21、局発光源21−1〜21−n、コヒーレント検波部22−1〜22−n、O/E部23−1〜23−n、ディジタル信号処理部24−1〜24−nおよびモニタ部25−4を含む。
【0097】
モニタ部25−4は、ディジタル信号処理部24−1〜24−nで識別された全信号の伝送品質のモニタを行う。伝送品質としては、例えば、BERやQ値などである。そして、n個のモニタ値は、送信部20sによって、モニタ情報として送信側の光伝送装置10−4へ通知される。
【0098】
このように、波長依存性が伝送品質に発生する場合には、受信側において、全波長の全信号光の伝送品質のモニタを行って、全波長分のモニタ値を通知し、通知されたモニタ値にもとづいて波長毎に偏波制御を行う構成とした。これにより、波長依存性に適応した偏波制御を行うことが可能になり、さらに伝送品質の向上を図ることが可能になる。
【0099】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。
(付記1) 通知されたモニタ結果にもとづいて、受信側の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で、信号光の偏波状態を変化させて送信する偏波制御部を含む光送信装置と、
受信した前記信号光の伝送品質をモニタし、前記モニタ結果を前記光送信装置へ通知するモニタ制御部を含む光受信装置と、
を有することを特徴とする光伝送システム。
【0100】
(付記2) 前記偏波制御部は、前記偏波追従性の周波数範囲の他に、さらに偏波依存性が抑圧される周波数範囲および偏波依存性による高調波成分を受信帯域外とする周波数範囲の少なくとも一方の範囲内で前記動作周波数の可変設定を行うことを特徴とする付記1記載の光伝送システム。
【0101】
(付記3) 前記光送信装置は、波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生しない場合には、
前記モニタ制御部は、1波の前記信号光の前記伝送品質をモニタして、1波の前記信号光のモニタ結果を前記光送信装置へ通知し、前記偏波制御部は、前記モニタ結果にもとづいて、前記波長多重化信号光の偏波状態を変化させる、
ことを特徴とする付記1記載の光伝送システム。
【0102】
(付記4) 前記光送信装置は、波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、
前記モニタ制御部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質をそれぞれモニタして平均値を算出し、前記平均値をモニタ結果として前記光送信装置へ通知し、前記偏波制御部は、前記モニタ結果にもとづいて、前記波長多重化信号光の偏波状態を変化させる、
ことを特徴とする付記1記載の光伝送システム。
【0103】
(付記5) 前記光送信装置は、波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、
前記モニタ制御部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質をそれぞれモニタして、各波長の前記信号光の複数のモニタ結果を前記光送信装置へ通知し、前記偏波制御部は、前記モニタ結果にもとづいて、波長多重化前の各波長の前記信号光毎の偏波状態を変化させる、
ことを特徴とする付記1記載の光伝送システム。
【0104】
(付記6) 通知された信号光の伝送品質のモニタ結果を受信する受信部と、
前記モニタ結果にもとづいて、受信側の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で、前記信号光の偏波状態を変化させて送信する偏波制御部と、
を有することを特徴とする光送信装置。
【0105】
(付記7) 前記偏波制御部は、前記偏波追従性の周波数範囲の他に、さらに偏波依存性が抑圧される周波数範囲および偏波依存性による高調波成分を受信帯域外とする周波数範囲の少なくとも一方の範囲内で前記動作周波数の可変設定を行うことを特徴とする付記6記載の光送信装置。
【0106】
(付記8) 波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生しない場合には、前記偏波制御部は、1波の前記信号光の前記伝送品質がモニタされた前記モニタ結果にもとづいて、前記波長多重化信号光の偏波状態を変化させることを特徴とする付記6記載の光送信装置。
【0107】
(付記9) 波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、前記偏波制御部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質がそれぞれモニタされて算出された平均値である前記モニタ結果にもとづいて、前記波長多重化信号光の偏波状態を変化させることを特徴とする付記6記載の光送信装置。
【0108】
(付記10) 波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、前記偏波制御部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質がそれぞれモニタされた複数の前記モニタ結果にもとづいて、波長多重化前の各波長の前記信号光毎の偏波状態を変化させることを特徴とする付記6記載の光送信装置。
【0109】
(付記11) 自己の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で偏波状態が制御された信号光の伝送品質をモニタするモニタ部と、
モニタ結果を通知する通知部と、
を有することを特徴とする光受信装置。
【0110】
(付記12) 前記モニタ部は、前記偏波追従性の周波数範囲の他に、さらに偏波依存性が抑圧される周波数範囲および偏波依存性による高調波成分を受信帯域外とする周波数範囲の少なくとも一方の範囲内の前記動作周波数で偏波状態が制御された信号光の伝送品質をモニタすることを特徴とする付記11記載の光受信装置。
【0111】
(付記13) 送信側から波長多重化信号光が送信されて、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生しない場合には、前記モニタ部は、1波の前記信号光の前記伝送品質をモニタし、前記通知部は、1波の前記信号光のモニタ結果を前記送信側へ通知することを特徴とする付記11記載の光受信装置。
【0112】
(付記14) 送信側から波長多重化信号光が送信されて、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、前記モニタ部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質をそれぞれモニタして平均値を算出し、前記通知部は、前記平均値をモニタ結果として前記送信側へ通知することを特徴とする付記11記載の光受信装置。
【0113】
(付記15) 送信側から波長多重化信号光が送信されて、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、前記モニタ部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質をそれぞれモニタし、前記通知部は、各波長の前記信号光の複数のモニタ結果を前記送信側へ通知することを特徴とする付記11記載の光受信装置。
【符号の説明】
【0114】
1 光伝送システム
1a 光送信装置
1a−1 偏波制御部
1a−2 受信部
2a 光受信装置
20a モニタ制御部
2a−1 モニタ部
2a−2 通知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通知されたモニタ結果にもとづいて、受信側の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で、信号光の偏波状態を変化させて送信する偏波制御部を含む光送信装置と、
受信した前記信号光の伝送品質をモニタし、前記モニタ結果を前記光送信装置へ通知するモニタ制御部を含む光受信装置と、
を有することを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
前記偏波制御部は、前記偏波追従性の周波数範囲の他に、さらに偏波依存性が抑圧される周波数範囲および偏波依存性による高調波成分を受信帯域外とする周波数範囲の少なくとも一方の範囲内で前記動作周波数の可変設定を行うことを特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
【請求項3】
前記光送信装置は、波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生しない場合には、
前記モニタ制御部は、1波の前記信号光の前記伝送品質をモニタして、1波の前記信号光のモニタ結果を前記光送信装置へ通知し、前記偏波制御部は、前記モニタ結果にもとづいて、前記波長多重化信号光の偏波状態を変化させる、
ことを特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
【請求項4】
前記光送信装置は、波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、
前記モニタ制御部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質をそれぞれモニタして平均値を算出し、前記平均値をモニタ結果として前記光送信装置へ通知し、前記偏波制御部は、前記モニタ結果にもとづいて、前記波長多重化信号光の偏波状態を変化させる、
ことを特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
【請求項5】
前記光送信装置は、波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、
前記モニタ制御部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質をそれぞれモニタして、各波長の前記信号光の複数のモニタ結果を前記光送信装置へ通知し、前記偏波制御部は、前記モニタ結果にもとづいて、波長多重化前の各波長の前記信号光毎の偏波状態を変化させる、
ことを特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
【請求項6】
通知された信号光の伝送品質のモニタ結果を受信する受信部と、
前記モニタ結果にもとづいて、受信側の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で、前記信号光の偏波状態を変化させて送信する偏波制御部と、
を有することを特徴とする光送信装置。
【請求項7】
自己の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で偏波状態が制御された信号光の伝送品質をモニタするモニタ部と、
モニタ結果を通知する通知部と、
を有することを特徴とする光受信装置。
【請求項1】
通知されたモニタ結果にもとづいて、受信側の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で、信号光の偏波状態を変化させて送信する偏波制御部を含む光送信装置と、
受信した前記信号光の伝送品質をモニタし、前記モニタ結果を前記光送信装置へ通知するモニタ制御部を含む光受信装置と、
を有することを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
前記偏波制御部は、前記偏波追従性の周波数範囲の他に、さらに偏波依存性が抑圧される周波数範囲および偏波依存性による高調波成分を受信帯域外とする周波数範囲の少なくとも一方の範囲内で前記動作周波数の可変設定を行うことを特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
【請求項3】
前記光送信装置は、波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生しない場合には、
前記モニタ制御部は、1波の前記信号光の前記伝送品質をモニタして、1波の前記信号光のモニタ結果を前記光送信装置へ通知し、前記偏波制御部は、前記モニタ結果にもとづいて、前記波長多重化信号光の偏波状態を変化させる、
ことを特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
【請求項4】
前記光送信装置は、波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、
前記モニタ制御部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質をそれぞれモニタして平均値を算出し、前記平均値をモニタ結果として前記光送信装置へ通知し、前記偏波制御部は、前記モニタ結果にもとづいて、前記波長多重化信号光の偏波状態を変化させる、
ことを特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
【請求項5】
前記光送信装置は、波長多重化信号光を生成して送信し、送受信間の波長多重化伝送による波長依存性が前記伝送品質に発生する場合には、
前記モニタ制御部は、各波長の前記信号光の前記伝送品質をそれぞれモニタして、各波長の前記信号光の複数のモニタ結果を前記光送信装置へ通知し、前記偏波制御部は、前記モニタ結果にもとづいて、波長多重化前の各波長の前記信号光毎の偏波状態を変化させる、
ことを特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
【請求項6】
通知された信号光の伝送品質のモニタ結果を受信する受信部と、
前記モニタ結果にもとづいて、受信側の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で、前記信号光の偏波状態を変化させて送信する偏波制御部と、
を有することを特徴とする光送信装置。
【請求項7】
自己の偏波追従性の周波数範囲内の動作周波数で偏波状態が制御された信号光の伝送品質をモニタするモニタ部と、
モニタ結果を通知する通知部と、
を有することを特徴とする光受信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−12834(P2013−12834A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143019(P2011−143019)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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