説明

光伝送システム、装置接続方法、光ファイバーケーブル及び接続アダプター

【課題】大容量のデータを安定して伝送でき、中間における着脱や延長を容易に行える使用時のフレキシビリティ性の高い光伝送システムを提供する。
【解決手段】本発明の光伝送システムは、第1及び第2の光ファイバーケーブル、延長用光ファイバーケーブル及び接続アダプターを有する。第1の光ファイバーケーブルは、電気信号を光信号に変換する電気−光信号変換回路及び変換された光信号を送出する送信回路を有する第1のコネクタと、その送信回路から送出される光信号を伝送する光ファイバーとを有する。第2の光ファイバーケーブルは、光信号を受信する受信回路及び受信した光信号を電気信号に変換して出力する光−電気信号変換回路を有する第2のコネクタと、光信号を受信しその受信回路に入射させる光ファイバーとを有する。第1及び第2の光ファイバーケーブルの間に必要に応じて延長用光ファイバーケーブルを介在させ、各ケーブルを接続アダプターにより順に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高精細で大画面の動画像等の大容量のデータを伝送する光伝送システム、そのようなデータを伝送可能に装置間を接続する装置接続方法、そのような光伝送システムに用いる光ファイバーケーブル及び接続アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大型プロジェクタ等の大型表示装置が広く使用されるようになっているが、そのような大型表示装置においては、走査線数が多い程高い映像品質が実現できる。また、2003年12月からデジタル・テレビ放送が開始され、HDTV(高品質デジタル・テレビ)が本格的な普及期を迎えようとしている。また、CATVの分野において、次第にオンデマンド放送が普及してきている。多忙な人々はオンデマンドな情報配信が好適であり、今後さらに普及する可能性が高い。このように、例えば走査線数2000本を越える超高精細映像を表示する装置への要求が高まりつつある時、必然的に重要になるのは、映像信号等の大容量のデータを安定して伝送するデータ伝送方式である。すなわち、これらの技術の市場普及の課題の中で重要で無視できないことは、最適な伝送方式、伝送ケーブルの選択である。
【0003】
従来、大容量のデータ伝送に使用するケーブルとしては、金属電線が使用した同軸ケーブルが広く用いられている。しかしながら、金属電線においては周波数と利得は相反し、また、電磁波を伴っているので放射や外乱がある。すなわち、金属電線を利用したケーブルを大容量のデータ伝送に使用する場合、周波数が高くなると放射率も高くなり伝送容量に限界が生じ好ましくない。
そのような問題を解決して大容量のデータ伝送を行うためには、光ファイバーが好適である。光ファイバーは、周波数が高くなっても電磁波の発生は無く、外部電磁波の影響を受けない。
【0004】
光ファイバーを使用する場合、そのファイバーの接続が重要となる。光信号の損失を少なくして長距離、安定して信号を伝送するためには、高精度な安定接続が必要となる。光ファイバーの接続には、通常、フェルール及びスリーブを有するアダプターが用いられる。前述したような大容量のデータの伝送に耐えうる程度に光ファイバーのコアのミスマッチを少なくし高精度に接続するためには、ISO(国際標準化機構)又はJIS(日本工業規格)のAクラス(最高精度レベル)で製造されたフェルールを採用して光ファイバーを接続する必要がある。そのフェルールに関しては、光ファイバーの軸整列性を維持しつつ多様な規格に対応できるフェルールや(例えば、特許文献1参照)、量産性を維持しつつも同軸性の高いフェルールを製造する方法(例えば、特許文献2参照)が開示されており、このようなフェルールあるいはその製造方法を適用することにより、適切に光ファイバーを接続できる。
【特許文献1】特開2002−365479号公報
【特許文献2】特開2003−156659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、光ファイバーを用いた伝送システム、インターフェイスシステムは、大容量のデータ伝送を行う場面において一層利用が期待されているが、これに伴って、適用形態、実際の使用形態においても、多種多様な形態が求められるようになってきた。また、より広範な条件での使用が求められている。
例えば、既存のDVIケーブル等を、そのまま光ファイバーケーブルに置き換えることにより、高精細で大画面の表示装置等に高速に大容量の映像データを送信したいという要望がある。また、そのような表示装置を接続するにあたり、光ファイバーケーブルの長さを自由に調節して、適切な状態で接続したいという要望がある。
これに対して、従来の光ファイバーケーブルにおいては、例えばその接続は難しい作業とされて容易にこれを行えるようなケーブルは無く、汎用的なインターフェイスにも適用可能で接続形態等のフレキシビリティの高いケーブルは無かった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、大容量のデジタルデータを安定して伝送することができ、装置との接続や中間における着脱や延長を容易に行えるようにすることにより、使用時のフレキシビリティ性の高い光伝送システム、及び、その光伝送システムに用いる光ファイバーケーブル及び接続アダプターを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、大容量のデジタルデータを安定して伝送することができ、中間における着脱や延長を容易に行えるようなフレキシビリティ性の高い状態で装置間を接続する装置接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係る光伝送システムは、入力される電気信号を光信号に変換する電気−光信号変換回路及び前記変換された光信号を送出する送信回路を有する第1のコネクタと、一方の端部が前記第1のコネクタと接続され前記第1のコネクタの前記送信回路から送出される前記光信号を伝送する光ファイバーとを有する第1の光ファイバーケーブルと、入射される光信号を伝送する光ファイバーと、前記光ファイバーの一方の端部に接続され前記光ファイバーの他方の端部から入射され当該光ファイバーを介して伝送される光信号を受信する受信回路及び前記受信した光信号を電気信号に変換して出力する光−電気信号変換回路を有する第2のコネクタとを有する第2の光ファイバーケーブルと、必要に応じて具備され、前記第1の光ファイバーケーブルの前記光ファイバーの他方の端部と前記第2の光ファイバーケーブルの前記光ファイバーの他方の端部とを接続する光ファイバーを有する延長用光ファイバーケーブルと、前記第1の光ファイバーケーブル、必要に応じて具備される前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルの各端部を接続する接続アダプターとを有する。
【0008】
好適には、前記第1のコネクタは、光ファイバーを介して伝送される光信号を受信する受信回路及び前記受信した光信号を電気信号に変換して出力する光−電気信号変換回路をさらに有し、前記第2のコネクタは、入力される電気信号を光信号に変換する電気−光信号変換回路及び前記変換された光信号を光ファイバーに送出する送信回路をさらに有する。このような構成によれば、前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタの間で双方向通信が可能となる。
【0009】
また好適には、前記第1の光ファイバーケーブル、前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルは、各々複数の前記光ファイバーを有し、前記接続アダプターは、前記各光ファイバーケーブルの複数の光ファイバーを一括的に接続する。
好適には、前記第1の光ファイバーケーブル、前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルは、4心光ファイバーを有する基本構造を1構造以上具備して構成される。
また好適には、前記第1の光ファイバーケーブル、前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルは、1以上の前記基本構造の光ファイバーに加えて、1本以上の予備光ファイバーをさらに具備して構成される。
【0010】
また好適には、前記第1の光ファイバーケーブル、前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルは、映像信号の伝送を行う第1の前記基本構造、及び、所望の信号の双方向伝送を行う第2の前記基本構造を有する。
好適には、前記映像信号は、デジタル赤信号(R)、デジタル緑信号(G)、デジタル青信号(B)及びクロック信号(CLK)の4信号を含む。
【0011】
また好適には、前記接続アダプターは、前記各ケーブルに具備される光ファイバーの数に対応する複数の心数のフェルールであって、心間ピッチが1.0mm以下で接続損失が0.3dB以下のメタルフェルールと、メタルスリーブとを有する。このような接続アダプターは、高精度、小型、精細な同軸度性を有しており好ましい。
また、前記接続アダプターは、樹脂又はSUS板で作成した爪によって着脱を容易にした構造のハウジングで8心フェルールを外装するようにしてもよい。
【0012】
また好適には、前記光ファイバーは、石英ガラスファイバーである。このような光ファイバー及び接続アダプターを用いることにより、例えば、10個所直列接続で総距離が10kmというような構成としても、光パワーの増幅を必要としないデータ伝送が可能である。その結果、特別の処理を必要としないで、プラグアンドプレイ対応を実現することもできる。
また、光ファイバーは電磁波の影響を受けない。従って、本発明に係る光伝送システムは、100m以上の長距離伝送において、外部からの電磁波影響を受けないし、本ケーブルからの電磁波放射も行わない構成である。従って、シールドフリーを実現できる。また、本発明に係る光伝送システムは、米国のFCC、欧州のCE等の電磁波放射規格に適合したシステムである。
【0013】
前記光ファイバーとしては、例えばSMF(シングルモードファイバー)、MMF(マルチモードファイバー)、DSF(分散シフトファイバー)又はH−PCF(ハードプラスチッククラッドファイバー)等の光ファイバーを適用することができる。もちろん、本発明は、これらの光ファイバーを適用した場合に限定されるものではなく、前記光ファイバーとしては前記以外の光ファイバーを使用することもできる。すなわち、本発明に係る光ファイバーとしては、全ての光伝送用光ファイバーを適用することができる。
【0014】
また、前記第1のコネクタの前記電気信号が入力されるインターフェイス部、及び、前記第2のコネクタの前記電気信号が出力されるインターフェイス部は、各々、所望のインターフェイス方式に基づいた構成で実現される。すなわち、このインターフェイス部としては、任意のピンアサインを規定することができ、多種多様のコネクタとして実現することができる。また、第1のコネクタのインターフェイス部と第2のコネクタのインターフェイス部として、各々任意のインターフェイス方式に適合することができ、始点の装置と終点の装置の組み合わせを自在に選択することができる。
より具体的には、前記第1のコネクタの前記インターフェイス部、及び、前記第2のコネクタの前記インターフェイス部としては、各々、例えばDVI(Digital Video Interface)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)又はD-SUB(D-Subminiature)等を適用することができる。もちろん前述したように、本発明は、これらのインターフェイスに限定されるものではなく、前記以外の任意のインターフェイスを使用することができる。すなわち、本発明に係る前記インターフェイス(コネクタ)としては、全ての光伝送用コネクタを適用することができる。
【0015】
好適には、前記第1のコネクタの前記各回路及び前記第2のコネクタの前記各回路、及び、前記光ファイバーケーブルは、鉛及びカドミュームを使用しない国際標準に適応した回路及びケーブルである。
また好適には、前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタの少なくともいずれか一方は、当該コネクタが有する前記各回路への給電を、当該コネクタが接続される機器から行う方式と、外部の電源アダプターから行う方式のいずれかを選択する給電方式選択手段をさらに有する。
また、前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタは、レーザダイオード(発光半導体)やフォトダイオード(受光半導体)及びそれらのドライバー集積回路が、標準のDVI/HDMI/D−SUB等のコネクタに収納できる程度に小型の集積回路基板上に実装されて構成される。
【0016】
また、本発明に係る装置接続方法は、第1の装置と第2の装置とを光通信により接続する方法であって、入力される電気信号を光信号に変換する信号変換回路及び前記変換された光信号を光ファイバーに送出する通信回路を有する第1のコネクタと、一方の端部が前記第1のコネクタと接続され前記第1のコネクタの前記通信回路から送出される前記光信号を伝送する前記光ファイバーとを有する第1の光ファイバーケーブルの前記第1のコネクタを前記第1の装置に接続し、光ファイバーを介して伝送される光信号を受信する通信回路及び前記受信した光信号を電気信号に変換して出力する信号変換回路を有する第2のコネクタと、一方の端部が前記第2のコネクタと接続され他方の端部から入射される光信号を前記第2のコネクタの前記通信回路に入力する前記光ファイバーとを有する第2の光ファイバーケーブルの前記第2のコネクタを前記第2の装置に接続し、前記第1の光ファイバーケーブルの前記光ファイバーの他方の端部と前記第2の光ファイバーケーブルの前記光ファイバーの他方の端部との間に、当該両端部を接続する光ファイバーを有する延長用光ファイバーケーブルを必要に応じて必要な本数介在させて、前記第1の光ファイバーケーブル、必要に応じて介在される前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルの各前記光ファイバーの各端部を接続アダプターにより接続し、前記第1の光ファイバーケーブルと前記第2の光ファイバーケーブルとを接続する。
【0017】
また、本発明に係る光ファイバーケーブルは、前述したいずれかの光伝送システムにおいて前記第1の光ファイバーケーブルとして使用されるケーブル、前記第2の光ファイバーケーブルとして使用されるケーブル、及び、前記延長用光ファイバーケーブルとして使用されるケーブルである。
また、本発明に係る接続アダプターは、前述したいずれかの光伝送システムにおいて使用される接続アダプターであって、前記第1の光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルに具備される光ファイバーの数に対応する複数の心数のフェルールであって、心間ピッチが1.0mm以下で接続損失が0.3dB以下のメタルフェルールと、メタルスリーブとを有する接続アダプターである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、大容量のデジタルデータを安定して伝送することができ、装置との接続や中間における着脱や延長を容易に行えるようにすることにより、使用時のフレキシビリティ性の高い光伝送システム、及び、その光伝送システムに用いる光ファイバーケーブル及び接続アダプターを提供することができる。
また、大容量のデジタルデータを安定して伝送することができ、中間における着脱や延長を容易に行えるようなフレキシビリティ性の高い状態で装置間を接続する装置接続方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態の光伝送システムについて、図1〜図8を参照して説明する。
【0020】
光伝送システムの全体構成
図1は本実施形態に係る光伝送システムの全体構成を示す図である。
図1において、光伝送システム10は、送信側コネクタ付光ファイバーケーブル100(第1の光ファイバーケーブル。以下、単に送信側ケーブル100と称する)、受信側コネクタ付光ファイバーケーブル200(第2の光ファイバーケーブル。以下、単に受信側ケーブル200と称する)、中継点コネクタ(接続アダプター)300、及び、延長ケーブル(延長用光ファイバーケーブル)400を有する。送信側ケーブル100は、送信側コネクタ110及び光ファイバーケーブル160を有する。また、受信側ケーブル200は、受信側コネクタ210及び光ファイバーケーブル260を有する。
延長ケーブル400は、必要に応じて任意の本数が適宜送信側ケーブル100と受信側ケーブル200との間に接続される。なお、送信側ケーブル100においては、延長ケーブル400を最大10本使用できる。
中継点コネクタ300は、送信側ケーブル100、延長ケーブル400及び受信側ケーブル200を接続するアダプターである。中継点コネクタ300の接続損失は1個所当り0.3dB以下とされている。
【0021】
送信側ケーブル
まず、送信側ケーブル100の形態について説明する。
図2は、送信側ケーブル100の送信側コネクタ110の構成を示す図である。
図2において、111には送信側機器の出力ポートのピンアサイン適合する差込プラグが配置してある。
112はコネクタのハウジングであって、基板を保護する。
113は送信側コネクタ110の信号処理基板である。この基板1枚に、送信側コネクタ110の全ての電子回路を搭載している。
114は電気−光信号変換回路及び送信回路であり、電気的信号をレーザダイオードによって光信号に変換して出力する。レーザ出力は、R,G,Bの光3原色のポートに出力する。
115は光3原色のデジタル出力を制御するCLK端子の信号部である。
【0022】
送信側コネクタ110の信号処理基板上には、さらに、送信データ(SD)及び送信クロック(SCK)を送信する送信データ部と、受信データ(RD)及び受信クロック(RCK)を受信する受信データ部がある。これら送信データ部及び受信データ部により、必要に応じて全2重通信やパケット通信ポート等を行う。なお、送信元のハブから複数のパケットを送出した時でコリジョン(パケット同士の衝突)が発生した時、送信を中断する。送信側コネクタ110においては、このようなエラー修復や回避に用いて、安全な双方向通信形態を確保する。
また、送信側コネクタ110は、R,G,Bの映像送信において、受信側からの要求を受け取ることができる機能を持つ。OS(オペレーションシステム)が機能を持つ場合は、映像タイトルの切り替え・中断・早送り・戻し、さらに文字データの送受に採用することもできる。
なお、送信側コネクタ110と後述する受信側ケーブル200の受信側コネクタ210との間の信号伝送形態については、図6を参照して後に説明する。
【0023】
116は基板のドライブ電源を外部から供給するためのピンプラグである。電源は、場合によっては機器の内部から供給される場合もある。
117は8心コネクタの固定部レセプタクルであり、スリーブを内蔵している。
118が8心コネクタのプラグで、キー溝に従って挿入しヒンジ又はねじで固定する。
このように、送信側ケーブル100の送信側コネクタ110と光ファイバーケーブル160とは、レセプタクル117とプラグ118との間で分離可能であり、また、レセプタクル117とプラグ118とにより接続され、1つの送信側ケーブル100として構成される。
なお、117と118は高精度の同軸度を持つ1対の金属フェルールで構成している。また、レセプタクル117及びプラグ118の各接続端面は、本実施形態においては斜め研磨を施しており、コネクタ接続時の反射損失量50dB以上を保持している。
【0024】
送信側コネクタ110に接続される光ファイバーケーブル160は、8心のガラスファイバーケーブルである。光ファイバーケーブル160において光ファイバーは、4本ずつを基本単位(基本構造)とするユニットが2ユニット具備され、これにより8心の光ファイバーとして構成される。
光ファイバーケーブル160の末尾には、やはり8心プラグが装着されていて受信側コネクタのレセプタクル又は、延長用ケーブルのアダプターと連結する。延長した場合、10,000m以上の遠距離伝送を可能にする。
また、光ファイバーケーブル160で用いられる光ファイバーは、本実施形態においては全石英のガラスファイバーである。
【0025】
受信側ケーブル
次に、受信側ケーブル200の形態について説明する。
図3は、受信側ケーブル200の受信側コネクタ210の構成を示す図である。
211には受信側機器の入力ポートのピンアサイン適合する差込プラグが配置してある。
212はコネクタのハウジングであって、基板を保護する。
213は受信側コネクタ210の信号処理基板である。この基板1枚で、受信側コネクタ210の全ての電子回路を搭載している。
214は受信回路及び光−電気信号変換回路であり、受信した光信号をフォトダイオードによって電気信号に変換して出力する。フォトダイオード出力は、R,G,Bの電気信号ポートに出力する。
215はフォトダイオードのデジタル出力を制御するCLK端子の信号部である。
【0026】
受信側コネクタ210の信号処理基板上には、さらに、送信データ(SD)及び送信クロック(SCK)を送信する送信データ部と、受信データ(RD)及び受信クロック(RCK)を受信する受信データ部がある。これら送信データ部及び受信データ部により、必要に応じて全2重通信やパケット通信ポート等を行う。なお、送信元のハブから複数のパケットを送出した時でコリジョン(パケット同士の衝突)が発生した時、送信を中断する。送信側コネクタ110においては、このようなエラー修復や回避に用いて、安全な双方向通信形態を確保する。
【0027】
また、受信側コネクタ210は、R,G,Bの映像送信において、送信側からの要求を受け取ることができる機能を持つ。OS(オペレーションシステム)が機能を持つ場合は、映像タイトルの切り替え・中断・早送り・戻し要求を出すこともできる。さらに文字データの送受に用いることもできる。
なお、受信側コネクタ210と前述した送信側ケーブル100の送信側コネクタ110との間の信号伝送形態については、図6を参照して後に説明する。
【0028】
216は基板のドライブ電源を外部から供給するためのピンプラグである。電源は、場合によっては機器の内部から供給される場合もある。
217は8心コネクタの固定部レセプタクルであり、スリーブを内蔵している。
218が8心コネクタのプラグで、キー溝に従って挿入しヒンジ又はねじで固定する。
このように、受信側ケーブル200の受信側コネクタ210と光ファイバーケーブル260とは、レセプタクル217とプラグ218との間で分離可能であり、また、レセプタクル217とプラグ218とにより接続され、1つの受信側ケーブル200として構成される。
なお、217と218は高精度の同軸度を持つ1対の金属フェルールで構成している。また、レセプタクル217及びプラグ218の各接続端面は、本実施形態においては斜め研磨を施しており、コネクタ接続時の反射損失量50dB以上を保持している。
【0029】
受信側コネクタ210に接続される光ファイバーケーブル260は、8心のガラスファイバーケーブルである。光ファイバーケーブル260において光ファイバーは、4本ずつを基本単位(基本構造)とするユニットが2ユニット具備され、これにより8心の光ファイバーとして構成される。
光ファイバーケーブル260の末尾には、やはり8心プラグが装着されていて送信側コネクタのレセプタクル又は、延長用ケーブルのアダプターと連結する。
また、光ファイバーケーブル260で用いられる光ファイバーは、本実施形態においては全石英のガラスファイバーである。
【0030】
中継点コネクタ
図4は、本実施形態に係る中継点コネクタ300の構成を示す図である。
ここでは、送信側ケーブル100と延長ケーブル400とを接続する場合を例示して説明を行うが、延長ケーブル400と受信側ケーブル200を接続する場合、あるいは、送信側ケーブル100と受信側ケーブル200とを直接接続する場合も、その接続形態は同じである。
図4において、送信側ケーブル100の送信側コネクタ110から出た光ファイバーケーブル160には、8心の末尾プラグ161を有する。また、延長ケーブル400にも、8心の先端プラグ401が設けられている。
中継点コネクタ300は、スリーブ310及びアダプター350を有する。310はフェルール内蔵の8心スリーブである。350はアダプターであり、キー付であって差込間違いを防ぐ。
このような中継点コネクタ300のスリーブ310に対して、送信側ケーブル100の光ファイバーケーブル160の末尾プラグ161、及び、延長ケーブル400の末尾プラグ401が連結されることにより、送信側ケーブル100及び延長ケーブル400が接続される。
なお、本実施形態の光伝送システム10で使用する中継点コネクタ300の構造については、後に詳細に説明する。
【0031】
延長ケーブル
図5は、本実施形態に係る延長ケーブル400の構成を示す図である。
延長ケーブル400も、送信側ケーブル100の光ファイバーケーブル160や受信側ケーブル200の光ファイバーケーブル260と同様に、8心のガラスファイバーケーブルである。延長ケーブル400において光ファイバーは、4本ずつを基本単位(基本構造)とするユニットが2ユニット具備され、これにより8心の光ファイバーとして構成される。
延長ケーブル400は、例えば5m、10m、20m、50m、100m、200m、500mのように、異なる長さの延長ケーブルを数種類用意する。これにより、速やかに光ファイバーケーブルの延長が可能となる。
401及び402はケーブルの先端プラグである。
なお、延長ケーブル400で用いられる光ファイバーは、本実施形態においては全石英のガラスファイバーである。
【0032】
コネクタの信号処理基板及び伝送データ
図6は、前述した送信側ケーブル100の送信側コネクタ110と受信側ケーブル200の受信側コネクタ210の各信号処理基板、及び、それらの間の伝送データを模式的に示す図である。
図6においては、送信側コネクタ110と受信側コネクタ210とが、送信側ケーブル100の光ファイバーケーブル160、第1の中継点コネクタ300−1、延長ケーブル400、第2の中継点コネクタ300−2、受信側ケーブル200の光ファイバーケーブル260を介して接続され、これらの間で信号が伝送される状態を示している。なお、150は送信側コネクタ110の8心レセプタクルであり、250は受信側コネクタ210の8心レセプタクルである。
【0033】
この信号処理基板には、映像信号及び双方向送受信信号の8個の信号入出力回路とドライバー回路を組み込んでいる。これらの回路は、光伝送システム10においてデータ圧縮をしない状態での映像ストリームの扱いを可能にするため、3Gビット/秒〜6Gビット/秒の処理速度でデータを伝送可能に形成してある。
【0034】
501は、送信側コネクタ110のR,G,B映像信号の送信電気信号ポートである。
502は、送信側コネクタ110の送信データSD及び送信クロックSCKの送信データ部と受信データRD及び受信クロックRCKの受信データ部のポートである。
503は、受信側コネクタ210のR,G,B映像信号の受信電気信号ポートである。
504は、受信側コネクタ210の送信データSD及び送信クロックSCKの送信データ部と受信データRD及び受信クロックRCKの受信データ部のポートである。
【0035】
図6に示すように、501と503は、501から503への一方向の映像信号の伝送系である。この伝送系のために、前述した光ファイバーケーブル160、延長ケーブル400及び光ファイバーケーブル260が具備する2つの4心ファイバーユニット(基本構造)のうちの、一方のユニットが使用される。
また、502と504はコマンドや付加データ等の双方向の伝送系である。この伝送系のために、前述した光ファイバーケーブル160、延長ケーブル400及び光ファイバーケーブル260が具備する2つの4心ファイバーユニット(基本構造)のうちの、他方のユニットが使用される。
なお、各ポートの入出力信号はいずれも電気信号であるが、コネクタ内部で電気信号と光信号の変換が行われ、伝送は光信号により行われる。
【0036】
送信側ドライバー電源は507から供給を受ける。受信側ドライバー電源は508から供給を受ける。505と506は外部電源アダプターである。1コネクタ当り500mWの容量である。
この基板には、国際法で規定されている一切の鉛やカドミュームで半田付けを行わない仕様である。
基板は標準コネクタのハウジングに内蔵するべく、縦40mm以下×横60mm以下に形成されている。高さは12mm以下である。
信号処理の高速応答性は3G/Sから6G/Sである。この速度は、大容量デジタル伝送を十分可能にする。
507と508には電源供給の他にドライバー回路が組み込んである。507は501を電気/光変換する機能と、502の送信信号を電気/光変換し受信信号を光/電気変換する機能を持つ。508は503を光/電気変換する機能と504の送信信号を電気/光変換し受信信号を光/電気変換する機能を持つ。
【0037】
送信側コネクタ110及び受信側コネクタ210が各種の汎用のコネクタを使用する場合、コネクタのピンアサインは、JIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)の規格に準拠して、例えばDVI,HDMI,D−SUBその他のコネクタのピンアサインに規定される。本実施形態の送信側ケーブル100は、DVI規格等に準拠するものである。
【0038】
中継点コネクタの詳細構造
中継点コネクタ300の構造について、さらに図8及び図9を参照して詳細に説明する。
なおここでは、一例として2心の中継点コネクタを例示して説明を行う。
図7に示す中継点コネクタ300は、フェルール303を内蔵する2つのプラグ301bと、その両端からプラグ301bを受け入れるスリーブ305を内蔵したアダプター301aとを有し、アダプター301aの両端からプラグ301bが差し込まれると、アダプター301aに内蔵された図外の弾性体の力を受けて、2つのフェルール303の端部はスリーブ305内で突き合わされ、このフェルール303の内部の光ファイバー4が一直線上に整列し、中継点コネクタ300を介して情報が伝送される。突き合わされるフェルール303同士の間に軸ずれや隙間が生じると光損失が発生してしまうため、フェルール303は、情報の伝送媒体となる光ファイバー304を保護するとともに、2本の光ファイバー304が真っ直ぐな状態で接続されるように、光ファイバー304の端部を支える機能が求められる。
【0039】
そのフェルール303の構成について、さらに図8を参照して説明する。
図8(a)はフェルール303を光ファイバー304の挿入方向から示す図、図8(b)はフェルール303を側面から示す図である。図8(a)に示すように、このフェルール303は2心フェルールであり、光ファイバー304の挿入方向に沿って2つの微細孔331が穿孔されている。微細孔331の周囲にはテーパー状端部332が形成され微細孔331へ向かって傾斜する面が形成されている。また、フェルール303の外周付近にはフェルール構成部材330の連結を補助する接着剤が充填される接着剤充填部333が形成され、フェルール303の外周には図外のコネクタハウジング302と係合させるための係合部335が設けられているが、この係合部335はコネクタハウジング302の構造に対応させて構成されるため、特に形状に限定は無い。
【0040】
続いて、このフェルール303を側面から見てみると、図8(b)に示すように、本実施形態に係るフェルール303は3つのフェルール構成部材330a、330b、330cが連結されることにより構成されている。各フェルール構成部材330の材料は特に限定されること無く、ステンレス、超鋼、合金又は樹脂係材料その他の金属又は非金属により形成することができる。ただし、このフェルール303は他のフェルール303と突き合わせて使用されるため、双方のフェルール303の硬度が異なると硬度の低いフェルール303が欠けて(割れて)しまう恐れがあるため、接続されるフェルール303の硬度に応じて材料を選択することが好ましい。例えば、接続されるフェルール303がジルコニアセラミックを含む場合には、同程度の組成でジルコニアセラミックを含む材質を選択することが好ましいが、連結されるフェルール構成部材330のそれぞれ(330a、330b、330c)は異なる材質から構成されてもよい。本実施形態ではフェルール構成部材のうち他のフェルールと突き合わされる330aのみをジルコニアセラミックで作成し、330bと330cとは樹脂材料で作成した。こうすることで、フェルール330の突き合わせ部分の硬度を維持しつつ、フェルール303全体のコストを抑えることができる。
【0041】
フェルール構成部材330の加工素材は、まず、精密研磨加工が施され表面の凹凸を0.0002mm以下の誤差範囲に研磨される。このときの面粗度はRa=0.05以上であることが好ましい。フェルール303が円柱形状、すなわちフェルール構成部材30が丸型の場合にはその直径は1.0mm〜3.0mm程度が採用され、その全長は200mm〜1000mm程度の範囲である。そして、この加工素材をスライスしてフェルール構成部材330を得る。フェルール構成部材330の光ファイバー304に沿った方向の幅は、穿孔加工を考慮して3mm以下が好ましく、より好ましくは2mm以下である。この幅はフェルールの直径、フェルールの硬度、穿孔される微細孔331の直径に応じて適宜決定することが好ましい。よって、本実施形態ではジルコニアセラミックからなるフェルール構成部材330aを穿孔加工精度の観点から2mm以下とし、樹脂からなるフェルール構成部材330b、330cは2mm以上とした。この切断に際しては、その後の研磨工程を考慮して、フェルール構成部材330の幅に0.003mm程度を加えた長さの幅でスライスすることが好ましい。このように各種の長さを持つフェルール構成部材330を組み合わせることで所望の長さのフェルール304を得ることができる。このとき、樹脂からなるフェルール330b、330cの長さを各種揃えることでフェルール304全体のコストを抑えつつ多様な長さのフェルール304を得ることができる。
【0042】
このスライス加工されたフェルール構成部材330には再度精密研磨加工を施して規定の寸法を出し、加工機によって穿孔加工を行う。本実施形態では、ジルコニアセラミックを含む材料からなるフェルール構成部材330aの直径は0.125mm+0.001mm=0.126mm以下の微細孔331を穿孔されており、樹脂からなるフェルール構成部材330b及び330cの直径は0.125mm+0.075mm=0.200mmの微細孔331が穿孔されている。加えて、光ファイバー304は1本又は2本以上の本数とすることができ、このための微細孔331はその本数に合わせて1心、2心、4心…32心等どのような心数とすることも可能である。本実施形態においては、8心のフェルールを使用する。
【0043】
また、この微細孔331の少なくとも一方の端部にはテーパー状のテーパー状端部332が形成されている。微細孔331は非常に小さな孔であるためフェルール構成部材330が少しでも軸ずれしてしまうと厳格には直線状に連ねることができなくなってしまう。加えて光ファイバー304は折れやすく、少しの衝撃で損傷を受ける恐れがある。本実施形態では、フェルール303が連結されることにより直線状となる微細孔331がフェルール構成部材330の連接位置ごとに拡開するように微細孔331の端部をテーパー状とした。このようにしたことで、微細孔331に挿入された光ファイバー304は隣のフェルール構成部材330微細孔331へ挿入される際に、広く開口した微細孔331に向けて挿入され、挿入方向に向かって徐々に狭まるテーパー形状を構成する斜面が光ファイバー304の先端を微細孔331の中心へ導き、光ファイバー304は傷つくことなく隣のフェルール構成部材330の微細孔331に挿入される。
【0044】
次に、このように加工されたフェルール構成部材330を連結する手段について説明する。フェルール構成部材330は、その微細孔331が略直線状に連なるように連結されることが好ましい。特に多心のフェルール構成部材330は、各微細孔330の位置がずれないように、まず位置決めを行ってから互いに係合、接着させることが好ましい。具体的には各フェルール構成部材330を微細孔331が略直線状に連続するような方向に揃えて並べ、この微細孔331にピアノ線を通して仮止めし、これをかしめ等の治具を用いて一次的に固定し、係止する部分が設けられている場合には互いに係止させ、さらに、注入溝334から接着剤を接着剤充填部33に充填し、接着剤が固化してフェルール構成部材330が連結されたら、ピアノ線を抜き、完成したフェルール3を得る。
【0045】
フェルール構成部材330の連結について説明を加えると、この連結されるフェルール構成部材330は、隣り合うフェルール構成部材と係止されるように係止部材又は接着部分を有することが好ましい。接着部分を構成するために各フェルール構成部材330に接着剤充填用の凹部又は凸部333を形成し、フェルール構成部材330を並べた時にこの凹部又は凸部によって接着剤充填用の空間が形成されることが好ましい。本実施形態では隣り合うフェルール構成部材330を接着する接着剤を充填するための接着剤充填部333を設けている。この接着剤充填部333は各フェルール構成部材330の接合面(他のフェルール構成部材との接合面)に設けられた凹部であって、連結により凹部が対向することで空間が形成され、その空間に接着剤が注入され、この接着剤が隣り合うフェルール構成部材330の連接を補助する。この接着材を外部から注入するために、本実施形態では各接着剤充填部333に連なる注入溝334を設けた。この溝は隣り合うフェルール構成部材(330a、330b)(330b、330c)のどちらに形成されてもよく、その間に形成されてもよい。この注入溝334は接着材を注入する注入口から接着剤充填部333へ連なり出口へと連なる溝である。注入口から注入された接着剤は接着剤充填部334を満たして、その後出口へ向かう。出口から接着剤が出てきたことろで接着剤充填部334は接着剤で満たされたと判断でき、固定して接着剤の固化を待てばよい。これによって、外部から接着剤を注入することができ、フェルール304の内部の光ファイバーには影響を与えることなくフェルール構成部材330を連結することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の光伝送システム10においては、例えば映像信号を送出する映像装置等の第1の装置と、大画面表示装置等の第2の装置とを接続するにあたり、第1の装置に送信側ケーブル100を接続し、第2の装置に受信側ケーブル200を接続し、これらの間に必要に応じて必要な本数、必要な長さだけ、延長ケーブル400を介在させ、これらの装置を接続している。その際、各ケーブルの接続は、前述したように高精度にそのファイバーの位置が規定されたフェルールを含む中継点コネクタ300を用いることにより、ファイバーのコアのずれを著しく少なくし、また容易な操作により行うことができる。
従って、例えば利用者等のレベルで容易に第1の装置と第2装置とを、光ファイバーにより接続することができる。また、その接続経路の状況に応じて、光ファイバーケーブルの長さを任意に、また容易に調整することができる。また、装置の設置状態を変更する場合に、光ファイバーケーブルの長さの変更も容易に行うことができる。
【0047】
また、その光伝送システム10は、光ファイバーケーブルに石英グラスファイバーを利用し、中継点コネクタとして前述したような損失の少ないコネクタを使用している。従って、損失が少なく、長距離のデータ伝送を行うことができる。本実施形態の光伝送システム10においては、例えば、10km程度の伝送が、途中での増幅回路無しで可能である。
【0048】
また、本実施形態の光伝送システム10においては、一方向の映像信号の伝送に加えて、双方向のデータ送受信系をも具備する。従って、例えば受信側が送信側のデータ内容に対して応答したり、送信内容の変更を受信側が要求したりすることも可能である。また、タッチパネル式画面やリモコン等を使用したインタラクティブな操作も可能である。またその結果、この光伝送システム10を介して、プラグアンドプレイ機能を実現することもできる。
もちろん、光伝送システム10は光ファイバーを介した光信号の伝送なので、ノイズを発生することもノイズの影響を受けることもなく、高品質な大容量のデータ伝送ができる。
【0049】
また、本実施形態の光伝送システム10においては、送信側コネクタ110及び受信側コネクタ210に電気−光信号変換回路を具備しており、また各コネクタの各装置とのインターフェイス、すなわちコネクタのピンアサイン等は任意に規定できる。従って、多種多様なコネクタとして実現することができ、あらゆるコンポーネントに対応することができる。また、始点通信機器と終点通信機器の組み合わせを自在に選択できる。
また、ドライバー電源も内部・外部と供給方式が選択できる。従って、広範な汎用性を実現する。
【0050】
また、図8を参照して説明した本実施形態のフェルールによれば、フェルール構成部材330を適宜組み合わせることで、所望の規格のフェルール303を得ることができ、フェルール構成部材330の材質を部分ごとに選択することができるため、結果としてフェルール303のコストを下げることができる。また、フェルール303を分割し、加工の対象をフェルール構成部材330としたことから穿孔の長さを短くでき、加工の精度を維持しつつ穿孔の数、心間ピッチ、心径等を様々に変更することができ、多様な規格のフェルール303を提供することができる。
【0051】
なお、本実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって本発明を何ら限定するものではない。本実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含み、また任意好適な種々の改変が可能である。
本実施形態の光ファイバーケーブル160、光ファイバーケーブル260及び延長ケーブル400においては、4心ファイバーを基本構造として、これを2ユニット備えることにより8心としたファイバーであった。しかしながら、光ファイバーケーブルに収容される光ファイバーの数、構成は、任意でよい。
例えば、基本構造を1つだけ具備する4心構成や、3以上有する8心以上の多心構成であってもよい。
また、このような基本構造に基づいて具備されるファイバーとは別に、1本単位で独立したファイバーをさらに具備して、1のケーブルとするような構成であってもよい。
【0052】
このような構成を利用して、例えば予備用光ファイバーを具備するような伝送系としてもよい。そのような予備用光ファイバーは、例えばデータ伝送中に以上が発生した時に予備回線として、データのバッファを行う必要がある場合に使用する別回線として、あるいは、光レーザの応答速度以上の高速伝送を求められた場合の並列処理用の回線として使用することができる。
また、映像信号等の伝送系を複数並列に有するような構成としてもよい。例えば、送信側装置がDVDよりも高速のメモリスキャンで高速送信を行った場合には、その映像解像度が6ギガビット/秒を越えることが予測される。このような場合は、1系統の伝送路で伝送を行うことは困難である。そのような場合に、並列に設けられている伝送路を用いて、実質的に並列処理、並列伝送によりデータを伝送することができ、そのような構成も有効である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の光伝送システムの全体構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示した光伝送システムの送信側コネクタの構成を示す図である。
【図3】図3は、図1に示した光伝送システムの受信側コネクタの構成を示す図である。
【図4】図4は、図1に示した光伝送システムの中継点コネクタの構成を示す図である。
【図5】図5は、図1に示した光伝送システムの延長ケーブルの構成を示す図である。
【図6】図6は、図1に示した光伝送システムの送信側コネクタ及び受信側コネクタの信号処理基板及びそれらの間の伝送データを説明するための図である。
【図7】図7は、図4に示した中継点コネクタの構成を詳細に示す図である。
【図8】図8は、図7に示した中継点コネクタのフェルールの構成をさらに詳細に示す図である。
【符号の説明】
【0054】
10…光伝送システム
100…送信側ケーブル
110…送信側ケーブル
160…光ファイバーケーブル
200…受信側ケーブル
210…受信側コネクタ
260…光ファイバーケーブル
300…中継点コネクタ
400…延長ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される電気信号を光信号に変換する電気−光信号変換回路及び前記変換された光信号を送出する送信回路を有する第1のコネクタと、一方の端部が前記第1のコネクタと接続され前記第1のコネクタの前記送信回路から送出される前記光信号を伝送する光ファイバーとを有する第1の光ファイバーケーブルと、
入射される光信号を伝送する光ファイバーと、前記光ファイバーの一方の端部に接続され前記光ファイバーの他方の端部から入射され当該光ファイバーを介して伝送される光信号を受信する受信回路及び前記受信した光信号を電気信号に変換して出力する光−電気信号変換回路を有する第2のコネクタとを有する第2の光ファイバーケーブルと、
必要に応じて具備され、前記第1の光ファイバーケーブルの前記光ファイバーの他方の端部と前記第2の光ファイバーケーブルの前記光ファイバーの他方の端部とを接続する光ファイバーを有する延長用光ファイバーケーブルと、
前記第1の光ファイバーケーブル、必要に応じて具備される前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルの各端部を接続する接続アダプターと
を有する光伝送システム。
【請求項2】
前記第1のコネクタは、光ファイバーを介して伝送される光信号を受信する受信回路及び前記受信した光信号を電気信号に変換して出力する光−電気信号変換回路をさらに有し、
前記第2のコネクタは、入力される電気信号を光信号に変換する電気−光信号変換回路及び前記変換された光信号を光ファイバーに送出する送信回路をさらに有する
請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項3】
前記第1の光ファイバーケーブル、前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルは、各々複数の前記光ファイバーを有し、
前記接続アダプターは、前記各光ファイバーケーブルの前記複数の光ファイバーを一括的に接続する
請求項1又は2に記載の光伝送システム。
【請求項4】
前記第1の光ファイバーケーブル、前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルは、4心光ファイバーを有する基本構造を1構造以上具備して構成される
請求項3に記載の光伝送システム。
【請求項5】
前記第1の光ファイバーケーブル、前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルは、1以上の前記基本構造の光ファイバーに加えて、1本以上の予備光ファイバーをさらに具備して構成される
請求項4に記載の光伝送システム。
【請求項6】
前記第1の光ファイバーケーブル、前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルは、映像信号の伝送を行う第1の前記基本構造、及び、所望の信号の双方向伝送を行う第2の前記基本構造を有する
請求項4又は5に記載の光伝送システム。
【請求項7】
前記映像信号は、デジタル赤信号(R)、デジタル緑信号(G)、デジタル青信号(B)及びクロック信号(CLK)の4信号を含む
請求項6に記載の光伝送システム。
【請求項8】
前記接続アダプターは、
前記各ケーブルに具備される光ファイバーの数に対応する複数の心数のフェルールであって、心間ピッチが1.0mm以下で接続損失が0.3dB以下のメタルフェルールと、
メタルスリーブとを有する
請求項3〜7のいずれかに記載の光伝送システム。
【請求項9】
前記光ファイバーは、石英ガラスファイバーである
請求項1〜8のいずれかに記載の光伝送システム。
【請求項10】
前記光ファイバーは、SMF(シングルモードファイバー)、MMF(マルチモードファイバー)、DSF(分散シフトファイバー)又はH−PCF(ハードプラスチッククラッドファイバー)のいずれかである
請求項1〜9のいずれかに記載の光伝送システム。
【請求項11】
前記第1のコネクタの前記電気信号が入力されるインターフェイス部、及び、前記第2のコネクタの前記電気信号が出力されるインターフェイス部は、各々、所望のインターフェイス方式に基づいた構成で実現される
請求項1〜10のいずれかに記載の光伝送システム。
【請求項12】
前記第1のコネクタの前記インターフェイス部、及び、前記第2のコネクタの前記インターフェイス部は、DVI(Digital Video Interface)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)又はD-SUB(D-Subminiature)のいずれかである
請求項11に記載の光伝送システム。
【請求項13】
前記第1のコネクタの前記各回路及び前記第2のコネクタの前記各回路は、鉛及びカドミュームを使用しないで形成する
請求項1〜12のいずれかに記載の光伝送システム。
【請求項14】
前記第1のコネクタ及び前記第2のコネクタの少なくともいずれか一方は、当該コネクタが有する前記各回路への給電を、当該コネクタが接続される機器から行うか外部の電源アダプターから行うかを選択する給電方式選択手段をさらに有する
請求項1〜13のいずれかに記載の光伝送システム。
【請求項15】
前記第1の光ファイバーケーブル、必要に応じて具備される前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルを介して接続される第1の装置及び第2の装置間において、プラグアンドプレイ機能を実現する手段をさらに有する
請求項1〜14のいずれかに記載の光伝送システム。
【請求項16】
第1の装置と第2の装置とを光通信により接続する方法であって、
入力される電気信号を光信号に変換する信号変換回路及び前記変換された光信号を光ファイバーに送出する通信回路を有する第1のコネクタと、一方の端部が前記第1のコネクタと接続され前記第1のコネクタの前記通信回路から送出される前記光信号を伝送する前記光ファイバーとを有する第1の光ファイバーケーブルの前記第1のコネクタを前記第1の装置に接続し、
光ファイバーを介して伝送される光信号を受信する通信回路及び前記受信した光信号を電気信号に変換して出力する信号変換回路を有する第2のコネクタと、一方の端部が前記第2のコネクタと接続され他方の端部から入射される光信号を前記第2のコネクタの前記通信回路に入力する前記光ファイバーとを有する第2の光ファイバーケーブルの前記第2のコネクタを前記第2の装置に接続し、
前記第1の光ファイバーケーブルの前記光ファイバーの他方の端部と前記第2の光ファイバーケーブルの前記光ファイバーの他方の端部との間に、当該両端部を接続する光ファイバーを有する延長用光ファイバーケーブルを必要に応じて必要な本数介在させて、前記第1の光ファイバーケーブル、必要に応じて介在される前記延長用光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルの各前記光ファイバーの各端部を接続アダプターにより接続し、前記第1の光ファイバーケーブルと前記第2の光ファイバーケーブルとを接続する
装置接続方法。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれかに記載の光伝送システムにおいて前記第1の光ファイバーケーブルとして使用されるケーブルであって、
入力される電気信号を光信号に変換する電気−光信号変換回路及び前記変換された光信号を送出する送信回路を有する第1のコネクタと、
一方の端部が前記第1のコネクタと接続され前記第1のコネクタの前記送信回路から送出される前記光信号を伝送する光ファイバーと
を有する光ファイバーケーブル。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれかに記載の光伝送システムにおいて前記第2の光ファイバーケーブルとして使用されるケーブルであって、
入射される光信号を伝送する光ファイバーと、
前記光ファイバーの一方の端部に接続され前記光ファイバーの他方の端部から入射され当該光ファイバーを介して伝送される光信号を受信する受信回路及び前記受信した光信号を電気信号に変換して出力する光−電気信号変換回路を有する第2のコネクタと
を有する光ファイバーケーブル。
【請求項19】
請求項1〜15のいずれかに記載の光伝送システムにおいて前記延長用光ファイバーケーブルとして使用されるケーブルであって、
前記第1の光ファイバーケーブルの前記光ファイバーの他方の端部と前記第2の光ファイバーケーブルの前記光ファイバーの他方の端部とを接続する光ファイバーを有する光ファイバーケーブル。
【請求項20】
請求項1〜15のいずれかに記載の光伝送システムにおいて使用される前記接続アダプターであって、
前記第1の光ファイバーケーブル及び前記第2の光ファイバーケーブルに具備される光ファイバーの数に対応する複数の心数のフェルールであって、心間ピッチが1.0mm以下で接続損失が0.3dB以下のメタルフェルールと、
メタルスリーブと
を有する接続アダプター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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