光伝送路
【課題】ITU-T勧告G.657により規定される低曲げ損失光ファイバ(BIF)を含みMPIによる影響が抑制された光伝送路を提供する。
【解決手段】光伝送路1は、第1光ファイバ11と、第1光ファイバ11の入射端に接続された第2光ファイバ12と、第1光ファイバ11の出射端に接続された第3光ファイバ13と、を備える。第1光ファイバ11は低損失光ファイバ(BIF)であり、第2光ファイバ12および第3光ファイバ13それぞれは略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバである。第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続ロス、第1光ファイバと第3光ファイバとの接続ロス、および、第1光ファイバの長さは、所定の関係式を満たす。
【解決手段】光伝送路1は、第1光ファイバ11と、第1光ファイバ11の入射端に接続された第2光ファイバ12と、第1光ファイバ11の出射端に接続された第3光ファイバ13と、を備える。第1光ファイバ11は低損失光ファイバ(BIF)であり、第2光ファイバ12および第3光ファイバ13それぞれは略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバである。第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続ロス、第1光ファイバと第3光ファイバとの接続ロス、および、第1光ファイバの長さは、所定の関係式を満たす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光伝送システムにおいて光伝送路として用いられる光ファイバは、特にFTTxでは曲げ損失が小さいことが要求される。低曲げ損失光ファイバはBIF(Bend Insensitive Fiber)と呼ばれる。BIFは、電話局の局内配線など曲げが与えられやすい場所において使用されている。BIFは、ITU-T勧告G.657により規定されており、その曲げ損失の大きさによって、A1,A2,B2,B3とグレードが分かれており、B3が最も曲げ損失が小さい。
【0003】
BIFとして、トレンチ型の屈折率構造を有する光ファイバが知られており、また、ディプレスト型の屈折率構造を有する光ファイバも知られている。トレンチ型またはディプレスト型の屈折率構造を有するBIFは、コアの周囲に設けられた低屈折率層により光をコアに強く閉じ込めることで、低曲げ損失を実現することができる。BIFは、基底モードの曲げ損失が小さいだけでなく、高次モードの曲げ損失も小さい。また、BIFは、宅内において数mの短尺での敷設や曲げ付与下での使用が想定される。
【0004】
したがって、BIF入射端における他の光ファイバとの接続部分やBIFの曲げ付与部分で高次モードが励振されると、その高次モードは、BIF中を伝搬して、BIF出射端における他の光ファイバとの接続部分や曲げ付与部分で基底モードと干渉する。この干渉はMPI(Multi-Path Interference、多光路間干渉)と呼ばれる。MPIに因り光強度が時間的に変動し、これに伴って伝送エラーが発生する場合がある(非特許文献1参照)。ビットレート10Gbpsの光伝送の場合、エラーフリー伝送の為にはMPIは−30dB未満であることが必要である(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】David Z. Chen, et al, "TestingMPI Threshold in Bend Insensitive Fiber Using Coherent Peak-To-Peak PowerMethod," OFC2009 NTuC5
【非特許文献2】Ming-Jun Li, et al, "StatisticalAnalysis of MPI in Bend-insensitive Fibers," OFC2009 OTuL1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MPIは、接続部分または曲げ付与部分における高次モードの励振量、BIF中における高次モードの減衰量、および、高次モードが再結合するまでに伝搬する距離に依存する。MPIを低下させるためには、高次モード励振量を少なく、高次モード減衰量を大きく、BIF長さをより長くすることが望ましいと考えられる。
【0007】
本発明は、このような本発明者の考察に基づいてなされたものであり、ITU-T勧告G.657により規定される低曲げ損失光ファイバ(BIF)を含みMPIによる影響が抑制された光伝送路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光伝送路は、第1光ファイバと、第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、第1光ファイバの他端に接続された第3光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続ロスをAとし、第1光ファイバと第3光ファイバとの接続ロスをBとしたときに、第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む第1光学クラッド層と、この第1光学クラッド層を取り囲む第2光学クラッド層と、この第2光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、ジャケット層の屈折率を基準としたときに、コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、第1光学クラッド層の比屈折率差Δ2が0%以上であり、第2光学クラッド層の比屈折率差Δ3が−0.2%以下であり、Δ1>Δ2>Δ3 なる関係を満たすことを特徴とする。
【0009】
【数1】
【0010】
このとき、第2光ファイバおよび第3光ファイバそれぞれが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであるのが好ましく、第1光ファイバと汎用シングルモード光ファイバとの接続において、第1光ファイバのLP11モードと汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下であるのが好ましく、また、第1光ファイバおよび汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下であるのも好ましい。
【0011】
或いは、本発明の光伝送路は、第1光ファイバと、第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続ロスをAとしたときに、第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む第1光学クラッド層と、この第1光学クラッド層を取り囲む第2光学クラッド層と、この第2光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、ジャケット層の屈折率を基準としたときに、コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、第1光学クラッド層の比屈折率差Δ2が0%以上であり、第2光学クラッド層の比屈折率差Δ3が−0.2%以下であり、Δ1>Δ2>Δ3 なる関係を満たすことを特徴とする。
【0012】
【数2】
【0013】
このとき、第2光ファイバが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであるのが好ましく、第1光ファイバと汎用シングルモード光ファイバとの接続において、第1光ファイバのLP11モードと汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下であるのが好ましく、また、第1光ファイバおよび汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下であるのも好ましい。
【0014】
或いは、本発明の光伝送路は、第1光ファイバと、第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、第1光ファイバの他端に接続された第3光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続ロスをAとし、第1光ファイバと第3光ファイバとの接続ロスをBとしたときに、第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む光学クラッド層と、この光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、ジャケット層の屈折率を基準としたときに、コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、光学クラッド層の比屈折率差Δ2が−0.3%以上であり、Δ1>Δ2 なる関係を満たすことを特徴とする。
【0015】
【数3】
【0016】
このとき、第2光ファイバおよび第3光ファイバそれぞれが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであるのが好ましく、第1光ファイバと汎用シングルモード光ファイバとの接続において、第1光ファイバのLP11モードと汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下であるのが好ましく、また、第1光ファイバおよび汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下であるのも好ましい。
【0017】
或いは、本発明の光伝送路は、第1光ファイバと、第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続ロスをAとしたときに、第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む光学クラッド層と、この光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、ジャケット層の屈折率を基準としたときに、コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、光学クラッド層の比屈折率差Δ2が−0.3%以上であり、Δ1>Δ2 なる関係を満たすことを特徴とする。
【0018】
【数4】
【0019】
このとき、第2光ファイバが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであるのが好ましく、第1光ファイバと汎用シングルモード光ファイバとの接続において、第1光ファイバのLP11モードと汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下であるのが好ましく、また、第1光ファイバおよび汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下であるのも好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ITU-T勧告G.657により規定される低曲げ損失光ファイバ(BIF)を含みMPIによる影響が抑制された光伝送路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】トレンチ型の屈折率構造を有するBIFの屈折率分布を示す図である。
【図2】ディプレスト型の屈折率構造を有するBIFの屈折率分布を示す図である。
【図3】第1実施形態の光伝送路1の構成およびMPIを説明する図である。
【図4】波長1310nmにおける第1光ファイバ11の長さLとMPI計算値との関係を示すグラフである。
【図5】波長1310nmにおける接続ロスとMPI計算値との関係を示すグラフである。
【図6】第2実施形態の光伝送路2の構成およびMPIを説明する図である。
【図7】実施例1の測定系の概略構成を示す図である。
【図8】実施例1において第1光ファイバ11として用いた3種類のファイバ1〜3それぞれの諸元、MPI実験値およびMPI計算値などを纏めた図表である。
【図9】実施例1におけるMPI実験値とMPI計算値との関係を示すグラフである。
【図10】実施例2の測定系4の概略構成を示す図である。
【図11】実施例3におけるMPI測定値とステープル回数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
図1は、トレンチ型の屈折率構造を有するBIFの屈折率分布を示す図である。トレンチ型BIFは、中心軸を含むコア(半径r1)と、このコアを取り囲む第1光学クラッド層(半径r2)と、この第1光学クラッド層を取り囲む第2光学クラッド層(半径r3)と、この第2光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有する。トレンチ型BIFは、ジャケット層の屈折率を基準としたときに、コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、第1光学クラッド層の比屈折率差Δ2が0%以上であり、第2光学クラッド層の比屈折率差Δ3が−0.2%以下であり、Δ1>Δ2>Δ3 なる関係を満たす。このようなBIFはITU-T勧告G.657.B3を満たす。
【0024】
図2は、ディプレスト型の屈折率構造を有するBIFの屈折率分布を示す図である。ディプレスト型BIFは、中心軸を含むコア(半径r1)と、このコアを取り囲む光学クラッド層(半径r2)と、この光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有する。ディプレスト型BIFは、ジャケット層の屈折率を基準としたときに、コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、光学クラッド層の比屈折率差Δ2が−0.3%以上であり、Δ1>Δ2 なる関係を満たす。このような光ファイバはITU-T勧告G.657.A2を満たす。
【0025】
図3は、第1実施形態の光伝送路1の構成およびMPIを説明する図である。同図に示される光伝送路1は、第1光ファイバ11と、第1光ファイバ11の入射端に接続された第2光ファイバ12と、第1光ファイバ11の出射端に接続された第3光ファイバ13と、を備える。第1光ファイバ11はBIFであり、第2光ファイバ12および第3光ファイバ13それぞれは略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバである。
【0026】
同図に示されるように、第2光ファイバ12を伝搬してきた基底モード(LP01モード)は、第2光ファイバ12と第1光ファイバ11との接続部分において、その一部が高次モード(LP11モード)に結合される。第1光ファイバ11には基底モード(LP01モード)および高次モード(LP11モード)の双方が入射される。第1光ファイバ11を伝搬してきた基底モード(LP01モード)は、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13との接続部分において、その殆どが基底モード(LP01モード)に結合される。また、第1光ファイバ11を伝搬してきた高次モード(LP11モード)は、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13との接続部分において、その一部が基底モード(LP01モード)に結合される。
【0027】
したがって、第3光ファイバ13においては、第1光ファイバ11における基底モードに由来する基底モード(以下「基底成分」という。)と、第1光ファイバ11における高次モードに由来する基底モード(以下「高次成分」という。)とが干渉する。これがMPIである。MPIの大きさは、第3光ファイバにおける高次成分の強度と基底成分の強度との比で表される。
【0028】
基底成分の電界を E0exp(jφ0) と表し、高次成分の電界を αE0exp(jφ1) と表す。第3光ファイバ13における基底モード(LP01モード)の電界は下記(5a)式で表され、また、第3光ファイバ13における基底モード(LP01モード)の強度は下記(5b)式で表される。MPIは下記(6)式で表される。
【0029】
【数5】
【0030】
【数6】
【0031】
実験的には、第3光ファイバ13の導波光の強度として上記(5b)式で表される強度が観測される。第3光ファイバ13において、基底成分と高次成分との位相差が0であるとき受光強度は最大値となり、基底成分と高次成分との位相差がπであるとき受光強度は最小値となる。受光強度の最大値と最小値との比ptp(Peak to Peak)は下記(7)式で示される。(6)式を用いると、(7)式は下記(8)式で表される。
【0032】
【数7】
【0033】
【数8】
【0034】
図3に示されるように、第2光ファイバ12と第1光ファイバ11との接合部分において、第2光ファイバ12の基底モードから第1光ファイバ11の基底モードへの結合効率をη01-01,1と表し、第2光ファイバ12の基底モードから第1光ファイバ11の高次モードへの結合効率をη01-11,1と表す。第1光ファイバ11と第3光ファイバ13との接合部分において、第1光ファイバ11の基底モードから第3光ファイバ13の基底モードへの結合効率をη01-01,2と表し、第1光ファイバ11の高次モードから第3光ファイバ13の基底モードへの結合効率をη11-01,2と表す。第1光ファイバ11の長さをLとする。第1光ファイバ11における高次モードの減衰係数をα11と表す。第1光ファイバ11における高次モードの伝送損失[dB]は、10×log10(exp(−α11L)) で表される。なお、第1光ファイバ11における基底モードの減衰を0とする。
【0035】
第3光ファイバ13における基底成分の強度P01は下記(9)式で表される。第3光ファイバ13における高次成分の強度P11は下記(10)式で表される。MPIは下記(11)式で表される。この(11)式を用いると、測定系のηおよびαからMPIを予測することが可能となる。
【0036】
【数9】
【0037】
【数10】
【0038】
【数11】
【0039】
この(11)式から判るように、MPIは、結合効率η01-01,1,η01-11,1,η01-01,2,η11-01,2、第1光ファイバ11における高次モードの減衰係数α11 および第1光ファイバ11の長さLにより決定される。MPIを小さくするためには、結合効率η01-11,1および結合効率η11-01,2を可能な限り小さくし、減衰係数α11を可能な限り大きくし、Lを可能な限り長くすることが望ましい。
【0040】
結合効率は、互いに接続された2本の光ファイバのモードフィールド径の差と軸ずれ量により決まる。MPIを小さくするためには、モードフィールド径の差および軸ずれ量それぞれを小さくすることが望ましい。なお、結合効率η01-01,1,η01-01,2をdB表示したものは、接続ロスを表している。接続ロスが小さいほどMPIは良好となると言い換えることができる。
【0041】
結合効率η01-11,1は0.5以下であるのが好ましく、結合効率η11-01,2は0.5以下であるのが好ましい。また、第1光ファイバ11および第2光ファイバ12それぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下であるのが好ましい。第1光ファイバ11および第3光ファイバ13それぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下であるのが好ましい。
【0042】
第1光ファイバ11における高次モードの減衰係数α11は、第1光ファイバ11の敷設状態(与えられる曲げの径)および第1光ファイバ11の屈折率プロファイルによって決まる。上記η、α11が何れの値でも、第1光ファイバ11の長さLを長くすることで、MPIを低減することが可能となる。
【0043】
図4は、波長1310nmにおける第1光ファイバ11の長さLとMPI計算値との関係を示すグラフである。ここでは、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12との接続ロスを1.0dBとし、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13との接続ロスを1.0dBとした。このとき、η01-01,1=0.78、η01-01,2=0.78、η01-11,1=0.21、η11-01.2=0.21 であり、他モードへの結合の効率が0.01である。高次モードの減衰係数α11が異なる3種類の第1光ファイバ11を想定した。各々の減衰係数α11は0.39、1.65、5.48であった。α11=0.39の第1光ファイバ(BIF)11はG.657.B3準拠である。他の2種類の第1光ファイバ(BIF)11はG.657.A2を満たす。
【0044】
図4から判るように、第1光ファイバ11の長さLが長いほどMPIが減少する。単位長さ当たりのMPI減少量はα11に依存する。α11が小さい(LP11モードの損失が小さい)ほど、単位長さ当たりのMPI減少量は小さい。例えば、α11=0.39の第1光ファイバ11においては、長さLが7m以上であれば、MPIは−30dB未満となる。
【0045】
図5は、波長1310nmにおける接続ロスとMPI計算値との関係を示すグラフである。ここでは、第1光ファイバ11の長さLを1mとした。第1光ファイバ11の高次モードの減衰係数α11を0.39とした。第1光ファイバ11と第2光ファイバ12との接続ロスと、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13との接続ロスとが互いに等しいとした。同図から判るように、接続ロスが大きいほどMPIが悪化する。第1光ファイバ11の両端の接続ロスが0.3dB以下であれば、MPIは−30dB未満となる。
【0046】
図4および図5それぞれの計算例では、接続ロスおよびファイバ長それぞれをパラメータとしてMPI変化を示した。しかし、実使用上においては、接続ロスは、接続方法(融着、V接、メカニカルスプライス)によって決定されるので、その値の自由度が低いことが想定される。したがって、系のMPIを抑制する手法としては、あらかじめ接続状態を規定し接続ロスの取りうる範囲を限定したうえで、ファイバ長Lを最適化することが望ましい。
【0047】
そこで、上記(11)式をファイバ長Lについて整理し、実際のMPIを−30dBとする目標に対して±10dBの誤差(後述)を考慮して、MPIが−40dB未満となる最小長さLを算出する式を求めると、下記(12)式のように表される。ここで、Aは、第2光ファイバ12と第1光ファイバ11との接続ロス[dB]であり、Bは、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13との接続ロス[dB]である。この(12)式を満たす第1光ファイバ11の長さLとすることで、実際のMPIを−30dBとすることができる。
【0048】
【数12】
【0049】
各パラメータの数値例は以下のとおりである。融着接続の場合、接続ロスA,Bの値は0.3dB未満であることが想定される。その場合は、接続ロスA,Bの値として0.3を用いればよい。第1光ファイバ11における高次モードの減衰係数α11は、屈折率分布により決定されるので、ファイバ毎に異なる。加えて、減衰係数α11は波長依存性を有し、波長範囲1310〜1650nmでは長波長ほど減衰係数α11が大きくなる。したがって、MPIは波長1310nmにおいて最も大きくなる場合が多い。1310nmにおけるα11は、ITU-T勧告G.657.B3準拠のBIFにおいては、0.2〜0.5の範囲が一般的である。
【0050】
図6は、第2実施形態の光伝送路2の構成およびMPIを説明する図である。同図に示される光伝送路2は、第1光ファイバ11と、第1光ファイバ11の入射端に接続された第2光ファイバ12と、第2光ファイバ12の導波光を受光する受光器14と、を備える。第1光ファイバ11はBIFであり、第2光ファイバ12は略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバである。
【0051】
第2実施形態では、MPIは下記(13)式で表される。ここで、第2光ファイバ12と第1光ファイバ11との接合部分において、第2光ファイバ12の基底モードから第1光ファイバ11の基底モードへの結合効率をη01-01と表し、第2光ファイバ12の基底モードから第1光ファイバ11の高次モードへの結合効率をη01-11と表した。
【0052】
【数13】
【0053】
また、(13)式をファイバ長Lについて整理し、実際のMPIを−30dBとする目標に対して±10dBの誤差(後述)を考慮して、MPIが−40dB未満となる最小長さLを算出する式を求めると、下記(14)式のように表される。ここで、Aは、第2光ファイバ12と第1光ファイバ11との接続ロス[dB]である。第2実施形態の光伝送路2では、この(14)式を満たす第1光ファイバ11の長さLとすることで、実際のMPIを−30dBとすることができる。
【0054】
【数14】
【0055】
なお、BIFは、微小曲げ(例えば曲率半径R=5〜15mm)が与えられた状態での使用が想定される。その場合、BIFの微小曲げが与えられた部分において、高次モードの励振や基底モードへの再結合が発生するので、これを接続部分と同様に取り扱うことが望ましい。例えば、G.657.B3準拠のBIF(図1に示された光ファイバに対応)は、曲げ損失の規格として曲率半径R=5mmでの曲げロスが0.15dB/turn未満とされ、その曲げ部分で損失した基底モードの一部が高次モード(クラッドを伝搬するクラッドモード)として伝搬し、曲げ部分または接続部分で基底モードと再結合しMPIが発生する。したがって、上記(12)式および(14)式を曲げの影響を含めた形まで拡張することが望ましい。しかし、曲げに因る高次モードの励振や基底モードへの再結合は、接続ロスの影響と比べて一桁程度小さい。極端に曲率半径Rの小さい曲げ(曲率半径R<5mm)が短い間隔(数cm程度)連続的に与えられない限り、実使用上は上記(12)、(14)式の関係を満たすことで対応可能である。
【0056】
次に、実施例について説明する。図7は、実施例1の測定系3の概略構成を示す図である。この測定系3は、第1実施形態の光伝送路1についてMPIを実験により測定するものである。第1光ファイバ11はBIFであり、第1光ファイバ11として3種類のファイバ1〜3を用いた。第1光ファイバ11の長さLを1mとした。第2光ファイバ12および第3光ファイバ13それぞれは、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであった。第1光ファイバ11と第2光ファイバ12とを融着接続し、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13とを融着接続した。第2光ファイバ12の入射端に光源15を設け、第3光ファイバ13の出射端に受光器14を設けた。第2光ファイバ12の途中に偏波スクランブラ16を設けた。非特許文献2に記載された測定方法により波長1310nmでのMPIを測定した。また、上記(11)式により波長1310nmでのMPIを計算した。
【0057】
図8は、実施例1において第1光ファイバ11として用いた3種類のファイバ1〜3それぞれの諸元、MPI実験値およびMPI計算値などを纏めた図表である。図9は、実施例1におけるMPI実験値とMPI計算値との関係を示すグラフである。これらの図から判るように、MPI実験値とMPI計算値との誤差は±10dBの範囲である。したがって、この誤差分を考慮して、MPI計算値=−40dBとなるファイバ長Lとすることで、MPI実測値<−30dBが達成可能となる。このことから、上記(12)、(14)式を用いればよい。
【0058】
図10は、実施例2の測定系4の概略構成を示す図である。この測定系4も、第1実施形態の光伝送路1についてMPIを実験により測定するものである。第1光ファイバ11はBIFであった。各辺の長さが1mの正方形の4隅それぞれに曲率半径5mmの円柱物体を配置し、これらの周りに第1光ファイバを20回だけ巻いた。第2光ファイバ12および第3光ファイバ13それぞれは、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであった。第1光ファイバ11と第2光ファイバ12とをV溝により接続し、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13とをV溝により接続した。第2光ファイバ12の入射端に光源15を設け、第3光ファイバ13の出射端に受光器14を設けた。第2光ファイバ12の途中に偏波スクランブラ16を設けた。
【0059】
第1光ファイバ11のカットオフ波長は約1250nmであった。測定波長は1310nmであった。接続ロスは0.3dB未満であった。曲率半径5mmでの曲げ損失は0.1dB/turn未満であった。MPIの測定値は50±3dBであった。これらから、少なくとも1mの間隔で曲率半径R=5mm相当の曲げを第1光ファイバ11に与えても、MPIは−30dB未満となる。
【0060】
実施例3では、第1光ファイバ(BIF)11に対してステープル打ち試験を行った。直径3mmのBIF内包光ファイバケーブルに対し、およそ5cm間隔でステープルを打ち、MPIの変化を測定した。図11は、実施例3におけるMPI測定値とステープル回数との関係を示す図である。同図から判るように、5cm間隔でステープルを打ちつけた場合であっても、MPI測定値に有意な変化は見られない。与えられた曲げより、光ファイバの接続部における接続ロスがMPIに対して支配的であることが分かる。
【0061】
現在、多種多様な低曲げ損失光ファイバ(BIF)が用いられているが、その用途は、多岐にわたり、長さ1〜5mといった短尺での使用も想定される。その場合、非特許文献1に記載されているように、MPIに起因する伝送エラーが発生する恐れがある。一般に10G伝送においては、MPIが−30dB未満であることがエラーフリー伝送に必要とされる。MPIの値は、BIFと他ファイバとの接続損失、BIFの高次モード(LP11モード)損失α11、およびBIFのファイバ長により決定される。したがって、本実施形態のように、系の接続損失およびBIFのα11が分かれば、あらかじめMPIが−30dB未満となる第1光ファイバ11の長さL以上とすることで、伝送エラー発生を回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1,2…光伝送路、11…第1光ファイバ、12…第2光ファイバ、13…第3光ファイバ、14…受光器、15…光源、16…偏波スクランブラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光伝送システムにおいて光伝送路として用いられる光ファイバは、特にFTTxでは曲げ損失が小さいことが要求される。低曲げ損失光ファイバはBIF(Bend Insensitive Fiber)と呼ばれる。BIFは、電話局の局内配線など曲げが与えられやすい場所において使用されている。BIFは、ITU-T勧告G.657により規定されており、その曲げ損失の大きさによって、A1,A2,B2,B3とグレードが分かれており、B3が最も曲げ損失が小さい。
【0003】
BIFとして、トレンチ型の屈折率構造を有する光ファイバが知られており、また、ディプレスト型の屈折率構造を有する光ファイバも知られている。トレンチ型またはディプレスト型の屈折率構造を有するBIFは、コアの周囲に設けられた低屈折率層により光をコアに強く閉じ込めることで、低曲げ損失を実現することができる。BIFは、基底モードの曲げ損失が小さいだけでなく、高次モードの曲げ損失も小さい。また、BIFは、宅内において数mの短尺での敷設や曲げ付与下での使用が想定される。
【0004】
したがって、BIF入射端における他の光ファイバとの接続部分やBIFの曲げ付与部分で高次モードが励振されると、その高次モードは、BIF中を伝搬して、BIF出射端における他の光ファイバとの接続部分や曲げ付与部分で基底モードと干渉する。この干渉はMPI(Multi-Path Interference、多光路間干渉)と呼ばれる。MPIに因り光強度が時間的に変動し、これに伴って伝送エラーが発生する場合がある(非特許文献1参照)。ビットレート10Gbpsの光伝送の場合、エラーフリー伝送の為にはMPIは−30dB未満であることが必要である(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】David Z. Chen, et al, "TestingMPI Threshold in Bend Insensitive Fiber Using Coherent Peak-To-Peak PowerMethod," OFC2009 NTuC5
【非特許文献2】Ming-Jun Li, et al, "StatisticalAnalysis of MPI in Bend-insensitive Fibers," OFC2009 OTuL1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MPIは、接続部分または曲げ付与部分における高次モードの励振量、BIF中における高次モードの減衰量、および、高次モードが再結合するまでに伝搬する距離に依存する。MPIを低下させるためには、高次モード励振量を少なく、高次モード減衰量を大きく、BIF長さをより長くすることが望ましいと考えられる。
【0007】
本発明は、このような本発明者の考察に基づいてなされたものであり、ITU-T勧告G.657により規定される低曲げ損失光ファイバ(BIF)を含みMPIによる影響が抑制された光伝送路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光伝送路は、第1光ファイバと、第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、第1光ファイバの他端に接続された第3光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続ロスをAとし、第1光ファイバと第3光ファイバとの接続ロスをBとしたときに、第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む第1光学クラッド層と、この第1光学クラッド層を取り囲む第2光学クラッド層と、この第2光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、ジャケット層の屈折率を基準としたときに、コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、第1光学クラッド層の比屈折率差Δ2が0%以上であり、第2光学クラッド層の比屈折率差Δ3が−0.2%以下であり、Δ1>Δ2>Δ3 なる関係を満たすことを特徴とする。
【0009】
【数1】
【0010】
このとき、第2光ファイバおよび第3光ファイバそれぞれが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであるのが好ましく、第1光ファイバと汎用シングルモード光ファイバとの接続において、第1光ファイバのLP11モードと汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下であるのが好ましく、また、第1光ファイバおよび汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下であるのも好ましい。
【0011】
或いは、本発明の光伝送路は、第1光ファイバと、第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続ロスをAとしたときに、第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む第1光学クラッド層と、この第1光学クラッド層を取り囲む第2光学クラッド層と、この第2光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、ジャケット層の屈折率を基準としたときに、コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、第1光学クラッド層の比屈折率差Δ2が0%以上であり、第2光学クラッド層の比屈折率差Δ3が−0.2%以下であり、Δ1>Δ2>Δ3 なる関係を満たすことを特徴とする。
【0012】
【数2】
【0013】
このとき、第2光ファイバが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであるのが好ましく、第1光ファイバと汎用シングルモード光ファイバとの接続において、第1光ファイバのLP11モードと汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下であるのが好ましく、また、第1光ファイバおよび汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下であるのも好ましい。
【0014】
或いは、本発明の光伝送路は、第1光ファイバと、第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、第1光ファイバの他端に接続された第3光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続ロスをAとし、第1光ファイバと第3光ファイバとの接続ロスをBとしたときに、第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む光学クラッド層と、この光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、ジャケット層の屈折率を基準としたときに、コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、光学クラッド層の比屈折率差Δ2が−0.3%以上であり、Δ1>Δ2 なる関係を満たすことを特徴とする。
【0015】
【数3】
【0016】
このとき、第2光ファイバおよび第3光ファイバそれぞれが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであるのが好ましく、第1光ファイバと汎用シングルモード光ファイバとの接続において、第1光ファイバのLP11モードと汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下であるのが好ましく、また、第1光ファイバおよび汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下であるのも好ましい。
【0017】
或いは、本発明の光伝送路は、第1光ファイバと、第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続ロスをAとしたときに、第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む光学クラッド層と、この光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、ジャケット層の屈折率を基準としたときに、コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、光学クラッド層の比屈折率差Δ2が−0.3%以上であり、Δ1>Δ2 なる関係を満たすことを特徴とする。
【0018】
【数4】
【0019】
このとき、第2光ファイバが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであるのが好ましく、第1光ファイバと汎用シングルモード光ファイバとの接続において、第1光ファイバのLP11モードと汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下であるのが好ましく、また、第1光ファイバおよび汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下であるのも好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ITU-T勧告G.657により規定される低曲げ損失光ファイバ(BIF)を含みMPIによる影響が抑制された光伝送路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】トレンチ型の屈折率構造を有するBIFの屈折率分布を示す図である。
【図2】ディプレスト型の屈折率構造を有するBIFの屈折率分布を示す図である。
【図3】第1実施形態の光伝送路1の構成およびMPIを説明する図である。
【図4】波長1310nmにおける第1光ファイバ11の長さLとMPI計算値との関係を示すグラフである。
【図5】波長1310nmにおける接続ロスとMPI計算値との関係を示すグラフである。
【図6】第2実施形態の光伝送路2の構成およびMPIを説明する図である。
【図7】実施例1の測定系の概略構成を示す図である。
【図8】実施例1において第1光ファイバ11として用いた3種類のファイバ1〜3それぞれの諸元、MPI実験値およびMPI計算値などを纏めた図表である。
【図9】実施例1におけるMPI実験値とMPI計算値との関係を示すグラフである。
【図10】実施例2の測定系4の概略構成を示す図である。
【図11】実施例3におけるMPI測定値とステープル回数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
図1は、トレンチ型の屈折率構造を有するBIFの屈折率分布を示す図である。トレンチ型BIFは、中心軸を含むコア(半径r1)と、このコアを取り囲む第1光学クラッド層(半径r2)と、この第1光学クラッド層を取り囲む第2光学クラッド層(半径r3)と、この第2光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有する。トレンチ型BIFは、ジャケット層の屈折率を基準としたときに、コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、第1光学クラッド層の比屈折率差Δ2が0%以上であり、第2光学クラッド層の比屈折率差Δ3が−0.2%以下であり、Δ1>Δ2>Δ3 なる関係を満たす。このようなBIFはITU-T勧告G.657.B3を満たす。
【0024】
図2は、ディプレスト型の屈折率構造を有するBIFの屈折率分布を示す図である。ディプレスト型BIFは、中心軸を含むコア(半径r1)と、このコアを取り囲む光学クラッド層(半径r2)と、この光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有する。ディプレスト型BIFは、ジャケット層の屈折率を基準としたときに、コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、光学クラッド層の比屈折率差Δ2が−0.3%以上であり、Δ1>Δ2 なる関係を満たす。このような光ファイバはITU-T勧告G.657.A2を満たす。
【0025】
図3は、第1実施形態の光伝送路1の構成およびMPIを説明する図である。同図に示される光伝送路1は、第1光ファイバ11と、第1光ファイバ11の入射端に接続された第2光ファイバ12と、第1光ファイバ11の出射端に接続された第3光ファイバ13と、を備える。第1光ファイバ11はBIFであり、第2光ファイバ12および第3光ファイバ13それぞれは略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバである。
【0026】
同図に示されるように、第2光ファイバ12を伝搬してきた基底モード(LP01モード)は、第2光ファイバ12と第1光ファイバ11との接続部分において、その一部が高次モード(LP11モード)に結合される。第1光ファイバ11には基底モード(LP01モード)および高次モード(LP11モード)の双方が入射される。第1光ファイバ11を伝搬してきた基底モード(LP01モード)は、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13との接続部分において、その殆どが基底モード(LP01モード)に結合される。また、第1光ファイバ11を伝搬してきた高次モード(LP11モード)は、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13との接続部分において、その一部が基底モード(LP01モード)に結合される。
【0027】
したがって、第3光ファイバ13においては、第1光ファイバ11における基底モードに由来する基底モード(以下「基底成分」という。)と、第1光ファイバ11における高次モードに由来する基底モード(以下「高次成分」という。)とが干渉する。これがMPIである。MPIの大きさは、第3光ファイバにおける高次成分の強度と基底成分の強度との比で表される。
【0028】
基底成分の電界を E0exp(jφ0) と表し、高次成分の電界を αE0exp(jφ1) と表す。第3光ファイバ13における基底モード(LP01モード)の電界は下記(5a)式で表され、また、第3光ファイバ13における基底モード(LP01モード)の強度は下記(5b)式で表される。MPIは下記(6)式で表される。
【0029】
【数5】
【0030】
【数6】
【0031】
実験的には、第3光ファイバ13の導波光の強度として上記(5b)式で表される強度が観測される。第3光ファイバ13において、基底成分と高次成分との位相差が0であるとき受光強度は最大値となり、基底成分と高次成分との位相差がπであるとき受光強度は最小値となる。受光強度の最大値と最小値との比ptp(Peak to Peak)は下記(7)式で示される。(6)式を用いると、(7)式は下記(8)式で表される。
【0032】
【数7】
【0033】
【数8】
【0034】
図3に示されるように、第2光ファイバ12と第1光ファイバ11との接合部分において、第2光ファイバ12の基底モードから第1光ファイバ11の基底モードへの結合効率をη01-01,1と表し、第2光ファイバ12の基底モードから第1光ファイバ11の高次モードへの結合効率をη01-11,1と表す。第1光ファイバ11と第3光ファイバ13との接合部分において、第1光ファイバ11の基底モードから第3光ファイバ13の基底モードへの結合効率をη01-01,2と表し、第1光ファイバ11の高次モードから第3光ファイバ13の基底モードへの結合効率をη11-01,2と表す。第1光ファイバ11の長さをLとする。第1光ファイバ11における高次モードの減衰係数をα11と表す。第1光ファイバ11における高次モードの伝送損失[dB]は、10×log10(exp(−α11L)) で表される。なお、第1光ファイバ11における基底モードの減衰を0とする。
【0035】
第3光ファイバ13における基底成分の強度P01は下記(9)式で表される。第3光ファイバ13における高次成分の強度P11は下記(10)式で表される。MPIは下記(11)式で表される。この(11)式を用いると、測定系のηおよびαからMPIを予測することが可能となる。
【0036】
【数9】
【0037】
【数10】
【0038】
【数11】
【0039】
この(11)式から判るように、MPIは、結合効率η01-01,1,η01-11,1,η01-01,2,η11-01,2、第1光ファイバ11における高次モードの減衰係数α11 および第1光ファイバ11の長さLにより決定される。MPIを小さくするためには、結合効率η01-11,1および結合効率η11-01,2を可能な限り小さくし、減衰係数α11を可能な限り大きくし、Lを可能な限り長くすることが望ましい。
【0040】
結合効率は、互いに接続された2本の光ファイバのモードフィールド径の差と軸ずれ量により決まる。MPIを小さくするためには、モードフィールド径の差および軸ずれ量それぞれを小さくすることが望ましい。なお、結合効率η01-01,1,η01-01,2をdB表示したものは、接続ロスを表している。接続ロスが小さいほどMPIは良好となると言い換えることができる。
【0041】
結合効率η01-11,1は0.5以下であるのが好ましく、結合効率η11-01,2は0.5以下であるのが好ましい。また、第1光ファイバ11および第2光ファイバ12それぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下であるのが好ましい。第1光ファイバ11および第3光ファイバ13それぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下であるのが好ましい。
【0042】
第1光ファイバ11における高次モードの減衰係数α11は、第1光ファイバ11の敷設状態(与えられる曲げの径)および第1光ファイバ11の屈折率プロファイルによって決まる。上記η、α11が何れの値でも、第1光ファイバ11の長さLを長くすることで、MPIを低減することが可能となる。
【0043】
図4は、波長1310nmにおける第1光ファイバ11の長さLとMPI計算値との関係を示すグラフである。ここでは、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12との接続ロスを1.0dBとし、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13との接続ロスを1.0dBとした。このとき、η01-01,1=0.78、η01-01,2=0.78、η01-11,1=0.21、η11-01.2=0.21 であり、他モードへの結合の効率が0.01である。高次モードの減衰係数α11が異なる3種類の第1光ファイバ11を想定した。各々の減衰係数α11は0.39、1.65、5.48であった。α11=0.39の第1光ファイバ(BIF)11はG.657.B3準拠である。他の2種類の第1光ファイバ(BIF)11はG.657.A2を満たす。
【0044】
図4から判るように、第1光ファイバ11の長さLが長いほどMPIが減少する。単位長さ当たりのMPI減少量はα11に依存する。α11が小さい(LP11モードの損失が小さい)ほど、単位長さ当たりのMPI減少量は小さい。例えば、α11=0.39の第1光ファイバ11においては、長さLが7m以上であれば、MPIは−30dB未満となる。
【0045】
図5は、波長1310nmにおける接続ロスとMPI計算値との関係を示すグラフである。ここでは、第1光ファイバ11の長さLを1mとした。第1光ファイバ11の高次モードの減衰係数α11を0.39とした。第1光ファイバ11と第2光ファイバ12との接続ロスと、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13との接続ロスとが互いに等しいとした。同図から判るように、接続ロスが大きいほどMPIが悪化する。第1光ファイバ11の両端の接続ロスが0.3dB以下であれば、MPIは−30dB未満となる。
【0046】
図4および図5それぞれの計算例では、接続ロスおよびファイバ長それぞれをパラメータとしてMPI変化を示した。しかし、実使用上においては、接続ロスは、接続方法(融着、V接、メカニカルスプライス)によって決定されるので、その値の自由度が低いことが想定される。したがって、系のMPIを抑制する手法としては、あらかじめ接続状態を規定し接続ロスの取りうる範囲を限定したうえで、ファイバ長Lを最適化することが望ましい。
【0047】
そこで、上記(11)式をファイバ長Lについて整理し、実際のMPIを−30dBとする目標に対して±10dBの誤差(後述)を考慮して、MPIが−40dB未満となる最小長さLを算出する式を求めると、下記(12)式のように表される。ここで、Aは、第2光ファイバ12と第1光ファイバ11との接続ロス[dB]であり、Bは、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13との接続ロス[dB]である。この(12)式を満たす第1光ファイバ11の長さLとすることで、実際のMPIを−30dBとすることができる。
【0048】
【数12】
【0049】
各パラメータの数値例は以下のとおりである。融着接続の場合、接続ロスA,Bの値は0.3dB未満であることが想定される。その場合は、接続ロスA,Bの値として0.3を用いればよい。第1光ファイバ11における高次モードの減衰係数α11は、屈折率分布により決定されるので、ファイバ毎に異なる。加えて、減衰係数α11は波長依存性を有し、波長範囲1310〜1650nmでは長波長ほど減衰係数α11が大きくなる。したがって、MPIは波長1310nmにおいて最も大きくなる場合が多い。1310nmにおけるα11は、ITU-T勧告G.657.B3準拠のBIFにおいては、0.2〜0.5の範囲が一般的である。
【0050】
図6は、第2実施形態の光伝送路2の構成およびMPIを説明する図である。同図に示される光伝送路2は、第1光ファイバ11と、第1光ファイバ11の入射端に接続された第2光ファイバ12と、第2光ファイバ12の導波光を受光する受光器14と、を備える。第1光ファイバ11はBIFであり、第2光ファイバ12は略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバである。
【0051】
第2実施形態では、MPIは下記(13)式で表される。ここで、第2光ファイバ12と第1光ファイバ11との接合部分において、第2光ファイバ12の基底モードから第1光ファイバ11の基底モードへの結合効率をη01-01と表し、第2光ファイバ12の基底モードから第1光ファイバ11の高次モードへの結合効率をη01-11と表した。
【0052】
【数13】
【0053】
また、(13)式をファイバ長Lについて整理し、実際のMPIを−30dBとする目標に対して±10dBの誤差(後述)を考慮して、MPIが−40dB未満となる最小長さLを算出する式を求めると、下記(14)式のように表される。ここで、Aは、第2光ファイバ12と第1光ファイバ11との接続ロス[dB]である。第2実施形態の光伝送路2では、この(14)式を満たす第1光ファイバ11の長さLとすることで、実際のMPIを−30dBとすることができる。
【0054】
【数14】
【0055】
なお、BIFは、微小曲げ(例えば曲率半径R=5〜15mm)が与えられた状態での使用が想定される。その場合、BIFの微小曲げが与えられた部分において、高次モードの励振や基底モードへの再結合が発生するので、これを接続部分と同様に取り扱うことが望ましい。例えば、G.657.B3準拠のBIF(図1に示された光ファイバに対応)は、曲げ損失の規格として曲率半径R=5mmでの曲げロスが0.15dB/turn未満とされ、その曲げ部分で損失した基底モードの一部が高次モード(クラッドを伝搬するクラッドモード)として伝搬し、曲げ部分または接続部分で基底モードと再結合しMPIが発生する。したがって、上記(12)式および(14)式を曲げの影響を含めた形まで拡張することが望ましい。しかし、曲げに因る高次モードの励振や基底モードへの再結合は、接続ロスの影響と比べて一桁程度小さい。極端に曲率半径Rの小さい曲げ(曲率半径R<5mm)が短い間隔(数cm程度)連続的に与えられない限り、実使用上は上記(12)、(14)式の関係を満たすことで対応可能である。
【0056】
次に、実施例について説明する。図7は、実施例1の測定系3の概略構成を示す図である。この測定系3は、第1実施形態の光伝送路1についてMPIを実験により測定するものである。第1光ファイバ11はBIFであり、第1光ファイバ11として3種類のファイバ1〜3を用いた。第1光ファイバ11の長さLを1mとした。第2光ファイバ12および第3光ファイバ13それぞれは、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであった。第1光ファイバ11と第2光ファイバ12とを融着接続し、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13とを融着接続した。第2光ファイバ12の入射端に光源15を設け、第3光ファイバ13の出射端に受光器14を設けた。第2光ファイバ12の途中に偏波スクランブラ16を設けた。非特許文献2に記載された測定方法により波長1310nmでのMPIを測定した。また、上記(11)式により波長1310nmでのMPIを計算した。
【0057】
図8は、実施例1において第1光ファイバ11として用いた3種類のファイバ1〜3それぞれの諸元、MPI実験値およびMPI計算値などを纏めた図表である。図9は、実施例1におけるMPI実験値とMPI計算値との関係を示すグラフである。これらの図から判るように、MPI実験値とMPI計算値との誤差は±10dBの範囲である。したがって、この誤差分を考慮して、MPI計算値=−40dBとなるファイバ長Lとすることで、MPI実測値<−30dBが達成可能となる。このことから、上記(12)、(14)式を用いればよい。
【0058】
図10は、実施例2の測定系4の概略構成を示す図である。この測定系4も、第1実施形態の光伝送路1についてMPIを実験により測定するものである。第1光ファイバ11はBIFであった。各辺の長さが1mの正方形の4隅それぞれに曲率半径5mmの円柱物体を配置し、これらの周りに第1光ファイバを20回だけ巻いた。第2光ファイバ12および第3光ファイバ13それぞれは、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであった。第1光ファイバ11と第2光ファイバ12とをV溝により接続し、第1光ファイバ11と第3光ファイバ13とをV溝により接続した。第2光ファイバ12の入射端に光源15を設け、第3光ファイバ13の出射端に受光器14を設けた。第2光ファイバ12の途中に偏波スクランブラ16を設けた。
【0059】
第1光ファイバ11のカットオフ波長は約1250nmであった。測定波長は1310nmであった。接続ロスは0.3dB未満であった。曲率半径5mmでの曲げ損失は0.1dB/turn未満であった。MPIの測定値は50±3dBであった。これらから、少なくとも1mの間隔で曲率半径R=5mm相当の曲げを第1光ファイバ11に与えても、MPIは−30dB未満となる。
【0060】
実施例3では、第1光ファイバ(BIF)11に対してステープル打ち試験を行った。直径3mmのBIF内包光ファイバケーブルに対し、およそ5cm間隔でステープルを打ち、MPIの変化を測定した。図11は、実施例3におけるMPI測定値とステープル回数との関係を示す図である。同図から判るように、5cm間隔でステープルを打ちつけた場合であっても、MPI測定値に有意な変化は見られない。与えられた曲げより、光ファイバの接続部における接続ロスがMPIに対して支配的であることが分かる。
【0061】
現在、多種多様な低曲げ損失光ファイバ(BIF)が用いられているが、その用途は、多岐にわたり、長さ1〜5mといった短尺での使用も想定される。その場合、非特許文献1に記載されているように、MPIに起因する伝送エラーが発生する恐れがある。一般に10G伝送においては、MPIが−30dB未満であることがエラーフリー伝送に必要とされる。MPIの値は、BIFと他ファイバとの接続損失、BIFの高次モード(LP11モード)損失α11、およびBIFのファイバ長により決定される。したがって、本実施形態のように、系の接続損失およびBIFのα11が分かれば、あらかじめMPIが−30dB未満となる第1光ファイバ11の長さL以上とすることで、伝送エラー発生を回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1,2…光伝送路、11…第1光ファイバ、12…第2光ファイバ、13…第3光ファイバ、14…受光器、15…光源、16…偏波スクランブラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光ファイバと、前記第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、前記第1光ファイバの他端に接続された第3光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、
前記第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの接続ロスをAとし、前記第1光ファイバと前記第3光ファイバとの接続ロスをBとしたときに、前記第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、
【数1】
前記第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む第1光学クラッド層と、この第1光学クラッド層を取り囲む第2光学クラッド層と、この第2光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、前記ジャケット層の屈折率を基準としたときに、前記コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、前記第1光学クラッド層の比屈折率差Δ2が0%以上であり、前記第2光学クラッド層の比屈折率差Δ3が−0.2%以下であり、Δ1>Δ2>Δ3 なる関係を満たす、
ことを特徴とする光伝送路。
【請求項2】
前記第2光ファイバおよび前記第3光ファイバそれぞれが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバと前記汎用シングルモード光ファイバとの接続において、前記第1光ファイバのLP11モードと前記汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光伝送路。
【請求項3】
前記第2光ファイバおよび前記第3光ファイバそれぞれが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバおよび前記汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光伝送路。
【請求項4】
第1光ファイバと、前記第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、
前記第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの接続ロスをAとしたときに、前記第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、
【数2】
前記第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む第1光学クラッド層と、この第1光学クラッド層を取り囲む第2光学クラッド層と、この第2光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、前記ジャケット層の屈折率を基準としたときに、前記コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、前記第1光学クラッド層の比屈折率差Δ2が0%以上であり、前記第2光学クラッド層の比屈折率差Δ3が−0.2%以下であり、Δ1>Δ2>Δ3 なる関係を満たす、
ことを特徴とする光伝送路。
【請求項5】
前記第2光ファイバが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバと前記汎用シングルモード光ファイバとの接続において、前記第1光ファイバのLP11モードと前記汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下である、
ことを特徴とする請求項4に記載の光伝送路。
【請求項6】
前記第2光ファイバが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバおよび前記汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下である、
ことを特徴とする請求項4に記載の光伝送路。
【請求項7】
第1光ファイバと、前記第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、前記第1光ファイバの他端に接続された第3光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、
前記第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの接続ロスをAとし、前記第1光ファイバと前記第3光ファイバとの接続ロスをBとしたときに、前記第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、
【数3】
前記第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む光学クラッド層と、この光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、前記ジャケット層の屈折率を基準としたときに、前記コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、前記光学クラッド層の比屈折率差Δ2が−0.3%以上であり、Δ1>Δ2 なる関係を満たす、
ことを特徴とする光伝送路。
【請求項8】
前記第2光ファイバおよび前記第3光ファイバそれぞれが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバと前記汎用シングルモード光ファイバとの接続において、前記第1光ファイバのLP11モードと前記汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下である、
ことを特徴とする請求項7に記載の光伝送路。
【請求項9】
前記第2光ファイバおよび前記第3光ファイバそれぞれが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバおよび前記汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下である、
ことを特徴とする請求項7に記載の光伝送路。
【請求項10】
第1光ファイバと、前記第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、
前記第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの接続ロスをAとしたときに、前記第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、
【数4】
前記第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む光学クラッド層と、この光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、前記ジャケット層の屈折率を基準としたときに、前記コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、前記光学クラッド層の比屈折率差Δ2が−0.3%以上であり、Δ1>Δ2 なる関係を満たす、
ことを特徴とする光伝送路。
【請求項11】
前記第2光ファイバが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバと前記汎用シングルモード光ファイバとの接続において、前記第1光ファイバのLP11モードと前記汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下である、
ことを特徴とする請求項10に記載の光伝送路。
【請求項12】
前記第2光ファイバが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバおよび前記汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下である、
ことを特徴とする請求項10に記載の光伝送路。
【請求項1】
第1光ファイバと、前記第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、前記第1光ファイバの他端に接続された第3光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、
前記第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの接続ロスをAとし、前記第1光ファイバと前記第3光ファイバとの接続ロスをBとしたときに、前記第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、
【数1】
前記第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む第1光学クラッド層と、この第1光学クラッド層を取り囲む第2光学クラッド層と、この第2光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、前記ジャケット層の屈折率を基準としたときに、前記コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、前記第1光学クラッド層の比屈折率差Δ2が0%以上であり、前記第2光学クラッド層の比屈折率差Δ3が−0.2%以下であり、Δ1>Δ2>Δ3 なる関係を満たす、
ことを特徴とする光伝送路。
【請求項2】
前記第2光ファイバおよび前記第3光ファイバそれぞれが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバと前記汎用シングルモード光ファイバとの接続において、前記第1光ファイバのLP11モードと前記汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光伝送路。
【請求項3】
前記第2光ファイバおよび前記第3光ファイバそれぞれが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバおよび前記汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光伝送路。
【請求項4】
第1光ファイバと、前記第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、
前記第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの接続ロスをAとしたときに、前記第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、
【数2】
前記第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む第1光学クラッド層と、この第1光学クラッド層を取り囲む第2光学クラッド層と、この第2光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、前記ジャケット層の屈折率を基準としたときに、前記コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、前記第1光学クラッド層の比屈折率差Δ2が0%以上であり、前記第2光学クラッド層の比屈折率差Δ3が−0.2%以下であり、Δ1>Δ2>Δ3 なる関係を満たす、
ことを特徴とする光伝送路。
【請求項5】
前記第2光ファイバが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバと前記汎用シングルモード光ファイバとの接続において、前記第1光ファイバのLP11モードと前記汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下である、
ことを特徴とする請求項4に記載の光伝送路。
【請求項6】
前記第2光ファイバが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバおよび前記汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下である、
ことを特徴とする請求項4に記載の光伝送路。
【請求項7】
第1光ファイバと、前記第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、前記第1光ファイバの他端に接続された第3光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、
前記第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの接続ロスをAとし、前記第1光ファイバと前記第3光ファイバとの接続ロスをBとしたときに、前記第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、
【数3】
前記第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む光学クラッド層と、この光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、前記ジャケット層の屈折率を基準としたときに、前記コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、前記光学クラッド層の比屈折率差Δ2が−0.3%以上であり、Δ1>Δ2 なる関係を満たす、
ことを特徴とする光伝送路。
【請求項8】
前記第2光ファイバおよび前記第3光ファイバそれぞれが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバと前記汎用シングルモード光ファイバとの接続において、前記第1光ファイバのLP11モードと前記汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下である、
ことを特徴とする請求項7に記載の光伝送路。
【請求項9】
前記第2光ファイバおよび前記第3光ファイバそれぞれが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバおよび前記汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下である、
ことを特徴とする請求項7に記載の光伝送路。
【請求項10】
第1光ファイバと、前記第1光ファイバの一端に接続された第2光ファイバと、が敷設された光伝送路であって、
前記第1光ファイバのLP11モードの波長1310nmにおける減衰係数をα11とし、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの接続ロスをAとしたときに、前記第1光ファイバの長さL[m]は下記の式を満たし、
【数4】
前記第1光ファイバは、中心軸を含むコアと、このコアを取り囲む光学クラッド層と、この光学クラッド層を取り囲むジャケット層とを有し、前記ジャケット層の屈折率を基準としたときに、前記コアの比屈折率差Δ1が0.25〜0.37%であり、前記光学クラッド層の比屈折率差Δ2が−0.3%以上であり、Δ1>Δ2 なる関係を満たす、
ことを特徴とする光伝送路。
【請求項11】
前記第2光ファイバが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバと前記汎用シングルモード光ファイバとの接続において、前記第1光ファイバのLP11モードと前記汎用シングルモード光ファイバのLP01モードとの結合効率が0.5以下である、
ことを特徴とする請求項10に記載の光伝送路。
【請求項12】
前記第2光ファイバが、略ステップ型の屈折率構造を有する汎用シングルモード光ファイバであり、
前記第1光ファイバおよび前記汎用シングルモード光ファイバそれぞれの波長1310nmにおけるモードフィールド径の差が1μm以下である、
ことを特徴とする請求項10に記載の光伝送路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−68747(P2013−68747A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206526(P2011−206526)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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