説明

光出力モジュール

【課題】位相変調される第1の光信号と位相変調される第2の光信号との位相差が所期の位相差に調整されるまでの所要時間、が長くならないようにする。
【解決手段】バイアス設定回路(10)は、変化量検出回路(24)により検出される合成光信号のパワーの変化量が小さくなるように、変化量検出回路(24)により検出される変化量に応じた量のバイアス電圧の増加、又は、変化量検出回路(24)により検出される変化量に応じた量のバイアス電圧の減少、の選択的な実行を繰り返し行う。但し、バイアス設定回路(10)は、検出器(16)により検出される合成光信号のパワーが所定パワー以上である間、変化量検出回路(24)により検出される変化量に応じた量のバイアス電圧の増加又は変化量検出回路(24)により検出される変化量に応じた量のバイアス電圧の減少、の選択的な実行を繰り返し行う代わりに、バイアス電圧の増加の実行を繰り返し行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光出力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及による近年の通信トラフィック増加に伴い、次世代の伝送速度である40Gbit/sでデータを伝送することの可能な装置の開発が進んでいる。これを受け、既存のWDM(Wavelength Division Multiplexing)伝送システムにおいて、OOK(On−Off Keying)方式に代わる変調方式として、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式やDQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)方式等の位相変調方式が注目されている。
【0003】
図3は、QPSK光信号又はDQPSK光信号を出力する光出力モジュール100の基本構成を例示する図である。光モジュール100は、光信号を発するレーザ102と、位相変調器104aと、位相変調器104bと、直交用移相器106と、バイアス設定回路108と、を含む。位相変調器104a及び位相変調器104bは、DQPSK方式又はQPSK方式の位相変調を行う位相変調器である。
【0004】
光出力モジュール100では、レーザ102から発された光信号が2つに分岐され、一方の光信号(以下、第1の光信号と呼ぶ)が位相変調器104aに入力され、他方の光信号(以下、第2の光信号)が位相変調器104bに入力される。位相変調器104aは、自身に入力される変調信号に基づいて、第1の光信号を位相変調し、位相変調器104bは、自身に入力される変調信号に基づいて、第2の光信号を位相変調する。
【0005】
位相変調が施された第2の光信号は直交用移相器106に入力され、直交用移相器106が、第2の光信号と第1の光信号との位相差をπ/2にするために、第2の光信号の位相をバイアス設定回路108から供給されるバイアス電圧に基づいてシフトする。そして、位相変調が施された第1の光信号と、位相変調と位相シフトとが施された第2の光信号と、の合波により生成される合成光信号が出力される。
【0006】
このような光モジュール100では、同じバイアス電圧を用いたとしても、第1の光信号と第2の光信号との位相差が周辺温度などの環境に応じて変化する。そこで、位相差がπ/2になるよう位相シフト量を調整するために、バイアス電圧を調整することが行われている(例えば、下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−82094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図4は、合成光信号のパワーPと直交用移相器106に供給される電圧との関係を例示する図である。縦軸がパワーPを示し、横軸が直交用移相器106に供給される電圧を示している。なお、同図では、合成光信号のパワーPを電圧として示している。また、直交移相器106に供給される電圧がV1又はV2であるときに、パワーPが極小になり、直交移相器106に供給される電圧がV3又はV4であるときに、パワーPが極大になっている。
【0009】
以下、パワーPが極小になる電圧V1及びV2を総称して、ロック電圧VAと呼ぶ場合がある。また、パワーPが極大になる電圧V3及びV4を総称して、誤ロック電圧VBと呼ぶ場合がある。
【0010】
位相差がπ/2になる場合、合成光信号のパワーPが極小になることがわかっている。そのため、位相差をπ/2に収束させるためには、バイアス電圧をロック電圧VAへと調整するようにするとよい。
【0011】
そして、バイアス電圧をロック電圧VAへと調整するためには、以下で説明する方法を採用することが考えられる。
【0012】
すなわち、図5に示すように、バイアス設定回路108に低周波信号であるパイロット信号を供給することにより、バイアス電圧にパイロット信号を付加する。また、光出力モジュール100に、合成光信号を受光するモニタフォトダイオード110(モニタPD)と、検出器112と、制御回路114と、を備えさせる。検出器112は、モニタPD110の出力信号に基づいて合成光信号のパワーPを検出する。
【0013】
また、制御回路114は、検出器112が検出したパワーPに基づいて、パイロット信号の変化によるパワーPの変化量ΔPを検出する。図6に、変化量ΔPを例示した。
【0014】
また、制御回路114は、変化量ΔPに基づいてバイアス電圧を補正し続ける。具体的には、制御回路114は、変化量ΔPが小さくなるよう、変化量ΔPに応じた量のバイアス電圧の増加又は減少を選択的に実行する。より詳しくは、制御回路114は、パイロット信号の電圧が最大となるときのパワーPの値「P1」がパイロット信号の電圧が最小となるときのパワーPの値「P2」以上である場合、変化量ΔPに応じた量のバイアス電圧の増加を実行し、「P1」が「P2」未満である場合、変化量ΔPに応じた量のバイアス電圧の減少を実行する。
【0015】
図6に示すように、バイアス電圧がロック電圧VA付近の電圧である場合、変化量ΔPはわずかしかないので、バイアス電圧の増加量(又は減少量)はわずかとなる。そのため、バイアス電圧は、ロック電圧VAに徐々に近づいていき、バイアス電圧とロック電圧VAとの差がある程度小さくなった後は、ロック電圧VAの近辺で微少変化し続けることとなる。つまり、バイアス電圧がロック電圧VAに収束することとなる。
【0016】
ところで、初期のバイアス電圧が、パワーPが極大となる誤ロック電圧VB付近の電圧に設定された場合を想定する。図6に示すように、バイアス電圧がロック電圧VA付近の電圧であるときだけでなく、バイアス電圧が誤ロック電圧VBの付近の電圧であるときもまた変化量ΔPはわずかである。そのため、この場合、比較的長い時間、バイアス電圧が誤ロック電圧VBの近辺に留まり続けてしまい、バイアス電圧がロック電圧VAに収束するまでにかかる時間、すなわち、位相差がπ/2に調整されるまでにかかる時間が長くなる可能性がある。また場合によってはバイアス電圧が誤ロック電圧VBに収束してしまい、位相差をπ/2に調整することができなくなる可能性もある。
【0017】
本発明の目的は、位相変調される第1の光信号と位相変調される第2の光信号との位相差が所期の位相差に調整されるまでの所要時間、が長くならないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明に係る光出力モジュールは、光源から出力される光信号に基づく第1の光信号を、第1の変調信号に基づいて位相変調する第1の位相変調手段と、前記光源から出力される前記光信号に基づく第2の光信号を、第2の変調信号に基づいて位相変調する第2の位相変調手段と、低周波信号であるパイロット信号を発生するパイロット信号発生手段と、バイアス信号に前記パイロット信号を付加した駆動信号に基づいて、前記第2の光信号の位相をシフトする移相手段と、前記第1の位相変調手段による位相変調が施された前記第1の光信号と、前記第2の位相変調手段による位相変調と前記移相手段による位相シフトとが施された前記第2の光信号と、を合波した光信号である合成光信号、のパワーを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記パイロット信号による前記合成光信号のパワー変化、の変化量を検出する変化量検出手段と、前記変化量検出手段により検出される変化量が小さくなるように、前記変化量に応じた量の前記バイアス電圧の増加、又は、前記変化量に応じた量の前記バイアス電圧の減少、の選択的な実行を繰り返し行うバイアス電圧制御手段と、を含み、前記合成光信号を出力する光出力モジュールであって、前記バイアス電圧制御手段が、前記検出手段により検出されるパワーが前記所定パワー以上である間、前記変化量に応じた量の前記バイアス電圧の増加又は前記変化量に応じた量の前記バイアス電圧の減少、の選択的な実行を繰り返し行う代わりに、前記バイアス電圧の増加の実行と前記バイアス電圧の減少の実行とのうちの一方を繰り返し行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る光出力モジュールの構成を例示する図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る光出力モジュールの構成を例示する図である。
【図3】光出力モジュールの基本構成を例示する図である。
【図4】合成光信号のパワーと直交用移相器に供給される電圧との関係を例示する図である。
【図5】光出力モジュールの構成を例示する図である。
【図6】変化量ΔPを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態1]
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態(以下、実施形態1という)を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、実施形態1に係る光出力モジュール2の構成を例示する図である。同図に示すように、光出力モジュール2は、レーザ4(光源)を備える。レーザ4は、光信号を出力する。
【0022】
また、光出力モジュール2は、位相変調器6a(第1の位相変調手段)と、位相変調器6b(第2の位相変調手段)と、を備える。位相変調器6aには、第1のデータに対応する第1の変調制御信号(不図示)が入力され、位相変調器6bには、第2のデータに対応する第2の変調制御信号(不図示)が入力される。
【0023】
この光出力モジュール2では、レーザ4から出力される光信号が2つに分岐し、一方の光信号(以下、第1の光信号と記載する)が位相変調器6aに入力され、他方の光信号(以下、第2の光信号と記載する)が位相変調器6bに入力される。位相変調器6aは、第1の変調制御信号に基づいて第1の光信号を位相変調し、位相変調器6bは、第2の変調制御信号に基づいて第2の光信号を位相変調する。なお、位相変調器6a及び位相変調器6bが行う位相変調は、例えば、DQPSK方式又はQPSK方式の位相変調である。
【0024】
また、光出力モジュール2は、バイロット信号発生器12を備える。パイロット信号発生器12は、一定振幅の低周波信号であるパイロット信号を発生する。
【0025】
また、光出力モジュール2は、バイアス設定回路10(バイアス電圧制御手段)を備える。バイアス設定回路10は、バイアス電圧にパイロット信号を付加し、バイアス電圧にパイロット信号を付加した信号(以下、駆動信号と記載する)を生成する。
【0026】
また、光出力モジュール2は、直交用移相器8を備える。直交用移相器8は、第1の光信号と第2の光信号との位相差がπ/2になるようにするために、駆動信号に従って、第2の光信号の位相をシフトする。
【0027】
光出力モジュール2では、位相変調器6aによる位相変調が施された第1の光信号と、位相変調器6bによる位相変調と直交用移相器8による位相シフトとが施された第2の光信号と、が合波され、合成光信号が生成される。光出力モジュール2は、この合成光信号を出力することとなる。
【0028】
また、光出力モジュール2は、合成光信号を受光するモニタフォトダイオード14(以下、モニタPD14)を備える。モニタPD14は、受光した合成光信号のパワーに応じた電流を出力する。
【0029】
また、光出力モジュール2は、合成光信号のパワーPを電圧信号として検出する検出器16(検出手段)を備える。検出器16は、モニタPD14から出力される電流に基づいて、合成光信号のパワーPを検出し、パワーPを示す電圧信号を繰り返し出力する。
【0030】
また、光出力モジュール2は、制御回路18を備えている。制御回路18の意義については後述する。
【0031】
図4は、合成光信号のパワーPとバイアス電圧との関係を例示する図である。縦軸がパワーPを示し、横軸がバイアス電圧を示している。図4に示すように、バイアス電圧がロック電圧VAであるV1又はV2であるときに、パワーPが極小になり、バイアス電圧が誤ロック電圧VBであるV3又はV4であるときに、パワーPが極大になる。また、図6に示すように、バイアス電圧がロック電圧VA付近にあるとき、バイロット信号の電圧変化によってパワーPが変化する量(以下、変化量ΔPと記載する)は微少量となり、バイアス電圧がロック電圧VA付近にないとき、変化量ΔPは比較的大きくなる。
【0032】
第1の光信号と第2の光信号との位相差がπ/2である場合、合成光信号のパワーPが極小になることがわかっている。従って、バイアス電圧をロック電圧VAへと調整すれば、第1の光信号と第2の光信号との位相差をπ/2に収束させることが可能になる。
【0033】
バイアス電圧をロック電圧VAに収束させるためには、バイアス電圧とロック電圧VAとの差に応じた補正量でバイアス電圧を増加させたり減少させたりすることが考えられる。すなわち、バイアス電圧がロック電圧VA未満である場合、バイアス電圧とロック電圧VAとの差が小さいほど少ない増加量でバイアス電圧を増加させ、バイアス電圧がロック電圧VA以上である場合、バイアス電圧とロック電圧VAとの差が小さいほど少ない減少量でバイアス電圧を減少させることが考えられる。
【0034】
上述のように、バイアス電圧がロック電圧VA付近にあるとき、すなわち、バイアス電圧とロック電圧VAとの差が小さいとき、変化量ΔPは小さい。従って、変化量ΔPに応じた補正量でバイアス電圧を増加させたり減少させたりすれば、バイアス電圧とロック電圧VAとの差に応じた補正量でバイアス電圧を増加させたり減少させたりすることが可能になり、結果として、バイアス電圧をロック電圧VAに収束させることが可能になると考えられる。
【0035】
そこで、この光出力モジュール2では、バイアス設定回路10が、変化量ΔPに応じた補正量のバイアス電圧の増加、又は、変化量ΔPに応じた補正量のバイアス電圧の減少、の選択的な実行を繰り返し行うようになっている。すなわち、この光出力モジュール2では、パイロット信号の電圧が最大となるときのパワーPの値「P1」(図6参照)がパイロット信号の電圧が最小となるときのパワーPの値「P2」以上である場合、変化量ΔPに応じた補正量分、バイアス電圧を増加させ、「P1」が「P2」未満である場合、変化量ΔPに応じた補正量分、バイアス電圧を減少させるようになっている。
【0036】
しかしながら、図6に示すように、バイアス電圧が誤ロック電圧VB付近にあるとき、例えば、パワーPが2.4ボルト以上であるとき、バイアス電圧がロック電圧VA付近にあるときと同様に、変化量ΔPは小さい。そのため、「変化量ΔPに応じた補正量のバイアス電圧の増加、又は、変化量ΔPに応じた補正量のバイアス電圧の減少、の選択的な実行」が常に行われるようにすると、例えば初期のバイアス電圧が誤ロック電圧VB付近の電圧である場合、バイアス電圧が誤ロック電圧VBの近辺に比較的長時間留まり続ける場合がある。そのため、バイアス電圧がロック電圧VAに収束するまでにかかる時間、すなわち、第1の光信号と第2の光信号との位相差がπ/2に調整されるまでにかかる時間が長くなる可能性がある。また場合によってはバイアス電圧が誤ロック電圧VBの近辺にいつまでも留まり続け、位相差をπ/2に調整することができなくなる可能性もある。
【0037】
そこで、この光出力モジュール2では、バイアス設定回路10が、パワーPが2.4ボルト以上である間は、「変化量ΔPに応じた補正量のバイアス電圧の増加、又は、変化量ΔPに応じた補正量のバイアス電圧の減少、の選択的な実行」を繰り返し行う代わりに、バイアス電圧の増加の実行を繰り返し行うようになっている。そのため、初期のバイアス電圧が誤ロック電圧VB付近の電圧ある場合に、バイアス電圧が誤ロック電圧VBの近辺に長時間留まり続けるような事態の発生が抑制されるようになっている。
【0038】
以下、バイアス設定回路10を以上のように動作させるための制御回路18の構成について説明する。
【0039】
制御回路18は、比較回路20と、第1補正電圧出力回路22と、変化量検出回路24と、第2補正電圧出力回路26と、を備える。
【0040】
比較回路20は、検出器16がパワーPを出力するたびに、パワーPと予め定められた基準パワー(ここでは、2.4ボルト)とを比較し、比較結果を第1補正電圧出力回路22及び変化量検出回路24へと出力する。
【0041】
変化量検出回路24は、パワーPが基準パワー未満である場合、すなわち、バイアス電圧が誤ロック電圧VB付近の電圧でない場合、変化量ΔPを検出する。また、検出した変化量ΔPを平滑化して第2補正電圧出力回路26に渡す。そして、第2補正電圧出力回路26が、変化量ΔPに応じた電圧を有する第2補正信号を生成し、バイアス設定回路10へと出力する。例えば、第2補正電圧出力回路26は、変化量ΔPにループ利得を乗算し、乗算結果に応じた電圧を有する上記第2補正信号を生成し、バイアス設定回路10へと出力する。
【0042】
一方、第1補正電圧出力回路は、パワーPが基準パワー以上である場合、すなわち、バイアス電圧が誤ロック電圧VB付近の電圧である場合、予め設定された電圧を有する第1補正信号をバイアス設定回路10へと出力する。
【0043】
このように、パワーPが基準パワー未満である場合、変化量Pに応じた電圧を有する第2補正信号がバイアス設定回路10へと出力され、パワーPが基準パワー以上である場合、予め定められた電圧を有する第1補正信号がバイアス設定回路10へと出力される。
【0044】
第1補正信号又は第2補正信号が入力されるたびに、バイアス設定回路10は、バイアス電圧を補正する。具体的には、第2補正信号が入力された場合、バイアス設定回路10は、現在のバイアス電圧への第2補正信号の加算、又は、現在のバイアス電圧からの第2補正信号の減算、を選択的に実行する。すなわち、バイアス設定回路10は、「P1」(図6参照)が「P2」(図6参照)以上である場合、現在のバイアス電圧に第2補正信号を加算し、「P1」が「P2」未満である場合、現在のバイアス電圧から第2補正信号を減算する。一方、第1補正信号が入力された場合、バイアス設定回路10は、現在のバイアス電圧に第1補正信号を加算する。第1補正信号の加算は、パワーPが基準パワー未満になるまで実行され続ける。
【0045】
ちなみに、以上では、第1補正信号がバイアス電圧に加算されるようになっているが、第1補正信号がバイアス電圧から減算されてもよい。
【0046】
なお、本発明の実施形態は、以上で説明した実施形態1だけに限らない。
【0047】
[実施形態2]
図2は、本発明の他の実施形態(以下、実施形態2と呼ぶ)に係る光出力モジュール2の構成を例示する図である。実施形態2では、バイアス設定回路10は、パワーPが基準パワー以上であるか否かに関わらず、「変化量ΔPに応じた補正量のバイアス電圧の増加、又は、変化量ΔPに応じた補正量のバイアス電圧の減少、の選択的な実行」を常に行い続ける。
【0048】
但し、実施形態2では、バイアス電圧が誤ロック電圧VB付近の電圧であるときのバイアス電圧の補正量が小さくなりすぎないようにするために、パイロット信号発生回路12が、パワーPに応じてパイロット信号の振幅を変化させる。より詳しくは、パイロット信号発生器12は、パワーPが大きいほどパイロット信号の振幅を大きくする。こうすることにより、変化量ΔPが小さくなりすぎてバイアス電圧の補正量が小さくなりすぎるようなことがないように図るとともに、バイアス電圧が誤ロック電圧VBの近辺に長時間留まり続けるような事態の発生の抑止を図る。
【0049】
以下、バイアス設定回路10及びパイロット信号発生器12を以上のように動作させるための制御回路18の構成について説明する。
【0050】
図2に示すように、実施形態2では、比較回路20及び第1補正電圧発生回路22が削除される代わりに、制御回路18にバイロット信号振幅制御回路28が備えられる。
【0051】
また実施形態2では、変化量検出回路24が、パワーPが基準パワー以上であるか否かに関わらず、パワーPが制御回路18に入力されるたびに変化量ΔPを検出し、検出した変化量ΔPを平滑化して第2補正電圧出力回路26に渡す。そのため、実施形態2では、常に、上記第2補正信号がバイアス設定回路10へと出力されつづける。
【0052】
また実施形態2では、パイロット信号振幅制御回路28が、パワーPが制御回路18に入力されるたびに、パイロット信号の振幅を制御するための制御信号をパワーPに基づいて生成し、パイロット信号発生器12へと出力する。パイロット信号発生器12は、制御信号に従って、パワーPが大きいほどパイロット信号の振幅を大きくなるようにパイロット信号の振幅を更新することとなる。
【符号の説明】
【0053】
2 光出力モジュール、4 レーザ、6a,6b 位相変調器、8 直交用移相器、10 バイアス設定回路、12 パイロット信号発生器、14 モニタPD、16 検出器、18 制御回路、20 比較回路、22 第1補正電圧出力回路、24 変化量検出回路、26 第2補正電圧出力回路、28 パイロット信号振幅制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出力される光信号に基づく第1の光信号を、第1の変調信号に基づいて位相変調する第1の位相変調手段と、
前記光源から出力される前記光信号に基づく第2の光信号を、第2の変調信号に基づいて位相変調する第2の位相変調手段と、
低周波信号であるパイロット信号を発生するパイロット信号発生手段と、
バイアス信号に前記パイロット信号を付加した駆動信号に基づいて、前記第2の光信号の位相をシフトする移相手段と、
前記第1の位相変調手段による位相変調が施された前記第1の光信号と、前記第2の位相変調手段による位相変調と前記移相手段による位相シフトとが施された前記第2の光信号と、を合波した光信号である合成光信号、のパワーを検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記パイロット信号による前記合成光信号のパワー変化、の変化量を検出する変化量検出手段と、
前記変化量検出手段により検出される変化量が小さくなるように、前記変化量に応じた量の前記バイアス電圧の増加、又は、前記変化量に応じた量の前記バイアス電圧の減少、の選択的な実行を繰り返し行うバイアス電圧制御手段と、を含み、
前記合成光信号を出力する光出力モジュールであって、
前記バイアス電圧制御手段は、
前記検出手段により検出されるパワーが前記所定パワー以上である間、前記変化量に応じた量の前記バイアス電圧の増加又は前記変化量に応じた量の前記バイアス電圧の減少の選択的な実行を繰り返し行う代わりに、前記バイアス電圧の増加の実行と前記バイアス電圧の減少の実行とのうちの一方を繰り返し行うこと、
を特徴とする光出力モジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−227729(P2012−227729A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93451(P2011−93451)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(301005371)日本オクラロ株式会社 (311)
【Fターム(参考)】