説明

光加工装置

【課題】アパーチャーマスクの損傷を防止しつつ、光強度を過度に低下させることなく光ファイバから出射される光をアパーチャーマスクに入射させることができる光加工装置を提供する。
【解決手段】YAGレーザ装置1と、YAGレーザ装置1から発した光を伝送する光ファイバ7と、光ファイバ7から出射した光を部分的に遮光するアパーチャーマスク64と、アパーチャーマスク64の開口64aを通過した光を集光してワークW上に結像する結像光学系66とを備えた光加工装置において、アパーチャーマスク64を光ファイバ7の光出射端72から離して配置し、光ファイバ7から出射してアパーチャーマスク64に入射しようとする光の発散を抑制する広がり補正光学系63を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アパーチャーマスクを通過した光を集光して加工対象物上に結像することにより加工対象物を加工する光加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の光加工装置として、光源としてレーザから発したステップインデックス型のレーザ光を光ファイバでガイドし、光ファイバの光出射端に接するように取り付けたアパーチャーマスクを通過した光を集光して加工対象物上に所定の倍率で結像するものが知られている。この光加工装置では、アパーチャーマスクの開口形状に対応した加工パターンで加工対象物を加工することができる。また、ステップインデックス型のレーザ光を通した光を用いているので、光ファイバから出射した光の進行方向と直交する断面でのエネルギー分布が均一になる。したがって、アパーチャーマスクの開口形状に対応した加工パターンを均一に加工できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の光加工装置で用いる光ファイバから出射される光は、レーザーから直接出射されるレーザビームとは異なり広い発散角で発散し、光ファイバの光出射端から離れるにつれて光強度が急激に低下していく。そのため、アパーチャーマスクを光ファイバの光出射端に接するように取り付け、光ファイバから出射される光を、その光強度を低下させることなくアパーチャーマスクに入射させるようにしている。ところが、アパーチャーマスクを光ファイバの光出射端に取り付けると、光ファイバから出射される光でアパーチャーマスクが損傷を受けるおそれがあるという問題点があった。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、アパーチャーマスクの損傷を防止しつつ、光強度を過度に低下させることなく光ファイバから出射される光をアパーチャーマスクに入射させることができる光加工装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、光源と、該光源から発した光を伝送する光ファイバと、該光ファイバから出射した光を部分的に遮光するアパーチャーマスクと、該アパーチャーマスクの開口を通過した光を集光して加工対象物上に結像する結像手段とを備えた光加工装置において、該アパーチャーマスクを該光ファイバの光出射端から離して配置し、該光ファイバから出射して該アパーチャーマスクに入射しようとする光の発散を抑制する光発散抑制手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の光加工装置において、上記アパーチャーマスクの開口の縁で回折して上記結像手段に入射しようとする回折光を遮る回折光遮手段を設けたことを特徴とするものである。
請求項1の光加工装置では、アパーチャーマスクを光ファイバの光出射端から離して配置することにより、光ファイバの光出射端から出射した直後の光強度の強い光がアパーチャーマスクに当たらないようにする。そして、光ファイバから出射してアパーチャーマスクに入射しようとする光の発散を光発散抑制手段で抑制することにより、アパーチャーマスクに入射する光の強度を過度に低下させないようにする。
請求項2の光加工装置では、アパーチャーマスクの開口の縁で回折して結像手段に入射しようとする回折光を回折光遮蔽手段で遮ることにより、加工対象物上の加工パターンの周辺部に上記回折光が照射されないようにする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、固体レーザであるYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザを用いた光加工装置であるレーザ加工装置に適用した一実施形態について説明する。以下、ガラス板等からなる基体上にITO(インジウム酸化スズ)からなる透明導電層を形成した加工対象物であるワークWに対し、レーザ加工装置を用いて部分的にITOをガラスから除去して透明電極パターンを形成する場合について説明する。この透明電極パターンが形成されたガラス板は、PDP(プラズマディスプレイパネル)、LCD(液晶ディスプレイ)、タッチパネルなどに用いられる。
【0007】
図2は、本実施形態に係るレーザ加工装置全体の概略構成図である。このレーザ加工装置は、YAGレーザ装置1、ワーク保持装置2、ワーク移載装置3、XYテーブル4、制御手段を構成するメインコントローラ5、加工ヘッド装置6、ステップインデックス型の光ファイバ7から主に構成されている。上記XYテーブル4は、ワークWに対するレーザ光照射ポイントとワークWとを相対移動させる相対移動手段として用いている。
【0008】
図3は、上記YAGレーザ装置1を示す概略構成図である。YAGレーザ装置1は、光源であるYAGレーザ発振器10と、YAGレーザ発振器10から発したレーザ光を光ファイバ7の光入射端に案内するレーザ光入射ガイド部11とから構成されている。
YAGレーザ発振器10は、適量のNd(ネオジウム)が添加されたYAGの棒状結晶体であるレーザロッド及びこれの励起用のランプを内蔵するレーザチャンバ12と、これから発せられる誘導放出光の光路に沿って所定の距離を隔てて対向配置されたフロントミラー13及びリアミラー14を備えている。また、リアミラー14とレーザチャンバ12との間には、シャッタ15及びQスイッチ16が取り付けられている。フロントミラー13は、一部の光の透過が可能な反射率を有するミラーであり、レーザチャンバ12の光路にその鏡面の中心を正対せしめて取り付けてある。リアミラー14は、実質的な全反射が可能な鏡面を有しており、フロントミラー13と対向するように取り付けてある。シャッタ15は、レーザチャンバ12の光路を遮断するものである。Qスイッチ16は、フロントミラー13とリアミラー14との間での共振器のQ値を瞬間的に高め、高出力のレーザパルスを取り出すものである。加工条件によっては、このQスイッチ16を用いなくてもよい。
なお、上記YAGレーザ発振器10の構成は一例であって、これに限られるものではない。他の構成としては、例えばLD励起を用いたものがある。
【0009】
レーザ光入射ガイド部11は、レーザビームエキスパンダ17及び集光レンズ18を備えている。YAGレーザ発振器10から出射されたレーザ光は、レーザビームエキスパンダ17によってそのビーム径が拡大された後、集光レンズ18により、ステップインデックス型の光ファイバ7の光入射端71(コア部端面)に案内される。光ファイバ7の光出射端(コア部端面)から出射するレーザ光は、後述する加工ヘッド装置6を通ってそれぞれXYテーブル4上のワークWに対して照射される。
【0010】
上記ステップインデックス型の光ファイバ7は、軸芯部のコアがその外周部のクラッド層よりも屈折率が大きく、そのコアとクラッド層との境界で屈折率がステップ上に変化しているものである。このステップインデックス型の光ファイバ7のコアにレーザ光を絞って入射すると、レーザ光の互いに異なる角度で入射した複数の光成分がコアとクラッド層との境界で多重に反射されながらコア内を伝送される。このようにレーザ光の複数の光成分が光ファイバ7のコア内で多重に反射されながら伝送されることにより、光ファイバ7の光出射端から出射したレーザ光の断面におけるエネルギー密度は均一になっている。
【0011】
なお、本実施形態では、1つのYAGレーザ発振器10から出射される1本のレーザ光を用いて加工する構成を採用しているが、複数のレーザ光をワークに照射して加工するように構成してもよい。例えば、1つのYAGレーザ発振器10から出射されるレーザ光を複数に分割して複数の光ファイバ及び加工ヘッド装置を介してワークWに照射するように構成してもよい。また、複数のYAGレーザ発振器のそれぞれから出射される複数のレーザ光をワークWに照射するように構成してもよい。
【0012】
図4は、ワーク保持装置2を図2中の上側から見た平面図である。このワーク保持装置2は、ワークWをワーク台20に保持し、加工中に位置がズレないようにする役割を果たすものである。図2に示したXYテーブル本体41に固設されたワーク台20には、一対の固定ガイド21,22及び一対の可動ガイド23,24が配設されている。これらの固定ガイド21,22及び可動ガイド23,24はコの字状の形態を成している。そのコの字状の先端部にそれぞれ、円筒面が回動可能なカムフォロア21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24bが設けられている。これらのカムフォロアの円筒面がワーク端面に転がり接触するので、ガイドがワークに摺動接触する場合に比べ、位置決め時にワークのスムーズな位置決めが可能となる。そして、ワーク台20にワークWがセットされると、可動ガイド23,24によってワークWが固定ガイド21,22側に押圧され、ワークWがワーク台20に保持される。
【0013】
上記ワーク移載装置3は、ワーク台20に対するワークの装着及び取外しを行うものである。図2に示すように、複数の吸着パッド31でワーク上面を真空吸着しながら搬送するようになっている。
上記XYテーブル4は、XYテーブル本体41、XYテーブル本体41を制御するXYテーブルコントローラ42とから主に構成されている。XYテーブル本体41には、上述したようにワーク保持装置2が配設されている。
上記メインコントローラ5は、本レーザ加工装置全体を制御するものであり、YAGレーザ装置1、ワーク移載装置3、XYテーブルコントローラ42、後述する加工ヘッド装置6が接続されている。
【0014】
図5は、本実施形態におけるXYテーブル4の要部の概略構成を示す側面図である。
XYテーブル4は、加工ヘッド装置6に対してワークWが保持されたワーク台20をX軸方向(図中紙面方向)及びY軸方向(図中左右方向)に相対移動させるものである。ワーク台20は、リニアモータ43の駆動により、ワークWを載置した状態でX軸方向に移動する。この移動の際、ワーク台20は、ガイド44に案内されることで、移動台45上をX軸方向に沿って直線状に移動する。一方、移動台45も、ワーク台20と同様に、図示しないリニアモータの駆動によりワーク台20を載置した状態でY軸方向に直線状に移動する。
【0015】
移動台45の上面には、リニアスケール46を保持するスケール保持部47が固定配置されている。リニアスケール46の目盛り方向はX軸方向に平行である。一方、ワーク台20の下面には、位置検出センサ48が取り付けられたセンサ保持部49が固定されている。位置検出センサ48は、リニアスケール46と対向するように配置されている。この位置検出センサ48としては、例えば反射型光学センサを用いることができ、この場合、リニアスケール46上の目盛りによってON/OFF信号をXYテーブルコントローラ42に出力する。XYテーブルコントローラ42は、その信号に基づいてリニアモータ43の駆動を制御し、加工ヘッド装置6に対してワークWを相対移動させ、X軸方向における位置決めを行う。なお、Y軸方向についても同様である。
【0016】
次に、本発明の特徴部分である加工ヘッド装置6の構成について説明する。
図1(a)及び図1(b)はそれぞれ加工ヘッド装置6に設けられる加工ヘッド60の正面図及び側面図である。加工ヘッド60は、可動ヘッド部61と、その可動ヘッド部を直線移動させる移動手段としてのリニア駆動装置62とから構成されている。
可動ヘッド部61は、光ファイバ7の先端部を保持するファイバ保持部70、光発散抑制手段としての広がり補正光学系63、アパーチャーマスク64、回折光遮蔽手段としての仕切り板65、結像手段としての結像光学系66などから構成されている。アパーチャーマスク64は、光ファイバ7から出射した光を部分的に遮光してレーザ光の断面形状を所定の形状に整形するものであり、光ファイバ7の光出射端72から離して配置されている。広がり補正光学系63は、両面凸状のレンズや片面が平面でもう一方の面が凸状のレンズ等で構成され、光ファイバ7から出射してアパーチャーマスク64に入射しようとするレーザ光の発散を抑制するものである。また、仕切り板65は、アパーチャーマスク64の開口の縁で回折して結像光学系66に入射しようとする回折光を遮るものである。また、結像光学系66は、アパーチャーマスク64の開口を通過したレーザ光を集光してワークW上に結像するものである。本実施形態では、結像光学系66の倍率を1/2に設定しているが、この倍率に限られるものではない。
【0017】
上記リニア駆動装置62は、リニアモータ67、2つのリニアガイド68、支持台69から主に構成されている。可動ヘッド部61は、リニアモータ67の駆動により、図1(a)中横方向(図1(b)中では紙面に対して垂直方向)に移動する。この移動の際、可動ヘッド部61は、リニアガイド68に案内されることで支持台69上を直線状に移動する。本実施形態では、可動ヘッド部61は、リニアガイド68に案内される方向にのみ移動可能である。
【0018】
上記支持台69上には、上述したXYテーブル4と同様の図示しないリニアスケールが固定配置されている。このリニアスケールの目盛り方向は、リニアガイド68と平行である。一方、支持台69に対向する可動ヘッド部61の面上には、上述したXYテーブル4と同様の位置検出センサが固定されている。位置検出センサは、リニアスケールと対向するように配置されている。この位置検出センサには、上述したXYテーブル4と同様のものを用いることができる。本実施形態では、反射型光学センサを用いている。位置検出センサは、リニアスケール上の目盛りによるON/OFF信号を、リニアモータ67のモータコントローラに出力する。モータコントローラは、その信号に基づいてリニアモータ67の駆動を制御し、可動ヘッド部61を直線移動させ、その移動方向における位置決めを行う。
【0019】
図6に示すように、上記光ファイバ7の光出射端(コア部端面)72から出射されたレーザ光Lは、広がり補正光学系63でそのレーザ光の発散が抑制された後、所定形状の開口64aが形成されたアパーチャーマスク64によって所定形状に整形される。アパーチャーマスク64をレーザ光Lが通過するときアパーチャーマスク64の開口64aの縁でレーザ光の回折が発生するが、この回折光Ldは仕切り板65で遮られる。このように回折光Ldが遮られたレーザ光Lは結像光学系66によって集光され、XYテーブル4上のワークW上に結像されるように照射される。このレーザ光Lの照射により、アパーチャーマスク64の開口の形状に対応した加工パターンでワークW上のITO(インジウム酸化スズ)からなる透明導電層が部分的に除去される。
【0020】
図7は、正方形の開口64aを有するアパーチャーマスク64を用いてワークWのITO透明電極層をライン状に除去するスリット加工の説明図である。図示のようにワークW上で正方形の照射スポットPが一部重なりながら連続して照射されるように、レーザ光の照射タイミング及びワークWの移動を制御して加工することにより、ワークW上の透明電極層Woにライン状のスリット101を形成できる。
【0021】
以上、本実施形態によれば、アパーチャーマスク64を光ファイバ7の光出射端72から離して配置することにより、光ファイバ7の光出射端72から出射した直後の光強度の強い光がアパーチャーマスク64に当たらないようにしている。従って、光ファイバ7から出射したレーザ光によるアパーチャーマスク64の損傷を防止することができる。
更に、光ファイバ7から出射してアパーチャーマスク64に入射しようとする光の発散を広がり補正光学系63で抑制することにより、アパーチャーマスク64に入射する光の強度を過度に低下させないようにしている。従って、レーザ光Lの強度を過度に低下させることなく、光ファイバ7から出射されるレーザ光をアパーチャーマスク64に入射させることができる。
また、本実施形態によれば、アパーチャーマスク64の開口64aの縁で回折して結像光学系66に入射しようとする回折光Ldを仕切り板65で遮ることにより、ワークW上の加工パターンの周辺部に上記回折光が照射されないようにしている。従って、上記回折光によって加工パターンの周辺部の透明電極層が除去されてしまう予定外の加工を防止することができる。
【0022】
なお、上記実施形態では、アパーチャーマスク64を回転できるようにアパーチャーマスク64の保持部を構成してもよい。この場合は、図8に示すようにワークW上で扇型の照射スポットPが一部重なりながらリング状に連続して照射されるように、レーザ光の照射タイミング、アパーチャーマスク64の回転及びワークWの移動を制御して加工する。これにより、ワークW上の透明電極層Woに円筒状のスリット101を形成できる。
【0023】
また、上記実施形態では、複数の区画のそれぞれに、ワークWに形成する可能性がある加工パターンを構成する要素形状パターンに対応する形状の開口64aを予め形成したアパーチャーマスク64(図9参照)を用いることもできる。この場合は、アパーチャーマスク64をレーザ光の進行方向に垂直な面内で移動するようにアパーチャーマスク64の保持部を構成する。そして、加工データに基づいてアパーチャーマスク64を移動させることにより、加工パターンに対応した形状の開口を選択してレーザ光の通過領域に臨ませるようにアパーチャーマスク64をセットすることができる。
また、上記要素形状パターンに対応する光通過パターンを一つずつ形成した複数のアパーチャーマスクを用い、そのアパーチャーマスクを切り換えてレーザ光の通過領域にに臨ませるように構成してもよい。
【0024】
また、上記実施形態では、加工対象物(ワークW)がITO透明電極層が形成されたガラス板である場合について説明したが、加工対象物はこれに限られるものではない。本発明は、印刷マスク材に貫通孔からなる加工パターンを形成する場合や、貫通孔ではなく凹部からなる加工パターンを形成する場合にも適用できるものである。
また、本発明は、アパーチャーマスクを通過した光を表面にレジスト膜が形成された加工対象物に照射することにより、加工対象物のレジスト膜の一部を溶剤に対して可溶性あるいは難溶性にする露光パターン(加工パターン)を形成する場合にも適用できるものである。
また、本発明は、アパーチャーマスクを通過した光を加工対象物に照射することにより、加工対象物の表面を部分的に改質(例えば、酸化膜を除去して表面を活性化するように改質)したり、加工対象物上のマーキングしたりする光加工を行う場合にも適用できるものである。
【0025】
また、上記実施形態では、光源としてYAGレーザを用いているが、本発明は、他の種類の光源を用いて場合にも適用できるものである。例えば、上記光源としては、KrFエキシマレーザ(波長:248nm)、ArFエキシマレーザ(波長:193nm)等の紫外線レーザや、炭酸ガスレーザ(波長:10.6μm)を用いることもできる。また、レーザのほか、水銀ランプやシンクロトロン放射光源(SOR光源)等の光源を用いるもできる。なお、上記光ファイバや上記結像光学系などの光学部材は、光源の波長に応じて選択する。例えば、紫外線レーザを用いる場合は紫外用の光ファイバやレンズを用いる。
【0026】
また、上記実施形態では、所定形状の開口が形成されたアパーチャーマスクを用いた場合について説明したが、本発明は、開口を形成せずに、例えばガラス板などの透明部材に遮光パターンを形成することにより光通過パターンを形成したアパーチャーマスクを用いる場合にも適用できるものである。
【0027】
【発明の効果】
請求項1及び2の発明によれば、光ファイバの光出射端から出射した直後の光強度の強い光がアパーチャーマスクに当たらないため、光ファイバから出射した光によるアパーチャーマスクの損傷を防止することができる。しかも、アパーチャーマスクに入射する光の強度を過度に低下させることなく、光ファイバから出射される光をアパーチャーマスクに入射させることができるという効果がある。特に、請求項2の発明によれば、アパーチャーマスクの開口の縁で回折した回折光が、加工対象物上の加工パターンの周辺部に照射されないようにできるので、上記回折光による予定外の加工を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係るレーザ加工装置の加工ヘッド装置に設けられる加工ヘッドの正面図。
(b)は同加工ヘッドの側面図。
【図2】同レーザ加工装置の全体の概略構成図。
【図3】同レーザ加工装置のYAGレーザ装置の概略構成図。
【図4】同レーザ加工装置のワーク保持装置の平面図。
【図5】同レーザ加工装置のXYテーブルの要部の概略構成を示す側面図。
【図6】同レーザ加工装置の加工ヘッドを通過するレーザ光の様子を示す説明図。
【図7】ライン状のスリット加工の説明図。
【図8】円筒状のスリット加工の説明図。
【図9】複数の形状の開口が形成されたアパーチャーマスクの部分平面図。
【符号の説明】
1   YAGレーザ装置
2   ワーク保持装置
3   ワーク移載装置
4   XYテーブル
5   メインコントローラ
6   加工ヘッド装置
7   ステップインデックス型の光ファイバ
10  YAGレーザ発振器
11  レーザ光入射ガイド部
60  加工ヘッド
61  可動ヘッド部
62  リニア駆動装置
63  広がり補正光学系
64  アパーチャーマスク
64a 開口
65  仕切り板
66  結像光学系
67  リニアモータ
68  リニアガイド
69  支持台
70  ファイバ保持部
71  光ファイバの光入射端
72  光ファイバの光出射端
101 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源から発した光を伝送する光ファイバと、該光ファイバから出射した光を部分的に遮光するアパーチャーマスクと、該アパーチャーマスクの開口を通過した光を集光して加工対象物上に結像する結像手段とを備えた光加工装置において、
該アパーチャーマスクを該光ファイバの光出射端から離して配置し、
該光ファイバから出射して該アパーチャーマスクに入射しようとする光の発散を抑制する光発散抑制手段を設けたことを特徴とする光加工装置。
【請求項2】
請求項1の光加工装置において、
上記アパーチャーマスクの開口の縁で回折して上記結像手段に入射しようとする回折光を遮る回折光遮蔽手段を設けたことを特徴とする光加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2004−114068(P2004−114068A)
【公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−278475(P2002−278475)
【出願日】平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願人】(593128172)リコーマイクロエレクトロニクス株式会社 (52)
【Fターム(参考)】