説明

光受信アセンブリ

【課題】組立作業性及び接続信頼性を向上させた光受信アセンブリを提供する。
【解決手段】光受信アセンブリ10において、複数の分波用セグメントフィルタは反射波長がそれぞれ異なるフィルタ面を有すると共に、フィルタ面が所定の間隔を有するように分波用セグメントフィルタを積層して波長フィルタを構成し、波長フィルタに所定の角度で多重化光信号を入射させる光入出射用ブロックに複数個のレンズを備え、光入出射用ブロックと波長フィルタの所定の面とが接合されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギガビットクラスのイーサネット(登録商標)信号を伝送する光モジュールに用いられる光受信アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットは、通信インフラとして定着し、データ通信・音声・映像など情報の種類を選ばず、様々な業種・サービスを取り込み、その適用範囲は拡大し続けている。それにあわせて回線容量も増加の一途をたどっている。この中においてイーサネットは、低価格さと簡便な運用性により家庭内LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Aera Network)においても広く利用されるコア技術として普及している。
【0003】
この情勢の中、既に10ギガイーサネット(登録商標)の標準化が完了し、各社から10ギガ対応のネットワーク機器が開発されており、これに伴い、光モジュールにおいても、中距離ネットワークを中心に1ギガから10ギガへのアップグレードが始まっている。
【0004】
光モジュールの一例として、光ファイバに接続され、光ファイバと光信号の送受信を行う光トランシーバがある。光トランシーバは、電気配線基板上に、電気信号を光信号に変換して送信する光送信アセンブリ(TOSA)と、光信号を受信して電気信号に変換する光受信アセンブリ(ROSA)とを備える。
【0005】
光受信アセンブリとして、光ファイバ等の外部伝送路から入力される多重化光信号を互いに異なる波長の光信号(単色光信号)に分波し、各単色光信号毎に受信するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図10は従来の光受信アセンブリの透明斜視図である。
【0007】
図10に示すように、光受信アセンブリ100は、透明材料で形成される光学ブロック101と、その光学ブロック101に多重化光信号Lを入力する光ファイバ107と、特定の波長の光信号のみを透過させ、それ以外の波長の光信号を反射させる複数の波長フィルタ105と、波長フィルタ105を反射した光信号を隣りの波長フィルタに向けて反射させる複数のミラー106と、透過された単色光信号をそれぞれ屈曲させる複数の平面ミラー104と、平面ミラー104で屈曲された単色光信号をそれぞれ集光する複数のレンズ103と、各単色光信号を検出する複数の光検出器102とを備える。
【0008】
光ファイバ107から入力され光学ブロック101を伝搬する4波多重化光信号Lは、1つ目の波長フィルタ105(図中左側)に入射する。波長フィルタ105に入射した多重化光信号Lは、特定波長λ1の光信号のみ透過し、他の波長λ2〜λ4の光信号は反射する。反射した光信号はミラー106で再び反射し、隣りの波長フィルタ105に入射し、特定波長λ2の光信号のみ透過する。この特定波長の光信号の透過、他の光信号の反射を繰り返し、各波長フィルタ105からそれぞれ異なる波長λ1,λ2,λ3,λ4の光信号がそれぞれ出射する。互いに波長の異なる光信号(単色光信号)は、それぞれ平面ミラー104で屈曲され、レンズ103で集光され、光検出器102で検出される。
【0009】
また、図10に示すように、多重化光信号Lを入力する光ファイバ107の出射端及び分波された単色光信号を出力する光ファイバ102の入力端に、集光作用及び反射作用を有する凹面ミラー108を設け、部品点数を少なくした光受信アセンブリもある。
【0010】
【特許文献1】特開2005−274702号公報
【特許文献2】特開昭54−158247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の光受信アセンブリ100では、多重化光信号Lを分波し、分波された各光信号をそれぞれ光検出器102に受光させるために、ミラー106、波長フィルタ105、平面ミラー104及びレンズ103がそれぞれ高い位置精度を要求される。そのため、これらの部材が設けられる光学ブロック101の平面度が高くなければならず、高平面度を有する光学ブロックの作製には時間が掛かり高コスト化の要因となる。
【0012】
また、光受信アセンブリ100は、光学ブロック101の表面にそれぞれ透過波長の異なる波長フィルタ105を並列に配置して構成されるため、複雑な構造になり、組立工程において高コスト化の要因ともなっている。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、光信号の分波、受光の信頼性を保持し、かつ組立が容易である光受信アセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するために、創案されたものであり、請求項1の発明は、波長が異なる光信号を多重した多重化光信号のうち特定波長の光信号のみを反射させ他の波長の光信号は透過させる分波用セグメントフィルタと、複数の上記分波用セグメントフィルタにより反射された各光信号を集光又は平行光とする複数個のレンズと、該レンズを出射した各光信号をそれぞれ受光する複数個の受光素子とからなる光受信アセンブリにおいて、
複数の上記分波用セグメントフィルタは反射波長がそれぞれ異なるフィルタ面を有すると共に、上記フィルタ面が所定の間隔を有するように上記分波用セグメントフィルタを積層して波長フィルタを構成し、
上記波長フィルタに所定の角度で上記多重化光信号を入射させる光入出射用ブロックに上記複数個のレンズを備え、
上記光入出射用ブロックと上記波長フィルタの所定の面とが接合されたことを特徴とする光受信アセンブリである。
【0015】
請求項2の発明は、上記波長フィルタは、
上記光入出射用ブロック側から所定の間隔を有するように上記分波用セグメントフィルタを積層して第一のフィルタ面、第二のフィルタ面、と順次上記フィルタ面が形成され、 上記光入出射用ブロックに接合する面の反対側の面に全反射ミラーが形成され、
上記光入出射用ブロックより入射した上記多重化光信号は上記第一のフィルタ面に所定の角度で入射し所定の波長の光信号が反射され他の波長の光信号が透過され、
上記第二のフィルタ面で上記第一のフィルタ面を透過した光信号のうち所定の波長の光信号が反射され他の波長の光信号が透過され順次異なる波長に分波されると共に、上記全反射ミラーにより、上記波長フィルタに形成された上記各フィルタ面を透過した光信号が反射される請求項1記載の光受信アセンブリである。
【0016】
請求項3の発明は、上記光入出射用ブロックは、上記各分波用セグメントフィルタから反射された上記各光信号を反射させる反射面を有し、該反射面により反射された上記各光信号は上記各レンズにそれぞれ光結合される請求項1または2記載の光受信アセンブリである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、組立作業性及び接続信頼性を向上させることができるといった優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0019】
まず、本実施の形態の光受信アセンブリが実装される光モジュールの例として光トランシーバを図7及び図8に基づいて説明する。
【0020】
図7及び図8に示すように、光トランシーバ50は、複数個の長波長の半導体レーザ(LD)を用いた4波CWDM(Coarse-WDM:低密度波長分割多重)のLX4光トランシーバである。
【0021】
この光トランシーバ50は、リジッド基板からなる回路基板(メイン基板)51と、その回路基板51に搭載される光送信アセンブリ52と、本実施の形態に係る光受信アセンブリ10とを備える。
【0022】
回路基板51には、光トランシーバ50が接続されるスイッチングハブやメディアコンバータなどのネットワーク機器からの送信用の電気信号を伝送する4つの送信用レーン54が形成される。
【0023】
光送信アセンブリ52は、4つの送信用レーン54からの電気信号を光信号に変換する4個の1.3μm帯のDFB(分布帰還)−LD55と、各LD55の光信号を波長多重する光合波器56とを備え、これらを放熱性の高いAlなどの金属からなる略直方体状のOSA(Optical Sub Assembly:光学サブアセンブリ)ベース52b内に収納したものである。各LD55は、発光素子としてのLD素子をそれぞれCANパッケージに収納したものである。
【0024】
各LD55の波長は、1275、1300、1325、1350nm帯である。光合波器56としては、所定の波長帯域の波長の光信号を反射し、それ以外の波長帯域の光信号を透過する4個の光フィルタを用いる。光送信アセンブリ52には、光合波器56からの波長多重した光信号を伝送するピグテール化した送信用光ファイバ57が光コネクタを介して接続される。
【0025】
光受信アセンブリ10には、ピグテール化した受信用光ファイバ12が光コネクタを介して接続される。詳細は後述するが、光受信アセンブリ10は、受信用光ファイバ12からの多重化光信号を分波する光分波器(波長フィルタ)14と、分波された光信号を電気信号に変換する4つのPD(フォトダイオード)19からなる4ch−PDアレイ20と、各電気信号を増幅する4つのプリアンプ21とを備える。
【0026】
回路基板51には、受信用の電気信号を伝送する受信用レーン63も形成される。回路基板51の他端(後述するSCコネクタとは反対端)は、端子が形成されたカードエッジ部68であり、ネットワーク機器に備えたカードエッジコネクタに嵌合することで、光トランシーバ50の活線挿抜が可能となっている。
【0027】
回路基板51は、各LD55を駆動する4個のLDドライバ64と、クロック、データリカバリ機能を備え、レーンの位置合わせなどを行う信号処理回路65と、光送信アセンブリ52および光受信センブリ10に接続され、各LD55や各PD19をモニタするDOM回路(Digital Optical Monitoring)66とを備える。光トランシーバ50の各種制御およびモニタは、ネットワーク機器において、MDIO(Management Data Input/Output)/MDC(Management Data Clock)インタフェースによりシリアル通信でアクセス可能となっている。
【0028】
送信用光ファイバ57および受信用光ファイバ12は、それぞれ光コネクタを介してSCコネクタ67の他端側に接続される。このSCコネクタ67の一端側にそれぞれ光コネクタを介して伝送用光ファイバが接続される。
【0029】
光トランシーバ50の動作を簡単に説明すると、ネットワーク機器からの3.125Gbit/sの4つの送信用電気信号(XAUI(10 Gigabit Attachment Unit Interface) Tx Data)は、各LD55で4つの光信号に変換され、これら光信号が光合波器56で合波されて多重化光信号として伝送用光ファイバに送信される。他方、伝送用光ファイバからの多重化光信号は、光分波器(波長フィルタ)14で4つの光信号に分波され、各PD19で4つの電気信号に変換され、4つの受信用電気信号(XAUI Rx Data)としてネットワーク機器に伝送される。
【0030】
この光トランシーバ50の寸法は、全長が約80mm、幅が約40mm、回路基板51の長さが50〜60mmである。
【0031】
さて、図1は本発明に係る光受信アセンブリの好適な実施の形態を示す斜視図である。
【0032】
図1及び図2に示すように、本実施の形態の光受信アセンブリ10は、ベース11と、光ファイバ12に接続され、多重化光信号を導入するレセプタクル部13と、導入された多重化光信号を分波する波長フィルタ14と、分波された光信号を受光する複数の受光素子とを備える。
【0033】
ベース11は、例えばMIM(金属粉末射出成形法)を用いてSUS等の金属で形成されている。
【0034】
ベース11の一側面にはレセプタクル部13が固定され、レセプタクル部13からベース中央に向かって多重化光信号が伝搬するための光路15がベース上面に開口して形成される。ベース11の中央には光路15に連通して波長フィルタ収容室16が形成される。波長フィルタ収容室16には波長フィルタ14が収容される。レセプタクル部13は、光ファイバ12の出射光をコリメートするための集光レンズを備える。
【0035】
図9に示すように、複数の受光素子は、複数のフォトダイオード91が並列に配置されてなるフォトダイオードアレイ92であり、フォトダイオードアレイ92はCANパッケージ17内に設けられ、気密封止されたCAN型PD90を構成する。
【0036】
フォトダイオードアレイ92は、全体が略短冊状に形成され、その中央部に長さ方向に沿って複数個のフォトダイオード91が直線状に配置され、これらフォトダイオードの並び方向に沿う両側に配線用パッド93が複数個形成される。
【0037】
CANパッケージ17は、円筒状の筒体に形成され、筒体の内底面に基板96が設けられ、その基板96上にフォトダイオードアレイ92や他の電子回路(例えば、プリアンプ)97が設けられている。CANパッケージ17内の基板96を貫通して設けられる複数本のピン(リード)18は、内底面に搭載されたフォトダイオードアレイ92や電子回路を光トランシーバの回路基板51(図7参照)上に設けられた電子回路と導通するためのものである。
【0038】
基板96を貫通した各ピン18の周囲には、基板96に各ピン18を取り付けると共に、CANパッケージ17内を気密封止するため、低融点ガラスなどの絶縁体98が充填される。CANパッケージ17の外周には、ベース11(図1参照)にCAN型PD90を取り付ける際の位置決めとなる位置決め用部材99が設けられる。以上の構成であるCAN型PD90は、各フォトダイオードアレイ91の受光面と各集光レンズ40(後述する図3参照)の光軸が一致するように、ベース11に取り付けられる。
【0039】
波長フィルタ14は、波長選択反射型のフィルタアセンブリであり、その詳細を図3及び図4(a)〜図4(c)を用いて説明する。
【0040】
図3、図4(a)に示すように、波長フィルタ14は、複数の分波用セグメントフィルタ32,33,34を積層すると共に、その積層体の一面に所定角度で光ファイバからの多重化光信号を入射して各分波用セグメントフィルタ32,33,34の接合面31a(第一のフィルタ面),32a(第二のフィルタ面),33a(第三のフィルタ面)と最終段の面(反射面)34aで順次異なる波長(阻止波長)の光信号を反射するように構成したものである。
【0041】
すなわち、各分波用セグメントフィルタ32〜34は、反射波長がそれぞれ異なる第一〜第三のフィルタ面31a〜33aを有する。さらに、本実施形態では、第一〜第三のフィルタ面31a〜33aが所定の間隔を有するように、各分波用セグメントフィルタ32〜34を積層して波長フィルタ14を構成した。
【0042】
初段の分波用セグメントフィルタ32の一側には、多重化光信号が所定角度で初段の分波用セグメントフィルタ32に入射すると共に、各接合面31a,32a,33a及び最終段の面34aで分波・反射された光信号を出射する入出射用ブロック31が接合されている。
【0043】
各分波用セグメントフィルタ32〜34は順次屈折率の異なる薄膜を表面に堆積させた略直方体の光学ブロックであり、これら光学ブロックを並べて積層される。
【0044】
図4(b)に示すように、初段及び2段目分波用セグメントフィルタ32,33は、光学的に透明な樹脂で形成されたブロックと、そのブロックの一方の面に設けられたフィルタ膜とからなり、フィルタ膜が設けられた面(フィルタ面)31a,32aは、光入出射用ブロック31或いは前段の分波用セグメントフィルタ32にフィルタ面31a、32a側が接して接合される。
【0045】
ただし、図4(c)に示すように、最終段の分波用セグメントフィルタ34では、フィルタ面33aと対向する面に全反射ミラー膜が設けられ、その全反射ミラー膜が反射面34aを形成する。反射面34aは、全反射ミラー膜の代わりにフィルタ膜で形成してもよい。
【0046】
分波用セグメントフィルタ32〜34は、少なくとも多重化光信号の(分波数−1)個積層される。本実施の形態では多重化光信号を4つの異なる波長の光信号に分波するため、分波用セグメントフィルタを3つ積層している。
【0047】
図3に戻り、多重化光信号が入射される光入出射用ブロック(図中、左手前)31の一側には、多重化光信号を所定角度で入射させる入射部35が形成される。波長フィルタ14は、その第一のフィルタ面31aと、光入出射用ブロック31の入射部35と対向する面31xとが接合されることで、光入出射用ブロック31と接合される。
【0048】
波長フィルタ14は、入射部35が光路側に位置するように、かつ、レセプタクル部13から導入される多重化光信号が所定角度で入射部35に入射するように波長フィルタ収容室16内に配置される。
【0049】
また、図5に示すように、光入出射用ブロック31の一面には、各フィルタ面31a,32a,33a及び反射面34aで分波・反射された光信号を集光又は平行光とするレンズアレー36が一体に設けられている。すなわち、光入出射用ブロック31の一面には入射部35とレンズアレー36とが形成され、上記一面の片側に入射部35、上記一面のもう片側にレンズアレー36が形成される。レンズアレー36は並列に配置された複数の集光レンズ40を有し、各集光レンズ40は樹脂で形成されている。各集光レンズ40は、各分波用セグメントフィルタ32〜34により反射された各光信号を集光又は平行光とするものである。
【0050】
さらに、本実施の形態では、光入出射用ブロック31の入射部35が形成された側に、各分波用セグメントフィルタ32,33,34のフィルタ面31a,32a,33a及び最終段の分波用セグメントフィルタ34の反射面34aで反射された各光信号を略直角に反射させるミラーが形成され、波長フィルタ14、レンズアレー36及びミラーが一体に形成されている。
【0051】
具体的には、図5に示すように、光入出射用ブロック31には、複数の集光レンズ40とそれら集光レンズ40を支持するレンズ支持部材37が一体形成されている。レンズ支持部材37は、光入出射用ブロック31とL字形状に一体的に形成されている。更にレンズ支持部材37は、光入出射用ブロック31に形成された入射部35の一面よりも張り出して形成されている。
【0052】
レンズ支持部材37の上面には略半球状の複数の集光レンズ(図では4個)40が並列に、かつ受光素子の位置に合わせて設けられている。
【0053】
レンズ支持部材37の下面は、斜めにカットされ、その切断面に金属膜で形成されたブロック側反射面としてミラー38が設けられている。このミラー38は、各分波用セグメントフィルタ32〜34から反射された各光信号を反射させるものである。ミラー38は、ミラー38で反射された各光信号を各集光レンズ40にそれぞれ光結合するように形成される。
【0054】
レンズ支持部材37が入射部35の一面よりも張り出して形成しているのは、集光レンズ40を支持するレンズ支持部材37を入射部35より内側に形成すると、入射部35から入射されるコリメートされた多重化光信号がレンズ支持部材37の下面に形成されたミラー38により遮られるのを防ぐためである。従って、ミラー38によって入射した多重化光信号が遮られなければ張り出して形成しなくても良い。
【0055】
本実施形態では、入射部35−第一のフィルタ面31a間、第一のフィルタ面31a−第二のフィルタ面32b間、第二のフィルタ面32b−第三のフィルタ面33c間、第三のフィルタ面33c−反射面34a間を等間隔にして、各フィルタ面31a〜31c及び反射面34aで分波された波長λ1〜λ4の各光信号をそれぞれ集光する集光レンズ40のピッチを等間隔に形成している。
【0056】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0057】
光ファイバ12からレセプタクル部13に入射した波長λ1〜λ4の4波多重化光信号Lはコリメートされて、ベース11に設けられた光路15に導入される。多重化光信号Lは所定角度で波長フィルタ14と一体に接合された光入出射用ブロック31の入射部35に入射される。
【0058】
波長フィルタ14内では、入射部35から入射した多重化信号Lは、光入出射用ブロック31と初段の分波用セグメントフィルタ32との接合面(第一のフィルタ面)31aにおいて、波長λ1の光信号のみが反射され、波長λ2〜λ4の光信号が透過する。波長λ2〜λ4の光信号は、初段の分波用セグメントフィルタ32と2段目の分波用セグメントフィルタ33との接合面(第二のフィルタ面)32aで、波長λ2の光信号のみが反射し、さらに、2段目の分波用セグメントフィルタ33と3段目(最終段)の分波用セグメントフィルタ34との接合面(第三のフィルタ面)33aで、波長λ3の光信号が反射する。波長λ4の光信号は、最終段の分波用セグメントフィルタ34の端面34aで反射する。
【0059】
各接合面31a,32a,33a及び最終段の分波用波長セグメントフィルタ34の端面34aで反射した各光信号は、それぞれミラー38で略直角(図中、上方向)に反射され、各集光レンズ40から集光されて出射する。
【0060】
各集光レンズ40から出射した光信号はそれぞれ集光され、各フォトダイオード91(図9参照)に受光される。受光された光信号は電気信号に変換されて信号処理回路65(図7参照)に伝送される。
【0061】
本実施の形態の光受信アセンブリ10は、波長フィルタ14とレンズアレー36を一体に形成しているので、波長フィルタ14とレンズアレー36間の位置合わせをしなくとも、接続信頼性を保持し、かつ容易に作製することができる。
【0062】
レンズアレー36は、波長フィルタ14に一体に形成されているので、集光レンズ40、波長フィルタ14及びミラー38をベース11に高精度に固定するにあたり、フィルタ収容室16のみ高平面度に仕上げるだけでよく、短時間で低コストでベース11を作製することができる。
【0063】
本実施の形態では、波長フィルタ14、レンズアレー36及びミラー38が一体に形成されているので、これらをフィルタレンズアセンブリとして1つの部品として扱うことができ、部品管理が容易になる。
【0064】
波長フィルタ14では、フィルタ面31a,32a,33aが光入出射用ブロック31及び各分波用セグメントフィルタ32,33,34で覆われるため、保護ガラスを設ける必要がない。したがって、波長フィルタの構造が従来の波長フィルタに比べて簡単であるため、低コストで作製することができる。
【0065】
また、波長フィルタ14は、分波用セグメントフィルタ32,33,34を並べて積層した構造としているため、ベース11に収まる範囲内で、従来の波長フィルタに比べてサイズを大きくできる。したがって、波長フィルタの取扱いが容易になる。この点も波長フィルタ14を低コスト化する要因としている。
【0066】
本実施の形態では、受光素子との位置関係上、波長フィルタ14にミラー38を設けたが、ミラー38は設けられなくともよい。
【0067】
例えば、図6に示すように、光入出射用ブロック31の入射部35が形成された端面の片側に、それぞれ反射された光信号の光軸に合わせて複数の集光レンズ40を並列に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る光受信アセンブリの好適な一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の光受信アセンブリのCANパッケージを外した状態を示す斜視図である。
【図3】波長フィルタとレンズアレー一体型のフィルタレンズアセンブリを示す斜視図である。
【図4】(a)は図3のフィルタレンズアセンブリ断面図、(b)は初段及び2段目の分波用セグメントフィルタの断面図、(c)は最終段の分波用セグメントフィルタの断面図である。
【図5】図3のフィルタレンズアセンブリの要部拡大斜視図である。
【図6】他の実施の形態の一体型フィルタアセンブリを示す図である。
【図7】光トランシーバを示す斜視図である。
【図8】光トランシーバの回路図である。
【図9】CAN型PDの内部構成を示す斜視図である。
【図10】従来の光受信アセンブリを示す透明斜視図である。
【図11】従来の光受信アセンブリを示す構成概念図である。
【符号の説明】
【0069】
10 光受信アセンブリ
11 ベース
12 光ファイバ
13 レセプタクル部
14 波長フィルタ
17 CANパッケージ
31 光入出射用ブロック
32,33,34 分波用セグメントフィルタ
36 レンズアレー
38 ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長が異なる光信号を多重した多重化光信号のうち特定波長の光信号のみを反射させ他の波長の光信号は透過させる分波用セグメントフィルタと、複数の上記分波用セグメントフィルタにより反射された各光信号を集光又は平行光とする複数個のレンズと、該レンズを出射した各光信号をそれぞれ受光する複数個の受光素子とからなる光受信アセンブリにおいて、
複数の上記分波用セグメントフィルタは反射波長がそれぞれ異なるフィルタ面を有すると共に、上記フィルタ面が所定の間隔を有するように上記分波用セグメントフィルタを積層して波長フィルタを構成し、
上記波長フィルタに所定の角度で上記多重化光信号を入射させる光入出射用ブロックに上記複数個のレンズを備え、
上記光入出射用ブロックと上記波長フィルタの所定の面とが接合されたことを特徴とする光受信アセンブリ。
【請求項2】
上記波長フィルタは、
上記光入出射用ブロック側から所定の間隔を有するように上記分波用セグメントフィルタを積層して第一のフィルタ面、第二のフィルタ面、と順次上記フィルタ面が形成され、 上記光入出射用ブロックに接合する面の反対側の面に全反射ミラーが形成され、
上記光入出射用ブロックより入射した上記多重化光信号は上記第一のフィルタ面に所定の角度で入射し所定の波長の光信号が反射され他の波長の光信号が透過され、
上記第二のフィルタ面で上記第一のフィルタ面を透過した光信号のうち所定の波長の光信号が反射され他の波長の光信号が透過され順次異なる波長に分波されると共に、上記全反射ミラーにより、上記波長フィルタに形成された上記各フィルタ面を透過した光信号が反射される請求項1記載の光受信アセンブリ。
【請求項3】
上記光入出射用ブロックは、上記各分波用セグメントフィルタから反射された上記各光信号を反射させる反射面を有し、該反射面により反射された上記各光信号は上記各レンズにそれぞれ光結合される請求項1または2記載の光受信アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−96490(P2008−96490A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274852(P2006−274852)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】