説明

光受信モジュール

【課題】製造コストを低減し、設計の自由度を向上させ、特性の劣化を防ぐことができる光受信モジュールを得る。
【解決手段】導電性のステム10の主面に、導電性のサブマウント12が接続されている。サブマウント12は、ステム10の主面に対して傾いた傾斜面12aと、実装面12bと、実装面12bから突出した突出部12cとを有する。サブマウント12の傾斜面12a上に受光素子16が実装されている。サブマウント12の実装面12b上にプリアンプ18が実装されている。プリアンプ18は、入力端子18aと、出力端子18bと、GND端子18cとを有する。そして、プリアンプ18は、入力端子18aから入力した受光素子16の出力信号を増幅して出力端子18bから出力する。サブマウント12の突出部12cとプリアンプ18のGND端子18cはワイヤ20cにより接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信に用いられる光受信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信システムでは、10Gbpsの光伝送システムが実用化されつつあり、各所で研究開発が行われている。光伝送システムにおいて、光信号を電気信号に変換する光受信モジュールが用いられている。光受信モジュールからの戻り光を低減するため、サブマウントの傾斜面上に受光素子が設けられている。
【0003】
また、光受信モジュールには、受光素子の出力信号を増幅するプリアンプ(TIA: Trans Impedance Amplifier)が設けられている。回路基板上に受光素子とプリアンプを設け、回路基板の配線にプリアンプの入力端子、出力端子、及びGND端子を接続させた光受信モジュールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−310704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の場合、複雑な配線を有する回路基板を用意する必要があるため、製造コストが高い。そして、プリアンプのGND端子が回路基板の複雑な配線を通って接地されるので、GND経路が長くなり、特性が劣化する。
【0006】
また、ステム上にプリアンプを設ける場合もある。しかし、ステムを加工してプリアンプのGND端子に接続する構造を形成しなければならないため、製造コストが高く、設計の自由度が低くなってしまう。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、製造コストを低減し、設計の自由度を向上させ、特性の劣化を防ぐことができる光受信モジュールを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、主面を有する導電性のステムと、前記ステムの前記主面に対して傾いた傾斜面と、実装面と、前記実装面から突出した突出部とを有し、前記ステムの前記主面に接続された導電性のサブマウントと、前記サブマウントの前記傾斜面上に実装された受光素子と、入力端子と、出力端子と、GND端子とを有し、前記サブマウントの前記実装面上に実装され、前記入力端子から入力した前記受光素子の出力信号を増幅して前記出力端子から出力するプリアンプと、前記サブマウントの前記突出部と前記プリアンプの前記GND端子とを接続する第1のワイヤとを備えることを特徴とする光受信モジュールである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、製造コストを低減し、設計の自由度を向上させ、特性の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る光受信モジュールを示す平面図である。
【図2】実施の形態1に係る光受信モジュールを示す側面図である。
【図3】図1のA−A´に沿った断面図である。
【図4】図1のB−B´に沿った断面図である。
【図5】比較例に係る光受信モジュールを示す平面図である。
【図6】図5のC−C´に沿った断面図である。
【図7】実施の形態2に係る光受信モジュールを示す平面図である。
【図8】図7のD−D´に沿った断面図である。
【図9】実施の形態3に係る光受信モジュールを示す平面図である。
【図10】実施の形態4に係る光受信モジュールを示す平面図である。
【図11】図10のE−E´に沿った断面図である。
【図12】実施の形態5に係る光受信モジュールを示す平面図である。
【図13】実施の形態5に係る光受信モジュールを示す側面図である。
【図14】実施の形態6に係る光受信モジュールを示す平面図である。
【図15】実施の形態6に係る光受信モジュールを示す側面図である。
【図16】実施の形態7に係る光受信モジュールを示す平面図である。
【図17】実施の形態8に係る光受信モジュールを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る光受信モジュールについて図面を参照して説明する。同じ構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る光受信モジュールを示す平面図であり、図2はその側面図である。図3は図1のA−A´に沿った断面図であり、図4は図1のB−B´に沿った断面図である。
【0013】
導電性のステム10の主面に、半田又は導電性接着剤により導電性のサブマウント12が接合されている。従って、サブマウント12はステム10に電気的に接続されている。サブマウント12は、ステム10の主面に対して傾いた傾斜面12aと、実装面12bと、実装面12bの両端において実装面12bから突出した突出部12cとを有する。ただし、本実施の形態では、傾斜面12aと実装面12bは同一の斜面上に存在する。
【0014】
サブマウント12の傾斜面12a上にキャリア14を介して受光素子16が実装されている。これにより、光受信モジュールからの戻り光を低減することができる。サブマウント12の実装面12b上にプリアンプ18が実装されている。プリアンプ18は、入力端子18aと、出力端子18bと、GND端子18cとを有する。
【0015】
受光素子16の出力端子とプリアンプ18の入力端子18aはワイヤ20aにより接続されている。リードピン22a,22bはステム10を貫通し、ガラス24によりステム10とは絶縁されている。リードピン22aとプリアンプ18の出力端子18bはワイヤ20bにより接続されている。サブマウント12の突出部12cとプリアンプ18のGND端子18cはワイヤ20cにより接続されている。リードピン22bとキャリア14はワイヤ20dを介して接続されている。キャリア14は受光素子16の入力端子に接続されている。
【0016】
プリアンプ18は、ワイヤ20aを介して入力端子18aから入力した受光素子16の出力信号を増幅して出力端子18bから出力する。プリアンプ18の出力信号は、ワイヤ20bを介してリードピン22に出力される。
【0017】
本実施の形態の効果について比較例と比較して説明する。図5は、比較例に係る光受信モジュールを示す平面図である。図6は、図5のC−C´に沿った断面図である。比較例では、ステム10に凹部26を形成し、その凹部26内にプリアンプ18を設けている。そして、プリアンプ18のGND端子18cとステム10をワイヤ20cにより接続している。比較例では、サブマウント12とステム10の両方を加工しなければならないため、製造コストが高く、設計の自由度が低くなってしまう。一方、本実施の形態ではサブマウント12だけを加工すればよいので、製造コストを低減し、設計の自由度を向上させることができる。
【0018】
また、本実施の形態では、サブマウント12の突出部12cにプリアンプ18のGND端子18cをワイヤ20cにより接続する。そして、サブマウント12は導電性であり、GND電位のステム10に接続されている。従って、GND経路が短いため、特性の劣化を防ぐことができる。
【0019】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る光受信モジュールを示す平面図である。図8は、図7のD−D´に沿った断面図である。実装面12bはステム10の主面に対して傾いている。サブマウント12は、くの字型になっており、傾斜面12aと実装面12bの連結部において最も厚い。これによりワイヤ20aが長くなるため、受光素子16の出力信号はワイヤ20aによりピーキングを生じる。
【0020】
実施の形態3.
図9は、実施の形態3に係る光受信モジュールを示す平面図である。サブマウント12上に、絶縁膜やアルミナ基板などの絶縁物28を介して細い線路30が設けられている。受光素子16とプリアンプ18の入力端子18aは、線路30により接続されている。受光素子16の出力信号は線路30によりピーキングを生じる。
【0021】
実施の形態4.
図10は、実施の形態4に係る光受信モジュールを示す平面図である。図11は、図10のE−E´に沿った断面図である。サブマウント12の上面において、受光素子16が実装される傾斜面12aのみ傾斜し、プリアンプ18が実装される実装面12bはステム10の主面に対して平行である。この場合でも実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0022】
実施の形態5.
図12は、実施の形態5に係る光受信モジュールを示す平面図である。図13は、実施の形態5に係る光受信モジュールを示す側面図である。リードピン22aとリードピン22bの間に導電性のカベ32が配置されている。即ち、カベ32は、受光素子16の入力側とプリアンプ18の出力側の間に配置されている。このカベ32はサブマウント12に接続されている。これにより出力側から入力側への信号の周り込みを防ぐことができる。
【0023】
実施の形態6.
図14は、実施の形態6に係る光受信モジュールを示す平面図である。図15は、実施の形態6に係る光受信モジュールを示す側面図である。プリアンプ18の入力端子18aと出力端子18bを導電性のカバー34が覆っている。カバー34はサブマウント12に接続されている。これにより出力側から入力側への信号の周り込みを防ぐことができる。
【0024】
実施の形態7.
図16は、実施の形態7に係る光受信モジュールを示す平面図である。ワイヤ20aをフレキシブル基板36(FPC: Flexible printed circuits)が覆っている。フレキシブルプリント基板は、フィルム状の絶縁体(ベースフィルム)の上に導体箔を形成したものである。フレキシブル基板36の導体箔はサブマウント12に接続されている。これにより出力側から入力側への信号の周り込みを防ぐことができる。
【0025】
実施の形態8.
図17は、実施の形態8に係る光受信モジュールを示す平面図である。ワイヤ20bをフレキシブル基板36が覆っている。フレキシブル基板36の導体箔はサブマウント12に接続されている。これにより出力側から入力側への信号の周り込みを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0026】
10 ステム
12 サブマウント
12a 傾斜面
12b 実装面
12c 突出部
16 受光素子
18 プリアンプ
18a 入力端子
18b 出力端子
18c GND端子
20a ワイヤ(第2のワイヤ)
20b ワイヤ(第3のワイヤ)
20c ワイヤ(第1のワイヤ)
22a リードピン
28 絶縁物
30 線路
32 カベ
34 カバー
36 フレキシブル基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する導電性のステムと、
前記ステムの前記主面に対して傾いた傾斜面と、実装面と、前記実装面から突出した突出部とを有し、前記ステムの前記主面に接続された導電性のサブマウントと、
前記サブマウントの前記傾斜面上に実装された受光素子と、
入力端子と、出力端子と、GND端子とを有し、前記サブマウントの前記実装面上に実装され、前記入力端子から入力した前記受光素子の出力信号を増幅して前記出力端子から出力するプリアンプと、
前記サブマウントの前記突出部と前記プリアンプの前記GND端子とを接続する第1のワイヤとを備えることを特徴とする光受信モジュール。
【請求項2】
前記受光素子と前記プリアンプの前記入力端子とを接続する第2のワイヤを更に備え、
前記実装面は前記ステムの前記主面に対して傾いており、
前記サブマウントは、前記傾斜面と前記実装面の連結部において最も厚く、
前記受光素子の前記出力信号は、前記第2のワイヤによりピーキングを生じることを特徴とする請求項1に記載の光受信モジュール。
【請求項3】
前記サブマウント上に絶縁物を介して設けられ、前記受光素子と前記プリアンプの前記入力端子とを接続する線路を更に備え、
前記受光素子の前記出力信号は、前記線路によりピーキングを生じることを特徴とする請求項1に記載の光受信モジュール。
【請求項4】
前記実装面は、前記ステムの前記主面に対して平行であることを特徴とする請求項1に記載の光受信モジュール。
【請求項5】
前記サブマウントに接続され、前記受光素子の入力側と前記プリアンプの出力側の間に配置された導電性のカベを更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光受信モジュール。
【請求項6】
前記サブマウントに接続され、前記プリアンプの前記入力端子と前記出力端子を覆う導電性のカバーを更に備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光受信モジュール。
【請求項7】
前記受光素子と前記プリアンプの前記入力端子とを接続する第2のワイヤと、
前記サブマウントに接続され、前記第2のワイヤを覆うフレキシブル基板とを更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光受信モジュール。
【請求項8】
前記ステムを貫通し、前記ステムとは絶縁されたリードピンと、
前記リードピンと前記プリアンプの前記出力端子を接続する第3のワイヤと、
前記サブマウントに接続され、前記第3のワイヤを覆うフレキシブル基板とを更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光受信モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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