説明

光合分波器

【課題】簡易な構成で低コストかつ小型化が可能な光合分波器を提供すること。
【解決手段】光合分波器1は、異なる波長の4個の光信号からなる信号群を合波又は分波する光合分波器であって、光ファイバケーブル3が接続されて信号群が入出力される入出力コリメータ(主入出力部)5A,5Bと、光信号の波長の長さ順で信号群を第一信号群及び第二信号群に二分したときに、第一信号群を透過して第二信号群を反射する第一フィルタ(第一分岐部)13と、第一信号群と第二信号群との間の任意の波長を境界波長としたときに、該境界波長と波長が隣接する二つの光信号からなる第三信号群を透過して、他の光信号を反射する第二フィルタ(第二分岐部)15と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合分波器に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチメディア社会の基盤となる高度情報通信ネットワークの長距離幹線システムにて多くの情報量を伝送させるため、波長の近接した複数の光信号を1本の光ファイバケーブルで同時に伝送できる、高密度波長多重伝送(WDM:Wavelength Division Multiplexing)システムの利用が実用化されている。このようなシステムを実現するため、光信号を多重化する際、異なる波長からなる複数の光信号を1本の光ファイバケーブルに合成して結合し、また、1本の光ファイバケーブルで伝送された複数の多重波長の光信号を分離するための光合分波器が利用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような光合分波器は、ノード、基地局等の行き先別に異なる波長からなる複数の光信号を合分波する。そのため、プリズム、干渉膜フィルタ、或いは回折格子といった光部品を有して、特定の波長の光信号のみを透過させ、かつ、それ以外の波長の光信号を透過させない分岐部が配される。また、複数の波長からなる光信号を入力してまとめ、1本の光ファイバケーブルに出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−183741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の光合分波器は、光信号の各波長別に光フィルタ等を備える必要がある。そのため、混在する光信号の波長数が増加するほど光フィルタ等の種類も増加してしまい、構成も複雑になってしまう。また、これに伴い、製造コストも割高になってしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、簡易な構成で低コストかつ小型化が可能な光合分波器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る光合分波器は、異なる波長の3個以上の光信号からなる信号群を合波又は分波する光合分波器であって、光ファイバケーブルが接続されて前記信号群が入出力される主入出力部と、前記光信号の波長の長さ順で前記信号群を第一信号群及び第二信号群に二分したときに、前記第一信号群を透過して前記第二信号群を反射する第一分岐部と、前記第一信号群と前記第二信号群との間の任意の波長を境界波長としたときに、該境界波長と波長が隣り合う前記光信号からなる第三信号群を透過して、他の前記光信号を反射する第二分岐部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
この発明は、例えば、混在して入力された4個の光信号を、第一分岐部及び第二分岐部で反射する光信号、第一分岐部で反射し第二分岐部を透過する光信号、第一分岐部及び第二分岐部を透過する光信号、第一分岐部を透過して第二分岐部で反射する光信号、に分けることができる。同様に、これら4個の異なる波長の光信号を主入出力部にて光ファイバケーブルに混在させて出力させることができる。
【0009】
また、本発明に係る光合分波器は、前記光合分波器であって、全ての前記光信号を反射する反射部と、前記第三信号群、及び該第三信号群と隣り合う前記光信号からなる第四信号群を透過して、他の前記光信号を反射する第三分岐部と、前記第四信号群、及び該第四信号群と隣り合う前記光信号からなる第五信号群を透過して、他の前記光信号を反射する第四分岐部と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
この発明は、例えば、混在して入力された8個の光信号を、第一分岐部、第二分岐部、第三分岐部、及び第四分岐部で反射する光信号、第一分岐部、第二分岐部、及び第三分岐部で反射して、第四分岐部で透過する光信号、第一分岐部及び第二分岐部で反射して、第三分岐部及び第四分岐部で透過する光信号、第一分岐部で反射して、第二分岐部、第三分岐部、及び第四分岐部で透過する光信号、第一分岐部、第二分岐部、第三分岐部、及び第四分岐部を透過する光信号、第一分岐部、第三分岐部及び第四分岐部で透過して、第二分岐部で反射する光信号、第一分岐部及び第四分岐部で透過し、第二分岐部及び第三分岐部で反射する光信号、第一分岐部で透過して、第二分岐部、第三分岐部、及び第四分岐部で反射する光信号、に分けることができる。同様に、これら8個の異なる波長の光信号を主入出力部にて一つの光ファイバケーブルに混在させて出力させることができる。
【0011】
また、本発明に係る光合分波器は、前記光合分波器であって、前記主入出力部に入力された前記信号群が最初に前記第一分岐部に到達するように配置されていることを特徴とする。
この発明は、分波の初期段階で信号群を二分させることができ、その後の分波を容易かつ確実に行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る光合分波器は、前記光合分波器であって、前記光信号のうち、少なくとも一つが可視光であることを特徴とする。
この発明は、光合分波器及びこれらをつなぐ光ファイバケーブルの異常の有無を可視にて確認することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異なる波長を有して混在する光信号をその波長数よりも少ない種類の分岐部によって、簡単な構成かつ低コストで分波又は合波することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光合分波システムを示す概要図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光合分波器を示す概要図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る光合分波器の第一分岐部及び第二分岐部の透過波長と、これらに入出力する光信号の波長との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る光合分波器による光合分波状態を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る光合分波器を示す概要図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る光合分波器を示す概要図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る光合分波器の第一分岐部及び第二分岐部の透過波長と、これらに入出力する光信号の波長との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
本実施形態に係る光合分波器1は、図1に示すように、光ファイバケーブル3が接続されて異なる波長の3個以上の光信号からなる信号群G1が入出力される入出力用コリメータ(主入出力部)5A,5Bと、合波又は分波用の光ファイバケーブル6が接続されて、信号群G1の光信号のうちの何れか一つが伝送されるコリメータ7A,7B,7C,7Dと、入出力用コリメータ5A,5Bが接続された第一プリズム8と、コリメータ7A,7Dが一つずつ接続された第二プリズム10と、コリメータ7B,7Cが接続された透明ブロック11と、を備えている。
【0016】
入出力用コリメータ5A,5B及びコリメータ7A,7B,7C,7Dは、それぞれレンズ12を備えている。なお、図では各コリメータは二本が対になった状態とされているが、一本ずつでもよく、取付場所を確保できる場合には、三本以上が対となったものでも構わない。
【0017】
第一プリズム8は、内部に配された第一フィルタ(第一分岐部)13を備え、この第一フィルタ13に光信号が45度の入射角で入射するように構成されている。第二プリズム10は、内部に配された第二フィルタ(第二分岐部)15を備え、この第二フィルタ15に光信号が45度の入射角で入射するように構成されている。透明ブロック11は、略立方体形状で内部を光信号が直進可能とされている。
【0018】
すなわち、第一プリズム8は、入出力コリメータ5A,5Bに入力された信号群G1が最初に第一フィルタ13に入射するように配置されている。第二プリズム10は、第一フィルタ13を透過又は反射した光信号が入射するように第一プリズム8に隣接して配されている。透明ブロック11は、第二フィルタ15を反射した光信号が入射するように第二プリズム10に隣接して配される。
【0019】
ここで、信号群G1を構成する光信号を4個(波長λ1,λ2,λ3,λ4)とし、図2に示すように、光信号の各波長は、λ1,λ2,λ3,λ4の順に長くなっている、すなわち、λ1<λ2<λ3<λ4とする。また、信号群G1を光信号の波長の長さ順で第一信号群G11(波長がλ1及びλ2の光信号)及び第二信号群G12(波長がλ3及びλ4の光信号)に二等分する。そして、第一信号群G11と第二信号群G12との間の任意の波長を境界波長λとしたときに、境界波長λと波長が隣り合う二つの光信号(波長がλ2及びλ3の光信号)を第三信号群G13とする。
【0020】
このとき、第一フィルタ13は、第一信号群G11を反射し、かつ、第二信号群G12を透過する公知の多層膜フィルタから構成されている。第二フィルタ15は、第三信号群G13を透過し、かつ、残りの光信号(波長がλ1及びλ4の光信号)を反射する公知の多層膜フィルタから構成されている。
【0021】
次に、本実施形態に係る光合分波器1の作用について、図3を参照しながら説明する。
【0022】
分波の場合、入出力用コリメータ5Aから光合分波器1に入力された信号群G1は、第一プリズム8内の第一フィルタ13に到達する。ここで、信号群G1は、第一フィルタ13によって、第一信号群G11と第二信号群G12とに分岐される。すなわち、波長λ1及びλ2の光信号は、第一フィルタ13で反射される。一方、波長λ3及びλ4の光信号は、第一フィルタ13を透過する。
【0023】
第一フィルタ13で反射された波長λ1の光信号は、第二プリズム10内で第二フィルタ15でさらに反射され、透明ブロック11内を通過してコリメータ7Bから出力される。同じく第一フィルタ13で反射された波長λ2の光信号は、第二プリズム10内で第二フィルタ15を透過して、そのままコリメータ7Dから出力される。
【0024】
第一フィルタ13を透過した波長λ3の光信号は、第二プリズム10内で第二フィルタ15をさらに透過して、コリメータ7Aから出力される。第一フィルタ13を透過した波長λ4の光信号は、第二プリズム10内にて第二フィルタ15で反射されてコリメータ7Cから出力される。このように、各コリメータには、波長λ1,λ2,λ3,λ4の各光信号が一つずつ出力される。
【0025】
合波する際には、コリメータ7Aに波長λ3の光信号を入力し、コリメータ7Bに波長λ1の光信号を入力し、コリメータ7Cに波長λ4の光信号を入力し、コリメータ7Dに波長λ2の光信号を入力する。この場合、上述したのと逆方向に各光信号が伝送され、入出力用コリメータ5Aから信号群G1となって出力される。
【0026】
一方、入出力用コリメータ5Bから光合分波器1に入力された信号群G1は、第一プリズム8内の第一フィルタ13に到達する。ここで、信号群G1は、第一フィルタ13によって、第一信号群G11と第二信号群G12とに分岐される。すなわち、波長λ1及びλ2の光信号は、第一フィルタ13で反射される。一方、波長λ3及びλ4の光信号は、第一フィルタ13を透過する。
【0027】
第一フィルタ13で反射された波長λ1の光信号は、第二プリズム10内にて第二フィルタ15でさらに反射され、透明ブロック11内を通過してコリメータ7Cから出力される。同じく第一フィルタ13で反射された波長λ2の光信号は、第二プリズム10内で第二フィルタ15を透過して、そのままコリメータ7Aから出力される。
【0028】
第一フィルタ13を透過した波長λ3の光信号は、第二プリズム10内で第二フィルタ15をさらに透過して、コリメータ7Dから出力される。第一フィルタ13を透過した波長λ4の光信号は、第二プリズム10内にて第二フィルタ15で反射されてコリメータ7Bから出力される。この場合も、各コリメータには、波長λ1,λ2,λ3,λ4の各光信号が一つずつ出力される。
【0029】
合波する際には、コリメータ7Aに波長λ2の光信号を入力し、コリメータ7Bに波長λ4の光信号を入力し、コリメータ7Cに波長λ1の光信号を入力し、コリメータ7Dに波長λ3の光信号を入力する。この場合、上述したのと逆方向に各光信号が伝送され、入出力用コリメータ5Bから信号群G1となって出力される。
【0030】
ここで、コリメータ7Aとコリメータ7D、及びコリメータ7Bとコリメータ7Cとをそれぞれ接続した場合、入出力用コリメータ5A又は入出力用コリメータ5Bから入力した信号群G1は、入出力用コリメータ5B又は入出力用コリメータ5Aから出力される。
【0031】
この光合分波器1によれば、混在して入力された4個の光信号を、第一フィルタ13及び第二フィルタ15で反射する光信号(波長λ1)、第一フィルタ13で反射し、第二フィルタ15を透過する光信号(波長λ2)、第一フィルタ13及び第二フィルタを透過する光信号(波長λ3)、第一フィルタ13を透過して第二フィルタ15で反射する光信号(波長λ4)に分けることができる。同様に、これら4個の光信号を入出力コリメータ5A,5Bにて光ファイバケーブル3に混在させて出力させることができる。
【0032】
この際、異なる波長を有して混在する光信号をその波長数よりも少ない種類(2種類)のフィルタによって、従来よりも簡単な構成かつ低コストで分波又は合波することができる。
【0033】
特に、入出力用コリメータ5A,5Bに入力された信号群G1が最初に第一フィルタ13に到達するように配置されているので、分波の初期段階で信号群G1を二分させることができ、その後の分波を容易かつ確実に行うことができる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図4及び図5を参照しながら説明する。
なお、上述した第1の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、図4に示すように、本実施形態に係る光合分波器20の第一フィルタ13及び第二フィルタ15の入射角が0度よりも大きく、かつ45度よりも小さくなるように配されているとした点である。
【0035】
光合分波器20は、図5に示すように、各端末A,B,C,Dに配されている。これらの端末A,B,C,Dは、光ファイバケーブル3で接続されてLANを構成している。光合分波器20は、異なる波長(λ1,λ2,λ3,λ4)の4個の光信号からなる信号群G1を一つの光ファイバケーブル3に合波又は一つの光ファイバケーブル3から分波する。
【0036】
この光合分波器20は、入出力用コリメータ5B、コリメータ7A,及びコリメータ7Bが接続された第一透明ブロック21と、入出力用コリメータ5A、コリメータ7C,及びコリメータ7Dが接続された第二透明ブロック22と、を備えている。第一透明ブロック21及び第二透明ブロック22は、ともに略直方体形状とされている。
【0037】
第一フィルタ13は、第一透明ブロック21と第二透明ブロック22との間に配されている。第二フィルタ15は、コリメータ7A及びコリメータ7Dの近傍に配されている。各コリメータは、第一フィルタ13及び第二フィルタ15への各光信号の入射角に合わせて、第一透明ブロック21及び第二透明ブロック22に対して調整ブロック23を介して傾斜して接続されている。
【0038】
次に、本実施形態に係る光合分波器20の作用について説明する。この光合分波器20による分波の場合、第1の実施形態と同様に、入出力用コリメータ5Aから第二透明ブロック22に入力された信号群G1は、まず、第一フィルタ13に到達する。ここで、第一フィルタ13で反射された波長λ1の光信号は、コリメータ7D近傍に配された第二フィルタ15でさらに反射され、第二透明ブロック22から第一透明ブロック21を通過してコリメータ7Bから出力される。同じく第一フィルタ13で反射された波長λ2の光信号は、第二透明ブロック22から第二フィルタ15を透過して、そのままコリメータ7Dから出力される。
【0039】
第一フィルタ13を透過した波長λ3の光信号は、第一透明ブロック21及び第二フィルタ15を透過して、コリメータ7Aから出力される。第一フィルタ13を透過した波長λ4の光信号は、コリメータ7A近傍に配された第二フィルタ15で反射され、第一透明ブロック21及び第二透明ブロック22を透過してコリメータ7Cから出力される。こうして、各コリメータには、波長λ1,λ2,λ3,λ4の各光信号が一つずつ出力される。合波の場合、第1の実施形態と同様に、これと逆方向に光信号が進むことにより、合波される。
【0040】
ここで、各端末内でコリメータ7Aとコリメータ7D、及びコリメータ7Bとコリメータ7Cとをそれぞれ接続する。これによって、入出力用コリメータ5A又は入出力用コリメータ5Bから入力された信号群G1は、入出力用コリメータ5B又は入出力用コリメータ5Aから出力される。すなわち、図5において、各端末A,B,C,D間で信号群G1が時計回り又は反時計回りに伝送されることになる。
【0041】
この光合分波器20によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。特に、光信号の第一フィルタ13及び第二フィルタ15への入射角が、0度を超えて45度未満の所定の角度となっているので、各フィルタにおける透過又は反射を確実に行うことができ、分波又は合波の誤差をより小さくすることができる。そして、簡易な構成で次世代ホームネットワークや、大学キャンパス内、工場、事務所の光LANを構築することができる。
【0042】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図6及び図7を参照しながら説明する。
なお、上述した他の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第3の実施形態と第2の実施形態との異なる点は、本実施形態に係る光合分波器30が、異なる波長(λ1,λ2,λ3,λ4,λ5,λ6,λ7,λ8)の8個の光信号からなる信号群G2を合分波するものとしている点である。
【0043】
この光合分波器30は、図6に示すように、コリメータ31A,コリメータ31B,コリメータ31C,及びコリメータ31Dが接続された第一透明ブロック32と、入出力用コリメータ5Bが接続された第二透明ブロック33と、入出力用コリメータ5Aが接続された第三透明ブロック35と、コリメータ31E,コリメータ31F,コリメータ31G,及びコリメータ31Hが接続された第四透明ブロック36と、第一フィルタ37と、第二フィルタ38と、ミラー(反射部)40と、第三フィルタ(第三分岐部)41と、第四フィルタ(第四分岐部)42と、を備えている。
【0044】
ここで、図7に示すように、光信号の各波長は、λ1,λ2,λ3,λ4,λ5,λ6,λ7,λ8の順に長くなっている、すなわち、λ1<λ2<λ3<λ4<λ5<λ6<λ7<λ8とする。また、信号群G2を光信号の波長の長さ順で第一信号群G21(波長がλ1,λ2,λ3.λ4の光信号)及び第二信号群G22(波長がλ5,λ6,λ7,λ8の光信号)に二分する。そして、第一信号群G21と第二信号群G22との間の任意の波長を境界波長λとしたときに、境界波長λと波長が隣り合う二つの光信号(波長がλ4及びλ5の光信号)を第三信号群G23とする。また、第三信号群G23、及び第三信号群G23と隣り合う二つの光信号(波長がλ3及びλ6の光信号)を第四信号群G24(波長がλ3,λ4,λ5,λ6の光信号)とする。さらに、第四信号群G24、及び第四信号群G24と隣り合う二つの光信号(波長がλ2及びλ7の光信号)を第五信号群G25(波長がλ2,λ3,λ4,λ5,λ6,λ7の光信号)とする。
【0045】
各コリメータは、上述した他の実施形態と同様の構成とされている。第一透明ブロック32、第二透明ブロック33、第三透明ブロック35、及び第四透明ブロック36は、ともに略直方体形状とされており、この順に積層されている。
【0046】
第一フィルタ37は、第二透明ブロック33と第三透明ブロック35との間に配されている。第二フィルタ38は、第一透明ブロック32と第二透明ブロック33との間、及び、第三透明ブロック35と第四透明ブロック36との間に配されている。第四フィルタ42は、第二フィルタ38の隣に配されている。第三フィルタ41は、コリメータ31B及びコリメータ31Gの近傍に配されている。各コリメータは、各フィルタへの各光信号の入射角に合わせて、第一透明ブロック32及び第四透明ブロック36に対して調整ブロック23を介して傾斜して接続されている。
【0047】
ミラー40は、信号群G2の全ての光信号を反射するように構成されている。第一フィルタ37は、第一信号群G21を反射し、かつ、第二信号群G22を透過する公知の多層膜フィルタから構成されている。第二フィルタ38は、第三信号群G23を透過し、かつ、残りの光信号(波長がλ1,λ2,λ3,λ6,λ7,λ8の光信号)を反射する公知の多層膜フィルタから構成されている。第三フィルタ41は、第三信号群G23及び第四信号群G24を透過して、他の光信号(波長がλ1,λ2,λ7,λ8の光信号)を反射する公知の多層膜フィルタから構成されている。第四フィルタ42は、第四信号群G24及び第五信号群G25を透過して、他の光信号(波長がλ1,λ8の光信号)を反射する公知の多層膜フィルタから構成されている。
【0048】
次に、本実施形態に係る光合分波器30の作用について説明する。この光合分波器30による分波の場合、上述した他の実施形態と同様に、入出力用コリメータ5Aから第三透明ブロック35に入力された信号群G2は、まず、第一フィルタ37に到達する。ここで、第一フィルタ37で反射された波長λ1の光信号は、第二フィルタ38、ミラー40、第四フィルタ42の順に反射され、コリメータ31Cから出力される。第一フィルタ37で反射された波長λ2の光信号は、第二フィルタ38、ミラー40で反射された後、第四フィルタ42を透過する。しかし、第三フィルタ41で反射され、コリメータ31Dから出力される。
【0049】
第一フィルタ37で反射された波長λ3の光信号は、第二フィルタ38、ミラー40でさらに反射されるものの、第三フィルタ41及び第四フィルタ42を透過して、コリメータ31Gから出力される。第一フィルタ37で反射された波長λ4の光信号は、第二フィルタ38を透過して、そのままコリメータ31Hから出力される。
【0050】
第一フィルタ37を透過した波長λ5の光信号は、第二フィルタ38を透過して、コリメータ31Aから出力される。第一フィルタ37を透過した波長λ6の光信号は、第二フィルタ38及びミラー40で反射されるものの、第三フィルタ41を透過してコリメータ31Bから出力される。第一フィルタ37を透過した波長λ7の光信号は、第二フィルタ38及びミラー40で反射された後、第四フィルタ42を透過する。しかし、第三フィルタ41で反射され、コリメータ31Eから出力される。第一フィルタ37を透過した波長λ8の光信号は、第二フィルタ38、ミラー40、及び第三フィルタ41で反射され、コリメータ31Fから出力される。
【0051】
こうして、各コリメータには、波長λ1,λ2,λ3,λ4,λ5,λ6,λ7,λ8の各光信号が一つずつ出力される。合波の場合、上述した他の実施形態と同様に、これと逆方向に光信号が進むことにより、合波される。
【0052】
ここで、コリメータ31Aとコリメータ31H、コリメータ31Bとコリメータ31G、コリメータ31Cとコリメータ31F、コリメータ31Dとコリメータ31Eとをそれぞれ接続する。これによって、入出力用コリメータ5A又は入出力用コリメータ5Bから入力された信号群G2は、入出力用コリメータ5B又は入出力用コリメータ5Aから出力される。
【0053】
この光合分波器30によれば、上述した他の実施形態と同様の効果を奏することができる。特に、このような構成としたことによって、光ファイバケーブル3から混在して入力された8個の光信号を、第一フィルタ37、第二フィルタ38、ミラー40、第三フィルタ41、及び第四フィルタ42によって分波することができる。同様に、各コリメータから入力された8個の光信号を光ファイバケーブル3に混在させて出力させることができる。
【0054】
すなわち、異なる波長を有して混在する光信号をその波長数よりも少ない種類(5種類)のフィルタ及びミラーによって、従来よりも簡単な構成かつ低コストで分波又は合波することができる。
【0055】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、各種フィルタが透明ブロック内に配されているとしているが、導波路構成のものでも構わない。また、光信号は4波長又は8波長に限らず、波長の互いに異なる3個以上の光信号であれば構わない。
【0056】
さらに、入出力用コリメータ5A,5Bは、各2本の光ファイバケーブル3により構成され、第1,2の実施形態の場合、各光ファイバケーブル3には4個の光信号が入力、または出力される。しかし、これに限らず、各1本の光ファイバケーブルのみを用いて4個の光信号を入出力することも可能である。この場合、光ファイバケーブル6では、1個の光信号を入出力する。さらに、光ファイバケーブルを使用せずに空間光伝送でもよい。
【0057】
また、光信号のうち、少なくとも一つが可視光であってもよい。この場合、光合分波器1,20,30及びこれらをつなぐ光ファイバケーブル3の異常の有無を可視にて確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る光合分波器は、簡易な構成で次世代ホームネットワークや、大学キャンパス内、工場、事務所の光LANを構築することができる。
【符号の説明】
【0059】
1,20,30 光合分波器
3,6 光ファイバケーブル
5A,5B 入出力用コリメータ(入出力部)
13,37 第一フィルタ(第一分岐部)
15,38 第二フィルタ(第二分岐部)
40 ミラー(反射部)
41 第三フィルタ(第三分岐部)
42 第四フィルタ(第四分岐部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる波長の3個以上の光信号からなる信号群を合波又は分波する光合分波器であって、
光ファイバケーブルが接続されて前記信号群が入出力される主入出力部と、
前記光信号の波長の長さ順で前記信号群を第一信号群及び第二信号群に二分したときに、前記第一信号群を透過して前記第二信号群を反射する第一分岐部と、
前記第一信号群と前記第二信号群との間の任意の波長を境界波長としたときに、該境界波長と波長が隣り合う前記光信号からなる第三信号群を透過して、他の前記光信号を反射する第二分岐部と、
を備えていることを特徴とする光合分波器。
【請求項2】
全ての前記光信号を反射する反射部と、
前記第三信号群、及び該第三信号群と隣り合う前記光信号からなる第四信号群を透過して、他の前記光信号を反射する第三分岐部と、
前記第四信号群、及び該第四信号群と隣り合う前記光信号からなる第五信号群を透過して、他の前記光信号を反射する第四分岐部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光合分波器。
【請求項3】
前記主入出力部に入力された前記信号群が最初に前記第一分岐部に到達するように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光合波器。
【請求項4】
前記光信号のうち、少なくとも一つが可視光であることを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の光合分波器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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