光増幅器、制御回路、および光増幅器の制御方法
【課題】入力光の光パワーの大きさによらずに、また、入力光の波長によらずに半導体光増幅器の信号光パワーを所定レベル制御する。
【解決手段】半導体光増幅器1は、入力光の波長および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する。光カプラ2は、半導体光増幅器1の出力光を一部分岐し、検出部3に出力する。検出部3は、光カプラ2によって分岐された半導体光増幅器1の出力光の光パワーを検出する。制御回路4は、検出部3で検出された光パワーに基づいて、半導体光増幅器1の出力光パワーが、目標の信号光パワーに雑音光パワーを加えたパワーとなるように半導体光増幅器1の駆動電流を出力する。
【解決手段】半導体光増幅器1は、入力光の波長および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する。光カプラ2は、半導体光増幅器1の出力光を一部分岐し、検出部3に出力する。検出部3は、光カプラ2によって分岐された半導体光増幅器1の出力光の光パワーを検出する。制御回路4は、検出部3で検出された光パワーに基づいて、半導体光増幅器1の出力光パワーが、目標の信号光パワーに雑音光パワーを加えたパワーとなるように半導体光増幅器1の駆動電流を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体光増幅器の所定の出力レベル制御を行う光増幅器、制御回路、および光増幅器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信ネットワークでは、光受信器の最小受信感度を改善するため、例えば、光受信器の前段に光プリアンプを挿入し、入力信号光を増幅する方法が用いられている。光プリアンプは、光受信系(例えば、光プリアンプ、光受信器を有する光受信装置全体)の入力ダイナミックレンジを拡大する目的で出力レベル制御(ALC:Automatic Level Control)が適用され、後段の光受信器に所定の光パワーの信号光を出力するのが一般的である。
【0003】
このような光受信系に用いられる光アンプとして、従来、エルビウムドープファイバ増幅器(EDFA:Erbium Doped Fiber Amplifier)が一般に使用されてきた。しかし、EDFAは、折り曲げ半径に制約があり、小型化することが困難である。
【0004】
そこで、近年、半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)が注目されている。SOAは、半導体レーザと同様の設備、行程で製造でき、小型、低消費電力、低コストを実現する光アンプとして開発が進められている。また、SOAは、他の半導体デバイスとのモノシリック集積や、他の光部品とのハイブリッド集積によるシステムの小型化が期待されている。
【0005】
SOAのALCは、SOAの出力光パワーをモニタし、SOAの駆動電流をフィードバック制御することにより実現される。具体的には、SOAのALCは、SOAの出力光パワーが所定のレベルとなるようにSOAの駆動電流をフィードバック制御することにより、SOAの出力光に含まれる信号光パワーを所定のレベルとなるように制御する。これにより、後段の光受信器には、所定のレベルの光パワーの信号光を出力することができる。
【0006】
なお、従来、平均値検出によるフィードバック構成において、増幅された自然放出光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)を含む出力信号を検出して注入電流を制御しても、出力信号強度の降下を低減することが可能な信号光強度制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−46186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、SOAへの入力光パワーが小さくなると、SOAの出力光の信号光に対するASEの割合が増え、SOAの光出力パワーと信号光パワーとに差が生じ、出力光パワーを所定のレベルに制御しても信号光パワーを所定のレベルにすることができないという問題点があった。
【0009】
また、SOAへの入力信号光の波長が異なると、SOAの出力光を占めるASEの割合が変わるため、出力光パワーの所定レベル制御に波長依存性が生じるという問題点があった。
【0010】
図13は、SOAの入力光パワーに対する出力光パワーと信号光パワーとのずれを示した図である。図13の横軸はSOAに入力される信号光の入力パワーを示し、縦軸はSOAの出力光パワーと、出力光に含まれる信号光の信号光パワーとのずれを示している。また、図13には、3種類の波長におけるSOAの入力光パワーに対する出力光パワーと信号光パワーのずれを示している。
【0011】
図13に示すように、入力光パワーが小さくなるほど、SOAの出力光パワーと信号光パワーとのずれが大きくなっている。これは、入力光パワーが小さくなると、SOAの出力光の信号光に対するASEの割合が増えるためである。このため、SOAのALCは、SOAの出力光パワーを所定のレベルに制御しても、信号光パワーを所定レベル制御できなくなる。
【0012】
また、図13に示すように、長波長の方が短波長に比べ、出力光パワーと信号光パワーのずれが大きくなっている。これは、長波長の方が増幅されにくく、増幅率を上げるとSOAの出力光の信号光に対するASEの割合が増えるためである。このため、SOAのALCは、出力光パワーの所定レベル制御に波長依存性が生じる。
【0013】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、入力光の光パワーの大きさによらずに、また、入力光の波長によらずに信号光パワーを所定レベル制御する光増幅器、制御回路、および光増幅器の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために光増幅器が提供される。この光増幅器は、入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器と、前記半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーを検出する検出部と、前記光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力する制御回路と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
開示の光増幅器、制御回路、および光増幅器の制御方法では、入力光の光パワーの大きさによらずに、また、入力光の波長によらずに信号光の出力パワーを所定のレベルに制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光増幅器を示した図である。
【図2】第1の実施の形態に係る光増幅器のブロック図である。
【図3】図2の光パワー検出部の詳細を示した図である。
【図4】図2のALC回路の詳細を示した図である。
【図5】入力光の信号光パワーが異なる場合のSOA出力光スペクトルを示した図である。
【図6】ASEパワーと駆動電流の関係を示した図である。
【図7】目標出力光パワーTBのデータ構成例を示した図である。
【図8】ALC回路の動作例を説明する図である。
【図9】SOAの入力光パワーに対する信号光パワーの変化を示した図である。
【図10】4波のWDM信号の入力光パワーが異なる場合のSOA出力光スペクトルを示した図である。
【図11】第2の実施の形態に係る光増幅器のALC回路の詳細を示した図である。
【図12】TB生成部の動作を示したフローチャートである。
【図13】SOAの入力光パワーに対する出力光パワーと信号光パワーとのずれを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、光増幅器を示した図である。図1に示すように光増幅器は、半導体光増幅器1、光カプラ2、検出部3、および制御回路4を有している。
半導体光増幅器1は、入力光の波長に応じて異なる雑音光パワーを発する。また、半導体光増幅器1は、駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する。雑音光パワーは、例えば、ASEパワーである。
【0018】
光カプラ2は、半導体光増幅器1の出力光を一部分岐し、検出部3に出力する。
検出部3は、光カプラ2によって分岐された半導体光増幅器1の出力光の光パワーを検出する。
【0019】
制御回路4は、検出部3で検出された光パワーに基づいて、半導体光増幅器1の出力光パワーが、目標の信号光パワーに雑音光パワーを加えたパワーとなるように半導体光増幅器1の駆動電流を出力する。
【0020】
例えば、制御回路4は、半導体光増幅器1に入力される信号光が目標の信号光パワーとなって出力されるよう半導体光増幅器1に駆動電流を出力する。このとき、半導体光増幅器1の出力光パワーには駆動電流に応じた雑音光パワーも含まれる。そこで、制御回路4は、半導体光増幅器1の出力光パワーが、目標の信号光パワーに雑音光パワーを加えた出力光パワーとなるよう駆動電流を出力して、半導体光増幅器1から常時目標の信号光パワーが得られるようにする。
【0021】
また、入力される信号光の波長によって、目標の信号光パワーを得るための半導体光増幅器1の増幅率が異なり、半導体光増幅器1に出力する駆動電流が異なる。例えば、入力される信号光が長波長ほど、駆動電流を大きくする必要がある。しかし、制御回路4は、半導体光増幅器1の出力光パワーが、目標の信号光パワーに雑音光パワーを加算した出力光パワーとなるよう駆動電流を出力して、半導体光増幅器1から常時目標の信号光パワーが得られるようにする。
【0022】
このように、光増幅器は、検出部3の光パワーに基づいて、半導体光増幅器1の出力光パワーが、目標の信号光パワーに半導体光増幅器1の雑音光パワーを加えたパワーとなるように駆動電流を出力する。これにより、出力光パワーに含まれる雑音光パワーの割合に関係なく、信号光パワーを所定レベルに制御するので、入力光の光パワーの大きさによらずに、また、入力光の波長によらずに信号光パワーを所定レベルに制御することができる。
【0023】
次に、第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図2は、第1の実施の形態に係る光増幅器のブロック図である。図2に示すように、光増幅器は、SOA11、光カプラ12、光パワー検出部13、ALC回路14、および目標出力光パワーTB(TB:TaBle)15を有している。光増幅器の後段には、図2に示していないが、例えば、光信号を終端する光受信器が接続される。光増幅器は、光ネットワークから入力される入力光を増幅して出力光を光受信器に出力する。このとき、光増幅器は、SOA11の出力光に含まれる信号光パワーを所定のレベルとなるように制御する。
【0024】
SOA11は、入力される入力光を増幅する。SOA11は、ALC回路14から出力される駆動電流に応じて、入力光を増幅する。SOA11から出力される出力光には、信号光の他にSOA11によるASEが含まれている。SOA11は、出力光パワーを所定レベルとしたときに、入力光の波長により利得量が異なるため入力光の波長および駆動電流に応じて異なるASEを発する。
【0025】
光カプラ12は、SOA11から出力される出力光の一部を分岐し、光パワー検出部13に出力する。光カプラ12は、例えば、強度比9:1で出力光を分岐し、出力光の90%を後段の光受信器に出力し、出力光の10%を光パワー検出部13に出力する。
【0026】
光パワー検出部13は、光カプラ12によって分岐された出力光の出力光パワーを検出する。光パワー検出部13は、出力光の全波長帯域での出力光パワーを検出する。
ALC回路14は、SOA11に駆動電流を出力してSOA11の増幅率を制御し、SOA11から出力される出力光の信号光パワーを所定レベルとなるように制御する。ALC回路14は、現在出力している駆動電流に対応する目標出力光パワーを目標出力光パワーTB15から取得し、取得した目標出力光パワーと、光パワー検出部13から出力される出力光パワーとを比較して、比較結果に基づいて新たな駆動電流をSOA11に出力する。
【0027】
例えば、ALC回路14は、光パワー検出部13から出力される出力光パワーが、目標出力光パワーTB15から取得した目標出力光パワーより大きい場合、出力光パワーが小さくなるように駆動電流を小さくする。また、ALC回路14は、光パワー検出部13から出力される出力光パワーが、目標出力光パワーTB15から取得した目標出力光パワーより小さい場合、出力光パワーが大きくなるように駆動電流を大きくする。ALC回路14は、目標出力光パワーと出力光パワーとの差がなくなるまで、前述の駆動電流の制御を行う。
【0028】
目標出力光パワーTB15は、例えば、メモリなどの記憶装置である。目標出力光パワーTB15には、SOA11に出力する駆動電流と、その駆動電流により光パワー検出部13から出力されるべき出力光パワーの目標出力光パワーとが対応付けて記憶されている。目標出力光パワーは、後述するが、SOA11の目標とする信号光パワーにASEパワーを加えたパワーに基づくものである。これにより、光増幅器は、入力光パワーの大きさによらず、また、入力光の波長によらずにSOA11の出力光の信号光パワーを所定レベル制御できる。
【0029】
図3は、図2の光パワー検出部の詳細を示した図である。図3に示すように、光パワー検出部13は、フォトダイオード21および積分器22を有している。
フォトダイオード21は、光カプラ12で分岐された出力光の出力光パワーを検出する。フォトダイオード21は、出力光の全波長帯域における出力光パワーを検出する。
【0030】
積分器22は、フォトダイオード21から出力される出力光パワーを積分する。すなわち、積分器22は、フォトダイオード21から出力される出力光パワーの高帯域成分を除去する。
【0031】
図4は、図2のALC回路の詳細を示した図である。図4に示すように、ALC回路14は、SOA駆動回路31および比較器32を有している。
SOA駆動回路31は、SOA11に出力している現在の駆動電流値(駆動電流情報)を目標出力光パワーTB15に出力する。目標出力光パワーTB15は、SOA駆動回路31から出力された駆動電流情報に対応する目標出力光パワーを比較器32に出力する。
【0032】
比較器32は、目標出力光パワーTB15から出力された目標出力光パワーと、光パワー検出部13から出力される出力光パワーとを比較する。比較器32は、目標出力光パワーと出力光パワーとの比較結果をSOA駆動回路31に出力する。
【0033】
SOA駆動回路31は、比較器32の目標出力光パワーと出力光パワーとの比較結果に基づいて、駆動電流をSOA11に出力する。例えば、SOA駆動回路31は、出力光パワーが目標出力光パワーより大きい場合、SOA11から出力される出力光パワーが小さくなるように駆動電流を小さくする。また、SOA駆動回路31は、出力光パワーが目標出力光パワーより小さい場合、出力光パワーが大きくなるように駆動電流を大きくする。
【0034】
SOA駆動回路31は、比較器32の比較結果に基づいた駆動電流をSOA11に出力すると、その駆動電流の駆動電流情報を目標出力光パワーTB15に出力する。目標出力光パワーTB15は、SOA駆動回路31から出力された駆動電流情報に対応する目標出力光パワーを比較器32に出力し、比較器32は、目標出力光パワーTB15からの目標出力光パワーと、光パワー検出部13からの出力光パワーとを比較する。SOA駆動回路31は、比較器32の比較結果に基づいて、新たな駆動電流をSOA11に出力する。
【0035】
SOA駆動回路31と比較器32は、目標出力光パワーと出力光パワーとの差がなくなるまで上記の処理を繰り返す。これにより、SOA11の信号光パワーは所定レベルとなるように制御される。
【0036】
なお、SOA駆動回路31は、目標出力光パワーと出力光パワーとの差が所定の範囲に収まれば、目標出力光パワーと出力光パワーとの差はないと判断するようにしてもよい。
図5は、入力光の信号光パワーが異なる場合のSOA出力光スペクトルを示した図である。図5の横軸は波長を示し、縦軸はパワーを示している。図5のSOA11の出力光スペクトルは、SOA11の駆動電流が300mAの時の出力光スペクトルを示している。
【0037】
図5には、3種類の入力光の信号光パワーにおけるSOA11の出力光スペクトルが示してある。3種類の入力光の信号光パワーは、全て波長が同じである。また、図5には、入力光がない場合のSOA11の出力光スペクトルも示してある。図5の波形W1は、信号光のSOA11の出力光スペクトルを示しており、波形W2は、SOA11のASEの出力光スペクトルを示している。
【0038】
SOA11の光増幅として用いる領域は、信号劣化のない線形領域の部分である。そのため、駆動電流が一定であれば、入力光の信号光パワーの大きさや入力光の有無によらず、SOA11の出力光に含まれるASEパワーの大きさはほぼ一定である。
【0039】
例えば、図5に示すように、SOA11の駆動電流が300mAで一定の場合、入力光の信号光パワーが異なっていても、SOA11のASEパワー(波形W2の面積)はほぼ一定である。SOA11に入力光が入力されない場合でも、SOA11の出力光のASEパワーはほぼ一定である。駆動電流が他の値であっても、駆動電流が一定であれば、SOA11の出力光のASEパワーは、入力光の信号光パワーの大きさに関わらずほぼ一定である。
【0040】
図6は、ASEパワーと駆動電流の関係を示した図である。図6に示すように、SOA11から出力されるASEパワーは、入力光の信号光パワーの大きさによらず、駆動電流が一定であればほぼ一定となる。また、SOA11から出力されるASEパワーは、駆動電流の大きさによって異なる。
【0041】
例えば、駆動電流がI1の場合、SOA11から出力されるASEパワーは、入力光パワーの大きさによらず、P1でほぼ一定となる。また、駆動電流がI2の場合、SOA11から出力されるASEパワーは、入力光パワーの大きさによらず、P2でほぼ一定となる。なお、図6のASEパワーP1〜Pnは、全波長帯域におけるASEパワー(図5で言えば、波形W2の面積)を示している。
【0042】
図7は、目標出力光パワーTBのデータ構成例を示した図である。図7に示すように、目標出力光パワーTB15は、駆動電流および目標出力光パワーの欄を有している。駆動電流の欄には、SOA11に入力される駆動電流が格納されている。目標出力光パワーの欄には、SOA11の目標とする出力光パワーが格納されている。
【0043】
目標出力光パワーは、SOA11から出力される出力光の目標とする信号光パワーSと、SOA11のASEパワーP1〜Pnとを加算したものである。SOA11の出力光は、光カプラ12によって分岐されてALC回路14に入力されるので、目標出力光パワーは、光カプラ12の強度比が考慮される。例えば、上述したように、光カプラ12の強度比が9:1の場合、目標出力光パワーは1/10となる。
【0044】
信号光パワーSは、SOA11から出力される信号光の目標とするパワーであり、所定レベルである。従って、ALC回路14は、目標出力光パワーと光パワー検出部13から出力される出力光パワーとの差がなくなるように制御することにより、SOA11の出力からは、所定レベルの信号光パワーSが得られることになる。
【0045】
図3で説明した光パワー検出部13のフォトダイオード21は、SOA11の出力光の全波長帯域における出力光パワーを検出して出力する。比較器32は、光パワー検出部13から出力される全波長帯域の出力光パワーと、目標出力光パワーとを比較する。従って、信号光パワーSとASEパワーP1〜Pnは、全波長帯域における値となっている。
【0046】
信号光パワーSは、光増幅器の後段に接続される受信器の入力レンジによって決められる。駆動電流に対するASEパワーP1〜Pnは、例えば、予めSOA11のASE特性から得るか、または、後述するように光増幅器自身によっても測定することができる。
【0047】
図8は、ALC回路の動作例を説明する図である。図8に示すように、ALC回路14の比較器32は、例えば、目標出力光パワーTB15から出力される目標出力光パワーから、光パワー検出部13から出力される出力光パワーを減算して、目標出力光パワーと出力光パワーとを比較する。そして、SOA駆動回路31は、目標出力光パワーと出力光パワーとの差がなくなるように駆動電流を制御する。例えば、SOA駆動回路31は、図8に示すように、目標出力光パワーと出力光パワーとの差が‘0’となるように駆動電流を制御する。すなわち、SOA駆動回路31は、SOA11の出力光パワーが目標の信号光パワーSにASEパワーを加えた出力光パワーとなるように駆動電流を出力する。
【0048】
目標出力光パワーと出力光パワーとの差がなくなると、SOA11からは、信号光パワーSが出力されていることになる。すなわち、SOA11からは、所定レベルの信号光パワーSが出力されていることになる。そして、入力光の入力光パワーが小さくなっても、目標出力光パワーと出力光パワーとの差がなくなるように制御することにより、SOA11からは、所定レベルの信号光パワーSが出力される。従って、入力光の入力光パワーが小さくなり、SOAの出力光の信号光に対すASEの割合が増えても、信号光パワーSを所定レベル制御することができる。
【0049】
また、入力光の信号光の波長によって、目標の信号光パワーSを得るためのSOA11の増幅率が異なり、SOA11に出力する駆動電流が異なる。例えば、入力光が長波長ほど、駆動電流を大きくする必要がある。しかし、SOA駆動回路31は、駆動電流に応じたASEパワーに信号光パワーSを加算した出力光を出力するようSOA11を制御するので、入力光の信号光の波長が異なっても、入力光の信号光の波長に依存せず、出力する信号光パワーを所定レベル制御することができる。
【0050】
図9は、SOAの入力光パワーに対する信号光パワーの変化を示した図である。図9の横軸はSOAに入力される信号光の入力パワーを示し、縦軸はSOAの信号光パワーの変化を示している。また、図9には、3種類の波長におけるSOAの入力光パワーに対する信号光パワーの変化を示している。
【0051】
図9に示すように、入力光パワーが小さくなっても、SOAの信号光パワーの変化はほぼ所定レベルで一定である。また、波長によらず、SOAの信号光パワーの変化はほぼ所定レベルで一定である。
【0052】
すなわち、目標出力光パワーと出力光パワーとの差がなくなるように制御することにより、入力光パワーが小さくても信号光パワーを所定レベルに制御できる。また、信号光の波長によらず、信号光パワーを所定レベル制御することができる。
【0053】
光増幅器は、1波長の信号光だけでなく、例えば、複数の波長を含む波長分割多重(WDM)の信号光においても、入力光の信号光パワーの大きさおよび波長によらず、信号光パワーを所定レベルに制御することができる。
【0054】
WDM信号の場合、図2の光増幅器は、1波長の場合に対し、目標出力光パワーTB15の目標とする信号光パワーの値が異なる。例えば、n波のWDM信号の場合、目標出力光パワーTB15の信号光パワーは、例えば、1波長あたりの信号光の目標とする信号光パワーをSとすると、nSとなる。従って、図7の目標出力光パワーの欄は、nS+P1,nS+P1,…,nS+Pnとなる。
【0055】
図10は、4波のWDM信号の入力光パワーが異なる場合のSOA出力光スペクトルを示した図である。図10の横軸は波長を示し、縦軸はパワーを示している。図10のSOA11の出力光スペクトルは、SOA11の駆動電流が300mAの時の出力光スペクトルを示している。
【0056】
図10には、4波WDM信号の3種類の入力光パワーにおけるSOA11の出力光スペクトルが示してある。また、図10には、入力光がない場合のSOA11の出力光スペクトルも示してある。図10の波形W11は、4波WDM信号の信号光におけるSOA11の出力光スペクトルを示しており、波形W12は、SOA11のASEの出力光スペクトルを示している。
【0057】
SOA11の光増幅として用いる領域は、信号劣化のない線形領域の部分である。そのため、駆動電流が一定であれば、4波WDM信号の信号光パワーの大きさや入力光の有無によらず、SOA11の出力光に含まれるASEパワーの大きさはほぼ一定である。
【0058】
例えば、図10に示すように、SOA11の駆動電流が300mAで一定の場合、入力光の信号光パワーが異なっていても、SOA11の出力光のASEパワーはほぼ一定である。SOA11に入力光が入力されない場合でも、SOA11の出力光のASEパワーはほぼ一定である。もちろん、駆動電流が他の値であっても、駆動電流が一定であれば、SOA11の出力光のASEパワーは、入力光の信号光パワーの大きさに関わらずほぼ一定である。
【0059】
従って、SOA11に入力される入力光がWDM信号の場合でも、入力光パワーが小さくても出力光パワーを所定レベルに制御できる。また、WDM信号の波長(例えば、図10に示す4波WDM信号とは異なる波長の4波WDM信号)によらず、出力する信号光パワーを所定レベルに制御することができる。
【0060】
このように、光増幅器は、光パワー検出部13から出力される出力光パワーと、目標出力光パワーTB15に記憶される目標出力光パワーとに基づいてSOA11に出力する駆動電流を制御する。目標出力光パワーは、信号光パワーにASEパワーを加えたパワーに基づくものであり、これにより、入力光の光パワーの大きさによらずに、また、入力光の波長によらずに信号光パワーを所定レベルに制御することができる。
【0061】
なお、目標出力光パワーTB15は、目標とする信号光パワーとASEパワーとを加算したものを記憶するとしたがASEパワーのみを記憶するようにしてもよい。この場合、比較器32は、目標出力光パワーTB15から出力されるASEパワーに目標とする信号光パワーを加算して光パワー検出部13から出力される出力光パワーと比較する。
【0062】
次に、第2の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。第2の実施の形態では、目標出力光パワーTB15の自動生成について説明する。
図11は、第2の実施の形態に係る光増幅器のALC回路の詳細を示した図である。光増幅器のその他の部分については、第1の実施の形態と同様である。
【0063】
図11に示すように、ALC回路40は、SOA駆動回路31、比較器32、およびTB生成部41を有している。SOA駆動回路31および比較器32は、図4で説明したものと同様であり、その説明を省略する。
【0064】
TB生成部41は、例えば、電源が投入されて光増幅器が動作するとき、目標出力光パワーTB15を生成する。また、TB生成部41は、SOA11の経年によるASEパワーの変化などに対応するため、定期的に目標出力光パワーTB15を更新する。
【0065】
目標出力光パワーTB15を生成する際、SOA11に入力される入力光を停止する必要がある。例えば、手動によって、光増幅器に入力光を入力しないようにし、または、SOA11の前段に入力光を遮断および通過させる素子を挿入し、その素子をTB生成部41によって制御するようにしてもよい。
【0066】
TB生成部41は、SOA駆動回路31の出力する駆動電流を変化させながら、光パワー検出部13から出力される出力光パワーを取得する。SOA11には、入力光が入力されていないので、光パワー検出部13から出力される出力光パワーは、SOA11のASEパワーである。TB生成部41は、各駆動電流におけるASEパワーに、目標とする信号光パワーを加算し、図7に示した目標出力光パワーTB15を生成する。
【0067】
図12は、TB生成部の動作を示したフローチャートである。TB生成部41は、例えば、電源が投入されて光増幅器が動作するとき、以下のステップに基づき目標出力光パワーTB15を生成する。また、TB生成部41は、SOA11の経年によるASEパワーの変化などに対応するため、以下のステップに基づき定期的に目標出力光パワーTB15を更新する。
【0068】
ステップS1において、SOA11への入力光の入力を停止する。
ステップS2において、TB生成部41は、駆動電流の初期値をSOA駆動回路31に設定する。初期値は、例えば、駆動電流の最小値である。
【0069】
ステップS3において、SOA駆動回路31は、TB生成部41によって設定された駆動電流をSOA11に出力する。
ステップS4において、TB生成部41は、SOA駆動回路31に設定した駆動電流値を記憶装置に一時的に記憶する。
【0070】
ステップS5において、TB生成部41は、光パワー検出部13から出力されるSOA11のASEパワーを記憶装置に一時的に記憶する。
ステップS6において、TB生成部41は、SOA駆動回路31に設定した駆動電流が最大駆動電流以下か否か判断する。TB生成部41は、SOA駆動回路31に設定した駆動電流が最大駆動電流以下と判断した場合、ステップS7へ進む。TB生成部41は、SOA駆動回路31に設定した駆動電流が最大駆動電流より大きいと判断した場合、ステップS8へ進む。
【0071】
ステップS7において、TB生成部41は、駆動電流値を一定量増加させ、SOA駆動回路31に設定する。なお、ステップS7の次は、ステップS3へ進む。SOA駆動回路31は、TB生成部41によって設定された駆動電流をSOA11に出力することになる。
【0072】
ステップS8において、TB生成部41は、一時的に記憶装置に記憶したASEパワーに、目標とする信号光パワーを加算し、目標出力光パワーを算出する。TB生成部41は、記憶装置に記憶した駆動電流と、目標出力光パワーとを関連付けて、目標出力光パワーTB15に記憶する。
【0073】
なお、上記では、駆動電流を最小値から徐々に大きくしたが、最大値から徐々に小さくすることもできる。
このように、光増幅器は、電源投入時に目標出力光パワーTB15を生成するので、製造時の目標出力光パワーTB15の設定が容易となる。また、よりSOA11のASEパワーに基づいた目標出力光パワーを目標出力光パワーTB15に設定することができる。
【0074】
また、定期的に目標出力光パワーTB15を更新するので、SOA11の経年劣化によるASEパワーを考慮した目標出力光パワーを用いて信号光の所定レベル制御を行うことができる。
【0075】
(付記1) 入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器と、
前記半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーを検出する検出部と、
前記光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力する制御回路と、
を有することを特徴とする光増幅器。
【0076】
(付記2) 前記駆動電流と前記駆動電流に対応する前記雑音光パワーに目標の前記信号光パワーを加えたパワーに基づく目標出力光パワーとを対応付けて記憶したテーブルを有することを特徴とする付記1記載の光増幅器。
【0077】
(付記3) 前記制御回路は、現在出力している前記駆動電流に対応する前記目標出力光パワーを前記テーブルから取得して前記光パワーと比較し、比較結果に基づいて前記駆動電流を出力することを特徴とする付記2記載の光増幅器。
【0078】
(付記4) 前記テーブルを生成するテーブル生成部を有することを特徴とする付記2記載の光増幅器。
(付記5) 前記テーブル生成部は、前記半導体光増幅器に前記入力光を入力しない状態で前記駆動電流を変化させ、その変化に対応する前記雑音光パワーを測定することにより、前記テーブルを生成することを特徴とする付記4記載の光増幅器。
【0079】
(付記6) 前記テーブル生成部は、当該光増幅器に電源が投入されて動作するときまたは定期的に前記テーブルを生成することを特徴とする付記4記載の光増幅器。
(付記7) 前記半導体光増幅器は、波長多重された信号光を増幅することを特徴とする付記1記載の光増幅器。
【0080】
(付記8) 前記駆動電流と前記駆動電流に対応する前記雑音光パワーに基づく目標出力光パワーとを対応付けて記憶したテーブルを有することを特徴とする付記1記載の光増幅器。
【0081】
(付記9) 入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器を制御する制御回路において、
前記半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力することを特徴とする制御回路。
【0082】
(付記10) 光を増幅する光増幅器の制御方法において、
入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーを検出し、
前記光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力する、
ことを特徴とする光増幅器の制御方法。
【0083】
(付記11) 入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器と、
前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに現在の前記駆動電流に対応する前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように新たな前記駆動電流を出力する制御回路と、
を有することを特徴とする光増幅器。
【符号の説明】
【0084】
1 半導体光増幅器
2 光カプラ
3 検出部
4 制御回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体光増幅器の所定の出力レベル制御を行う光増幅器、制御回路、および光増幅器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信ネットワークでは、光受信器の最小受信感度を改善するため、例えば、光受信器の前段に光プリアンプを挿入し、入力信号光を増幅する方法が用いられている。光プリアンプは、光受信系(例えば、光プリアンプ、光受信器を有する光受信装置全体)の入力ダイナミックレンジを拡大する目的で出力レベル制御(ALC:Automatic Level Control)が適用され、後段の光受信器に所定の光パワーの信号光を出力するのが一般的である。
【0003】
このような光受信系に用いられる光アンプとして、従来、エルビウムドープファイバ増幅器(EDFA:Erbium Doped Fiber Amplifier)が一般に使用されてきた。しかし、EDFAは、折り曲げ半径に制約があり、小型化することが困難である。
【0004】
そこで、近年、半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)が注目されている。SOAは、半導体レーザと同様の設備、行程で製造でき、小型、低消費電力、低コストを実現する光アンプとして開発が進められている。また、SOAは、他の半導体デバイスとのモノシリック集積や、他の光部品とのハイブリッド集積によるシステムの小型化が期待されている。
【0005】
SOAのALCは、SOAの出力光パワーをモニタし、SOAの駆動電流をフィードバック制御することにより実現される。具体的には、SOAのALCは、SOAの出力光パワーが所定のレベルとなるようにSOAの駆動電流をフィードバック制御することにより、SOAの出力光に含まれる信号光パワーを所定のレベルとなるように制御する。これにより、後段の光受信器には、所定のレベルの光パワーの信号光を出力することができる。
【0006】
なお、従来、平均値検出によるフィードバック構成において、増幅された自然放出光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)を含む出力信号を検出して注入電流を制御しても、出力信号強度の降下を低減することが可能な信号光強度制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−46186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、SOAへの入力光パワーが小さくなると、SOAの出力光の信号光に対するASEの割合が増え、SOAの光出力パワーと信号光パワーとに差が生じ、出力光パワーを所定のレベルに制御しても信号光パワーを所定のレベルにすることができないという問題点があった。
【0009】
また、SOAへの入力信号光の波長が異なると、SOAの出力光を占めるASEの割合が変わるため、出力光パワーの所定レベル制御に波長依存性が生じるという問題点があった。
【0010】
図13は、SOAの入力光パワーに対する出力光パワーと信号光パワーとのずれを示した図である。図13の横軸はSOAに入力される信号光の入力パワーを示し、縦軸はSOAの出力光パワーと、出力光に含まれる信号光の信号光パワーとのずれを示している。また、図13には、3種類の波長におけるSOAの入力光パワーに対する出力光パワーと信号光パワーのずれを示している。
【0011】
図13に示すように、入力光パワーが小さくなるほど、SOAの出力光パワーと信号光パワーとのずれが大きくなっている。これは、入力光パワーが小さくなると、SOAの出力光の信号光に対するASEの割合が増えるためである。このため、SOAのALCは、SOAの出力光パワーを所定のレベルに制御しても、信号光パワーを所定レベル制御できなくなる。
【0012】
また、図13に示すように、長波長の方が短波長に比べ、出力光パワーと信号光パワーのずれが大きくなっている。これは、長波長の方が増幅されにくく、増幅率を上げるとSOAの出力光の信号光に対するASEの割合が増えるためである。このため、SOAのALCは、出力光パワーの所定レベル制御に波長依存性が生じる。
【0013】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、入力光の光パワーの大きさによらずに、また、入力光の波長によらずに信号光パワーを所定レベル制御する光増幅器、制御回路、および光増幅器の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために光増幅器が提供される。この光増幅器は、入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器と、前記半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーを検出する検出部と、前記光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力する制御回路と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
開示の光増幅器、制御回路、および光増幅器の制御方法では、入力光の光パワーの大きさによらずに、また、入力光の波長によらずに信号光の出力パワーを所定のレベルに制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光増幅器を示した図である。
【図2】第1の実施の形態に係る光増幅器のブロック図である。
【図3】図2の光パワー検出部の詳細を示した図である。
【図4】図2のALC回路の詳細を示した図である。
【図5】入力光の信号光パワーが異なる場合のSOA出力光スペクトルを示した図である。
【図6】ASEパワーと駆動電流の関係を示した図である。
【図7】目標出力光パワーTBのデータ構成例を示した図である。
【図8】ALC回路の動作例を説明する図である。
【図9】SOAの入力光パワーに対する信号光パワーの変化を示した図である。
【図10】4波のWDM信号の入力光パワーが異なる場合のSOA出力光スペクトルを示した図である。
【図11】第2の実施の形態に係る光増幅器のALC回路の詳細を示した図である。
【図12】TB生成部の動作を示したフローチャートである。
【図13】SOAの入力光パワーに対する出力光パワーと信号光パワーとのずれを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、光増幅器を示した図である。図1に示すように光増幅器は、半導体光増幅器1、光カプラ2、検出部3、および制御回路4を有している。
半導体光増幅器1は、入力光の波長に応じて異なる雑音光パワーを発する。また、半導体光増幅器1は、駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する。雑音光パワーは、例えば、ASEパワーである。
【0018】
光カプラ2は、半導体光増幅器1の出力光を一部分岐し、検出部3に出力する。
検出部3は、光カプラ2によって分岐された半導体光増幅器1の出力光の光パワーを検出する。
【0019】
制御回路4は、検出部3で検出された光パワーに基づいて、半導体光増幅器1の出力光パワーが、目標の信号光パワーに雑音光パワーを加えたパワーとなるように半導体光増幅器1の駆動電流を出力する。
【0020】
例えば、制御回路4は、半導体光増幅器1に入力される信号光が目標の信号光パワーとなって出力されるよう半導体光増幅器1に駆動電流を出力する。このとき、半導体光増幅器1の出力光パワーには駆動電流に応じた雑音光パワーも含まれる。そこで、制御回路4は、半導体光増幅器1の出力光パワーが、目標の信号光パワーに雑音光パワーを加えた出力光パワーとなるよう駆動電流を出力して、半導体光増幅器1から常時目標の信号光パワーが得られるようにする。
【0021】
また、入力される信号光の波長によって、目標の信号光パワーを得るための半導体光増幅器1の増幅率が異なり、半導体光増幅器1に出力する駆動電流が異なる。例えば、入力される信号光が長波長ほど、駆動電流を大きくする必要がある。しかし、制御回路4は、半導体光増幅器1の出力光パワーが、目標の信号光パワーに雑音光パワーを加算した出力光パワーとなるよう駆動電流を出力して、半導体光増幅器1から常時目標の信号光パワーが得られるようにする。
【0022】
このように、光増幅器は、検出部3の光パワーに基づいて、半導体光増幅器1の出力光パワーが、目標の信号光パワーに半導体光増幅器1の雑音光パワーを加えたパワーとなるように駆動電流を出力する。これにより、出力光パワーに含まれる雑音光パワーの割合に関係なく、信号光パワーを所定レベルに制御するので、入力光の光パワーの大きさによらずに、また、入力光の波長によらずに信号光パワーを所定レベルに制御することができる。
【0023】
次に、第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図2は、第1の実施の形態に係る光増幅器のブロック図である。図2に示すように、光増幅器は、SOA11、光カプラ12、光パワー検出部13、ALC回路14、および目標出力光パワーTB(TB:TaBle)15を有している。光増幅器の後段には、図2に示していないが、例えば、光信号を終端する光受信器が接続される。光増幅器は、光ネットワークから入力される入力光を増幅して出力光を光受信器に出力する。このとき、光増幅器は、SOA11の出力光に含まれる信号光パワーを所定のレベルとなるように制御する。
【0024】
SOA11は、入力される入力光を増幅する。SOA11は、ALC回路14から出力される駆動電流に応じて、入力光を増幅する。SOA11から出力される出力光には、信号光の他にSOA11によるASEが含まれている。SOA11は、出力光パワーを所定レベルとしたときに、入力光の波長により利得量が異なるため入力光の波長および駆動電流に応じて異なるASEを発する。
【0025】
光カプラ12は、SOA11から出力される出力光の一部を分岐し、光パワー検出部13に出力する。光カプラ12は、例えば、強度比9:1で出力光を分岐し、出力光の90%を後段の光受信器に出力し、出力光の10%を光パワー検出部13に出力する。
【0026】
光パワー検出部13は、光カプラ12によって分岐された出力光の出力光パワーを検出する。光パワー検出部13は、出力光の全波長帯域での出力光パワーを検出する。
ALC回路14は、SOA11に駆動電流を出力してSOA11の増幅率を制御し、SOA11から出力される出力光の信号光パワーを所定レベルとなるように制御する。ALC回路14は、現在出力している駆動電流に対応する目標出力光パワーを目標出力光パワーTB15から取得し、取得した目標出力光パワーと、光パワー検出部13から出力される出力光パワーとを比較して、比較結果に基づいて新たな駆動電流をSOA11に出力する。
【0027】
例えば、ALC回路14は、光パワー検出部13から出力される出力光パワーが、目標出力光パワーTB15から取得した目標出力光パワーより大きい場合、出力光パワーが小さくなるように駆動電流を小さくする。また、ALC回路14は、光パワー検出部13から出力される出力光パワーが、目標出力光パワーTB15から取得した目標出力光パワーより小さい場合、出力光パワーが大きくなるように駆動電流を大きくする。ALC回路14は、目標出力光パワーと出力光パワーとの差がなくなるまで、前述の駆動電流の制御を行う。
【0028】
目標出力光パワーTB15は、例えば、メモリなどの記憶装置である。目標出力光パワーTB15には、SOA11に出力する駆動電流と、その駆動電流により光パワー検出部13から出力されるべき出力光パワーの目標出力光パワーとが対応付けて記憶されている。目標出力光パワーは、後述するが、SOA11の目標とする信号光パワーにASEパワーを加えたパワーに基づくものである。これにより、光増幅器は、入力光パワーの大きさによらず、また、入力光の波長によらずにSOA11の出力光の信号光パワーを所定レベル制御できる。
【0029】
図3は、図2の光パワー検出部の詳細を示した図である。図3に示すように、光パワー検出部13は、フォトダイオード21および積分器22を有している。
フォトダイオード21は、光カプラ12で分岐された出力光の出力光パワーを検出する。フォトダイオード21は、出力光の全波長帯域における出力光パワーを検出する。
【0030】
積分器22は、フォトダイオード21から出力される出力光パワーを積分する。すなわち、積分器22は、フォトダイオード21から出力される出力光パワーの高帯域成分を除去する。
【0031】
図4は、図2のALC回路の詳細を示した図である。図4に示すように、ALC回路14は、SOA駆動回路31および比較器32を有している。
SOA駆動回路31は、SOA11に出力している現在の駆動電流値(駆動電流情報)を目標出力光パワーTB15に出力する。目標出力光パワーTB15は、SOA駆動回路31から出力された駆動電流情報に対応する目標出力光パワーを比較器32に出力する。
【0032】
比較器32は、目標出力光パワーTB15から出力された目標出力光パワーと、光パワー検出部13から出力される出力光パワーとを比較する。比較器32は、目標出力光パワーと出力光パワーとの比較結果をSOA駆動回路31に出力する。
【0033】
SOA駆動回路31は、比較器32の目標出力光パワーと出力光パワーとの比較結果に基づいて、駆動電流をSOA11に出力する。例えば、SOA駆動回路31は、出力光パワーが目標出力光パワーより大きい場合、SOA11から出力される出力光パワーが小さくなるように駆動電流を小さくする。また、SOA駆動回路31は、出力光パワーが目標出力光パワーより小さい場合、出力光パワーが大きくなるように駆動電流を大きくする。
【0034】
SOA駆動回路31は、比較器32の比較結果に基づいた駆動電流をSOA11に出力すると、その駆動電流の駆動電流情報を目標出力光パワーTB15に出力する。目標出力光パワーTB15は、SOA駆動回路31から出力された駆動電流情報に対応する目標出力光パワーを比較器32に出力し、比較器32は、目標出力光パワーTB15からの目標出力光パワーと、光パワー検出部13からの出力光パワーとを比較する。SOA駆動回路31は、比較器32の比較結果に基づいて、新たな駆動電流をSOA11に出力する。
【0035】
SOA駆動回路31と比較器32は、目標出力光パワーと出力光パワーとの差がなくなるまで上記の処理を繰り返す。これにより、SOA11の信号光パワーは所定レベルとなるように制御される。
【0036】
なお、SOA駆動回路31は、目標出力光パワーと出力光パワーとの差が所定の範囲に収まれば、目標出力光パワーと出力光パワーとの差はないと判断するようにしてもよい。
図5は、入力光の信号光パワーが異なる場合のSOA出力光スペクトルを示した図である。図5の横軸は波長を示し、縦軸はパワーを示している。図5のSOA11の出力光スペクトルは、SOA11の駆動電流が300mAの時の出力光スペクトルを示している。
【0037】
図5には、3種類の入力光の信号光パワーにおけるSOA11の出力光スペクトルが示してある。3種類の入力光の信号光パワーは、全て波長が同じである。また、図5には、入力光がない場合のSOA11の出力光スペクトルも示してある。図5の波形W1は、信号光のSOA11の出力光スペクトルを示しており、波形W2は、SOA11のASEの出力光スペクトルを示している。
【0038】
SOA11の光増幅として用いる領域は、信号劣化のない線形領域の部分である。そのため、駆動電流が一定であれば、入力光の信号光パワーの大きさや入力光の有無によらず、SOA11の出力光に含まれるASEパワーの大きさはほぼ一定である。
【0039】
例えば、図5に示すように、SOA11の駆動電流が300mAで一定の場合、入力光の信号光パワーが異なっていても、SOA11のASEパワー(波形W2の面積)はほぼ一定である。SOA11に入力光が入力されない場合でも、SOA11の出力光のASEパワーはほぼ一定である。駆動電流が他の値であっても、駆動電流が一定であれば、SOA11の出力光のASEパワーは、入力光の信号光パワーの大きさに関わらずほぼ一定である。
【0040】
図6は、ASEパワーと駆動電流の関係を示した図である。図6に示すように、SOA11から出力されるASEパワーは、入力光の信号光パワーの大きさによらず、駆動電流が一定であればほぼ一定となる。また、SOA11から出力されるASEパワーは、駆動電流の大きさによって異なる。
【0041】
例えば、駆動電流がI1の場合、SOA11から出力されるASEパワーは、入力光パワーの大きさによらず、P1でほぼ一定となる。また、駆動電流がI2の場合、SOA11から出力されるASEパワーは、入力光パワーの大きさによらず、P2でほぼ一定となる。なお、図6のASEパワーP1〜Pnは、全波長帯域におけるASEパワー(図5で言えば、波形W2の面積)を示している。
【0042】
図7は、目標出力光パワーTBのデータ構成例を示した図である。図7に示すように、目標出力光パワーTB15は、駆動電流および目標出力光パワーの欄を有している。駆動電流の欄には、SOA11に入力される駆動電流が格納されている。目標出力光パワーの欄には、SOA11の目標とする出力光パワーが格納されている。
【0043】
目標出力光パワーは、SOA11から出力される出力光の目標とする信号光パワーSと、SOA11のASEパワーP1〜Pnとを加算したものである。SOA11の出力光は、光カプラ12によって分岐されてALC回路14に入力されるので、目標出力光パワーは、光カプラ12の強度比が考慮される。例えば、上述したように、光カプラ12の強度比が9:1の場合、目標出力光パワーは1/10となる。
【0044】
信号光パワーSは、SOA11から出力される信号光の目標とするパワーであり、所定レベルである。従って、ALC回路14は、目標出力光パワーと光パワー検出部13から出力される出力光パワーとの差がなくなるように制御することにより、SOA11の出力からは、所定レベルの信号光パワーSが得られることになる。
【0045】
図3で説明した光パワー検出部13のフォトダイオード21は、SOA11の出力光の全波長帯域における出力光パワーを検出して出力する。比較器32は、光パワー検出部13から出力される全波長帯域の出力光パワーと、目標出力光パワーとを比較する。従って、信号光パワーSとASEパワーP1〜Pnは、全波長帯域における値となっている。
【0046】
信号光パワーSは、光増幅器の後段に接続される受信器の入力レンジによって決められる。駆動電流に対するASEパワーP1〜Pnは、例えば、予めSOA11のASE特性から得るか、または、後述するように光増幅器自身によっても測定することができる。
【0047】
図8は、ALC回路の動作例を説明する図である。図8に示すように、ALC回路14の比較器32は、例えば、目標出力光パワーTB15から出力される目標出力光パワーから、光パワー検出部13から出力される出力光パワーを減算して、目標出力光パワーと出力光パワーとを比較する。そして、SOA駆動回路31は、目標出力光パワーと出力光パワーとの差がなくなるように駆動電流を制御する。例えば、SOA駆動回路31は、図8に示すように、目標出力光パワーと出力光パワーとの差が‘0’となるように駆動電流を制御する。すなわち、SOA駆動回路31は、SOA11の出力光パワーが目標の信号光パワーSにASEパワーを加えた出力光パワーとなるように駆動電流を出力する。
【0048】
目標出力光パワーと出力光パワーとの差がなくなると、SOA11からは、信号光パワーSが出力されていることになる。すなわち、SOA11からは、所定レベルの信号光パワーSが出力されていることになる。そして、入力光の入力光パワーが小さくなっても、目標出力光パワーと出力光パワーとの差がなくなるように制御することにより、SOA11からは、所定レベルの信号光パワーSが出力される。従って、入力光の入力光パワーが小さくなり、SOAの出力光の信号光に対すASEの割合が増えても、信号光パワーSを所定レベル制御することができる。
【0049】
また、入力光の信号光の波長によって、目標の信号光パワーSを得るためのSOA11の増幅率が異なり、SOA11に出力する駆動電流が異なる。例えば、入力光が長波長ほど、駆動電流を大きくする必要がある。しかし、SOA駆動回路31は、駆動電流に応じたASEパワーに信号光パワーSを加算した出力光を出力するようSOA11を制御するので、入力光の信号光の波長が異なっても、入力光の信号光の波長に依存せず、出力する信号光パワーを所定レベル制御することができる。
【0050】
図9は、SOAの入力光パワーに対する信号光パワーの変化を示した図である。図9の横軸はSOAに入力される信号光の入力パワーを示し、縦軸はSOAの信号光パワーの変化を示している。また、図9には、3種類の波長におけるSOAの入力光パワーに対する信号光パワーの変化を示している。
【0051】
図9に示すように、入力光パワーが小さくなっても、SOAの信号光パワーの変化はほぼ所定レベルで一定である。また、波長によらず、SOAの信号光パワーの変化はほぼ所定レベルで一定である。
【0052】
すなわち、目標出力光パワーと出力光パワーとの差がなくなるように制御することにより、入力光パワーが小さくても信号光パワーを所定レベルに制御できる。また、信号光の波長によらず、信号光パワーを所定レベル制御することができる。
【0053】
光増幅器は、1波長の信号光だけでなく、例えば、複数の波長を含む波長分割多重(WDM)の信号光においても、入力光の信号光パワーの大きさおよび波長によらず、信号光パワーを所定レベルに制御することができる。
【0054】
WDM信号の場合、図2の光増幅器は、1波長の場合に対し、目標出力光パワーTB15の目標とする信号光パワーの値が異なる。例えば、n波のWDM信号の場合、目標出力光パワーTB15の信号光パワーは、例えば、1波長あたりの信号光の目標とする信号光パワーをSとすると、nSとなる。従って、図7の目標出力光パワーの欄は、nS+P1,nS+P1,…,nS+Pnとなる。
【0055】
図10は、4波のWDM信号の入力光パワーが異なる場合のSOA出力光スペクトルを示した図である。図10の横軸は波長を示し、縦軸はパワーを示している。図10のSOA11の出力光スペクトルは、SOA11の駆動電流が300mAの時の出力光スペクトルを示している。
【0056】
図10には、4波WDM信号の3種類の入力光パワーにおけるSOA11の出力光スペクトルが示してある。また、図10には、入力光がない場合のSOA11の出力光スペクトルも示してある。図10の波形W11は、4波WDM信号の信号光におけるSOA11の出力光スペクトルを示しており、波形W12は、SOA11のASEの出力光スペクトルを示している。
【0057】
SOA11の光増幅として用いる領域は、信号劣化のない線形領域の部分である。そのため、駆動電流が一定であれば、4波WDM信号の信号光パワーの大きさや入力光の有無によらず、SOA11の出力光に含まれるASEパワーの大きさはほぼ一定である。
【0058】
例えば、図10に示すように、SOA11の駆動電流が300mAで一定の場合、入力光の信号光パワーが異なっていても、SOA11の出力光のASEパワーはほぼ一定である。SOA11に入力光が入力されない場合でも、SOA11の出力光のASEパワーはほぼ一定である。もちろん、駆動電流が他の値であっても、駆動電流が一定であれば、SOA11の出力光のASEパワーは、入力光の信号光パワーの大きさに関わらずほぼ一定である。
【0059】
従って、SOA11に入力される入力光がWDM信号の場合でも、入力光パワーが小さくても出力光パワーを所定レベルに制御できる。また、WDM信号の波長(例えば、図10に示す4波WDM信号とは異なる波長の4波WDM信号)によらず、出力する信号光パワーを所定レベルに制御することができる。
【0060】
このように、光増幅器は、光パワー検出部13から出力される出力光パワーと、目標出力光パワーTB15に記憶される目標出力光パワーとに基づいてSOA11に出力する駆動電流を制御する。目標出力光パワーは、信号光パワーにASEパワーを加えたパワーに基づくものであり、これにより、入力光の光パワーの大きさによらずに、また、入力光の波長によらずに信号光パワーを所定レベルに制御することができる。
【0061】
なお、目標出力光パワーTB15は、目標とする信号光パワーとASEパワーとを加算したものを記憶するとしたがASEパワーのみを記憶するようにしてもよい。この場合、比較器32は、目標出力光パワーTB15から出力されるASEパワーに目標とする信号光パワーを加算して光パワー検出部13から出力される出力光パワーと比較する。
【0062】
次に、第2の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。第2の実施の形態では、目標出力光パワーTB15の自動生成について説明する。
図11は、第2の実施の形態に係る光増幅器のALC回路の詳細を示した図である。光増幅器のその他の部分については、第1の実施の形態と同様である。
【0063】
図11に示すように、ALC回路40は、SOA駆動回路31、比較器32、およびTB生成部41を有している。SOA駆動回路31および比較器32は、図4で説明したものと同様であり、その説明を省略する。
【0064】
TB生成部41は、例えば、電源が投入されて光増幅器が動作するとき、目標出力光パワーTB15を生成する。また、TB生成部41は、SOA11の経年によるASEパワーの変化などに対応するため、定期的に目標出力光パワーTB15を更新する。
【0065】
目標出力光パワーTB15を生成する際、SOA11に入力される入力光を停止する必要がある。例えば、手動によって、光増幅器に入力光を入力しないようにし、または、SOA11の前段に入力光を遮断および通過させる素子を挿入し、その素子をTB生成部41によって制御するようにしてもよい。
【0066】
TB生成部41は、SOA駆動回路31の出力する駆動電流を変化させながら、光パワー検出部13から出力される出力光パワーを取得する。SOA11には、入力光が入力されていないので、光パワー検出部13から出力される出力光パワーは、SOA11のASEパワーである。TB生成部41は、各駆動電流におけるASEパワーに、目標とする信号光パワーを加算し、図7に示した目標出力光パワーTB15を生成する。
【0067】
図12は、TB生成部の動作を示したフローチャートである。TB生成部41は、例えば、電源が投入されて光増幅器が動作するとき、以下のステップに基づき目標出力光パワーTB15を生成する。また、TB生成部41は、SOA11の経年によるASEパワーの変化などに対応するため、以下のステップに基づき定期的に目標出力光パワーTB15を更新する。
【0068】
ステップS1において、SOA11への入力光の入力を停止する。
ステップS2において、TB生成部41は、駆動電流の初期値をSOA駆動回路31に設定する。初期値は、例えば、駆動電流の最小値である。
【0069】
ステップS3において、SOA駆動回路31は、TB生成部41によって設定された駆動電流をSOA11に出力する。
ステップS4において、TB生成部41は、SOA駆動回路31に設定した駆動電流値を記憶装置に一時的に記憶する。
【0070】
ステップS5において、TB生成部41は、光パワー検出部13から出力されるSOA11のASEパワーを記憶装置に一時的に記憶する。
ステップS6において、TB生成部41は、SOA駆動回路31に設定した駆動電流が最大駆動電流以下か否か判断する。TB生成部41は、SOA駆動回路31に設定した駆動電流が最大駆動電流以下と判断した場合、ステップS7へ進む。TB生成部41は、SOA駆動回路31に設定した駆動電流が最大駆動電流より大きいと判断した場合、ステップS8へ進む。
【0071】
ステップS7において、TB生成部41は、駆動電流値を一定量増加させ、SOA駆動回路31に設定する。なお、ステップS7の次は、ステップS3へ進む。SOA駆動回路31は、TB生成部41によって設定された駆動電流をSOA11に出力することになる。
【0072】
ステップS8において、TB生成部41は、一時的に記憶装置に記憶したASEパワーに、目標とする信号光パワーを加算し、目標出力光パワーを算出する。TB生成部41は、記憶装置に記憶した駆動電流と、目標出力光パワーとを関連付けて、目標出力光パワーTB15に記憶する。
【0073】
なお、上記では、駆動電流を最小値から徐々に大きくしたが、最大値から徐々に小さくすることもできる。
このように、光増幅器は、電源投入時に目標出力光パワーTB15を生成するので、製造時の目標出力光パワーTB15の設定が容易となる。また、よりSOA11のASEパワーに基づいた目標出力光パワーを目標出力光パワーTB15に設定することができる。
【0074】
また、定期的に目標出力光パワーTB15を更新するので、SOA11の経年劣化によるASEパワーを考慮した目標出力光パワーを用いて信号光の所定レベル制御を行うことができる。
【0075】
(付記1) 入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器と、
前記半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーを検出する検出部と、
前記光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力する制御回路と、
を有することを特徴とする光増幅器。
【0076】
(付記2) 前記駆動電流と前記駆動電流に対応する前記雑音光パワーに目標の前記信号光パワーを加えたパワーに基づく目標出力光パワーとを対応付けて記憶したテーブルを有することを特徴とする付記1記載の光増幅器。
【0077】
(付記3) 前記制御回路は、現在出力している前記駆動電流に対応する前記目標出力光パワーを前記テーブルから取得して前記光パワーと比較し、比較結果に基づいて前記駆動電流を出力することを特徴とする付記2記載の光増幅器。
【0078】
(付記4) 前記テーブルを生成するテーブル生成部を有することを特徴とする付記2記載の光増幅器。
(付記5) 前記テーブル生成部は、前記半導体光増幅器に前記入力光を入力しない状態で前記駆動電流を変化させ、その変化に対応する前記雑音光パワーを測定することにより、前記テーブルを生成することを特徴とする付記4記載の光増幅器。
【0079】
(付記6) 前記テーブル生成部は、当該光増幅器に電源が投入されて動作するときまたは定期的に前記テーブルを生成することを特徴とする付記4記載の光増幅器。
(付記7) 前記半導体光増幅器は、波長多重された信号光を増幅することを特徴とする付記1記載の光増幅器。
【0080】
(付記8) 前記駆動電流と前記駆動電流に対応する前記雑音光パワーに基づく目標出力光パワーとを対応付けて記憶したテーブルを有することを特徴とする付記1記載の光増幅器。
【0081】
(付記9) 入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器を制御する制御回路において、
前記半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力することを特徴とする制御回路。
【0082】
(付記10) 光を増幅する光増幅器の制御方法において、
入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーを検出し、
前記光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力する、
ことを特徴とする光増幅器の制御方法。
【0083】
(付記11) 入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器と、
前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに現在の前記駆動電流に対応する前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように新たな前記駆動電流を出力する制御回路と、
を有することを特徴とする光増幅器。
【符号の説明】
【0084】
1 半導体光増幅器
2 光カプラ
3 検出部
4 制御回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器と、
前記半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーを検出する検出部と、
前記光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力する制御回路と、
を有することを特徴とする光増幅器。
【請求項2】
前記駆動電流と前記駆動電流に対応する前記雑音光パワーに目標の前記信号光パワーを加えたパワーに基づく目標出力光パワーとを対応付けて記憶したテーブルを有することを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
【請求項3】
前記制御回路は、現在出力している前記駆動電流に対応する前記目標出力光パワーを前記テーブルから取得して前記光パワーと比較し、比較結果に基づいて前記駆動電流を出力することを特徴とする請求項2記載の光増幅器。
【請求項4】
前記テーブルを生成するテーブル生成部を有することを特徴とする請求項2記載の光増幅器。
【請求項5】
前記テーブル生成部は、前記半導体光増幅器に前記入力光を入力しない状態で前記駆動電流を変化させ、その変化に対応する前記雑音光パワーを測定することにより、前記テーブルを生成することを特徴とする請求項4記載の光増幅器。
【請求項6】
前記テーブル生成部は、当該光増幅器に電源が投入されて動作するときまたは定期的に前記テーブルを生成することを特徴とする請求項4記載の光増幅器。
【請求項7】
前記半導体光増幅器は、波長多重された信号光を増幅することを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
【請求項8】
前記駆動電流と前記駆動電流に対応する前記雑音光パワーに基づく目標出力光パワーとを対応付けて記憶したテーブルを有することを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
【請求項9】
入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器を制御する制御回路において、
前記半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力することを特徴とする制御回路。
【請求項10】
光を増幅する光増幅器の制御方法において、
入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーを検出し、
前記光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力する、
ことを特徴とする光増幅器の制御方法。
【請求項1】
入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器と、
前記半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーを検出する検出部と、
前記光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力する制御回路と、
を有することを特徴とする光増幅器。
【請求項2】
前記駆動電流と前記駆動電流に対応する前記雑音光パワーに目標の前記信号光パワーを加えたパワーに基づく目標出力光パワーとを対応付けて記憶したテーブルを有することを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
【請求項3】
前記制御回路は、現在出力している前記駆動電流に対応する前記目標出力光パワーを前記テーブルから取得して前記光パワーと比較し、比較結果に基づいて前記駆動電流を出力することを特徴とする請求項2記載の光増幅器。
【請求項4】
前記テーブルを生成するテーブル生成部を有することを特徴とする請求項2記載の光増幅器。
【請求項5】
前記テーブル生成部は、前記半導体光増幅器に前記入力光を入力しない状態で前記駆動電流を変化させ、その変化に対応する前記雑音光パワーを測定することにより、前記テーブルを生成することを特徴とする請求項4記載の光増幅器。
【請求項6】
前記テーブル生成部は、当該光増幅器に電源が投入されて動作するときまたは定期的に前記テーブルを生成することを特徴とする請求項4記載の光増幅器。
【請求項7】
前記半導体光増幅器は、波長多重された信号光を増幅することを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
【請求項8】
前記駆動電流と前記駆動電流に対応する前記雑音光パワーに基づく目標出力光パワーとを対応付けて記憶したテーブルを有することを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
【請求項9】
入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器を制御する制御回路において、
前記半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力することを特徴とする制御回路。
【請求項10】
光を増幅する光増幅器の制御方法において、
入力光の波長による利得の変化および駆動電流に応じて異なる雑音光パワーを発する半導体光増幅器の出力光を分岐した光の光パワーを検出し、
前記光パワーに基づいて前記半導体光増幅器の出力光パワーが目標の信号光パワーに前記雑音光パワーを加えたパワーとなるように前記駆動電流を出力する、
ことを特徴とする光増幅器の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−161263(P2010−161263A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3240(P2009−3240)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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