説明

光変換器

【課題】蛍光体の劣化を防止し、紫外光が正確に可視光に変換され、エキシマランプ等の紫外線光源の点灯状態を正確に測定する光センサに利用される光変換器を提供する。
【解決手段】紫外光を蛍光体によって可視光に変換する光変換器において、光変換器4は、間隔を保って対向配置された、紫外光を透過する第1の基板41と可視光を透過する第2の基板42を有し、第1の基板と第2の基板との間の空間が密閉空間となるように、第1の基板と第2の基板を封止し、第1の基板と第2の基板との間に蛍光体43が配置され、密閉空間には、酸素除去剤5が配置されている。さらには、第1の基板と第2の基板は共にガラスであって、第1の基板と第2の基板の側面に銀または金の蒸着層を形成し、第1の基板の蒸着層と第2の基板の蒸着層を銀ロウまたはハンダで接合したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプ等の紫外線光源から放射される紫外光を蛍光体によって可視光に変換する光変換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば液晶表示パネルのガラス基板の紫外線照射による洗浄工程などにおいては、波長200nm以下の真空紫外光を放射するエキシマランプを具えてなる紫外線照射装置が用いられている。
【0003】
図8を用いて、このような紫外線照射装置を説明する。
紫外線照射装置10は、光取出窓11と本体ケース12と金属ブロック13を有し、本体ケース12の内部にエキシマランプ1が配置されている。
光取出窓11は光透過部材でありエキシマランプ1から放射される紫外光を透過するもので、例えば合成石英ガラスから構成される。本体ケース12は、ステンレスからなるもので一方の側壁にはガス導入口12aが、他方の側壁にはガス排出口12bが形成される。
このガス導入口12aからは窒素ガス等の不活性ガスが導入され、ガス排出口12bから残存していた酸素ガスとともに不活性ガスが排出される。
16は、金属ブロック13を冷却する水冷パイプである。
【0004】
金属ブロック13は、溝部が形成され、各溝部はエキシマランプ1の半分の部分が嵌まるようになっている。また、金属ブロック13には、各々のエキシマランプ1を臨むように貫通孔が形成されており、金属ブロック13の上方であって、貫通孔を臨む位置に光センサ15が組み込まれおり、この光センサ15によってエキシマランプ1からの放射光を検知するものである。(特許文献1参照)
【0005】
例えば、このような紫外線照射装置を用いた液晶表示パネルのガラス基板のドライ洗浄工程は、通常、被処理物である液晶用ガラス基板をベルトコンベアーなどの適宜の搬送手段によって搬送して紫外線照射装置による光照射領域に導入し、紫外光を連続照射することにより行われている。
【0006】
このような紫外線照射装置においては、信頼性の高い紫外光照射処理を行うためには、エキシマランプの点灯状態が適正な状態、例えば十分な強度で紫外光が照射されている状態であるか否かを確認することが必要となるが、主として放射される光が紫外光であることから、当該エキシマランプの点灯状態は目視にて確認することができない。
このため、エキシマランプの点灯状態を確認するために、エキシマランプから放射される紫外光を蛍光体によって可視光に変換して可視光を検知する光センサを利用し、エキシマランプの点灯状態を測定する方法が知られている。(特許文献2参照)
【0007】
図8に示す光センサ15は、このような紫外光を蛍光体によって可視光に変換して可視光を検知する光センサである。
図9は、光センサの説明図である。
光センサ15は、大別して、紫外光を蛍光体によって可視光に変換する光変換器20と、フォトダイオードによって可視光を検出する可視光検出器30よりなる。
光変換器20は、紫外光を透過する石英ガラス製の第1の基板21と、可視光を透過する石英ガラス製の第2の基板22を有し、第1の基板21の内面に蛍光体23が配置された構造である。そして、光変換器20は、リング状のパッキン90内に嵌め込まれ、押え部材91で第1の基板21の前面が押えられている。
可視光検出器30は、光変換器20の第2の基板22と対向する部分に貫通孔31が形成された筐体32を有し、筐体32内に可視光を検出するフォトダイオード33が配置された構造である。
この光センサ15は、図8に示す紫外線照射装置のように、金属ブロック13の上方の位置であって、大気中に曝される所に設置されている。
【0008】
このような光センサ15は、金属ブロック13の貫通孔よりエキシマランプから放射された紫外光が光変換器20の第1の基板21に到達する構造になっており、第1の基板21と金属ブロック13の貫通孔の間は本体ケース12内部と連通した空間になっており、紫外光が吸収されない不活性ガス雰囲気となっている。そして、紫外光が第1の基板21を透過し蛍光体23に照射され、紫外光が蛍光体22によって可視光に変換され、可視光が第2の基板22を透過して、光変換器20から出射される。出射された可視光は、可視光検出器30の筐体32の貫通孔31を通り、可視光検出器30内に照射され、フォトダイオード33で検出され、エキシマランプの点灯状態が確認できるものである。
【0009】
図10は、光センサから光変換器の取り出した説明図である。
光変換器20は、第1の基板21と第2の基板22が共に円盤状の石英ガラスからなる。第1の基板21の表面に蛍光物質を塗布し乾燥して蛍光体23を形成する。そして、第1の基板21に形成された蛍光体23が第2の基板22の方向に位置するように、第1の基板21と第2の基板22を対向配置し、第1の基板21と第2の基板22の外周部をバーナーによって加熱溶融することにより、内部に蛍光体23を有する密閉空間が形成されている。
【0010】
蛍光体は吸湿性を有するため、水分を吸収すると可視光への変換効率が変化するものであり、この変換効率の変化をなくすために、蛍光体23を第1の基板21と第2の基板22で構成される密閉空間に配置することにより、蛍光体23を大気中の水分と完全に隔離し、蛍光体23によって変換される可視光の変化を抑制するものである。
【特許文献1】特開2004−221490号公報
【特許文献2】特開平8−136339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図10に示す光変換器20では、蛍光体23を第1の基板21と第2の基板22で構成される密閉空間に配置した構造ではあるが、第1の基板21と第2の基板22の外周部をバーナーによって加熱溶融しただけの構造であるため、その密閉空間には、酸素が存在するものである。
【0012】
また、蛍光体23は、第1の基板21の内面の中心領域に形成されており、外周に近い領域には形成されていないものである。
これは、第1の基板21の外周部と第2の基板22の外周部を加熱溶融する際に、蛍光体23が第1の基板21の外周に近い領域まで形成されていると、熱によって蛍光体23が劣化するため、外周に近い領域には蛍光体23を形成しないものである。
【0013】
つまり、蛍光体23が第1の基板21の内面全域に形成されておらず、第1の基板21に照射された紫外光は、蛍光体23に照射されない紫外光が存在し、その紫外光は、そのまま第1の基板21を透過して、第1の基板21と第2の基板22で構成される密閉空間内に照射されるものがある。
このような紫外光が密閉空間に照射されると、密閉空間内の酸素が紫外光によってオゾンとなり、このオゾンによって蛍光体23が劣化し、正確な可視光変換がなされなくなり、結果的に、エキシマランプの点灯状態を正確に測定できなくなるという問題があった。
【0014】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、紫外光を蛍光体によって可視光に変換される光変換器であって、蛍光体の劣化を防止し、紫外光が正確に可視光に変換され、エキシマランプ等の紫外線光源の点灯状態を正確に測定する光センサに利用される光変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の光変換器は、紫外光を蛍光体によって可視光に変換する光変換器において、前記光変換器は、間隔を保って対向配置された、紫外光を透過する第1の基板と可視光を透過する第2の基板を有し、前記第1の基板と前記第2の基板との間の空間が密閉空間となるように、前記第1の基板と前記第2の基板を封止し、前記第1の基板と前記第2の基板との間に蛍光体が配置され、前記密閉空間には、酸素除去剤が配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の光変換器は、請求項1に記載の光変換器であって、特に、前記第1の基板と前記第2の基板は共にガラスであって、当該第1の基板と前記第2の基板の側面に銀または金の蒸着層を形成し、前記第1の基板の蒸着層と前記第2の基板の蒸着層を銀ロウまたはハンダで接合したことを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の光変換器は、請求項1に記載の光変換器であって、特に、前記第1の基板と前記第2の基板は共にガラスであって、当該第1の基板と前記第2の基板の側面に銀または金の蒸着層を形成し、前記第1の基板の蒸着層と前記第2の基板の蒸着層を水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材で接合し、前記密閉空間内であって、前記蛍光体と前記水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材との間に、紫外光反射機能を有する金属体が配置されていることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の光変換器は、請求項1に記載の光変換器であって、特に、前記第1の基板と前記第2の基板は共にガラスであって、当該第1の基板と前記第2の基板の側面に銀または金の蒸着層を形成し、前記第1の基板の蒸着層と前記第2の基板の蒸着層を前記水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材で接合し、前記水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材には、紫外光反射機能を有する金属粒子が混入されていることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の光変換器は、請求項1に記載の光変換器であって、特に、前記第1の基板と前記第2の基板は共にガラスであって、前記第1の基板若しくは前記第2の基板の少なくともどちらか一方には、溝部が形成されて、当該溝部にOリングが配置され、前記第1の基板と第2の基板が押圧され、前記Oリングが第1の基板と第2の基板との間で変形し、第1の基板と第2の基板との間の空間が前記Oリングによって密閉空間となっており、前記密閉空間内であって、前記蛍光体と前記Oリングとの間に、紫外光反射機能を有する金属体が配置され、前記溝部の内面は、紫外光反射面または紫外光減衰面となっていることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の光変換器は、請求項1に記載の光変換器であって、特に、前記第1の基板はガラス板であり、前記第2の基板はガラス層であり、前記第1の基板の表面に前記蛍光体が設けられ、前記第2の基板のガラス層が前記蛍光体を覆うように設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の光変換器は、請求項1〜請求項5に記載の光変換器であって、特に、前記密閉空間に水分吸着剤が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の光変換器は、第1の基板と第2の基板との間の空間が密閉空間となるように、第1の基板と前記第2の基板を封止し、第1の基板と第2の基板との間に蛍光体が配置され、密閉空間に酸素除去剤が配置されているので、密閉空間内の酸素はこの酸素除去剤に除去されるため、密閉空間内の酸素濃度を極めて低くでき、密閉空間内ではほとんどオゾンが発生せず、オゾンによる蛍光体の劣化を確実に防止することができ、蛍光体によって紫外光が正確に可視光に変換され、エキシマランプの点灯状態を正確に測定できるものである。
【0023】
本発明の光変換器は、第1の基板と前記第2の基板は共にガラスであって、第1の基板と第2の基板の側面に銀または金の蒸着層を形成し、第1の基板の蒸着層と第2の基板の蒸着層を銀ロウまたはハンダで接合した構造であるので、銀ロウまたはハンダを溶融する温度を低くすることができ、蛍光体の熱劣化を確実に防止することができる。
【0024】
本発明の光変換器は、第1の基板と前記第2の基板は共にガラスであって、第1の基板と第2の基板の側面に銀または金の蒸着層を形成し、第1の基板の蒸着層と第2の基板の蒸着層を水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材で接合し、密閉空間内であって、蛍光体と水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材との間に、紫外光反射機能を有する金属体が配置された構造であるので、水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材に紫外光が照射されることがなく、第1の基板と第2の基板の密閉構造が破壊されることを防止できる。
【0025】
本発明の光変換器は、第1の基板と第2の基板は共にガラスであって、第1の基板と第2の基板の側面に銀または金の蒸着層を形成し、第1の基板の蒸着層と第2の基板の蒸着層を水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材で接合し、ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材には、紫外光反射機能を有する金属粒子が混入されている構造であるので、紫外光が水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材の内部まで深く進行することを防止し、水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材の紫外光劣化を効果的に抑制することができ、第1の基板と第2の基板の密閉構造が破壊されることを防止できる。
【0026】
本発明の光変換器は、第1の基板と第2の基板は共にガラスであって、第1の基板若しくは第2の基板の少なくともどちらか一方には、溝部が形成されて、当該溝部にOリングが配置され、第1の基板と第2の基板が押圧され、Oリングが第1の基板と第2の基板との間で変形し、第1の基板と第2の基板との間の空間がOリングによって密閉空間となっており、密閉空間内であって、蛍光体とOリングとの間に、紫外光反射機能を有する金属体が配置され、溝部の内面は、紫外光反射面または紫外光減衰面となっている構造であるので、Oリングには、紫外光が照射されないか、照射されても紫外光を減衰する構造になっているので、弾性体が紫外光によって劣化せず、第1の基板41と第2の基板42の密閉構造が破壊されることを防止できる。
【0027】
本発明の光変換器は、第1の基板はガラス板であり、第2の基板はガラス層であり、第1の基板の表面に蛍光体が設けられ、第2の基板のガラス層が蛍光体と酸素除去剤を覆うように設けられているので、簡単な構造で、蛍光体と酸素除去剤が存在する空間を密閉空間とすることができる。
【0028】
さらに、密閉空間には水分吸着剤が配置されているので、第1の基板と第2の基板を封止する工程において、密閉空間内に水分が入っても、確実にその水分を水分吸着剤で吸着することができるので、蛍光体が水分を吸着することがなく、蛍光体の可視光への変換効率を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本願発明の光変換器を説明する。
図1は、本願発明の光変換器の断面図である。
光変換器4は、第1の基板41と第2の基板42は共に石英ガラスよりなり、厚さ1mm、直径16mmの円盤状の板状体である。
第1の基板41の表面には、希土類元素付括の蛍光体あるいはZn2 SiO4:Mnからなる蛍光体43あるいはBaAl1219:Mnからなる蛍光体43の蛍光体膜が形成されており、この蛍光体によって、波長172nmの紫外光を可視光に変換するものである。
この蛍光体43は、第1の基板41の中心から半径10mmの中心領域に形成されている。
また、第1の基板41は石英ガラス製であるために紫外光を透過し、第2の基板42は石英ガラス製であるために可視光を透過するものである。
なお、第2の基板は可視光を透過する機能を有するものであればよく、石英ガラスに限定されず、単なるガラスでもよい。
【0030】
そして、第1の基板41に形成された蛍光体43が第2の基板42の方向に位置するように、第1の基板41と第2の基板42を間隔を保って対向配置し、第1の基板41と第2の基板42の外周部をバーナーによって加熱溶融することにより、内部に蛍光体43を有する密閉空間が形成されている。
つまり、蛍光体43は、密閉空間内で第1の基板41と第2の基板42との間に配置された構造になっている。
【0031】
この結果、蛍光体43が第1の基板41と第2の基板42で構成される密閉空間に配置されることにより、大気中の水分と完全に隔離され、蛍光体43が大気中の水分を吸収することがないので、可視光への変換効率が変化せず一定のものとなる。
【0032】
さらに、この密閉空間内に酸素除去剤5が配置されている。
この酸素除去剤5としては、金属の酸化作用により酸素を吸収する不可逆反応的構造のものとして、チタン、鉄、マンガン、アルミなどであり、微細気泡に酸素分子が入り込み吸着する可逆反応的構造のものとして、シリカゲル、活性炭などである。
【0033】
蛍光体43は、第1の基板41の内面の中心領域に形成されており、外周に近い領域には形成されていないものであるので、第1の基板41に照射された紫外光は、蛍光体43に照射されない紫外光が存在し、その紫外光は、そのまま第1の基板41を透過して、第1の基板41と第2の基板42で構成される密閉空間内に照射される。
【0034】
そして、この密閉空間には、酸素除去剤5が配置されており、密閉空間内の酸素はこの酸素除去剤5に除去されるため、密閉空間内の酸素濃度を極めて低くでき、密閉空間内ではほとんどオゾンが発生せず、オゾンによる蛍光体43の劣化を確実に防止することができる。
よって、蛍光体43によって紫外光が正確に可視光に変換され、エキシマランプの点灯状態を光センサで正確に測定できるものである。
【0035】
次に、本願発明の光変換器の他の実施例を説明する。
図2は、本願発明の光変換器の他の実施例の断面図である。
この紫外線検出器6は、第1の基板41と第2の基板42と蛍光体43は、図1に示すものと同一である。
第1の基板41と第2の基板42は共に石英ガラスであり、それぞれ側面にはメタライズ層61が形成されている。
この金属の蒸着層61は、化学気相蒸着法や物理蒸着法によって形成されるものであり、銀或いは金の蒸着層である。
そして、それぞれの蒸着層61を銀と亜鉛などの合金の銀ロウやハンダ62によって接合して、第1の基板41と第2の基板42との間の空間を密閉空間にし、この密閉空間に蛍光体43を配置する構造である。
【0036】
そして、この密閉空間には、前述した酸素除去剤5が配置されており、密閉空間内の酸素を除去するものである。
【0037】
この光変換器6では、第1の基板41と第2の基板42の側面の蒸着層61は金や銀の蒸着層であり、銀ロウやハンダ62金属成分を有するものであるので、ロウ材を加熱溶融することによって、それぞれを接合することができる。
そして、銀ロウの場合は低温銀ロウの場合で融点が220℃であり、石英ガラスの融点1700℃より低いので、第1の基板41と第2の基板42を銀ロウ62によって接合する場合、蛍光体43が形成された第1の基板41の温度は、第1の基板41を溶融して封止する場合に比べ低くすることができ、蛍光体43の熱劣化を確実に防止することができる。
【0038】
次に、本願発明の光変換器の他の実施例を説明する。
図3は、本願発明の光変換器の他の実施例の断面図である。
この光変換器7Aは、第1の基板41と第2の基板42と蛍光体43は、図2に示すものと同一である。
第1の基板41と第2の基板42は共に石英ガラスであり、それぞれ側面には蒸着61が形成されている。
なお、図3では、光変換器7Aは一端側のみ拡大して示したものである。
【0039】
この蒸着層61は、金または銀の蒸着層である。
そして、それぞれの蒸着層61を、水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材71によって接合して、第1の基板41と第2の基板42との間の空間を密閉空間にし、この密閉空間に蛍光体43を配置する構造である。
そして、密閉空間内であって、蛍光体43と封着材71との間に、紫外光反射機能を有する金属体72が配置されている。
この金属体72は、SUS、ニッケル、チタン等の金属である。
さらに、蛍光体43と金属体72との間に酸素除去剤5が配置されている。
【0040】
水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材71は、紫外光が照射されると劣化することがあるが、これらの封着材71の密閉空間側には、第1の基板41から第2の基板42に亘って金属体72が配置されており、この金属体72は紫外光を反射するものであり、密閉空間側に露出した封着材71の表面に紫外光が照射されることを防止することができる。
さらに、第1の基板41と第2の基板42はガラスであるので、内部を紫外光が進行するものであり、進行してきた紫外光が封着材71との接合面まで到達するものであるが、第1の基板41と第2の基板42の側面には、それぞれ金または銀の蒸着層61が形成されており、この蒸着層61の部分で封着材71が接合されているので、蒸着層61によって第1の基板41と第2の基板42の内部を進行してきた紫外光を反射し、封着材71には紫外光が照射されない構造になっている。
つまり、水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材71には、紫外光が照射されない構造になっているので、封着材71が紫外光によって劣化せず、第1の基板41と第2の基板42の密閉構造が破壊されることを防止できる。
【0041】
次に、本願発明の光変換器の他の実施例を説明する。
図4は、本願発明の光変換器の他の実施例の断面図である。
この光変換器7Bは、第1の基板41と第2の基板42と蛍光体43は、図2に示すものと同一である。
第1の基板41と第2の基板42は共に石英ガラスであり、それぞれ側面には蒸着層61が形成されている。
なお、図4では、光変換器7B一端側のみ拡大して示したものである。
【0042】
この蒸着層61は、金または銀の蒸着層61である。
そして、それぞれの蒸着層61を水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材71よって接合して、第1の基板41と第2の基板42との間の空間を密閉空間にし、この密閉空間に蛍光体43を配置する構造である。
さらに、水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材71の内部に紫外線反射機能を有する金属粒子73が混入されている。
この金属粒子73は、SUS、ニッケル、チタン等の金属の粒子である。
さらに、蛍光体43と封着材71との間に酸素除去剤5が配置されている。
【0043】
水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材71は、紫外光が照射されると劣化することがあるが、封着材71に金属粒子73が混入されているので、密閉空間側に露出した封着材71の表面に紫外光が照射されても、その金属粒子73で紫外光を反射し、紫外光が封着材71の内部まで深く進行することを防止し、封着材71の紫外光劣化を効果的に抑制することができる。
さらに、第1の基板41と第2の基板42はガラスであるので、内部を紫外光が進行するものであり、進行してきた紫外光が封着材71との接合面まで到達するものであるが、第1の基板41と第2の基板42の側面には、それぞれ金または銀の蒸着層61が形成されており、この蒸着層61の部分で封着材71が接合されているので、蒸着層61によって第1の基板41と第2の基板42の内部を進行してきた紫外光を反射し、封着材71には紫外光が照射されない構造になっている。
つまり、水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材7は、密閉空間側に露出した表面にのみ紫外光が照射される構造であり、水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材71の中に混入された金属粒子73で紫外光を反射し、紫外光が封着材71の内部まで深く進行することがないので、水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材71の紫外光劣化を効果的に抑制することができ、第1の基板41と第2の基板42の密閉構造が破壊されることを防止できる。
【0044】
次に、本願発明の光変換器の他の実施例を説明する。
図5は、本願発明の光変換器の他の実施例の断面図である。
この光変換器7Cは、第1の基板41と第2の基板42と蛍光体43は、図2に示すものと同一の部材からなり、第1の基板41と第2の基板42は共に石英ガラスであり、第1の基板41には、全周に亘って、溝部411が形成され、この溝部411に弾性体である樹脂製のOリング74が嵌め込まれて配置されている。
そして、第1の基板41と第2の基板42が適宜の機構により押圧され、Oリング74が第1の基板41と第2の基板42との間で変形し、第1の基板41と第2の基板42との間の空間がOリング74によって密閉空間となっている。
この密閉空間内であって、蛍光体43とOリング74との間に、紫外光反射機能を有する金属体72が配置されており、さらに、蛍光体43と金属体72との間に酸素除去剤5が配置されている。
この金属体72は、SUS、ニッケル、チタン等の金属である。
Oリング74は、紫外光が照射されると劣化することがあるが、Oリング74の密閉空間側には、第1の基板41から第2の基板42に亘って金属体72が配置されており、この金属体72は紫外光を反射するものであり、密閉空間側に露出したOリング74の表面に紫外光が照射されることを防止することができる。
さらに、第1の基板41の溝部411の内面は、紫外光を反射するためにメタル系やセラミ系の紫外光反射面412となっている。具体的には、紫外光反射面412は、ニッケルやチタンの金属蒸着面かアルミナや窒化ボロン素が塗布された処理面になっている。或いは、第1の基板41の溝部411の内面は、紫外光を減衰するために曇りガラス面となるように処理された紫外光減衰面412となっている。
【0045】
つまり、第1の基板41はガラスであるので、内部を紫外光が進行するものであり、進行してきた紫外光が溝部411に嵌め込まれたOリング74の接触面まで到達するものであるが、溝部411の内面は、紫外光反射面412か紫外光減衰面412となっているので、この紫外光反射面412か紫外光減衰面412によって第1の基板41との内部を進行してきた紫外光を反射または減衰させ、Oリング74に紫外光が照射されないか、照射されても紫外光を減衰する構造になっている。
つまり、Oリング74には、紫外光が照射されないか、照射されても紫外光を減衰する構造になっているので、Oリング74が紫外光によって劣化せず、第1の基板41と第2の基板42の密閉構造が破壊されることを防止できる。
【0046】
次に、本願発明の光変換器の他の実施例を説明する。
図6は、本願発明の光変換器の他の実施例の断面図である。
この光変換器7Dは、第1の基板41は石英ガラスのガラス板であり、第2の基板はガラス層44である。
蛍光体43は第1の基板41の表面に形成されている。また、酸素除去剤5が蛍光体43が設けられた方向と同じ、基板41上に配置されている。
ガラス層44は、SiOに溶剤を添加したゾルゲル液を作成し、このゾルゲル液を蛍光体43を含む第1の基板41上に塗布して焼成することにより、溶剤が蒸発し、さらに、SiOが溶融してガラス層44となったものである。
つまり、第1の基板41とガラス層44との間が密閉空間になっており、この密閉空間内に、蛍光体43と酸素除去剤5が配置された構造になる。
なお、酸素除去剤5は、蛍光体43の回りに配置された構造であったり、或いは、蛍光体43に予め酸素除去剤5を塗布してから、SiOに溶剤を添加したゾルゲル液を作成し、このゾルゲル液を蛍光体43上に塗布して焼成することによりガラス層43を形成してもよい。
なお、蛍光体43に予め酸素除去剤5を塗布する方法として、蛍光体43に酸素除去剤5を混ぜたり、散りばめたりしてもよい。
【0047】
次に、本願発明の光変換器の他の実施例を図7を用いて説明する。
光変換器4の構造は、図1に示す光変換器と同様の構造であって異なる点は、密閉空間内に、水分吸着剤8が配置されている。
この水分吸着剤8は、塩化カルシウム、生石灰、天然ゼオライト、シリカゲルA型、シリカゲルB型、シリカゲル青である。
このように、密閉空間に水分吸着剤8を配置する構造により、第1の基板41と第2の基板42を封止する工程において、密閉空間内に水分が入っても、確実にその水分を水分吸着剤8で吸着することができるので、蛍光体43が水分を吸着することがなく、蛍光体43の可視光への変換効率を安定させることができる。
なお、図では示さないが、図2〜図6で示す光変換器の密閉空間に水分吸着剤8を配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本願発明の光変換器の説明図である。
【図2】本願発明の他の実施例の光変換器の説明図である。
【図3】本願発明の他の実施例の光変換器の説明図である。
【図4】本願発明の他の実施例の光変換器の説明図である。
【図5】本願発明の他の実施例の光変換器の説明図である。
【図6】本願発明の他の実施例の光変換器の説明図である。
【図7】本願発明の他の実施例の光変換器の説明図である。
【図8】紫外線照射装置の説明図である。
【図9】光センサの説明図である。
【図10】従来の光変換器の説明図である。
【符号の説明】
【0049】
42 第1の基板
42 第2の基板
43 蛍光体
5 酸素除去材
8 水分吸着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光を蛍光体によって可視光に変換する光変換器において、
前記光変換器は、間隔を保って対向配置された、紫外光を透過する第1の基板と可視光を透過する第2の基板を有し、
前記第1の基板と前記第2の基板との間の空間が密閉空間となるように、前記第1の基板と前記第2の基板を封止し、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に蛍光体が配置され、
前記密閉空間には、酸素除去剤が配置されていることを特徴とする光変換器。
【請求項2】
前記第1の基板と前記第2の基板は共にガラスであって、当該第1の基板と前記第2の基板の側面に銀または金の蒸着層を形成し、
前記第1の基板の蒸着層と前記第2の基板の蒸着層を銀ロウまたはハンダで接合したことを特徴とする請求項1に記載の光変換器。
【請求項3】
前記第1の基板と前記第2の基板は共にガラスであって、当該第1の基板と前記第2の基板の側面に銀または金の蒸着層を形成し、
前記第1の基板の蒸着層と前記第2の基板の蒸着層を水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材で接合し、
前記密閉空間内であって、前記蛍光体と前記水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材との間に、紫外光反射機能を有する金属体が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光変換器。
【請求項4】
前記第1の基板と前記第2の基板は共にガラスであって、当該第1の基板と前記第2の基板の側面に銀または金の蒸着層を形成し、
前記第1の基板の蒸着層と前記第2の基板の蒸着層を前記水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材で接合し、
前記水ガラス、または、エポキシ系封着材、または、アラルダイド系封着材には、紫外光反射機能を有する金属粒子が混入されていることを特徴とする請求項1に記載の光変換器。
【請求項5】
前記第1の基板と前記第2の基板は共にガラスであって、
前記第1の基板若しくは前記第2の基板の少なくともどちらか一方には、溝部が形成されて、当該溝部にOリングが配置され、
前記第1の基板と第2の基板が押圧され、前記Oリングが第1の基板と第2の基板との間で変形し、第1の基板と第2の基板との間の空間が前記Oリングによって密閉空間となっており、
前記密閉空間内であって、前記蛍光体と前記Oリングとの間に、紫外光反射機能を有する金属体が配置され、
前記溝部の内面は、紫外光反射面または紫外光減衰面となっていることを特徴とする請求項1に記載の光変換器。
【請求項6】
前記第1の基板はガラス板であり、前記第2の基板はガラス層であり、
前記第1の基板の表面に前記蛍光体が設けられ、
前記第2の基板のガラス層が前記蛍光体を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光変換器。
【請求項7】
前記密閉空間には、水分吸着剤が配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項5に記載の光変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−216607(P2009−216607A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61973(P2008−61973)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】