説明

光学システム、検査システムおよび製造方法

【課題】広角光学システムを用いて検査用システムおよび方法が提供される。
【解決手段】光学システムは広角入力レンズ群および出力レンズ群を含む。広角入力レンズ群は、物体面から例えば60度以上の角度広がりを有する広角放射を受けかつ像を形成可能な放射を生成するように構成される。広角入力レンズ群は、広角入力レンズ群内またはその後に中間合焦像が形成されないように構成される。出力レンズ群は、広角入力レンズ群から像を形成可能な放射を受けかつ像を形成可能な放射を像面上に合焦させて物体面の少なくとも一部の像を形成するように構成される。ディテクタは、物体面の少なくとも一部の像を受け、受けた像に基づいて、例えば物体面上の汚染を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、光学システム、光学システムを有する検査システム、そのような検査システムを有するリソグラフィ装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射するいわゆるステッパ、および放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] (一般的にはミクロンまたはナノメートルサイズの構造を含む)パターンの像を形成することは、パターニングデバイスおよび/または基板のほこりまたは他の汚染に対して非常に敏感であり得る。したがって、パターニングデバイス(および/またはその小さな構造物を保護するペリクル)および/または基板は、結像の前に、汚染検査システムを用いて汚染、特に粒子を検査し得る。粒子がパターニングデバイスまたは基板上で検出された場合、粒子は受け入れられる(それによって基板上に欠陥領域の可能性を受け入れる)か、その粒子は除去されるか、あるいはパターニングデバイスまたは基板は却下される場合がある。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 例えば、レチクル、レチクルに関連するペリクルおよび/または基板などの物体の表面を検査する現行の汚染検査システムは散乱線技術を使用する。この技術では、レーザビームは物体上に合焦され、物体から散乱した放射は像面へのさらなる投影のために光学システムによって受けられる。
【0005】
[0005] 単一のショットで例えば物体の表面全体の像を形成するためには、検査システムは、例えば少なくとも60度と同等の画角(angle-of-view)を有する広角レンズが設けられた光学システムを有する。一般的には、そのような広角レンズは、物体が無限遠に位置する場合に最も上手く作用する。そのような広角レンズが、例えば粒子検査システム内で大写しおよび短い有限作動距離のために使用される場合、広角レンズは相対的に大きい収差によって損害を受ける不十分な品質からなる像を形成する。像品質を改善するためには、入力コンデンサおよび出力コンデンサを含む光学リレーレンズ群が広角レンズと直列に使用されてよい。この構成では、(中間低品質像を形成する)広角レンズからの放射は入力コンデンサによって受けられかつ出力コンデンサへと送られて物体の相対的により良い品質の像を形成する。しかしながら、この広角レンズと光学リレーレンズ群との組み合わせはかさばってしまい、特に高解像度結像設定のフィールド端で低い変調伝達関数(MTF)コントラストおよび口径食による損害を受ける。さらに、そのような組み合わせは、例えば光学リレーレンズ内の要素の配置を変更することによって光学システムの拡大率を逆にすることができるような光可逆性を支持しない場合がある。
【0006】
[0006] したがって、例えば、短い有限作動距離間で全視野または表面全体の像形成を支持できる、例えば粒子検査システム内の広角光学システムを提供し、かつ高いMTFコントラストおよび高解像度を有する物体面の像を提供することが有利であろう。
【0007】
[0007] 一態様によると、広角入力レンズ群および出力レンズ群を含む光学システムが提供される。広角入力レンズ群は、物体面から例えば60度以上の角度広がり(angular spread)を有する放射を受け、かつ像を形成可能な放射を生成するように構成される。一実施形態では、広角入力レンズ群は、広角入力レンズ群内またはその後に中間合焦像が形成されないように構成される。出力レンズ群は、広角入力レンズ群から像を形成可能な放射を受けかつこの放射を像面上に合焦させて物体面の少なくとも一部の像を形成するように構成される。像面は、物体面の少なくとも一部の像を受け、受けた像に基づいて物体面上の汚染または他の異常を検出するように構成されたディテクタと同一平面上にあってよい。物体は、例えば、リソグラフィシステム内のレチクル、レチクルに関連するペリクル、基板、レチクルホルダまたはテーブルであってもよい。
【0008】
[0008] 一実施形態では、広角入力レンズ群は、非球面を有する前方光学要素およびダブレット(doublet)を含む。一実施形態では、出力レンズ群は、非球面を有するダブレットおよび最終レンズ要素を含む。広角入力レンズ群および出力レンズ群は、光学システムの拡大率を変更するために光学システム内で交換可能に配置されるように構成されてよい。光学システムはテレセントリックにならないように構成されてよい。
【0009】
[0009] 一態様によると、物体の表面を検査する検査システムが提供され、この検査システムは、光学システムおよびディテクタを含む。光学システムは、物体面から例えば60度以上の角度広がりを有する放射を受け、かつそこから像を形成可能な放射を生成するように構成された広角入力レンズ群を含む。一実施形態では、広角入力レンズ群は、広角入力レンズ群内またはその後に中間合焦像が形成されないように構成される。光学システムは、広角入力レンズ群から像を形成可能な放射を受けかつ像を形成可能な放射を像面上に合焦させて物体面の少なくとも一部の像を形成するように構成された出力レンズ群をさらに含む。検査システムのディテクタは、物体面の少なくとも一部の像を受け、受けた像に基づいて汚染、物体面の異常および/または物体面上のパターン(例えば、バーコード)を検出するように構成される。検査システムは、物体の表面を照明するために照明ビームを提供する照明源をさらに含んでよい。物体は、リソグラフィシステム内のレチクル、レチクルに関連するペリクル、基板またはテーブルであってもよい。
【0010】
[0010] 一態様によると、パターニングデバイスを保持するように構成されたサポート構造を含むリソグラフィ装置が提供される。パターニングデバイスは、パターンによってビームを空間的に変調するように構成される。リソグラフィ装置は、基板を保持するように構成された基板テーブルと、パターン付きビームを基板のターゲット部分上に投影する投影システムと、物体面を検査する検査システムとをさらに含む。検査システムは、光学システムおよびディテクタを含む。光学システムは、物体面から例えば60度以上の角度広がりを有する放射を受け、かつそこから像を形成可能な放射を生成するように構成された広角入力レンズ群を含む。一実施形態では、広角入力レンズ群は、広角入力レンズ群内またはその後に中間合焦像が形成されないように構成される。光学システムは、広角入力レンズ群から像を形成可能な放射を受けかつ像を形成可能な放射を像面上に合焦させて物体面の少なくとも一部の像を形成するように構成された出力レンズ群をさらに含む。検査システムのディテクタは、物体面の少なくとも一部の像を受け、受けた像に基づいて汚染、物体面の異常および/または物体面上のパターンを検出するように構成される。検査システムは、物体の表面を照明するために照明ビームを提供する照明源をさらに含んでよい。検査される物体は、リソグラフィシステム内のパターニングデバイス、パターニングデバイスに関連するペリクル、基板またはテーブルであってもよい。
【0011】
[0011] 一態様によると、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分上に投影することと、物体面(例えば、レチクル、レチクルに関連するペリクルまたは基板)を検査することとを含む製造方法が提供される。検査することは、広角入力レンズ群内またはその後に中間合焦像が形成されないように広角入力レンズ群で物体面から放射を受けてそこから像を形成可能な放射を生成することを含む。検査することは、像を形成可能な放射を像面上に合焦させて物体面の少なくとも一部の像を形成することと、物体面の少なくとも一部の像に基づいて汚染、物体面の異常および/または物体面上のパターンを検出することとをさらに含む。一実施形態では、検査することは、照明ビームで物体の表面を照明することをさらに含む。
【0012】
[0012] 本発明のさらなる特徴および利点、ならびに本発明の様々な実施形態の構造および動作を、添付の図面を参照しながら以下で詳細に説明する。本発明は、本明細書で説明する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、本明細書では例示のためにのみ示されている。本明細書に含まれる教示に基づき、当業者にはさらなる実施形態が明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[0013] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0014】
【図1】[0014] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。
【図2】[0015] 図2は、本発明の一実施形態による検査システムを概略的に示す。
【図3】[0016] 図3は、本発明の一実施形態による光学システムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0017] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、UV放射またはDUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0016】
[0018] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0017】
[0019] サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0018】
[0020] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0019】
[0021] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0020】
[0022] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0021】
[0023] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、上述のプログラマブルミラーアレイを採用しているもの、または反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0022】
[0024] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のサポート構造)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブル/サポート構造は並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル/サポート構造上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブル/サポート構造を露光用に使うこともできる。
【0023】
[0025] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0024】
[0026] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するように構成されたアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0025】
[0027] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサ(図1aには明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、サポート構造MTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、サポート構造MTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがパターニングデバイスMA上に設けられている場合、パターニングデバイスアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0026】
[0028] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0027】
[0029] 1.ステップモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0028】
[0030] 2.スキャンモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0029】
[0031] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0030】
[0032] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0031】
[0033] 図2は、本発明の一実施形態による物体の表面の検査用システムを示している。一実施形態では、検査システムを用いて汚染、物体面の異常および/または物体面上のパターンを検出する。一実施形態では、汚染は、例えば、粒子を含んでよい。一実施形態では、物体面の異常は、例えば、レチクルパターンのフィーチャの欠陥を含んでよい。一実施形態では、物体面上のパターンは、例えば、バーコード、レチクルパターンまたはアライメントマークを含んでよい。
【0032】
[0034] 検査システム20は、例えば、レチクル、レチクルのパターン付き側面またはパターンなし側面を保護するペリクル、基板、ホルダ、チャックまたはテーブル(例えば、基板テーブル、測定センサテーブルまたはパターニングデバイステーブルの任意の部分)である物体24の表面22の検査目的のために使用されてよい。検査システムは別個のシステム20として示されているが、例えば図1を参照して記載されるように、検査システムはインツール(in-tool)システムとして設けられてリソグラフィ装置と一体的であってもよい。インツールシステムとしては、検査システムはリソグラフィプロセスの前に物体24の表面22を検査することができる。
【0033】
[0035] 一実施形態では、検査システム20は、照明源26、光学システム28およびディテクタ30を含む。照明源26は、物体24の表面22を照明するために照明ビーム34を提供する。図2では、1つの照明源26のみを示しているが、1つ以上の照明源があってもよい。あるいは、検査システム20は別個の照明源26を有していない場合もあり、表面22は周囲放射および検査システム20とは別個の照明源によって提供される放射によって放射されてもよい。照明源26は、例えば、標準の発光ダイオード(LED)、フラッシュ発光ダイオード(フラッシュLED)またはレーザダイオードであってもよいが、他の種類の照明源を用いてもよいのでこれらに限定されない。
【0034】
[0036] 光学システム28は、以下により詳細に説明するように、1つ以上のレンズ群などといった1つまたは複数の光学系を含んでよい。光学システム28は照明された物体面22から放射(例えば、散乱線)を受けるかまたは遮断して物体24の表面22の像をディテクタ30上に投影し、必要に応じて拡大または縮小する。像は光学システム28からディテクタ30のセンサ32上に投影され、その後、センサ32上に記録された像データはアナライザ(解析器)34によって解析されて物体面22上の汚染、異常、パターンまたはそれらのあらゆる組み合わせを検出する。物体面22の像は表面全体を1つのショットで捕らえるために全視野像であってよく、それによって適切なデータ収集を提供しかつ物体検査時間を短縮する。例えば、検査システムは160mm×160mmのレチクルを1つのショットで捕らえることができる。そのような短い単一フレーム取得時間は、マルチフレーム順次結像およびサブピクセル解像度処理などの像向上技術を可能にする。そのような技術を用いて得られる全視野像は、例えば、実際の粒子の形状およびサイズならびに粒子位置決めの正確な検出を可能にする。
【0035】
[0037] 表面22が大きすぎるかまたはセンサ32が全視野像の単一の投影に対する十分な容量を有さない場合、有効な全視野像のために2つ以上の部分像を得ることができる。センサ32は線形または大面積センサであってよく、CMOSセンサアレイまたは電荷結合素子(CCD)を含むがそれらに限定されない。例えば、センサ32は線形CCDまたは大面積CCDを含んでもよい。
【0036】
[0038] 物体面22の全視野像は、例えば、粒子(例えば、図2に示す粒子36)、他の汚染、異常(例えば、破損したレチクルパターンフィーチャ)またはパターン(例えば、バーコード)をアナライザ34によって解析されてよい。例えば、アナライザ34を用いて検出された粒子および/または異常のサイズおよび位置を測定できる。例えば、測定されたサイズまたは位置が一定の範囲の外または他の範囲にあった場合、粒子サイズおよび位置の測定を用いて物体24(例えば、レチクルまたはレチクルを覆うペリクル)を却下することができる。一実施形態では、アナライザ34は解析ソフトウェアおよび解析ソフトウェアを実行するための汎用プロセッサを含む一般的なコンピュータシステムである。あるいは、コンピュータシステムは、上述したような像解析を実行するように構成された特殊プロセッサを含んでもよい。
【0037】
[0039] 上述したように、検査システム20はリソグラフィ装置と一体化されて例えば、レチクル、レチクルを覆うペリクルまたは基板を検査することができる。そのようなリソグラフィ装置では、それらの物体を同時に検査する別個の検査システムがあってもよく、これはより高いスループットをもたらすことができ、あるいは物体を連続的に検査する単一の検査システムがあってもよい。検査システム20は、リソグラフィシステムで使用する場合、メトロロジ目的などの他の機能のために使用されてもよい。システム20に適切なアライメントターゲットを検出させることによってレチクル、さらに基板のプリアライメントを達成することができる。レチクル(または基板)の識別は、レチクル(または基板)表面上に配置された1つ以上のバーコード(例えば、一次元バーコード、二次元バーコード等)を読み取るかまたは解釈することによって達成することができる。
【0038】
[0040] 図3は光学システム28をより詳細に示している。一実施形態では、光学システム28は、入力レンズ群(または入力コンデンサ)2810および出力レンズ群(または出力コンデンサ)2812を含むリレーレンズ群である。一実施形態では、入力レンズ群2810および出力レンズ群2812は、光学システム28がテレセントリックではないように構成される。一実施形態では、光学システム28は、1つより多い入力レンズ群2810、1つより多い出力レンズ群2812またはその両方を含む。入力レンズ群2810は、物体24の照明された表面22から放射2814を受け、出力レンズ群2812上に誘導および入射される像を形成可能な放射2816(例えば、平行ビームまたは本質的に無限の焦点を有するビームなどのビーム)を生成する。一実施形態では、入力レンズ群2810は、表面22から放射を受ける入力レンズ群2810の側面に広角前方レンズ要素2818を含み、入力レンズ群2810の反対側にはダブレットを含む。
【0039】
[0041] 広角前方レンズ要素2818は、前方レンズ要素2818が約60度以上の広視野角を有するように、放射2814を受ける側面に凸面を有し、反対側には凹面2824を有するように構成されてよい。それによって、検査された表面22全体(または少なくともそのかなりの部分)の像を一回で形成することを容易にする。表面2822および2824の両方は、球面収差および色収差を少なくするためにその上に非球面を有してよい。広角前方レンズ要素2818は複数の光学要素を含んでよい。多数の光学要素のうちの1つ以上は、1つ以上の非球面を有してよい。機能的に、広角前方レンズ要素2818は、表面22から放射を受けてその受けた放射をダブレット2820上への投影のために発散させ(発散放射2826を形成する)、それによって物体面22の中間合焦像が前方レンズ要素2818およびダブレット2820の間を含む入力レンズ群2810内にまたは入力レンズ群2810の後に形成されない。
【0040】
[0042] ダブレット2820を通過した後の放射2826は、像を形成可能な放射2816(例えば、平行ビームまたは本質的に無限の焦点に合わせられたビームなどのビーム)に変換される。非球面は、出力レンズ群2812に面するダブレット2820の凹面2828上に形成されてよく、これは瞳収差補正を容易にしかつ光学システム28の変調伝達関数(MTF)を改良する。ダブレット2820の放射を受ける側面は凸面を有してよい。ダブレット2820および前方レンズ要素2818の代わりにまたはそれらに加えて、1つ以上の非球面を有する1つ以上の多素子光学系を入力レンズ群2810内で使用して上述した光学機能を実行することができる。アパーチャストップが入力レンズ群2810と出力レンズ群2812との間で入力レンズ群2810のフーリエまたはフィールド面に配置されてよい。
【0041】
[0043] 一実施形態では、出力レンズ群2812はダブレット2830および最終レンズ要素2832を含む。出力レンズ群2812は放射2816を受けかつ収束してその放射を像面2834上に合焦させて物体面22の像を形成する。非球面がダブレット2830に面する最終レンズ要素2832の凹面2836上に形成されてよく、これは像面2834上に形成される表面22の低歪み高解像度像の生成を可能にする。像面2834はセンサ32の表面であってよい。出力レンズ群2812は、その出力レンズ群2812が入力レンズ群2810と擬似対称になるように構成されてよく、すなわち、入力レンズ群2810および出力レンズ群2812は、それらが光学システム28内で交換可能に配置されて光学システム28の拡大率を調整できる(例えば、逆にする)ように構成される。ダブレット2830および最終レンズ要素2832の代わりにまたはそれらに加えて、1つ以上の多素子光学系を出力レンズ群2812内で用いて上述した光学機能を実行することができる。1つ以上の多素子光学系は非球面であってよい。
【0042】
[0044] リレーレンズ群によって改善される低品質な像を形成する広角レンズを利用する従来の広角光学システムとは違って、広角入力レンズ群および出力レンズ群を含む上述した光学システムは、より単純な構造を有しており、かつ光学システムの広角機能を入力レンズ群へと組み込むことによって別個の広角レンズ群の必要性を除去する。上述したように、光学システム28は、入力レンズ群2810内またはその後に中間低品質像を形成せず、像面2834上に高解像度像を形成する。そのような構成は、物体と像との短い作動距離内でより高速な表面全体の像形成を容易にし、特に像フィールドの端で低歪みおよび低収差を有する。
【0043】
[0045] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0044】
[0046] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0045】
[0047] リソグラフィ装置は、投影システムの最終要素と基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)内に基板の表面を沈めるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、パターニングデバイスと投影システムの第1要素との間)に液浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させることで当技術分野において周知である。
【0046】
[0048] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、および極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0047】
[0049] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0048】
[0050] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を実行させるように構成された1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。
【0049】
[0051] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広角入力レンズ群であって、前記広角入力レンズ群内またはその後に中間合焦像が形成されないように物体面から放射を受けかつそこから像を形成可能な放射を生成するように構成された広角入力レンズ群と、
前記広角入力レンズ群から前記像を形成可能な放射を受けかつ前記像を形成可能な放射を像面上に合焦させて前記物体面の少なくとも一部の像を形成するように構成された出力レンズ群と
を含む、光学システム。
【請求項2】
前記広角入力レンズ群は、少なくとも約60度の角度広がりを有する放射を受けるように構成されている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記物体は、リソグラフィシステム内のレチクル、レチクルに関連するペリクル、基板、ホルダ、チャックまたはテーブルからなる群から選択される、請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
前記広角入力レンズ群は、非球面を有する前方光学要素および広角入力レンズ群ダブレットを含む、請求項1に記載の光学システム。
【請求項5】
前記出力レンズ群は、非球面を有するダブレットおよび最終レンズ要素を含む、請求項1に記載の光学システム。
【請求項6】
前記光学システムはテレセントリックにならないように構成されている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
前記広角入力レンズ群および前記出力レンズ群は、前記光学システムの拡大率を変更するために前記光学システム内で交換可能に配置される、請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
物体の表面を検査する検査システムであって、前記検査システムは、
光学システムと、
ディテクタとを含み、前記光学システムは、
広角入力レンズ群であって、前記広角入力レンズ群内またはその後に中間合焦像が形成されないように物体面から放射を受けかつそこから像を形成可能な放射を生成するように構成された広角入力レンズ群と、
前記広角入力レンズ群から前記像を形成可能な放射を受けかつ前記像を形成可能な放射を像面上に合焦させて前記物体面の少なくとも一部の像を形成するように構成された出力レンズ群とを含み、
前記ディテクタは、前記物体面の少なくとも一部の前記像を受け、前記受けた像に基づいて汚染、前記物体面の異常および/または前記物体面上のパターンを検出するように構成されている、検査システム。
【請求項9】
前記光学システムは、少なくとも約60度の角度広がりを有する放射を受けるように構成されている、請求項8に記載の検査システム。
【請求項10】
前記物体は、リソグラフィシステム内のレチクル、レチクルに関連するペリクル、基板、ホルダ、チャックまたはテーブルからなる群から選択される、請求項8に記載の検査システム。
【請求項11】
前記パターンはレチクル上のバーコードを含む、請求項8に記載の検査システム。
【請求項12】
ビームの断面にパターンを付与するパターニングデバイスを保持するサポート構造と、
基板を保持する基板テーブルと、
パターン付きビームを前記基板のターゲット部分上に投影する投影システムと、
物体面を検査する検査システムと
を含むリソグラフィ装置であって、前記検査システムは、
光学システムと、
ディテクタとを含み、前記光学システムは、
広角入力レンズ群であって、前記広角入力レンズ群内またはその後に中間合焦像が形成されないように前記物体面から放射を受けかつそこから像を形成可能な放射を生成するように構成された広角入力レンズ群と、
前記広角入力レンズ群から前記像を形成可能な放射を受けかつ前記像を形成可能な放射を像面上に合焦させて前記物体面の少なくとも一部の像を形成するように構成された出力レンズ群とを含み、
前記ディテクタは、前記物体面の少なくとも一部の前記像を受け、前記受けた像に基づいて汚染、前記物体面の異常および/または前記物体面上のパターンを検出するように構成されている、リソグラフィ装置。
【請求項13】
前記物体は、リソグラフィシステム内のパターニングデバイス、パターニングデバイスに関連するペリクル、基板、ホルダ、チャックまたはテーブルからなる群から選択される、請求項12に記載のリソグラフィ装置。
【請求項14】
前記広角レンズ群の画角は少なくとも約60度である、請求項12に記載のリソグラフィ装置。
【請求項15】
パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分上に投影することと、
物体面を検査することと
を含む製造方法であって、前記検査することは、
広角入力レンズ群内またはその後に中間合焦像が形成されないように前記広角入力レンズ群で前記物体面から放射を受けてそこから像を形成可能な放射を生成することと、
前記広角入力レンズ群からの前記像を形成可能な放射を像面上に合焦させて前記物体面の少なくとも一部の像を形成することと、
前記物体面の少なくとも一部の前記像に基づいて汚染、前記物体面の異常および/または前記物体面上のパターンを検出することとを含む、製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−242768(P2011−242768A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−103542(P2011−103542)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(503195263)エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ. (232)
【Fターム(参考)】