説明

光学パネル

【課題】 点灯検査の作業性の向上を容易に図ることのできる光学パネルを提供する。
【解決手段】 セグメント用配線群2sとコモン用配線群2cとの境界部分の一部に、プローブPの位置ずれのマージンを拡大するためのマージン拡大用領域5を設けた。マージン拡大用領域5が、コモン用配線群2cのパターンの一部にセグメント用配線群2sから離れる迂回パターン部3を設けることにより形成されているので、マージン拡大用領域5を容易に形成することができる。これにより、液晶パネル11の点灯検査時のおけるプローブPの位置合わせが容易になり、点灯検査の作業性の向上を容易に図ることのできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学パネルに係り、特に、点灯検査の作業性の向上に好適な光学パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、情報の表示を行う表示装置の表示部の一種として、小型かつ軽量でしかも設置スペースが少なくてすむ、液晶パネル、ELパネル、プラズマパネルなどの各種の光学パネルが用いられている。このような光学パネルは、その製造工程において高度な薄膜形成技術や微細加工技術が必要であるため、配線の断線、画素電極の断線などによる欠陥を完全に無くすことは困難であった。そのため、従来においては、欠陥を早期に発見するために、光学パネルを駆動させるドライバなどを実装する前のパネル段階において点灯検査を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の光学パネルについて、液晶パネルを例示して説明する。
【0004】
図3は従来の一般的な液晶パネルの形状を簡略化して示す概略平面図であり、従来の液晶パネル11は、例えばリア基板11Rの一端縁がフロント基板11Fの端縁より突出するように延出形成されており、この部分は、端子形成部12とされている。そして、端子形成部12の画像表示領域13の側には、線状のパターンとされた複数の配線14が形成されている。これらの配線14は、図4に誇張して示すように、少なくとも一つのセグメント用配線群14sおよび複数のコモン用配線群14cを有している。そして、複数のセグメント用配線群14sの少なくとも一つがコモン用配線群14cの間に挟まれるようにそれぞれが相互に平行に配列されている。
【0005】
なお、図4には、一つのセグメント用配線群14sが、二つの複数のコモン用配線群14cの間に挟まれるようにそれぞれが相互に平行に配列されているものを示してある。
【0006】
また、配線14のパターンとしては、図5に示すように、セグメント用配線群14sおよびコモン用配線群14cが斜線状に配列されているものもある。
【0007】
前記液晶パネル11の点灯検査時には、点灯検査装置の導電性ゴムからなるプローブPの接触面Paをコモン用配線群14cの間に挟まれているセグメント用配線群14sに接触させることで、コモン用配線群14cの間に挟まれているセグメント用配線群14sに駆動電圧を印加することができるようになっている。
【0008】
なお、図4および図5に示すように、コモン用配線群14cの間に挟まれているセグメント用配線群14sには、プローブPの接触面Paによって、セグメント用配線群14sのうちの少なくとも一部、図4および図5においては図示してあるすべてのセグメント用配線群14sに駆動電圧を一括して印可することができるようになっている。
【0009】
【特許文献1】特開2004−144697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の液晶パネル11においては、点灯検査時に、プローブPの位置合わせを複数回行わなければならない場合があり、点灯検査の作業性が悪いという問題点があった。
【0011】
特に、駆動用半導体(ドライバ)などのチップ部品を直接搭載するCOG(chip on glass )実装方式を用いた液晶パネルや表示の高精細な液晶パネルでは、端子形成部12に、数多くの配線14が必要であり、このため配線14の間隔が狭くなるので、プローブP、詳しくはプローブPの接触面Paの位置ずれに対するマージンが小さくなり、プローブPの位置合わせを1回で行うのがより困難であるという問題点があった。
【0012】
また、一般的に、プローブPは、図4の左右方向および上下方向に移動可能に形成されているので、図4に示す配線が上下方向に直線状に形成されている場合に比べて、図5に示す配線が斜め方向に斜線状に形成されている場合にほうが、プローブPの接触面Paの位置ずれに対するマージンが小さくなる。
【0013】
そこで、点灯検査の作業性の向上を容易に図ることのできる光学パネルが求められている。
【0014】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、点灯検査の作業性の向上を容易に図ることのできる光学パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した目的を達成するため、本発明に係る光学パネルの特徴は、基板の端子形成部に複数のセグメント用配線群および複数のコモン用配線群が形成されているとともに、前記複数のセグメント用配線群の少なくとも一つが前記コモン用配線群の間に挟まれるようにそれぞれが相互に平行に配列されており、点灯検査時には、導電性ゴムからなるプローブによって、前記セグメント用配線群の各配線に駆動電圧を印加可能とされている光学パネルにおいて、前記セグメント用配線群とコモン用配線群との境界部分の一部に、前記プローブの位置ずれのマージンを拡大するためのマージン拡大用領域が形成されている点にある。
【0016】
前記マージン拡大用領域は、前記コモン用配線群のパターンの一部に前記セグメント用配線群から離れる迂回パターン部を設けることにより形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る光学パネルによれば、マージン拡大用領域によって、点灯検査時におけるプローブの位置合わせを容易に行うことができるので、点灯検査の作業性の向上を容易に図ることができるなどの極めて優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。なお、本発明の光学パネルは、従来の光学パネルと配線のパターンが異なるだけであるので、配線パターンについてのみ説明し、その他の構成については省略する。また、前述した従来のものと同一ないし相当する構成については図面中に同一の符号を付す。
【0019】
図1は本発明に係る光学パネルの第1実施形態の要部を示す模式的平面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の液晶パネルなどの光学パネル1には、線状のパターンとされた複数の配線2が形成されている。これらの配線2は、複数のセグメント用配線群2sおよび複数のコモン用配線群2cを有している。そして、少なくとも一つのセグメント用配線群2sがコモン用配線群2cの間に挟まれるようにそれぞれが全体として相互に平行に配列されている。また、各配線2は、その長さ方向を図1の上下方向に示す縦方向に沿って直線状に形成されている。これらの配線2は、例えば、線幅が0.5mm程度、配線2の間隔が0.3mm程度に形成されており、その長さ方向を図1の上下方向に示す縦方向に沿って配列されている。
【0021】
なお、複数のセグメント用配線群2sの両側にコモン用配線群2cが配置される構成もある。
【0022】
前記コモン用配線群2cの一部には、隣位するセグメント用配線群2sから離れるほぼ縦長コの字状の迂回パターン部3が設けられており、コモン用配線群2cとセグメント用配線群2sとの境界部分のそれぞれには、配線2の間隔より広い領域4が形成されている。この迂回パターン部3のパターンとしては、例えば、図1に示す設計上の設定位置に位置した場合のプローブPの接触面Paの周辺から最も近い部分が0.4mm程度離れるように形成されている。
【0023】
なお、迂回パターン部3の形状は、プローブPの接触面Paの形状に応じて矩形、円形などの各種の形状から選択することができる。
【0024】
前記領域4により、本実施形態のセグメント用配線群2sとコモン用配線群2cとの境界部分の一部に、前述した点灯検査装置のプローブPの位置ずれのマージンを拡大するためのマージン拡大用領域5が構成されている。
【0025】
すなわち、マージン拡大用領域5は、コモン用配線群2cのパターンの一部にセグメント用配線群2sから離れる迂回パターン部3を設けることにより形成されている。
【0026】
なお、光学パネル1としては、液晶パネル、ELパネル、プラズマパネルなどを挙げることができる。
【0027】
その他の光学パネル1の構成については、従来公知の光学パネルと同様とされているので、その詳しい説明は省略する。
【0028】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0029】
本実施形態の光学パネル1によれば、セグメント用配線群2sとコモン用配線群2cとの境界部分の一部に、プローブP、詳しくはプローブPの接触面Paの位置ずれのマージンを拡大するためのマージン拡大用領域5が形成されているので、点灯検査時にプローブPの位置合わせを容易に行うことができる。その結果、点灯検査の作業性を容易かつ確実に向上することができる。
【0030】
すなわち、本実施形態の光学パネル1においては、プローブPの接触面Paの位置ずれのマージンが、図1に示す設計上の設定位置より、上下左右に0.4mm未満とされている。これに対して、従来のように、迂回パターン部3を設けない場合においては、プローブPの接触面Paの位置ずれのマージンが、図1に示す設計上の設定位置より、上下左右に0.3mm未満となる。
【0031】
また、本実施形態の光学パネル1によれば、マージン拡大用領域5が、コモン用配線群2cのパターンの一部にセグメント用配線群2sから離れる迂回パターン部3を設けることにより形成されているので、マージン拡大用領域5を容易に形成することができる。
【0032】
図2は本発明に係る光学パネル1の第2実施形態の要部を示す概略平面図である。
【0033】
図2に示すように、本実施形態の光学パネル1Aには、線状のパターンとされた複数の配線2Aが形成されている。これらの配線2Aは、複数のセグメント用配線群2Asおよび複数のコモン用配線群2Acを有している。そして、少なくとも一つのセグメント用配線群2Asがコモン用配線群2Acの間に挟まれるようにそれぞれが全体として相互に平行に配列されている。また、各配線2Aは、その長さ方向を図1の左下から右斜め上方に向かうように斜線状に形成されている。これらの配線2Aは、例えば、線幅が0.5mm程度、配線2Aの間隔が0.3mm程度に形成されている。
【0034】
なお、複数のセグメント用配線群2Asの両側に、コモン用配線群2Acが配置される構成もある。
【0035】
前記各コモン用配線群2Acの一部には、隣位するセグメント用配線群2Asから離れる略くの字状の迂回パターン部3Aが設けられており、コモン用配線群2Acとセグメント用配線群2Asとの境界部分のそれぞれには、配線2Aの間隔より広い領域4Aが形成されている。この迂回パターン部3Aのパターンとしては、例えば、図2に示す設計上の設定位置に位置した場合のプローブPの接触面Paの周辺から最も近い部分が0.4mm離れるように形成されている。
【0036】
なお、迂回パターン部3Aの形状は、プローブPの接触面Paの形状に応じて矩形、円形などの各種の形状から選択することができる。
【0037】
前記領域4Aにより、本実施形態のセグメント用配線群2Asとコモン用配線群2Acとの境界部分の一部に、前述した点灯検査装置のプローブPの位置ずれのマージンを拡大するためのマージン拡大用領域5Aが構成されている。
【0038】
すなわち、マージン拡大用領域5Aは、コモン用配線群2Acのパターンの一部にセグメント用配線群2Asから離れる迂回パターン部3Aを設けることにより形成されている。
【0039】
その他の光学パネル1Aの構成については、従来公知の光学パネルと同様とされているので、その詳しい説明は省略する。
【0040】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0041】
本実施形態の光学パネル1Aによれば、前述した第1実施形態の光学パネル1と同様の効果を奏する。
【0042】
なお、本実施形態の光学パネル1Aにおいては、プローブPの接触面Paの位置ずれのマージンが、図2に示す設計上の設定位置より、上下左右に0.4mm未満とされている。これに対して、従来のように、迂回パターン部3Aを設けない場合においては、プローブPの接触面Paの位置ずれのマージンが、図2に示す設計上の設定位置より、上下左右に0.21mm程度未満となる。
【0043】
本発明は、光学パネルに限らず、導電性ゴムにより形成されたプローブにより駆動電圧を印可する検査に供する配線が、駆動電圧を印可しない配線に挟まれて配置されている基板や電子部品などに適用することができる。
【0044】
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る光学パネルの第1実施形態の要部を示す模式的平面図
【図2】本発明に係る光学パネルの第2実施形態の要部を示す模式的平面図
【図3】従来の光学パネルの一例としての液晶パネルの要部の構成を示す概略平面図
【図4】図3の液晶パネルの配線の一例を示す模式的平面図
【図5】図3の液晶パネルの配線の他例を示す模式的平面図
【符号の説明】
【0046】
1、1A 光学パネル
2、2A 配線
2s、2As セグメント用配線群
2c、2Ac コモン用配線群
3、3A 迂回パターン部
4 領域
5 マージン拡大用領域
P プローブ
Pa 接触面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の端子形成部に複数のセグメント用配線群および複数のコモン用配線群が形成されているとともに、前記複数のセグメント用配線群の少なくとも一つが前記コモン用配線群の間に挟まれるようにそれぞれが相互に平行に配列されており、点灯検査時には、導電性ゴムからなるプローブによって、前記セグメント用配線群の各配線に駆動電圧を印加可能とされている光学パネルにおいて、
前記セグメント用配線群とコモン用配線群との境界部分の一部に、前記プローブの位置ずれのマージンを拡大するためのマージン拡大用領域が形成されていることを特徴とする光学パネル。
【請求項2】
前記マージン拡大用領域が、前記コモン用配線群のパターンの一部に前記セグメント用配線群から離れる迂回パターン部を設けることにより形成されている請求項1に記載の光学パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−171415(P2006−171415A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364378(P2004−364378)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【出願人】(000167783)広島オプト株式会社 (95)
【Fターム(参考)】