説明

光学フィルム

【課題】発光ダイオード(LED)の相関色温度(CCT)および演色評価数(CRI)に対する高品質要求を実現する。
【解決手段】共に積層された、もしくはアレイ状に配列されるパターニングされた複数の蛍光体層を有する光学フィルム430aで、各蛍光体層が励起光源により励起され、それぞれ二次的な光線を発し、蛍光体層によって発せられる二次的な光線は、それぞれ異なる波長域にある。異なる波長域の二次的な光線は、混合され、特定の波長域の光線になりうる。さらに、複数の蛍光体層を有する光学フィルムを調整することは比較的容易なので、形成される光線は多様な波長を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に光学フィルムに関し、具体的には、満足な品質を有する、容易に調整可能な光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術における進歩に伴い、発光ダイオード(LED)は、現在、高輝度、低電力消費、小型性、低駆動電圧、水銀不使用、その他の利点を有する。従って、LEDはディスプレイおよび照明の分野において広範囲に使用されてきた。LEDの用途拡大のために、LEDによって供給される光源色への需要が次第に多様化してきた。加えて、LEDの相関色温度(CCT)および演色評価数(CRI)に対する高品質要求も増大してきている。
【0003】
台湾特許第M318797号明細書は、光学フィルムを形成する方法を対象とする。図1は、光学フィルムを有する従来のLEDパッケージ構造の概略図である。LEDパッケージ構造100は、基板110、LEDチップ120、レンズ130および光学フィルム140を含む。基板110は、空洞112および回路層114を有する。LEDチップ120は、基板110に配置され、ワイヤ・ボンディングにより基板110上の回路層114に電気的に接続する。光学フィルム140は基板110の空洞112の上に配置され、レンズ130は光学フィルム140上に配置される。ここで、光学フィルム140は、蛍光体粉と透明な粘着性の液体または透明プラスチック材料を、適当な割合で混合して、その混合物をフィルムとして成形することによって形成される。
【0004】
LEDチップ120から発せられる光によって励起される、光学フィルム140中の蛍光体粉が二次的な光線を生成する。二次的な光線は、LEDチップから発せられる光と混合でき、特定の波長を有する他の光線を形成できる。よって、LEDパッケージ構造100によって多様な光線が発せられうる。それにもかかわらず、光学フィルム140の製造中に、蛍光体粉の均一な混合または蛍光体粉の沈殿を予防することは容易ではない。このように、低品質の光学フィルム140は、LEDパッケージ構造100により発せられる光のCCT及びCRI性能を劣化させる。換言すれば、光学フィルムはLEDパッケージ構造の光源性能の決定において支配的な役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾特許第M318797号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明は、共に積層された複数の蛍光体層を有する光学フィルムを対象とする。
【0007】
本発明は、アレイ状に配列されるパターニングされた複数の蛍光体層を有する、他の光学フィルムを対象とする。
【0008】
本発明において、共に積層される複数の蛍光体層を含む光学フィルムが形成される。各蛍光体層が励起光源により励起され、それぞれ二次的な光線を発し、蛍光体層によって発せられる二次的な光線は、異なる波長域にある。本発明の好ましい実施態様において、光学フィルムは、物体(例えば基板、テープ、その他)から剥離または分離できる。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、光学フィルムは、蛍光体層が積層される第1の基板を更に含む。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、励起光源の波長は、各二次的な光線の波長より短い。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、第1の基板は、透明基板である。本発明の他の実施形態によれば、第1の基板は、反射基板である。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、蛍光体層は、赤色蛍光体層、緑色蛍光体層および黄色蛍光体層のうちの少なくとも2つを含む。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、蛍光体層のうちの最下部に位置する蛍光体層は、第1の基板の表層を完全に被覆する。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、光学フィルムは、複数の蛍光体層のうちの最上に位置する蛍光体層を被覆する第2の基板を更に含むため、複数の蛍光体層が第1の基板と第2の基板の間に位置するようになる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、第1の基板が透明基板である場合、第2の基板は透明基板または反射基板でありうる。本発明の他の実施形態によれば、第1の基板が反射基板である場合に、第2の基板は透明基板でありうる。
【0016】
本発明において、アレイ状に配列されるパターニングされた複数の蛍光体層を含む、他の光学フィルムが形成される。パターニングされた蛍光体層のそれぞれは励起光源により励起され、それぞれ二次的な光線を発し、それらのパターニングされた蛍光体層によって発せられる二次的な光線は、異なる波長域にある。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、光学フィルムは、パターニングされた蛍光体層が積層された第1の基板を更に含む。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、励起光源の波長は、二次的な光線のそれぞれの波長より短い。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、第1の基板は、透明基板である。本発明の他の実施形態によれば、第1の基板は、反射基板である。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、パターニングされた蛍光体層は、パターニングされた赤色蛍光体層、パターニングされた緑色蛍光体層およびパターニングされた黄色蛍光体層のうちの少なくとも2つを含む。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、パターニングされた蛍光体層は第1の基板の表面上の異なる領域を被覆し、パターニングされた蛍光体層は第1の基板の表面を完全に被覆する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、光学フィルムは、第2の基板を更に含む。第2の基板はパターニングされた蛍光体層を被覆し、パターニングされた蛍光体層は、第1の基板と第2の基板の間に配置される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、第1の基板が透明基板である場合、第2の基板は透明基板または反射基板でありうる。反対に、第1の基板が反射基板である場合には、第2の基板は透明基板である。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、パターニングされた蛍光体層は、マトリックス配列を有する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、パターニングされた蛍光体層は、デルタ配列を有する。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、パターニングされた蛍光体層は、ハニカム配列を有する。
【0027】
上述を踏まえると、本発明の光学フィルムは、アレイ状に配列された複数の積層蛍光体層またはパターニングされた複数の蛍光体層を有する。それぞれ励起光源によって励起される蛍光体層は、それぞれ1つの二次的な光線を発して、それらの蛍光体層によって発せられる二次的な光線は、異なる波長域にある。異なる波長域の二次的な光線は、混合され、特定の波長域の光線になりうる。さらに、複数の蛍光体層を有する光学フィルムを調整することは比較的容易なので、形成される光線は多様な波長を有する。
【0028】
本発明の、上述ならびに他の特徴、および、効果をより明確にするために、図を伴ういくつかの実施形態を以下に詳細に記載する。
【0029】
この明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の更なる理解を提供のために本願明細書に組み込まれる。ここで、図面は、本発明の実施形態を示し、以下の記載に伴って本発明の原理の説明に供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】光学フィルムを有する従来のLEDパッケージ構造の概略図である。
【図2A】本発明の一実施形態に従う、光学フィルムの一製造工程を示す概略図である。
【図2B】本発明の一実施形態に従う、光学フィルムの一製造工程を示す概略図である。
【図2C】本発明の一実施形態に従う、光学フィルムの一製造工程を示す概略図である。
【図2D】本発明の一実施形態に従う、光学フィルムの一製造工程を示す概略図である。
【図2E】本発明の一実施形態に従う、光学フィルムの一製造工程を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態に従う、蛍光体粉を使用する他のコーティング方法を示す概略図である。
【図4A】本発明の他の実施形態に従う、光学フィルムの製造方法を示す概略図である。
【図4B】本発明の他の実施形態に従う、光学フィルムの製造方法を示す概略図である。
【図4C】本発明の他の実施形態に従う、光学フィルムの製造方法を示す概略図である。
【図4D】本発明の他の実施形態に従う、光学フィルムの製造方法を示す概略図である。
【図5A】本発明の一実施形態に従う、2種類のパターニングされた蛍光体層上のパターンを示す上面図である。
【図5B】本発明の一実施形態に従う、2種類のパターニングされた蛍光体層上のパターンを示す上面図である。
【図6】本発明のさらに別の実施形態に従う、LEDパッケージ構造の概略図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態に従う、LEDパッケージ構造の概略図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態に従う、LEDパッケージ構造の概略図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態に従う、LEDパッケージ構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図2A〜2Eは、本発明の一実施形態に従う、光学フィルムの製造方法を示す概略図である。まず、図2Aを参照すると、第1の基板210が設けられる。本実施形態において、第1の基板210は、透明基板または反射基板でありうる。加えて、第1の基板210は、剛性基板または可撓性基板でありえる。
【0032】
次いで、図2Bを参照すると、蛍光体粉および揮発性溶剤をよく混合し、第1の基板210に混合物をコーティングする。本実施形態において、第1の基板210の蛍光体粉を用いたコーティング方法は、図2Bに示すように、印刷により、蛍光体粉および溶媒の混合物を第1の基板210上に均一に分散させることを含む。
【0033】
その後、図2Cに示すように、溶媒を蒸発させると、残留した蛍光体粉により蛍光体層200aが形成される。実際の要求に応じて、図Bおよび2Cに示す工程を反復して、複数の蛍光体層を、例えば、200a、200b、200cを形成する。蛍光体層200a、200b、200cの形成順序および蛍光体層200a、200b、200cの厚みは、本発明に限定されるものではなく、実際の要求に応じて変更可能な点に留意されたい。図2Dに示す本実施形態において、3つの蛍光体層200a、200bおよび200cのみを例示的説明のために示す。本実施形態において、蛍光体層200a、200bおよび200cの厚さは、好適には、0.5のμm〜1mmの範囲である。
【0034】
図2Eを参照すると、上述のステップが完了した後に、第2の基板220が一番上の蛍光体層200cに選択的に配置され、蛍光体層200a、200bおよび200cの全てが第1の基板210および第2の基板220の間に配置されうる。第2の基板220は、蛍光体層200a、200bおよび200cを損傷から保護するのに役立つ。本実施形態において、第2の基板220は、例えば、反射基板または透明基板である。また、第2の基板220は、剛性基板または可撓性基板でありえる。第1の基板210が透明基板であるときに、第2の基板220が反射基板または透明基板でありえる点に留意されたい。反対に、第1の基板210が反射基板であるときに、第2の基板220は透明基板でありえる。
【0035】
あるいは、本実施形態に従う前記ステップの完了後に、複数の蛍光体層200a、200bおよび200cを、第1の基板210から剥離または分離して、複数の蛍光体層200a、200bおよび200cを有する光学フィルム200を形成できる。さらに具体的には、第1の基板210および第2の基板220を有さずに、単純に蛍光体層200a、200bおよび200cから成る光学フィルム200は、厚み、重量および体積に関してより有利である。本発明の好ましい実施態様において、光学フィルム200は、物体(例えば基板、テープ、その他)から剥離または分離することができる。
【0036】
図3は、本発明の本実施形態に従う、蛍光体粉を用いた他のコーティング方法を示す概略図である。図3を参照すると、第1の基板210を、図2Bに示すような印刷法だけでなく、蛍光体粉の噴霧によっても、蛍光体粉で被覆できる。被覆が印刷または噴霧によって行われるか否かに関わらず、蛍光体層の厚さは、実際の要求に応じて変更可能である点に留意されたい。本実施形態において、蛍光体層の厚さは、0.5μmからおよび1mmからの範囲である。
【0037】
その後、図2Eに記載の、共に積層される複数の蛍光体層200a、200bおよび200cを含む、上述の製造プロセスを実行することによって、光学フィルムが形成される。各々の蛍光体層200a、200bおよび200cは励起光源によって励起され、それぞれ1つの第2光線を発し、その蛍光体層200a、200bおよび200cにより発せられる第2光線は、それぞれ異なる波長域にある。一般に、励起光源の波長は、各二次光線の波長より短い。本実施形態によれば、蛍光体層200aは赤色蛍光体層である、蛍光体層200bは緑色蛍光体層である、そして、例えば、蛍光体層200cは黄色蛍光体層である。各蛍光体層200a、200bおよび200cは、それぞれ異なる蛍光体粉を有する。本実施形態において、蛍光体層200a、200bおよび200cが励起しうる波長は、例えば、380nm〜700nmの範囲である。
【0038】
光学フィルム200の蛍光体層200a、200bおよび200cの厚みは、光学フィルム200の光学特性に影響を及ぼす。従って、光学フィルム200の光学特性は、蛍光体層200a、200bおよび200cの厚の制御により変更できる。
【0039】
本実施形態の光学フィルム200は光学フィルム200の構造強度を強化するための第1の基板210を含むこともでき、これにより、光学フィルム200を容易に使用できるようにする。最下部の蛍光体層200aは、第1の基板210の表面を完全に被覆する。第1の基板210に加えて、光学フィルム200は第2の基板220を更に含み、光学フィルム200を損傷から保護できる。第2の基板200で一番上の蛍光体層200cが被覆され、蛍光体層200a、200bおよび200cが第1の基板210および第2の基板220の間に配置される。第1の基板210および第2の基板220の材料と、これら基板上における前記材料の状態について述べたので、以下に更なる説明は行わない。
【0040】
図4A〜4Dは、本発明の他の実施形態に従う、光学フィルムの製造方法を説明する図である。図4Aを参照すると、本実施形態の光学フィルムの製造方法は、図2A〜2Dに示す方法と同様であるが、これらの主たる相違点は、第1基板210を蛍光体粉で被覆する前に、マスク層310を第1基板210上に配置し、第1基板210の表面212を部分的に露出させることにある。
【0041】
図4Bに示したように、第1の基板210の表面212の露出部は、蛍光体粉で被覆されて、パターニングされた蛍光体層300aを形成する。マスク層310により被覆される第1の基板210の表面212の他の部分は蛍光体粉を全く含まない。
【0042】
図4Cでは、マスク層310を、第1の基板210の表面212の部分を露出するように移動する。第1の基板210の表面212の、パターニングされた蛍光体層300aが形成される部分が、マスク層310によって被覆される点に留意されたい。
【0043】
次に、図4Bに示すステップは、第1の基板210を他の蛍光体粉で被覆することによって繰り返され、他のパターニングされた蛍光体層300bを形成する。本実施形態において、図4Bおよび4Cに示すステップは、制約無く連続的に反復可能であり、従って、図4Dに示すようにアレイ状に配列される複数のパターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cが形成されうる。図4Dにおいては、3つの異なるパターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cのみを例示的に示す。
【0044】
前述の実施形態に記載した光学フィルムの製造方法と同様に、本実施形態の光学フィルムの製造方法のステップは、パターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cを被覆するように選択的に基板220を形成して、第1の基板210および第2の基板220間に、パターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cを更に配置することができる。変形例として、他の実施形態によれば、パターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cを、第1基板210から剥離または分離でき、アレイ状に配置される複数のパターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cを含む光学フィルム300を形成できる。
【0045】
図4Dを参照すると、上述の製造方法の適用により形成される光学フィルム300は、アレイ状に配置される複数のパターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cを含む。パターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cのそれぞれは、励起光源により励起されて第2光線を発し、これらのパターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cから発せられる第2光線は、それぞれ異なる波長域にある。本実施形態によれば、励起光源の波長は、各第2光線の波長よりも短い。例えば、本実施形態のパターニングされた蛍光体層300aはパターニングされた赤色蛍光体層であり、本実施形態のパターニングされた蛍光体層300bはパターニングされた緑色蛍光体層であり、そして、本実施形態のパターニングされた蛍光体層300cはパターニングされた黄色蛍光体層である。蛍光体層の厚さ、蛍光体層によって被覆される領域および蛍光体層が被覆する位置は、本発明において制限されず、実際の必要に応じて変更可能である。しかし、パターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cの3つの層のみを、例示のために図4Aに示す。
【0046】
図4Dを参照すると、本実施形態の光学フィルム300は、パターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cが積層する第1の基板210を含みうる。本実施形態において、パターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cは、第1の基板210の表面212上の異なる領域を被覆する。
【0047】
図5Aおよび5Bは、本発明の一実施形態に従う、2種類のパターニングされた蛍光体層におけるパターンを示す上面図である。図5Aおよび5Bを参照すると、パターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cは、マスク層310上のパターンに従って形成されるので、パターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cは異なるパターンを有する。例えば、パターニングされた蛍光体層300a、300bおよび300cは、図5Aに示したようなマトリクス配列、図5Bのようなハニカム配列、または、デルタ配列を有しうる。
【0048】
上記実施形態において、2つの型の光学フィルムの構造および製造方法をそれぞれ述べた。以下の実施形態において、上述の光学フィルムをLEDパッケージ構造への応用については、図面を参照して詳述する。
【0049】
図6は、本発明のさらに別の実施形態によるLEDパッケージ構造の概略図である。図6を参照すると、本実施形態のLEDパッケージ構造400aは、基板410、LEDチップ420および光学フィルム430aを含む。基板410は空洞412および回路層414を有し、空洞412は回路層414の一部を露出する。LEDチップ420は、空洞412の一番下に配置され、回路層414に電気的に接続する。ここで、LEDチップ420および回路層414は、ワイヤ・ボンディング・プロセスまたはフリップチップ・プロセスを実行することにより電気的に接続される。
【0050】
本実施形態では、光学フィルム430aは、例えば、前記実施形態に記載されている光学フィルム200を指す。光学フィルム430aは、複数の積層された蛍光体層を含む。励起光源によって励起された積層蛍光体層は、異なる波長域の第2光線を発し、それらの異なる波長域の第2光線は混合され、特定の波長域の光線を形成できる。
【0051】
本実施形態の図6において、1台のLEDチップ420のみを例示のために示す。にもかかわらず、LEDチップ420の数およびLEDチップ420より発せられる光の波長は、実際の要求に応じて調整可能であり、本発明において制限されない。特に、LEDチップ420より発せられる光の波長と、異なる波長域の、励起光源により励起された異なる蛍光体層より発せられる光線とを考慮する。このように、LEDパッケージ構造400aより発せられる光を調節することはむしろ容易である。上記に加えて、光学フィルム430aの調整がむしろ容易なので、CCTおよびLEDパッケージ構造400によって発せられる照明のCRI性能もより良好に調整できる。
【0052】
図7は、本発明のさらに別の実施形態に従うLEDパッケージ構造の概略図である。図7に示すように、本実施形態のLEDパッケージ構造400bは、前述の実施形態のLEDパッケージ構造400aと類似している。これらの主たる相違点は、本実施形態の光学フィルム430bが第1の基板432aを更に含むことである。
【0053】
図8は、本発明のさらに別の実施形態によるLEDパッケージ構造の概略図である。図8に示すように、本実施形態のLEDパッケージ構造400cは、上述のLEDパッケージ構造400aと類似する。これらの主たる相違点は、本実施形態のLEDパッケージ構造400cの光学フィルム430cが、例えば、アレイ状に配列される複数のパターニングされた蛍光体層を有する光学フィルム300であることにある。
【0054】
本実施形態の図8において、1台のLEDチップ420のみを例示のために示す。しかし、好ましい実施形態において、光学フィルム430c上のパターンに対応してLEDチップ420を配置できるので、光線が混合し、かつ、本発明に限定されない異なる波長を有しうる複数の小領域を形成できる。
【0055】
図9は、本発明のさらに別の実施形態によるLEDパッケージ構造の概略図である。図9に示すように、LEDパッケージ構造400dは、本実施形態の前述の実施形態のLEDパッケージ構造400cと類似している。これらの主たる相違点は、本実施形態の光学フィルム430dが、第1の基板432aと第2の基板432bを更に含むことである。第1の基板432aおよび第2の基板432bは、製造中または使用者による使用中に光学フィルム430dを損傷から保護するために役立つ。
【0056】
図6〜9に示す実施形態において、LEDチップ420は、本発明の説明のための一例として示した。しかし、上記説明は、本発明に制限を課すものではない。すなわち、レンズを含むLEDパッケージ構造が空洞412に配置され、パッケージインパッケージ(PIP)構造を形成する。また、LEDチップ420は、他の適切な発光デバイスと置換可能である。
【0057】
前述を考慮すると、本発明の光学フィルムは、複数の蛍光体層を有し、その蛍光体層は励起光源により励起され、異なる波長域の二次光線を発する。異なる波長域の二次光線は、混合されて、特定の波長域の光線になりうる。光学フィルムはむしろ調整されやすいので、形成される光線は多様な波長を有しうる。さらに、本発明の若干の実施形態では、本発明に係る光学フィルムがLEDパッケージ構造に用いられた場合に、LEDパッケージ構造によって発せられる光線は異なるCCTと良好なCRIとを有しうる。
【0058】
当業者には、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、幾多の修正変更が本発明の構造になされうることは明らかである。前述の観点から、それらの修正変更が以下の請求項およびそれらの均等物の範囲内ならば、本発明の範疇に入ることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共に積層された複数の蛍光体層を備え、前記蛍光体層のそれぞれが励起光源により励起され、それぞれ二次光線を発し、かつ、前記蛍光体層によって発せられる二次光線は、異なる波長域にあることを特徴とする、
光学フィルム。
【請求項2】
前記複数の蛍光体層が積層された第1の基板を更に備える、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記励起光源の波長が前記それぞれの二次光線の波長より短い、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記第1の基板が透明基板である、請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記第1の基板が反射基板である、請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記蛍光体層が赤色蛍光体層、緑色蛍光体層および黄色蛍光体層のうちの少なくとも2つから成る請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記蛍光体層のうちの最下部に位置する蛍光体層が、前記第1の基板の表層を完全に被覆する、請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記蛍光体層のうちの最上部に位置する蛍光体層を被覆する第2の基板を更に含み、前記複数の蛍光体層が前記第1基板と前記第2基板の間に配置されるようにすることを特徴とする、請求項2に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記第1の基板が透明基板であり、前記第2の基板が透明基板または反射基板である、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記第1の基板が反射基板であり、前記第2の基板が透明基板である、請求項8に記載の光学フィルム。
【請求項11】
前記光学フィルムが、物体から剥離または分離可能な、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項12】
アレイ状に配列された、複数のパターニングされた蛍光体層を備え、前記パターニングされた蛍光体層のそれぞれは、励起光源により励起され、それぞれ二次光線を発し、かつ、前記パターニングされた蛍光体層によって発せられる前記二次光線が異なる波長域にあることを特徴とする、光学フィルム。
【請求項13】
前記パターニングされた蛍光体層が積層された第1の基板を更に備える、請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項14】
前記励起光源の波長が前記それぞれの二次光線の波長より短い、請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項15】
前記第1の基板が透明基板である、請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項16】
前記第1の基板が反射基板である、請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項17】
前記パターニングされた蛍光体層が、パターニングされた赤色蛍光体層、パターニングされた緑色蛍光体層およびパターニングされた黄色蛍光体層のうちの少なくとも2つを備える、請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項18】
前記パターニングされた蛍光体層が前記第1の基板の表面上の異なる領域を被覆し、かつ、前記パターニングされた蛍光体層が前記第1の基板の表面を完全に被覆する、請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項19】
前記パターニングされた蛍光体層を被覆する第2の基板を更に備えて、前記パターニングされた蛍光体層が前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置される、請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項20】
前記第1の基板が透明基板であり、前記第2の基板は透明基板または反射基板である、請求項19に記載の光学フィルム。
【請求項21】
前記第1の基板が反射基板であり、第2の基板が透明基板である、請求項19に記載の光学フィルム。
【請求項22】
前記パターニングされた蛍光体層がマトリックス配列を有する、請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項23】
前記パターニングされた蛍光体層がデルタ配列を有する、請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項24】
前記パターニングされた蛍光体層がハニカム配列を有する、請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項25】
前記光学フィルムが、物体から剥離または分離可能な、請求項12に記載の光学フィルム。




【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−104495(P2012−104495A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−278899(P2011−278899)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【分割の表示】特願2009−118466(P2009−118466)の分割
【原出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(310018205)隆達電子股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】