説明

光学プローブの取付構造

【課題】光学プローブのメンテナンス作業性の向上を図ることができる光学プローブの取付構造の提供。
【解決手段】タービンインペラ3に向けて投光したレーザー光の反射光を検知して該タービンインペラ3の振動を計測する光学プローブ50の取付構造であって、タービンハウジング1bとシュラウドリング10とを組み合わせたハウジングを通過してタービンインペラ3の端面3aに対向配置され、上記レーザー光を投光する投光部及び上記反射光を受光する受光部を備える光ファイバーケーブル51と、内部に光ファイバーケーブル51が挿通する挿通路53aを備えると共に、タービンハウジング1bとシュラウドリング10との間の継ぎ目Jに跨って設けられたプローブ導入管53とを有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転中のタービン翼の振動を非接触で計測する光学プローブの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、タービンの性能評価において、運転中のタービン翼の振動を計測することがなされている。下記特許文献1には、歪みゲージをタービン翼に貼付することなく光学的にタービン翼の振動を計測することで、高温の作動ガスに曝されるタービン翼の振動を、特性変化を生じさせることなく計測する振動計測装置が開示されている。
【0003】
この振動計測装置は、内部に配設された光ファイバーの先端にレンズ及び保護ガラスを備えた光学プローブをタービンのハウジングを貫通させて、その先端をタービン翼の端面に対向配置する。そして、投光用の光ファイバーからタービン翼に向けて投光したレーザー光の反射光を受光用の光ファイバーを介して検知してタービン翼の振動を計測する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2874310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記光学プローブにおいては、タービン内において高温の作動ガスに曝されて汚れが付着するため、光学プローブを取り外して汚れを除去したり、交換したりするメンテナンス作業を定期的に実施している。しかし、レンズや保護ガラス等の光学系を備える光学プローブは、取り外しが容易でなく、また、再び取り付ける際の衝撃等で光学系の位置関係がずれる虞がある。
【0006】
そこで、本発明者らは、光学系を廃止して光ファイバーケーブルのみを抜き差し可能とすることでメンテナンス作業性の向上を図る光学プローブの取付構造を考案した。しかしながら、光ファイバーケーブルはある程度の柔軟性を備えるため、タービンのハウジングが2つ以上の組合せでなる場合、該ハウジングを通過するときに継ぎ目に引っ掛かり易く、取り付けが難しいという課題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光学プローブのメンテナンス作業性の向上を図ることができる光学プローブの取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、タービン翼に向けて投光したレーザー光の反射光を検知して該タービン翼の振動を計測する光学プローブの取付構造であって、第1ハウジングと第2ハウジングとを組み合わせたタービンのハウジングを通過して上記タービン翼の端面に対向配置され、上記レーザー光を投光する投光部及び上記反射光を受光する受光部を備える光ファイバーケーブルと、内部に上記光ファイバーケーブルが挿通する挿通路を備えると共に、上記第1ハウジングと上記第2ハウジングとの間の継ぎ目に跨って設けられたプローブ導入管とを有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、光ファイバーケーブルを、第1ハウジング及び第2ハウジングの継ぎ目に跨って設けられたプローブ導入管内部の挿通路を通して抜き差しすることが可能となり、継ぎ目における引っ掛かりを防止できる。
【0009】
また、本発明においては、上記ハウジングには、一端部に上記プローブ導入管の先端が挿入されて上記挿通路と連通すると共に、他端部で上記タービン翼の端面が露出するプローブ管挿入孔が設けられ、上記プローブ管挿入孔の他端部の径は、上記プローブ管挿入孔の一端部の径よりも小さく、且つ、上記光ファイバーケーブルの径に対応した大きさを有しており、上記プローブ管挿入孔の一端部と他端部との間には、漸次縮径するテーパー部が設けられているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、プローブ導入管の先端から出た光ファイバーケーブルがプローブ管挿入孔に導入される。プローブ管挿入孔では、光ファイバーケーブルの先端が、テーパー部に沿って一端部から他端部へ滑らかに移動して該他端部に嵌り、光ファイバーケーブルの半径方向の位置決めがなされる。
【0010】
さらに、本発明においては、上記プローブ管挿入孔の他端部には、上記光ファイバーケーブルのシース端面が係止する段付き部が設けられているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、プローブ管挿入孔の段付き部において光ファイバーケーブルのシース端面が係止するため、光ファイバーケーブルの挿入方向の位置決めがなされる。
したがって、光ファイバーケーブルの取り付けと同時に、先端部の半径方向と挿入方向の位置決めがなされる。
【0011】
また、本発明においては、内部に上記挿通路と連通する第2挿通路を備えると共に、上記ハウジングに一端部が固定され、該一端部から上記ハウジングの外部に延びた他端部おいて上記光ファイバーケーブルを支持する支持部材を有し、上記支持部材の他端部には、上記第2挿入路と上記光ファイバーケーブルとの間に圧入して上記光ファイバーケーブルを支持する非金属弾性体の止め具が設けられているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、光ファイバーケーブルを支持する止め具を、金属製の止め具よりも取り外し易い非金属弾性体の止め具に変更する。しかし、非金属弾性体の止め具は、金属に比べて耐熱温度が低いため、本発明では、外部に延びる支持部材のストロークを利用して、外気と熱交換させることでハウジングからの熱影響を小さくし、非金属弾性体の止め具を保護する。
【0012】
さらに、本発明においては、上記ハウジングと上記止め具との間において、上記支持部材を冷却する冷却装置を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、ハウジングと止め具との間の箇所を冷却することで、ハウジングから支持部材を介して伝わる熱を途中で遮断して、非金属弾性体の止め具を保護する。
【0013】
また、本発明においては、上記光ファイバーケーブルは、上記タービン翼の半径方向の端面と対向するように取り付けられているという構成を採用する。
【0014】
また、本発明においては、上記光ファイバーケーブルは、上記タービン翼の軸方向の端面と対向するように取り付けられているという構成を採用する。
【0015】
また、本発明においては、上記タービン翼の軸方向の端面は、上記軸方向と垂直な面に対し傾いており、上記タービン翼の軸方向の端面には、上記投光部及び上記受光部に対して垂直な面を形成する切欠部が設けられているという構成を採用する。
上記タービン翼の軸方向の端面は、空力の関係で軸方向と垂直な面に対して傾いている場合がある。この場合、投光したレーザー光が垂直に反射されないため、タービン翼の軸方向の端面に切欠部を設けて、レーザー光を垂直に反射させる。
【0016】
また、本発明においては、上記タービン翼の軸方向の端面は、上記軸方向と垂直な面に対し傾いており、上記光ファイバーケーブルは、上記投光部及び上記受光部が上記タービン翼の軸方向の端面に対して垂直な方向に配置されるように傾いているという構成を採用する。
上記タービン翼の軸方向の端面は、空力の関係で軸方向と垂直な面に対して傾いている場合がある。この場合、投光したレーザー光が垂直に反射されないため、投光部及び受光部がタービン翼の軸方向の端面に対して垂直な方向に配置されるように傾けて、レーザー光を垂直に反射させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、タービン翼に向けて投光したレーザー光の反射光を検知して該タービン翼の振動を計測する光学プローブの取付構造であって、第1ハウジングと第2ハウジングとを組み合わせたタービンのハウジングを通過して上記タービン翼の端面に対向配置され、上記レーザー光を投光する投光部及び上記反射光を受光する受光部を備える光ファイバーケーブルと、内部に上記光ファイバーケーブルが挿通する挿通路を備えると共に、上記第1ハウジングと上記第2ハウジングとの間の継ぎ目に跨って設けられたプローブ導入管とを有するという構成を採用することによって、光ファイバーケーブルを、第1ハウジング及び第2ハウジングの継ぎ目に跨って設けられたプローブ導入管内部の挿通路を通して抜き差しすることが可能となり、継ぎ目における引っ掛かりを防止できる。
したがって、本発明は、光学プローブのメンテナンス作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態における光学プローブが設けられた可変容量型ターボチャージャを示す全体構成図である。
【図2】図1における矢視K図である。
【図3】図1における光学プローブが設けられる位置の拡大図である。
【図4】本発明の第2実施形態における光学プローブが設けられた可変容量型ターボチャージャを示す全体構成図である。
【図5】本発明の第2実施形態における光学プローブの要部拡大図である。
【図6】本発明の第2実施形態における光学プローブの要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態における光学プローブが設けられた可変容量型ターボチャージャを示す全体構成図である。図2は、図1における矢視K図である。図3は、図1における光学プローブが設けられる位置の拡大図である。
図に示すように本実施形態の光学プローブ50が設けられる供試体は、可変容量型ターボチャージャTである。
【0020】
可変容量型ターボチャージャTは、ベアリングハウジング1a、タービンハウジング1b及びコンプレッサハウジング1cからなるハウジング1を有している。
ベアリングハウジング1a内には、図1中水平方向に延びるタービン軸2が図示しないベアリングを介して回転自在に軸支されている。そして、このタービン軸2の一端側(図示の例では左端側)にはタービンインペラ(タービン翼)3が一体的に連結され、他端側(図示の例では右端側)にはコンプレッサインペラ4が一体的に連結されている。なお、タービンインペラ3はタービンハウジング1b内に配置され、コンプレッサインペラ4はコンプレッサハウジング1c内に配置されるように構成されている。
【0021】
タービンハウジング1bは、タービンインペラ3の径方向外側に設けられるタービンスクロール流路5を有すると共に、タービン軸2の軸心方向で、且つ、そのタービン軸2と反対側に開口する、作動ガスの排気口であるタービンハウジング出口6を有している。また、タービンハウジング1b内のタービンインペラ3の径方向外側には略環状を呈する、可変ノズルユニットNが設置されている。
【0022】
タービンスクロール流路5は、タービンインペラ3を囲んで略環状に形成されていると共に、このタービンスクロール流路5は、作動ガスを導入するためのガス流入口5Aと連通されている。また、タービンスクロール流路5及びタービンハウジング出口6間に形成される空間(流路)には、可変ノズルユニットNの後述するノズルベーン12が配置されるように構成されている。
【0023】
コンプレッサハウジング1cには、タービン軸2の軸心方向で、且つ、そのタービン軸2と反対側に開口する吸気口7が形成されている。また、ベアリングハウジング1aとコンプレッサハウジング1cとの間には、空気を圧縮して昇圧するディフューザ流路8がコンプレッサインペラ4の径方向外側で略環状に形成されている。このディフューザ流路8は、コンプレッサインペラ4の設置箇所を介して吸気口7と連通されている。
さらに、コンプレッサハウジング1cは、コンプレッサインペラ4の径方向外側で略環状に形成されるコンプレッサスクロール流路9が形成されていていると共に、このコンプレッサスクロール流路9は、ディフューザ流路8と連通されている。なお、コンプレッサスクロール流路9は、図示しない内燃機関の吸気口と連通されている。
【0024】
可変ノズルユニットNは、タービンスクロール流路5及びタービンハウジング出口6間に形成される空間(流路)に、シュラウドリング10及びノズルリング11間の周囲に所定の等間隔を保って設けられた複数のノズルベーン12が支軸13を介して回動自在に設けられている。そして、各ノズルベーン12の支軸13は、それぞれ同期用伝達リンク14に接続されていて、これら同期用伝達リンク14は、回動自在に設けられている駆動リング15に連結されている。
【0025】
上記駆動リング15は、駆動軸16の一端側に連結された駆動用伝達リンク17に連結されている。駆動軸16は、ベアリングハウジング1aに設けられた軸受18に貫通して軸支されている。そして、この駆動軸16の他端側には、ベアリングハウジング1aの外側に位置するアクチュエータAと駆動レバー19を介して連結されている。
【0026】
この可変容量型ターボチャージャTおいて、図示しない内燃機関の排気口から排出された作動ガスはタービンスクロール流路5に導入される。そして、その導入された作動ガスは、シュラウドリング10及びノズルリング11間を流通し、タービンインペラ3を回転駆動させ、タービンハウジング出口6から排出される。タービンインペラ3が回転駆動するとタービン軸2で連結されたコンプレッサインペラが回転駆動し、圧縮空気を生成する。
【0027】
他方、アクチュエータAの動作は、駆動レバー19を介して駆動軸16を回転させ、その駆動軸16の端部に設けられた駆動用伝達リンク17を介して駆動リング15を回転駆動させる。この駆動リング15が回転駆動することにより、各同期用伝達リンク14を介して各ノズルベーン12の角度を同期して傾動(可変)させ、シュラウドリング10及びノズルリング11間の開口面積(開度)が変化させられる。そして、この開口面積の変化により、タービンインペラ3に供給される作動ガスの流量が調節される。
【0028】
光学プローブ50は、作動ガスを受けて回転駆動するタービンインペラ3の半径方向の端面3aに向けて投光したレーザー光の反射光を検知してタービンインペラ3の振動を計測するものであり、レーザー光を導く光ファイバーケーブル51を備える。光ファイバーケーブル51は、レーザー光を投光する投光用の光ファイバー(投光部)と、反射光を受光する受光用の光ファイバー(受光部)とを備える。投光用の光ファイバー及び受光用の光ファイバーは、タービンインペラ3の端面3aに対向する先端部51aにおいて露出している。
【0029】
投光用の光ファイバーは不図示のレーザー発振機に接続されており、レーザー発振機から伝送されたレーザー光は、タービンインペラ3の端面3aに向けて投光される。そして、タービンインペラ3の端面3aで反射したレーザー光は、受光用の光ファイバーで受光され伝送される。受光用の光ファイバーで伝送された反射光は、光電変換器で電気信号に変換されて、不図示の翼振動解析装置(PC:Personal Computer)によって解析される。タービンインペラ3が振動していると、タービンインペラ3の端面3aの変形によって反射したパルス状のレーザー光の受光タイミングに微小なズレが生じるので、その変化量を計測することによって、タービンインペラ3の振動レベル計測が可能となる。また、振動レベルをFEM(Finite Element Method)を用いて数値解析することで、タービンインペラ3に作用する応力を計測することが可能となる。
【0030】
次に、図3を参照して、光学プローブ50の取付構造の構成について説明する。
光学プローブ50は、光ファイバーケーブル51をタービンハウジング1b及びシュラウドリング10を通過してタービンインペラ3まで導くプローブ導入管53と、プローブ導入管53及び光ファイバーケーブル51を支持するプローブ冷却用ブロック(支持部材)60とを備える。
【0031】
プローブ導入管53は、内部に光ファイバーケーブル51が挿通する挿通路53aを備える。プローブ導入管53は、タービンインペラ3のラジアル方向(半径方向)に直線的に延び、タービンスクロール流路5を横切るようにタービンハウジング1bを貫通して、さらに、シュラウドリング10に形成されたプローブ管挿入孔10aまで延在している。このプローブ導入管53は、タービンハウジング(第1ハウジング)1b及びシュラウドリング(第2ハウジング)10の継ぎ目Jに跨って設けられている。プローブ導入管53の挿入方向逆側にはフランジ53bが形成されており、プローブ冷却用ブロック60により挟持固定されている。
【0032】
シュラウドリング10には、一端部10Aにプローブ導入管53が挿入されて挿通路53aと連通すると共に、他端部10Bでタービンインペラ3の端面3aが露出するプローブ管挿入孔10aが設けられている。
プローブ管挿入孔10aの他端部10Bの径は、一端部10Aの径よりも小さく、且つ、光ファイバーケーブル51の径に対応した大きさを有しており、プローブ管挿入孔10aの一端部10Aと他端部10Bとの間には、漸次縮径するテーパー部10a1が設けられている。さらに、プローブ管挿入孔10aの他端部10Bには、光ファイバーケーブル51のシース端面51bが係止する段付き部10a2が設けられている。
【0033】
なお、プローブ管挿入孔10aの他端部10Bの径の大きさは、光ファイバーケーブル51の半径方向の位置決めをすべく、光ファイバーケーブル51の径(外径)に応じて設計される大きさであり、具体的には、光ファイバーケーブル51が挿入可能で、且つ、その径とほぼ同じか少し大きい程度の大きさである。
また、段付き部10a2は、上記径をさらに縮径して形成したものであり、具体的には、プローブ管挿入孔10aの他端部10Bのタービンインペラ3側出口を、光ファイバーケーブル51の径(外径)より小さく、且つ、投光用の光ファイバー及び受光用の光ファイバーが露出する先端部51aの径とほぼ同じか少し大きい程度の大きさとして構成されている。
【0034】
プローブ冷却用ブロック60は、一端部60Aにおいてタービンハウジング1bに螺着し、一端部60Aから外部にラジアル方向に沿って延びた他端部60Bにおいて光ファイバーケーブル51及びプローブ導入管53を支持する構成となっている。なお、他端部60Bには、配管継手61、スウェージロック62、止め具63が設けられている。
このプローブ冷却用ブロック60は、内部に光ファイバーケーブル51及びプローブ導入管53が挿通する挿通路(第2挿通路)60aを備える。そして、他端部60Bには、配管継手61を螺入することで、フランジ53bを挟持する挟持溝60bが設けられている。
【0035】
止め具63は、配管継手61とスウェージロック62との間に設けられる。すなわち、スウェージロック62を配管継手61に対して螺入すると、止め具63が配管継手61のテーパー部61aに沿って、光ファイバーケーブル51と挿通路60aとの間に圧入され、挿通路60aを閉じて光ファイバーケーブル51を支持する構成となっている。
この止め具63は、非金属弾性体の止め具(例えば、ゴムやプラスチック等)からなるため、スウェージロック62を螺入解除することで、金属製の止め具に比べ容易に取り外すことができる。さらに、非金属弾性体の止め具は、金属製の止め具に比べ塑性変形しにくくコスト安であるという利点を有する。
【0036】
プローブ冷却用ブロック60は、タービンハウジング1bの外部であって、止め具63が設けられる位置近傍の特定箇所Pを冷却するための冷却路65を備える。冷却装置70は、ノズルが螺着可能な流入口68を介して冷却路65に冷却ガスを圧送し、熱交換させて特定箇所Pを冷却する構成となっている。
【0037】
冷却路65は、プローブ冷却用ブロック60内部に、挿通路60aの四方を囲うように設けられている。この冷却路65は、互いに挿通路60aの延びる方向でずれた位置で挿通路60aの四方を囲う、第1冷却路65A及び第2冷却路65Bを備える2段構成となっている。ここで、第1冷却路65Aと第2冷却路65Bとは、互いに連通しており、第1冷却路65Aに冷却ガスを流通させれば、他方の第2冷却路65Bにも冷却ガスを流通させることができる構成となっている。
【0038】
続いて、光学プローブ50の取付構造の作用について説明する。
上述した本実施形態の光学プローブ50の取付構造によれば、光ファイバーケーブル51を、タービンハウジング1b及びシュラウドリング10の継ぎ目Jに跨って設けられたプローブ導入管53内部の挿通路53aを通して抜き差しすることが可能となり、継ぎ目Jにおける引っ掛かりを防止することができる。
【0039】
また、光ファイバーケーブル51を取り付ける際に、プローブ導入管53の先端から出た光ファイバーケーブル51は、プローブ管挿入孔10aに導入される。そして、光ファイバーケーブル51の先端部51aが、テーパー部10a1に沿って一端部10Aから他端部10Bへ滑らかに移動して該他端部10Bに嵌り、先端部51aの半径方向の位置決めがなされる。さらに、プローブ管挿入孔10aの段付き部10a2において光ファイバーケーブル51のシース端面51bが係止するため、先端部51aの挿入方向の位置決めがなされる。したがって、本実施形態の取付構造によれば、光ファイバーケーブル51の挿入と同時に、先端部51aの半径方向と挿入方向の位置決めをすることができる。
【0040】
また、本実施形態の取付構造は、止め具63を、金属製の止め具よりも柔軟性のある非金属弾性体の止め具に変更して、光ファイバーケーブル51の取り外し易くしている。しかし、非金属弾性体の止め具は、金属に比べて耐熱温度が低いため、プローブ冷却ブロック60の外部に延びるストロークを利用して、外気と熱交換させることでタービンハウジング1bからの熱影響を小さくし、非金属弾性体の止め具63を保護している。また、冷却装置70を設けて、タービンハウジング1bと止め具63との間の特定箇所Pを冷却することで、タービンハウジング1bからプローブ冷却ブロック60を介して伝わる熱を途中で遮断して、非金属弾性体の止め具63を保護している。
【0041】
このように、本実施形態によれば、光ファイバーケーブル51を容易に取り外し/取り付けることが可能となり、メンテナンス作業性の向上を図ることができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、図4〜図6を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上記実施形態と構成を同じくする部分の説明は割愛することとする。
図4は、本発明の第2実施形態における光学プローブが設けられた可変容量型ターボチャージャを示す全体構成図である。図5は、本発明の第2実施形態における光学プローブの要部拡大図である。図6は、本発明の第2実施形態における光学プローブの要部拡大図である。
【0043】
第2実施形態では、光ファイバーケーブル51が、タービンインペラ3の軸方向の端面3aと対向するように取り付けられている点で、上記実施形態と異なる。
第2実施形態では、図4に示すように、可変ノズルユニットNの構成部品がタービンインペラ3の半径方向に配置されているため、上記実施形態のように光学プローブ50を半径方向で取り付けることができない。このため、第2実施形態では、光学プローブ50をタービンハウジング出口6側から配置する構成となっている。
【0044】
タービンハウジング出口6には、プローブ取付用ピース20が連結されている。このプローブ取付用ピース20は、プローブ冷却用ブロック60が螺着する本体部21と、タービンハウジング出口6と嵌合する嵌合部22とを組み合わせてなる。
プローブ冷却用ブロック60は、タービンインペラ3の軸方向に対し斜めの姿勢でプローブ取付用ピース20に取り付けられる。このプローブ冷却用ブロック60に支持されたプローブ導入管53は、所定の角度で屈曲した後、プローブ取付用ピース20の内面に沿ってタービンインペラ3の端面3a近傍まで軸方向で直線的に延在している。プローブ導入管53は、図5に示すように、プローブ取付用ピース20の本体部(第1ハウジング)21と嵌合部(第2ハウジング)22との継ぎ目J1に跨って設けられており、光ファイバーケーブル51の引っ掛かりを防止する構成となっている。
【0045】
なお、タービンインペラ3の軸方向の端面3aは、図5に示すように、空力の関係で軸方向と垂直な面に対し傾いている。この場合、先端部51aから投光したレーザー光が垂直に反射されないため、タービンインペラ3の軸方向の端面3aに、先端部51aに対して垂直な面を形成する切欠部3bを設けて、レーザー光を垂直に反射させる構成となっている。
また、代替案として、図6に示すように、先端部51aがタービンインペラ3の軸方向の端面3aに対して垂直な方向に配置されるように傾けて、レーザー光を垂直に反射させる構成を採用しても良い。
【0046】
上記第2実施形態によれば、メンテナンス作業性の向上を図れ、さらに、光学プローブ50を構成部品が少ないタービンハウジング出口6側から配置することができる。
【0047】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…ハウジング、1b…タービンハウジング(第1ハウジング)、3…タービンインペラ(タービン翼)、3a…端面、10…シュラウドリング(第2ハウジング)、10a…プローブ管挿入孔、10A…一端部、10B…他端部、10a1…テーパー部、10a2…段付き部、21…本体部(第1ハウジング)、22…嵌合部(第2ハウジング)、50…光学プローブ、51…光ファイバーケーブル、53…プローブ導入管、53a…挿通路、60…プローブ冷却用ブロック(支持部材)、60A…一端部、60B…他端部、60a…挿通路(第2挿通路)、63…止め具、70…冷却装置、J…継ぎ目、J1…継ぎ目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン翼に向けて投光したレーザー光の反射光を検知して該タービン翼の振動を計測する光学プローブの取付構造であって、
第1ハウジングと第2ハウジングとを組み合わせたタービンのハウジングを通過して前記タービン翼の端面に対向配置され、前記レーザー光を投光する投光部及び前記反射光を受光する受光部を備える光ファイバーケーブルと、
内部に前記光ファイバーケーブルが挿通する挿通路を備えると共に、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間の継ぎ目に跨って設けられたプローブ導入管とを有することを特徴とする光学プローブの取付構造。
【請求項2】
前記ハウジングには、一端部に前記プローブ導入管の先端が挿入されて前記挿通路と連通すると共に、他端部で前記タービン翼の端面が露出するプローブ管挿入孔が設けられ、
前記プローブ管挿入孔の他端部の径は、前記プローブ管挿入孔の一端部の径よりも小さく、且つ、前記光ファイバーケーブルの径に対応した大きさを有しており、
前記プローブ管挿入孔の一端部と他端部との間には、漸次縮径するテーパー部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光学プローブの取付構造。
【請求項3】
前記プローブ管挿入孔の他端部には、前記光ファイバーケーブルのシース端面が係止する段付き部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光学プローブの取付構造。
【請求項4】
内部に前記挿通路と連通する第2挿通路を備えると共に、前記ハウジングに一端部が固定され、該一端部から前記ハウジングの外部に延びた他端部おいて前記光ファイバーケーブルを支持する支持部材を有し、
前記支持部材の他端部には、前記第2挿入路と前記光ファイバーケーブルとの間に圧入して前記光ファイバーケーブルを支持する非金属弾性体の止め具が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学プローブの取付構造。
【請求項5】
前記ハウジングと前記止め具との間において、前記支持部材を冷却する冷却装置を有することを特徴とする請求項4に記載の光学プローブの取付構造。
【請求項6】
前記光ファイバーケーブルは、前記タービン翼の半径方向の端面と対向するように取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学プローブの取付構造。
【請求項7】
前記光ファイバーケーブルは、前記タービン翼の軸方向の端面と対向するように取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学プローブの取付構造。
【請求項8】
前記タービン翼の軸方向の端面は、前記軸方向と垂直な面に対し傾いており、
前記タービン翼の軸方向の端面には、前記投光部及び前記受光部に対して垂直な面を形成する切欠部が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の光学プローブの取付構造。
【請求項9】
前記タービン翼の軸方向の端面は、前記軸方向と垂直な面に対し傾いており、
前記光ファイバーケーブルは、前記投光部及び前記受光部が前記タービン翼の軸方向の端面に対して垂直な方向に配置されるように傾いていることを特徴とする請求項7に記載の光学プローブの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−2244(P2011−2244A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143269(P2009−143269)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】