説明

光学プローブ

【課題】作動ガスへ与える熱的影響を低減できる光学プローブの提供。
【解決手段】タービンインペラ3に向けて投光したレーザー光の反射光を検知して該タービン翼の振動を計測する光学プローブであって、タービンハウジング1bを貫通してタービンインペラ3の端面3aに対向配置され、上記レーザー光を投光する投光部及び上記反射光を受光する受光部を備える光ファイバーケーブル51と、内部に光ファイバーケーブル51が挿通する挿通路60aを備えると共に、タービンハウジング1bに一端部60Aが固定され、該一端部60Aからタービンハウジング1bの外部に延びた他端部60Bおいて挿通路60aを閉じて光ファイバーケーブル51を支持するプローブ冷却用ブロック60と、タービンハウジング1bの外部のプローブ冷却用ブロック60の特定箇所Pのみを冷却する冷却装置70とを有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転中のタービン翼の振動を非接触で計測する光学プローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、タービンの性能評価において、運転中のタービン翼の振動を計測することがなされている。下記特許文献1には、歪みゲージをタービン翼に貼付することなく光学的にタービン翼の振動を計測することで、高温の作動ガスに曝されるタービン翼の振動を、特性変化を生じさせることなく計測する振動計測装置が開示されている。
【0003】
この振動計測装置は、内部に配設された光ファイバーの先端にレンズ及び保護ガラスを備えた光学プローブをタービンのハウジングを貫通させて、その先端をタービン翼の端面に対向配置する。そして、投光用の光ファイバーからタービン翼に向けて投光したレーザー光の反射光を受光用の光ファイバーを介して検知してタービン翼の振動を計測する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2874310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記光学プローブにおいては、タービン内において高温の作動ガスに曝されるため、内部に冷却水通路を形成してプローブ全体を冷却している。さらに、圧縮機から取り入れた圧縮空気を先端に流して冷却すると共に、冷却に用いた圧縮空気をタービン内部に流入させている。
しかしながら、タービン内部において光学プローブを冷却すると、作動ガスへ与える熱的影響が大きくなり、タービンの性能評価において予め設定した条件と実測した条件との間に差異が生じて、タービン翼の振動の計測に影響を与えてしまい、計測精度が良くないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、作動ガスへ与える熱的影響を低減して計測精度を向上させる光学プローブの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、タービン翼に向けて投光したレーザー光の反射光を検知して該タービン翼の振動を計測する光学プローブであって、タービンのハウジングを貫通して上記タービン翼の端面に対向配置され、上記レーザー光を投光する投光部及び上記反射光を受光する受光部を備える光ファイバーと、内部に上記光ファイバーが挿通する挿通路を備えると共に、上記ハウジングに一端部が固定され、該一端部から上記ハウジングの外部に延びた他端部おいて上記挿通路を閉じて上記光ファイバーを支持する支持部材と、上記ハウジングの外部の上記支持部材の特定箇所のみを冷却する冷却装置とを有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、光ファイバーを支持する支持部材をハウジングから外部に延在させ、この外部にある支持部材の特定箇所のみを冷却する。これにより、ハウジング内部を流通する作動ガスへの熱的影響を低減することが可能となる。
なお、本発明では、ハウジング内部において冷却を行わないため、光ファイバーのメンテナンスを定期的に実施しなければならない。この更なる課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
【0008】
本発明では、上記支持部材は、上記他端部において上記挿入路と光ファイバーとの間に圧入して上記光ファイバーを支持する非金属弾性体の止め具を備え、上記冷却装置は、上記特定箇所として、上記ハウジングと上記止め具との間の箇所を冷却するという構成を採用する。
ところで、光ファイバーを支持する止め具として、冷却を要しない金属製の止め具を使用する方法も考えられる。しかし、金属製の止め具を使用すると、止め具およびプローブが塑性変形してしまうため、プローブのメンテナンスや、他へ使い回しの際、使用困難となり、経済的効率が良くないという問題が生じる。
このため、本発明では、挿通路を閉じて光ファイバーを支持する止め具を、金属製の止め具よりも取り外し易い非金属弾性体の止め具に変更する。しかし、非金属弾性体の止め具は、金属に比べて耐熱温度が低いため、本発明では、ハウジングと止め具との間の箇所を冷却することで、ハウジングから支持部材を介して伝わる熱を途中で遮断して、非金属弾性体の止め具を保護する。
【0009】
また、本発明においては、上記冷却装置は、上記特定箇所として、上記止め具寄りの箇所を冷却するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、外部に延びる支持部材のストロークを利用して、外気と熱交換させることで、ハウジングからの熱影響を小さくでき、また逆に作動ガスへの冷却の影響も小さくできる。さらに、止め具の近傍の特定箇所のみを冷却することで、冷却を効率的に行うことができる。
【0010】
また、本発明においては、上記冷却装置は、上記支持部材の内部に設けられた冷却路に冷却用流体を流通させて上記冷却を施し、上記冷却路は、上記挿通路の四方を囲う第1冷却路と、上記第1冷却路と上記挿通路が延びる方向で異なる位置で上記挿通路の四方を囲う第2冷却路とを有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、挿通路の四方を囲う2段となった冷却路に冷却用流体を流通させることで冷却を施す。
【0011】
また、本発明においては、上記第1冷却路と上記第2冷却路とは、互いに連通しているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第1冷却路及び第2冷却路のいずれか一方に、冷却用流体を流通させれば、他方にも冷却用流体を流通させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、タービン翼に向けて投光したレーザー光の反射光を検知して該タービン翼の振動を計測する光学プローブであって、タービンのハウジングを貫通して上記タービン翼の端面に対向配置され、上記レーザー光を投光する投光部及び上記反射光を受光する受光部を備える光ファイバーと、内部に上記光ファイバーが挿通する挿通路を備えると共に、上記ハウジングに一端部が固定され、該一端部から上記ハウジングの外部に延びた他端部おいて上記挿通路を閉じて上記光ファイバーを支持する支持部材と、上記ハウジングの外部の上記支持部材の特定箇所のみを冷却する冷却装置とを有するという構成を採用し、光ファイバーを支持する支持部材をハウジングから外部に延在させ、この外部にある支持部材の特定箇所のみを冷却する。これにより、ハウジング内部を流通する作動ガスへの熱的影響を低減できるので、計測精度が向上する。
また、非金属製弾性体の止め具を使用することにより、止め具自体やプローブの変形を防ぐことができるので、プローブの交換やプローブの使いまわしが容易となり、経済的効率が向上する。
したがって、本発明は、高温の作動ガスに曝されるタービン翼の振動を従来方法よりも精度良く、且つ、経済的効率の良い方法で計測できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態における光学プローブが設けられた可変容量型ターボチャージャを示す全体構成図である。
【図2】図1における矢視K図である。
【図3】図1における光学プローブが設けられる位置の拡大図である。
【図4】プローブ冷却用ブロックを示す構成図である。
【図5】図4における線視X−X断面図である。
【図6】図4における線視Y−Y断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態における光学プローブが設けられた可変容量型ターボチャージャを示す全体構成図である。図2は、図1における矢視K図である。図3は、図1における光学プローブが設けられる位置の拡大図である。図4は、本発明の実施形態におけるプローブ冷却用ブロックを示す構成図である。図5は、図4における線視X−X断面図である。図6、図4における線視Y−Y断面図である。
図に示すように本実施形態の光学プローブ50が設けられる供試体は、可変容量型ターボチャージャTである。
【0015】
可変容量型ターボチャージャTは、ベアリングハウジング1a、タービンハウジング1b及びコンプレッサハウジング1cからなるハウジング1を有している。
ベアリングハウジング1a内には、図1中水平方向に延びるタービン軸2が図示しないベアリングを介して回転自在に軸支されている。そして、このタービン軸2の一端側(図示の例では左端側)にはタービンインペラ(タービン翼)3が一体的に連結され、他端側(図示の例では右端側)にはコンプレッサインペラ4が一体的に連結されている。なお、タービンインペラ3はタービンハウジング1b内に配置され、コンプレッサインペラ4はコンプレッサハウジング1c内に配置されるように構成されている。
【0016】
タービンハウジング1bは、タービンインペラ3の径方向外側に設けられるタービンスクロール流路5を有すると共に、タービン軸2の軸心方向で、且つ、そのタービン軸2と反対側に開口する、作動ガスの排気口であるタービンハウジング出口6を有している。また、タービンハウジング1b内のタービンインペラ3の径方向外側には略環状を呈する、可変ノズルユニットNが設置されている。
【0017】
タービンスクロール流路5は、タービンインペラ3を囲んで略環状に形成されていると共に、このタービンスクロール流路5は、作動ガスを導入するためのガス流入口5Aと連通されている。また、タービンスクロール流路5及びタービンハウジング出口6間に形成される空間(流路)には、可変ノズルユニットNの後述するノズルベーン12が配置されるように構成されている。
【0018】
コンプレッサハウジング1cには、タービン軸2の軸心方向で、且つ、そのタービン軸2と反対側に開口する吸気口7が形成されている。また、ベアリングハウジング1aとコンプレッサハウジング1cとの間には、空気を圧縮して昇圧するディフューザ流路8がコンプレッサインペラ4の径方向外側で略環状に形成されている。このディフューザ流路8は、コンプレッサインペラ4の設置箇所を介して吸気口7と連通されている。
さらに、コンプレッサハウジング1cは、コンプレッサインペラ4の径方向外側で略環状に形成されるコンプレッサスクロール流路9が形成されていていると共に、このコンプレッサスクロール流路9は、ディフューザ流路8と連通されている。なお、コンプレッサスクロール流路9は、図示しない内燃機関の吸気口と連通されている。
【0019】
可変ノズルユニットNは、タービンスクロール流路5及びタービンハウジング出口6間に形成される空間(流路)に、シュラウドリング10及びノズルリング11間の周囲に所定の等間隔を保って設けられた複数のノズルベーン12が支軸13を介して回動自在に設けられている。そして、各ノズルベーン12の支軸13は、それぞれ同期用伝達リンク14に接続されていて、これら同期用伝達リンク14は、回動自在に設けられている駆動リング15に連結されている。
【0020】
上記駆動リング15は、駆動軸16の一端側に連結された駆動用伝達リンク17に連結されている。駆動軸16は、ベアリングハウジング1aに設けられた軸受18に貫通して軸支されている。そして、この駆動軸16の他端側には、ベアリングハウジング1aの外側に位置するアクチュエータAと駆動レバー19を介して連結されている。
【0021】
この可変容量型ターボチャージャTおいて、図示しない内燃機関の排気口から排出された作動ガスはタービンスクロール流路5に導入される。そして、その導入された作動ガスは、シュラウドリング10及びノズルリング11間を流通し、タービンインペラ3を回転駆動させ、タービンハウジング出口6から排出される。タービンインペラ3が回転駆動するとタービン軸2で連結されたコンプレッサインペラが回転駆動し、圧縮空気を生成する。
【0022】
他方、アクチュエータAの動作は、駆動レバー19を介して駆動軸16を回転させ、その駆動軸16の端部に設けられた駆動用伝達リンク17を介して駆動リング15を回転駆動させる。この駆動リング15が回転駆動することにより、各同期用伝達リンク14を介して各ノズルベーン12の角度を同期して傾動(可変)させ、シュラウドリング10及びノズルリング11間の開口面積(開度)が変化させられる。そして、この開口面積の変化により、タービンインペラ3に供給される作動ガスの流量が調節される。
【0023】
光学プローブ50は、作動ガスを受けて回転駆動するタービンインペラ3に向けて投光したレーザー光の反射光を検知してタービンインペラ3の振動を計測するものであり、レーザー光を導く光ファイバーケーブル51を備える。光ファイバーケーブル51は、レーザー光を投光する投光用の光ファイバー(投光部)と、反射光を受光する受光用の光ファイバー(受光部)とを備える。投光用の光ファイバー及び受光用の光ファイバーは、タービンインペラ3の端面3aに対向する先端部51aにおいて露出している。
【0024】
投光用の光ファイバーは不図示のレーザー発振機に接続されており、レーザー発振機から伝送されたレーザー光は、タービンインペラ3の端面3aに向けて投光される。そして、タービンインペラ3の端面3aで反射したレーザー光は、受光用の光ファイバーで受光され伝送される。受光用の光ファイバーで伝送された反射光は、光電変換器で電気信号に変換されて、不図示の翼振動解析装置(PC:Personal Computer)によって解析される。タービンインペラ3が振動していると、タービンインペラ3の端面3aの変形によって反射したパルス状のレーザー光の受光タイミングに微小なズレが生じるので、その変化量を計測することによって、タービンインペラ3の振動レベル計測が可能となる。また、振動レベルをFEM(Finite Element Method)を用いて数値解析することで、タービンインペラ3に作用する応力を計測することが可能となる。
【0025】
光学プローブ50は、光ファイバーケーブル51をタービンハウジング1bに取り付けるプローブ取付機構52を備える。
プローブ取付機構52は、図3に示すように、光ファイバーケーブル51を、タービンハウジング1bを貫通してタービンインペラ3まで導くプローブ導入管53と、プローブ導入管53及び光ファイバーケーブル51を支持するプローブ冷却用ブロック(支持部材)60とを備える。
【0026】
プローブ導入管53は、内部に光ファイバーケーブル51が挿通する挿通路53aを備える。このプローブ導入管53は、タービンインペラ3のラジアル方向(半径方向)に直線的に延び、タービンスクロール流路5を横切るようにタービンハウジング1bを貫通して、さらに、シュラウドリング10に形成されたプローブ挿入孔10aまで延在している。なお、プローブ挿入孔10aの端部には、光ファイバーケーブル51の先端部51aを位置決めするテーパー部10a1及び段付き穴10a2が形成されている。このプローブ導入管53の挿入方向逆側にはフランジ53bが形成されており、プローブ冷却用ブロック60により挟持固定されている。
【0027】
プローブ冷却用ブロック60は、一端部60Aにおいてタービンハウジング1bに螺着し、一端部60Aから外部にラジアル方向に沿って延びた他端部60Bにおいて光ファイバーケーブル51及びプローブ導入管53を支持する構成となっている。なお、他端部60Bには、配管継手61、スウェージロック62、止め具63が設けられている。
このプローブ冷却用ブロック60は、内部に光ファイバーケーブル51及びプローブ導入管53が挿通する挿通路60aを備える。そして、他端部60Bには、配管継手61を螺入することで、フランジ53bを挟持する挟持溝60bが設けられている。
【0028】
止め具63は、配管継手61とスウェージロック62との間に設けられる。すなわち、スウェージロック62を配管継手61に対して螺入すると、止め具63が配管継手61のテーパー部61aに沿って、光ファイバーケーブル51と挿通路60aとの間に圧入され、挿通路60aを閉じて光ファイバーケーブル51を支持する構成となっている。
この止め具63は、非金属弾性体の止め具(例えば、ゴムやプラスチック等)からなるため、スウェージロック62を螺入解除することで、金属製の止め具に比べ容易に取り外すことができる。さらに、非金属弾性体の止め具は、金属製の止め具に比べ塑性変形しにくいという利点を有する。
【0029】
プローブ冷却用ブロック60は、タービンハウジング1bの外部であって、止め具63が設けられる位置近傍の特定箇所Pを冷却するための冷却路65を備える。そして、光学プローブ50が備える冷却装置70は、冷却路65に冷却ガス(冷却用流体)を圧送し、流通させて特定箇所Pを冷却する構成となっている。
【0030】
続いて、図4〜図6を参照して、プローブ冷却用ブロック60の冷却構造について詳しく説明する。冷却路65は、プローブ冷却用ブロック60内部に、挿通路60aの四方を囲うように設けられている。この冷却路65は、互いに挿通路60aの延びる方向でずれた位置で挿通路60aの四方を囲う、第1冷却路65A及び第2冷却路65Bを備える2段構成となっている。
【0031】
この冷却路65は、プローブ冷却用ブロック60の側面S1に対し垂直に四角形のコーナーに対応する位置にドリル等を用いた機械加工を施して形成した4つの孔(66a〜66d)と、側面S1に直角な側面S2に対し垂直に四角形のコーナーに対応する位置にドリル等を用いた機械加工を施して形成した4つの孔(67a〜67d)とで構成される。なお、孔66a〜66dの開口部は、ろう付けあるいは溶接で閉塞されている。同じく、孔67a及び孔67dの開口部は、ろう付けあるいは溶接で閉塞されている。すなわち、この冷却路65では、冷却ガスが孔67b及び孔67cからプローブ冷却用ブロック60の外部に流出する構成となっている。
【0032】
側面S2に対向する側面S3には、冷却ガスを流入させるノズルが螺着可能な流入口68が設けられている。流入口68は、孔67dで形成した第1冷却路65Aに対応する位置に連通するように形成される。また、流入口68に対応する位置と、孔66aと孔67aとが交差する位置には、天面S4に対し垂直にドリル等を用いた機械加工を施して形成した孔69a、孔(連通路)69bが設けられている。孔69a及び孔69bは、第1冷却路65Aと第2冷却路65Bとを連通させる構成となっている。なお、孔69a及び孔69bの開口部は、ろう付けあるいは溶接で閉塞されている。
【0033】
上記冷却構造では、冷却装置70が、流入口68に螺着したノズルを介して挿通路60aの四方を囲う2段となった冷却路65に冷却ガスを流通させることでプローブ冷却用ブロック60の特定箇所Pの冷却を施すことが可能となる。ここで、第1冷却路65Aと第2冷却路65Bとは、互いに連通しているため、第1冷却路65Aに冷却ガスを流通させれば、他方の第2冷却路65Bにも冷却ガスを流通させることができる。
【0034】
このように本実施形態では、光ファイバーケーブル51を支持するプローブ冷却用ブロック60をタービンハウジング1bから外部に延在させ、この外部にあるプローブ冷却用ブロック60の特定箇所Pのみを冷却する。このため、タービンハウジング1b内部を流通する作動ガスへの熱的影響を低減することが可能となる。
したがって、本実施形態によれば、タービンの性能評価において予め設定した条件と実測した条件との間に差異が生じることなく、高温の作動ガスに曝されるタービンインペラ3の振動を正確に計測することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、タービンハウジング1b内部において冷却を行わないため、光ファイバーケーブル51の先端部51aのメンテナンスを定期的に実施する。
ここで、挿通路60aを閉じて光ファイバーケーブル51を支持する止め具63を、金属製の止め具よりも取り外し易い非金属弾性体の止め具に変更している。しかし、非金属弾性体の止め具63は、金属に比べて耐熱温度が低いため、本実施形態では、タービンハウジング1bと止め具63との間の特定箇所Pを冷却することで、タービンハウジング1bからプローブ冷却用ブロック60を介して伝わる熱を途中で遮断して、非金属弾性体の止め具63を保護する。また、止め具63寄りの特定箇所Pのみを冷却することで、冷却を効率的に行うことができる。さらに、外部に延びるプローブ冷却用ブロック60のストロークを利用して、外気と熱交換させることで、タービンハウジング1bからの熱影響を小さくできる。
したがって、本実施形態によれば、非金属弾性体の止め具63を取り外して光ファイバーケーブル51を抜き差しすることができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0036】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0037】
1b…タービンハウジング(ハウジング)、3…タービンインペラ(タービン翼)、3a…端面、50…光学プローブ、51…光ファイバーケーブル、60…プローブ冷却用ブロック(支持部材)、60A…一端部、60B…他端部、60a…挿通路、63…止め具、65…冷却路、65A…第1冷却路、65B…第2冷却路、70…冷却装置、P…特定箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン翼に向けて投光したレーザー光の反射光を検知して該タービン翼の振動を計測する光学プローブであって、
タービンのハウジングを貫通して前記タービン翼の端面に対向配置され、前記レーザー光を投光する投光部及び前記反射光を受光する受光部を備える光ファイバーと、
内部に前記光ファイバーが挿通する挿通路を備えると共に、前記ハウジングに一端部が固定され、該一端部から前記ハウジングの外部に延びた他端部おいて前記挿通路を閉じて前記光ファイバーを支持する支持部材と、
前記ハウジングの外部の前記支持部材の特定箇所のみを冷却する冷却装置とを有することを特徴とする光学プローブ。
【請求項2】
前記支持部材は、前記他端部において前記挿入路と光ファイバーとの間に圧入して前記光ファイバーを支持する非金属弾性体の止め具を備え、
前記冷却装置は、前記特定箇所として、前記ハウジングと前記止め具との間の箇所を冷却することを特徴とする請求項1に記載の光学プローブ。
【請求項3】
前記冷却装置は、前記特定箇所として、前記止め具寄りの箇所を冷却することを特徴とする請求項2に記載の光学プローブ。
【請求項4】
前記冷却装置は、前記支持部材の内部に設けられた冷却路に冷却用流体を流通させて前記冷却を施し、
前記冷却路は、前記挿通路の四方を囲う第1冷却路と、前記第1冷却路と前記挿通路が延びる方向で異なる位置で前記挿通路の四方を囲う第2冷却路とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学プローブ。
【請求項5】
前記第1冷却路と前記第2冷却路とは、互いに連通していることを特徴とする請求項4に記載の光学プローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−7678(P2011−7678A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152453(P2009−152453)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】