説明

光学ユニット及びそれを用いた照明装置

【課題】 光源から射出される光を効率よく利用することのできる光学ユニットを提供すること。
【解決手段】 光学ユニットが、仮想面を挟んで2つの反射面が対向して配置されている光学ユニットであって、一方の側の反射面は、半球状の第1反射面と、放物面であってその頂点近傍に第1開口部を有する第2反射面を備え、他方の側の反射面は、放物面であってその頂点近傍に第2開口部を有する第3反射面を備え、第1反射面の周辺部が第1開口部と接するように設けられ、第2反射面の放物面頂点が第3反射面の放物面焦点位置と一致し、第3反射面の放物面頂点が第2反射面の放物面焦点位置と一致するように第2反射面と第3反射面が配置され、第1反射面の曲率中心が第2反射面の放物面頂点と一致するように第1反射面と第2反射面が配置され、仮想面よりも第1反射面側に設けられた第1屈折面と、仮想面よりも第3反射面側に設けられた第2屈折面を有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の位置に集光点を形成する光学ユニット及びそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の位置に集光点を形成する光学ユニットとしては、特許文献1に記載されているように、2つの反射面を対向配置した構成が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−250288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている構成では、光源1から直接孔部21に向かう光線は、第2焦点22に集光しない。よって、引用文献1に記載の照明装置では、光源1から射出される光が効率よく集光されているとはいえない。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発光点から射出される光を効率よく集光することのできる光学ユニット及びそれを用いた照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の光学ユニットは、仮想面を挟んで2つの反射面が対向して配置されている光学ユニットであって、前記仮想面の一方の側の反射面は、半球状の第1反射面と、放物面であって該放物面の頂点近傍に第1開口部を有する第2反射面を備え、前記仮想面の他方の側の反射面は、放物面であって該放物面の頂点近傍に第2開口部を有する第3反射面を備え、前記第1反射面は、その周辺部が前記第1開口部と接するように設けられ、前記第2反射面の前記放物面の頂点が前記第3反射面の放物面の焦点位置と一致すると共に、前記第3反射面の前記放物面の頂点が前記第2反射面の放物面の焦点位置と一致するように、前記第2反射面と前記第3反射面が配置され、前記第1反射面の曲率中心が、前記第2反射面の前記放物面の頂点と一致するように、前記第1反射面と前記第2反射面が配置され、前記仮想面よりも前記第1反射面側に設けられた第1屈折面と、前記仮想面よりも前記第3反射面側に設けられた第2屈折面を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の光学ユニットは、前記第1屈折面は、前記第1反射面及び前記第2反射面とは別体に構成された第1光学部材の光学面であり、前記第2屈折面は、前記第3反射面とは別体に構成された第2光学部材の光学面であることが好ましい。
【0008】
また、本発明の光学ユニットは、前記第1屈折面は、前記第1反射面及び前記第2反射面と一体に構成された第1光学部材の光学面であり、前記第2屈折面は、前記第3反射面と一体に構成された第2光学部材の光学面であることが好ましい。
【0009】
また、本発明の光学ユニットは、前記第1光学部材は、その焦点位置が前記第2反射面の前記放物面の頂点と一致する位置に設けられ、前記第2光学部材は、その焦点位置が前記第3反射面の前記放物面の頂点と一致する位置に設けられることが好ましい。
【0010】
また、本発明の光学ユニットは、前記第1屈折面は、該屈折面による焦点位置が前記第2反射面の前記放物面の頂点と一致する位置に設けられ、前記第2屈折面は、該屈折面による焦点位置が前記第3反射面の前記放物面の頂点と一致する位置に設けられることが好ましい。
【0011】
また、本発明の光学ユニットは、前記第2反射面と前記第3反射面の形状が同じであることが好ましい。
【0012】
また、本発明の光学ユニットは、前記第2反射面と前記第3反射面の形状が異なることが好ましい。
【0013】
また、本発明の光学ユニットは、前記第2反射面の曲率が、前記第3反射面の曲率よりも小さくなるように構成しても良い。
【0014】
また、上記の目的を達成するために、本発明の照明装置は、上記のいずれかの光学ユニットと光源を備え、前記光源が前記第1反射面の曲率中心に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光学ユニット及びそれを用いた照明装置によれば、発光源から射出される光を効率よく集光することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図示した実施例に基づき、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、ミラーを用いて構成された本実施例の光学ユニットを示す模式図である。図2は、図1に示す光学ユニットの第1反射面近傍の拡大図である。また、図3は、第1開口部の直径(第1反射面の曲率半径)を大きくした場合を示す模式図である。
【0018】
まず、図1及び図2を用いて、本実施例の光学ユニット11の構成を説明する。本実施例の光学ユニット11は、3つのミラーにより構成されている。
【0019】
図1においてPは仮想面である。本実施例では、この仮想面Pを挟んで2つの反射面が対向して配置されている。一方の側に配置されている反射面は、第1反射面11aと第2反射面11bである。また、他方の側に配置されている反射面は、第3反射面11cである。
【0020】
ここで、第1反射面11aの面は半球状、あるいは略半球状になっている。この第1反射面11aは、その面の曲率中心が第2反射面11bの放物面の頂点と一致するように配置されている。また、第1反射面11aは、その周辺部が第2反射面11bの第1開口部O1bの端部と接している。
【0021】
第2反射面11bは放物面である。この第2反射面11bは、放物面の頂点近傍に第1開口部O1bを有する。そして、第2反射面11bは、その放物面の頂点が第3反射面11cの放物面の焦点位置と一致するように配置されている。また、上述のように、第1開口部O1bの端部は、第1反射面11aの周辺部と接している。
【0022】
第3反射面11cは放物面である。この第3反射面11cは、放物面の頂点近傍に第2開口部O1cを有する。そして、第3反射面11cは、その放物面の頂点が第2反射面11bの放物面の焦点位置と一致するように配置されている。
【0023】
なお、点2を放物面(第2反射面11b)の頂点とし、点3を放物面(第3反射面11c)の焦点位置とすると、点2と点3を通る直線、すなわち軸4が設定できる。すると、第2反射面11bは、軸4を回転軸として放物線を回転させることにより得られる放物面である。また、第3反射面11cも、第2反射面11bと同様に、軸4を回転軸として放物線を回転させることにより得られる放物面である。
【0024】
また、第1反射面11aはその反射面を点2に向けており、第2反射面11bはその反射面を点3に向けており、第3反射面11cはその反射面を点2に向けている。また、本実施例では、第2反射面11bと第3反射面11cは、同一の曲率を有している。
【0025】
次に、図1及び図2を用いて、光線が辿る経路を説明する。本実施例では、点2の位置に発光体が配置されている。以下の説明では、点2を発光点2と称する(他の実施例を含む)。発光点2からは、あらゆる方向へ光が射出される。光線Laは、第3反射面11c方向へ射出された光のうちの一つを示すものである。また、光線Lbは、第1反射面11a方向へ射出された光のうちの一つを示すものである。
【0026】
光線Laは、発光点2から射出された後、まず、第3反射面11cに向かって進む。そして、第3反射面11cによって反射される。このとき、発光点2の位置は、第3反射面11c(放物面)の焦点位置と一致している。そのため、第3反射面11cで反射された光線Laは、軸4と平行な光線になる。そして、光線Laは第2反射面11bへ向かう。
【0027】
次に、光線Laは第2反射面11bで反射される。このとき、点3の位置は、第2反射面11b(放物面)の焦点位置と一致している。そのため、光線Laは点3に向かって反射される。そして、光線Laは最終的に点3に到達する。光線La以外の光も第2反射面11bで反射され、第3反射面11cに向かう。そして、これらの光も光線Laと同様に点3に到達する。このように、点3には複数の光線が集光するので、点3は集光点ということができる。以下の説明では、点3を集光点3と称する(他の実施例を含む)。集光点3に集光した光は、第2開口部O1cから光学ユニット11の外部へ射出する。
【0028】
一方、光線Lbは発光点2から射出された後、第1反射面11aに向かって進む。そして、第1反射面11aによって反射される。このとき、発光点2の位置は第1反射面11aの曲率中心と一致している。そのため、第1反射面11aで反射された光線Lbは、発光点2に向かう光線となる。そして、発光点2を通過して第3反射面11c向かう。その後、光線Lbは、光線Laと同様の反射を繰り返し、最終的に集光点3に到達することとなる。集光点3に集光した光は、第2開口部O1cから光学ユニット11の外部へ射出する。
【0029】
ここで、本実施例の光学ユニット11は、仮想面Pよりも第1反射面11a側に設けられた第1屈折面5aと、仮想面Pよりも第3反射面11c側に設けられた第2屈折面6aを有する。よって、本実施例の光学ユニット11は、3つの反射面に加えて、第1屈折部材5(第1光学部材)と、第2屈折部材6(第2光学部材)とにより構成されていることになる。
【0030】
第1屈折部材5は、仮想面Pよりも第1反射面11a側に配置されている。一方、第2屈折部材6は、仮想面Pよりも第3反射面11c側に配置されている。また、第1屈折面5aは、第1屈折部材5の2つの面のうちの第1反射面11a側の面である。また、第2屈折面6aは、第2屈折部材6の2つの面のうちの第3反射面11c側の面である。
【0031】
本実施例では、第1屈折部材5と第2屈折部材6は、3つのミラーとは別体になっている。また、第1屈折部材5と第2屈折部材6は、同一の形状の光学素子である。そして、第1屈折部材5と第2屈折部材6は、仮想面Pを挟んで対向するように配置されている。
【0032】
第1屈折部材5は、その焦点位置が第2反射面11bの放物面の頂点と一致するような位置に設けられている。また、第2屈折部材6は、その焦点位置が第3反射面11cの放物面の頂点と一致するような位置に設けられている。上述のように、第1屈折部材5と第2屈折部材6は、同一の形状の光学素子である。よって、発光点2から第1屈折部材5までの距離と、集光点3から第2屈折部材6までの距離とは等しい。
【0033】
第1屈折部材5の大きさ(直径)について説明する。図1において、光線Lcは、第2開口部O1cを通過して、光学ユニット11の外に射出する光線である。本実施例では、光線Lcが第1屈折面5aで屈折されるように、第1屈折面5aの大きさ(直径)は設定されている。より具体的には、光線Lcが第1屈折面5aの有効径の内側を通るように、第1屈折面5aの大きさ(直径)は設定されている。
【0034】
次に、光線が辿る経路について説明する。光線Ldは、発光点2から射出された光線のうち、第3反射面11cに向かう光線である。なお、光線Ldには、発光点2から射出された後、第1反射面11aにおいて発光点2に向かって反射された光線も含まれる。本実施例において、光線Ldは、軸4に対して光線Lcと対称な光線である。したがって、光線Ldは、本来であれば(屈折部材が無い状態であれば)、第2開口部O1cを通過して、光学ユニット11の外に射出する光線である。
【0035】
光線Ldは、まず、第1屈折部材5に入射する。入射した光線Ldは、第1屈折面5aにおいて屈折され、第2屈折部材6に向かって射出される。このとき、第1屈折部材5の焦点位置が、発光点2の位置と一致している。そのため、第1屈折部材5から射出した光線Ldは、軸4と平行な光線になる。
【0036】
次に、光線Ldは第2屈折部材6に入射する。入射した光線Ldは、第2屈折面6aにおいて屈折され、集光点3方向へ射出される。このとき、第2屈折部材6の焦点位置が、集光点3の位置と一致している。そのため、第2屈折部材6から射出した光線Ldは、集光点3に向かう光線になる。そして、光線Ldは最終的に集光点3に到達する。
【0037】
このように、本実施例では、光学ユニット11中に屈折部材を配置しているので、第2開口部O1cを通過して光学ユニット11の外に射出する光線Ldを集光点3に到達させることができる。
【0038】
なお、光線Laや光線Lbのように、発光点2から射出され屈折部材に入射せず第3反射面11cへ向かう光線は、まず、上述したように第3反射面11cで反射され第2反射面11bへ向かい、その後、第2反射面11bで反射され集光点3へ到達する。このような光線は、軸4と平行な光線となって第2反射面11bに入射する。そのため、このような光線が、第2反射面11bから集光点3へ向かう際に辿る経路は、発光点2から第3反射面11cへ向かう際に辿る経路と、仮想面Pに対して対称になる。従って、発光点2から射出され屈折部材に入射せず第3反射面11cへ向かう光線は、屈折部材を通過することはない。
【0039】
このように、本実施例によれば、従来、集光せずに開口部から射出していた光線を、他の光線(反射面で反射される光線)に影響を及ぼすことなく集光できる。よって、発光源から射出される光を効率よく集光(利用)することができる。
【0040】
なお、第1屈折部材5と第2屈折部材6との間を、屈折率が1よりも大きい媒質で満たしても良い。例えば、第1屈折部材5と第2屈折部材6を一体化して、軸4に沿う方向に長く伸びた棒状のレンズにすればよい。この場合、棒状のレンズの一端側の面が第1屈折面5aで、他端の面が第2屈折面6aになる。また、レンズは棒状にする必要はなく、厚みの薄い単レンズにしても良い。
【0041】
図1で説明したように、光線Lcのような光線は、第2開口部O1cの直径が大きくなるほど増加する。そのため、第2開口部O1cの直径が大きくなるほど、第1屈折部材5の大きさ(直径)も大きくなる。
【0042】
ところで、第1屈折部材5の大きさ(直径)は、第1開口部O1bの直径にも依存する。この点について、図3を用いて説明する。図3では、第1開口部O1b’の直径(第1反射面11a’の曲率半径)が、実施例1の第1開口部O1bの直径(第1反射面11aの曲率半径)よりも大きくなっている。なお、屈折部材は図示を省略している。
【0043】
光線が辿る経路について説明する。図3では、光線Leは、発光点2から射出された光線のうちの第3反射面11c’に向かう光線である。なお、光線Leには、発光点2から射出された後、第1反射面11a’において発光点2に向かって反射された光線も含まれる。
【0044】
光線Leは、まず、第3反射面11c’で反射される。第3反射面11c’で反射された光線Leは、実施例1の光線Laと同様に、軸4と平行な光線になる。ここで、第1開口部O1b’の直径は、第1開口部O1bの直径(図1参照)よりも大きくなっている。そのため、光線Leは、第2反射面11b’に入射せず、第1反射面11a’へ入射する。そして、光線Leは第1反射面11a’において反射される。
【0045】
しかしながら、図3に示すように、光線Leは、第1反射面11a’の法線に対して所定の角度で入射する(光線Leが面の法線と一致しない)。この場合、第1反射面11a’で反射された光線Leは、発光点2に向かって反射されない。図3では、光線Leは、続いて第1反射面11a’で反射される。そのため、光線Leは集光点3に到達することがない。この場合、光線Leは、第1反射面11a’、第2反射面11b’、第3反射面11c’等で反射を繰り返して徐々に減衰していく。
【0046】
このように、発光点2から射出される光線のうち、光線Leのような経路を辿る光線は、集光点3に到達できない。このような光線は、第1開口部O1b’の直径が大きくなるほど増加する。この場合、発光点2からの光を効率よく集光できなくなる。そのため、第1開口部O1b’の直径は図1のように極力小さくすることが望ましい。
【0047】
しかしながら、発光点2に配置する光源の大きさや形状によっては、第1開口部O1b’の直径を大きくせざるを得ない場合がある。このような場合であっても、図1のように、屈折部材を配置することにより、光線Leを集光点3に到達させることができる。
【0048】
このように、本実施例の光学ユニットによれば、第2反射面の第1開口部が大きい場合であっても、第3反射面へ向かう光線を、全て集光点に到達させることができる。そのため、発光点より発散される光を効率よく集光(利用)することができる。加えて、第1開口部の径の大きさを自由に設定することができる。よって、発光点に配置される光源の大きさや形状が制限されることがない。また、発光点に関する構造に関しても、様々な構造をとることができる。
【0049】
また、第2反射面11bと第3反射面11cとは、それぞれの外周の端部において接している。ただし、両者は分離可能になっているのが好ましい。同様に、第1反射面11aと第2反射面11bも分離可能になっているのが好ましい。また、第2反射面11bと第3反射面11cとは、相互に端部が接しているが、必ずしも相互に端部を接続する必要はない。例えば、それぞれの端部が離れた位置となるように配置しても良い。これらについては、他の実施例についても同様である。
【実施例2】
【0050】
実施例2について説明する。本実施例では、屈折率が1よりも大きい媒質で光学ユニット12を構成している。この場合、ガラスの外周面に鏡面を形成(ミラーコート)すれば良い。図4は、そのような媒質を用いて光学ユニットを形成した実施例を示している。
【0051】
この光学ユニット12は、第1光学素子121と第2光学素子122とにより構成されている。第1光学素子121と第2光学素子122は、いずれも屈折率が1よりも大きい媒質、例えばガラスあるいは樹脂で構成されている。
【0052】
そして、この第1光学素子121には、第1反射面12a及び第2反射面12bと共に、第1屈折面12dが一体に形成されている。第1反射面12a及び第2反射面12bは、実施例1の光学ユニット11と同様の形状及び機能を有する。第1屈折面12dは、実施例1の光学ユニット11の第1屈折部材5の第1屈折面5aと同様の形状及び機能を有する。
【0053】
また、第2光学素子122には、第3反射面12cと共に、第2屈折面12eが一体に形成されている。第3反射面12cは、実施例1の光学ユニット11と同様の形状及び機能を有する。第2屈折面12eは、実施例1の光学ユニット11の第2屈折部材6の第2屈折面6aと同様の形状及び機能を有する。なお、第2開口部O2cにはミラーコートが施されていない。よって、発光点2からの光は、第2開口部O2cを通過して光学ユニット12の外部に射出される。
【0054】
この光学ユニット12の内部における光線は、実施例1の光線と同様の経路を辿るため、その説明は省略する。
【0055】
このように、本実施例の光学ユニットによれば、第3反射面12cへ向かう光線を、全て集光点3に到達させることができる。そのため、発光点2より発散される光を効率よく集光(利用)することができる。
【0056】
なお、屈折率が1よりも大きい媒質で光学ユニット12が構成されている場合、発光点2は予め、この媒質中に埋め込まれていても良い。あるいは、発光点2の近傍のみ、空洞が形成されるようにしても良い。例えば、図2に示すように、破線を境にして、第1反射面11aを含む半球状の部分を、第2反射面11bを含む部分から分離可能にしておく。そして、分離面の一部(発光点2が位置する部)を凹状にしておく。このようにすれば、発光点2に光源等を配置することができる。なお、光源に接続されているケーブル等に関しても、適宜空間を設けておけば良い。
【0057】
また、屈折率が1よりも大きい媒質で光学ユニット12が構成されている場合、光学ユニット12に、発光点2を含む貫通孔を形成しても良い。この場合、光量損失を防ぐために、貫通孔の直径はできるだけ小さくしておくのが好ましい。このようにすれば、蛍光試料(例えば、蛍光色素を含む細胞)を含む溶液をこの貫通孔を通過させることで、蛍光試料からの蛍光を効率よく集光することができる。また、照明光光学系は、適宜設ければ良い。なお、実施例1に示した光学ユニット11ようなミラーを用いて構成された光学ユニットの場合には、溶液を流す管をその光学ユニット内に設ければ良い。
【0058】
このように、本実施例及びそれに係る変形例の光学ユニットによれば、発光点からあらゆる方向に射出された光を1つの点に向かわせることができる。よって、発光点から射出される光を効率よく集光(利用)することが可能となる。なお、逆に本実施例の集光点3の位置に発光素子等を配置し、その位置を発光点とすると、その発光点からの光を、本実施例の発光点2の位置に効率よく集光(利用)することが可能となる。
【実施例3】
【0059】
実施例3について説明する。図5は、ミラーを用いて構成された本実施例の光学ユニットを示す模式図である。図6は、ガラスを用いて構成された本実施例の光学ユニットの変形例を示す模式図である。なお、図5及び図6において、図1及び図4に示されたものと同じものには同じ符号を付してある。そのため、それらについての説明は省略する。そこで、本実施例の光学ユニットにおける構成及び光線の経路の説明は、上記した各実施例の光学ユニットとは異なる点についてのみ行う。
【0060】
まず、図5を用いて本実施例の光学ユニット13の構成を説明する。本実施例の光学ユニット13は、3つのミラーと、第1屈折面5a’が形成されている第1屈折部材5’と、第2屈折面6a’が形成されている第2屈折部材6’とにより構成されている。
【0061】
本実施例において、第1反射面13aは、実施例1の光学ユニット11の第一反射面11aと同様の構成となっている。
【0062】
また、第2反射面13bは、その曲率が第3反射面13cの曲率よりも小さく形成されている。そのため、その焦点位置、すなわち集光点3は第3反射面13cの面頂の位置と異なる。この場合、集光点3は光学ユニット13の外部に位置する。この第2反射面13bにおけるその他の構成は、実施例1の光学ユニット11の第2反射面11bと同様の構成となっている。
【0063】
また、第3反射面13cは、その曲率が第2反射面13bの曲率よりも大きく形成されている。ただし、その焦点位置、すなわち発光点2は第2反射面13bの面頂の位置と一致している。第3反射面13cは第2開口部O3cを備えている。
【0064】
本実施例では、第2開口部O3cの直径は、第1屈折部材5’(第2屈折部材6’)の外径で決まっている。すなわち、発光点2から射出した光線のうち、第1屈折部材5’に入射しない光線が、第3反射面13cと交わる位置が、第2開口部O3cの縁になる。図5では、破線で示した光線Lfがこの光線に該当する。この第3反射面13cにおけるその他の構成は、実施例1の光学ユニット11の第3反射面11cと同様の構成となっている。
【0065】
なお、本実施例では、第2反射面13bの曲率が第3反射面13cの曲率に比べて小さい。そのため、集光点3は、上記したように光学ユニット13の外部の軸4上にある。すなわち、集光点3は、第3反射面13cと同一の曲率を持つ放物面の頂点の位置よりも、発光点2から離れた位置に形成される。
【0066】
また、本実施例において、第1屈折部材5’と第2屈折部材6’は、仮想面Pを挟んで対向して配置されている。ただし、実施例1とは異なり、両者は異なる形状の光学素子となっている。よって、発光点2から第1屈折部材5’までの距離と、集光点3から第2屈折部材6’までの距離は異なる。
【0067】
実施例1と同様に、発光点2から射出された光線Ld’は、第1屈折部材5’に入射する。入射した光線Ld’は第1屈折面5a’で屈折され、第2屈折部材6’に向かって射出される。このとき、第1屈折部材5’の焦点位置が、発光点2の位置と一致している。そのため、第1屈折部材5’から射出した光線Ld’は、軸4と平行な光線になる。
【0068】
次に、光線Ld’は、第2屈折部材6’に入射する。入射した光線Ld’は、第2屈折面6a’において屈折され、集光点3方向へ射出される。このとき、第2屈折部材6’の焦点位置が、集光点3の位置と一致している。そのため、第2屈折部材6’から射出した光線Ld’は、集光点3に向かう光線になる。そして、光線Ld’は最終的に集光点3に到達する。
【0069】
なお、第1屈折部材5’に入射しなかった光線は、第3反射面13cに入射する。この光線は、光線La’や光線Lb’で示されるような経路を辿る。この光学ユニット13の内部において、光線La’や光線Lb’は、実施例1の光線Laや光線Lbとほぼ同様の経路を辿るため、その説明は省略する。
【0070】
このように、本実施例の構成においても、発光点からの光をより効率的に、光学素子の外部の集光点3に集光することができる。
【0071】
また、本実施例は、各反射面をミラーにより構成しているが、ガラスのような媒質の外周面の内側に鏡面を形成して構成しても良い。そして、図6はそのようにガラスを用いて光学ユニットを形成した本実施例の変形例示したものである。
【0072】
この光学ユニット13’は、ガラスにより形成された第1光学素子131と第2光学素子132とにより構成されている。この第1光学素子131には、第1反射面13a、第2反射面13b及び第1屈折面13dが形成されている。第1反射面13aと第2反射面13bは、光学ユニット13と同様の形状及び機能を有する。また、第1屈折面13dは、光学ユニット13の第1屈折部材5’における第1屈折面5a’と同様の形状及び機能を有する。
【0073】
また、第2光学素子132には、第3反射面13cと第2屈折面13eが形成されている。第3反射面13cは、光学ユニット13のものと同様の形状及び機能を有する。また、第2屈折面13eは、光学ユニット13の第2屈折部材6’における第2屈折面6a’と同様の形状及び機能を有する。
【0074】
この光学ユニット13’の内部においては、光線は、図5の光線と同様の経路を辿るため、その説明は省略する。
【0075】
このように、本変形例の構成でも、発光点からの光をより効率的に、光学素子の外部の集光点3に集光することができる。
【0076】
なお、上記の各実施例は、各反射面にミラーを用いており、上記の各実施例における各変形例は、各反射面にガラスのような媒質の外周面の内側に形成した鏡面を用いているが、反射面の形成手段はこのような方法に限られるものではなく、合成樹脂等の他の光学部材を用いて形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施例1の光学ユニットを示す模式図である。
【図2】光学ユニットの第1反射面近傍の拡大図である。
【図3】第2反射面の開口部の大きさと光線の関係を示す模式図である。
【図4】実施例2の光学ユニットを示す模式図である。
【図5】実施例3の光学ユニットを示す模式図である。
【図6】実施例3の光学ユニットの変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0078】
1、11’、12、13、13 光学ユニット
1a、11a’、12a、13a 第1反射面
1b、11b’、12b、13b 第2反射面
1c、11c’、12c、13c 第3反射面
1b、O1b’ 第1開口部
1c、O2c、O3c 第2開口部
2d、13d、5a、5a’ 第1屈折面
2e、13e、6a、6a’ 第2屈折面
2 発光点
3 集光点
4 軸
5、5’ 第1屈折部材
6、6’ 第2屈折部材
P 仮想面
La、Lb、Lc、Lc’、Ld、Ld’、Le 光線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想面を挟んで2つの反射面が対向して配置されている光学ユニットであって、
前記仮想面の一方の側の反射面は、半球状の第1反射面と、放物面であって該放物面の頂点近傍に第1開口部を有する第2反射面を備え、
前記仮想面の他方の側の反射面は、放物面であって該放物面の頂点近傍に第2開口部を有する第3反射面を備え、
前記第1反射面は、その周辺部が前記第1開口部と接するように設けられ、
前記第2反射面の前記放物面の頂点が前記第3反射面の放物面の焦点位置と一致すると共に、前記第3反射面の前記放物面の頂点が前記第2反射面の放物面の焦点位置と一致するように、前記第2反射面と前記第3反射面が配置され、
前記第1反射面の曲率中心が、前記第2反射面の前記放物面の頂点と一致するように、前記第1反射面と前記第2反射面が配置され、
前記仮想面よりも前記第1反射面側に設けられた第1屈折面と、
前記仮想面よりも前記第3反射面側に設けられた第2屈折面を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記第1屈折面は、前記第1反射面及び前記第2反射面とは別体に構成された第1光学部材の光学面であり、
前記第2屈折面は、前記第3反射面とは別体に構成された第2光学部材の光学面であることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記第1屈折面は、前記第1反射面及び前記第2反射面と一体に構成された第1光学部材の光学面であり、
前記第2屈折面は、前記第3反射面と一体に構成された第2光学部材の光学面であることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記第1光学部材は、その焦点位置が前記第2反射面の前記放物面の頂点と一致する位置に設けられ、
前記第2光学部材は、その焦点位置が前記第3反射面の前記放物面の頂点と一致する位置に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記第1屈折面は、該屈折面による焦点位置が前記第2反射面の前記放物面の頂点と一致する位置に設けられ、
前記第2屈折面は、該屈折面による焦点位置が前記第3反射面の前記放物面の頂点と一致する位置に設けられたことを特徴とする請求項3に記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記第2反射面と前記第3反射面の形状が同じであることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記第2反射面と前記第3反射面の形状が異なることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の光学ユニット。
【請求項8】
前記第2反射面の曲率が、前記第3反射面の曲率よりも小さくなるように構成したことを特徴とする請求項7に記載の光学ユニット。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載の光学ユニットと光源を備え、
前記光源が前記第1反射面の曲率中心に配置されていることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−257013(P2008−257013A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100253(P2007−100253)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】