説明

光学型の分光計用の測定構造体

本発明は、測定チャンバと入力カップリング/出力カップリング装置とを備える、光学型の分光計、特に光子密度波型の分光計用の測定構造体に関する。測定チャンバには、測定される試料が積載可能であり、入力カップリング/出力カップリング装置は、光源からの励起光を受光し、該励起光を測定チャンバ内の測定される試料に対して入力カップリングを行うと共に、入力カップリングが行われた励起光によって、測定される試料内に形成された測定光を受光し、該測定光を検出装置に放出するように構成されている。入力カップリング/出力カップリング装置は、1つの光スイッチング装置と、該光スイッチング装置に接続され、光導波路を1つずつ備えた複数の光導波路素子とを備えている。これら複数の光導波路素子は、選択可能な少なくとも1つの測定形態に基づいて、光スイッチング装置によって接続され、上記選択可能な少なくとも1つの測定形態に基づいて、励起光の入力カップリングを行うと共に測定光を受光することが可能である。複数の光導波路素子の出力部は、これらの出力部のほうを向いて見た方向において、螺旋状の形状に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、光学型の分光計、特に光子密度波型の分光計用の測定構造体に関する。
【0002】
[発明の背景]
一般に、分光計とは、試料の分光分析を行うための、測定または分析装置である。分光分析のために光を利用するものが、光学型の分光計である。光子密度波を用いて分光分析を行うことは、強く散乱している試料の吸収特性および散乱特性を個別にかつ絶対的に算出することを可能にする。これは、従来の光散乱法または吸光光度法によっては不可能であった。「光子密度波」という表現は、強く散乱している媒体の、時間および空間に依存した光の伝播を意味しており、体積あたりの光子の数、すなわち光子密度によって特徴付けられる。
【0003】
光子の伝播の説明は、中性子の運搬の分析に基づいている。これは、光子および中性子は、荷電されておらず、散乱過程以外で、外部の力と無関係に移動するからである。しかしながら、全ての光子は、中性子と異なり、一定かつ同一の速度を有しているので、光子の説明は極めて簡素化される。光子密度の簡単な説明を得るために、通常、光の強度を変化させる全ての寄与分が平衡状態にある放射伝達方程式を、一連の球面調和関数へと展開することが用いられる。粒子の運搬と同様に、特徴的な量として、光拡散係数が生じる。この光拡散係数は、上記媒体の吸収特性および散乱特性によって説明される。
【0004】
光の伝播は、吸収および散乱によって特徴付けられて行われるので、これらの光学特性を算出するために、光子密度波の分析を用いることが可能である。光子密度波を利用するための公知の実験法は、それぞれの場合に用いられる入射光線の時間依存性に基づいて分類され得る。時間領域の分析の場合、上記媒体に、超短光パルスが照射され、その後、空間に依存した、光伝播の時間依存性が観察される。また、周波数領域における実験では、強度を正弦波へと変調することが可能な光源が用いられる。さらに、時間が一定の光源を用いた分析を行ってもよい。
【0005】
光子密度波に基づいた分光法は、強く散乱している、吸収作用が比較的低い媒体の分析に特に適している。散乱が強いと、光の伝播を、ランダムな粒子の運搬として説明することが可能であるが、吸収作用が強いと、光子密度が大幅に減少するので、検出が困難である。従って、光子密度波を用いた分析は、多くの材料が中程度の吸収作用しか示さない、600〜900nmのスペクトル域において行われる場合が多い。散乱作用は、屈折率が場所に応じて異なることによって生じるものであり、この屈折率の差異が、光の波長に相当する程度に大きい場合において特に顕著である。このため、特に、異なる屈折率を有する材料であって、その材料の分散相が、50nmよりも大きい直径を有する粒子を複数含んで成る材料の分散は、スペクトルの可視領域において顕著な散乱を示す。
【0006】
光子密度波を用いて試料を分析するための分光計では、通常、レーザなどの光源によって生成される励起光は、入力カップリング装置によって、分析される試料に対する入力カップリングが行われる。これは、例えば、この入力カップリング装置内の光導波路を用いることによって行われる。その後、入射された励起光によって、分析される試料内に生じた測定光の、出力カップリング装置を用いた出力カップリングを行い、該測定光を検出装置に供給する。この出力カップリング装置も、1つ以上の光導波路を用いて形成されていてもよく、測定光は、該1つ以上の光導波路に対する入力カップリングが行われて、検出装置に導かれる。物理的モデルを考慮することによって、検出された測定光を評価し、分析される試料の光学特性を算出することが可能である。
【0007】
実際に評価可能な対象である測定光の信号を受信するためには、この励起光の入力カップリングを行うこと、および、測定光の出力カップリングを行うことに特に注目する必要がある。
【0008】
[発明の概要]
本発明の目的は、光の入力カップリング特性および出力カップリング特性が改善された、光学型の分光計、特に光子密度波型の分光計用の、測定構造体を提供することにある。
【0009】
この課題は、本発明によれば、独立請求項1に係る、光学型の分光計用の測定構造体によって解決される。本発明の好ましい他の形態は、従属請求項の対象である。
【0010】
本発明は、光学型の分光計、特に光子密度波型の分光計用の測定構造体が、測定される試料を積載可能な測定チャンバと、入力カップリング/出力カップリング装置とを備えるという原理を含む。この入力カップリング/出力カップリング装置は、光源からの励起光を受光し、該励起光を、測定チャンバ内の測定される試料に対して入力カップリングを行うと共に、入力カップリングが行われた励起光によって、測定される試料内に形成された測定光を受光し、該測定光を検出装置に送信するように構成されている。入力カップリング/出力カップリング装置は、光スイッチング装置と、該光スイッチング装置に接続され、光導波路を1つずつ備えた複数の光導波路素子とを有している。これらの複数の光導波路素子は、選択可能な少なくとも1つの測定形態に基づいて、光スイッチング装置によって接続可能であり、該選択可能な少なくとも1つの測定形態に応じて、励起光を入力カップリングすると共に測定光を受光する。上記複数の光導波路素子の出力部は、該出力部のほうを向いて見た方向において、螺旋状の形状に配置されている。
【0011】
予期しなかったが、複数の光導波路素子の出力部を螺旋状の構造とすることによって、特に、励起光の入力カップリング、および測定光の出力カップリングが、効率良く促進されることが分かった。複数の光導波路素子間のクロストーク作用が最小化されるのである。さらに、ここに提案する複数の光導波路素子の構造は、測定される試料において、励起光の入力カップリングを行う、1つまたは複数の光導波路から、測定光を受光する1つまたは複数の光導波路までの光の伝播をほとんど妨げない。このため、用いられる光導波路の数を増加させて、広範囲にわたる到達可能な距離を実現することが可能である。従って、光学特性が極めて多様な試料に使用可能である。
【0012】
測定形態によって、複数の光導波路素子は、測定される試料に対する励起光の入力カップリングを行うことと、測定光の出力カップリングを行うこととの両方が行われるように、測定タスクの範囲において、光スイッチング装置による設定が行われてもよい。例えば、複数の光導波路素子のそれぞれは、励起光の入力カップリングを行うためと、測定光を受光するためとに、連続的に用いることが可能であり、ここで、光スイッチング装置は、対応する複数の光導波路素子の、光学的な接続を提供する。あるいは、複数の光導波路素子のうちの1つは、励起光の入力カップリングを行うために、測定中に渡って接続し、残りの光導波路素子のうちのいくつかまたは全ては、測定光を受光し、該測定光を検出装置に伝送するようにしてもよい。選択された1つの測定形態に対応する接続は、測定を行っている間は変更されない。他の一実施形態では、測定形態は、測定中に一回または複数回変更される。個々の光導波路素子の接続に応じて、特定の種類の光、すなわち励起光または測定光は、関連付けられた光導波路によって伝送される。このため、試料の分光分析の方法、特に光子密度波による分析の方法を、様々な実施形態において実施することが可能である。
【0013】
光スイッチング装置自体は、公知であり、例えばファイバ−ファイバスイッチの形の光スイッチング装置が公知である。このファイバ−ファイバスイッチにおいて、光導波路のファイバの両端部は、ファイバの一端からファイバの他端の中への光の運搬が行われるように、または該光の運搬が行われないように、互いに相対的に配置されている。このような光スイッチング装置は、例えば、ファイバの両端部を互いに相対的に配置させるための、並進移動スライドを用いている。ここに提案する測定構造体は、特定の用途に応じて、様々な光スイッチング装置を用いて実施することが可能である。
【0014】
本発明の好ましい他の一実施形態では、複数の光導波路素子の出力部が、出力部からの励起光の光出射方向に対して横方向に、基準面に対して異なる間隔で配置されている。従って、出力部は、励起光の伝播の方向に沿って、互いにずれて形成されている。上記出力部のうちの少なくとも2つは、基準面から同じ間隔をおいて配置されているが、他の少なくとも1つの出力部は、これに対してずれて配置されていることも想定可能である。
【0015】
本発明の有効な一変形例は、少なくとも1つの測定形態では、複数の光導波路素子の出力部が、各位置において少なくとも互いに相対的に固定されて提供され得る。複数の光導波路素子の出力部を互いに相対的に固定することは、永続的なものとして設計されていてよい。あるいは、複数の光導波路素子の出力部は、例えば位置をずらすことによって、互いに相対的に移動可能であるため、相対位置を、異なる測定工程間、または一測定工程中の異なる測定副工程間において、新たに設定するが、その後は固定された位置に設定することも想定可能である。複数の光導波路素子の出力部を互いに相対的にずらすことは、例えば、適した並進移動スライドを用いて行うことが可能である。この並進移動スライドは、それ自体が公知の実施形態において、上述した、相対的にずらすことにおいて必要な正確性を実現することができる。
【0016】
本発明の有効な一実施形態では、複数の光導波路素子の出力部の少なくとも一部が、測定チャンバ内に配置されることが提供される。これによって、測定チャンバに配置された、複数の光導波路素子の出力部の少なくとも一部を、分析される試料の中にも浸すことが可能であり、測定チャンバの充填度が用途に応じて調節される点においても影響を受け得る。これは、測定タスクに応じて、測定チャンバ内に配置された出力部のいくつか、または全てに適用され得る。
【0017】
本発明の好ましい他の一実施形態では、出力部が測定チャンバの中に配置された、光導波路素子の部分は、流体を密閉するように、測定チャンバの壁の一区域を通って導かれることが提供される。流体を密閉するような方式である壁の導管内には、光導波路素子が、固定されて配置されていてもよいし、または、例えば押したり引いたりすることによって移動可能に配置されていてもよい。光導波路素子は、光導波路として、加硫ゴムまたは未加硫ゴムなどの、弾性材料から成る密閉部の中を導かれる。
【0018】
本発明の有効な一変形例では、複数の光導波路素子の出力部が、光導波路の光導波路出力部によって形成されていることも想定可能である。あるいは、光導波路出力部の前方には、光学素子が配置されていてもよい。この光学素子は、その後、光導波路素子の直接的な出力部を形成し、この直接的な出力部を介して、励起光が出射されたり、または測定光が入射されたりする。これに関して、例えば、後に直接的な出力部を形成する、レンズまたはレンズシステムが設けられていてもよい。
【0019】
本発明の他の一実施形態では、光導波路が、屈折率が分布されたプロフィールを有する光導波路から形成されていることも想定可能である。屈折率が分布されたプロフィールを有する光導波路を使用することにより、光変調の周波数が高い場合、または長い光導波路を使用した場合において、復調を低減し、これによって測定光の質を改善することが可能である。
【0020】
本発明の好ましい他の一実施形態では、光導波路が、フォトニック結晶ファイバから形成されていることも想定可能である。例えば、いわゆるホローコア設計のフォトニック結晶ファイバを用いてよい。
【0021】
本発明の有効な一実施形態では、光導波路が、重水素化された光導波路およびフッ素化された光導波路から成る群から選択された少なくとも1つの設計に基づいて形成されていることも想定可能である。重水素化および/またはフッ素化された光ファイバの導管を使用することによって、吸収作用を低減可能であるため、該導管を、より広いスペクトル域において使用することが可能である。また、フッ素化された材料の表面エネルギーが低減されることにより、光導波路の汚染が少なくなり、掃除が簡単である。
【0022】
上述の複数の変形例を任意の組み合わせで組み合わせた、光導波路を提供することも可能である。
【0023】
[発明の好ましい実施例の説明]
以下に、本発明を、好ましい実施例に基づいて、図面の図を参照しながらより詳細に説明する。
図1は、光子密度波型の分光計を用いた測定機器を示す概略的な図である。
図2は、螺旋状に配置された、複数の光導波路素子の出力部を示す図であり、該出力部のほうを向いて見た図である。
図3は、測定チャンバと、複数の光導波路素子とを示す概略的な図であり、複数の光導波路素子の出力部は、上記測定チャンバの中に配置されている。
【0024】
図1は、光子密度波型の分光計(PDW−分光計)を用いた測定機器を概略的に示す図である。四角形と四角形との間の破線は、光信号の伝達に関し、四角形と四角形との間の実線は、電気信号の伝達に関する。
【0025】
理論的には、この測定機器は、2部に、つまり放出ユニット1と検出ユニット2とに分割される。放出ユニット1では、周波数発生器3によって、時間依存性の電気信号が生成される。この時間依存性の電気信号は、例えば正弦波の形を有している。周波数発生器3は、調節可能な周波数において、変調された電気信号を生成する。この周波数は、数キロヘルツから数ギガヘルツまでの範囲である。
【0026】
周波数発生器3によって得られた電気信号は、放出側の信号処理部4によって処理され、変調可能な放射線源5に供給される。放射線源5は、受信したこの信号を、時間依存性の光学励起光に変換する。この電気信号は、放射線源に従ってまず処理される。場合によっては増幅されるだけでなく、特にバイアスティー(Biased-T)を介して、時間非依存性の信号が加えられる。複数の放射線源を変調する必要があるならば、複数の放射線源への信号を個々の放射線源に対して制御しながら切替える、電気的な高周波スイッチが設けられていてもよい。
【0027】
変調可能な放射線源5は、例えばレーザ、特に1つ以上のダイオードレーザであってもよい。ダイオードレーザの強度は、レーザ電流によって直接変調され得る。また、ダイオードレーザは、温度が安定化されており、ダイオードレーザの強度は、モニタダイオードによって観察される。放射線源5は、電磁放射線の出入射に対して保護されている。
【0028】
生成された励起光は、放出側のビーム処理部6によって処理された後、放出側の放射線運搬手段7を介して、入力カップリング装置8に供給される。変調された時間依存性の励起光は、入力カップリング装置8から、測定チャンバ9内にある測定される試料に対する入力カップリングが行われる。この放射線は、試料まで、光導波路を介して運搬される。この際、特に高周波において復調を低減すること、および対応する波長において吸収作用を低減することが考慮される。光導波路によって、放射線源5と、測定チャンバ9内の試料との間隔を、大きくとることが可能である。屈折率が分布されたプロフィールを有する光導波路、または例えばホローコア設計のフォトニック結晶ファイバを用いることによって、高周波の場合、または長い光導波路を使用した場合の復調を低減し、測定信号を改善する。フッ素化されたおよび/または重水素化された光ファイバの導管を用いることによって、吸収作用を低減し、これによって、使用スペクトル域をより広くすることが可能である。また、フッ素化された材料の表面エネルギーは少ないため、結果的に、光導波路の汚染が少なくなり、掃除が簡単である。
【0029】
検出ユニット2では、時間依存性の励起光に対する入力カップリングによって試料の中に生成された測定光は、入力カップリング装置8と一体化された出力カップリング装置10によって出力カップリングが行われ、検出側の放射線運搬手段11を介して検出側のビーム処理部12に導かれ、その後、検出器13に導かれる。この試料からの出力カップリングもまた、1つ以上の光導波路を介して行われる。1つ以上の光導波路は、光スイッチを介して、共通の光導波路に切替えられるか、または試料内のこれらの位置が、並進移動スライドによって好適に変更される。試料からの放射線のさらなる運搬は、1つの光導波路を介して行われる。上述した、励起光の放射線を試料まで運搬することに関する説明が、同様に適用される。
【0030】
検出される測定光の放射線は、特定の用途の要件に応じてさらに処理される。従って、(干渉)フィルタを用いたスペクトルフィルタリングだけでなく、二色性ミラーによって複数の検出器の上において分割させることも可能である。このために、通常は、光導波路からの光信号が、レンズ(図示していない)を介してまず並列化される。
【0031】
受光された測定光は、最終的に、検出器13によって電気測定信号に変換される。この電気測定信号は、その後、検出側の信号処理部によって処理され、最後に、位相敏感検出器15に供給される。スペクトル領域および他の条件によっては、この光信号は、アバランシェ・ダイオードまたはPINダイオード、あるいは光電子増倍管を介して、電気信号に変換される。時間分解能およびスペクトル感度に加えて、さらなる線形領域と、振幅位相のクロストークが少ないことと、電磁遮へいが良好であることとが必要である。高域フィルタが、検出器13の電気信号から、時間非依存性の成分を取り除き、そして、検出器13の電気信号は、高周波増幅器によって増幅される。この増幅は、検出側の信号処理部14によって行われる。この時間非依存性の信号は、さらなる評価が可能である。位相敏感検出器15は、検出された信号の振幅および位相を、周波数発生器3が生成した信号と比較することによって算出する。周波数発生器3および位相敏感検出器15は、ネットワークアナライザにおいて組み合わされる。
【0032】
図1の測定機器の個々の構成要素は、パーソナル・コンピュータによって制御可能である。パーソナル・コンピュータは、測定信号のさらなる評価を行うためにも用いられ、このため最終的には、光吸収係数および有効な光散乱係数が算出可能である。これらの係数から、粒子濃度または粒径などの他の試料パラメータを算出することも可能である。
【0033】
図2は、複数の光導波路素子の出力部を示す図であり、該出力部のほうを向いて見た図である。これらの複数の光導波路素子は、分析される試料に励起光の入力カップリングを行うと共に、試料の中に生成された測定光の試料からの出力カップリングを行って、該測定光を検出器13に供給するために用いられる。図2は、光導波路の平坦な端部を示している。これらの平坦な端部は、測定タスクおよび選択された測定形態に応じて、励起光を試料に供給するため、または測定光を試料から受光するために用いられ得る。これらの、特定の測定形態に対応した個々の光導波路素子は、対応する接続によって用いられ、この接続は、光スイッチング装置(図示しない)、例えばファイバ−ファイバスイッチによって実現される。例えば、内部の光導波路20を、励起光を入力カップリングするために用いて、残りの光導波路が、測定光を受光するように機能してもよい。これらの機能を逆に設計することも想定可能である。また、複数の光導波路を、連続的に、励起光用の光導波路として、および測定光用の光導波路として用いてもよい。様々な測定形態を提供する光スイッチは、例えば、並進移動スライドを用いて実現可能である。これらの光スイッチング装置の様々な実施形態は、それ自体が公知である。
【0034】
図3は、1つの測定チャンバ30と、複数の光導波路素子31とを示す概略的な図である。複数の光導波路素子31の出力部は、測定チャンバ30の中に配置されている。あるいは、これらの出力部が、上部から測定チャンバ30の中に突入していてもよい。
【0035】
本明細書、特許性球の範囲、および図面において開示した本発明の特徴は、本発明をその様々な実施形態において実施するために、単独で、または任意で組み合わせて用いてよい点が重要である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】光子密度波型の分光計を用いた測定機器を示す概略的な図である。
【図2】螺旋状に配置された、複数の光導波路素子の出力部を示す図であり、該出力部のほうを向いて見た図である。
【図3】測定チャンバと、複数の光導波路素子とを示す概略的な図であり、複数の光導波路素子の出力部は、上記測定チャンバの中に配置されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学型の分光計、特に光子密度波型の分光計用の測定構造体であって、
−測定される試料を積載可能な測定チャンバ(9;30)と、
−入力カップリング/出力カップリング装置(8,10)とを備え、上記入力カップリング/出力カップリング装置は、光源(5)からの励起光を受光し、上記測定チャンバ(9;30)内の測定される試料に対する入力カップリングを行い、入力カップリングが行われた上記励起光によって上記測定される試料内に形成された測定光を受光し、上記測定光を検出装置(13)に供給するように構成されており、
上記入力カップリング/出力カップリング装置(8,10)は、光スイッチング装置と、上記光スイッチング装置に接続され、光導波路を1つずつ備えた複数の光導波路素子とを備えており、上記複数の光導波路素子は、選択可能な少なくとも1つの測定形態に基づいて、上記光スイッチング装置によって接続され、選択可能な上記少なくとも1つの測定形態に応じて、上記励起光の入力カップリングを行うと共に上記測定光を受光しており、いくつかの上記光導波路素子の出力部は、上記出力部のほうを向いて見た方向において、螺旋状の形状に配置されていることを特徴とする測定構造体。
【請求項2】
上記複数の光導波路素子の出力部は、上記出力部からの励起光の光出射方向に対して横方向に、基準面に対して異なる間隔で配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の測定構造体。
【請求項3】
上記複数の光導波路素子の出力部は、上記少なくとも1つの測定形態では、各位置において少なくとも互いに相対的に固定されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の測定構造体。
【請求項4】
上記複数の光導波路素子の出力部の少なくとも一部は、上記測定チャンバ(30)内に配置されていることを特徴とする、請求項1〜3の少なくとも1項に記載の測定構造体。
【請求項5】
上記出力部が上記測定チャンバ(30)内に配置された、上記光導波路素子の部分は、流体を密閉するように、上記測定チャンバ(30)の壁の一区域を通って導かれることを特徴とする、請求項4に記載の測定構造体。
【請求項6】
上記複数の光導波路素子の出力部は、上記光導波路の光導波路出力部によって形成されていることを特徴とする、請求項1〜5の少なくとも1項に記載の測定構造体。
【請求項7】
上記光導波路は、屈折率が分布されたプロフィールを有する光導波路によって形成されていることを特徴とする、請求項1〜6の少なくとも1項に記載の測定構造体。
【請求項8】
上記光導波路は、フォトニック結晶ファイバによって形成されていることを特徴とする、請求項1〜6の少なくとも1項に記載の測定構造体。
【請求項9】
上記光導波路は、重水素化された光導波路およびフッ素化された光導波路から成る群から選択された、少なくとも1つの設計に基づいて構成されていることを特徴とする、請求項1〜8の少なくとも1項に記載の測定構造体。
【請求項10】
請求項1〜9の少なくとも1項に記載の測定構造体によって特徴付けられた、光子密度波型の分光計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−540913(P2010−540913A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526198(P2010−526198)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007828
【国際公開番号】WO2009/040055
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(506094563)ウニベルジテート ポツダム (4)
【Fターム(参考)】