説明

光学式自動認識シンボルとRFタグとを併用する管理システム

【課題】複数のフォルダがフォルダボックスに収納される場合に、それらフォルダの収納場所を正確に管理できるシステムを提供する。
【解決手段】フォルダボックス10にフォルダボックスIDが記憶されたRFタグ25を付す。一方、フォルダ15の端面にフォルダIDを表す色彩配列コード30をマーキングする。管理システム20は、色彩配列コード30からフォルダIDを読み取る撮像手段35(撮像手段)と、RFタグ25からフォルダボックスIDを読み取るRFID認識装置と、コンピュータ45と、から構成される。このコンピュータ45は、フォルダIDと、フォルダボックスIDとを保存するデータベース50を備える。このような構成によれば、所望のフォルダ15の収納場所を確実に管理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式自動認識シンボルの色彩の配列を認識してIDを読み取る方法と、RFタグのIDを電波によって読み取る方法とを併用して、物品、特にディレクトリに分けて保管されたファイルの探索、及び、保管管理を行う管理システムに関する。
【0002】
また、本発明は、光学的に自動認識シンボルを読み取り、デコードする技術に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、物品をIDによって管理する種々のシステムが開発されている。
【0004】
光学式認識コード
古くから、このような目的のために、物品に光学式認識コードをマーキングする技術が広く利用されてきた。そのような光学式認識コードの一例としていわゆる白黒のバーコードが挙げられよう。物品に物品のIDを表すバーコードを付し(マーキングと呼ぶ)、その物品のIDを管理する技術である。
【0005】
光学式認識コードとしては、他のコードも知られている。例えば、本発明の発明者が既に出願している特許出願(特願2006−196705号等)に記載しているように、色彩の配列、変化、組み合わせによってIDを表す光学式自動認識シンボルを物品に付し、物品の管理を行うことも好適である。
【0006】
RFIDシステム
また、近年では、いわゆるRFタグを使用して物品を管理する「RFIDシステム」が開発され、広く利用されている。
【0007】
この「RFIDシステム」は、電波を使用して、その担持するデジタルデータを読み取り、RFタグを個々の物品に取り付けることで、物品のID管理を行うものである。RFIDシステムの代表的な特徴の一つは、電波を使用するが故に、読み取り機器に対して隠れた位置のRFタグでも、読み取りができ、また、複数のRFタグを同時に読み取ることができる点である。
【0008】
しかしながら、RFタグが比較的密集した状態では、「読み抜け」の問題が存在する場合があった。また、一方、読み取り範囲が拡散しているために、本来の読み取り対象であるRFタグ以外のRFタグを読み取ってしまう「ノイズデータ」が存在しやすいという問題も存在している。
【0009】
さらに、この「RFIDシステム」は、電波で読み取るため、目視の介入する要素が少なく、作業者の直感にたよれない部分が多く存在し、上記の「ノイズデータ」や「読み抜け」の問題と相まって、実用化へのハードルは決して低くはない。
【0010】
しかしながら、RFタグが比較的まばらに、規則正しく存在する場合は、その本来の特性が発揮しやすいことと、読み取り範囲がわかりやすく作業者の直感と一致しやすい。そのため、例えば、図書館や、書庫のフォルダボックスの様な状況においては導入が進められているケースがある。ここで、フォルダボックスとは、内部に種々のフォルダを格納しうるボックスをいい、書類の管理を行う書庫等に於いて用いられるボックスである。
【0011】
ところで、このように導入された実例においても、通常、作業者が求めるのはフォルダボックスではなく、その中の「フォルダ」である。そのため、間違ったフォルダボックスにフォルダを入れてしまった場合や、フォルダボックスに格納するルールが曖昧なため、人によって、入れ方が異なる場合もある。このような場合は、フォルダボックスだけを探しても意味がない。そのため、ユーザーが求める、誰もが使いやすい仕様とは言えないケースも散見される。
【0012】
従って、目的のフォルダが入ったフォルダボックスを確実に見つけ出せるシステムが要望されていた。
【0013】
従来の先行特許技術
例えば、下記特許文献1には、被製版ロールの取り出し動作を行う産業ロボットにおいて、所定の目的別に被製版ロールを仕分けするために、集中的に被製版ロールを取り出す方法が開示されている。
【0014】
また、下記特許文献2には、複数の階層を備えたRFタグに対して、そのうちの一つの階層のRFタグだけにアクセスすることが可能なRFタグ通信システムが記載されている。
【0015】
【特許文献1】特開2002−265020号公報
【特許文献2】特開2004−185070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上で例を挙げて述べたように、例えば、書庫のフォルダボックスを管理するために導入されたRFIDシステムにおいては、フォルダボックスの収納場所が変化した場合には、必ずしも所望のフォルダを収納するフォルダボックスを探し出すこと容易でない場合があった。
【0017】
従って、このような実施条件下においても、フォルダの収納場所を確実に管理することが可能な技術が望まれていた。
【0018】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、第1に、比較的密に所定の単位でまとめて物品が整理・収納されている集合収納体の中身の物品を一括して自動認識する手段を用いている。第2に、その集合収納体に付けられたRFIDタグのような電磁波による認識タグの手段を備えている。第3に、これらの手段を関連付けて、所望の物品を探す際に、対応する集合収納体を正確に示すことができるシステムを実現することを目的とする。
【0019】
具体的に、この集合収納体としては例えばフォルダボックスや所定のコンテナ等が挙げられる。また、その中身の物品はフォルダ(書類)や種々の商品等が挙げられる。具体的な例は後述する実施の形態において詳述する。
【0020】
さらに、本発明の目的は、物品の収納場所が変化するような実施条件下において、その物品の収納場所を正確に管理できるシステム・方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
具体的には、本発明は、以下のような手段を採用する。
【0022】
(1)本発明は、上記課題を解決するために、物品にマーキングされた光学式自動認識コードを撮像する撮像手段と、前記物品を収納する収納体に付されたRFタグを読み取るRFID認識手段と、前記撮像手段が撮像した画像データをデコードして前記物品の物品IDを得、前記RFID認識手段が読み取った前記収納体の収納体IDを受信する制御手段と、前記物品の物品IDと、その物品が収容される前記収納体の収納体IDとを、関連付けて記憶するデータベースと、を備え、前記制御手段は、与えられた前記物品IDに基づき、前記データベースを検索し、その物品が収容される前記収納体の収納体IDを提示することを特徴とする物品管理システムである。
【0023】
(2)また、本発明は、上記(1)記載の物品管理システムにおいて、前記制御手段は、前記検索の結果得られた前記収納体IDに基づき、前記RFID認識装置を用いて、前記収納体を探索し、見つけた場所を前記利用者に提示することを特徴とする物品の管理システムである。
【0024】
(3)また、本発明は、上記(1)又は(2)記載の物品管理システムにおいて、前記制御手段は、前記RFID認識手段が認識した収納体IDを受信し、前記撮像手段が、前記収納内に収容されている前記物品を撮影することによって得た光学式認識コードの画像データに基づき前記光学式認識コードをデコードして前記物品IDを得、前記受信した前記収納体IDと、前記得た前記物品IDと、に基づき、前記データベース中のデータを更新することを特徴とする物品の管理システムである。
【0025】
(4)また、本発明は、上記課題を解決するために、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の管理システムを用いて、所望の物品を探し出す物品探索方法において、所望の前記物品の物品IDを前記制御手段に入力するステップと、前記制御手段が、前記入力された前記物品IDに基づき、前記データベースを検索し、その物品が収容される前記収納体の収納体IDを見つけ、この見つけた収納体IDを利用者に提示するステップと、前記制御手段が、前記見つけた収納体IDに基づき、前記RFID認識装置を用いて、前記収納体を探索し、見つけた場所を前記利用者に提示するステップと、を含み、前記利用者は前記見つけた場所の収納体から所望の物品を見つけることを特徴とする物品探索方法である。
【0026】
(5)また、本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の管理システムを用いて、所定の物品を定められた収納体に収納する物品収納方法において、所望の前記物品の物品IDを前記制御手段に入力するステップと、前記制御手段が、前記入力された前記物品IDに基づき、前記データベースを検索し、その物品が収容される前記収納体の収納体IDを見つけ、この見つけた収納体IDを前記利用者に提示するステップと、前記制御手段が、前記見つけた収納体IDに基づき、前記RFID認識装置を用いて、前記収納体を探索し、見つけた場所を前記利用者に提示するステップと、を含み、前記利用者は前記見つけた場所の収納体に、所望の物品を収納することを特徴とする物品収納方法である。
【0027】
(6)また、本発明は、上記課題を解決するために、管理対象を、下層IDデータと、1又は複数の下層IDデータをまとめて管理するための上層IDデータと、を用いて管理を行うID管理方法において、1又は2以上の前記下層IDデータを光学式認識コードで表し、前記上層IDデータを電波を用いた自動認識コードで表すことを特徴とするID管理方法である。
【0028】
(7)また、本発明は、上記(6)記載のID管理方法において、前記光学式認識コードは、有彩色を含む色彩配列コードであることを特徴とするID管理方法である。
【0029】
(8)また、本発明は、上記(6)記載のID管理方法において、前記電波を用いた自動認識コードは、RFIDであることを特徴とするID管理方法である。
【0030】
(9)また、本発明は、上記(7)記載のID管理方法において、前記下層IDデータの認識においては、複数の色彩配列コードを一括して撮像し、得られた画像をデコードすることによって、前記複数の色彩配列コードを一括して読み取ることを特徴とするID管理方法である。
【0031】
(10)また、本発明は、上記(7)に記載のID管理方法において、前記下層IDデータを表す前記色彩配列コードと、前記下層IDデータを表す文字データと、管理対象である物品にマーキングすることを特徴とするID管理方法である。
【0032】
(11)また、本発明は、上記(7)に記載のID管理方法において、前記下層IDデータを表す自動認識コードとして、前記色彩配列コードに加えて、前記下層IDデータを表す他の光学的自動認識コードを共に用いることを特徴とするID管理方法である。
【0033】
(12)また、本発明は、上記(11)記載のID管理方法において、前記他の光学式認識コードは、バーコード、又は、OCRテキストであることを特徴とするID管理方法である。
【0034】
(13)また、本発明は、上記(11)記載のID管理方法において、前記色彩配列コードが表すデータと、前記他の光学的自動認識コードが表すデータとが同一であることを特徴とするID管理方法である。
【0035】
(14)また、本発明は、上記(11)記載のID管理方法において、前記色彩配列コードが表すデータは、前記下層IDデータの一部であり、前記他の光学的自動認識コードが表すデータは、前記下層IDデータの他の一部であることを特徴とするID管理方法である。
【0036】
(15)また、本発明は、上記(7)、又は、(9)〜(14)のいずれかに記載のID管理方法において、前記下層IDデータの認識において、前記色彩配列コードのデコードの際に撮像した、単数又は複数の前記色彩配列コードを含むキャプチャ画像を、前記上層IDデータと関連付けて記録することを特徴とするID管理方法である。
【0037】
(16)また、本発明は、上記(6)〜(15)のいずれかに記載のID管理方法において、物品の探索を行う場合に、その物品の前記下層IDデータに基づき、関連付けられた前記上層IDデータを得、得た上層IDデータを探すことを特徴とするID管理方法である。
【発明の効果】
【0038】
以上述べたように、本発明によれば、物品をより効率的に管理することができ、利便性に富む管理を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面に基づいて、本発明に係る管理システムの好適な実施の形態について説明する。
【0040】
物品及び収納体の仕様
本実施の形態においては、フォルダボックス10(収納体)に収納されたフォルダ15(物品)を管理する管理システム20を構成した。
【0041】
フォルダボックス10は、集合収納体の好適な一例である。また、フォルダ15は集合収納体に収納する物品の好適な一例である。
【0042】
図1には、この管理システム20が管理するフォルダボックス10と、フォルダ15とが示されている。この図に示すように、フォルダボックス10は、上面が開放された箱であり、その内部には複数個のフォルダ15が収納されている。このフォルダボックス10の一つの側面にはRFタグ25が付されている。このRFタグ25には、各フォルダボックス10を識別するフォルダボックスIDが記憶されている。
【0043】
一方、各フォルダ15においては、図1に示されるように、フォルダボックス10の上面側に露出されるフォルダ15の縁部に、色彩配列コード30がマーキングされている。この色彩配列コード30は、各フォルダ15を識別するフォルダIDを表している。なお、同様にして、全てのフォルダ15の縁部に設けられた色彩配列コード30が上方に露呈している。すなわち、全てのフォルダ15の縁部に設けられた全ての色彩配列コード30がフォルダボックス10の上面に表れている。
【0044】
なお、この色彩配列コードとは、色彩の配列のみによってデータを表す光学式自動認識シンボルの一種である。色彩配列コードを所定の撮像手段を用いて撮像し、その画像をデコード処理することによって、フォルダIDを読み取ることができる。また、複数の色彩配列コードを一度に撮像し、一括してそれら色彩配列コードが表すフォルダIDを読み取ることも可能である。
【0045】
管理システムの構成
図2には、読み取り動作を行う管理システム20が示されている。この図に示すように、管理システム20は、撮像手段35と、RFID認識装置40と、コンピュータ45とから構成される。なお、図2中には図示されていないが、このコンピュータ45は、フォルダIDと、フォルダボックスIDとを保存するデータベース50を備えている。
【0046】
撮像手段
この図2に示すように、撮像手段35は、フォルダボックス10の垂直上方に配置され、フォルダボックス10の上面に表された色彩配列コード30群の撮像を行う。撮像手段35が撮影した(色彩配列コード30群の)画像の画像信号は、コンピュータ45に取り込まれ、予めコンピュータ45にインストールされたデコードソフトウェアによってデコード処理が行われ、フォルダIDが読み取られる。
【0047】
なお、図2中には、CCDカメラを搭載した撮像手段35が示されているが、色彩配列コード30群の撮像を行うことができれば他の手段でもよく、例えばCMOSセンサー等を利用して撮像手段35を構成することも好ましい一例である。
【0048】
もちろん、画像データはLAN通信で基幹システムに送るケースや、ハンディターミナルの様に内部処理にてデコードしてしまうケースなどが想定できる。
【0049】
RFID認識装置
図2中のRFID認識装置40は、RFタグ25との間で電波を利用した通信を行い、フォルダボックスIDを読み取る。この図に示すように、RFID認識装置40は、RFタグ25が読み取り範囲内に入るように、フォルダボックス10の側面付近に配置される。なお、具体的な読み取り動作については、後に詳述する。
【0050】
コンピュータ45が備えるデータベース50の概念図が図3に示されている。このデータベース50は、フォルダIDと、フォルダボックスIDとを格納している。
【0051】
この図に示すように、データベース50は、フォルダID毎に一つのフォルダ配置情報記憶領域55が設けられている。各フォルダ配置情報記憶領域55は、フォルダID記憶層60と、フォルダボックスID記憶層65に区分けされている。フォルダID記憶層60には、一つのフォルダIDが登録される。また、フォルダボックスID記憶層65には、そのフォルダが格納されているフォルダボックスのフォルダボックスIDが登録される。
【0052】
例えば、図3には、6つのフォルダID(XY01、XY02、XY03、YY01、YY02、YY03)が登録されたデータベース50の概念図が示されている。
【0053】
この図に示すように、フォルダID「XY01」がフォルダID記憶層60に登録されているフォルダ配置情報記憶領域55aにおいては、そのフォルダボックスID記憶層65には、フォルダボックスID「0001」が登録されている。すなわち、これは、フォルダID=XY01であるフォルダ15が、フォルダボックスID=0001であるフォルダボックス10に収納されていることを表す。
【0054】
フォルダ配置情報記憶領域55b、55cについても、同様に、フォルダID=XY02、XY03である2個のフォルダ15が、フォルダボックスID=0001であるフォルダボックス10に収納されていることを表す。
【0055】
また、フォルダ配置情報記憶領域55d〜55fについても、同様に、フォルダID=YY01、YY02、YY03である3個のフォルダ15が、フォルダボックスID=0002であるフォルダボックス10に収納されていることを表す。
【0056】
このように、一つのフォルダID毎に、そのフォルダが格納されているフォルダボックスIDを登録しているので、各フォルダ15が、どのフォルダボックス10に収納されているのかを明確に登録することができる。
【0057】
管理システムの動作
次に、本実施の形態における管理システム20の動作について説明する。管理システム20は、以下に述べる2種の動作を行う。第1に、所望のフォルダ15を検索する動作である。第2に、新規なフォルダ15を登録する動作である。以下、順次説明する。
【0058】
(1)フォルダを検索して取り出す(フォルダの持ち出しを行う)動作
まず、所望のフォルダ15(フォルダID=XY01)を検索し、取り出す工程を、図4のフローチャートに基づき説明する。
【0059】
※なお、この図4中においては、新規なフォルダ15を収納する場合の動作が括弧で示されている。この収納する動作については、(2)で後述する。
【0060】
まず、図4中のS4−1において、利用者が、コンピュータ45に、探したいフォルダ15のフォルダID「XY01」を入力する。
【0061】
次に、図4中のS4−2において、コンピュータ45が、S4−1において入力されたにフォルダID(XY01)に基づいてデータベース50を検索し、そのフォルダID(XY01)を含むフォルダ配置情報記憶領域55aに登録されているフォルダボックスID(0001)を取得する。さらに、コンピュータ45は、この取得したフォルダボックスID(0001)を利用者に呈示する。
【0062】
次に、図4中のS4−3において、利用者は、RFID認識装置40を用いて、S4−2でコンピュータ45が呈示したフォルダボックスID(0001)が付されたフォルダボックス10を探し出す。
【0063】
次に、図4中のS4−4において、利用者が、S4−3で見つけ出したフォルダボックス10(フォルダボックスID=0001)内を確認し、目的のフォルダ15(フォルダID=XY01)の有無を確認する。なお、このS4−4においては、利用者が、撮像手段35を用いて、フォルダボックス10に収納されている3個のフォルダ15群のフォルダID(XY01、XY02、XY03)を読み取り、目的のフォルダ15(XY01)を特定する。
【0064】
次に、図4中のS4−5において、利用者は、探しているフォルダを確認した後、その見つけたフォルダ15(フォルダID=XY01)を取り出す。
【0065】
次に、図4中のS4−6において、利用者が、撮像手段35を用いて、S4−5で取り出したフォルダ15のフォルダID(XY01)を読み取り、これを取り出したフォルダである胸をコンピュータ45に指示する。
【0066】
このとき、コンピュータ45は、係る指示に基づき、読み取ったフォルダID(XY01)を、取り出されたフォルダIDを格納する領域に格納しておく。この結果、フォルダIDXY01が取り出されて、書庫にないことがコンピュータ45に登録される。
【0067】
なお、このS4−6の工程(取り出したフォルダを撮像することによって、フォルダIDをコンピュータ45に登録する)を実行せず、その代わりに、取り出された後のフォルダボックス10を撮像手段35で撮像し、残されたフォルダから、取り出されたフォルダが何であるのかを知ることも好適である。このような動作は、次のS4−7、S4−8で実行される。
【0068】
次に、S4−7において、利用者が、上記ステップS4−5で所望のフォルダ15を取り出した後に、撮像手段35を用いて、フォルダボックス10内に残ったフォルダ15の色彩配列コード30群を一括して取り込み、残されたフォルダのフォルダID(XY02、XY03)を読み取る。
【0069】
次に、S4−8において、コンピュータ45が、上記ステップS4−4で読み取ったフォルダID(XY01、XY02、XY03)と、S4−7で読み取ったフォルダID(XY02、XY03)とを比較し、取り出されたフォルダ15のフォルダID(XY01)を認識する。この認識したフォルダ15のフォルダIDを、利用者に提示する。
【0070】
次に、S4−9において、利用者が、上記ステップS4−8でコンピュータ45が呈示したフォルダID(XY01)が、S4−5で取り出したフォルダ15のフォルダID(XY01)と同一であるか否かを確認する。同一であった場合には、利用者は、コンピュータ45に対して、次に述べるS4−10を実行するように命令する。一方、同一でなかった場合には、利用者は、コンピュータ45に対して、後に述べるS4−11を実行するように命令する。
【0071】
図4中のS4−10においては、コンピュータ45は、フォルダID=XY01に対するフォルダ配置情報記憶領域55a中のフォルダボックスID記憶層65に、「取り出し中」である旨を登録する。
【0072】
この登録は、格納されていたフォルダボックスIDがわかるようにして登録しておくことが好ましい。例えば、フォルダID記憶層65の値を「0001」→「5001」のように、最上位の値だけを変更し、この変更後の「5」が「取り出し中」を表すように設定することも好適である。この場合、最上位が「0」の場合はもちろん、フォルダボックスID=0001中に格納されていることを表す。
【0073】
一方、図4中のS4−11においては、何らかのエラーが生じたと判断し、読み直しを行う。すなわち、撮像手段35が再度、フォルダボックス10内に残った2個のフォルダ15(フォルダID=XY02、XY03)の色彩配列コード30群の画像を撮像し、コンピュータ45がデコードを行い、それらのフォルダIDを得る。そして、上で述べたS4−9に戻り、利用者に対して、読み取ったフォルダID(XY02、XY03)を呈示する。
【0074】
以上で、所望のフォルダ15(フォルダID=XY01)を取り出す動作が終了する。
【0075】
(2)新たなフォルダを収納する動作
次に、新たなフォルダ15(フォルダID=XY04)を、フォルダボックス10(フォルダボックスID=0001)に収納する工程を、図4に基づいて説明する。なお、このフォルダ15を収納する動作は、図4中において括弧で示されている。
【0076】
まず、図4中のS4−1において、利用者が、新たに収納しようとするフォルダ15のフォルダID「XY04」を、コンピュータ45に入力する。
【0077】
次に、S4−2において、コンピュータ45が、データベース50を検索し、フォルダID=XY04であるフォルダ15を収納するべきフォルダボックス10のフォルダボックスID(例えば、0001)を取得する。さらに、コンピュータ45は、この取得したフォルダボックスID(ここでは、例として0001としておく)を、利用者に呈示する。
【0078】
次に、S4−3において、利用者が、RFID認識装置40を用いて、フォルダボックスID=0001であるフォルダボックス10を探し出す。
【0079】
次に、図4中のS4−4において、利用者が、撮像手段35を用いて、フォルダボックス10(フォルダボックスID=0001)内のフォルダ15群の画像を撮像する。すなわち、フォルダボックス10(フォルダボックスID=0001)内のフォルダ15群のフォルダID(例えば、XY01、XY02、XY03の3個のフォルダID)を読み取り、コンピュータ45が、そのフォルダID(XY01、XY02、XY03)を、所定の一時的な記憶領域に保存する。
【0080】
これは、要するに、新しいフォルダ15を収納する前の状態を記憶しているのである。
【0081】
次に、図4中のS4−5において、利用者が、探し出したフォルダボックス10(フォルダボックスID=0001)に、新たなフォルダ15(フォルダID=XY04)を収納する。
【0082】
なお、収納する前に、利用者が、撮像手段35を用いて、この新たなフォルダ15のフォルダID(XY04)を読み取り、このフォルダID(XY04)を、コンピュータ45が、所定の記憶領域に保存することも好ましい(ステップS4−6)。これは、新たに収容するフォルダ15のIDを記憶しておくためである。
【0083】
この新たに収容するフォルダ15のIDは、ステップS4−1において、利用者が入力するか、このステップS4−5において撮像手段35で撮像してコンピュータ45が光学式認識コードをデコードして得るか、のいずれかを行うことによって得られる。
【0084】
次に、S4−7において、利用者は、撮像手段35を用いて、フォルダボックス10(フォルダボックスID=0001)内のフォルダ15群のフォルダID(XY01、XY02、XY03、XY04)を一括して読み取り、コンピュータ45が、そのフォルダID(XY01、XY02、XY03、XY04)を、所定の記憶領域に保存する。これは、要するに、収容後のフォルダボックス10内の様子を記憶するためである。
【0085】
次に、S4−8において、コンピュータ45は、S4−4で読み取ったフォルダID(XY01、XY02、XY03)と、S4−5で読み取ったフォルダID(XY01、XY02、XY03、XY04)とを比較し、その相違点から、新たに収納されフォルダ15のフォルダID(=XY04)を認識する。
【0086】
その新しく収容したフォルダID(XY04)を利用者に呈示する。
【0087】
なお、上記ステップS4−5において、利用者が、撮像手段35を用いて、新たに収納したフォルダ15のフォルダID(XY04)を読み取った場合には、コンピュータ45は、その読み取ったフォルダID(XY04)を利用者に呈示することも好適な一例である。
【0088】
次に、図4中のS4−9において、利用者が、S4−8でコンピュータ45が呈示したフォルダID(XY04)が、S4−5で収納したフォルダ15のフォルダID(XY04)と同一であるか否かを確認する。同一であった場合には、利用者は、コンピュータ45に対して、次に述べるS4−10を実行するように命令する。一方、同一でなかった場合には、利用者は、コンピュータ45に対して、後に述べるS4−11を実行するように命令する。
【0089】
図4中のS4−10においては、新しく収容したフォルダ15が正常に収容されたことが確認できたので、コンピュータ45は、上記ステップS4−1で利用者が入力したフォルダID(XY04)に対応するフォルダ配置情報記憶領域55のフォルダボックスID記憶層65に、フォルダボックスID「0001」を登録する。
【0090】
すなわち、
XY04 0001
というレコードが作成されるのである。一般には、既にフォルダ15(=XY04)のレコードが存在するので、そのレコードの内容が上記の値に書き換えられることによって、上記のレコードが作成される。
【0091】
一方、図4中のステップS4−11においては、コンピュータ45は、フォルダボックス10(フォルダボックスID=0001)内のフォルダ15群のフォルダID(XY01、XY02、XY03、XY04)を再度読み込む。そして、コンピュータ45は、S4−9に処理が移行する。このような動作によって、読み間違い等が生じた場合にもそれを訂正することができる。
【0092】
以上で、新たなフォルダ15(フォルダID=XY04)を収納する動作が終了する。
【0093】
まとめ
これまで述べてきたように、本実施の形態における管理システム20は、以下の特徴を備えるものである。
【0094】
(1)フォルダボックス10を探すのは、RFID認識装置40と、コンピュータ45とによって行う。
【0095】
(2)フォルダボックス10内のフォルダ15の把握は、色彩配列コード体系を利用した撮像手段35と、コンピュータ45とを用いて行う。
【0096】
(3)データベース50においては、図3に示すように、1個のフォルダ15に対して一つのフォルダ配置情報記憶領域55が設けられており、そこにフォルダボックス10とフォルダ15との収納・被収納の関係が明確に記録される。
【0097】
(4)フォルダIDの管理は、例えば、図4に示されるフローチャートに基づいて行われ、明確な規則の下に行われる。
【0098】
この結果、所定のフォルダ15が、どのフォルダボックスに収容されているか? 又は取り出されて外部に存在するのか? について、従来より正確に、また従来より確実に知ることが可能である。従って、この把握した状態に基づいて、RFIDで所望のフォルダボックス10を探すことが可能である。
【0099】
本実施の形態における管理システム20は、このような特徴を有しているので、フォルダボックス10と、フォルダ15との収納・被収納の関係を容易に知ることが可能である。また、本実施の形態における管理システム20によれば、所望のフォルダ15が収納されているフォルダボックス10を確実に探し出すことが可能である。
【0100】
また、この管理システム20によれば、所望のフォルダ15を探すことができるだけでなく、取り出されているフォルダ15のフォルダIDを容易に知ることができる。また、一度取り出したフォルダ15を、元のフォルダボックス10とは異なるフォルダボックス10に収納した場合にも、そのフォルダ15が収納されたフォルダボックス10を容易に特定することが可能になる。
【0101】
また、同様に、本管理システムによれば、単にフォルダ15を探すだけでなく、フォルダ15の使用状況、整理乱れの状況等を、トータルに把握することが可能である。またそのトータルな把握に基づく管理もまた可能である。
【0102】
また、さらに、各フォルダ14に取り付けられた色彩配列コード30群を、移動カメラなどを用いて定期的に読み取り、データベース50に保存されたフォルダIDと照合する作業を行うことによって、データベース50に誤ったフォルダIDが登録された場合にも、その誤りを容易に修正することが可能である。すなわち、人為的なミスを修正することが可能である。
【0103】
なお、本実施の形態におけるフォルダIDは、特許請求の範囲に記載の物品IDの好適な一例に相当する。また、本実施の形態におけるフォルダボックスIDは、特許請求の範囲に記載の収納体IDの好適な一例に相当する。
【0104】
実施の形態2
色彩配列コードの利用者に対する利便性
これまでにも述べてきたように、本実施の形態における管理システム20は、撮像手段35によって取り込まれた色彩配列コード30群の画像をデコード処理してフォルダIDを取得する。この取り込まれ画像は、コンピュータ45によって、所定の記憶領域に保存される。いわゆるログデータとして記録・保存しておくことが好ましい。
【0105】
このように、色彩配列コードを利用してフォルダIDを表すことは、利用者にとって、例えば以下に述べるような利便性があると考えられる。すなわち、例えば、もし、デコード処理に失敗し、画像に含まれる全ての色彩配列コード30をデコードできない場合が発生しても、利用者が、コンピュータ45に取り込まれた画像を確認することによって、その取得できなかったフォルダIDを目視によって読み取ることができる場合がある。
【0106】
また、一定の期間が経過した後でも、ログデータとして保存された色彩配列コード30群の画像に基づけば、デコードの失敗を再現することできると考えられ、その失敗の原因を精度良く見つけ出すことも可能になる。
【0107】
このように画像データを保存しておけば、読み取りの失敗が判明した場合に、過去の画像データから失敗の様子等も容易に再現することができ、問題点を容易に特定することができる。従って、いわゆるメンテナンスが行いやすいシステムを提供することが可能である。
【0108】
利用者が肉眼によって検査や修正を行いやすくするために、種々の工夫をしておくことが好ましい。例えば、利用者がフォルダIDを認識しやすくするために、色彩配列コードに近接する位置に、フォルダIDを表す数字を文字によって記載することも好ましい一例である。この例が、図5に示されている。
【0109】
この図5には、2個のフォルダ70、80が示されている。この図に示されるように、フォルダ70の縁部には、色彩配列コード75がマーキングされており、その色彩配列コード75に近接する位置には、フォルダ70のフォルダIDを表す文字「4453」が書き込まれている。また、同様に、フォルダ80の縁部には、色彩配列コード85がマーキングされており、その色彩配列コード85に近接する位置に、フォルダ80のフォルダIDを表す文字「1384」が書き込まれている。
【0110】
この結果、管理システム20が利用者に呈示する画像には、これら2つの色彩配列コード75、80と、文字「4453」、「1384」とが同時に映し出される。従って、利用者は、映し出された文字から、フォルダID「4453」及び「1384」を読み取ることが可能になる。
【0111】
また、フォルダIDを色彩配列コードで表し、その近傍にそのIDを文字で表示することによって、肉眼による確認を行いやすくなるので、デコード処理における読み取り間違いがデータベース50に反映されるのを防ぐことも可能な場合がある。
【0112】
である。この例が、図6に示されている。
【0113】
この図6には、所定のフォルダ95をフォルダボックス90から取り出す動作を行う場合の途中の様子を示す、コンピュータ45のコンピュータ画面100が示されている。
【0114】
図6で示されたコンピュータ画面100は、所定のフォルダ95を取り出した後に、フォルダボックス90に収容されたフォルダを撮影した画像が示されている。これに先だって、フォルダ95を取り出す前においても、のフォルダボックス90に収容された(8個の)フォルダ95を撮影しておりデコードを行っているものとする。
【0115】
さて、図6のこのコンピュータ画面100におけるデコード処理の対象は、フォルダボックス90に収納された7個のフォルダ95a、95b、95c、95d、95e、95f、95gにマーキングされた色彩配列コードである。
【0116】
この図6の画像を撮影する前は、フォルダボックス90には8個のフォルダ95が収容されており、そこから1個のフォルダ95が抜き取られ、残りの7個のフォルダ95がフォルダボックス90に残っている様子が図6に示されている。
【0117】
1個のフォルダ956を抜き取る前に置いては、コンピュータ45は、これら7個のフォルダ95群の色彩配列コードを読み取る以前に、予め8個のフォルダID(3122、6521、9084、7358、1362、5592、3864、1234)を読み取っているものとする。
【0118】
そして、1個のフォルダ95(フォルダID=1234)がフォルダボックス90から取り出された後に、残った7個のフォルダ95群の色彩配列コードについてデコード処理を行っている様子が図6に示されている。
【0119】
この図6に示されるように、コンピュータ画面100の右側には、7個のフォルダ95群の色彩配列コードを、フォルダボックス90の上方から撮像した画像が示されている。また、左側には、フォルダ95(フォルダID=1234)が取り出される前後に読み取ったフォルダIDが列挙されている。
【0120】
本実施の形態の図6において特徴的なことは、コンピュータ45が、フォルダ95(フォルダID=1234)が取り出される前に読み取ったフォルダIDと、取り出された後に読み取ったフォルダIDとを比較し、取り出し前及び後のどちらにおいても読み取れたフォルダID(3122、6521、9084、7358、1362、5592)を、コンピュータ画面100の左上部に表示していることである。
【0121】
これによって、これらの6個のフォルダIDが付されたフォルダ95群は、このフォルダボックス90に収納されたままであることを利用者は容易に理解することができる。
【0122】
次に、本実施の形態の図6において特徴的なことは、コンピュータ画面100の左下部には、フォルダ95(フォルダID=1234)が取り出される前に読み取ったフォルダIDのうち、後に読み取れなかったフォルダID(3864、1234)が表示されている。
【0123】
明らかに、これら2個のフォルダIDが付されたフォルダ95群は、
・取り出された(今は画像中には存在しない)フォルダ95のフォルダIDであるか、 ・フォルダ95が画像中に存在するにも関わらず、デコード処理に失敗し読み取れなかったフォルダIDであるか、
のいずれかである。
【0124】
従って、利用者は、このコンピュータ画面100を観察し、色彩配列コードを撮像した画像中にフォルダID=3864であるフォルダ95eが映し出されているので、フォルダID=3864は読み取りに失敗したフォルダIDであることを知ることができる。
【0125】
さらに、利用者は、この画像中にフォルダID=1234であるフォルダが映し出されていないので、このフォルダID(1234)は、取り出されたフォルダ95のフォルダIDであることを知ることができる。
【0126】
この結果、例えば、利用者が、自らコンピュータ45にフォルダID「3864」を入力することによって、本来登録されるべき7個のフォルダ95群を、間違いなくデータベース50に登録することができる。すなわち、デコードのミスを容易に発見することができるので、利用者は容易にそのミスを修正することができるのである。
【0127】
このように、本実施の形態の図6においては、コンピュータ画面100に、デコード処理に用いられた色彩配列コードの画像を表示し、かつ、色彩配列コードの近傍にIDのデータ(数字等)を記載しておいたので、それを利用者が確認することによって、デコード処理における読み取り間違い等が容易に判明するので、修正等を容易に行うことが可能である。その結果、いわゆるメンテナンスのしやすいシステムを構築することが可能である。
【0128】
実施の形態3 変形例
これまで、本実施の形態においては、「収納体」としてフォルダボックスの例を挙げた。また、収納される「物品」がフォルダである例を挙げて、説明してきた。しかしながら、もちろん、他の物品及び収納体の管理のために管理システム20を利用することも好ましい一例である。
【0129】
例えば、図7には、6着の衣類105群を、結束ベルト110で束ねた例が示されている。この図に示すように、各衣類105には、右肩部上に色彩配列コード115がマーキングされたシールが貼付されている。また、結束ベルト110の表面上には、外部から視認できる位置にRFタグ120が付されている。これら6つの色彩配列コード115群と、RFタグ120とを、管理システム20が読み取ることによって、この衣類105群を管理することも本実施の形態における好ましい一例である。
【0130】
また、図8には、集合箱125内に納められた26個の基板アセンブリ130群が示されている。この図に示されるように、この集合箱125は、上面が開放された箱である。また、この集合箱125の1側面の表面上には、1個のRFタグ135が取り付けられている。一方、基板アセンブリ130群の端面のうち、上方に露出する端面には、色彩配列コード140がマーキングされている。これらRFタグ135と、色彩配列コード140群とを、管理システム20が読み取ることによって、この基板アセンブリ130群を管理することも本実施の形態における好ましい一例である。また、もちろん、本実施の形態における管理システム20を、他の工業製品の管理のために用いることも好ましい一例である。
【0131】
実施の形態4 階層管理
これまで、
・フォルダと、フォルダボックス
・衣類と、結束バンド
・基板アセンブリと、集合箱
のように、所定の物品と、その物品を収納(まとめて結束する)等する収納体と、という構成について管理を行う技術を説明してきた。
【0132】
しかしながら、本発明は、必ずしも、「物品」とその「収納体」という枠組みにとらわれず、上位の管理層、下位の管理層の2階層以上で自動認識コードの管理を行う場合には全てに適用可能なものである。
【0133】
すなわち、管理対象に何らかのそのIDを表すための自動認識コードを付し(マーキング)、それを用いて管理を行う場合に、2種類の自動認識コードを用いて管理を行うことを本発明は提案するものである。なお、このような管理方法をID管理方法と呼ぶ。IDとは、対象によって様々なデータとなりうる。その管理対象が商品であれば、値段や名称、産地、品質、等級などがIDとなりうる。その管理対象が患者であれば、患者の氏名、年令、症状、治療履歴等がIDとなりうる可能性がある。また、水族館であれば、各水槽の魚の種類や名称、産地等がIDとなりうる。
【0134】
そして、下位の管理層においては、光学式認識コード(色彩配列コード、バーコード、2次元バーコードなど)でそのID管理を行い、下位の1個又は複数個のIDをまとめて管理する上位の管理層においては、電波によるID管理を行うのである。
【0135】
このような手法は、RFIDなど、電波によるID管理と、光学式認識コードを用いたID管理とを組み合わせて、両者の特徴を生かしつつ、欠点を補うことができる管理システムである。
【0136】
すなわち、電波によるID管理は、離間した場所や隠れた場所にある物品でもそのIDを検知することが可能であるが、逆に細かい位置の検知までは困難である。従って、上位階層における管理に適している。
【0137】
一方、光学式認識コードは、その物品が見えていなければその物品のIDを検知することはできないが、CCDカメラ等で撮像することによって、具体的にその物品の位置を認識することが可能であり、また、人間の肉眼によるチェックと補間しやすく、エラーの修正や補正等も容易である。従って、下位の階層の管理に適しているのである。
【0138】
これらそれぞれ特徴を有するID管理の仕組みを融合させ、お互いの欠点を補い、双方の長所を生かすことができるシステムを構築することができたものである。
【0139】
なお、ここでは、「上位」「下位」と記述しているが、これを「上層」「下層」と呼ぶ場合もある。
【0140】
階層管理の実際の例
本実施の形態では、階層管理に置いて、下位IDデータを光学的認識コードで表し、上位IDデータをRFIDで表すことを提案した。ここで、下位IDデータは、先の実施の形態で説明してきたように、色彩配列コードを用いることが好適であるが、いわゆるバーコード(OCRのテキスト等も好ましい)などを併用すればより確実にIDを読み取ることが可能となる。
【0141】
このように複数の光学式認識コードを併用した場合は、それぞれ同様の下位IDデータを表すのが好ましいが、下位IDデータが長い場合などは、それぞれ個別のIDデータを分担して表すことも好ましい。例えば、下位IDデータの上の半分の桁を色彩配列コードで表現し、下の半分の桁をバーコードで表すことも好適である。
【0142】
また、これらの光学式認識コードと共に、文字でIDデータを記述しておけば、利用者が肉眼でIDを確認でき、利便性が向上する。特に、読み取りエラーが生じた場合等に置いても肉眼で読み取ることによって復旧を容易に行うことが可能である。
【0143】
また、下位IDデータを表す光学式認識コードを撮像して得た画像データはいわゆるログデータ、アーカイブとして保存しておくことが好ましいが、この場合上位IDデータと関連付けて保存しておくことが好ましい。このように保存しておくことによって、上位IDデータから下位IDデータを検索する、又はその逆に下位IDデータから上位IDデータを検索する等の処理が容易となり、ログデータの検査等を行いやすくなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】色彩配列コードのマーキング位置、及びRFタグの配置位置を示す図である。
【図2】管理システムの構成を示す構成図である。
【図3】データベース内の構成を示す概念図である。
【図4】管理システムの動作を示すフローチャートを示す図である。
【図5】色彩配列コードと、フォルダIDを表す数字との位置関係を示す図である。
【図6】デコード処理を行うコンピュータ画面を示す図である。
【図7】結束ベルトによって束ねられた衣類を示す図である。
【図8】集合箱に収納された基板アセンブリを示す図である。
【符号の説明】
【0145】
10 フォルダボックス
15 フォルダ
20 管理システム
25 RFタグ
30 色彩配列コード
35 撮像手段
40 RFID認識装置
45 コンピュータ
50 データベース
55 フォルダ配置情報記憶領域
60 フォルダID記憶層
65 フォルダボックスID記憶層
70 フォルダ
75 色彩配列コード
80 フォルダ
85 色彩配列コード
90 フォルダボックス
95a〜95g フォルダ
100 コンピュータ画面
105 衣類
110 結束ベルト
115 色彩配列コード
120 RFタグ
125 集合箱
130 基板アセンブリ
135 RFタグ
140 色彩配列コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品にマーキングされた光学式自動認識コードを撮像する撮像手段と、
前記物品を収納する収納体に付されたRFタグを読み取るRFID認識手段と、
前記撮像手段が撮像した画像データをデコードして前記物品の物品IDを得、前記RFID認識手段が読み取った前記収納体の収納体IDを受信する制御手段と、
前記物品の物品IDと、その物品が収容される前記収納体の収納体IDとを、関連付けて記憶するデータベースと、
を備え、
前記制御手段は、与えられた前記物品IDに基づき、前記データベースを検索し、その物品が収容される前記収納体の収納体IDを提示することを特徴とする物品管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の物品管理システムにおいて、
前記制御手段は、
前記検索の結果得られた前記収納体IDに基づき、前記RFID認識装置を用いて、前記収納体を探索し、見つけた場所を前記利用者に提示することを特徴とする物品の管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の物品管理システムにおいて、
前記制御手段は、
前記RFID認識手段が認識した収納体IDを受信し、
前記撮像手段が、前記収納内に収容されている前記物品を撮影することによって得た光学式認識コードの画像データに基づき前記光学式認識コードをデコードして前記物品IDを得、
前記受信した前記収納体IDと、前記得た前記物品IDと、に基づき、前記データベース中のデータを更新することを特徴とする物品の管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の管理システムを用いて、所望の物品を探し出す物品探索方法において、
所望の前記物品の物品IDを前記制御手段に入力するステップと、
前記制御手段が、前記入力された前記物品IDに基づき、前記データベースを検索し、その物品が収容される前記収納体の収納体IDを見つけ、この見つけた収納体IDを利用者に提示するステップと、
前記制御手段が、前記見つけた収納体IDに基づき、前記RFID認識装置を用いて、前記収納体を探索し、見つけた場所を前記利用者に提示するステップと、
を含み、前記利用者は前記見つけた場所の収納体から所望の物品を見つけることを特徴とする物品探索方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の管理システムを用いて、所定の物品を定められた収納体に収納する物品収納方法において、
所望の前記物品の物品IDを前記制御手段に入力するステップと、
前記制御手段が、前記入力された前記物品IDに基づき、前記データベースを検索し、その物品が収容される前記収納体の収納体IDを見つけ、この見つけた収納体IDを前記利用者に提示するステップと、
前記制御手段が、前記見つけた収納体IDに基づき、前記RFID認識装置を用いて、前記収納体を探索し、見つけた場所を前記利用者に提示するステップと、
を含み、前記利用者は前記見つけた場所の収納体に、所望の物品を収納することを特徴とする物品収納方法。
【請求項6】
管理対象を、下層IDデータと、1又は複数の下層IDデータをまとめて管理するための上層IDデータと、を用いて管理を行うID管理方法において、
1又は2以上の前記下層IDデータを光学式認識コードで表し、
前記上層IDデータを電波を用いた自動認識コードで表すことを特徴とするID管理方法。
【請求項7】
請求項6記載のID管理方法において、
前記光学式認識コードは、有彩色を含む色彩配列コードであることを特徴とするID管理方法。
【請求項8】
請求項6記載のID管理方法において、前記電波を用いた自動認識コードは、RFIDであることを特徴とするID管理方法。
【請求項9】
請求項7に記載のID管理方法において、
前記下層IDデータの認識においては、複数の色彩配列コードを一括して撮像し、得られた画像をデコードすることによって、前記複数の色彩配列コードを一括して読み取ることを特徴とするID管理方法。
【請求項10】
請求項7に記載のID管理方法において、
前記下層IDデータを表す前記色彩配列コードと、前記下層IDデータを表す文字データと、管理対象である物品にマーキングすることを特徴とするID管理方法。
【請求項11】
請求項7に記載のID管理方法において、
前記下層IDデータを表す自動認識コードとして、前記色彩配列コードに加えて、前記下層IDデータを表す他の光学的自動認識コードを共に用いることを特徴とするID管理方法。
【請求項12】
請求項11に記載のID管理方法において、前記他の光学式認識コードは、バーコード、又は、OCRテキストであることを特徴とするID管理方法。
【請求項13】
請求項11に記載のID管理方法において、
前記色彩配列コードが表すデータと、前記他の光学的自動認識コードが表すデータとが同一であることを特徴とするID管理方法。
【請求項14】
請求項11に記載のID管理方法において、
前記色彩配列コードが表すデータは、前記下層IDデータの一部であり、前記他の光学的自動認識コードが表すデータは、前記下層IDデータの他の一部であることを特徴とするID管理方法。
【請求項15】
請求項7、又は、請求項9〜14のいずれかに記載のID管理方法において、
前記下層IDデータの認識において、前記色彩配列コードのデコードの際に撮像した、単数又は複数の前記色彩配列コードを含むキャプチャ画像を、前記上層IDデータと関連付けて記録することを特徴とするID管理方法。
【請求項16】
請求項6〜15のいずれかに記載のID管理方法において、
物品の探索を行う場合に、その物品の前記下層IDデータに基づき、関連付けられた前記上層IDデータを得、得た上層IDデータを探すことを特徴とするID管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−237603(P2009−237603A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79046(P2008−79046)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(506226175)ビーコア株式会社 (39)
【Fターム(参考)】