説明

光学成形品の成形用金型の加工方法及び金型

【課題】大面積を有する光学シート29を成形するキャビティ面(転写成形面)30を備えた成形用金型21(キャビティ面シート部材26)の生産性を効率良く向上させる。
【解決手段】まず、塗布板3に塑性変形性を有するSOG材料をスピンコートしてシート状金型材料2を形成し、次に、シート状金型材料2にマトリクス型にて配置した被押圧範囲10の夫々に、各別に且つ順次に、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7を連続して押圧することにより、駒型7の押圧面9に対応した所要の微細凹凸形状の光学パターン11を有するマトリクス型配置全面12(光学パターン成形面14)を備えたキャビティ面シート部材26(成形用金型21)を加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、光学シート等の光学成形品を成形する光学成形品の成形用金型及びその金型の加工方法の改良に係り、特に、大面積を有する光学シート(大面積を有する光学成形品)を成形するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、射出成形用の金型、圧縮成形用の金型、プレス成形用の金型等を含む適宜な光学成形品の成形用金型を用いて、シート状(板状)の光学部材(例えば、光学シート、導光板)等の光学成形品を成形することが行われている。
また、昨今、薄型テレビ等に大画面化が要求されるようになり、テレビ画面用の光学成形品を成形する成形用金型キャビティの成形面(転写面)を大面積化することが求められている。
【0003】
即ち、従来から、例えば、射出成形用金型を用いて、(或いは、図5に示すような圧縮成形用金型を用いて、)薄型テレビの大画面に採用される大面積を有する光学シート(光学成形品)を成形用の金型キャビティ内で射出成形することが行われている。
従って、まず、成形用キャビティ内に加熱溶融化した樹脂材料を注入充填し、次に、成形用キャビティ内の樹脂を冷却固化することにより、成形用キャビティにおける所要の微細形状に対応した大面積を有する光学シートを射出成形することができる。
このとき、成形用キャビティ成形面(転写面)の形状を、大面積を有する光学シートにおける大面積化した表面に成形転写することができる。
なお、例えば、大面積を有する光学シートについて、光学シートの一方の面(入光面)から他方の面(出光面)に光を透過させることになる。
【0004】
また、従来から、大面積を有する光学シートを成形するキャビティ成形面(転写面)を備えた金型部材(本発明に係るキャビティ成形面シート部材に対応する部材)は、例えば、次のようにして加工されている。
即ち、金型材料(鋼材等)の被加工面をダイヤモンド工具にて楕円振動切削加工することにより、V字溝等の所要微細形状を有するキャビティ成形面が形成されている。
従って、この楕円振動切削加工した所要の微細形状を有するキャビティ成形面を備えた金型キャビティ内で大面積を有する光学シートが成形されることになる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−177404号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
即ち、前述したように、大面積を有する光学シート(大面積を有する光学成形品)を成形用金型で成形するために、金型材料(鋼材等)の被加工面をダイヤモンド工具(切削工具)にて楕円振動切削加工することにより、所要の微細凹凸形状のキャビティ成形面を有する金型部材を形成することが行われている。
しかしながら、この場合、この金型の加工時間が長時間になるので、金型キャビティ成形面を有する金型部材を効率良く加工することができないと云う弊害がある。
また、金型材料(鋼材等)の被加工面が加工熱によって変形することにより、また、切削工具が磨耗することにより、金型キャビティ成形面に、切削工具の先端形状に対応した所要の微細凹凸形状を効率良く加工することができないと云う弊害がある。
【0007】
従って、本発明は、大面積を有する光学成形品を成形するキャビティ成形面を備えた成形用金型(キャビティ成形面シート部材)を効率良く加工することができる光学成形品の成形用金型の加工方法及びその金型を提供することを目的とする。
即ち、大面積を有する光学成形品を成形するキャビティ成形面を備えた成形用金型(キャビティ成形面シート部材)の生産性を効率良く向上させることができる光学成形品の成形用金型の加工方法及びその金型を提供することを目的とする。
また、本発明は、大面積を有する光学成形品を成形する成形用金型(キャビティ成形面シート部材)のキャビティ成形面に所要の形状を効率良く加工することができる光学成形品の成形用金型の加工方法及びその金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した技術的課題を解決するための本発明に係る光学成形品の成形用金型の加工方法は、所要形状の光学パターンを有する光学成形品を成形する光学成形品の成形用金型を加工する光学成形品の成形用金型の加工方法であって、前記した金型に加工される金型材料を用意する工程と、前記金型材料を押圧して所要形状の光学パターンを加工する駒型を用意する工程と、前記した金型材料に前記した駒型を押圧することにより、前記した金型に所要形状の光学パターンを加工する工程とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る光学成形品の成形用金型の加工方法は、前記した金型材料に駒型を押圧するとき、前記した駒型を振動させた状態で、前記した駒型を金型材料に押圧する工程を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、前記技術的課題を解決するための本発明に係る光学成形品の成形用金型の加工方法は、前記した金型材料に駒型を押圧するとき、前記した金型材料の所要複数個所に各別に前記した駒型で押圧する工程を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る光学成形品の成形用金型の加工方法は、前記した金型材料を用意するときに、塗布板に金型材料をスピンコートすることにより、前記した塗布板に所要の厚さを有するシート状の金型材料を形成する工程を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る光学成形品の成形用金型の加工方法は、前記した金型材料が、塑性変形性を有する材料であることを特徴とする。
【0013】
また、前記技術的課題を解決するための本発明に係る光学成形品の成形用金型の加工方法は、前記した金型材料が、スピンオングラス材料であることを特徴とする。
【0014】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る光学成形品の成形用金型の加工方法は、前記したスピンオングラス材料が、水素化シルセスキサンポリマー、或いは、アルキルシルセスキオサンポリマーであることを特徴とする。
【0015】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る光学成形品の成形用金型は、光学成形品成形用の金型キャビティ内で所要形状の光学パターンを有する光学成形品を成形する光学成形品の成形用金型であって、前記した金型キャビティの成形面を、前記した光学成形品の所要形状の光学パターンに対応した所要形状の光学パターンを有する駒型を金型材料に押圧して形成した所要形状の光学パターンにて形成したことを特徴とする。
【0016】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る光学成形品の成形用金型は、前記した金型材料が、塑性変形性を有する材料であることを特徴とする。
【0017】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る光学成形品の成形用金型は、前記した金型材料が、スピンオングラス材料であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
即ち、本発明は、従来例に示すキャビティ成形面(鋼材等)を一括して楕円振動切削する構成に比べて、インプリント用の駒型を超音波振動させた状態で、塑性変形性を有する(シート状の)金型材料の所要複数個所の夫々に、各別に、駒型を押圧することにより、大面積を有する光学成形品を成形するキャビティ成形面を備えた成形用金型(キャビティ成形面シート部材)を効率良く(短時間で)加工する構成である。
このため、本発明によれば、大面積を有する光学成形品(光学シート)を成形するキャビティ成形面を備えた成形用金型(キャビティ成形面シート部材)を効率良く加工することができる光学成形品の成形用金型の加工方法及びその金型を提供することができると云う優れた効果を奏する。
また、本発明によれば、大面積を有する光学成形品を成形するキャビティ成形面を備えた成形用金型(キャビティ成形面シート部材)の生産性を効率良く向上させることができる光学成形品の成形用金型の加工方法及びその金型を提供することができると云う優れた効果を奏する。
また、本発明によれば、大面積を有する光学成形品を成形する成形用金型(キャビティ成形面シート部材)のキャビティ成形面に所要の形状を効率良く加工することができる光学成形品の成形用金型の加工方法及びその金型を提供することできると云う優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
まず、本発明に係る実施例を詳細に説明する。
図1、図2、図3は、本発明に係る光学シートを成形するキャビティ成形面(転写面)を有するキャビティ成形面シート部材(成形用金型)を加工する加工装置である。
図4(1)、図4(2)、図4(3)は、本発明に係るキャビティ成形面シート部材(成形用金型)におけるキャビティ成形面を加工する方法の説明図である。
図5(1)、図5(2)は、本発明に係る光学成形品の成形用金型である。
【0020】
なお、本発明は、後述するように、図1、図2、図3に示す成形用金型の加工装置を用いることにより、図4(1)、図4(2)、図4(3)に示すナノインプリントによる加工方法にて、図5(1)、図5(2)に示す成形用金型に設けられる光学シート成形用の金型キャビティにおけるキャビティ成形面(転写面)を備えたキャビティ成形面シート部材(金型部材)を加工するものである。
また、本発明は、塑性変形性を有するシート状の金型材料(例えば、後述するSOG材料)にマトリクス型にて配置された矩形状の被押圧範囲(所要複数個所)の夫々に、各別に且つ順次に(順番に)、駒型(ナノインプリント型)を超音波振動させた状態で、駒型を連続して押圧する(押し付ける)ことにより、大面積を有する光学シート(光学成形品)を成形するキャビティ成形面(転写面)を加工するものである。
このため、駒型の押圧面における所要の微細凹凸形状の光学パターンが、シート状(薄膜状)の金型材料のマトリクス型配置された被押圧範囲(被押圧面)の夫々に対して転写して形成されることになる(ナノインプリントされることになる)。
従って、シート状の金型材料を駒型で加工することにより、所要の微細凹凸形状を有する光学パターンのキャビティ成形面(光学パターン成形面)を備えたキャビティ成形面シート部材が形成されることになる。
【0021】
(成形用金型の加工装置の全体構成について)
即ち、図1、図2、図3に示すように、成形用金型の加工装置1には、後述するようなシート状の金型材料2を所要の厚さにて塗布して載置する塗布板3と、塗布板3を載置する塗布板の載置テーブル4とが設けられて構成されている。
従って、シート状金型材料2を所要の厚さにて塗布した塗布板3を載置テーブル4に載置することにより、シート状金型材料2を加工装置1に水平面状態で設置することができるように構成されている。
なお、後述するように、所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11のキャビティ成形面30を備えたシート状金型材料2が、光学成形品の成形用金型21に設けられるキャビティ成形面シート部材26(金型分割部材)となるものである。
【0022】
また、図示はしていないが、加工装置1には、塗布板の載置テーブル4を水平方向に、即ち、X方向とY方向に各別に移動させる水平移動手段と、水平移動手段を制御して載置テーブル4の位置を所要の位置に制御する載置テーブルの位置制御手段とが設けられて構成されている。
即ち、水平移動手段にて制御することにより、塗布板の載置テーブル4をX方向とY方向とに各別に移動させることができるように構成されている。
このため、水平移動手段にて、載置テーブル4に設置した塗布板3上のシート状金型材料2の表面における或る特定個所(後述する被押圧範囲10)を、所要の位置(後述する駒型7の位置)に移動させて位置させることができるように構成されている。
また、加工装置1には、塗布板3上のシート状金型材料2の所要個所を垂直方向に(Z方向に)下動して押圧する(押し付ける)駒型の押圧手段(ナノインプリント手段)5が設けられて構成されている。
従って、押圧手段5(駒型7)にて、シート状の金型材料2の表面における所要個所(後述する被押圧範囲10の夫々)に、所要の微細凹凸形状の光学パターン11を押圧して形成する(ナノインプリントする)ことができるように構成されている。
また、図示はしていないが、加工装置1には、装置全体を制御する装置制御駆動手段が設けられて構成されると共に、装置制御駆動手段にて装置全体の諸機能を駆動制御することができるように構成されている。
なお、X方向とY方向とZ方向とは互いに直角となる関係にある。
【0023】
(押圧手段について)
また、押圧手段5には、押圧手段本体6と、本体6の下端側に設けられたナノインプリント用の駒型(押圧型)7と、本体6の中間位置に設けられた超音波振動機構8と、本体6と駒型7と超音波振動機構8とを上下動させる上下動機構(図示なし)とが設けられて構成されている。
従って、超音波振動機構8にて駒型7を超音波振動させた状態で、且つ、上下動機構にて、押圧手段本体6と駒型7と超音波振動機構8とを一体にした状態で、上下動することができるように構成されている。
また、上下動機構にて、駒型7(押圧手段5)を下動させることにより、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7にてシート状金型材料2の所要位置(後述する被押圧範囲10)に所要の押圧力にて押圧することができるように構成されている。
なお、超音波振動機構8には、超音波振動の駆動源として、ボルト締めランジュバン型振動子(Bolt-clamped Langevin Type Transducer:BLT型振動子)8を用いることができる。
また、超音波振動機構8による超音波振動は、例えば、周波数20KHz、振幅が数μmで行うことができる。
また、後述する位置制御手段による駒型の位置決め時には、超音波振動機構8による超音波振動を停止することができる。
【0024】
(駒型について)
また、駒型7の下面側には所要の微細凹凸形状を有する光学パターンを備え且つ所要の押圧範囲を有する押圧面9が設けられて構成されている。
また、駒型押圧面9における所要の微細凹凸形状を有する光学パターンは、通常、ダイヤモンドツール等の切削工具にて楕円振動切削して加工されるものである。
例えば、駒型押圧面9に、光学パターンとして、所要の幅と深さとを有するV字溝(V字山)を、押圧面9の縦方向、横方向、斜め方向に楕円振動切削加工することができる。
従って、駒型7(押圧手段5)を超音波振動させた状態で所要の押圧力にて下動させて押圧することにより、駒型7の押圧面9における所要の微細凹凸形状を、シート状金型材料2の表面における矩形状の被押圧範囲10に所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11を転写して形成することができる。
この場合、駒型7の押圧面9における矩形状の押圧範囲がシート状金型材料2の表面における矩形状の被押圧範囲10となる(図1、図3を参照)。
なお、駒型7によるシート状金型材料2の押圧に関して、駒型7の押圧時に、駒型7に超音波振動を付与することにより、僅かに発生する発熱作用や離型作用によって駒型7の押圧面9における所要の微細凹凸形状をシート状金型材料2の表面に効率良く転写することができる。
【0025】
(水平移動手段について)
また、図示はしていないが、水平移動手段には、塗布板3の載置テーブル4をX方向に往復移動させるX方向移動機構と、塗布板3の載置テーブル4をY方向に往復移動させるY方向移動機構とが設けられて構成されている。
また、図示はしていないが、位置制御手段にて、X方向移動機構とY方向移動機構とを各別に制御することができるように構成されている。
従って、位置制御手段にて、X方向移動機構とY方向移動機構とを各別に制御することにより、載置テーブル4(塗布板3、シート状金型材料2)をX方向移動機構にてX方向に往復移動させ、また、載置テーブルをY方向移動機構にてY方向に往復移動させることができるように構成されている。
また、このとき、載置テーブル4の塗布板3上のシート状金型材料2における所要個所(被押圧範囲10)の位置と、押圧手段の駒型7の押圧位置と一致させることができるように構成されている。
なお、駒型7の押圧面9とシート状の金型材料2の被押圧範囲10とは平面的にその形状と大きさが一致するものである。
【0026】
(位置制御手段について)
また、図示はしていないが、位置制御手段にて、水平移動手段におけるX方向移動機構とY方向移動機構とを各別に制御することができるように構成されている。
この位置制御手段には、図示はしていないが、位置決めのフィードバック方式として、レーザスケール(フォログラム方式)を用いるクローズドループ方式を採用することができる。
なお、図示はしていないが、このクローズドループ方式の構成に関して言えば、載置テーブル4を駆動するX方向移動機構及びY方向移動機構、載置テーブル4の位置を測定するセンサ(位置検出器)、目標位置からの誤差に応じてX方向移動機構とY方向移動機構とを駆動する装置制御駆動手段とが設けられて構成されている。
【0027】
また、前述したように、クローズドループ方式を採用した位置制御手段に、レーザを利用したレーザフィードバックシステムを採用することができる。
なお、このレーザ光源を利用したシステムの分解能は1nmであり、ナノレベルで載置テーブル4の位置を位置制御することができる。
即ち、後述するように、シート状の金型材料2の表面に設定されるマトリクス型配置の被押圧範囲10の夫々に、各別に且つ順次に、駒型7を超音波振動した状態で押圧するとき、レーザフィードバックシステム(ナノレベルの位置制御)を採用した位置制御手段にて、載置プレート4におけるX方向の移動或いはY方向の移動を制御することにより、マトリクス型配置の被押圧範囲10の夫々の位置に駒型7の位置を効率良く合致させることができる。
言い換えると、レーザスケールを採用した位置制御手段によるナノレベルの位置制御にて、駒型7の押圧面9が押圧する範囲の夫々と、シート状金型材料2の被押圧範囲10の夫々とを、各別に且つ順次に、効率良く合致させることができる。
即ち、本発明における位置制御手段を用いることにより、マトリクス型配置の被押圧範囲10の夫々について、例えば、隣接する2個の被押圧範囲10に関し、載置テーブル4の位置制御手段にて効率良く位置制御することにより、一つの被押圧範囲10の位置から隣接する被押圧範囲10の位置に、高精度な送りで効率良く移動させて位置させることができる。
従って、例えば、隣接する2個の被押圧範囲10の夫々において、駒型7で押圧された所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11を効率良く形成することができる。
また、更に、本発明における位置制御手段を用いることにより、隣接する2個の被押圧範囲10の両者間に隙間が発生することを効率良く防止することができると共に、両者10間に継目が発生することを(ナノレベルで)効率良く防止することができる。
このため、位置制御手段と押圧手段5とを用いることにより、位置制御手段による高精度の移動送り及び位置決めと、押圧手段5による押圧(押し付け)とを繰り返して行う(ステップ&リピートを行う)ことができる。
【0028】
(シート状金型材料の表面における駒型の押圧位置のマトリクス型配置について)
即ち、図3に示すように、シート状の金型材料2の表面における駒型7における矩形状の被押圧位置(被押圧範囲10)を、例えば、4行×4列のマトリクス型配置に設定することができる。
また、被押圧範囲10の4行×4列のマトリクス型配置全体でマトリクス型配置全面12となるものである。
なお、図3、図4(1)、図4(2)、図4(3)において、マトリクス型配置の行を図例の上からA、B、C、Dで示し、列を図の左からa、b、c、dで示すものである。
従って、図3に示す左上の矩形状の被押圧範囲10はA行a列となり、被押圧範囲Aaで示されることになる。
また、図2におけるマトリクス型配置については、A行の断面を示しており、図例に向かって左から右に、符号で、Aa、Ab、Ac、Adとなり、被押圧範囲Aa、Abに所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11が駒型7、9にて各別に形成される。
このため、図4(3)に示すように、被押圧範囲10(12)の16個の全てに所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11が形成されることにより、マトリクス型配置全面12が光学パターン成形面14に形成されることになる。
【0029】
次に、図2を用いて、駒型7を用いて、マトリクス型(A行のみ)に配置された被押圧範囲10(所要複数個所)の夫々に対して、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7を押圧する構成を説明する。
即ち、図2に示すように、まず、シート状の金型材料2の表面における被押圧範囲Aa(10)に駒型7を超音波振動させた状態でZ方向に押圧することにより、被押圧範囲Aa(10)に駒型押圧面9に形成された所要の微細凹凸形状の光学パターンを転写して所要の微細凹凸形状の光学パターン11を形成する。
次に、水平移動手段にて載置テーブル4をX方向(図2に示す図例では左方向)に移動させると共に、位置制御手段で制御して被押圧範囲Aa(10)に隣接する被押圧範囲Ab(10)の上方に駒型を配置する。
次に、被押圧範囲Aa(10)に隣接する被押圧範囲Ab(10)に駒型7を超音波振動させた状態でZ方向に押圧することにより、被押圧範囲Ab(10)に駒型押圧面9に形成された所要の微細凹凸形状の光学パターンを転写して所要の微細凹凸形状の光学パターン11を形成することができる。
また、更に、被押圧範囲Ab(10)から駒型7を上動させて載置テーブル4を移動させることにより、被押圧位置Ab(10)に隣接する被押圧範囲Ac(10)の上方位置に駒型7を配置することができる。
即ち、次に、被押圧範囲Ac(10)に、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7を押圧することができ、更に、被押圧範囲Ac(10)に隣接する被押圧範囲Ad(10)に駒型7を超音波振動させた状態で押圧することができる。
従って、シート状の金型材料2の表面におけるマトリクス型配置の被押圧範囲10の夫々に対して、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7(押圧面9)を、各別に且つ順次に、連続して押圧することにより、光学パターン成形面14(12)を形成することができるように構成されている。
【0030】
次に、図3、図4(1)、図4(2)、図4(3)を用いて、シート状の金型材料2の表面におけるマトリクス型配置全面12に配置された被押圧範囲10の夫々に対して、駒型7(押圧面9)を押圧する構成について説明する。
また、マトリクス型配置全面12における被押圧範囲10の夫々に対する駒型7の押圧は、例えば、押圧順路(押圧順序)13に示す順序にて行われる。
即ち、図3、図4(1)、図4(2)、図4(3)に示すように、押圧順路13にしたがって、まず、駒型7(押圧面9)を超音波振動させた状態で、マトリクス型配置のA行における矩形状の被押圧範囲(Aa、Ab、Ac、Ad)を左から右に対して、各別に且つ順次に、駒型7を押圧することにより、被押圧範囲(Aa、Ab、Ac、Ad)の夫々に対して、各別に且つ順次に、連続して所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11を形成することができる。
次に、行を1行下がってB行の被押圧範囲(Bd、Bc、Bb、Ba)を右から左に、各別に且つ順次に、駒型7(押圧面9)を超音波振動させた状態で、連続して押圧することができる。
また、次に、行を1行下がってC行の被押圧範囲(Ca、Cb、Cc、Cd)を左から右に、更に、行を1行下がってD行の被押圧範囲(Dd、Dc、Db、Da)を右から左に、駒型7を超音波振動させた状態で、各別に且つ順次に、連続して押圧することができる。
このため、シート状の金型材料2に形成される被押圧範囲10をマトリクス型に配置したマトリクス配置全面12における被押圧範囲10の夫々に対して、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7(押圧面9)を押圧することにより、マトリクス配置全面12を光学パターン成形面14に形成したキャビティ成形面シート部材26を得ることができる。
【0031】
なお、図3、図4(2)に示す図例では、被押圧範囲(Aa、Ab、Ac、Ad、Bd、Bc)に所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11が形成されている。
また、図4(1)に示す図例には、シート状の金型材料(被押圧面)におけるマトリクス配置全面12(図例では16個の被押圧範囲10)が示されている。
また、図4(3)に示す図例には、16個の被押圧範囲10に形成された所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11となる光学パターン成形面14が形成されている。
【0032】
即ち、シート状の金型材料2の表面にマトリクス型配置にて形成された被押圧範囲10の夫々に対して、駒型7を超音波振動させた状態で、連続して押圧することにより、各被押圧範囲10の夫々に、駒型押圧面9に対応する所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11を形成することができる。
このため、マトリクス型配置全面12における被押圧範囲10の全てに所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11を各別に形成することができる。
即ち、シート状の金型材料2に、所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11が各別に形成されたマトリクス型配置全面12を形成することにより、光学パターン成形面14を備えたキャビティ成形面シート部材26が形成されることになる。
また、このとき、本発明に係る位置制御手段にて、駒型押圧面9の位置を被押圧範囲10の夫々の位置に対して効率良く高精度の送りにて正確に配置することができる。
このため、隣接する被押圧範囲10の間に隙間が発生することを(ナノレベルで)効率良く防止することができるように構成されている。
【0033】
(本発明に係るシート状の金型材料について)
本発明に係るシート状の金型材料2(転写材料)は、例えば、塑性変形性を有する材料で形成されるものである。
即ち、塑性変形性を有する材料(シート状の金型材料2)として、例えば、アクリル、ゾル・ゲル系材料の水素化シルセスキオキサンポリマー(HQS)、或いは、アルキルシルセスキオキサンポリマー(MSQ)などのスピンオングラス材料(Spin on Glass 材料:SOG材料)が挙げられる。
従って、塗布板3上の表面にこれらのSOG材料(塗布平坦化材料)をスピンコートすることにより、塗布板3に所要の厚さを有するシート状の金型材料2(SOG材料)が形成されることになる。
【0034】
また、塗布板3上にスピンコートして形成されたシート状の金型材料2(塑性変形性を有する塗布平坦化SOG材料)の表面の所要個所に、室温(例えば、−5℃〜35℃)で、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7を押圧することができる。
従って、駒型7の押圧面9(所要の微細凹凸形状を有する光学パターン)をシート状の金型材料2に転写することにより、シート状の金型材料2の表面における1個の被押圧範囲10に所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11を形成する(ナノインプリントする)ことができる。
このとき、シート状の金型材料2は塑性変形性を有するので、シート状の金型材料2の表面には、駒型7の押圧面9の形状に対応した形状となる所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11が保持された状態で残存して(塑性変形して)形成されることになる。
【0035】
即ち、図1、図2、図3に示す成形用金型の加工装置1を用いて、シート状の金型材料2(SOG材料)を、大面積を有する光学シート29(光学成形品)を成形するキャビティ成形面(転写成形面)30を備えたキャビティ成形面シート部材26(金型21)に効率良く加工することができる〔図5(1)、図5(2)を参照〕。
また、本発明によれば、従来の金型材料を楕円振動切削する構成に比べて、本発明にように、駒型7の押圧面9を楕円振動切削にて加工する構成を含んだとしても、シート状の金型材料2(SOG材料)に、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7を押圧する構成の方が、その加工時間が極めて少なく、短時間となるものである。
このため、本発明によれば、キャビティ成形面シート部材26(金型21)の生産性を効率良く向上させることができる。
また、本発明によれば、大面積を有する光学シート29を成形するキャビティ成形面30を備えたキャビティ成形面シート部材26を設けた金型21を用いて、大面積を有する光学シート29を効率良く成形することができる。
なお、所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11が形成されたシート状金型材料2の端部を切断除去してキャビティ成形面シート部材26を形成しても良い。
【0036】
また、本発明によれば、成形用金型の加工装置1を用いて、所要の厚さを有するシート状金型材料2(塑性変形性を有するSOG材料)に、駒型(ナノインプリント型)7を超音波振動させた状態で、駒型7を連続して押圧することにより、シート状金型材料2にマトリクス型に配置された被押圧範囲10の夫々に対して、各別に且つ順次に、所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11を形成することができる。
このため、本発明によれば、シート状金型材料2に、所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11を有する被押圧範囲10の夫々がマトリクス型に配置されたマトリクス型配置全面12を備えたキャビティ成形面30を加工することにより、所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11(光学パターン成形面14)を有するキャビティ成形面30を備えたキャビティ成形面シート部材26を形成することができる。
従って、本発明によれば、大面積を有する光学シート29を成形する金型21(キャビティ成形面シート部材26)のキャビティ成形面30(シート状金型材料2におけるマトリクス型配置の被押圧範囲10)に、所要の微細な凹凸形状を有する光学パターン11(光学パターン成形面14)を各別に効率良く加工することができる。
【0037】
(本発明に係る金型の加工方法について)
即ち、図1、図2、図3に示す成形用金型の加工装置1において、まず、塗布板3の上面に平坦化塗布材料(塑性変形性を有するSOG材料:例えば、HQS、MSQなど)をスピンコートすることにより、塗布板3の面に所要の厚さを有するシート状の金型材料2を形成することができる。
次に、塗布板3上のシート状の金型材料2の表面における所要個所、例えば、被押圧範囲10をマトリクス型に配置したマトリクス型配置全面12における被押圧範囲Aa(10)に、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7を所要の押圧力にて下動させて押圧することができる。
また、次に、被押圧範囲Aa(10)から駒型7を上動させる。
次に、位置制御手段にて載置テーブル4を位置制御して移動させることにより、被押圧範囲Aaに隣接する被押圧範囲Abの上方に駒型7を位置させる。
更に、被押圧範囲Abに、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7を所要の押圧力にて下動させて押圧することができる。
従って、マトリクス型に配置した被押圧範囲10の夫々を(マトリクス型配置全面12を)、即ち、被押圧範囲(Aa〜Ddの16個所)に、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7を所要の押圧力にて下動させて押圧することができる。
このため、シート状の金型材料2を加工することにより、金型21のキャビティ成形面シート部材26(シート状金型材料2)のキャビティ成形面30に、所要の微細凹凸形状の光学パターン11を備えたマトリクス型配置全面12(光学パターン成形面14)を形成することができる。
【0038】
なお、駒型7の押圧面9を2インチ角とした場合、駒型押圧面9に対する被押圧範囲10は2インチ角であり、図3に示す図例においては、マトリクス型配置全面12は20インチ角となるものである。
【0039】
また、20インチのテレビの面積に対応した大面積を有する光学シート29を成形する金型(21)におけるキャビティ成形面シート部材26のキャビティ成形面30(光学パターン成形面14)を加工する場合について比較する。
所要の微細凹凸形状の光学パターン11(14)は、V字溝(溝幅10μm)を縦方向、横方向、斜め方向の3方向パターンである。
即ち、従来の楕円振動切削法では約6日弱(連続可動)が必要である。
しかしながら、本発明においては、2インチの駒型の押圧面に所要の微細凹凸形状の光学パターンを楕円振動切削する工程を含み、約10時間で加工することができる。
従って、本発明によれば、キャビティ成形面シート部材26(金型21)の生産性を効率良く向上させることができる。
【0040】
(本発明の作用効果について)
即ち、本発明によれば、図1、図2、図3に示す成形用金型の加工装置1を用いて、大面積を有する光学シート29(光学成形品)を成形するキャビティ成形面30(光学パターン成形面)を備えたキャビティ成形面シート部材26(金型21)を効率良く加工することができる。
更に、本発明によれば、成形用金型の加工装置1を用いて、所要の厚さを有するシート状の金型材料2(塑性変形性を有するSOG材料)に設定されたマトリクス配置全面12の被押圧範囲10の夫々に対して、各別に勝つ順次に、駒型(ナノインプリント型)を超音波振動させた状態で、駒型7を連続して押圧することにより、被押圧範囲10の夫々に所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11を連続して加工することができる。
このため、シート状の金型材料2(SOG材料)を、大面積を有する光学シート29(光学成形品)を成形するキャビティ成形面(転写面)30を備えたキャビティ成形面シート部材26(金型21)に効率良く加工することができる。
【0041】
また、本発明によれば、従来の金型材料を楕円振動切削する構成に比べて、本発明にように、駒型7の押圧面9を楕円振動切削にて加工する構成を含んだとしても、シート状の金型材料2(SOG材料)に、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7を押圧する構成の方が、その加工時間が極めて少なく、短時間となるものである。
このため、本発明によれば、キャビティ成形面シート部材26(金型21)の生産性を効率良く向上させることができる。
また、本発明によれば、大面積を有する光学シート29を成形するキャビティ成形面30を備えたキャビティ成形面シート部材26を設けた金型21を用いて、大面積を有する光学シート29を効率良く成形することができる。
【0042】
(光学成形品の成形用金型の構成について)
即ち、本発明に係るキャビティ成形面30(光学パターン成形面14)を有するキャビティ成形面シート部材26を備えた光学成形品の成形用金型として、例えば、図5(1)、図5(2)に示す光学成形品の圧縮成形用金型21が挙げられる。
この光学成形品の圧縮成形用金型21には、固定上型22と、上型22に対向配置した可動下型23とが設けられて構成されると共に、図示はしていないが、上下両型22、23には加熱手段(或いは、更に、冷却手段)が設けられて構成されている。
また、下型23の型面にはキャビティ開口部を有する光学シート成形用キャビティ24(凹部)が形成されると共に、キャビティ24の底面にはキャビティ24内の樹脂を所要の加圧力で加圧するキャビティ底面部材25が設けられて構成されている。
また、キャビティ底面部材25には、キャビティ底面側に設けられたキャビティ成形面シート部材26と、キャビティ成形面シート部材26の下方側に設けられたキャビティ加圧部材27が設けられて構成されている。
また、キャビティ加圧部材27にキャビティ成形面シート部材26が着脱自在に設けられて構成されている。
即ち、下型キャビティ24内に供給された樹脂材料28をキャビティ底面部材25(26)で加圧することができるように構成されている。
従って、上型22の型面を含む光学シート成形用キャビティ24内でキャビティ24の形状に対応した光学シート29を成形することができる。
また、キャビティ成形面シート部材26のキャビティ成形面(転写面)30に形成されたマトリクス型配置全面12に形成された所要の微細凹凸状の光学パターン11を、即ち、所要の微細凹凸状の光学パターン成形面14(11)を、大面積を有する光学シート29に転写成形することができる。
【0043】
(光学成形品の成形方法について)
まず、まず、下型キャビティ24内に、例えば、透明性を有する液状のシリコーン樹脂材料(熱硬化性樹脂材料)28を供給すると共に、金型21(上下両型22、23)を型締めする。
次に、下型キャビティ24内の加熱された樹脂材料(28)をキャビティ底面部材25(26)で所要の加圧力にて加圧することができる。
即ち、下型キャビティ24内で下型キャビティ24の形状に対応した大面積の光学シート(光学成形品)29を成形することができる。
このとき、キャビティ成形面シート部材25のキャビティ成形面30に加工されたマトリクス型配置全面12における所要の微細凹凸状の光学パターン11(光学パターン成形面14)を、大面積を有する光学シート29に転写成形することができる。
従って、硬化に必要な所要時間の経過後、金型21(上下両型22、23)を型開きすることにより、所要の微細凹凸状の光学パターンを有する大面積の光学シート29を得ることができる。
なお、熱可塑性の樹脂材料を用いた場合は、下型キャビティ24内で樹脂材料(28)を加熱した後、冷却手段にて冷却固化されることになる。
【0044】
(その他について)
総じて、本発明において、位置制御手段にて、シート状金型材料2(塑性変形性を有するSOG材料)の表面におけるマトリクス型配置全面12となる被押圧範囲10の夫々に対して、各別に且つ順次に、駒型7を超音波振動させた状態で、駒型7を連続して押圧することができる。
また、本発明に係る位置制御手段にて駒型7の押圧面9に対する被押圧範囲10の夫々を効率良く設定することができる。
このため、キャビティ成形面30に所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11を有する被押圧範囲10(11)をマトリクス型に配置したマトリクス型配置全面12(光学パターン成形面14)に効率良く形成することができる。
このとき、隣接する被押圧範囲10(所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11)の間(継目)を効率良く且つ隙間なく(ナノレベルで)位置制御することができる。
このため、キャビティ成形面30における所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11を備えたマトリクス型全面12を、大面積を有する光学シート29の表面に転写成形することができる。
また、このとき、観賞上、大面積を有する光学シート29の表面を効率良く均一に明るくすることができる。
【0045】
また、例えば、シート状金型材料2となるスピンコートSOG材料の所要複数個所に、インプレント用の駒型をスピンコートSOG材料2の表面に押圧する場合に、当該SOG材料2を加熱したとき(熱プレスしたとき)、SOG材料2の被押圧範囲10の外周囲に(継目の近傍に)加熱(伝導熱)による影響が出やすい傾向にある。
しかしながら、本発明は、前述したように、室温(例えば、−5℃〜35℃)で、シート状金型材料2となるスピンコートSOG材料に、インプレント用の駒型を超音波振動させた状態で、スピンコートSOG材料2の表面の所要複数個所10の夫々に押圧する構成である。
このため、本発明によれば、SOG材料2の被押圧範囲の外周囲に(継目の近傍に)、
前述した加熱(伝導熱)による影響を効率良く防止することができる。
従って、隣接する所要の微細凹凸形状を有する光学パターン11の継目に駒型の押圧による影響を効率良く防止し得て、観賞上、大面積を有する光学シート29の表面を効率良く均一に明るくすることができる金型(光学パターン成形面14(11)を有するキャビティ成形面シート部材26)を加工することができる。
【0046】
本発明は、前述した実施例のものに限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意且つ適宜に変更・選択して採用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明に係る光学成形品の成形用金型の加工方法を説明する成形用金型の加工装置を概略的に示す概略斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す加工装置を概略的に示す概略縦断面図である。
【図3】図3は、図1に示す加工装置の要部を概略的に示す概略平面図であって、キャビティ成形面シート部材(金型部材)の被加工面(キャビティ成形面)を示している。
【図4】図3に示す装置要部におけるマトリクス配置全面を概略的に示す概略平面図であって、図4(1)は駒型による押圧前の状態(シート状の金型材料)を示し、図4(2)は駒型による押圧時の状態を示し、図4(3)は駒型による押圧後の状態(キャビティ成形面シート部材)を示している。
【図5】図5(1)、図5(2)は、本発明に係る光学成形品の成形用金型を概略的に示す概略縦断面図であって、図5(1)は前記した金型の型開状態を示し、図5(2)は前記した金型の型締状態を示している。
【符号の説明】
【0048】
1 成形用金型の加工装置
2 シート状の金型材料
3 塗布板
4 塗布板の載置テーブル
5 駒型の押圧手段
6 押圧手段本体
7 駒型
8 超音波振動機構
9 押圧面
10 被押圧範囲
11 所要の微細凹凸形状を有する光学パターン
12 マトリクス型配置全面
13 押圧順路(押圧順序)
14 光学パターン成形面(光学パターンのマトリクス型配置の全面)
21 光学成形品の圧縮成形用金型
22 固定上型
23 可動下型
24 キャビティ
25 キャビティ底面部材
26 キャビティ成形面シート部材
27 キャビティ加圧部材
28 樹脂材料
29 光学シート
30 キャビティ成形面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要形状の光学パターンを有する光学成形品を成形する光学成形品の成形用金型を加工する光学成形品の成形用金型の加工方法であって、
前記した金型に加工される金型材料を用意する工程と、
前記金型材料を押圧して所要形状の光学パターンを加工する駒型を用意する工程と、
前記した金型材料に前記した駒型を押圧することにより、前記した金型に所要形状の光学パターンを加工する工程とを備えたことを特徴とする光学成形品の成形用金型の加工方法。
【請求項2】
金型材料に駒型を押圧するとき、前記した駒型を振動させた状態で、前記した駒型を金型材料に押圧する工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光学成形品の成形用金型の加工方法。
【請求項3】
金型材料に駒型を押圧するとき、前記した金型材料の所要複数個所に各別に前記した駒型で押圧する工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光学成形品の成形用金型の加工方法。
【請求項4】
金型材料を用意するときに、塗布板に金型材料をスピンコートすることにより、前記した塗布板に所要の厚さを有するシート状の金型材料を形成する工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光学成形品の成形用金型の加工方法。
【請求項5】
金型材料が、塑性変形性を有する材料であることを特徴とする請求項1に記載の光学成形品の成形用金型の加工方法。
【請求項6】
金型材料が、スピンオングラス材料であることを特徴とする請求項1に、又は、請求項5に記載の光学成形品の成形用金型の加工方法。
【請求項7】
スピンオングラス材料が、水素化シルセスキサンポリマー、或いは、アルキルシルセスキオサンポリマーであることを特徴とする請求項6に記載の光学成形品の成形用金型の加工方法。
【請求項8】
光学成形品成形用の金型キャビティ内で所要形状の光学パターンを有する光学成形品を成形する光学成形品の成形用金型であって、前記した金型キャビティの成形面を、前記した光学成形品の所要形状の光学パターンに対応した所要形状の光学パターンを有する駒型を金型材料に押圧して形成した所要形状の光学パターンにて形成したことを特徴とする光学成形品の成形用金型。
【請求項9】
金型材料が、塑性変形性を有する材料であることを特徴とする請求項8に記載の光学成形品の成形用金型。
【請求項10】
金型材料が、スピンオングラス材料であることを特徴とする請求項8に、又は、請求項9に記載の光学成形品の成形用金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−111041(P2010−111041A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286197(P2008−286197)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【Fターム(参考)】