説明

光学材料用樹脂組成物

【課題】
屈折率が1.6から1.7付近の範囲で優れた光学物性を有し、かつ良好な光学物性を維持したまま任意に屈折率が調節可能な材料を提供する。
【解決手段】
(1)(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と、(b)チイラン環を1分子中に1個以上有し、かつ重合性不飽和結合基を有しない化合物とからなる光学材料用組成物、(2)(a)化合物と、(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物とからなる光学材料用組成物、(1)または(2)に、(d)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物とからなる光学材料用組成物、該光学材料用組成物を重合硬化させてなる光学材料、および該光学材料からなる光学レンズ並びに光学材料の製造方法により上記課題を解決し、本発明に至った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター等の光学材料、中でもプラスチックレンズに好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
プラスチック材料は軽量かつ靭性に富み、また染色が容易であることから、各種光学材料、特に眼鏡レンズに近年多用されている。光学材料、中でも眼鏡レンズに特に要求される性能は光学物性が良好なことであり、具体的には屈折率とアッベ数の数値が共に高いことである。高屈折率はレンズの薄肉化を可能とするため、軽量化を可能にすると同時に見栄えもよくなり、高アッベ数はレンズの色収差の低減となるため、目の負担が減り疲れにくくなる。
しかしながら、一般的に屈折率が上昇するほどアッベ数が低下するため、これまでに両者を同時に向上させる検討が行われている。これらの検討の中で最も優れた方法は、特許文献1に示されるエピスルフィド化合物を使用する方法であり、屈折率1.7かつアッベ数36を達成している。
一方、眼鏡レンズとして最も使用されている屈折率が1.6の材料ではアッベ数は40程度に、屈折率が1.66の材料ではアッベ数は32程度に依然とどまっており、それ以上の材料は実用化されていなかった。その結果、屈折率1.6台の材料は、屈折率1.7材料に比べて屈折率もアッベ数も見劣りする領域となっていた。最も汎用化されている材料でありながら依然としてアッベ数の改善が進んでいないことから、より高いアッベ数が得られる材料が望まれていた。
【0003】
さらに、光学材料としての観点から見た場合、屈折率とアッベ数をともにより高めることと同時に屈折率を調節できることは望ましいことである。これらの検討の中で最も優れた方法は、特許文献2に示される硫黄および/またはセレン原子を有する無機化合物とエピスルフィド化合物とを含有してなる光学材料用組成物であり、組成比を変えることで屈折率を調節することができる材料が得られている。この手法により屈折率が1.7台の材料においては、良好なアッベ数を維持しつつ屈折率を調整できる材料が得られている。
一方、眼鏡レンズとして最も使用されている屈折率が1.6台の材料では、用いる化合物によって得られる屈折率は決まっていた。すなわち、屈折率が1.6台の材料で主として用いられているポリチオールとポリイソシアネートからなるチオウレタン材料では、SH基とNCO基のモル比を厳密に1とする必要があるため、屈折率の調整が不可能であった。
したがって、屈折率が1.6から1.7付近の光学材料で優れたアッベ数を維持したまま任意に屈折率が調節できる材料が強く求められていた。すなわち、屈折率1.6から1.7においてそれぞれアッベ数が35以上であるとともに、例えば、組成比を変える等により容易に屈折率が調節できる材料が求められていた。
【0004】
【特許文献1】特許3491660号公報
【特許文献2】特許3738817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、屈折率が1.6から1.7付近の範囲で優れたアッベ数を有し、かつ良好なアッベ数を維持したまま任意に屈折率が調節できる光学材料用樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、このような状況に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、本課題を解決し、本発明に至った。具体的には、(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と、(b)チイラン環を1分子中に1個以上有し、かつ重合性不飽和結合基を有しない化合物を含有する光学材料用組成物、または(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と、(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物を含有する光学材料用組成物、さらに、(d)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物を含有する光学材料用組成物、および該光学材料用組成物を重合硬化させてなる光学材料、そして該光学材料からなる光学レンズ並びに光学材料の製造方法により上記課題を解決し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のようである。
1.(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と、(b)チイラン環を1分子中に1個以上有し、かつ重合性不飽和結合基を有しない化合物を含有する光学材料用組成物。
2.(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と、(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物を含有する光学材料用組成物。
3.さらに、(d)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物を含有する第1項または第2項記載の光学材料用組成物。
4.(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基とからなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物が下記(1)式で表される化合物である第1項または第2項記載の光学材料用組成物。
【化1】

(1)
((1)式中、XはO(CH、S(CH、または(CHを示し、nは0から6の整数を示す。Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、またはビニル基を示す。)
5.(1)式で表される化合物がチオグリシジルメタクリレート((1)式においてXがO、Yがメタクリロイル基)である請求項4記載の光学材料用組成物。
6.(1)式で表される化合物がアリルチオグリシジルエーテル((1)式においてXがO、Yがアリル基)である請求項4記載の光学材料用組成物。
7.(b)チイラン環を1分子中に1個以上有し、かつ重合性不飽和結合基を有しない化合物が、(2)式で表される化合物である請求項1または3記載の光学材料用組成物。
【化2】

(式中、mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を示す。)
8.(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物が硫黄または二硫化炭素である第2項記載の光学材料用組成物。
9.(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物を、イミダゾール系化合物もしくはホスフィン系化合物の存在下予備的に反応させ、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物を10%以上90%以下(反応前を0%とする)消費させた第2項記載の光学材料用組成物。
10.(d)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物がビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4、8−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、4、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、5、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカンおよび1、1、3、3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンから選ばれる1種以上である第3項記載の光学材料用組成物。
11.第1項または第2項記載の光学材料用組成物を、硬化触媒の存在下重合硬化して得られる光学材料。
12.硬化触媒が、複素環を有するアミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩、過酸化物およびアゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である第1項記載の光学材料。
13.硬化触媒が、複素環を有するアミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩および第2級ヨードニウム塩中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と、過酸化物およびアゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の組み合わせである第11項記載の光学材料。
14.第11項記載の光学材料からなる光学レンズ。
15.第1項または第2項記載の光学材料用組成物を、重合硬化して得られる光学材料の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光学材料用組成物を重合硬化して得られる光学材料により、優れたアッベ数を維持したまま屈折率が1.6から1.7付近の範囲で任意に屈折率が調節可能な材料を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物は、この条件を満たすすべての化合物を包含する。具体的には、(1)式で示される化合物、2−または3―または4−(β−エピチオプロピルチオメチル)スチレン、2−または3―または4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)スチレン、2−または3―または4−(β−エピチオプロピルチオ)スチレン、2−または3―または4−(β−エピチオプロピルオキシ)スチレンが挙げられる。
より好ましい化合物は、(1)式で示される化合物である。中でも好ましい化合物は(1)式においてnが0、より好ましい化合物は(1)式においてXがO(酸素原子)またはS(硫黄原子)であり、Yがメタクリロイル基又はアリル基である。更に好ましい化合物は、チオグリシジルメタクリレート((1)式においてXがO、Yがメタクリロイル基)、アリルチオグリシジルエーテル((1)式おいてXがO、Yがアリル基)、チオグリシジルチオメタクリレート((1)式においてXがS、Yがメタクリロイル基)、およびアリルチオグリシジルチオエーテル((1)式においてXがS、Yがアリル基)である。特に好ましい化合物は、チオグリシジルメタクリレートおよびアリルチオグリシジルエーテルであり、最も好ましい化合物はチオグリシジルメタクリレートである。
以上具体例を示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。
【0010】
(b)チイラン環を1分子中に1個以上有しかつ重合性不飽和結合基を有しない化合物としては、下記式(3)で表される鎖状骨格を有する化合物、式(4)で表される環状骨格を有する化合物、式(5)、(6)で表される分岐状骨格を有する化合物が挙げられる。これらの化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。
【化3】

(式中、M1、M2はそれぞれ独立にO、Sを表す。mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を示す。)

【化4】

(式中、M3、M4はそれぞれ独立にO、Sを表す。pは0〜2、qは0〜4、rは0〜2、sは1から4の整数を示す。Aは以下の構造で示される環状骨格を表す。)
【化5】

【化6】

(5)
(式中M5〜M10はそれぞれ独立にO、Sを表す。t1〜t3はそれぞれ独立に0〜2、t4〜t6はそれぞれ独立に0〜4、t7〜t9はそれぞれ独立に0〜2の整数を示す。)
【化7】

(6)
(式中L1〜L8はそれぞれ独立にO、Sを表す。ZはSまたはCH2を表す。u1〜t4はそれぞれ独立に0〜2、u5〜t8はそれぞれ独立に0〜4、u9〜u12はそれぞれ独立に0〜2、w1、w2はそれぞれ独立に0〜2の整数を示す。)
【0011】
中でも好ましい化合物は式(3)、(4)で示される化合物であり、さらに好ましい化合物は式(3)においてM1,M2がSである上下記(2)式で示される化合物であり、その具体例としては、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、ビス(β−エピチオプロピルチオエチル)スルフィド、等があげられる。中でも好ましい化合物は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドであり、最も好ましい化合物は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドである。
【0012】
(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と、(b)チイラン環を1分子中に1個以上有しかつ重合性不飽和結合基を有しない化合物の割合は任意であるが、好ましい組成の範囲は、(a)化合物1から99.9重量部と、(b)化合物0.1から99重量部であり、より好ましくは(a)化合物10から90重量部と、(b)10から90重量部、さらに好ましくは(a)化合物20から80重量部と、(b)化合物20から80重量部である。
【0013】
(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物の具体例としては、硫黄、硫化水素、二硫化炭素、セレノ硫化炭素、硫化アンモニウム、二酸化硫黄、三酸化硫黄等の硫黄酸化物、チオ炭酸塩、硫酸およびその塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、過硫酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、二塩化硫黄、塩化チオニル、チオホスゲン等のハロゲン化物、硫化ホウ素、硫化窒素、硫化珪素、硫化リン、硫化セレン、金属硫化物、金属水硫化物、セレン、セレン化水素、二酸化セレン、二セレン化炭素、セレン化アンモニウム、二酸化セレン等のセレン酸化物、セレン酸およびその塩、亜セレン酸およびその塩、セレン酸水素塩、セレノ硫酸およびその塩、セレノピロ硫酸およびその塩、四臭化セレン、オキシ塩化セレン等のハロゲン化物、セレノシアン酸塩、セレン化ホウ素、セレン化リン、セレン化砒素、金属セレン化物等が挙げられる。
以上具体例を示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。
これらの中で好ましいものは、硫黄、二硫化炭素、硫化リン、硫化セレン、金属硫化物、金属水硫化物、セレン、二セレン化炭素、セレン化リン、金属セレン化物であり、より好ましいものは硫黄、二硫化炭素、硫化セレン、セレン、二セレン化炭素であり、特に好ましいものは硫黄、二硫化炭素であり、最も好ましいものは硫黄である。
【0014】
(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物の割合は任意であるが、好ましい組成の範囲は、(a)化合物50から99.9重量部と、(c)化合物0.1から50重量部であり、より好ましくは(a)化合物70から99.9重量部と、(c)化合物0.1から30重量部、さらに好ましくは(a)化合物80から99重量部と、(c)化合物1から20重量部である。
【0015】
(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物を、イミダゾール系化合物もしくはホスフィン系化合物の存在下予備的に反応させて、(c)化合物を10%以上90%以下(反応前を0%とする)反応させたのち、光学材料用組成物を調整することは好ましい方法である。特に、光学材料用組成物中の化合物に固体成分が含まれ、ハンドリングが容易でない場合はこの予備的な反応が効果的である。この予備的な反応は、好ましくは−10から120℃で0.1から240時間、より好ましくは0から100℃で0.1から120時間、特に好ましくは20から80℃で0.1から60時間である。さらには、この予備的な反応により(c)化合物を20%以上90%以下反応させておくことはより好ましい。予備的な反応は、大気、窒素または酸素等の気体の存在下、常圧もしくは加減圧による密閉下等任意の雰囲気下で行ってよい。
【0016】
(d)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物は、この条件を満たすすべての化合物を包含するが、具体的にはチオフェノール類、チオール類、メルカプトアルコール類、ヒドロキシチオフェノール類等である。
【0017】
チオフェノール類としては、チオフェノール、4−tert−ブチルチオフェノール、2−メチルチオフェノール、3−メチルチオフェノール、4−メチルチオフェノール、o−ジメルカプトベンゼン、m−ジメルカプトベンゼン、p−ジメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン等を挙げることができる。
【0018】
チオール類としてはメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、アリルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、tert−ノニルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、ベンジルメルカプタン、4−クロロベンジルメルカプタン、メチルチオグリコレート、エチルチオグリコレート、n−ブチルチオグリコレート、n−オクチルチオグリコレート、メチル(3−メルカプトプロピオネート)、エチル(3−メルカプトプロピオネート)、3−メトキシブチル(3−メルカプトプロピオネート)、n−ブチル(3−メルカプトプロピオネート)、2−エチルヘキシル(3−メルカプトプロピオネート)、n−オクチル(3−メルカプトプロピオネート)等のモノチオール類、メタンジチオール、1,2−ジメルカプトエタン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル1,4−ジメルカプトプロパン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、4、8−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、4、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、5、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、1、1、3、3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,1−ジメルカプトシクロヘキサン、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン等のポリチオール類等を挙げることができる。
【0019】
メルカプトアルコール類としては、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシプロピルメルカプタン、2−フェニル−2−メルカプトエタノール、2−フェニル−2−ヒドロキシエチルメルカプタン、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−1,3−プロパンジオール、2,3−ジメルカプトプロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、グリセリルジチオグリコレート等を挙げることができる。
ヒドロキシチオフェノール類としては、2−ヒドロキシチオフェノール、3−ヒドロキシチオフェノール、4−ヒドロキシチオフェノール等を挙げることができる。
以上具体例を示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。
【0020】
以上の中で好ましい化合物はポリチオールであり、その具体例としてはビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4、8−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、4、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、5、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、1、1、3、3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンが挙げられる。さらに最も好ましい化合物の具体例としては、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4、8−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、4、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、5、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、1、1、3、3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンが挙げられる。
【0021】
(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と、(b)チイラン環を1分子中に1個以上有し、かつ重合性不飽和結合基を有しない化合物と、(c)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物との割合は任意であるが、好ましい組成の範囲は、(a)ア化合物と、(b)化合物の合計100重量部し対して、(c)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物0.1から50重量部であり、より好ましくは1から30重量部、さらに好ましくは1から20重量部である。
【0022】
(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と、(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物と、(d)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物との割合は任意であるが、好ましい組成の範囲は、(a)化合物と、(c)化合物の合計100重量部し対して、(d)化合物0.1から50重量部であり、より好ましくは1から30重量部、さらに好ましくは1から20重量部である。
【0023】
本発明の硬化触媒として、複素環を有するアミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩、過酸化物およびアゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が用いられる。
複素環を有するアミンの具体例としては、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−メチル−2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、N−ウンデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、N−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−ベンジルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−ウンデシルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、3,3−ビス(2−エチル−4−メチルイミダゾリル)メタン、アルキルイミダゾールとイソシアヌル酸の付加物、アルキルイミダゾールとホルムアルデヒドの縮合物等の各種イミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン等のアミジン類が挙げられる。好ましくは、イミダゾール類である。
【0024】
ホスフィンの具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、クロロジフェニルホスフィン等が挙げられる。好ましくはトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンである。
【0025】
第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアセテート、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヨーダイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、テトラ−n−ブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファイト、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロゲンサルファイト、テトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフルオロボーレート、テトラ−n−ブチルアンモニウムテトラフェニルボーレート、テトラ−n−ブチルアンモニウムパラトルエンスルホネート、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムアセテート、テトラ−n−オクチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−オクチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−オクチルアンモニウムアセテート、トリメチル−n−オクチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリエチル−n−オクチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリ−n−ブチル−n−オクチルアンモニウムクロライド、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムフルオライド、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムヨーダイド、メチルトリフェニルアンモニウムクロライド、メチルトリフェニルアンモニウムブロマイド、エチルトリフェニルアンモニウムクロライド、エチルトリフェニルアンモニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルアンモニウムクロライド、n−ブチルトリフェニルアンモニウムブロマイド、1−メチルピリジニウムブロマイド、1−エチルピリジニウムブロマイド、1−n−ブチルピリジニウムブロマイド、1−n−ヘキシルピリジニウムブロマイド、1−n−オクチルピリジニウムブロマイド、1−n−ドデシルピリジニウムブロマイド、1−フェニルピリジニウムブロマイド、1−メチルピコリニウムブロマイド、1−エチルピコリニウムブロマイド、1−n−ブチルピコリニウムブロマイド、1−n−ヘキシルピコリニウムブロマイド、1−n−オクチルピコリニウムブロマイド、1−n−ドデシルピコリニウムブロマイド、1−フェニルピコリニウムブロマイド等が挙げられる。好ましくはテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドである。
【0026】
第4級ホスホニウム塩の具体例としては、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムクロライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムヨーダイド、テトラ−n−ヘキシルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−オクチルホスホニウムブロマイド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、メチルトリフェニルホスホニウムヨーダイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムヨーダイド、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルホスホニウムヨーダイド、n−ヘキシルトリフェニルホスホニウムブロマイド、n−オクチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムクロライド、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムブロマイド、テトラキスヒドロキシエチルホスホニウムクロライド、テトラキスヒドロキシブチルホスホニウムクロライド等が挙げられる。好ましくはテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドである。
【0027】
第3級スルホニウム塩の具体例としては、トリメチルスルホニウムブロマイド、トリエチルスルホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルスルホニウムクロライド、トリ−n−ブチルスルホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルスルホニウムヨーダイド、トリ−n−ブチルスルホニウムテトラフルオロボーレート、トリ−n−ヘキシルスルホニウムブロマイド、トリ−n−オクチルスルホニウムブロマイド、トリフェニルスルホニウムクロライド、トリフェニルスルホニウムブロマイド、トリフェニルスルホニウムヨーダイド等が挙げられる。
第2級ヨードニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムブロマイド、ジフェニルヨードニウムヨーダイド等が挙げられる。
【0028】
過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ〔4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル〕プロパン等のパーオキシケタール、p−メンタハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、ジ(2−tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−クミルパーオキサイド、ジ−tert−ヘキシルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等のジアルキルパーイキサイド、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジ−n−ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシマレイン酸、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシ−3−メチルベンゾエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシネオベンゾエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、等のパーオキシエステル、tert−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が挙げられる。好ましくは、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートである。より好ましくはtert−ブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートである。
【0029】
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルシクロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
【0030】
以上具体的な化合物を例示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。好ましくは、複素環を有するアミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩および第2級ヨードニウム塩の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と、過酸化物、アゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の組み合わせることである。より好ましくは、複素環を有するアミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩および第4級ホスホニウム塩の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と、過酸化物、アゾ化合物中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の組み合わせることである。さらに好ましくは、複素環を有するアミン、第4級アンモニウム塩および第4級ホスホニウム塩の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と、過酸化物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の組み合わせることであり、最も好ましくは複素環を有するアミンおよび4級ホスホニウム塩の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と、過酸化物中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の組み合わせることであり、中でも複素環を有するアミンの中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と、過酸化物中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の組み合わせることである。
【0031】
触媒の添加量は光学材料用組成物100重量部に対して0.002から6重量部であり、好ましくは0.01から4重量部である。好ましい組み合わせを用いた場合、アミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩および第2級ヨードニウム塩中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の添加量は光学材料用組成物100重量部に対して0.001から3重量部、過酸化物およびアゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の添加量は光学材料用組成物100重量部に対して0.001から3重量部である。より好ましい添加量は、アミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩および第2級ヨードニウム塩中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の添加量は組成物100重量部に対して0.005から2重量部、過酸化物およびアゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の添加量は組成物100重量部に対して0.005から2重量部である。
【0032】
本発明の光学材料用組成物を重合硬化して光学材料を得る際、周知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤等の添加剤を加えて、得られる材料の実用性をより向上せしめることはもちろん可能である。
紫外線吸収剤の好ましい例としては、サリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物等が挙げられる。それらの具体例としては、サリチル酸系化合物としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート;ベンゾフェノン系化合物としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾイロキシベンゾフェノン、2,2,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン;ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕;シアノアクリレート系化合物としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。中でも好ましい化合物は、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物であり、最も好ましい化合物はベンゾトリアゾール系化合物である。特に好ましい化合物の具体例は2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである。これらは単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。
ブルーイング剤の好ましい例としてはアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの酸化防止剤、紫外線吸収剤およびブルーイング剤の添加量は、通常、組成物100重量部に対してそれぞれ0.000001〜5重量部である。
【0033】
本発明の光学材料用組成物は重合中に型から剥がれやすい場合は、周知の外部および/または内部密着性改善剤を使用または添加して、得られる硬化物と型の密着性を向上せしめることも可能である。密着性改善剤としては、周知のシランカップリング剤やチタネート化合物類などがあげられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。添加量は通常、光学材料用組成物100重量部に対して0.0001〜5重量部である。逆に、本発明の光学材料用組成物は重合後に型から剥がれにくい場合は、周知の外部および/または内部離型剤を使用または添加して、得られる硬化物の型からの離型性を向上せしめることも可能である。離型剤とは、フッ素系ノニオン界面活性剤、シリコン系ノニオン界面活性剤、燐酸エステル、酸性燐酸エステル、オキシアルキレン型酸性燐酸エステル、酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、オキシアルキレン型酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル、パラフィン、ワックス、高級脂肪族アミド、高級脂肪族アルコール、ポリシロキサン類、脂肪族アミンエチレンオキシド付加物などがあげられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。添加量は通常、光学材料用組成物100重量部に対して0.0001〜5重量部である。
【0034】
本発明の光学材料用組成物を重合硬化して光学材料を製造する方法は、さらに詳しく述べるならば以下の通りである。前述した各組成成分、酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合触媒、ラジカル重合開始剤、密着性改善剤、離型剤などの添加剤を全て同一容器内で同時に撹拌下に混合しても良く、また各原料を段階的に添加混合しても良く、さらに数成分を別々に混合後さらに同一容器内で再混合しても良い。各原料および副原料はいかなる順序で混合してもかまわない。混合にあたり、設定温度、これに要する時間等は基本的には各成分が十分に混合される条件であれば良い。
【0035】
本発明では光学材料用組成物に対し、あらかじめ脱気処理を行うが、これにより光学材料の高度な透明性が達成される場合がある。脱気処理は、組成成分の一部もしくは全部と反応可能な化合物、重合触媒、添加剤の混合前、混合時あるいは混合後に、減圧下に行う。好ましくは、混合時あるいは混合後に、減圧下に行う。処理条件は、0.001〜50torrの減圧下、1分〜24時間、0℃〜100℃で行う。減圧度は、好ましくは0.005〜25torrであり、より好ましくは0.01〜10torrであり、これらの範囲で減圧度を可変しても構わない。脱気時間は、好ましくは5分〜18時間であり、より好ましくは10分〜12時間である。脱気の際の温度は、好ましくは5℃〜80℃であり、より好ましくは10℃〜60℃であり、これらの範囲で温度を可変しても構わない。脱気処理の際は、撹拌、気体の吹き込み、超音波などによる振動などによって、光学材料用組成物の界面を更新することは、脱気効果を高める上で好ましい操作である。脱気処理により、除去される成分は、主に硫化水素等の溶存ガスや低分子量のチオール等の低沸点物等である。さらには、これらの樹脂組成物および/または混合前の各原料を0.05〜10μm程度の孔径を有するフィルターで固形物等を濾過し精製することは本発明の光学材料の品質をさらに高める上からも好ましい。
【0036】
このようにして得られた光学材料用組成物は、ガラスや金属製の型に注入し、加熱や紫外線などの活性エネルギー線の照射によって重合硬化反応を進めた後、型から外し製造される。好ましくは、加熱によって重合硬化する。この場合、硬化時間は0.1〜200時間、通常1〜100時間であり、硬化温度は−10〜160℃、通常−10〜140℃である。重合は所定の重合温度で所定時間保持し、0.1℃〜100℃/時間で昇温し、0.1℃〜100℃/時間で降温およびこれらの組み合わせで行う。また、重合終了後、硬化物を50〜150℃の温度で10分〜5時間程度アニール処理を行う事は、本発明の光学材料の歪を除くために好ましい処理である。さらに必要に応じて染色、ハードコート、耐衝撃性コート、反射防止、防曇性付与等表面処理を行うことができる。
【実施例】
【0037】
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、得られたレンズの評価は以下の方法で行った。
光学物性:アタゴ社製アッベ屈折計NAR−4Tを用い、d線での屈折率とアッベ数を25℃で測定した。
外観、透明性:目視で観察した。
【0038】
実施例1
(a)化合物としてチオグリシジルメタクリレート90重量部、(b)化合物としてビス(β−エピチオプロピル)スルフィド10重量部に触媒としてN−メチル−2−メルカプトイミダゾール0.3重量部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.0重量部を加え室温で攪拌し均一液とした。次いでこれを10torrで10分間脱気した後ろ過し、レンズ用モールドに注入し、オーブン中で30℃から110℃まで22時間かけて昇温して重合硬化させた。その後型から外し、110℃で1時間加熱してアニール処理を行った。得られたレンズは透明であり、良好な外観であった。光学物性等を測定し、その結果を表1に示した。
【0039】
実施例2〜16
表1に示す組成、触媒を用いて実施例1と同様に重合硬化させてレンズを得た。得られたレンズは透明であり、良好な外観であった。光学物性等を測定し、その結果を表1に示した。
【0040】
実施例17
チオグリシジルメタクリレート90重量部、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド6重量部に硫黄4重量部、予備反応触媒としてN−メチル−2−メルカプトイミダゾール0.5重量部を加え、60℃で攪拌させた。硫黄の消費率をGPCカラムを用いた液体クロマトグラフィーで確認を行い、硫黄が50%反応するまで反応させた。その後触媒としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート0.5重量部、重合調整剤としてジブチルスズジクロライド0.05重量部加え攪拌し均一液とした。次いでこれを10torrで10分間脱気した後ろ過し、レンズ用モールドに注入し、オーブン中で30℃から110℃まで22時間かけて昇温して重合硬化させた。その後型から外し、110℃で1時間加熱してアニール処理を行った。得られたレンズは透明であり、良好な外観であった。光学物性等を測定し、その結果を表1に示した。
【0041】
【表1】

【0042】
表1中の化合物略号
(a)化合物
TGMA:チオグリシジルメタクリレート
ATGE:アリルチオグリシジルエーテル
EPTMS:3−または4−(β−エピチオプロピルチオメチル)スチレン
(b)化合物
BES:ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド
BEPD:2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン
(c)化合物
S:硫黄
(d)化合物
BMES:ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド
PETP:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
表1中の触媒略号
MMI :N−メチル−2−メルカプトイミダゾール
TBPB:テトラブチルホスホニウムブロマイド
POO :1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
PBND:tert−ブチルパーオキシネオデカノエート
【0043】
比較例1
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)56重量部、m−キシリレンジイソシアネート44重量部に触媒としてジブチルスズジクロライド0.05重量部、内部離型剤としてゼレックUN0.01重量部を加えた後、実施例1と同様に重合硬化させてレンズを得た。得られたレンズは透明であり、良好な外観であった。光学物性等を測定し、その結果を表2に示した。
【0044】
比較例2、3
組成比を表2に示す割合に変える以外は比較例1を繰り返した。組成比が変化したため重合硬化しなかった。
【0045】
比較例4
4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン48重量部、m−キシリレンジイソシアネート52重量部に触媒としてジブチルスズジクロライド0.05重量部、内部離型剤としてゼレックUN0.01重量部を加えた後、実施例1と同様に重合硬化させてレンズを得た。得られたレンズは透明であり、良好な外観であった。光学物性等を測定し、その結果を表2に示した。
【0046】
比較例5、6
組成比を表2に示す割合に変える以外は比較例4を繰り返した。組成比が変化したため重合硬化しなかった。
【0047】
【表2】

【0048】
表2中の化合物略号
PETP:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
MXDI:m−キシリレンジイソシアネート
MDD :4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン
表2中の触媒略号
BTC :ジブチルスズジクロライド
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例と比較例に示した屈折率とアッベ数の関係を示す。屈折率とアッベ数がともに高い、すなわち図1で右上の方向が良好な光学物性となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と、(b)チイラン環を1分子中に1個以上有し、かつ重合性不飽和結合基を有しない化合物を含有する光学材料用組成物。
【請求項2】
(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と、(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物を含有する光学材料用組成物。
【請求項3】
さらに、(d)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物を含有する請求項1または2記載の光学材料用組成物。
【請求項4】
(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基とからなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物が下記(1)式で表される化合物である請求項1または2記載の光学材料用組成物。
【化1】

(1)
((1)式中、XはO(CH、S(CH、または(CHを示し、nは0から6の整数を示す。Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、またはビニル基を示す。)
【請求項5】
(1)式で表される化合物がチオグリシジルメタクリレート((1)式においてXがO、Yがメタクリロイル基)である請求項4記載の光学材料用組成物。
【請求項6】
(1)式で表される化合物がアリルチオグリシジルエーテル((1)式においてXがO、Yがアリル基)である請求項4記載の光学材料用組成物。
【請求項7】
(b)チイラン環を1分子中に1個以上有し、かつ重合性不飽和結合基を有しない化合物が、(2)式で表される化合物である請求項1または3記載の光学材料用組成物。
【化2】

(式中、mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を示す。)
【請求項8】
(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物が硫黄または二硫化炭素である請求項2記載の光学材料用組成物。
【請求項9】
(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物と(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物を、イミダゾール系化合物もしくはホスフィン系化合物の存在下予備的に反応させ、硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物を10%以上90%以下(反応前を0%とする)消費させた請求項2記載の光学材料用組成物。
【請求項10】
(d)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物がビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4、8−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、4、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、5、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカンおよび1、1、3、3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンから選ばれる1種以上である請求項3記載の光学材料用組成物。
【請求項11】
請求項1または2記載の光学材料用組成物を、硬化触媒の存在下重合硬化して得られる光学材料。
【請求項12】
硬化触媒が、複素環を有するアミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩、過酸化物およびアゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である請求項11記載の光学材料。
【請求項13】
硬化触媒が、複素環を有するアミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩および第2級ヨードニウム塩中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と、過酸化物およびアゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の組み合わせである請求項11記載の光学材料。
【請求項14】
請求項11記載の光学材料からなる光学レンズ。
【請求項15】
請求項1または2記載の光学材料用組成物を、重合硬化して得られる光学材料の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−74037(P2009−74037A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42598(P2008−42598)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】