説明

光学材料

【課題】 耐熱性、光学特性、力学特性に優れた光学材料を提供すること。
【解決手段】 式(1)または式(1’)の繰返し単位を有する樹脂と金属酸化物とを含む有機・無機複合体組成物からなる光学材料。
【化1】


〔環α、環β、環γは、単環式または多環式の環を表し、L1、L2は単結合または2価の連結基を表し、Aは特定の2価の連結基を表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な有機・無機複合体組成物よりなる光学材料に関するものである。特に本発明は、耐熱性、光学特性、力学特性などに優れ、光ディスク基板、光導波路、光ファイバー、タッチパネル、プラスチックレンズに有用な光学材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無機ガラスは透明性に優れ且つ光学異方性が小さく、また、耐熱性にも優れることから、透明材料として広く使用されている。しかし、ガラスは比重が大きいことから、ガラスによって成型された材料は重く、また脆いために破損しやすいなどの問題点を有している。そこで近年、無機ガラスに代わるプラスチック材料の開発が盛んに行われている。
無機ガラスの代替を目的としたプラスチック材料としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどが使用されている。これらのプラスチック材料は、軽量かつ力学特性に優れ、加工性にも優れるという特徴を有することから種々の用途、例えばレンズやフィルムなどに使用されている。
【0003】
しかし、従来のプラスチック材料は光学特性の面においてガラスに劣る。すなわち、ガラスは本質的に光学等方的であるという特性を有しているのに対し、プラスチック材料は成型条件と樹脂特有の光学弾性係数とを適宜調整し、成形加工された場合に、初めて分子配向に起因する複屈折を発生する。また、プラスチック材料は材料に複屈折があると、製品性能の著しい低下をもたらすことがある。
【0004】
また、従来のプラスチック材料は熱による受ける影響が大きい。例えば、真夏の車内環境や機器内での高温環境で使用される場合、耐熱性不足による耐久性の低下、熱による膨張の程度が大きいことに起因する形状の変化等により製品性能の著しい低下をもたらすこととなる。
従って、プラスチック材料には光学的等方性が要求され、かつ耐熱性や耐候性を満足することが求められる。
【0005】
一方、有機高分子体としての樹脂と、無機材料としての金属酸化物とが相溶した複合体組成物は、有機材料と無機材料との特性を相補いながら両者の長所を活かす材料として、近年開発が盛んに行われている。例えば、エポキシ樹脂とグリシジル基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物とによる複合体組成物を表示用基板に応用する試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、かかる複合体組成物は柔軟性に欠けており、脆いという欠点を有している。
【0006】
また、より柔軟な熱可塑性樹脂であるポリカーボネートと無機材料との複合体組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、ここで使用されているポリカーボネートは耐熱性や光学特性が不十分であり、光学材料としての使用が困難であった。
【0007】
【特許文献1】特開平10−54979号公報(全頁)
【特許文献2】国際公開WO99/14274号公報(全頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、有機・無機複合体組成物からなる光学材料であって、耐熱性、光学特性および力学特性に優れた光学材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上述した諸問題を解決するために鋭意検討した結果、金属酸化物と下記一般式(1)または一般式(1’)で表される繰返し単位を有する樹脂とを含む有機・無機複合体組成物を用いて光学材料を構成すればこれらの問題を解決しうることを見出し、以下の本発明を提供するに至った。
【0010】
<1> 下記一般式(1)または一般式(1’)で表される繰返し単位を有する樹脂と金属酸化物とを含む有機・無機複合体組成物からなることを特徴とする光学材料。
【化1】

〔一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはスピロ結合によって結合しており、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。一般式(1’)中、環βおよび環γは、それぞれ独立に単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結されている。L1、L2は単結合または2価の連結基を表す。Aは下記一般式(2)〜(10)で表される2価の連結基から選ばれる少なくとも1種を表す。〕
【化2】

〔式中、Xは2価の有機基を表し、Yは4価の有機基を表す。R1はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。2つのR1は互いに結合し環を形成していてもよい。〕
<2> 前記金属酸化物が、ソルゲル反応により得られた酸化物であることを特徴とする<1>に記載の光学材料。
<3> 前記ソルゲル反応により得られた金属酸化物が、下記一般式(11)で表される金属アルコキシドまたは金属ハロゲン化物から誘導されたものであることを特徴とする<2>に記載の光学材料。
【化3】

〔一般式(11)中、Zはアルコキシ基またはハロゲン原子を表し、Mは金属原子を表す。Tは単結合または2価の連結基を表し、Rは有機基を表し、Arは芳香族基を表す。aおよびbは、それぞれ1以上の整数を表し、cは0以上の整数を表す。ただし、a+b+cはMで表される金属原子の価数である。〕
【0011】
<4> 前記有機・無機複合体組成物における前記金属酸化物の含有率が5〜70質量%であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の光学材料。
<5> 金属酸化物を含有することにより熱変形温度が2℃以上上昇していることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の光学材料。
<6> 金属酸化物を含有することにより熱膨張係数が20ppm/℃以上低下していることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載の光学材料。
<7> 前記金属酸化物を構成する金属原子が、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、チタンおよびゲルマニウムからなる群より選ばれる金属であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項に記載の光学材料。
<8> レンズの機能を有することを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項に記載の光学材料。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光学材料は、耐熱性、光学特性および力学特性に優れており、光ディスク基板、光導波路、光ファイバー、タッチパネル、プラスチックレンズに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下において、本発明の光学材料について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0014】
本発明の光学材料は、一般式(1)または一般式(1’)で表される繰返し単位を有する樹脂と金属酸化物とを含む有機・無機複合体組成物(以下、「本発明における複合体組成物」と称することがある。)からなることを特徴とする。本発明で用いる有機・無機複合体組成物は新規な組成物であり、該組成物を含有するために本発明の光学材料は、熱性、光学特性および力学特性などに優れ、光ディスク基板、光導波路、光ファイバー、タッチパネル、プラスチックレンズ等の用途に好適に用いることができる。
【0015】
《有機・無機複合体組成物》
[樹脂]
本発明で用いる有機・無機複合体組成物は、下記一般式(1)または下記一般式(1’)で表される繰返し単位を有する樹脂(以下、「本発明における樹脂」という。)を含有する。
【0016】
【化4】

〔一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはスピロ結合によって結合しており、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。一般式(1’)中、環βおよび環γは、それぞれ独立に単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結されている。L1、L2は単結合または2価の連結基を表す。Aは下記一般式(2)〜(10)で表される2価の連結基から選ばれる少なくとも1種を表す。〕
【0017】
【化5】

〔式中、Xは2価の有機基を表し、Yは4価の有機基を表す。R1はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表わし、2つのR1は互いに結合し環を形成していてもよい。〕
【0018】
本発明における樹脂は、一般式(1)または一般式(1’)で表される繰り返し単位を複数種有するものであってもよい。
【0019】
前記一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはスピロ結合によって結合しており、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。一般式(1’)中、環βおよび環γは、単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結されている。
【0020】
前記環α,βおよびγで表される単環式の環としては、例えば、ベンゼン環、シクロヘキサン環、ピリジン環、ピロール環、チオフェン環が挙げられ、ベンゼン環、シクロヘキサン環、ピリジン環が好ましい。
また、前記環α,βおよびγで表される多環式の環としては、例えば、ナフタレン環、インダン環、クロマン環、キノリン環、イソキノリン環、インドール環が挙げられ、インダン環、クロマン環が好ましい。
【0021】
一般式(1)または一般式(1’)中、L1、L2は単結合または2価の連結基を表し、好ましくは単結合である。前記2価の連結基の例としては、エーテル基、チオエーテル基、イミノ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニルイミノ基、イミノカルボニル基、スルホン基、炭素数が20以下の2価の飽和脂肪族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。また、前記2価の連結基は、上述の連結基が複数連結して一つの連結基を形成したものであってもよい。
【0022】
前記2価の連結基の置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル);シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル);ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基(即ち、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基)、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル);
【0023】
アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル);シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基(即ち、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基)、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル);ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基(即ち、二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基)、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル);アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル);アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えば、フェニル、p−トリル、ナフチル);ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基であり、例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル);
【0024】
シアノ基;ヒドロキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ);アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ);シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ);ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ);アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ);カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ);アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ);アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ);
【0025】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ);アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ);アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ);アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ);アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ);スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ);アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ);メルカプト基;アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ);アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ);ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ);
【0026】
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル);スルホ基;アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル);
【0027】
アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル);アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイルベンゾイル);アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル);アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル);カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル);アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ);イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド);ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ);ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル);ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ);ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ);シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
【0028】
前記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに前記の基で置換されていてもよい。前記置換基が置換された置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0029】
一般式(1)および一般式(1’)において、Aは下記一般式(2)〜(10)で表される2価の連結基から選ばれる少なくとも1種を表す。
【0030】
【化6】

【0031】
一般式(3)〜(10)中、Xは2価の有機基を表し、Yは4価の有機基を表す。前記Xの例として好ましくは、炭素数40以下の2価の飽和脂肪族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、飽和複素環基、または不飽和複素環基が挙げられる。前記Yの例として好ましくは、炭素数40以下の4価の飽和脂肪族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、飽和複素環基、または不飽和複素環基が挙げられる。これらは上述の置換基を有していてもよい。ここで、前記4価の有機基における4個の結合部位は、2個ずつの2組に分けられ、各組の2個の結合部位が隣り合う炭素上に存在することが好ましい。
また、一般式(3)〜(10)中、R1は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。前記置換基は、上述の置換基の例と同一のものを表す。前記R1における置換基としては、水素原子、アルキル基、アリール基が好ましい。
【0032】
本発明における樹脂は、例えば下記一般式(12)で表される繰り返し単位をさらに含有してもよい。
【0033】
【化7】

【0034】
一般式(12)中、Aは一般式(1)または一般式(1’)におけるAと同義であり、前記一般式(2)〜(10)で表される2価の連結基から選ばれる少なくとも1種である。一般式(12)におけるAの好ましい例としては、前述した2価の連結基の例と同一のものを挙げることができる。また、Bは2価の有機基を表す。前記Bで表される2価の有機基としては、上述のXで表される2価の有機基の例と同一のものを挙げることができる。
【0035】
また、一般式(1)または一般式(1’)で表される繰り返し単位はアルコキシシリル基を有する置換基によって修飾されていてもよい。この時、アルコキシシリル基を有する置換基は樹脂中のいずれの位置に置換されていてもよいが、一般式(1)または一般式(1’)で表される繰り返し単位を末端および/または両末端とする位置で結合していることが最も好ましい。
以下にアルコキシシリル基を有する置換基によって一般式(1)または一般式(1’)で表される繰り返し単位を修飾するための好ましい官能基を有する化合物を例として挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【化8】

【0037】
一般式(1)におけるスピロ環を有する繰り返し単位の好ましい具体例としては下記一般式(13)または(14)で表される繰り返し単位を挙げることができる。但し、本発明で採用することができる繰り返し単位はこれらに限定されるものではない。
【化9】

【0038】
一般式(13)で表される繰り返し単位中、R4、R5はそれぞれ独立に置換基を表す。該置換基として好ましくは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル);シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル);ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(即ち、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基)、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル);
【0039】
アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル);シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基(即ち、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基)、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル);ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基(即ち、二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基)、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル);アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル);アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル);
【0040】
シアノ基;ヒドロキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ);アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ);アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ);
【0041】
アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル);アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイルベンゾイル);アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)が挙げられる。
これらR4およびR5で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基が更に好ましい。
【0042】
一般式(13)で表される繰り返し単位中、R6、R7は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−ヘキシル)を表す。また、一般式(13)において、j1、k1はそれぞれ独立して0〜3を表し、好ましくは0〜1である。p、qはそれぞれ独立して、0〜6を表し、0〜1が好ましく、0がさらに好ましい。
【0043】
【化10】

【0044】
一般式(14)で表される繰り返し単位中、R9、R10はそれぞれ独立に置換基を表す。該置換基の好ましい例としては、一般式(13)で述べたものと同一のものが挙げられる。前記R9、R10で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基が更に好ましい。
一般式(14)で表される繰り返し単位中、R11、R12、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−ヘキシル)を表す。また、J2、k2はそれぞれ独立に0〜3を表し、0〜1が好ましい。g、hはそれぞれ独立に0〜6を表し、0〜1が好ましく、0が更に好ましい。
【0045】
また、一般式(1’)における繰り返し単位の好ましい具体例としては下記一般式(15)で表される繰り返し単位を挙げることができるが、本発明で採用することができる繰り返し単位はこれらに限定されるものではない。
【0046】
【化11】

【0047】
一般式(15)で表される繰り返し単位中、R23、R24、R25、R26はそれぞれ独立に置換基を表す。該置換基の好ましい例としては、前記一般式(13)で述べたものと同一のものが挙げられる。R23、R24、R25、R26で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基が好ましい。
一般式(15)で表される繰り返し単位中、R21、R22はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−ヘキシル)を表す。また、J3、k3はそれぞれ独立に0〜3を表し、0〜1が好ましい。J4、k4はそれぞれ独立に0〜4を表し、0〜1が更に好ましい。g、hはそれぞれ独立して0〜6を表し、0〜1が好ましく、0がさらに好ましい。
【0048】
前記一般式(1)または一般式(1’)で表される繰り返し単位から構成される本発明における樹脂は、1種の繰り返し単位で形成されるホモポリマーであってもよいし、異なる繰り返し単位複数個によって形成されるコポリマーであってもよい。即ち、本発明における樹脂は、一般式(1)および(1’)で表される繰り返し単位のいずれか一方および/または両方を含んで構成されていてもよく、含まれる繰り返し単位はそれぞれ同一のものであってもよいし、異なっていてもよい。
【0049】
更に本発明における樹脂は、前記一般式(12)で表される繰り返し単位など、一般式(1)および(1’)以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。前記一般式(12)で表される繰り返し単位など、一般式(1)および(1’)以外の繰り返し単位を含む場合、本発明における樹脂中の一般式(1)および(1’)以外の繰り返し単位の含有率は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。
【0050】
以下に本発明の一般式(1)または一般式(1’)で表される樹脂の具体例(P−1〜P−65およびFL−1〜FL−12)を示すが、本発明で用いることができる樹脂はこれらに限定されるものではない。
【0051】
【化12】

【0052】
【化13】

【0053】
【化14】

【0054】
【化15】

【0055】
【化16】

【0056】
【化17】

【0057】
【化18】

【0058】
【化19】

【0059】
【化20】

【0060】
【化21】

【0061】
【化22】

【0062】
【化23】

【0063】
本発明における樹脂の分子量は数平均分子量で10000〜1000000(ポリスチレン換算)であることが好ましく、さらに好ましくは20000〜500000であり、特に好ましくは30000〜200000である。分子量が低いとフィルム基板の機械的強度が不十分となる場合がある。
【0064】
本発明における樹脂の前記有機・無機複合体組成物中の含有量としては、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%が更に好ましい。
【0065】
[金属酸化物]
以下、本発明における樹脂と共に前記有機・無機複合体組成物に含まれる金属酸化物について説明する。
ここでいう金属酸化物とは、金属−酸素結合を有する化合物全般を意味するものであり、単一の金属から構成される金属酸化物と2種以上の金属が酸素で結合された金属酸化物(特に金属複合酸化物という)の両方を含む概念である。金属酸化物を構成する金属としては、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、チタンおよびゲルマニウムからなる群より選ばれる金属であることが好ましい。
単一の金属から構成される金属酸化物の好ましい例としては、Al23、SiO2、ZrO2、Fe23、TiO2、B23、WO3などが挙げられる。
【0066】
一方、金属複合酸化物は、2種類の金属から構成される場合は式:Exy/Fmnで表すことができる(式中、Eは2元複合酸化物に含まれる2種類の金属の一方を示し、Fは他方の金属を示す。また、x、y、m、nは複合酸化物において好ましい価数となる組み合わせを表す数である)。例えばAl−O−Siで表される結合を主構成成分とする複合酸化物をAl23/SiO2と表すことができる。好ましい金属複合酸化物としては、例えば、SiO2/ZrO2、SiO2/Fe23、TiO2/Fe23、Al23/SiO2、Al23/TiO2、Al23/ZrO2、Al23/Fe23などの2元複合酸化物;Al23/SiO2/Fe23、Al23/SiO2/TiO2、Al23/TiO2/ZrO2、Al23/SiO2/ZrO2などの3元複合酸化物;およびそれ以上の多元系の複合酸化物が挙げられる。
【0067】
本発明で使用される金属酸化物の平均一次粒子サイズは、0.001μm以上0.1μm未満が好ましく、さらに好ましくは0.001μm以上0.03μm未満である。また、前記金属酸化物は、その表面が各種の表面処理剤により変性されていてもよい。前記表面処理剤は、前記金属酸化物等の凝集をできるだけ抑制する目的、あるいは、前記金属酸化物等と本発明における樹脂との親和性を向上させる目的で使用される。前記表面処理剤としては、例えば、リン酸およびその誘導体(例えば、リン酸エステル、リン酸のアルカリ金属塩、リン酸のアンモニウム塩など)、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、ポリメタクリル酸のアンモニウム塩、アルカリ金属水酸化物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。前記の表面処理剤は、一般に、金属酸化物に対して5質量%以下の量で使用することができる。
【0068】
前記金属酸化物は、ゾルゲル反応によって得られた金属酸化物であることが好ましい。前記ゾルゲル反応により得られた金属酸化物としては、一般的にゾルーゲル法に用いられているものを使用でき、例えば、金属アルコキシド、または金属ハロゲン化物から誘導することができる。以下に、好ましい金属アルコキシドを例に本発明における金属酸化物の製造方法について説明する。
【0069】
本発明において好ましく用いることのできる金属アルコキシドとしては、あらゆるタイプのものを用いることができ、その中でも下記一般式(16)で表される化合物が好ましい。
dM ・・・(16)
【0070】
前記一般式(16)中、Gは、炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。また、Mは、Si、Ti、Zr、Fe、Cu、Sn、B、Al、Ge、Ce、TaおよびW等からなる群から選択される金属元素を表し、Si、TiおよびZrからなる群から選択される金属元素が好ましい。dは2〜6の整数を表す。
【0071】
一般式(16)で表される化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシランまたはテトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタンまたはテトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類;テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウムまたはテトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム類;および、ジメトキシ銅;ジエトキシバリウム;トリメトキシホウ素;トリエトキシガリウム;トリブトキシアルミニウム;テトラエトキシゲルマニウム;テトラブトキシ鉛;ペンタ−n−プロポキシタンタル;ヘキサエトキシタングステン等の金属アルコキシド類が挙げられる。
【0072】
前記ゾルゲル反応により得られる金属酸化物としては、下記一般式(11)で表される金属アルコキシドまたは金属ハロゲン化物から誘導されたものが更に好ましい。
【0073】
【化24】

【0074】
一般式(11)中、Zはアルコキシ基またはハロゲン原子を表し、Mは金属原子、Tは単結合または2価の連結基を表し、Rは有機基を表し、Arは芳香族基を表す。aおよびbは1以上の整数を表し、cは0以上の整数を表す。ただし、a+b+cは金属原子Mの価数である。
【0075】
Zがアルコキシ基を表す場合、ZはR20O−で表されるアルコキシ基であることが好ましい。
ここで、RおよびR20は、直鎖または分岐状の有機基を表す。前記有機基は、アルキル基、アラルキル基等を主骨格とし、ゾルーゲル反応系に影響を与えない限り、その内部に不飽和結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ペプチド結合、或いは、カルボキシル基、アミノ基、ケトン基等を含んでいてもよい。前記有機基を構成する主骨格の炭素数は1〜10が好ましく、1〜5が更に好ましい。
また、Zがハロゲン原子を表す場合、該ハロゲン基としては、塩素または臭素が特に好ましい。
【0076】
一般式(11)中、Mは金属原子を表し、該金属原子としては、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウムおよびスズが好ましい例として挙げられる。また、一般式(11)中、Arは芳香族基を表し、該芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい例として挙げられる。
また、一般式(11)において、aおよびbは、それぞれ1以上の整数を表し、cは0以上の整数を表す。また、a+b+cはMで表される金属原子の価数である。a、b、cの好ましい組み合わせ例を下記表1〜2に示す。
Mが4価の金属である場合、a+b+cの組み合せとしては下記表1に挙げる組み合わせが好ましい。
【0077】
【表1】

【0078】
また、Mが3価の金属である場合、a+b+cの組み合せとしては下記表2に挙げる組み合わせが好ましい。
【0079】
【表2】

【0080】
4価の金属原子を有する前記金属アルコキシドの具体例としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。尚、下記の具体例において、Mは4価の金属原子(ケイ素、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、または、スズ)を表し、Phはフェニル基を表す。
前記4価の原子を有する金属アルコキシドとしては、例えば、
(CH3O)3MPh、
(C25O)3M(CH2Ph)、
(C23O)3M(C24OPh)、
(C38NO)3MPh、
(C49O)3M(C34Ph)、
(CH4NO)2MPh2
(C25O)2M(CH3NPh)2
(C35O)2M(C48Ph)2
(C410NO)2M(C222Ph)2
(CH3O)2M(C49NPh)(C49)、
(C25O)2M(C462Ph)(C35)、
(C23O)2M(C24Ph)(C25O)、
(C38NO)2M(CH2Ph)(CH4N)、
(C49O)2MPh(CH3)、
(CH4NO)2MPh(C25)、
(C25O)2M(CH2Ph)(C37O)、
(C35O)2M(C22Ph)(C592)、
(C410NO)2MPh(C410N)、
(CH3O)2M(CH2OPh)(C37)、
(C25O)2M(C582Ph)(C49)、
(C23O)2MPh(C38N)、
(C38NO)2M(C24Ph)(C25)、
(C49O)2MPh(C232)、
(CH4NO)2MPh(C37)、
(C25O)2M(CH3NPh)(C352)、
(C35O)2M(C48Ph)(C23)、
(C410NO)2M(C222Ph)(CH3
が挙げられる。
【0081】
前記4価の金属原子を有する金属アルコキシドとしては、
(CH3O)3MPh、
(C25O)3MPh、
(C37O)3MPh、
(C49O)3MPh、
(CH3O)2MPh2
(C25O)2MPh2
(C37O)2MPh2
(C49O)2MPh2
が更に好ましい。
【0082】
また、3価の金属原子を有する金属アルコキシドとしては、アルミニウムアルコキシドが好ましく、例えば、下記の化合物が挙げられる。尚、下記化合物においてPhはフェニル基を表す。
前記アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、
(CH3O)2AlPh、
(C25O)2Al(CH2Ph)、
(C23O)2Al(C24OPh)、
(C38NO)2AlPh、
(C49O)2Al(C34Ph)、
(CH4NO)AlPh2
(C25O)Al(CH3NPh)2
(C35O)Al(C48Ph)2
(C410NO)Al(C222Ph)2
(CH3O)Al(C49NPh)(C49)、
(C25O)Al(C462Ph)(C35)、
(C23O)Al(C24Ph)(C25O)、
(C38NO)Al(CH2Ph)(CH4N)、
(C49O)AlPh(CH3)、
(CH4NO)AlPh(C25)、
(C25O)Al(CH2Ph)(C37O)、
(C35O)Al(C22Ph)(C592)、
(C410NO)AlPh(C410N)、
(CH3O)Al(CH2OPh)(C37)、
(C25O)Al(C582Ph)(C49)、
(C23O)AlPh(C38N)、
(C38NO)Al(C24Ph)(C25)、
(C49O)AlPh(C232)、
(CH4NO)AlPh(C37)、
(C25O)Al(CH3NPh)(C352)、
(C35O)Al(C48Ph)(C23)、
(C410NO)Al(C222Ph)(CH3
が挙げられる。
【0083】
前記アルミニウムアルコキシドとしては、
(CH3O)2AlPh、
(C25O)2AlPh、
(C37O)2AlPh、
(C49O)2AlPh、
(CH3O)AlPh2
(C25O)AlPh2
(C37O)AlPh2
(C49O)AlPh2
が更に好ましい。
【0084】
また、前記金属ハロゲン化物の具体例としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。尚、下記の具体例において、Mは4価の金属原子(ケイ素、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、または、スズ)を表し、Phはフェニル基を表す。
前記金属ハロゲン化物としては、例えば、
2MPh2
2M(CH2Ph)2
3MPh、
3M(C24OPh)、
Cl2MPh2
Cl3M(CH2Ph)、
Cl3MPh、
Cl3M(C24OPh)、
Br2MPh2
Br2M(CH2Ph)2
Br3MPh、
Br3M(C24OPh)、
2MPh2
2M(CH2Ph)2
3MPh、
3M(C24OPh)、
2AlPh、
2Al(CH2Ph)、
2Al(C24OPh)、
Cl2AlPh、
Cl2Al(CH2Ph)、
Cl2Al(C24OPh)、
Br2AlPh、
Br2Al(CH2Ph)、
Br2Al(C24OPh)、
2AlPh、
2Al(CH2Ph)、
2Al(C24OPh)
が挙げられ、
2MPh2
Cl2MPh2
Br2MPh2
2MPh2
3MPh、
Cl3MPh、
Br3MPh、
3MPh
が好ましい。
【0085】
本発明で用いることができる特に好ましい化合物は以下のとおりである。
PhSi(OCH33
PhSi(OC253
(C25O)3Si(CH2Ph)、
Ph2GeCl2
【0086】
また、本発明における金属酸化物の合成には、前記に例示した金属アルコキシドおよび金属ハライドの部分加水分解物、並びに、その2量体および3量体程度の初期縮合物も好適に用いることができる。これらの金属アルコキシドおよび金属ハライドは単独で用いてもよいく、2種以上を併用してもよい。
【0087】
本発明における金属酸化物の合成において、前記金属アルコキシドおよび金属ハライドの使用量は、本発明の目的を損なわない程度であれば規定されないが、樹脂組成物に対して、5質量%〜70質量%が好ましく、10質量%〜60質量%が更に好ましく、15質量%〜50質量%が特に好ましい。
また、前記有機・無機複合体組成物における本発明における金属酸化物の総含有量としては、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%が更に好ましい。
【0088】
[無機層状化合物]
本発明における複合体組成物には、無機層状化合物を含有させることもできる。本発明における樹脂と共に前記無機層状化合物を添加することで、前記有機・無機複合体組成物の熱変形温度が2〜100℃高まることを期待できる。
また、本発明の光学材料をプラスチックフィルム基板として使用した場合、ガスバリア性フィルムとしての効果を奏することができる。ここで用いられる無機層状化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、膨潤性および/または劈開性を有する粘土鉱物やハイドロタルサイト類化合物およびその類似化合物を好適に用いることができる。
【0089】
前記粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石などを挙げることができる。
【0090】
前記無機層状化合物は、天然物であっても合成物であってもよい。また、前記無機層状化合物は、単独で用いてもよいし、複数を併用することもできる。
【0091】
前記無機層状化合物の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、無機層状化合物の厚さは、可能な限り1層における厚みが約1nmであることが好ましい。また、前記無機層状化合物としては、平均長さが0.01〜50μm、好ましくは0.05〜10μmであり、アスペクト比が20〜500、好ましくは50〜200であるものを好適に用いることができる。
【0092】
前記無機層状化合物は、その層間(最上または最下の無機層状化合物の表面も含まれる)にイオン交換可能な無機カチオンを有する。ここで、「イオン交換可能な無機カチオン」とは、無機層状化合物(例えば層状珪酸塩)の結晶表面上に存在するナトリウム、カリウム、リチウムなどの金属イオンのことである。これらの金属イオンは、カチオン性物質とのイオン交換性を有し、イオン交換反応によってカチオン性を有する種々の物質を前記無機層状化合物の層間にインターカレートできる。
【0093】
前記無機層状化合物の層間に存在する無機カチオンを有機カチオンでイオン交換する場合、前記有機カチオンとしては、長鎖のアルキル基を含むアルキルアンモニウムイオンを好適に用いることができる。前記長鎖のアルキル基を含むアルキルアンモニウムイオンとしては、例えば、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、ジヘキシルジメチルアンモニウムイオン、ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、ヘキサトリメチルアンモニウムイオン、オクタトリメチルアンモニウムイオン、ドデシルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムイオン、オクタデシルトリメチルアンモニウムイオン、ジオクタデシルジメチルアンモニウムイオン、ドコセニルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキサデシルアンモニウムイオン、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムイオン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムイオン、ジオレイルジメチルアンモニウムイオン、または、ポリオキシエチレンドデシルモノメチルアンモニウムイオンなどを用いることができる。
【0094】
前記無機層状化合物のカチオン交換容量(CEC)は、特に限定されるものではないが、例えば25〜200meq/100gであることが好ましく、50〜150meq/100gであることがより好ましく、90〜130meq/100gであることがさらに好ましい。前記無機層状化合物のカチオン交換容量が25meq/100g未満であると、イオン交換により無機層状化合物の層間に挿入(インターカレート)されるカチオン性物質の量が少なくなるために、層間が十分に親有機化されないことがある。一方、カチオン交換容量が200meq/100gを超えると、無機層状化合物の層間の結合力が強固になりすぎて、結晶薄片が剥離しにくくなり、分散性が悪くなることがある。
【0095】
前記無機層状化合物の具体例としては、例えば、クニミネ工業(株)製の「スメクトンSA」、「クニピアF」;および、コープケミカル(株)製の「ソマシフME−100」、「ルーセンタイトSWN」などの市販品を挙げることができる。
【0096】
前記無機層状化合物の層間に存在する無機カチオンを有機カチオンでイオン交換(親有機化)する方法としては、一般に、湿式法を挙げることができる。前記湿式法は、無機層状化合物を水やアルコール等で十分溶媒和させた後、有機カチオンを加えて撹拌し、無機層状化合物の層間に存在する金属イオンを有機カチオンに置換し、その後、未置換の有機カチオンを十分に洗浄して、ろ過、乾燥する方法である。その他、有機溶剤中で無機層状化合物と有機カチオンとを直接反応させたり、樹脂などの存在下で、無機層状化合物と有機カチオンとを押出機中で加熱混練して反応させたりすることもできる。
【0097】
前記無機層状化合物と本発明における樹脂との配合比率は、質量比で1/100〜100/20であることが好ましく、5/100〜100/50であることがさらに好ましい。無機層状化合物の配合量が本発明における樹脂の質量100質量部に対して1質量部未満であると、充分な耐熱性およびガスバリア性が得られない場合がある。一方、本発明における樹脂の配合量が無機層状化合物100質量部に対して20質量部未満であると、脆性等が悪化する場合がある。
【0098】
本発明における樹脂に無機層状化合物が含まれる層を形成する場合、先ず無機層状化合物と本発明における樹脂とを溶融混練または溶液中で混合することにより、無機層状化合物を劈開した状態で樹脂中に分散した樹脂組成物を作製することが好ましい。製造プロセスやコストを考慮すると、溶融混練法により混合することが好ましい。
【0099】
前記溶融混練法によって使用可能な溶融混練機としては、熱可塑性樹脂について一般に実用されている混練機を挙げることができる。該混練機としては、例えば、一軸または多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等を用いることができる。
【0100】
[添加剤]
本発明における複合体組成物には、本発明における樹脂や金属酸化物の他に、必要に応じて下記(a)〜(d)に挙げる種々の化合物を添加することができる。
(a)加水分解・縮合触媒(ゾルゲル触媒)
(b)溶媒
(c)キレート配位子化合物
(d)水
以下に本発明において使用可能な各種添加物について詳細に説明する。
【0101】
(a)加水分解・縮合触媒(ゾルゲル触媒)
本発明における有機・無機複合体組成物には、金属酸化物前駆体の加水分解/部分縮合反応を促進する目的で、種々の加水分解・縮合触媒(ゾルゲル触媒)を好ましく用いることができる。前記ゾルゲル触媒としては酸触媒または塩基触媒が好ましく、本発明における複合体組成物の構成成分に応じて適量を使用すればよい。
【0102】
一般に、前記ゾルゲル触媒としては下記(a1)〜(a5)の化合物を好適に用いることができ、これら(a1)〜(a5)の化合物の中から好ましい化合物を必要量を添加することができる。また、これらの群の中2種以上を互いの促進効果が阻害されない範囲内で適宜選択して併用することができる。
【0103】
(a1)無機酸または有機酸化合物
前記無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、または、亜燐酸などが挙げられる。
また、有機酸化合物としては、例えば、カルボン酸類(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、オクタン酸、マレイン酸、2−クロロプロピオン酸、シアノ酢酸、トリフルオロ酢酸、パーフルオロオクタン酸、安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、フタル酸など)、スルホン酸類(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸など)、燐酸・ホスホン酸類(燐酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸など)、ルイス酸類(三フッ化ホウ素エーテラート、スカンジウムトリフレート、アルキルチタン酸、アルミン酸など)、ヘテロポリ酸(燐モリブデン酸、燐タングステン酸など)を挙げることができる。
【0104】
(a2)無機塩基または有機塩基化合物
前記無機塩基化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アンモニアなどが挙げられる。
また、前記有機塩基化合物としては、例えば、アミン類(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、エタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン、キヌクリジン、アニリン、ピリジンなど)、ホスフィン類(トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィンなど)、金属アルコキサイド(ナトリウムメチラート、カリウムエチラートなど)を挙げることができる。
【0105】
(a3)金属キレート化合物
金属キレート化合物としては、一般式:R30OHで表されるアルコール(式中、R30は炭素数1〜6のアルキル基を示す)と、一般式:R31COCH2COR32で表されるジケトン(式中、R31は炭素数1〜6のアルキル基、R32は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜16のアルコキシ基を示す)とを配位子とし、且つ、金属を中心金属とするものであれば特に制限なく、好適に用いることができる。また、上述の範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用してもよい。
前記金属キレート化合物としては、中心金属にAl、Ti、Zrを有するものが好ましく、具体的には、Zr(OR30p1(R31COCHCOR32p2、Ti(OR30q1(R31COCHCOR32q2、および、Al(OR30r1(R31COCHCOR32r2で表される群から選ばれる化合物が好ましい。前記金属キレート化合物は、前記(a)成分の縮合反応を促進する作用をなす。
【0106】
前記金属キレート化合物中のR30およびR31で表される炭素数1〜6のアルキル基は同一または異なってもよく、具体的には、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などが挙げられる。また、R32は、前記と同様の炭素数1〜6のアルキル基のほか、炭素数1〜16のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリル基、ステアリル基などである。また、前記金属キレート化合物中のp1〜r2は4あるいは6座配位となる様に決定される整数を表す。
【0107】
これらの金属キレート化合物の具体例としては、例えば、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、または、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、または、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、または、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
【0108】
この中でも、前記金属キレート化合物としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムが好ましい。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
【0109】
(a4)有機金属化合物
前記有機金属化合物としては特に制限はないが、有機遷移金属が、活性が高い点で好ましい。中でもスズ化合物は安定性と活性とがよいことから特に好ましい。
【0110】
(a5)金属塩類
前記金属塩類としては有機酸のアルカリ金属塩(例えば、ナフテン酸ナトリウム、ナフテン酸カリウム、オクタン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、ラウリル酸カリウムなど)が好ましく用いられる。
【0111】
前記ゾルゲル触媒の前記組成物中の含有量は、前記金属酸化物前駆体に対して、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜50質量%が更に好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
【0112】
(b)溶媒
本発明における有機・無機複合体組成物を調製する際に使用することのできる有機溶剤としては、本発明における樹脂および前記金属アルコキシドおよび金属ハライドを溶解でき、且つ、前記金属アルコキシドおよび金属ハライドの加水分解を進行できる程度の水を含有することができるものを挙げることができる。ここで、前記有機溶媒は、本発明における複合体組成物(ゾル液)中の各成分を均一に混合でき、組成物中の固形分を調整をすると同時に、種々の塗布方法に適用できるようにし、組成物の分散安定性および保存安定性を向上させるものである。これらの有機溶媒は前記目的の果たせるものであれば特に限定されず、種々の有機溶媒を用いることができる。
【0113】
前記有機溶媒としては、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、ハロゲン系溶媒類およびこれらの混合溶媒が好ましい。
前記有機溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルムが好適に挙げられる。通常、本発明における複合体組成物に有機溶媒を加えて溶液組成物とする場合、その固形分濃度は5〜40質量%程度であり、より好ましくは10〜25質量%である。
【0114】
これら有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。また、有機溶媒の組成物中の割合は特に限定されるものではなく、全固形分濃度を使用目的に応じて調節する量が用いられる。
【0115】
(c)キレート配位子化合物
本発明における複合体組成物(ゾル液)に金属錯体化合物を用いる場合、硬化反応速度の調節や液安定性向上の観点でキレート配位能のある化合物(キレート配位子化合物)を用いることも好ましい。好ましく用いられるキレート配位子化合物としては、β−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類を挙げることができる。前記キレート化合物は、本発明における複合体組成物の安定性向上剤として作用するものである。
【0116】
前記β−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。かかるβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類の含有量は、前記金属キレート化合物1モルに対し2モル以上であることが好ましく、3〜20モルであることが更に好ましい。前記β−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類の含有量が2モル以上であると、得られる組成物の保存安定性が向上する。
【0117】
(d)水
本発明における複合体組成物(ゾル液)には、前記金属酸化物前駆体の加水分解・縮合反応用として水を添加することができる。前記水の使用量は、金属酸化物前駆体1モルに対し、通常、1.2〜5.0モルが好ましく、1.3〜4.0モル程度であることが更に好ましい。
本発明における複合体組成物の全固形分濃度は、0.1〜50質量%が好ましく、1〜40質量%が更に好ましい。前記固形分濃度が50質量%を超えると、組成物の保存安定性が悪化する場合があり好ましくない。
【0118】
本発明における有機・無機複合体組成物は、硬化(加水分解、縮合)させることで光学材料とする。前記組成物の硬化に必要な水は、適宜に添加してもよいし、また空気中に存在するものを利用することもできる。前記組成物の硬化温度は、室温でも十分であるが、金属アルコキシドおよび金属ハライドの蒸発に注意しながら、適宜に300℃以下の温度で加熱することもできる。
【0119】
本発明において、前記金属アルコキシドおよび金属ハライドは酸触媒あるいは塩基触媒により加水分解され金属酸化物となる。前記酸触媒としては、硫酸、塩酸および硝酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、酒石酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸およびメタンスルホン酸等の有機酸が好ましい。前記塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)などが挙げられる。これらの中でも、酸触媒が好ましい。
【0120】
これら触媒の使用量は、使用する触媒の活性により適宜決めることができる。通常、使用する金属アルコキシドおよび金属ハライド1モル当たり、0.001〜0.05モルであり、好ましくは約0.01モルである。ただし、触媒能力の低いギ酸、酢酸などでは0.001〜0.5モル程度使用するのが好ましい。前記触媒の添加時期は特に制限されず、樹脂と金属アルコキシドおよび金属ハライドとを有機溶剤に溶解して溶液組成物を調製する際に添加してもよく、当該組成物を各種用途に供する直前に添加してもよい。
【0121】
本発明における有機・無機複合体組成物を調製するために使用される有機溶剤としては、本発明における樹脂および金属アルコキシドおよび金属ハライドを溶解でき、金属アルコキシドおよび金属ハライドの加水分解を進行できる程度の水を含有することのできるものを用いる。たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブタノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。通常、溶液組成物とする場合の固形分濃度は5〜40質量%程度であり、より好ましくは10〜25質量%である。
【0122】
(他の樹脂)
前記有機・無機複合体組成物中、本発明における樹脂には他の相溶可能な樹脂を併用してもよい。また、必要により本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、染顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、無機微粒子、剥離促進剤、レベリング剤、および潤滑剤などの各種添加剤(樹脂改質剤)を添加してもよい。
【0123】
本発明における複合体組成物に使用される樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂をブレンドすることができる。本発明における樹脂にブレンドされる樹脂材料は熱可塑性樹脂であっても、硬化性樹脂であってもよい。
【0124】
前記熱可塑性樹脂としては、以下のようなものが例として挙げられる。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0125】
例えば、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、アクリロイル化合物などが挙げられる。
【0126】
前記熱可塑性樹脂としては、ガラス転移点温度(Tg)が100℃以上であることが好ましい。
これら熱可塑性樹脂のうち、好ましい例(括弧内はTgを示す)としては、ポリカーボネート樹脂(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン樹脂(例えば日本ゼオン(株)製の「ゼオノア1600」(160℃)、JSR(株)製の「アートン」(170℃))、ポリアリレート樹脂(PAr:200℃)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES:220℃)、ポリスルホン樹脂(PSF:190℃)、ポリエステル樹脂(例えば鐘紡(株)製の「O−PET」(125℃)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の実施例1の化合物:162℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂(BCF−PC:特開2000−227603号公報の実施例−4の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート樹脂(IP−PC:特開2000−227603号公報の実施例−5の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の実施例−1の化合物:300℃以上)が挙げられる。
【0127】
また、熱可塑性樹脂としては下記一般式(17)で表わされるビスフェノールをビスフェノール成分とするポリカーボネート樹脂も好ましい例として挙げられる。
【0128】
【化25】

【0129】
ここで、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基を表し、A’は単結合、または、2価の連結基(好ましくは単結合、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、炭素数5〜10のシクロアルキレン基、炭素数7〜15のアラアルキレン基、炭素数1〜5のハロアルキレン基)を表す。前記A’の具体例としては以下のものが挙げられる。
前記シクロアルキレン基としては、1,1−シクロペンチレン、1,1−シクロヘキシレン、1,1−(3,3,5−トリメチル)シクロヘキシレン、ノルボルナン−2,2−ジイル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8、8’−ジイル、特に1,1−シクロヘキシレン、1,1−(3,3,5−トリメチル)シクロヘキシレン等が好適に用いられる。また、前記アラアルキレン基としては、フェニルメチレン、ジフェニルメチレン、1,1−(1−フェニル)エチレン、9,9−フルオレニレンが挙げられる。更に、前記ハロアルキレン基としては、2,2−ヘキサフルオロプロピレン、2,2−(1,1,3,3−テトラフルオロ−1,3−ジシクロ)プロピレン等が好適に用いられる。
【0130】
本発明における有機・無機複合体組成物に使用される樹脂にブレンドされる樹脂としては、耐溶剤性、耐熱性などの観点から架橋樹脂も好ましく用いることができる。前記架橋樹脂としては熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂のいずれも種々の公知のものを特に制限なく用いることができる。前記熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。その他、前記架橋樹脂としては共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができる。例えば、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物とを用いて、ウレタン結合を形成するような反応が室温で進行する系も特に制限なく使用できる。ただし、このような系は製膜前のポットライフが問題になる場合が多く、通常、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型として用いられる。
一方で1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、ブロックタイプ硬化剤として市販もされている。ブロックタイプ硬化剤の市販品としては、三井武田ケミカル(株)製「B−882N」、日本ポリウレタン工業(株)製「コロネート2513」(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製「サイメル303」(メチル化メラミン樹脂)などが知られている。また、前記架橋剤樹脂としては、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることのできるポリカルボン酸を保護した下記B−1のようなブロック化カルボン酸も知られている。
【0131】
【化26】

【0132】
前記放射線硬化樹脂としては、ラジカル硬化性樹脂、および、カチオン硬化性樹脂に大別される。
前記ラジカル硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のラジカル重合性基を有する化合物が用いられる。前記ラジカル硬化性樹脂の代表的な例としては、分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物や、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に複数個のアクリル酸エステル基を有する化合物が挙げられる。
【0133】
前記ラジカル硬化性樹脂の代表的な硬化方法としては、電子線を照射する方法、紫外線を照射する方法が挙げられる。通常、紫外線を照射する方法においては紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤を添加する。なお、加熱によりラジカルを発生する重合開始剤を添加すれば、熱硬化性樹脂として用いることもできる。カチオン硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のカチオン重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な硬化方法として紫外線の照射により酸を発生する光酸発生剤を添加し、紫外線を照射して硬化する方法が挙げられる。カチオン重合性化合物の例としては、エポキシ基などの開環重合性基を含む化合物やビニルエーテル基を含む化合物を挙げることができる。
【0134】
本発明における複合体組成物において前記で挙げた熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂のそれぞれ複数種を混合して用いてもよく、熱硬化性樹脂と放射線硬化樹脂とを併用してもよい。また、架橋性樹脂と架橋性基を有さないポリマーとを混合して用いてもよい。
【0135】
さらに本発明における樹脂にこれら架橋性樹脂を混合して用いた場合、得られた有機・無機複合体組成物の耐溶剤性、耐熱性、光学特性、強靭性を両立できることから好ましい。また、本発明における樹脂に架橋性基を導入することも可能であり、ポリマー主鎖末端、ポリマー側鎖、ポリマー主鎖中のいずれの部位に架橋性基を有していてもよい。この場合、前記で挙げた汎用の架橋性樹脂を併用せずに有機・無機複合体組成物を調製してもよい。
【0136】
本発明における複合体組成物をフィルムまたはシート形状の光学材料に成形する方法としては公知の方法が採用できる。このような方法としては、例えば、溶液流延法、押出成形法(溶融成型法)が好ましい方法として挙げられる。溶液流延法の場合、金属アルコキシドおよび金属ハライドの硬化(加水分解、縮合)反応を完全に行った後でもよく、反応を進行させると同時に行ってもよい。また、あらかじめ調製した有機・無機複合体組成物を溶媒に再溶解させて行ってもよい。本発明における複合体組成物が溶融流動可能な組成物である場合、押出成形法(溶融成型法)が可能であるがこの場合はあらかじめ調製した有機・無機複合体組成物を使用することが好ましい。
【0137】
溶液流延法における流延および乾燥方法については、米国特許2,336,310号、米国特許2,367,603号、米国特許2,492,078号、米国特許2,492,977号、米国特許2,492,978号、米国特許2,607,704号、米国特許2,739,069号、米国特許2,739,070号、英国特許640,731号、英国特許736,892号の各明細書、特公昭45−4554号、特公昭49−5614号、特開昭60−176834号、特開昭60−203430号、特開昭62−115035号の各公報に記載がある。本発明における複合体組成物は、表面温度が30℃以下のドラムまたはバンド上で流延することが好ましく、特に、10〜20℃の金属支持体温度で流延することが好ましい。
前記溶液流延法にて用いられる製造装置の例としては、特開2002−189126号公報、段落[0061]〜[0068]に記載の製造装置、図1、図2などが例として挙げられるが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0138】
前記溶液流延法において使用できる溶媒は本発明における複合体組成物を溶解するものであればいずれの溶媒を用いても構わないが、特に25℃において固形分濃度10質量%以上溶解できる溶媒が好ましい。また、使用する溶媒の沸点は200℃以下のものが好ましく、さらに好ましくは150℃以下がさらに好ましい。また、前記溶媒の沸点が高い場合、溶媒の乾燥が不十分となり、フィルム中に残存する恐れがある。
【0139】
前記溶液流延法において使用できる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、アセトン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0140】
また、前記溶媒は2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。
前記混合溶媒の例としては、塩化メチレンに炭素数1〜5のアルコールを1種ないし数種を混合した溶媒が挙げられる。この場合、アルコールの含有量は溶媒全体に対し5〜20質量%が好ましい。さらに、それぞれ炭素数3〜12のエーテル、ケトンおよびエステルの適宣混合した溶媒が好ましい例として挙げられ、この際炭素数1〜5のアルコールを1種ないし数種混合してもよい。
また、発明協会公開技報2001−1745号、段落6に記載の有機溶媒の例なども好ましい例として挙げられる。
【0141】
溶液流延に用いる溶液中の樹脂濃度は5〜60質量%、好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。樹脂の濃度が低すぎると粘度が低く厚さの調節が困難となる場合があり、高すぎると製膜性が悪くムラが大きくなる場合がある。
【0142】
溶液流延する方法は特に限定されないが、バーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターブレード、ロールコート、ダイコート等を用いて平板、またはロール上に流延することができる。
【0143】
前記溶媒の乾燥温度は、使用する溶媒の沸点によって異なるが、2段階に分けて乾燥することが好ましい。この場合、第一段階としては30〜100℃で溶媒の質量濃度が10%以下になるまで乾燥することが好ましく、5%以下になるまで乾燥することが好ましい。次いで、第二段階としては、平板またはロールからフィルムを剥がし、60℃以上且つ樹脂のガラス転移温度以下の範囲で乾燥することが好ましい。
平板またはロールからフィルムを剥がす際、第一段階の乾燥終了直後に剥がしてもよいし、いったん冷却してから剥がしてもよい。
【0144】
本発明における複合体組成物中に残留している溶媒や水分の量はできるだけ少ないように制御することが好ましい。このことは透明導電層を積層する際のアウトガスによる蒸着抜けを抑制するために重要であり、この点を考慮して溶媒および水分残存量は常温、常圧で2000ppm以下とすることが望ましい。溶媒および水分残存量が2000ppmより多いと透明導電層を積層した際に十分な抵抗値を示さないことがある。
【0145】
押出成型法の条件は、一般的な光学樹脂に用いられる条件と同様であり、溶融温度としては、通常180〜350℃の範囲の温度が使用され、特に200〜300℃が好ましく使用される。
【0146】
本発明における複合体組成物はプラスチック材料の有する大きな熱膨張係数に起因する問題を効果的に抑制できる。本発明では熱膨張係数の大きな有機物から成る一般式(1)または(1’)で表される繰り返し単位からなる樹脂中に、熱膨張係数の小さな金属酸化物、および/またはゾルゲル反応により得られる金属酸化物を複合させる。
【0147】
本発明では、このようにして得た金属酸化物、およびゾルゲル反応により得た金属酸化物含有ポリマーのTgは、金属酸化物を含まないポリマー単体に比べ、Tgが2℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは8℃以上高くなることが好ましい。さらにTg変化幅が2℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは8℃以上高くなることが好ましい。ここで言うTg変化幅とは、示差熱分析計(DSC)で測定したときにTgにおいて低温側のベースラインからシフトし始めた温度と、高温側のベースラインに収斂した温度の差を指す。
【0148】
このようにTg、Tg変化幅が大きくなることにより、本発明における樹脂と金属酸化物等との相互作用が強くなると、ポリマー分子の運動性が低下するため、金属酸化物含有前のポリマーに比べて、前記有機・無機複合体組成物の熱変形温度が2℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは8℃以上、上昇させることができる。また、金属酸化物含有前の有機・無機複合体組成物の熱膨張係数に比べ熱膨張係数が20ppm/℃以上、より好ましくは20ppm/℃以上、さらに好ましくは30ppm/℃以上低下させることができる。ここでいう熱変形温度と熱膨張係数は後述する実施例に記載される方法で測定される。金属酸化物を含有する本発明の光学材料と、金属酸化物をまったく含有しない点を除いてその他の組成が同じである光学材料の熱変形温度と熱膨張係数を測定して、その差を計算することにより変動幅を得ることができる。
【0149】
《光学材料》
本発明の光学材料は、上記の有機・無機複合体組成物からなる。
本発明の光学材料(プラスチック材料)のヘイズは3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。また本発明の光学材料の全光透過率は90%以上が好ましく、より好ましくは92%以上であり、さらに好ましくは93%以上である。
【0150】
本発明における複合体組成物より得られる本発明の光学材料およびプラスチックレンズは光学特性の制御を行ったり、ガス透過性や力学特性の改良を行ったりする目的で異種樹脂の積層等を好適に用いることができる。
前記異種樹脂の好ましい組み合わせとしては特に制限はなく、上述したいずれの樹脂も使用可能である。
【0151】
本発明の光学材料の種類や形態は特に制限されない。例えば、プラスチックレンズ、光ディスク基板、光導波路、光ファイバー、タッチパネル、などとして使用することができる。プラスチックレンズとして使用する場合には、眼鏡レンズ、カメラレンズ、双眼鏡レンズ、顕微鏡レンズ、プロジェクターレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラレンズ、fθレンズ、ヘッドランプレンズ、ピックアップレンズ、またはファインダーレンズなどの各種レンズに用いることができる。また、本発明のプラスチックレンズにはレンズ基材表面にハードコート層を設置してもよい。
【実施例】
【0152】
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0153】
[測定法]
<数平均分子量>
東ソー(株)製の「HLC−8120GPC」を用い、テトラヒドロフランを溶媒とするポリスチレン換算GPC測定により得られた測定値と、ポリスチレンの分子量標準品とを比較し求めた。
【0154】
<ガラス転移温度(Tg)、Tg温度幅>
示差熱分析計(DSC)(セイコー電子(株)製、DSC6200)を用いて測定した。
サンプル量:20mg
昇温速度:10℃/分
測定温度域:30℃〜300℃
Tg付近においては比熱が不連続に変化するため、低温側ベースライン、過渡域(低温側ベースラインと高温側ベースラインとを直線的に変化する領域)、高温側ベースラインと変化するが、本発明では以下のようにTgおよびTg温度幅を求めた。
Tg:低温側ベースラインと過渡域を外挿する直線の交点の温度
Tg温度幅:低温側ベースラインおよび過渡域を外挿する直線の交点の温度と、過渡域および高温側ベースラインを外挿する直線の交点の温度との差
【0155】
<フィルムの厚さ>
ダイヤル式厚さゲージ(アンリツ(株)製、K402B)により測定した。
【0156】
<レタデーション>
フィルム面内方向、波長632.8nmにおける値を自動複屈折計(王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADH)により測定し下記の式により算出した。
式:レタデーション=|nMD−nTD|×d
〔nMD:フィルム幅方向の屈折率、nTD:フィルム長手方向の屈折率、d:厚み〕
【0157】
<熱変形温度、熱膨張係数>
TMA(Thermal Mechanical Analysis)(セイコー電子(株)製、TMA6200)測定により昇温に伴うサンプルの寸法変化を測定した。
サンプル幅:3mm
チャック間:25.4mm
昇温速度:3℃/分
測定温度域:30℃〜200℃
下記方法で熱変形温度、熱膨張係数を求めた。
・熱変形温度:昇温に伴い伸びが発生し、Tg近傍から伸び量が急激に増加する。Tg以下の伸びの外挿線とTg以上の伸びの外挿線との交点を熱変形温度(℃)とした。
・膨張係数:Tg以下の熱膨張の寸法変化(チャック間長に対する比率:ppm)と温度(℃)との傾きから求めた(ppm/℃)。

<フィルム基板の力学特性>
フィルムサンプル(1.0cm×5.0cm片)を作製し、引張速度3mm/分の条件下、テンシロン(東洋ボールドウィン(株)製、テンシロン RTM−25)にて引張破壊伸度を測定した。測定は3つのサンプル行い、その平均値を求めることによって評価した(サンプルは25℃、相対湿度60%で一晩放置したものを使用した。また、チャック間距離3cmであった。)。
【0158】
<表面抵抗>
・初期表面抵抗:フィルムサンプル(1.0cm×5.0cm片)を25℃・相対湿度60%に条件下で3時間以上調湿後、KEITHLEY製の8009、RESISTIVITY TEST FIXTUREとKEITHLEY製の6517A型とを用いて初期抵抗(R0)測定した。
・熱処理後の表面抵抗:前記サンプルを空気恒温槽を用い無張力下で吊るし、175℃で30分熱処理を行った。これを25℃・相対湿度60%の条件下で3時間以上調湿した後、前記初期表面抵抗と同様の装置を用いて表面抵抗(R175)を測定した。
【0159】
[実施例1]
1.本発明における樹脂:P−15の製造
下記に示す方法によりポリエステル樹脂(P−15)を得た。
【化27】

【0160】
6.16gのM−101を、40ミリリットルの塩化メチレンをけん濁させた溶液に0.06gのハイドロサルファイトナトリウムと、0.56gのテトラブチルアンモニウムブロミドを溶解した75ミリリットルの水とを加え、激しく撹拌した。そこに、室温下で2モル/リットルのNaOH水溶液21ミリリットルと、1,4−シクロヘキサン酸ジクロリド4.18gを含む20ミリリットル塩化メチレン溶液とを同時に1時間かけて添加した。添加後、さらに6時間反応を行った後、分液操作により有機相を分離した。さらに希塩酸300ミリリットルで2回洗浄し、塩化メチレンを減圧留去した。残渣に塩化メチレンを加え溶解し、ごみ取りろ過を行った後、200ミリリットルのメタノールにゆっくりと投入した。析出した樹脂を濾取し、メタノールで洗浄し、乾燥した後7.42gの樹脂(P−15)を白色固体として得た。
得られた樹脂は数平均分子量42000、Tgは221℃であった。
【0161】
ここで、スピロビインダン骨格を有するモノマー(M−101)は公知の方法により製造することが可能である。すなわち、例えば、米国特許3,544,638号公報、特開昭62−10030号公報などに記載の方法で製造することができる。
【0162】
2.本発明における樹脂:P−32の製造
下記に示す方法によりポリカーボネート樹脂(P−32)を得た。
【化28】

【0163】
20.48gのM−103と、52.7mgのt−ブチルフェノールとを225ミリリットルの塩化メチレンに溶解させた溶液に、0.2gのハイドロサルファイトナトリウムと、17.8gの水酸化ナトリウムを溶解させた200ミリリットルの水とを加え激しく攪拌した。そこにトリホスゲン6.92gの25ミリリットル塩化メチレン溶液を30分かけて添加した。添加後、さらに1時間反応を行った後、トリエチルアミン0.2ミリリットルを添加した。さらに4時間反応させた後、分液操作により有機相を分離した。さらに希塩酸300ミリリットルで2回洗浄し、塩化メチレンを減圧留去した。残渣に塩化メチレンを80ミリリットル加え溶解し、ごみ取りろ過を行った後、400ミリリットルのメタノールにゆっくりと投入した。析出した樹脂を濾取し、メタノールで洗浄、乾燥した後、15.7gの樹脂(P−32)を白色固体として得た。
得られた樹脂は数平均分子量86000、Tgは214℃であった。
ここで、スピロビクロマン骨格を有するモノマー(M−103)は公知の方法により製造することが可能である。すなわち、例えばJournal of Chemical Society,111巻,4953ページ(1989年)、特開昭62−130735号公報などに記載の方法で製造することができる。
【0164】
3.本発明のプラスチックフィルムの作製
上で製造された樹脂(P−15)4.0gにテトラヒドロフランを加え、濃度10質量%溶液を調製した。この溶液を5μmのフィルターを通してろ過した後、フェニルトリメトキシシラン1.0g、0.1モル/リットルの塩酸を0.1g加え、25℃にて2時間撹拌した。次いで、ドクターブレードを用いて、得られた溶液をガラス基板上に流延した。流延後、温度80℃で2時間、120℃で8時間加熱乾燥させた後、フィルムをガラス基板より剥離しフィルム基板F−101を作製した。
また、樹脂、金属酸化物前駆体を下記表3に示す割合等に変更した以外は同様にしてフィルム基板、F−102〜F−104を作製した。表3にはF−101に関してもあわせて記載した。
【0165】
同様に上述の樹脂(P−32)、樹脂(P−12)、樹脂(P−63)、および、市販品のポリカーボネート(帝人化成(株)製「パンライトL1225Z」)を下記表3に示す使用量に変更した以外は同様にしてフィルム基板、F−105〜F−110を作製した。ただし、パンライトはテトラヒドロフランの代わりに、テトラヒドロフランとN,N−ジメチルホルムアミドとを体積比1/4で混合した溶媒を使用して作製を行った。
【0166】
【表3】

【0167】
4.フィルムの物性評価
得られたフィルムの厚さ、外観、および面内方向レタデーション値を下記表4に示す。また、得られたフィルムのTMA測定、テンシロン測定を前述の方法にて行った。ここで、比較として樹脂(P−15)、樹脂(P−32)、樹脂(P−63)に金属酸化物を添加しないフィルム基板、F−111〜F−113を作製し、その結果をあわせて記した。
【0168】
【表4】

【0169】
表4の結果から、本発明における樹脂により作製されたフィルムはレタデーション値が小さく、光学特性に優れることがわかる。さらに、本発明における複合体組成物より得られるフィルムは熱変形温度が改良され、かつ低熱膨張化が達成されていることがわかる。また、本発明のフィルムはいずれもヘイズ1%以下、全光透過率88%以上の良好な透明性を有していた。
【0170】
実施例1の結果が示すように本発明における複合体組成物より得られるフィルムは優れた性質を有することから、各種光学材料に適用した場合も高い性能が期待できる。ここで実施例1で得られる本発明における有機・無機複合組成物の溶液から公知の方法により作製できる光ディスク用基板や実施例1で得られたフィルムを公知の方法により溶融成形して得られる光導波路は優れた特性を有していた。
【0171】
[実施例2]
本発明における樹脂:P−15から、実施例1と同様にしてフェニルトリメトキシシランを用いて得られた有機・無機複合組成物よりなるフィルムを作製した。これを細かく裁断し、80℃にて5時間減圧乾燥した後、射出成型機で300℃の成型温度において直径30mm、肉厚1〜3mmの球面凸レンズを試作した。同様に本発明における樹脂:P−1、P−12、P−32、P−35、P−62から、本発明のプラスチックレンズを作製し、また、比較樹脂として市販のポリカーボネート(帝人化成製「パンライトAD5503」)を用いて比較用プラスチックレンズを作製した。ここで、これらの樹脂は280℃〜330℃の成型温度により成型した。
【0172】
得られたプラスチックレンズについて偏光板のクロスニコル下による観察を行ったところ、市販のポリカーボネートより得られるプラスチックレンズは光学歪が大きく、特にゲート付近での歪が大きいことが確認された。一方、本発明における有機・無機複合組成物より得られるプラスチックレンズは光学歪が小さく、特にゲート付近でも歪が小さいことが確認され、光学的に優れたプラスチックレンズを与えることが判明した。
また、本発明における樹脂:P−1、P−12、P−15、P−32、P−35、P−62を無機化合物と複合することなく同様にしてプラスチックレンズを作製した。ここで、本発明における有機・無機複合組成物よりなるプラスチックレンズは熱環境下における形状変化が小さく無機化合物との複合体を形成していないプラスチックレンズよりも耐熱性の点で優れていることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明の光学材料は、耐熱性、光学特性および力学特性に優れている。このため、プラスチックレンズ、光ディスク基板、光導波路、光ファイバー、タッチパネルなどとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)または一般式(1’)で表される繰返し単位を有する樹脂と金属酸化物とを含む有機・無機複合体組成物からなることを特徴とする光学材料。
【化1】

〔一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはスピロ結合によって結合しており、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。一般式(1’)中、環βおよび環γは、それぞれ独立に単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環β上の1つの4級炭素に連結されている。L1、L2は単結合または2価の連結基を表す。Aは下記一般式(2)〜(10)で表される2価の連結基から選ばれる少なくとも1種を表す。〕
【化2】

〔式中、Xは2価の有機基を表し、Yは4価の有機基を表す。R1はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。2つのR1は互いに結合し環を形成していてもよい。〕
【請求項2】
前記金属酸化物が、ソルゲル反応により得られた酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の光学材料。
【請求項3】
前記ソルゲル反応により得られた金属酸化物が、下記一般式(11)で表される金属アルコキシドまたは金属ハロゲン化物から誘導されたものであることを特徴とする請求項2に記載の光学材料。
【化3】

〔一般式(11)中、Zはアルコキシ基またはハロゲン原子を表し、Mは金属原子を表す。Tは単結合または2価の連結基を表し、Rは有機基を表し、Arは芳香族基を表す。aおよびbは、それぞれ1以上の整数を表し、cは0以上の整数を表す。ただし、a+b+cはMで表される金属原子の価数である。〕
【請求項4】
前記有機・無機複合体組成物における前記金属酸化物の含有率が5〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学材料。
【請求項5】
金属酸化物を含有することにより熱変形温度が2℃以上上昇していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学材料。
【請求項6】
金属酸化物を含有することにより熱膨張係数が20ppm/℃以上低下していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学材料。
【請求項7】
前記金属酸化物を構成する金属原子が、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、チタンおよびゲルマニウムからなる群より選ばれる金属であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学材料。
【請求項8】
レンズの機能を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学材料。

【公開番号】特開2006−83348(P2006−83348A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271939(P2004−271939)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】