説明

光学機器

【課題】 カメラシステム全体の小型化を妨げることなく、電源OFF時に光路を遮蔽する構造を可能にしたレンズ鏡筒を提供すること。
【解決手段】 防振機構を有したレンズ鏡筒において、防振機構の移動を規制・規制解除するシフト駆動規制部材と、光軸上に挿抜されて光路を開閉する少なくとも一つの遮光羽根と、記防振機構の規制・規制解除状態を検出するシフト規制検出手段と、前記遮光羽根が挿入、未挿入の状態を検出する遮光羽根検出手段を有し、前記遮光羽根の挿抜機構を、前記シフト駆動規制部材に構成し、前記シフト駆動規制部材は規制状態で前記遮光羽根を挿抜することが可能であり、前記シフト駆動規制部材は前記遮光羽根未挿入状態で規制・規制解除状態の切替を可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等の撮影装置に用いられるレンズ鏡筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、特に一眼レフタイプのデジタルカメラにおいて、カメラ自体の小型化のために、撮像素子に導かれる光学系の光路中にクイックリターンミラーがない構造のものが発売されている。このように光路のクローズ機構がない構造のカメラに撮影レンズを取り付けた場合、電源OFF時に撮影レンズから入射した光で撮像素子を破壊してしまう場合がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、電源OFFの直前にレンズ鏡筒内に設けられた絞りの開口を調整して絞りを通過する光量が所定値以下になるようにしている。また、別の形態として電源OFFの直前にカメラ本体に設けられたバリア機構で光路を遮蔽することが提案されている。
【0004】
また、近年ではユーザの手ぶれ等による撮影画像の乱れを抑制するために防振機構が内蔵されているレンズ鏡筒が多く存在する。防振機構には、補正レンズが光軸に対して直交する平面内で移動自在に配備されている。特許文献2では、防振機構は光軸に対して直行する平面内での移動を規制(ロック)するための機構を有しており、この機構の規制を解除(アンロック)することで、手ぶれに応じてその補正レンズが駆動され像振れ補正が行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−260959号公報
【特許文献2】特開平9−105969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に開示された従来技術は、レンズ鏡筒内の絞りを絞ることで光路を通過する光量を低減しているが、通常の絞りでは光路を遮蔽することができず、撮像素子に到達する光をなくすことができない。また、光路を遮蔽するためには羽根構造が特殊になり、絞りの開口形状を円形にしにくくなってしまう。
【0007】
さらに、カメラ本体にバリア機構を設けるとカメラ本体の構造が複雑になり、カメラ自体の小型化が難しくなる。それによりカメラシステム全体としての小型化を妨げることになってしまう。
【0008】
そこで、本発明の目的は、カメラシステム全体の小型化を妨げることなく、電源OFF時に光路を遮蔽する構造を可能にしたレンズ鏡筒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願第1の発明では、防振機構を有したレンズ鏡筒において、防振機構の移動を規制・規制解除するシフト駆動規制部材と、光軸上に挿抜されて光路を開閉する少なくとも一つの遮光羽根と、記防振機構の規制・規制解除状態を検出するシフト規制検出手段と、前記遮光羽根が挿入、未挿入の状態を検出する遮光羽根検出手段を有し、前記遮光羽根の挿抜機構を、前記シフト駆動規制部材に構成し、前記シフト駆動規制部材は規制状態で前記遮光羽根を挿抜することが可能であり、
前記シフト駆動規制部材は前記遮光羽根未挿入状態で規制・規制解除状態の切替を可能にした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カメラシステム全体の小型化を妨げることなく、電源OFF時に光路を遮蔽する構造を可能にしたレンズ鏡筒を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明における実施例1のカメラシステムの概略構成図
【図2】本発明における実施例1のシフトユニットの分解斜視図
【図3】本発明における実施例1のシフト駆動規制部材の構成を表した正面図と断面図
【図4】本発明における実施例1のシフト鏡筒のシフト駆動規制・解除の状態と遮光羽根挿抜の状態を表した図
【図5】本発明における実施例1のカム板と遮光羽根、シフト駆動規制部材とシフト規制検出部材および遮光羽根検出部材の位置関係を表した図
【図6】本発明における実施例1のレンズ鏡筒の状態を場合分けした表
【図7】本発明における実施例1の撮影開始から終了までの流れを表すフローチャート
【図8】本発明における実施例2のカメラシステムの概略構成図
【図9】本発明における実施例3のカメラシステムの概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る撮像システムとしてのカメラシステムの概略構成を示している。ここでは、光学防振を行う振れ補正装置を搭載した交換レンズと、該交換レンズが着脱可能に装着される撮像装置としてのデジタル一眼カメラ(カメラ本体)からなるカメラシステムについて説明する。
【0014】
図1において、100は交換レンズ、200はカメラ本体である。100a、200aは交換レンズ100とカメラ本体200を機械的に結合させるレンズマウントとカメラマウントである。また、100b、200bは交換レンズ100とカメラ本体200の間で電気的な通信を可能とさせるためのレンズ接点とカメラ接点である。
【0015】
まず、交換レンズ100について説明する。交換レンズ100は、複数の光学レンズユニットにより構成される撮像光学系101を有する。撮像光学系101は、光軸方向に移動して焦点調節を行うフォーカスレンズユニット(以下、単にフォーカスレンズという)101aと、光軸直交方向に移動して光学防振を行うための防振機構を有したレンズ鏡筒(以下、単にシフトユニットという)101bを有する。このシフトユニットは、光路を開閉するための遮光羽根101cを有する。また、光軸方向に移動して変倍を行う変倍レンズユニット(以下、単に変倍レンズという)101dを有する。
【0016】
自動焦点調節(AF)を行う際には、AFアクチュエータ102からの駆動力によってフォーカスレンズ101aを光軸120の方向における合焦位置に移動させる。具体的には、まずカメラ制御回路202からの制御信号がカメラ接点200bからレンズ接点100bを介して、CPU等を含む交換レンズ制御回路109に伝えられる。その後交換レンズ制御回路109から該制御信号に応じた駆動信号がフォーカスレンズ駆動回路103に送られる。フォーカスレンズ駆動回路103は、駆動信号に基づいてAFアクチュエータ102を駆動する。
【0017】
像振れ補正を行う際には、まず像振れ補正機能を有効にするための像振れ補正操作スイッチ106からの操作信号が交換レンズ制御回路109に入力される。交換レンズ100は振れ検出器111を備えており、振れ検出器111は、振れに応じた検出信号を交換レンズ制御回路109へ送信する。交換レンズ制御回路109は、像振れ補正駆動回路105に駆動信号を送信する。像振れ補正駆動回路105からの駆動信号に応じて防振アクチュエータ104がシフトユニット101bを光軸直交方向に駆動し、光学防振動作を行う。
【0018】
シフトユニット101b、防振アクチュエータ104、および像振れ補正駆動回路105により像振れ補正装置が構成される。また、カメラ本体の電源がOFFになるとカメラ制御回路202からの制御信号がカメラ接点200bからレンズ接点100bを介して交換レンズ制御回路109に伝わり、交換レンズ制御回路109は、像振れ補正駆動回路105に駆動信号を送信する。像振れ補正駆動回路105からの駆動信号に応じて遮光羽根101cが駆動されて遮光羽根101cが光路を全閉する。
【0019】
光量制限動作を行うには、絞り107を駆動させることで行う。絞り107は、複数の絞り羽根を有している。カメラ制御回路202からの制御信号がカメラ接点200bからレンズ接点100bを介して交換レンズ制御回路109に伝わると、交換レンズ制御回路109が絞り駆動回路108に駆動信号を送る。絞り駆動回路108は、該駆動信号を受けることで不図示の絞りアクチュエータを作動させ、絞り羽根を駆動する。これにより光通過口となる開口面積(絞り口径)を変化させる。
【0020】
また、交換レンズ100は、フォーカス領域を検出するための導電部材であるフォーカスパターン114と、フォーカスパターン114に摺動してフォーカス領域毎のグレイスケールからフォーカス領域を示すパターン信号を生成する信号生成器115を有する。また、交換レンズ100は各フォーカス領域を示すパターン信号に対応した光学情報が書き込まれたROM113を有する。信号生成器115からのパターン信号とROM113からの光学情報が交換レンズ制御回路109およびレンズ接点100bからカメラ接点200bを介してカメラ側の制御回路に伝わることで、被写体距離情報を得ることができる。
【0021】
また、交換レンズ100はズーム領域を表すための導電部材であるズームパターン111と、ズームパターン111に摺動してズーム領域毎のグレイスケールからズーム領域を示すパターン信号を生成する信号生成器112を有する。また、交換レンズ100は各ズーム領域を示すパターン信号に対応した光学情報が書き込まれた前述したROM113を有する。信号生成器112からのパターン信号とROM113からの光学情報が交換レンズ制御回路109およびレンズ接点100bからカメラ接点200bを介してカメラの制御回路202へ伝わることで、焦点距離情報を得ることができる。なお、ROM113は、交換レンズ制御回路109に内蔵されていてもよい。
【0022】
次に、シフトユニットの機構について説明する。
【0023】
図2は、本発明における実施例1のレンズ鏡筒の防振アクチュエータ301およびシフトレンズ302を有するシフトユニット303の分解斜視図である。シフトレンズ302はピッチ方向(カメラの縦方向の角度変化)の像振れを補正する為の縦方向とヨー方向(カメラの横方向の角度変化)の像振れを補正する為の横方向へ、光軸と垂直の平面内で案内機構(ガイドバー)304に規制される。そして、縦方向および横方向それぞれに後述する専用の駆動手段および位置検出手段によりそれぞれ独立に駆動制御され、光軸まわりの任意の位置へ位置決めされる。縦方向および横方向それぞれの駆動手段および位置検出手段は90度の角度を成して同一の構成なので、縦方向のみを説明する。
【0024】
305はシフトユニット303の固定部分のベースとなる、可動部材を光軸方向に規制する固定部材であるところのシフトベース(地板)、306は可動部材を付勢する付勢部材であるところの引張りコイルバネである。307はシフトするレンズ群であるシフトレンズ302を保持し、像振れ補正するための可動部材であるところのシフト鏡筒であり、該シフト鏡筒307には、引張りコイルバネ306の前側の端が突起部307aに掛けられ、引張りコイルバネ306の他端がシフトベース305側の突起部305aに掛けられ位置決め固定されている。引張りコイルバネ306および突起部307a・305aはそれぞれ3箇所に配置されている。308はシフトベース305およびシフト鏡筒307に挟持された三つのボールである。該ボール308が当接している面は、シフトベース305側がベース側シート部材309およびシフト鏡筒307側がシフト鏡筒側シート部材310である。それぞれの3個所の当接面は、光学系の光軸に対して垂直な面である。三つのボールの外径が同じ場合は3個所の面の光軸方向の位置の相互差を小さく押える事により、シフトレンズ302を光軸に対して直角を保ったままで、保持および移動案内が可能となる。
【0025】
311は防振駆動回路を有するシフト基板であり、ビスによりシフトベース305に結合される。また、引張りコイルバネ306はシフト鏡筒307とシフトベース305間で引き合い、三つのボール308を挟持してシフト鏡筒307をシフトベース305に付勢する。
【0026】
312は光軸に対して放射方向に2極に着磁された駆動用磁石、313は駆動用磁石312の光軸方向前側の磁束を閉じる為の第一のヨーク、314はシフト鏡筒307に接着により固定されたコイルである。315は駆動用磁石312の光軸方向後側の磁束を閉じる為の第二のヨークである。駆動用磁石312はコイル314が移動する空間を形成するように第一のヨーク313・第二のヨーク315に磁石の磁力により固定され、第一のヨーク313・第二のヨーク315が支部とベース305にビス固定されることで磁気回路を構成している。前記コイル314に電流を流すと、駆動用磁石312の2極着磁の着磁境界に対して略直角方向に、磁石312とコイル314に発生する磁力線相互の反発によるローレンツ力が発生し、シフト鏡筒307を移動させる、いわゆるムービングコイル型の駆動手段となっている。上記構成が縦および横方向に配置してあるので、可動部材を略直交する二つの方向に駆動する事が出来る。
【0027】
316はシフト基板311に実装された、可動部材307のシフト位置を検出する基板側振れ検出器であり、317は基板側振れ検出器と対向する位置でシフト鏡筒307側に固定されたシフト鏡筒側振れ検出器である。以上の構成によりシフト鏡筒307のピッチ方向とヨー方向の各々位置検出手段を成している。位置検出手段は磁束密度を電気信号に変換するホール素子やその他の検出であってもよく、本実施例の手段に限定されるものではない。318はコイル314およびシフト鏡筒側振れ検出器317を電気的に外部回路と接続させる為の可撓性を有するフレキシブル基板である。
【0028】
319はシフトユニット303の手振れ補正ON・OFFによってシフト鏡筒307の像振れ補正動作を規制するシフト駆動規制部材である。シフト駆動規制部材319は、遮光部319aがシフトベース305の保持部305bに当接して保持されている。またシフト駆動規制部材319は、シフトベース305に固定された規制部材駆動手段であるところの駆動モータ320と、その駆動モータ320に固定されたピ二オンギヤ320aとギヤ部319bでギヤ結合している。駆動モータ320の回転力によってシフト駆動規制部材319はシフトベース305に対して回動される。シフト駆動規制部材319を回動する手段はステッピングモータ等のモータによる回動に限定されるものでなく、マグネットとコイルを用いた公知のVCM等の駆動手段を用いてもよい。
【0029】
321は光軸上に挿抜されて光路を開閉する遮光羽根である。遮光羽根321には、シフト駆動規制部材319のボス穴319cと径嵌合して遮光羽根321をボス穴319cを中心として回転可能に固定する第一のボス321a、遮光羽根321をカム板322に切られているカム322aに追従して移動させる為の第二のボス321bの2つのボスが固定されている(図3)。
【0030】
カム板322はシフト駆動規制部材319と遮光羽根321をシフトベース305との間に挟んでビス323によってシフトベース305に固定されていている。
【0031】
シフト駆動規制部材319が回転すると、シフト駆動規制部材319と第一のボス321aで回転可能に固定されている遮光羽根321も追従して移動する。遮光羽根321の移動の軌道は、第二のボス321bによってカム322aに追従し、シフト駆動規制部材319の回転によって遮光羽根321の挿抜動作が行われる構成となっている。
【0032】
図4は、シフト鏡筒307に対するシフト駆動規制部材319の3つの位置におけるシフト駆動規制・解除の状態と遮光羽根挿入・未挿入の状態を表した図とその拡大図である。なお図4では説明をわかりやすくするためにカム板322を省略した。
【0033】
シフト駆動規制部材319は、端決め規制された位置から紙面上時計回り、又は紙面上反時計回りに駆動する。ここでは、シフト駆動規制部材319が紙面上反時計回りに駆動する場合を説明する。図4(a)では、シフト駆動規制部材319はシフト鏡筒307が規制状態で遮光羽根は光路内に挿入状態となる位置にある(以下、この状態をポジション1とする)。この位置からシフト駆動規制部材319を徐々に紙面上反時計回りに駆動していくことで、シフト鏡筒307は規制状態のままであるが、遮光羽根321は光路外に退避して未挿入の状態となる(図4(b)の状態。以下、この状態をポジション2とする)。更にシフト駆動規制部材319を紙面上反時計回りに駆動していくと、遮光羽根321は光路外に未挿入のままであるが、シフト鏡筒307は規制解除状態となる位置に到達する(図4(c)の状態。以下、この状態をポジション2とする)。
【0034】
図5の(a1)、(b1)、(c1)は3つのポジションそれぞれにおけるカム板322と遮光羽根321の位置関係を表した図である。ポジション1(図5の(a1))では遮光羽根321の第二のボス321bがカム板322のカム322aの端にあり、遮光羽根321は光路内に挿入されている。シフト駆動規制部材319を徐々に紙面上反時計回りに駆動していくと、第二のボス321bがカム322aに沿って移動し、遮光羽根321は第一のボス321aを中心に回転して光路外に退避して未挿入の状態となる(ポジョション2。図5の(b1))。更にシフト駆動規制部材319を紙面上反時計回りに駆動していくと、遮光羽根321は光路外に未挿入のままであり、遮光羽根321の第二のボス321bがカム板322のカム322aのポジション1とは反対側の端に到達する(ポジョション3。図5の(c1))。
【0035】
図5の(a2)、(b2)、(c2)は3つのポジションそれぞれにおけるシフト駆動規制部材319と像振れ動作の規制状態を検出するシフト規制検出部材324(以下単に第一のPI:Photo Interrupterという)、遮光羽根321の挿入・未挿入を検出するところの検出部材である遮光羽根検出部材325(以下単に第二のPIという)の位置関係を表した図である。ポジション1ではシフト駆動規制部材319の遮光壁319aが第一のPI324に侵入しておりシフト駆動が規制されて像振れ動作が規制されていることを検出する。また遮光壁319aは第二のPI325にも侵入しており、遮光羽根321が光路上に挿入されて光路が全閉されていることを検出する。シフト駆動規制部材319を徐々に紙面上反時計回りに駆動していくと、遮光壁319aが第二のPI325から脱出することで、遮光羽根321が光路外に退避して未挿入の状態となり光路が全開となったことを検出する。このとき遮光壁319aは第一のPI324に侵入したままであるから、シフト駆動が規制されて像振れ動作が規制されたままであることを検出する。更にシフト駆動規制部材319を紙面上反時計回りに駆動していくと、遮光壁319aは第一のPI324から脱出することで、シフト駆動規制が解除されて像振れ動作が可能となったことを検出する。このとき遮光壁319aは第二のPI325から抜かれたままであるから遮光羽根321が未挿入の状態のままであり光路が全開であることを検出する。
【0036】
図6は、図5で説明した3つのポジションにおけるシフト規制部材319の規制、規制解除状態と遮光羽根321の挿抜の状態をまとめた表である。
【0037】
図7は撮影開始から終了までの流れを表すフローチャートである。s001(ステップ1を示す)ではシフト規制部材319を駆動して遮光羽根321を光路外に退避させ、光路を全開にする。s002では、撮影モードが静止画撮影か動画撮影かを判別する。s002で静止画撮影モードであった場合(Yes 以下Y)、s003へ進む。s003でレリーズスイッチの半押し操作によりSW1ONになるまで待機し、SW1ONになるとs003へ進む。SW1ONになることを検出できなければ、SW1ONになるまでs003を繰り返す(No 以下N)。s004では、像振れ補正操作スイッチ106がONであるか否かを判別し、像振れ補正操作スイッチ106がONであった場合は像振れ補正を行いs005へ進む。s005ではズーム領域を示すパターン信号を生成する信号生成器112と、各ズーム領域を示すパターン信号に対応した光学情報が書き込まれた前述したROM113から、ズーム位置情報を取得する。s006では像振れ補正がONであった場合のピント補正量データを取得する。s007ではs006で取得したピント補正量データを基に、ピント補正の演算処理を行う。s008ではs007での演算処理結果に基づき、合焦動作を行う。s009でレリーズスイッチの全押し操作によってSW2ONになるまで待機し、SW2ONになるとs010へ進む。SW2ONを検出できなければ、s008およびs009の動作を繰り返す。s010では露光動作を行い、画像情報の取得を行う。s011では撮影終了か否かを判別し、終了ならs012へ進み終了しない場合はSTARTへ戻る。s012では電源をOFFにするか否かを判別し、OFFにする場合はs013へ進み電源ONのままならSTARTへ戻る。s013では、シフト規制部材319を駆動して遮光羽根321を光路内に挿入し、光路を全閉してs014で電源をOFFにする。
【0038】
s004で像振れ補正操作スイッチ106がOFFであると判別されると、像振れ補正を行わずにs015へ進む。s015以降の流れはs005からs014までの流れと同一なので省略するが、s016では像振れ補正がOFFであった場合のピント補正量データを取得する。s023では、シフト規制部材319を駆動して遮光羽根321を光路内に挿入し、光路を全閉してs024で電源をOFFにする。
【0039】
s001で動画撮影モードであると判別されると、s0025で動画撮影モードとなり、s026へ進む。s026で動画撮影ボタン操作により動画撮影ボタンONになるまで待機し、動画撮影ボタンONになると動画撮影が開始され、s027へ進む。動画撮影ボタンONになることを検出できなければ、動画撮影ボタンONになるまでs026を繰り返す。s027では、像振れ補正操作スイッチ106がONであるか否か判別し、像振れ補正操作スイッチ106がONであった場合は像振れ補正を行いs028へ進む。s028は動画撮影中に再度ピントを合わせるための動作である。s028でAFボタンが押されるとs029へ進む。s029ではズーム領域を示すパターン信号を生成する信号生成器112と、各ズーム領域を示すパターン信号に対応した光学情報が書き込まれた前述したROM113から、ズーム位置情報を取得する。s029では像振れ補正がONであった場合のピント補正量データを取得する。s029ではs030で取得したピント補正量データを基に、ピント補正の演算処理を行う。s032ではs031での演算処理結果に基づき、合焦動作を行う。s033では動画撮影ボタン操作により動画撮影を終了するかどうかを判別する。動画撮影が終了であると判別すると、動画撮影を終了しs034へ進む。動画撮影ボタンが全押しされることを検出できなければ、動画撮影ボタンが全押しになるまでs033を繰り返す。s034では電源をOFFにするか否かを判別し、OFFにする場合はs035へ進み電源ONのままならSTARTへ戻る。s035では、シフト規制部材319を駆動して遮光羽根321を光路内に挿入し、光路を全閉してs036で電源をOFFにする。
【0040】
s027で像振れ補正操作スイッチ106がOFFであると判別されると、像振れ補正を行わずにs037へ進む。s037以降の流れはs028からs036までの流れと同一なので省略するが、s039では像振れ補正がOFFあった場合のピント補正量データを取得する。s044では、シフト規制部材319を駆動して遮光羽根321を光路内に挿入し、光路を全閉してs045で電源をOFFにする。
【0041】
このように実施例1では、シフト駆動規制部材319の回転によって遮光羽根321の挿抜動作が行われる構成となっており、アクチュエータを増やすことなく遮光羽根321の挿抜動作を行うことが可能となる。また、遮光羽根321の挿抜機構をシフト駆動規制部材319に構成し、カメラ本体内にバリア部材を設けないことで、カメラシステム全体を小型化することが可能となる。
【0042】
[実施例2]
図8は本発明の実施例2に係る撮像システムとしてのカメラシステムの概略構成を示している。ここでは、本発明の実施例1のカメラシステムと異なる構成である像振れ補正についてのみ説明する。
【0043】
像振れ補正を行う際には、まず像振れ補正機能を有効に(防振機構の規制を解除)するための第二のシフト駆動規制選択手段(以下、単に第二の像振れ補正操作スイッチ)207からの操作信号がカメラ制御回路202に入力される。カメラ制御回路に入力された操作信号はカメラ接点200bからレンズ接点100bを介して交換レンズ制御回路109に伝わる。交換レンズ100は振れ検出器110を備えており、振れ検出器110は、振れに応じた検出信号を交換レンズ制御回路109へ送信する。交換レンズ制御回路109は、像振れ補正駆動回路105に駆動信号を送信する。像振れ補正駆動回路105からの駆動信号に応じて防振アクチュエータ104がシフトユニット101を光軸直交方向に駆動し、光学防振動作を行う。
【0044】
図7のフローチャートに記載のs004、s027の像振れ補正のON・OFFは第二の像振れ補正操作スイッチ207で行う。その他シフトユニットの構成、また撮影開始から終了までの流れについては本発明の実施例1と同一の為省略する。
【0045】
実施例2の構成にすることにより、カメラ本体200に操作ボタンや設定スイッチを集約することができ、カメラ使用時の利便性を向上させることができる。
【0046】
[実施例3]
図9は本発明の実施例3に係る撮像システムとしてのカメラシステムの概略構成を示している。ここでは、本発明の実施例1、2のカメラシステムと異なる構成である像振れ補正についてのみ説明する。
【0047】
像振れ補正を行う際には、まず像振れ補正機能を有効に(防振機構の規制を解除)するため第一の像振れ補正操作スイッチ106、又は第二の像振れ補正操作スイッチ207からの操作信号が交換レンズ制御回路109に入力される。第二の像振れ補正操作スイッチ207の場合、操作信号は、カメラ制御回路202に入力された後、カメラ接点200bからレンズ接点100bを介して交換レンズ制御回路109に伝わる。交換レンズ100は振れ検出器110を備えており、振れ検出器111は、振れに応じた検出信号を交換レンズ制御回路109へ送信する。交換レンズ制御回路109は、像振れ補正駆動回路105に駆動信号を送信する。像振れ補正駆動回路105からの駆動信号に応じて防振アクチュエータ104がシフトユニット101を光軸直交方向に駆動し、光学防振動作を行う。
【0048】
図7のフローチャートに記載のs004、s027の像振れ補正のON・OFFは第一の像振れ補正操作スイッチ106、又は第二の像振れ補正操作スイッチ207で行う。ここで、像振れ補正のON・OFFは、第一の像振れ補正操作スイッチ106と第二の像振れ補正操作スイッチ207の両方から指示された場合は、どちらの像振れ補正操作スイッチの指示を優先するか選択する選択手段を交換レンズ100又はカメラ本体200に備える。その他シフトユニットの構成、また撮影開始から終了までの流れについては本発明の実施例1と同一の為省略する。
【0049】
実施例3のように、交換レンズ100とカメラ本体200の両方が像振れ補正操作スイッチを有し、両方の像振れ補正操作スイッチから交換レンズ制御回路109に対して像振れ補正のON・OFFの指示がされた場合でも、どちらの像振れ補正操作スイッチの指示に従うのか一意的に決まり、使用者は意図したとおりに像振れ補正の切替を行うことができる。
【0050】
実施例3では、第一の像振れ補正操作スイッチ106と第二の像振れ補正操作スイッチ207の両方から指示された場合、どちらの像振れ補正操作スイッチの指示を優先するか選択する選択手段を交換レンズ100又はカメラ本体200に備えた。しかし、必ずしもこの選択手段が必要なわけではなく、たとえばどちらかの像振れ補正操作スイッチを優先するようにしてもよいし、直近に切替えられた像振れ補正操作スイッチを優先するようにしてもよい。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
100:交換レンズ
200:カメラ本体
301:防振アクチュエータ
302:シフトレンズ
303:シフトユニット
304:案内機構(ガイドバー)
305:シフトベース
305a:突起部
305b:保持部
306:引張りコイルバネ
307:シフト鏡筒
307a:突起部
307b:凸部
308:ボール
309:ベース側シート部材
310:シフト鏡筒側シート部材
311:シフト基板
312:駆動用磁石
313:第一のヨーク
314:コイル
315:第二のヨーク
316:基板側振れ検出器
317:シフト鏡筒側振れ検出器
318:フレキシブル基板
319:シフト駆動規制部材
319a:遮光壁
319b:ギヤ部
319c:ボス穴
319d:内径凸部
320:モータ
320a:ピ二オンギア
321:遮光羽根
321a:第一のボス
321b:第二のボス
322:カム板
322a:カム
323:ビス
324:シフト規制検出部材(第一のPI)
325:フィルタ検出部材(第二のPI)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
防振機構を有したレンズ鏡筒において、
防振機構の移動を規制・規制解除するシフト駆動規制部材と、
光軸上に挿抜されて光路を開閉する少なくとも一つの遮光羽根と、
前記防振機構の規制・規制解除状態を検出するシフト規制検出手段と、
前記遮光羽根が挿入、未挿入の状態を検出する遮光羽根検出手段を有し、
前記遮光羽根の挿抜機構を、前記シフト駆動規制部材に構成し、
前記シフト駆動規制部材は、規制状態で前記遮光羽根を挿抜することが可能であり、
前記シフト駆動規制部材は、前記遮光羽根未挿入状態で規制・規制解除状態の切替が可能であることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
シフト駆動規制状態(防振非駆動状態)で遮光羽根挿入、シフト駆動規制状態で遮光羽根未挿入、シフト駆動規制解除状態(防振駆動状態)で遮光羽根未挿入、の3つのポジションを順番で駆動するよう構成した請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記防振機構の規制・規制解除を選択可能なシフト駆動規制選択手段により、
レンズ使用時、シフト駆動規制状態で遮光羽根未挿入、シフト駆動規制解除状態で遮光羽根未挿入、の2つのポジションを任意に選択可能な請求項2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記シフト駆動規制選択手段はレンズ本体に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記シフト駆動規制選択手段はカメラ本体に設けられていることを特徴とするカメラシステム。
【請求項6】
前記カメラ本体の電源がOFFになる時は、シフト駆動規制状態で遮光羽根挿入のポジションへ前記シフト規制機構を駆動することを特徴とする請求項4に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記カメラ本体の電源がOFFになる時は、シフト駆動規制状態で遮光羽根挿入のポジションへ前記シフト規制機構を駆動することを特徴とする請求項5に記載のカメラシステム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のレンズ鏡筒とカメラシステムを有する光学機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−80081(P2013−80081A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219765(P2011−219765)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】