説明

光学活性プロリン誘導体を有機分子触媒として用いる不斉反応

【課題】光学活性プロリン誘導体を触媒に用いる不斉反応、光学活性プロリン誘導体及び該誘導体から成る有機分子触媒の提供。
【解決手段】光学活性プロリンのアミド誘導体(A)又はエステル誘導体(B)を有機分子触媒とする不斉反応、及び該光学活性プロリン誘導体。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性プロリン誘導体を有機分子触媒として用いる不斉反応、光学活性プロリン誘導体及び該誘導体から成る有機分子触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する意識が急速に高まっており、物質変換プロセスにおいても環境への配慮から、用いる反応剤を触媒化することにより、反応剤由来の副生成物を大幅に削減する試みがなされてきた。中でも高い活性をもつ金属錯体触媒の進歩は目覚しく、もはや必須の合成手段になってきている。しかし、用いられる金属錯体には、金属採取時の環境汚染、貴金属を用いることによる高コスト化、金属の有する有害性による使用後の環境汚染など様々な問題がある。
現在これらの問題を解決するために、環境に対する負荷の少ない有機分子触媒が注目され始めている(林 雄二郎, 有合化, 2005, 63, 464-477.)。有機分子触媒とは、金属原子を用いずに触媒機能を発揮する有機化合物のことである。
最近、L-プロリンがアルデヒドのα-アミノ化反応において良好な触媒として機能することがBlackmondらによって報告された(Iwamura,H.; Mathew, S. P.; Blackmond, D. G. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 11770-11771.)。
【0003】
【化1】

【0004】
また、L-プロリンの誘導体を直接的アルドール反応に触媒として用いることにより、高いエナンチオ選択性が得られることをWuらは報告した(Tang, Z.; Jiang, F.; Cui, X.; Gong, L.-Z.; Mi, A.-Q.; Jiang, Y.-Z.; Wu, Y.-D. P. N. A. S. 2004, 101, 5755-5760.)。
【0005】
【化2】

【0006】
このように、プロリンおよびその誘導体には注目すべき有機分子触媒としての機能があるが、用いる基質や反応剤によっては、反応性や選択性が乏しいという問題点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】林 雄二郎, 有合化, 2005, 63, 464-477.
【非特許文献2】Iwamura,H.; Mathew, S. P.; Blackmond, D. G. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 11770-11771.
【非特許文献3】Tang, Z.; Jiang, F.; Cui, X.; Gong, L.-Z.; Mi, A.-Q.; Jiang, Y.-Z.; Wu, Y.-D. P. N. A. S. 2004, 101, 5755-5760.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、光学活性プロリン誘導体を有機分子触媒として用いる不斉反応、光学活性プロリン誘導体及び該誘導体から成る有機分子触媒に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は、一般式(A)又は(B)で表される光学活性プロリンのアミド誘導体(A)又はエステル誘導体(B)を有機分子触媒とする不斉反応に関するものである。
【0010】
【化3】

[式中、R及びRはそれぞれ水素原子(但し、同時に水素原子ではない)、又は炭素数4〜18の、不斉炭素を有してよい窒素又含酸素官能基で置換された、アルキル基、シクロアルキル基若しくはアラル基を表し、RとRとは環を形成してよく、及びRは不斉源を有するアルコールを表し、*は不斉炭素原子を表わす。]
不斉反応としては、不斉アルドール縮合反応、不斉α-アミノ化反応及び不斉マイケル付加反応が挙げられる。
【0011】
一般式(A)及び(B)で表される光学活性プロリン誘導体の好ましい例としては、N-[(R)-プロリル]-(1R,2S)-ノルエフェドリン[3]、(S)-ピロリジン-2-カルボン酸(2-ヒドロキシ-シクロヘキシル)-アミド[4]、N-[(S)-プロリル]-(S)-プロリノール[5]、(S)-ピロリジン-2-カルボン酸[(1S,2S)-(2-アミノ-シクロヘキシル)]アミド[8]、及び(S)-ピロリジン-2-カルボン酸2'-ヒドロキシ-(R)-[1,1']ビナフタレン-2-イルエステル[9]から選ばれた少なくとも1つの光学活性プロリン誘導体が挙げられる。
【0012】
【化4】

【0013】
一般式(A)及び(B)で表される光学活性プロリン誘導体の好ましい例としては、上記[3]〜[5]及び[8], [9]に加えて、更に、N-[(S)-プロリル]-(S)-プロリン[1]、N-[(S)-プロリル]-(R)-プロリン[2]、N-[(S)-プロリル]-(R)-1-フェニルエチルアミン[6]、N-[(S)-プロリル]-(S)-1-フェニルエチルアミン[7]及びN-[(S)-プロリル-(1R,2S)-ノルエフェドリン[10']が挙げられる。
【0014】
【化5】

【0015】
【化6】

【0016】
本発明は又、一般式(A)又は(B)で表される光学活性プロリン誘導体の内、新規な誘導体である化合物[3]〜[5]、[8]及び[9]に関するものである。
更に本発明は、有機分子触媒としての、上記化合物[3]〜[5]、[8]及び[9]に関するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の、一般式(A)又は(B)で表される光学活性プロリン誘導体を有機分子触媒とする不斉反応、特に、不斉アルドール縮合反応、不斉α−アミノ化反応及び不斉マイケル付加反応は、重金属等の環境汚染物質を用いない点で、医薬または農薬等の生理活性物質又はそれらの中間体の有用な製造方法となり得る。
一般式(A)又は(B)で表される光学活性プロリン誘導体の中でも、特に、化合物[3]〜[5]、[8]及び[9]は、有機分子触媒として用いられるのみならず、不斉反応触媒の配位子としても有用であり得て、更に、化合物[3]〜[5]、[8]及び[9]は医薬または農薬等の生理活性物質合成の中間体として有用であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の、一般式(A)及び(B)で表される光学活性プロリン誘導体は、それぞれ、対応する光学活性プロリン(L-体[10]またはD-体[12])と、対応するアミン化合物とのアミド化反応、又は対応するアルコール(又はフェノール)化合物とのエステル化反応によって製造することができる。
【0019】
【化7】

【0020】
具体的に、[3]〜[5]、及び[8]、[9]で表される光学活性プロリン誘導体の製造方法を、以下、反応式によって説明する。
本発明のN-[(R)-プロリル]-(1R,2S)-ノルエフェドリン[3]は、例えば、以下の反応式に従い、D-プロリン[12]を、アミノ基をZ基で保護して[13]とした後に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又は1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)を脱水縮合剤に用いて、(1R,2S)-ノルエフェドリン[18]とアミド化反応を行ってアミド体[19]とし、その後に接触還元により脱保護を行い、[3]を製造することができる。(S)-ピロリジン-2-カルボン酸(2-ヒドロキシ-シクロヘキシル)-アミド[4]及びN-[(S)-プロリル]-(S)-プロリノール[5]も、L-プロリン[10]のアミノ基をZ基で保護して[11]とした後、同様の方法で製造することができる。
【0021】
【化8】

【0022】
【化9】

【0023】
【化10】


本発明の[8]は、例えば、まず、アミンパートである(1S,2S)-1,2-シクロヘキサンジアミン[28]の両アミノ基をZ化することによりビスZ体[29]とした後、一方のアミノ基のみBoc化することによりビスZ-モノBoc体[30]とし、続いて接触還元によりZ基を除去することによりモノBoc保護体[31]を得る。次いで、L-プロリン[10]のアミノ基をジ-t-ブチルジカーボネートと反応させてBoc基で保護して[32]とする。
【0024】
【化11】

【0025】
【化12】

【0026】
こうして得られたモノBoc保護体[31]とBoc-L-プロリン[32]をDMAP存在下EDCを用いて縮合することによりアミド縮合体[33]を得、これを酸処理してBoc基を除去して(1R,2R)-1,2-シクロヘキサンジアミン[28]とL-プロリン[10]との当量縮合体[8]を塩酸塩の形[8']で製造することができる。
【0027】
【化13】

【0028】
本発明の[9]は、Z-保護-L-プロリン[11]と(R)-1,1'-ビス-2,2'-ナフトール[34]をEDCを用いて縮合することによりエステル体[35]を得た後、酸処理を行って、脱保護することにより、L-プロリン[11]と(R)-1,1'-ビス-2,2'-ナフトールとの当量縮合体[9]を、塩酸塩[9']の形で製造することができる。
【0029】
【化14】

【0030】
本発明の有機分子触媒[3]〜[5]、及び[8]、[9]は、前述と同様にして製造される光学活性プロリン誘導体から成る。
【0031】
次に、本発明の、有機分子触媒[1]〜[10']を用いる不斉反応について説明する。
ここで用いられる有機分子触媒[3]〜[5]、及び[8]、[9]の製造方法は前述のとおりである。他の有機分子触媒[1], [2], [6], [7], 及び[10]の製造方法について以下、説明する。
L-プロリン二量体[1]は、Z-L-プロリン[11]およびL-プロリンベンジルエステル塩酸塩[15]をDCCを用いて縮合することによりアミド体[16]を得た後、接触還元を行い、脱保護することにより製造することができる。L型とD型プロリンの縮合体[2]は、Z-D-プロリン [13]とL-プロリンベンジルエステル塩酸塩[15]から同様にして製造することができる。
【0032】
【化15】

【0033】
【化16】

【0034】
有機分子触媒[6]および[7]は、Z基保護-L-プロリン[11]と(R)-1-フェニルエチルアミン[24]、(S)-(−)-1-フェニルエチルアミン[26]をそれぞれEDCを縮合剤に用いて脱水縮合することによりアミド体を得た後、接触還元により脱保護を行い製造することができる。
【0035】
【化17】

【0036】
【化18】

【0037】
有機分子触媒N-[(S)-プロリル]-(1R,2S)-ノルエフェドリン[10']は、Z基保護-L-プロリン[11]と(1R,2S)-ノルエフェドリン[18]を、EDCを縮合剤に用いて脱水縮合することによりアミド体を得た後、接触還元により脱保護を行い、製造することができる。
【0038】
【化19】

【0039】
本発明の、有機分子触媒[1]〜[10']を用いる不斉反応方法としては、例えば、不斉アルドール縮合反応、不斉α-アミノ化反応及び不斉マイケル付加反応等が挙げられる。
【0040】
不斉アルドール縮合反応としては、例えば、ベンズアルデヒドとアセトアルデヒドとの反応が挙げられる。
【0041】
【化20】

【0042】
即ち、ベンズアルデヒド[39]を大過剰のアセトン[37]に溶解し、有機分子触媒[1]〜[10']を所定量用いて反応させ、光学活性な4-ヒドロキシ-4-フェニル-2-ブタノン[40]を得る反応である。有機分子触媒の量はベンズアルデヒドに対して1モル%〜100モル%、好ましくは5モル%〜50モル%、より好ましくは10モル%〜30モル%である。反応温度は‐20℃〜50℃、好ましくは‐10℃〜20℃、より好ましくは‐5℃〜10℃である。反応の終点を薄層クロマトグラフィ(TCL)やガスクロマトグラフィ(GC)にて確認し、溶媒兼反応基質のアセトンを減圧留去後、得られる液体をクロマトグラフィ又は蒸留等で精製して生成物を得る。生成物の分析は1H-NMR, 13C-NMR, MS(質量分析)等で行い、化学構造を決定する。光学純度は比旋光度[α]D20値を、文献値と比較することにより決定することができる。
なお、[40]の脱水副反応により、4-フェニル-3-ブテン-2-オン[41]が副生し得る。
【0043】
不斉α-アミノ化反応としては、例えば、シクロヘキサノン[21-2]とジエチルジアゾジカルボキシレート[22-2]との反応が挙げられる。
【0044】
【化21】

【0045】
即ち、シクロヘキサノン[21-2]及びジエチルジアゾジカルボキシレート[22-2]をアセトニトリル等の非極性有機溶媒に溶解し、有機分子触媒[1]〜[10']を所定量共存させて反応し、光学活性なN,N'-1ビス(エトキシカルボニル)-2-ヒドラジノ-シクロヘキサノン[23-2]を得る反応である。生成物のヒドラジノ誘導体は、アミノ酸またはアミノアルコール誘導体へと変換できることから、工業上重要な反応プロセスの1つである。
シクロヘキサノン[21-2]及びジエチルジアゾジカルボキシレート[22-2]は、モル比で1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1、より好ましくは1:2〜2:1であって、特に好ましくは1:1である。有機分子触媒の量はシクロヘキサノンに対して1モル%〜100モル%、好ましくは5モル%〜50モル%、より好ましくは10モル%〜30モル%である。反応温度は-10℃〜100℃、好ましくは0℃〜50℃、より好ましくは10℃〜30℃である。反応の終点を薄層クロマトグラフィ(TCL)やガスクロマトグラフィ(GC)にて確認し、溶媒兼反応基質のアセトンを減圧留去後、得られる液体をクロマトグラフィ又は蒸留等で精製して生成物を得る。生成物の分析は1H-NMR, 13C-NMR, MS(質量分析)等で行って、化学構造を決定する。光学純度は比旋光度[α]D20値を、文献値と比較することにより決定することができる。
【0046】
不斉マイケル付加反応としては、例えば、2-シクロヘキセノン[24-2]とニトロメタン[25-2]との1,2-付加反応が挙げられる。
【0047】
【化22】

【0048】
即ち、2-シクロヘキセノン[24-2]及びニトロメタン[25-2]をクロロホルム等の非極性有機溶媒に溶解し、有機分子触媒[1]〜[10']を所定量用いて反応させ、1,2-付加体である光学活性な3-ニトロメチル-シクロヘキサノン[26-2]を得る反応である。生成物の3-ニトロメチル-シクロヘキサノン[26-2]は、種々の生理活性物質の有用な合成中間体となり得る。
反応は、2-シクロヘキセノン[24-2]及びニトロメタン[25-2]をモル比で1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1、より好ましくは1:2〜2:1の範囲で行なう。有機分子触媒の量はシクロヘキセノンに対して0.01モル%〜100モル%、好ましくは0.1モル%〜50モル%、より好ましくは1モル%〜20モル%である。反応温度は-10℃〜100℃、好ましくは0℃〜50℃、より好ましくは10℃〜30℃である。反応の終点を薄層クロマトグラフィ(TCL)やガスクロマトグラフィ(GC)にて確認し、溶媒兼反応基質のアセトンを減圧留去後、得られる液体をクロマトグラフィ又は蒸留等で精製して生成物を得る。生成物の分析は1H-NMR, 13C-NMR, MS(質量分析)等で行って、化学構造を決定する。光学純度は比旋光度[α]D20を、文献値と比較することにより決定することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
N-[(R)-プロリル]-(1R,2S)-ノルエフェドリン[3]の合成:
【0050】
【化23】

【0051】
撹拌子を入れて乾燥した50 ml容ナス型フラスコをアルゴンガスで置換した。N-カルボベンゾキシ-D-プロリン 13 (498.5 mg, 2.0 mmol)と(1R,2S)-ノルエフェドリン 18 (306.4 mg, 2.0 mmol)を無水DMF (20 ml)に溶解し、HOBt・H2O(336.9 mg, 2.2 mmol)、DMAP (12.3 mg, 0.1 mmol, 5 mol%)、EDC・HCl (421.7 mg, 2.2 mmol) を加えた後、塩化カルシウム管を付けて40℃で48時間撹拌した。TLCにより反応の終了を確認した後、酢酸エチル (100 ml)を加え、水、1N HCl、飽和NaHCO3 、飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4を加えて2時間放置した。Na2SO4を濾別して溶媒を留去すると黄色の液体を得た。これをシリカゲルカラム (hexane : AcOEt = 1 : 2)により精製して乾燥すると白色結晶としてN-[カルボベンゾキシ-(R)-ピロリル]-(1R,2S)-ノルエフェドリン 19 (710 mg, 1.86 mmol)を収率93%で得た。
【0052】
生成物の分析値を以下に示す。
なお、Rf:薄相クロマトグラフィにおける、溶媒先端の移動距離と生成物先端の移動距離の比率であり、[α]D15は、比旋光度である。
Rf=0.40 (hexane:AcOEt = 1:2);
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 0.70-1.10 (m, 3H, CH3), 1.70-2.05 (m, 4H, pyrrolidine H3 and H4), 2.20 (br s, 1H, OH), 3.30-3.60 (m, 2H, pyrrolidine H5), 4.10-4.28 (m, 2H, pyrrolidine H2, CHCH3), 4.65-4.83 (m, 1H, CHOH), 4.90-5.15 (m, 2H, PhCH2), 6.27 (br d, 1H, amide NH), 7.12-7.56 (m, 10H, Ph);
13C-NMR (136 MHz, CDCl3)δ: 14.02, 24.51, 28.89, 46.92, 50.39, 60.57, 67.23, 75.12, 126.01(×3), 127.84, 127.96(×2), 128.32(×4), 136.08, 140.74.
【0053】
撹拌子を入れた耐圧容器にN-[カルボベンゾキシ-(R)-ピロリル]-(1R,2S)-ノルエフェドリン 19 (0.6 g, 1.57 mmol)をメタノール (10 ml)に溶解し、氷冷下10 %パラジウム炭素 (105 mg)をゆっくりと加えた。容器内を水素ガスで置換した後、水素圧0.4 MPaで室温下一晩撹拌した。反応終了後パラジウム炭素を濾別して、濾液から溶媒を留去して得られた黄色の液体をシリカゲルカラム (CHCl3 : CH3OH=7:1)により精製すると、白色結晶としてN-[(R)-ピロリル]-(1R,2S)-ノルエフェドリン 3 (346.2 mg, 1.39 mmol)を収率 89%で得た。
【0054】
生成物の分析値を以下に示す。
Rf=0.46 (CHCl3:CH3OH=7:1);
m.p. 108 ℃;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 1.08 (d, J=6.8 Hz, 3H, CH3), 1.52-1.73 (m, 3H, pyrrolidine H3 and H4), 1.97-2.08 (m, 1H, pyrrolidine H3), 2.80-2.93 (m, 2H, pyrrolidine H5), 3.34 (br s, 1H, amide NH), 3.52-3.60 (m, 1H, pyrrolidine H2), 4.11 (dq, Jd=1.2, Jq=6.8 Hz, 1H, CHCH3), 4.64 (d, J=5.4 Hz, 1H, CHOH), 7.20-7.42 (m, 5H, Ph);
13C-NMR (136 MHz, CDCl3)δ: 15.5, 27.0, 31.9, 48.0, 51.6, 61.5, 78.0, 127.5 (×2), 128.3, 129.0 (×2), 143.4, 176.3;
IR (KBr-solid) : 3292, 2976, 1663, 1533, 1450, 1118, 1001, 701;
[α]D20値=−91.0 (c 0.1, CHCl3).
【0055】
実施例2
(S)-ピロリジン-2-カルボン酸(2-ヒドロキシ-シクロヘキシル)-アミド[4]の合成:
【0056】
【化24】

【0057】
撹拌子を入れて乾燥した30 ml容ナス型フラスコをアルゴンガスで置換した。N-カルボベンゾキシ-L-プロリン 11 (124.6 mg, 0.5 mmol) と2-アミノシクロヘキサノール 20 (57.6 mg, 0.5 mmol)を無水DMF (8.0 ml)に溶解し、HOBt・H2O (76.6 mg, 0.5 mmol)、トリエチルアミン (50.6 mg, 0.5 mmol)、EDC・HCl (95.9 mg, 0.5 mmol) を加えた後、塩化カルシウム管を付けて室温で3日間撹拌した。TLCにより反応の終了を確認した後、酢酸エチルを加え、水、1N HCl、飽和NaHCO3 、飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4を加えて2時間放置した。Na2SO4を濾別して溶媒を留去すると黄色結晶として2-(2-ヒドロキシ-シクロヘキシルカルバモイル)-(S)-ピロリジン-1-カルボン酸 ベンジルエステル 21 (158.3 mg, 0.46 mmol)を収率91 %で得た。
【0058】
以下に分析値を示す。
Rf=0.18 (hexane:AcOEt = 1:2);
m.p. 93 ℃;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 1.00-1.2.59 (m, 12H, cyclohexane H3, H4, H5 and H6, pyrrolidine H3 and H4 ), 3.38-3.62 (m, 2H, pyrrolidine H5), 3.65-3.76 (m, 1H, cyclohexane H1), 3.77-3.98 (m, 1H, cyclohexane H2), 4.15-4.38 (m, 1H, pyrrolidine H2), 4.88-5.38 (m, 2H, CH2), 7.03-7.60 (m, 5H, Ph);
13C-NMR (136 MHz, CDCl3)δ: 23.37, 23.57, 24.49, 24.57, 26.76, 28.83, 31.38, 36.44, 47.06, 61.03, 67.23, 128.03, 128.36, 128.43, 128.45, 136.30, 162.53.
【0059】
撹拌子を入れた耐圧容器に2-(2-ヒドロキシ-シクロヘキシルカルバモイル)-(S)-ピロリジン-1-カルボン酸 ベンジルエステル 21 (158.3 mg, 0.46 mmol) をメタノール (3.0 ml)に溶解し、氷冷下10 %パラジウム炭素 (23.7 mg)をゆっくりと加えた。容器内を水素ガスで置換した後、水素圧0.3 MPaで室温下一晩撹拌した。反応終了後パラジウム炭素を濾去して溶媒を除去すると、白色結晶として(S)-ピロリジン-2-カルボン酸 (2-ヒドロキシ-シクロヘキシル)-アミド 4 (87.8 mg, 0.41 mmol)を収率 91 %で得た。
【0060】
以下に分析値を示す。
Rf=0.49 (MeOH);
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ: 1.18-1.44 (m, 4H, cyclohexane H4 and H5), 1.45-2.12 (m, 8H, cyclohexane H3 and H6, ピロリジン H3 and H4), 2.88-3.06 (m, 2H, pyrrolidine H5), 3.63-3.71 (m, 1H, cyclohexane H1), 3.71-3.79 (m, 1H, pyrrolidine H2), 3.81-3.88 (m, 1H, cyclohexane H2);
13C-NMR (136 MHz, CD3OD)δ: 20.96, 24.87, 27.00, 27.97, 31.99, 32.81, 47.99, 52.19, 61.68, 69.10, 176.54;
IR (KBr-solid) : 3308, 2933, 1690, 1650, 1550, 1422, 1358, 1131, 986, 732;
[α]D20値=−74.0 (c 0.1, CHCl3).
【0061】
実施例3
N-[(S)-プロリル]-(S)-プロリノール[5]の合成
【0062】
【化25】

【0063】
撹拌子を入れて乾燥した20 ml容ナス型フラスコをアルゴンガスで置換した。N-カルボベンゾキシ-L-プロリン 11 (124.6 mg, 0.5 mmol)を無水DMF (3.0 ml)に溶解し、HOBt・H2O(76.6 mg, 0.5 mmol)、DMAP (24.4 mg, 0.2 mmol)、EDC・HCl (95.9 mg, 0.5 mmol) を加えた後、塩化カルシウム管を付けて室温で1時間撹拌し、L-プロリノール 22 (50.6 mg, 0.5 mmol)の無水DMF (1.0 ml)溶液を加え、室温で24時間攪拌した。TLCにより反応の終了を確認した後、塩化メチレンを加え、水で洗浄し、無水Na2SO4を加えて2時間放置した。Na2SO4を濾別して溶媒を留去すると黄色の液体を得た。これを分取TLC (AcOEt : MeOH = 4 : 1)により精製して乾燥すると白色結晶としてN-[カルボベンゾキシ-(S)-プロリル]-(S)-プロリノール 23 (93.6 mg, 0.28 mmol)を56%で得た。
【0064】
以下に分析値を示す:
Rf=0.61 (CHCl3:MeOH = 9:1);
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ: 1.50-1.63 (m, 1H, one of pyrrolidine H8 ), 1.78-2.08 (m, 6H, one of pyrrolidine H3, pyrrolidine H4, one of pyrrolidine H8 and pyrrolidine H9), 2.20-2.32 (m, 1H, one of pyrrolidine H8), 3.25-4.18 (m, 7H, pyrrolidine H5, H7, H10 and CH2), 4.50-4.58 (m, 1H, pyrrolidine H2), 4.81-5.20 (m, 2H, CH2), 7.25-7.50 (m, 5H, Ph);
13C-NMR (136 MHz, CD3OD)δ: 27.58, 28.90, 30.80, 31.60, 48.01, 49.95, 59.90, 60.72, 68.50, 77.61, 128.84, 129.24(×2), 129.56(×2), 137.77, 160.90。
【0065】
撹拌子を入れた耐圧容器にN-[(S)-プロリル]-(S)-プロリノール 23 (93.6 mg, 0.28 mmol)をメタノール (3.0 ml)に溶解し、氷冷下10 %パラジウム炭素 (18.7 mg)をゆっくりと加えた。容器内を水素ガスで置換した後、水素圧0.3 MPaで室温下一晩撹拌した。反応終了後パラジウム炭素を濾去して溶媒を除去すると、黄色油状としてN-[(S)-プロリル]-(S)-プロリノール 5 (55.2 mg, 0.28 mmol)を収率 99 %で得た。
【0066】
以下に分析値を示す:
Rf=0.24 (MeOH);
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ: 1.63-2.28 (m, 8H, pyrrolidine H3, H4, H8 and H9), 2.69-2.80 (m, 2H, pyrrolidine H5), 3.35-3.68 (m, 6H, pyrrolidine H2, H7, H10 and CH2);
13C-NMR (136 MHz, CD3OD)δ: 25.13, 27.13, 27.90, 31.41, 48.06, 48.24, 60.16, 60.82, 63.23, 174.54;
[α]D20値=−103.0 (c 0.1, CHCl3)。
【0067】
実施例4
(S)-ピロリジン-2-カルボン酸[(1S,2S)-(2-アミノ-シクロヘキシル)]アミド[8]の合成
【0068】
【化26】

【0069】
撹拌子を入れて乾燥した20 ml容ナス型フラスコをアルゴンガスで置換した。(S)-ピロリジン-1,2-ジカルボン酸 1-tert-ブチルエステル 32 (106.1 mg, 0.5 mmol) と(1S,2S)-2-アミノシクロヘキシルカルバミン酸 tert-buthyl エステル 31 (107.2 mg, 0.5 mmol)を無水DMF (3.0 ml)に溶解し、HOBt・H2O(76.6 mg, 0.5 mmol)、DMAP (24.4 mg, 0.2 mmol)、EDC・HCl (95.9 mg, 0.5 mmol) を加えた後、塩化カルシウム管を付けて、室温で24時間攪拌した。TLCにより反応の終了を確認した後、酢酸エチルを加え、水、1N HCl、飽和NaHCO3 、飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4を加えて2時間放置した。Na2SO4を濾別して溶媒を留去すると黄色の液体を得た。シリカゲルカラム (hexane:AcOEt=2:1)により精製し真空下乾燥すると白色結晶として[(1S,2S)-2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-シクロヘキシルカルバモイル)]-(S)-ピロリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル 33 (165.3 mg, 0.40 mmol, 収率80%)を得た。
【0070】
以下に分析値を示す:
Rf=0.29 (CHCl3:MeOH:AcOH = 85:15:3);
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 1.10-1.65 (m, 8H, cyclohexane H3, H4, H5 and H6), 1.41 (s, 9H, CH3), 1.45 (s, 9H, CH3), 1.75-2.28 (m, 4H, pyrrolidine H3 and H4), 3.20-3.65 (m, 4H, pyrrolidine H5, cyclohexane H1 and H2), 4.05-4.25 (m, 1H, pyrrolidine H2);
13C-NMR (136 MHz, CDCl3)δ: 23.68, 24.66(×2), 28.39(×6), 31.52, 32.87, 46.85, 75.77, 80.10, 125.66, 173.08, 175.10, 190.01。
【0071】
撹拌子を入れて乾燥した10 ml容ナス型フラスコをアルゴンガスで置換した。[(1S,2S)-2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-シクロヘキシルカルバモイル)]-(S)-ピロリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル 33 (148.2 mg, 0.36 mmol)を4N HCl/AcOEt (3.0 ml)に溶解し、塩化カルシウム管を付けて、室温で30分攪拌した。TLCにより反応の終了を確認した後、溶媒を除去し、真空下乾燥すると白色結晶として(S)-シクロペンタンカルボン酸[(1S, 2S)-(2-メチル-シクロヘキシル)]-アミド 8' (95.3 mg, 0.34 mmol, 収率93%)を得た。
【0072】
以下に分析値を示す:
Rf=0.22 (MeOH);
m.p. 285 ℃;
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ: 1.26-1.58 (m, 6H, pyrrolidine H4, cyclohexane H4 and H5), 2.02-2.15 (m, 7H, NH2, cyclohexane H1, H3 and H6), 2.16-2.28 (m, 1H, pyrrolidine H3), 2.42-2.52 (m, 1H, pyrrolidine H3), 3.16 (dt, 1H, Jd=5.9, Jt=10.7 Hz, cyclohexane H2), 3.24-3.44 (m, 2H, pyrrolidine H5), 3.70-3.81 (m, 1H, pyrrolidine H2), 4.29 (t, 1H, Jt=7.8 Hz, cyclohexane H1), 8.50 (d, 1H, Jd=7.6 Hz, NH);
13C-NMR (136 MHz, CD3OD)δ: 24.80, 25.27, 25.38, 30.39, 31.07, 32.30, 47.34, 53.45, 55.28, 61.61, 170.55;
IR (KBr-solid) : 3034, 1672, 1587, 1550, 1496, 1164, 1007。
【0073】
実施例5
(S)-ピロリジン-2-カルボン酸2'-ヒドロキシ-(R)-[1,1']ビナフタレン-2-イルエステル[9]の合成
【0074】
【化27】

【0075】
撹拌子を入れて乾燥した20 ml容ナス型フラスコをアルゴンガスで置換した。N-カルボベンゾキシ-L-プロリン 11 (124.6 mg, 0.5 mmol) と(R)-(+)-1,1'-ビ-2-ナフトール 34 (143.2 mg, 0.5 mmol)を無水CH2Cl2 (5.0 ml)に溶解し、DMAP (12.2 mg, 0.1 mmol)、EDC・HCl (95.9 mg, 0.5 mmol) を加えた後、塩化カルシウム管を付けて、室温で4時間攪拌した。TLCにより反応の終了を確認した後、酢酸エチルを加え、水、1N HCl、飽和NaHCO3 、飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4を加えて2時間放置した。Na2SO4を濾別して溶媒を留去すると黄色の液体を得た。シリカゲルカラム (Hexane:AcOEt=4:1)により精製し真空下乾燥すると白色結晶として(S)-ピロリジン-1,2-ジカルボン酸 1-ベンジルエステル 2-(2'-ヒドロキシ-(R)-(+)-[1,1']ナフタレニル-2-イル) エステル 35 (238.1 mg, 0.46 mmol, 収率92%)を得た。
【0076】
以下に分析値を示す:
Rf=0.61 (hexane:AcOEt = 1:1);
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ: 0.51-0.70 (m, 2H, H4 ), 1.19-1.30 (m, 1H, one of pyrrolidine H3), 156-1.69 (m, 1H, one of pyrrolidine H3), 2.84-3.14 (m, 2H, pyrrolidine H5), 4.22-4.27 (m, 1H, pyrrolidine H2), 5.07 (ABq, 2H, Jq=12.2, 88.8 Hz, CH2), 6.84 (d, 1H, Jd=8.8 Hz, Ph), 6.91 (t, 1H, Jt=7.6 Hz, Ph), 7.08-7.17 (m, 1H, Ph), 7.19-7.35 (m, 6H, Ph), 7.36-7.52 (m, 4H, Ph), 7.80 (d, 1H, Jd=8.0 Hz, Ph), 7.85-7.93 (m, 1H, Ph), 7.94-8.05 (m, 2H, Ph);
13C-NMR (136 MHz, CD3OD)δ: 23.39, 30.61, 47.61, 60.35, 68.31, 115.09, 119.07, 122.72, 122.96, 124.06, 124.09, 125.86, 126.80, 126.97, 127.42, 127.61, 128.72, 128.91, 129.05, 129.16, 129.30, 129.48, 129.68, 130.20, 131.02, 135.27, 148.00, 154.03, 155.94, 172.43, 180.75。
【0077】
10 ml容ナス型フラスコに(S)-ピロリジン-1,2-ジカルボン酸 1-ベンジルエステル 2-(2'-ヒドロキシ-(R)-(+)-[1,1']ナフタレニル-2-イル) エステル 35 (67.3 mg, 0.13 mmol)を30% HBr/AcOH (0.45 ml)に溶解し、室温で2時間放置した。TLCにより反応の終了を確認した後、ジエチルエーテルでデカンテーションし、溶媒を除去した。真空下乾燥すると白色結晶として(S)-シクロペンタンカルボン酸 2'-ヒドロキシ-(R)-(+)-[1,1']ナフタレニル-2-イル エステル 9' (50.2 mg, 0.12 mmol, 収率92%)を得た。
【0078】
以下に分析値を示す:
Rf=0.62 (MeOH);
m.p. 30 ℃;
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ: 0.69-0.84 (m, 2H, pyrrolidine H4), 1.45-1.85 (m, 2H, pyrrodiline H3), 2.73-3.18 (m, 2H, pyrrolidine H5), 3.47 (q, Jq=7.1 Hz, 1H, pyrrolidine H2), 4.55 (s, 1H, OH), 6.93 (d, 1H, Jd=8.3 Hz, Ph), 7.05-7.20 (m, 1H, Ph), 7.22-7.42 (m, 4H, Ph), 7.47-7.58 (m, 2H, Ph), 7.84 (d, 1H, Jd=8.1 Hz, Ph), 7.92 (d, 1H, Jd=8.8 Hz, Ph), 7.99-8.18 (m, 2H, Ph);
13C-NMR (136 MHz, CD3OD)δ: 23.38, 28.77, 46.88, 60.21, 114.71, 119.18, 122.27, 124.18, 125.81, 126.91, 127.09, 127.20, 127.56, 127.89, 129.11, 129.31, 129.99, 130.14, 130.56, 131.29, 133.81, 134.97, 147.55, 154.28, 169.03;
IR (KBr-solid) : 3186, 2946, 2728, 1759, 1508, 1207, 818;
[α]D20値=−126.0 (c 0.1, CHCl3)。
【0079】
実施例6
L-プロリン二量体[1]の合成
【0080】
【化28】

【0081】
撹拌子を入れて乾燥させた100 ml容ナス型フラスコをアルゴンガスで置換した。N-カルボベンゾキシ-L-プロリン 11 (0.30 g, 1.20 mmol)と L-プロリンベンジルエステル塩酸塩(0.34 g, 1.45 mmol) 15 を無水DMF(50 ml)に溶解し、HOBt・H2O(0.2 g, 1.31 mmol)、トリエチルアミン(0.2 ml, 1.45 mmol)、DCC(0.30 g, 1.45 mmol)を加えた後、塩化カルシウム管を付けて室温で48時間撹拌した。TLCにより反応の終了を確認した後、酢酸エチル (50 ml)を加え、水、1NHCl、飽和NaHCO3 、飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4を加えて2時間放置した。Na2SO4を濾別して溶媒を留去すると黄色の液体を得た。これを、撹拌子を入れた耐圧容器に入れ、メタノール (10 ml)に溶解し、氷冷下10 %パラジウム炭素 (92 mg)をゆっくりと加えた。容器内を水素ガスで置換した後、水素圧0.4 MPaで室温下一晩撹拌した。反応終了後パラジウム炭素を濾去して、濾液から溶媒を留去して得られた黄色の液体をシリカゲルカラム(MeOH)により精製すると、白色結晶としてN-[(S)-プロリル]-(S)-プロリン 1 (180 mg, 0.85 mmol, 収率72%)を得た。
【0082】
以下に分析値を示す:
Rf=0.31 (MeOH);
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ: 1.80-1.96 (m, 2H, pyrrolidine H4), 1.97-2.07 (m, 2H, pyrrolidine H3), 2.12-2.26 (m, 2H, pyrrolidine H9), 2.27-2.40 (m, 1H, pyrrolidine H8), 2.41-2.50 (m, 1H, pyrrolidine H8), 3.31-3.38 (m, 1H, pyrrolidine H5), 3.42-3.50 (m, 1H, pyrrolidine H5), 3.52-3.65 (m, 1H, pyrrolidine H10), 3.66-3.80 (m, 1H, pyrrolidine H10), 4.14-4.22 (m, 1H, pyrrolidine H2), 4.30 (dd, 1H, Jd=5.9, 5.6 Hz, pyrrolidine H5);
13C-NMR (136 MHz, CDCl3)δ: 23.54, 25.57(×2), 32.77, 47.47, 48.11, 63.39(×2), 169.16, 178.42。
【0083】
実施例7
L型とD型プロリンの縮合体[2]の合成
【0084】
【化29】

【0085】
撹拌子を入れて乾燥させた200 ml容ナス型フラスコをアルゴンガスで置換した。N-カルボベンゾキシ-D-プロリン 13 (1.0 g, 4.01 mmol)と L-プロリンベンジルエステル塩酸塩(1.2 g, 4.96 mmol) 15 を無水DMF(100 ml)に溶解し、HOBt・H2O(0.75 g, 4.90 mmol)、トリエチルアミン(0.68 ml, 4.90 mmol)、DCC(1.0 g, 4.84 mmol)を加えた後、塩化カルシウム管を付けて室温で48時間撹拌した。TLCにより反応の終了を確認した後、酢酸エチル (100 ml)を加え、水、1NHCl、飽和NaHCO3 、飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4を加えて2時間放置した。Na2SO4を濾別して溶媒を留去すると黄色の液体を得た。これを、撹拌子を入れた耐圧容器に入れ、メタノール (20 ml)に溶解し、氷冷下10 %パラジウム炭素 (195 mg)をゆっくりと加えた。容器内を水素ガスで置換した後、水素圧0.4 MPaで室温下一晩撹拌した。反応終了後パラジウム炭素を濾去して、濾液から溶媒を留去して得られた黄の液体をシリカゲルカラム(MeOH)により精製すると、白色結晶としてN-[(S)-プロリル]-(R)-プロリン 2 (0.72 g, 3.41 mmol, 収率85%)を得た。
【0086】
以下に分析値を示す:
Rf=0.28 (MeOH);
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ: 1.80-2.08 (m, 4H, pyrrolidine H3 and H4), 2.10-2.22 (m, 2H, pyrrolidine H9), 2.25-2.36 (m, 1H, pyrrolidine H8), 2.40-2.50 (m, 1H, pyrrolidine H8), 3.25-3.75 (m, 4H, pyrrolidine H5 and H10), 4.25 (dd, 1H, Jd=3.0, 8.8 Hz, pyrrolidine H2), 4.45 (dd, 1H, Jd=7.0, 8.8 Hz, pyrrolidine H5);
13C-NMR (136 MHz, CD3OD)δ: 25.41, 25.54, 29.52, 30.98, 47.56, 48.13, 60.51, 63.47, 167.96, 179.19。
【0087】
実施例8
N-[(S)-プロリル]-(R)-1-フェニルエチルアミン[6]の合成
【0088】
【化30】

【0089】
撹拌子を入れて乾燥した20 ml容ナス型フラスコをアルゴンガスで置換した。N-カルボベンゾキシ-L-プロリン 11 (124.6 mg, 0.5 mmol)と(R)-(+)-1-フェニルエチルアミン 24 (60.6 mg, 0.5 mmol)を無水DMF (3.0 ml)に溶解し、HOBt・H2O(76.6 mg, 0.5 mmol)、DMAP (24.4 mg, 0.2 mmol)、EDC・HCl (95.9 mg, 0.5 mmol) を加えた後、塩化カルシウム管を付けて室温で24時間撹拌した。TLCにより反応の終了を確認した後、酢酸エチルを加え、水、1N HCl、飽和NaHCO3 、飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4を加えて2時間放置した。Na2SO4を濾別して溶媒を留去すると白色結晶としてN-[カルボベンゾキシ-(S)-プロリル]- (R)-(+)-1-フェニルエチルアミン 25 (161.7 mg, 0.46 mmol)を収率92 %で得た。
【0090】
以下に分析値を示す:
Rf=0.69 (hexane:AcOEt = 1:2);
m.p. 140-142 ℃;
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ:1.42 (dd, 3H, Jd=7.1, 20.7 Hz, CH3), 1.80-2.28 (m, 4H, pyrrolidine H3 and H4), 3.42-3.68 (m, 2H, pyrrolidine H5), 4.26-4.32 (m, 1H, pyrrolidine H2), 4.70-5.28 (m, 3H, CH and CH2), 6.91-7.75 (m, 10H, Ph);
13C-NMR (136 MHz, CD3OD)δ: 22.14, 22.25, 24.64, 32.80, 50.06, 61.46, 67.99, 127.17, 127.94, 128.04, 128.61, 128.88, 128.94, 129.03, 129.11, 129.44, 129.48, 129.61, 138.00, 144.93, 156.41。
【0091】
撹拌子を入れた耐圧容器にN-[カルボベンゾキシ-(S)-プロリル]- (R)-(+)-1-フェニルエチルアミン 25 (70.5 mg, 0.2 mmol)をメタノール (2.0 ml)に溶解し、氷冷下10 %パラジウム炭素 (7.0 mg)をゆっくりと加えた。容器内を水素ガスで置換した後、水素圧0.3 MPaで室温下一晩撹拌した。反応終了後パラジウム炭素を濾去して溶媒を除去すると、白色結晶としてN-[(S)-プロリル]- (R)-(+)-1-フェニルエチルアミン 6 (42.7 mg, 0.19 mmol)を収率 98 %で得た。
【0092】
以下に分析値を示す:
Rf=0.35 (MeOH);
m.p. 58-59 ℃;
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ: 1.45 (d, 3H, Jd=7.1 Hz, CH3), 1.68-2.20 (m, 4H, pyrrolidine H3 and H4), 2.80-3.08 (m, 2H, pyrrolidine H5), 3.58-3.65 (m, 1H, pyrrolidine H2), 4.98 (dd, 1H, Jd=6.8, 13.9 CH), 7.19-7.51 (m, 5H, Ph);
13C-NMR (136 MHz, CD3OD)δ: 22.45, 27.04, 32.23, 48.05, 49.98, 61.71, 127.00(×2), 128.15, 129.57(×2), 145.04, 176.02。
【0093】
実施例9
N-[(S)-プロリル]-(S)-1-フェニルエチルアミン[7]の合成
【0094】
【化31】

【0095】
撹拌子を入れて乾燥した20 ml容ナス型フラスコをアルゴンガスで置換した。N-カルボベンゾキシ-L-プロリン 11 (124.6 mg, 0.5 mmol)と(S)-(−)-1-フェニルエチルアミン 26 (60.6 mg, 0.5 mmol)を無水DMF (3.0 ml)に溶解し、HOBt・H2O(76.6 mg, 0.5 mmol)、DMAP (24.4 mg, 0.2 mmol)、EDC・HCl (95.9 mg, 0.5 mmol) を加えた後、塩化カルシウム管を付けて室温で24時間撹拌した。TLCにより反応の終了を確認した後、酢酸エチルを加え、水、1N HCl、飽和NaHCO3 、飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4を加えて2時間放置した。Na2SO4を濾別して溶媒を留去すると白色結晶としてN-[カルボベンゾキシ-(S)-プロリル]- (S)-(−)-1-フェニルエチルアミン 27 (165.2 mg, 0.47 mmol)を収率94%で得た。
【0096】
以下に分析値を示す:
Rf=0.69 (hexane:AcOEt = 1:2);
m.p. 115 ℃;
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ: 1.36 (dd, 3H, Jd=7.1, 71.2 Hz, CH3), 1.77-2.31 (m, 4H, pyrrolidine H3 and H4), 3.45-3.61 (m, 2H, pyrrolidine H5), 4.25-4.32 (m, 1H, pyrrolidine H2), 5.04-5.14 (m, 3H, CH and CH2), 7.80-7.72 (m, 10H, Ph);
13C-NMR (136 MHz, CD3OD)δ: 22.26, 25.34, 32.52, 48.10, 50.05, 61.36, 68.33, 126.96(×2), 128.03, 128.85(×2), 129.07(×2), 129.49(×2), 129.76, 137.83, 145.11, 156.86, 174.27。
【0097】
撹拌子を入れた耐圧容器にN-[カルボベンゾキシ-(S)-プロリル]- (S)-(−)-1-フェニルエチルアミン 27 (70.5 mg, 0.2 mmol)をメタノール (2.0 ml)に溶解し、氷冷下10 %パラジウム炭素 (7.0 mg)をゆっくりと加えた。容器内を水素ガスで置換した後、水素圧0.3 MPaで室温下一晩撹拌した。反応終了後パラジウム炭素を濾去して溶媒を除去すると、白色結晶としてN-[(S)-プロリル]- (S)-(−)-1-フェニルエチルアミン 7 (41.8 mg, 0.19 mmol)を収率 96 %で得た。
【0098】
以下に分析値を示す:
Rf=0.35 (MeOH);
m.p. 71-73 ℃;
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ: 1.44 (d, 3H, Jd=7.1 Hz, CH3), 1.58-2.20 (m, 4H, pyrrolidine H3 and H4), 2.82-3.04 (m, 2H, pyrrolidine H5), 3.58-3.64 (m, 1H, pyrrolidine H2), 4.95-5.01 (m, 1H, CH), 7.18-7.50 (m, 5H, Ph);
13C-NMR (136 MHz, CD3OD)δ: 22.55, 27.04, 32.17, 48.04, 50.00, 61.59, 126.97(×2), 128.14, 129.57(×2), 145.05, 175.89。
【0099】
実施例10
N-[(S)-プロリル]-(1R,2S)-ノルエフェドリン[10']の合成
【0100】
【化32】

【0101】
撹拌子を入れて乾燥した50 ml容ナス型フラスコをアルゴンガスで置換した。N-カルボベンゾキシ-L-プロリン 9 (1.0 g, 4.0 mmol)と(1R,2S)-ノルエフェドリン 19 (614.0 mg, 4.0 mmol)を無水DMF (35 ml)に溶解し、HOBt・H2O(676.0 mg, 4.5 mmol)、DMAP (25.0 mg, 0.2 mmol, 5 mol%)、EDC・HCl (846.0 mg, 4.5 mmol) を加えた後、塩化カルシウム管を付けて40℃で48時間撹拌した。TLCにより反応の終了を確認した後、酢酸エチル (100 ml)を加え、水、1N HCl、飽和NaHCO3 、飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4を加えて2時間放置した。Na2SO4を濾別して溶媒を留去すると黄色の液体を得た。これをシリカゲルカラム (hexane : AcOEt = 1 : 2)により精製して乾燥すると白色結晶としてN-[カルボベンゾキシ-(S)-プロリル]-(1R,2S)-ノルエフェドリン 21 (1.0 g, 3.5 mmol)を収率64%で得た。
【0102】
以下に分析値を示す:
Rf=0.40 (hexane:AcOEt = 1:2);
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 0.91 (d, J=30.7 Hz, 3H, CH3), 1.71-2.50 (m,4H, pyrrolidine H3 and H4), 3.34-3.54 (m,2H, pyrrolidine H5), 4.12-4.33 (m,2H,amide NH,CHNH),
5.07-5.22(m,2H,CH2Ph), 7.32-7.52(m,10H,Ph)
13C-NMR (136 MHz, CDCl3)δ:13.84, 24.43, 28.93, 47.04, 51.03, 60.90, 67.37, 75.49, 126.09, 127.29, 128.07, 128.17, 128.49, 136.22, 140.76, 171.99。
【0103】
撹拌子を入れた耐圧容器にN-[カルボベンゾキシ-(L)-プロリル]-(1R,2S)-ノルエフェドリン 20 (1.0 g, 2.6 mmol)をメタノール (17 ml)に溶解し、氷冷下10 %パラジウム炭素 (175 mg)をゆっくりと加えた。容器内を水素ガスで置換した後、水素圧0.4 MPaで室温下一晩撹拌した。反応終了後パラジウム炭素を濾別して、濾液から溶媒を留去して得られた黄色の液体をシリカゲルカラム (CHCl3 : CH3OH=7:1)により精製すると、白色結晶としてN-[(L)-プロリル]-(1R,2S)-ノルエフェドリン 10' (620.7 mg, 2.5 mmol)を収率 93%で得た。
【0104】
以下に分析値を示す:
Rf=0.46 (CHCl3:CH3OH=7:1);
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 0.95 (d, J=6.6 Hz, 3H, CH3), 1.18-1.29 (m,2H, pyrrolidine H4), 1.64-1.66 (m, 2H, pyrrolidine H3), 1.77-2.09 (m, 2H, pyrrolidine H5),
2.79-2.96(m,1H,pyrrolidine H2), 3.82-4.14 (m,2H, pyrrolidine H1, NHCH ), 4.75
(s, 1H, OH), 7.18-7.30 (m, 5H, Ph), 7.77-7.79 (m, 1H, amide NH)
13C-NMR (136 MHz, CDCl3)δ: 1.32, 10.97, 14.98, 22.65, 25.39, 25.84, 26.00, 28.33, 30.89, 47.26, 48.84, 51.36, 56.89, 60.56, 63.28, 77.00, 80.50, 126.38, 126.72, 127.65, 127.74, 128.31, 128.45, 141.22, 142.65, 174.57, 177.80。
【0105】
実施例11
ベンズアルデヒドとアセトンの不斉アルドール縮合反応
【0106】
【化33】

【0107】
撹拌子を入れて乾燥した10 ml容ナス型フラスコを窒素ガスで置換した。ベンズアルデヒド 39 (53.1 mg, 0.5 mmol)を無水acetone 37 (2.0 ml)に溶解し、有機分子触媒 (20 mol%)を加え、0℃に冷却し、撹拌した。TLCにより反応の終了を確認した後、溶媒を減圧留去して得られる液体を分取TLCにより精製して真空下乾燥すると無色液体として4-ヒドロキシ-4-フェニル-2-ブタノン 40を得た。
【0108】
以下に分析値を示す:
Rf=0.36 (hexane:AcOEt = 2:1);
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 2.19 (s, 3H, CH3), 2.76-2.94 (m, 2H, CH2), 3.33 (br d, 1H, OH), 5.15 (dd, 1H, Jd=2.9 Hz, Jd=8.8 Hz, CH-OH), 7.24-7.44 (m, 5H, Ph).
1H-NMRのスペクトルデータは、文献値16) (1H-NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 2.21 (s, 3H), 2.87 (m, 2H), 3.32 (d, 1H, J=3.0 Hz), 5.17 (m, 1H), 7.27-7.38 (m, 5H).)と一致した。
各有機分子触媒での得られた結果を表1に示す。
比旋光度[α]D20値は表1に示した。
【0109】
【表1】

【0110】
実施例12
シクロヘキサノンとジエチルアゾジカルボキシレートとの不斉α−アミノ化反応
【0111】
【化34】

【0112】
アセトニトリル3 ml中に、シクロヘキサノン21(0.16 ml,1.5 mmol)とジエチルアゾカルボキシレート22(0.16 ml,1.0 mmol)を溶解し、有機分子触媒(20 mol%)を加えて、室温で反応が停止する(黄色が無色になる)まで撹拌した。その後、水を加えて反応を完結させ、ジエチルエーテルで抽出し、無水Na2SO4を加えて30分間放置した。Na2SO4を濾別してシリカゲルカラム(hexane:AcOEt=2:1)により精製し、無色の粘性液体としてN',N-ビス(エトキシカルボニル)-2-ヒドラジノ-シクロヘキサノン23を得た。
【0113】
以下に分析値を示す:
Rf=0.27 (hexane:AcOEt = 2:1)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 1.20-1.40(m, 6H, CO2CH2CH3×2), 1.51-1.70 (m, 2H
, cyclohexanone H4), 1.71-1.95 (m, 2H, cyclohexanone H5), 1.95-2.05 (m, 1H
, cyclohexanone H3), 2.05-2.15 (m, 1H, cyclohexanone H3), 2.15-2.45 (m, 1H
, cyclohexanone H6), 2.45-2.56 (m, 1H, cyclohexanone H6),4.15-4.34 (m, 4H, CO2CH2×2), 4.91 (br s, 1H, cyclohexanone H2), 6.72 (br s, 1H, NH);
13C-NMR (136 MHz, CDCl3)δ:14.40, 24.23, 26.69, 30.65, 41.29, 61.79, 62.72, 65.58, 66.66, 156.36, 207.80。
【0114】
各有機分子触媒に対する反応結果を表2にまとめて示す。比旋光度[α]D20値を表2に示した。
【0115】
【表2】

【0116】
実施例13
シクロヘキセノンへのニトロメタンの不斉マイケル付加反応
【0117】
【化35】

【0118】
2-シクロヘキセノン24(0.05 ml, 0.52 mmol)とニトロメタン25 (0.06 ml, 1.1 mmol)をクロロホルム4 mlに溶解し、2,5-ジメチルピペラジンと有機分子触媒(4 mol%)を加え、室温で62時間撹拌した。クロロホルムと3%HClで抽出し、Na2SO4を加えて30分間放置した。Na2SO4を濾別してシリカゲルカラム(hexane:AcOEt=2:1)により精製し、黄色の粘性液体として(+)-3-ニトロメチル-シクロヘキサノン 26を得た。
【0119】
以下に分析値を示す:
Rf=0.31 (hexane:AcOEt = 2:1)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 1.50-1.58 (m, 1H, cyclohexanone H4 ), 1.69-1.90 (m, 1H, cyclohexanone H4 ), 1.90-2.12 (m, 1H, cyclohexanone H5 ), 2.12-2.22 (m, 2H
, cyclohexanone H5 and H2 ), 2.22-2.35 (m, 1H, cyclohexanone H2 ), 2.40-2.53 (m, 2H, cyclohexanone H6 ), 2.58-2.70 (m, 1H, cyclohexanone H3 ),4.32-4.43 (m, 2H, CH2-NO2);
13C-NMR (136 MHz, CDCl3)δ:24.20, 28.22, 37.20, 40.84, 44.45, 80.06, 208.20。
【0120】
各有機分子触媒に対する反応結果を表3にまとめて示す。比旋光度[α]D20値を表3に示した。
【0121】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明による光学活性プロリン誘導体を有機分子触媒とする不斉反応は、医薬、農薬または機能性材料等の製造方法として用いることができる。本発明の新規な光学活性プロリン誘導体は、それ自体が不斉反応の有機分子触媒として用いられることに加えて、医薬、農薬または機能性材料物質等の中間体として有用であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(A)又は(B)で表される光学活性プロリン誘導体を有機分子触媒として用いる不斉反応:
【化1】

[式中、R及びRはそれぞれ水素原子(但し、同時に水素原子ではない)、又は炭素数4〜18の、不斉炭素を有してよい窒素又含酸素官能基で置換された、アルキル基、シクロアルキル基若しくはアラル基を表し、RとRとは環を形成してよく、及びRは不斉源を有するアルコールを表し、*は不斉炭素原子を表す。]
【請求項2】
不斉反応が、不斉アルドール縮合反応、不斉α-アミノ化反応及び不斉マイケル付加反応から選ばれる少なくとも1種の反応である、請求項1に記載の不斉反応。
【請求項3】
N-[(R)-プロリル]-(1R,2S)-ノルエフェドリン[3]、(S)-ピロリジン-2-カルボン酸(2-ヒドロキシ-シクロヘキシル)-アミド[4]、N-[(S)-プロリル]-(S)-プロリノール[5]、(S)-ピロリジン-2-カルボン酸[(1S,2S)-(2-アミノ-シクロヘキシル)]アミド[8]、及び(S)-ピロリジン-2-カルボン酸2'-ヒドロキシ-(R)-[1,1']ビナフタレン-2-イルエステル[9]から選ばれる少なくとも1種の光学活性プロリン誘導体:
【化2】

【請求項4】
請求項3に記載の光学活性プロリン誘導体から成る、有機分子触媒。

【公開番号】特開2010−248093(P2010−248093A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96956(P2009−96956)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【Fターム(参考)】