説明

光学活性化合物、液晶組成物および液晶電気光学素子

【課題】らせん誘起力が大きく、透明点が高く、低粘性であって、他の液晶性または非液晶性等の化合物との相溶性にも優れた光学活性化合物の提供、該光学活性化合物を用いてなる液晶組成物および液晶電気光学素子の提供。
【解決手段】下式(1)で表される光学活性化合物光学活性化合物を用いる。R1-A1-CHX-Y-A2-Z1-A3-Z2-A4-R2…(1)(式(1)中の記号は、C*:不斉炭素原子、A1:非置換の1,4−フェニレン基、1個以上のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基、等、A3、A4:非置換の1,4−フェニレン基、1個以上のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基、等、R1:水素原子、R2:炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、等、X:−F、−CH3、等、Y:−CH2−、Z1、Z2:−COO−、−OCO−、等、を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な光学活性化合物、該光学活性化合物を含有する液晶組成物、および該液晶組成物を用いた液晶電気光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶電気光学素子は、OA機器用表示装置をはじめ、測定器、自動車用計器、家電製品用表示装置、時計、電卓等種々の用途に使用されている。
液晶電気光学素子は、少なくとも一方の基板の表面に透明電極、中間保護膜および液晶配向膜が形成された一対の基板を、一定の距離を隔てて配置し、その基板間に液晶材料を封入した構造になっており、電極から液晶材料に電圧を印加し、液晶材料の配列状態を変化させて光学的な性質を変えることにより、光スイッチング素子として機能している。
ツイストネマチック(TN)型およびスーパーツイストネマチック(STN)型液晶電気光学素子には、均一なツイスト配向を達成するために、少量の光学活性化合物(カイラル剤)を添加した液晶組成物が用いられている。
現在幅広く用いられている光学活性化合物には、例えば、下式(CN)で表される化合物、下式(CB−15)で表される化合物、または下式(R−811)で表される化合物などがある。
【0003】
【化1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶組成物に光学活性化合物を添加した時に誘起されるヘリカルピッチ長は、化合物固有のらせん誘起力によって決まる。らせん誘起力が小さい光学活性化合物ほど、誘起されるヘリカルピッチ長が長く、ヘリカルピッチ長を短くするためには添加量を多くしなければならない。一般に、光学活性化合物の添加量を多くすると、添加前と比較して、液晶材料としての性能は低下し、粘度の上昇、応答速度の低下、駆動電圧の上昇、等方相転移温度の低下、ネマチック相、コレステリック相などの特定の相を示す温度範囲の縮小など問題が生じる。そのため、らせん誘起力の大きな光学活性化合物が要求されている。
このような課題を解決するために、特開平10−251185号公報において、粘性が小さく、らせん誘起力が大である光学活性化合物が提案されている。
【0005】
近年、ネマチック液晶組成物に光学活性化合物を多量(10〜30重量%程度)に添加したコレステリック液晶組成物を用い、コレステリック液晶が液晶材料の平均屈折率とヘリカルピッチ長との積の波長の光を選択反射する現象を利用した反射コレステリック型液晶素子が注目されている。この反射コレステリック型液晶素子は、偏光板およびカラーフィルターを必要としないため光の利用効率が高い。また、表示状態が保持される(メモリー性)ため、電圧の印加は表示の切り替え(書き込み)時のみでよく、低消費電力であるという特長も持っている。しかし、光学活性化合物を多量に添加するため、コレステリック液晶組成物の粘度は大きく、そのために応答速度が遅い、駆動電圧が高いなどの問題がある。これらの問題を解決するためには、既述の特開平10−251185号公報に開示される光学活性化合物以上にらせん誘起力が大きく、少量の添加でも目的のヘリカルピッチ長が得られる光学活性化合物が要求されている。
【0006】
さらに、実用可能な液晶組成物の多くは、室温付近にネマチック相を有する化合物と、室温より高い温度領域にネマチック相を有する化合物とを、それぞれ1種以上混合して調整されている。また、最近では液晶電気光学素子の応用製品の多様化に伴い、動作温度範囲を高温側に拡大した液晶化合物が必要とされ、このため、特に液晶相から等方相への転移温度[以下透明点(Tc)と記す]の高い液晶組成物が要求されている。
そこで、液晶組成物に添加した際に液晶組成物の透明点(Tc)を低下させない光学活性化合物が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の問題点を解決すべく新規な化合物を提供するものであり、下式(1)
1-A1-C*HX-Y-A2-Z1-A3-Z2-A4-R2 …(1)
(ただし、式(1)中の記号は、
*:不斉炭素原子、
1:非置換の1,4−フェニレン基、1個以上のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基または非置換の2,6−ナフチレン基、
2、A3、A4:相互に独立して、非置換の1,4−フェニレン基、1個以上のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基または非置換のトランス−1,4−シクロへキシレン基、
1:水素原子、
2:炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、1個以上のハロゲン原子を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子またはシアノ基(ただし、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または1個以上のハロゲン原子を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である場合には、該基中の炭素−炭素結合間および/または該基と環とを連結する炭素−炭素結合間に、エーテル性の酸素原子(−O−)および/またはエステル結合(−COO−および/または−OCO−)が挿入されていてもよい)、
X:−F、−CH3、−CH2F、−CHF2または−CF3
Y:−CH2−、
1、Z2:相互に独立して、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2−または単結合、を表す。
ただし、A2が非置換の1,4−フェニレン基または1個以上のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基であり、かつ、A3およびA4が共にトランス−1,4−シクロへキシレン基であり、かつ、Z1が単結合の場合は、Z2は、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−または単結合である。)で表される光学活性化合物(但し、Ph−C*H(CH3)−CH2−Ph−Cy−Cy−C37、および、Ph−C*H(CH3)−CH2−Cy−Cy−Cy−C37で表わされる化合物(Phは非置換の1,4−フェニレン基を表し、Cyは非置換のトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表す。)を除く)を提供するものである。
【0008】
ここで前記光学活性化合物は、式(1)において、A1が非置換の1,4−フェニレン基または1〜2個のフッ素原子を有する1,4−フェニレン基であり、かつ、Xが−CH3であり、かつ、Yが−CH2−であることが好ましい。
【0009】
さらに、式(1)において、A2、A3、A4が相互に独立して、非置換の1,4−フェニレン基、1〜2個のフッ素原子を有する1,4−フェニレン基または非置換のトランス−1,4−シクロへキシレン基であり、かつ、Z1、Z2が相互に独立して、−COO−、−CH2CH2−または単結合であることが好ましい。
【0010】
加えて、式(1)において、A4が1〜2個のフッ素原子を有する1,4−フェニレン基であり、かつ、R2がシアノ基であるか、または式(1)において、A2が1〜2個のフッ素原子を有する1,4−フェニレン基であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、前記光学活性化合物のうち少なくとも一種を含有する液晶組成物、および該液晶組成物を電極付の基板間に挟持してなる液晶電気光学素子を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光学活性化合物は新規な化合物である。該化合物は、らせん誘起力が大きいことから少量の添加量で所望のピッチ長が得られる。また、液晶組成物に添加した際にも液晶組成物の透明点(Tc)を低下させない光学活性化合物である。
このような光学活性化合物を含有する本発明の液晶組成物を用いた液晶電気光学素子は、応答速度が高く、動作温度範囲が広く、表示品位の優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の光学活性化合物は、下式(1)で表される光学活性化合物[以下光学活性化合物(1)ともいう]である。
1-A1-C*HX-Y-A2-Z1-A3-Z2-A4-R2 …(1)
(ただし、式(1)中の記号は、
*:不斉炭素原子、
1:非置換の1,4−フェニレン基、1個以上のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基または非置換の2,6−ナフチレン基、
2、A3、A4:相互に独立して、非置換の1,4−フェニレン基、1個以上のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基または非置換のトランス−1,4−シクロへキシレン基、
1:水素原子、
2:炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、1個以上のハロゲン原子を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子またはシアノ基(ただし、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または1個以上のハロゲン原子を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である場合には、該基中の炭素−炭素結合間および/または該基と環とを連結する炭素−炭素結合間に、エーテル性の酸素原子(−O−)および/またはエステル結合(−COO−および/または−OCO−)が挿入されていてもよい)、
X:−F、−CH3、−CH2F、−CHF2または−CF3
Y:−CH2−、
1、Z2:相互に独立して、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2−または単結合、を表す。
ただし、A2が非置換の1,4−フェニレン基または1個以上のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基であり、かつ、A3およびA4が共にトランス−1,4−シクロへキシレン基であり、かつ、Z1が単結合の場合は、Z2は、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−または単結合である。)
【0014】
本発明の光学活性化合物(1)は4環構造であり、さらに不斉炭素原子C*と環基A1とが直接結合することで透明点(Tc)が非常に高いにもかかわらず、低粘性でらせん誘起力の大きいといった優れた特徴を有している。また、光学活性化合物(1)は化学的にも安定であり、他の液晶性または非液晶性化合物との相溶性も優れている。
【0015】
本発明の光学活性化合物(1)は、具体的には以下に示すような化合物が好適である。式中の記号*のついた炭素原子は不斉炭素原子を表し、その絶対配置はRであってもSであってもよい。R1、R2、X、Y、Z1、Z2は式(1)のものと同一の意味を表す。式中の1,4−シクロへキシレン基の立体配置はトランスである。式中の記号(Hal) は非置換または1個以上のハロゲン原子が置換していることを表し、2個以上のハロゲン原子が置換した場合には、そのハロゲン原子が同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。1個以上のハロゲン原子が置換した場合にその置換位置を表すために便宜的に下図のように置換位置を定義する。
【0016】
【化2】

【0017】
化合物例としては以下のものが好ましく挙げられる。
【化3】

【0018】
本発明のこれらの光学活性化合物はいずれも大きならせん誘起力を有すると同時に、透明点(Tc)も非常に高く、さらに低粘性である。また、化学的にも安定であり、他の液晶性または非液晶性化合物等の他の化合物との相溶性にも優れる。
【0019】
液晶電気光学素子の駆動電圧を下げるために、特に大きな正の誘電率異方性を有する液晶組成物を製造する場合には、大きな誘電率異方性を有する化合物を用いる。このような目的は、R2をハロゲン原子またはシアノ基とする、かつ/または、A1、A2、A3、A4のうち少なくとも一つを1または2個のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基とすることで達成できる。この際に、R2がハロゲン原子またはシアノ基である場合には、A1、A2、A3、A4のうち少なくとも一つが、その3位および/または5位にハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基であることが好ましい。
【0020】
液晶化合物の分子長軸方向に平行な電界を印加して駆動する液晶電気光学素子に用いる液晶組成物には負の誘電率異方性を有する化合物を用いる。負の誘電率異方性を有する化合物は、A1、A2、A3、A4のうち少なくとも一つが、その2位および/または3位にハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基を導入することで達成できる。
【0021】
液晶電気光学素子に用いられる液晶組成物には、幾種類かの液晶性または非液晶性化合物を混合して用いる。したがって、光学活性化合物は他の液晶性または非液晶性化合物との相溶性が良好であることが求められる。本発明の光学活性化合物(1)は、いずれも他の液晶性または非液晶性化合物との相溶性に優れているが、A1、A2、A3、A4のうち少なくとも一つをハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基とすることにより、さらに相溶性を向上させることができる。
【0022】
液晶組成物に光学活性化合物を添加した時に誘起されるヘリカルピッチ長は、化合物固有のらせん誘起力によって決まる。前述のように、多量の光学活性化合物の添加は液晶材料の性能を低下させることから、添加量を少なくするために光学活性化合物にはらせん誘起力の大きいことが求められる。
本発明の光学活性化合物(1)はいずれも大きならせん誘起力を有するが、A1および/またはA2を1個以上のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基とすることにより、さらにらせん誘起力を大きくすることができる。この際に、A1は3位および/または5位にハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基とすることが好ましく、A2は2位および/または6位にハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基とすることが好ましい。
【0023】
1、A2、A3、A4がそれぞれ1個以上のハロゲン原子を有する場合は、ハロゲン原子としては塩素原子および/またはフッ素原子が好ましく、特に1〜3個のフッ素原子を有することが好ましい。
2がハロゲン原子である場合は、塩素原子、臭素原子またはフッ素原子が好ましく、特に塩素原子またはフッ素原子が好ましい。
【0024】
1は水素原子である。
2は、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、1個以上のハロゲン原子を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
2の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としては、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基が好ましい。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソブチル基、1−メチル−へプチル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアルケニル基としては、該基中の炭素−炭素2重結合がトランス結合であるのが好ましく、特に3−ブテニル基または3−トランス−ペンテニル基が好ましい。
また、1個以上のハロゲン原子を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としては、前記脂肪族炭化水素基中の水素原子の1個以上がハロゲン原子に置換された基が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子および/またはフッ素原子が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
【0025】
2が、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または1個以上のハロゲン原子を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である場合には、該基中の炭素−炭素結合間および/または、該基と環とを連結する炭素−炭素結合間にはエーテル性の酸素原子(−O−)および/またはエステル結合(−COO−および/または−OCO−)が挿入されていてもよい。エーテル性の酸素原子および/またはエステル結合が挿入された基としては、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルコキシアルキル基、ペルフルオロアルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基またはアルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0026】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、へプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、イソブトキシ基および1−メチル−へプチルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−プロポキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ペンチルオキシエチル基、2−イソブトキシエチル基、2−(1−メチル−へプチルオキシ)エチル基、4−メトキシブチル基、4−エトキシブチル基、4−プロポキシブチル基、4−ブトキシブチル基および4−ペンチルオキシブチル基等が挙げられる。
アルコキシアルコキシ基としては、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−プロポキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ペンチルオキシエトキシ基、2−イソブトキシエトキシ基、2−(1−メチル−へプチルオキシ)エトキシ基、4−メトキシブトキシ基、4−エトキシブトキシ基、4−プロポキシブトキシ基、4−ブトキシブトキシ基および4−ペンチルオキシブトキシ基等が挙げられる。
【0027】
また、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または1個以上のハロゲン原子を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基が分岐構造である場合、これらの基中には不斉炭素原子を含んでいてもよく、該不斉炭素原子には、フッ素原子、塩素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基等が結合しているのが好ましい。
【0028】
また、Xは、−F、−CH3または−CF3が合成が容易であることから好ましく、Yは、特に大きならせん誘起力が得られることから−CH2−が好ましい。
さらに、Z1、Z2は、相互に独立して、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−または単結合が好ましい。
【0029】
これらの光学活性化合物(1)の中でも、(a)A1が非置換の1,4−フェニレン基または1〜2個のフッ素原子を有する1,4−フェニレン基であり、かつ、Xが−CH3であり、かつ、Yが−CH2−である光学活性化合物は、特に低粘性で、らせん誘起力が大きいことから特に好ましい態様の一つである。
【0030】
また、(a)に加えて、(b)A2、A3、A4が相互に独立して、非置換の1,4−フェニレン基、1〜2個のフッ素原子を有する1,4−フェニレン基または非置換のトランス−1,4−シクロへキシレン基であり、かつ、Z1、Z2が相互に独立して、−COO−、−CH2CH2−または単結合である光学活性化合物は、低粘性で、らせん誘起力が大きいことから特に好ましい態様の一つである。
【0031】
さらに、(a),(b)に加えて、(c)A4が1〜2個のフッ素原子を有する1,4−フェニレン基であり、かつ、R2がシアノ基である光学活性化合物は、大きな正の誘電率異方性をもつため、液晶電気光学素子の駆動電圧を下げるのに有効であることから特に好ましい態様の一つである。
【0032】
または、(a),(b)に加えて、A2が1〜2個のフッ素原子を有する1,4−フェニレン基である光学活性化合物は、特にらせん誘起力が大きいことから特に好ましい態様の一つである。
【0033】
ただし、本発明の光学活性化合物(1)において、A1、A2が非置換の1,4−フェニレン基であり、かつ、A3、A4が非置換のトランス−1,4−シクロヘキシレン基であり、かつ、Z1、Z2が単結合であり、かつ、XがCH3であり、かつ、Yが−CH2−であり、R1が水素原子であり、R2が炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアルケニル基または水素原子である場合、または、A1が非置換の1,4−フェニレン基であり、かつ、A2、A3、A4が非置換のトランス−1,4−シクロヘキシレン基であり、かつ、Z1、Z2が単結合であり、かつ、Xが−CH3であり、かつ、Yが−CH2−であり、R1、R2が炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアルケニル基または水素原子である場合は除くこととするのがよい。
【0034】
このような光学活性化合物(1)は、化学的にも安定であり、他の液晶性または非液晶性等の化合物との相溶性に優れることから、これらの化合物と混合して液晶組成物とすることができ、該液晶組成物の粘性を上げることなく、さらに透明点(Tc)を高くすることができる。そのため該液晶組成物は、応答速度が速く、動作温度範囲が広い液晶電気光学素子を製作する上で優れた組成物である。
【0035】
液晶組成物とする場合には、通常は、本発明の光学活性化合物(1)のうち少なくとも一種を、他の液晶性化合物および/または非液晶性化合物[以下、他の液晶性化合物と非液晶性化合物とを総称して他の化合物ともいう]に含有させる。液晶組成物中の光学活性化合物(1)の量は、用途、使用目的、他の化合物の種類等によって適宜変更され得るが、通常の場合には、液晶組成物の100質量部中に0.1〜50質量部が好ましく、特に0.1〜20質量部が好ましい。
【0036】
液晶組成物とする場合の他の化合物としては、用途や要求性能等によって適宜変更できるが、通常は、液晶性化合物および該液晶性化合物と類似構造を有する主成分と、必要に応じた添加成分とからなるものが好ましい。
光学活性化合物(1)を含有する液晶組成物において、組成物に含ませる他の化合物としては、例えば以下のようなものがある。なお、以下の式でのPhは1,4−フェニレン基を表し、Cyはトランス−1,4−シクロへキシレン基を表し、PhF2CNは3,5−ジフルオロ−4−シアノフェニル基を表し、R3およびR4は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基等の基を表す。また、R3およびR4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0037】
3-Cy-Cy-R4
3-Cy-Ph-R4
3-Cy-PhF2CN
3-Ph-Ph-R4
3-Ph-C≡C-Ph-R4
3-Cy-COO-Ph-R4
3-Cy-COO-PhF2CN
3-Ph-COO-Ph-R4
3-Ph-COO-PhF2CN
3-Cy-CH=CH-Ph-R4
3-Ph-CH=CH-Ph-R4
3-Ph-CF=CF-Ph-R4
3-Cy-CF=CF-Ph-R4
3-Cy-CF=CF-Cy-R4
3-Cy-Ph-CF=CF-Ph-R4
3-Cy-Ph-CF=CF-Cy-R4
3-Ph-Cy-CF=CF-Cy-R4
3-Cy-Cy-CF=CF-Ph-R4
3-Ph-Ph-CF=CF-Ph-R4
3-Cy-CH2CH2-Ph-R4
3-Cy-Ph-CH2CH2-Ph-R4
3-Cy-Ph-CH2CH2-Cy-R4
3-Cy-Cy-CH2CH2-Ph-R4
3-Ph-CH2CH2-Ph-R4
3-Ph-Ph-CH2CH2-Ph-R4
3-Ph-Ph-CH2CH2-Cy-R4
3-Cy-Ph-Ph-R4
3-Cy-Ph-PhF2CN
3-Cy-Ph-C≡C-Ph-R4
3-Cy-Ph-C≡C-PhF2CN
3-Cy-Ph-C≡C-Ph-Cy-R4
3-Cy-CH2CH2-Ph-C≡C-Ph-R4
3-Cy-CH2CH2-Ph-C≡C-Ph-Cy-R4
3-Cy-Ph-Ph-Cy-R4
3-Ph-Ph-Ph-R4
3-Ph-Ph-C≡C-Ph-R4
3-Ph-CH2CH2-Ph-C≡C-Ph-R4
3-Ph-CH2CH2-Ph-C≡C-Ph-Cy-Ry
3-Cy-COO-Ph-Ph-R4
3-Cy-COO-Ph-PhF2CN
3-Cy-Ph-COO-Ph-R4
3-Cy-Ph-COO-PhF2CN
3-Cy-COO-Ph-COO-Ph-R4
3-Cy-COO-Ph-COO-PhF2CN
3-Ph-COO-Ph-COO-Ph-R4
3-Ph-COO-Ph-OCO-Ph-R4
3-Cy-CH2CH2-PhF2CN
3-Ph-CH2CH2-PhF2CN
3-Ph-Cy-CH2CH2-PhF2CN
3-Cy-Ph-CH2CH2-PhF2CN
3-Cy-Cy-CH2CH2-PhF2CN
3-Ph-C*HX-CH2-Ph-R4
3-Ph-C*HX-CH2-Cy-R4
3-Ph-C*HX-CH2-Ph-Cy-R4
3-Ph-C*HX-CH2-Cy-Ph-R4
3-Ph-C*HX-CH2-Ph-Ph-R4
【0038】
なお、これらの化合物は単なる例示であり、該化合物中の環構造または末端基R3、R4に存在する水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基、メチル基等に置換されていてもよい。また、トランス−1,4−シクロヘキシレン基や1,4−フェニレン基が他の六員環、五員環、例えばピリミジン環、ジオキサン環等に置換されていてもよく、環と環との間の結合基が他の2価の結合基等に置換されていてもよく、これらは所望の性能に合わせて種々の化合物を選択使用すればよい。また、光学活性化合物(1)は他の化合物との相溶性に優れるため、液晶組成物中の光学活性化合物(1)の濃度を低濃度から高濃度まで自由に調節できる。
【0039】
このような本発明の液晶組成物は、液晶セルに注入する等して、電極付の基板間に挟持して、ツイストネマチック方式、ゲスト・ホスト方式、動的散乱方式、フェーズチェンジ方式、DAP方式、二周波駆動方式、強誘電性液晶表示方式または反射コレステリック液晶表示方式等の種々のモードの液晶電気光学素子として使用することができる。
【0040】
液晶電気光学素子の製造方法としては、基本的には以下の方法が挙げられる。すなわち、プラスチック、ガラス等の基板上に、必要に応じてSiO2、Al23等のアンダーコート層やカラーフィルタ層を形成し、In23−SnO2(ITO)、SnO2等の電極を設け、パターニングした後、必要に応じてポリイミド、ポリアミド、SiO2、Al23等のオーバーコート層を形成し、配向処理し、これにシール材を印刷し、電極面が相対向するように配して周辺をシールし、シール材を硬化して空セルを形成する。
この空セルに、本発明の液晶組成物を注入し、注入口を封止剤で封止して液晶セルを構成する。この液晶セルに必要に応じて偏光板、カラー偏光板、光源、カラーフィルタ、半透過反射板、反射板、導光板、紫外線カットフィルタ等を積層する、文字、図形等を印刷する、ノングレア加工するなどして液晶電気光学素子が製造される。
【0041】
本発明の光学活性化合物(1)はらせん誘起力が大きいため、液晶組成物に添加する際に、従来の光学活性化合物より少量の添加で目的とするらせんピッチを持つ液晶組成物が得られる。
そのため該液晶組成物を用いてTN型またはSTN型液晶電気光学素子とした場合には、均一なツイスト配向を達成でき、反射コレステリック型液晶電気光学素子とした場合には、目的とする反射波長が得られる。
本発明の光学活性化合物(1)を含む液晶組成物は、アクティブマトリクス素子、高分子分散型液晶素子、多色性色素を用いたGH型液晶素子、強誘電性液晶素子等の種々の方式の液晶電気光学素子としても使用できる。また、調光素子、調光窓、光シャッタ、偏光交換素子、可変焦点レンズ、光学カラーフィルタ、着色フィルム、光学記録素子、温度指示計等の表示用途以外にも使用できる。
【0042】
本発明の光学活性化合物(1)は、次の方法に従って工業的に容易に製造することができる。なお、各式中、C*、A1、A2、A3、A4、R1、R2、Z1、Z2、X、Yに関しては、それぞれ前記の意味を持つ。
【0043】
[方法1]Yが-CH2-であり、Z1およびZ2がそれぞれ-COO-または-OCO-でない場合
【化4】

ケトン化合物(9)をトリフルオロ酢酸存在下のトリエチルシラン等の還元剤によって還元することにより目的の化合物(1)を得る。式中の光学活性化合物の光学純度は保持される。なお、式(9)において、k、lはそれぞれ0、1または2であり、k+lは2以下である。
【0044】
[方法2]Z1が-COO-の場合
【化5】

【0045】
[方法3]Z2が-COO-の場合
【化6】

【0046】
[方法4]Z1が-OCO-の場合
【化7】

【0047】
[方法5]Z2が-OCO-の場合
【化8】

ここで[方法2]、[方法3]、[方法4]および[方法5]は、それぞれ対応するカルボン酸を塩化チオニル等にて酸クロリド化して酸クロリドを得、さらにピリジン存在下でフェノールあるいはアルコールと反応させることにより目的の化合物(1)を得る。
【0048】
[方法6]A2が非置換のトランス−1,4−シクロヘキシレン基の場合
【化9】

グリニャール試薬(7)を、シクロヘキサノン誘導体(22)と反応させ、さらに塩酸中で還流することで脱水し、シクロヘキセン化合物(23)を得、次いでパラジウム炭素触媒の存在下、水素添加反応を行い、目的の化合物(1)を得る。ただし、Chは1,4−シクロヘキセニレン基を示し、O=C−は4−オキソシクロヘキシル基を示す。それぞれの反応において、式中の光学活性化合物の光学純度は保持される。
【0049】
上記の方法は、いずれも該原料の絶対配置を保持しうる方法であるため、目的とする光学活性化合物(1)の絶対配置により、適宜原料化合物を変更すればよい。なお、これらの製造法は単なる例示にすぎなく、種々の製造方法が使用できる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
〔実施例1〕
(R)−1−[4−[4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニル]フェニル]−2−フェニルプロパンの合成
【化10】

【0051】
マグネシウム25.3g(1.04mol)にテトラヒドロフラン70mlを加え撹拌しながら、エチルブロマイド9.45g(0.087mol)および、(R)−2−フェニル−1−(4−クロロフェニル)プロパン200g(0.867mol)をテトラヒドロフラン250mlに溶解した溶液を室温で30分かけて滴下し、還流下で6時間撹拌を行った。室温まで冷却した後、テトラヒドロフラン650mlを加えた。トリメトキシボラン112g(0.44mol)をテトラヒドロフラン300ml溶液に先ほどの反応液を−20℃で1時間かけて滴下し、1時間撹拌した。0℃まで昇温し3M塩酸700mlを滴下し、同温にて1時間撹拌した。この反応液からトルエンで抽出後、水洗、乾燥を行い溶媒を留去した。得られた残渣と1−ブロモ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン238g(0.845mol)の1,2−ジメトキシエタン800ml溶液に、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム19.5g(16.9mmol)、および炭酸ナトリウム260g(2.45mol)の水1160ml溶液を加え還流下で3時間撹拌した。室温まで冷却し、トルエンを加え分液した有機層を水洗、乾燥、溶媒留去、再結晶およびシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し目的とする(R)−1−[4−[4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニル]フェニル]−2−フェニルプロパン240gを得た。融点:93.8℃,TSI:130.8℃,MS m/e:396(M+)
【0052】
〔実施例2〕
(S)−3,5−ジフルオロ−4−シアノフェニル=2,6−ジフルオロ−4−[4−(2−フェニルプロピル)フェニル]ベンゾエートの合成
【化11】

【0053】
(S)−2,6−ジフルオロ−4−[4−(2−フェニルプロピル)フェニル]ベンゾイルクロライド37.0g(0.10mol)と2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシベンゾニトリル15.5g(0.10mol)のトルエン150ml溶液にピリジン9.5g(0.12mol)を室温で1時間かけて滴下し、同温にて一晩撹拌した。反応液に1M塩酸100mlを滴下し、同温にて1時間撹拌した。この溶液を分液し、有機層を水洗、乾燥、溶媒留去、再結晶およびシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し目的とする(S)−3,5−ジフルオロ−4−シアノフェニル=2,6−ジフルオロ−4−[4−(2−フェニルプロピル)フェニル]ベンゾエート40.1gを得た。融点:111.5℃,MS m/e:489(M+)
【0054】
〔実施例3〕
(S)−1−[2,6−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]−2−フェニルプロパンの合成
【化12】

【0055】
1−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−3,5−ジフルオロベンゼン10g(0.031mol)のテトラヒドロフラン50ml溶液にn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.6M,0.041mol)を−60℃で1時間かけて滴下し、同温にて2時間撹拌した。続いて、塩化亜鉛5.5g(0.041mol)のテトラヒドロフラン30ml溶液を−60℃にて2時間かけて滴下し、室温にて1時間撹拌した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.72g(0.62mmol)を加えた後、(R)−2−フェニルプロピオニルクロライド4.7g(0.041mol)のテトラヒドロフラン10ml溶液を室温で1時間かけて滴下し、室温にて一晩撹拌した。反応溶液に室温にて1M塩酸43mlを滴下し、同温にて1時間撹拌した。この溶液からトルエンで抽出後、水洗、乾燥、溶媒留去、再結晶を行い(R)−1−[2,6−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]−2−フェニル−1−プロパノン4.1gを得た。
【0056】
続いて、(R)−1−[2,6−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]−2−フェニル−1−プロパノン4.1g(9.1mmol)の1,2−ジクロロエタン8ml溶液にトリフルオロ酢酸5mlとトリエチルシラン2.6g(23mmol)を室温にて加え60℃にて10時間撹拌した。この反応液を5%水酸化ナトリウム溶液200mlに注ぎトルエンで抽出後、水洗、乾燥、溶媒留去、再結晶およびシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し目的とする(S)−1−[2,6−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]−2−フェニルプロパン2.5gを得た。融点:93.7℃,MS m/e:438(M+)
同様の方法で以下の各化合物を得た。
【0057】
【化13】

【0058】
【化14】

【0059】
【化15】

【0060】
【化16】

【0061】
【化17】

【0062】
【化18】

【0063】
【化19】

【0064】
【化20】

【0065】
【化21】

【0066】
【化22】

【0067】
【化23】

【0068】
【化24】

【0069】
【化25】

【0070】
【化26】

【0071】
【化27】

【0072】
【化28】

【0073】
【化29】

【0074】
【化30】

【0075】
【化31】

【0076】
【化32】

【0077】
【化33】

【0078】
【化34】

【0079】
【化35】

【0080】
【化36】

【0081】
【化37】

【0082】
【化38】

【0083】
【化39】

【0084】
【化40】

【0085】
【化41】

【0086】
【化42】

【0087】
【化43】

【0088】
【化44】

【0089】
【化45】

【0090】
【化46】

【0091】
【化47】

【0092】
【化48】

【0093】
【化49】

【0094】
【化50】

【0095】
【化51】

【0096】
【化52】

【0097】
【化53】

【0098】
【化54】

【0099】
【化55】

【0100】
【化56】

【0101】
〔実施例4〕
メルク社製液晶組成物ZLI−1565の95質量部に対して、(S)−1−[2,6−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]−2−フェニルプロパンを5質量部を加えて得た液晶組成物について、透明点(Tc,単位:℃)、動粘度(η,25℃,単位:cst)を測定した。また、メルク社製液晶組成物ZLI−1565の100質量部に対して、(S)−1−[2,6−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル]−2−フェニルプロパンを1質量部を加えて得た液晶組成物についてヘリカルピッチ長(P,25℃,単位:μm)を測定した。同様に、(R)−1−[4−[4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニル]フェニル]−2−フェニルプロパンについてもTc、η、およびPを測定した。結果を表1に示す。ここで、メルク社製液晶組成物ZLI−1565のTcは86.0℃でηは15.7cstであった。比較例としてR−811の結果を表1に示す。
【0102】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(1)で表される光学活性化合物(但し、Ph−C*H(CH3)−CH2−Ph−Cy−Cy−C37、および、Ph−C*H(CH3)−CH2−Cy−Cy−Cy−C37で表わされる化合物を除く)。
1-A1-C*HX-Y-A2-Z1-A3-Z2-A4-R2 …(1)
(ただし、式(1)中の記号は、
*:不斉炭素原子、
1:非置換の1,4−フェニレン基、1個以上のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基または非置換の2,6−ナフチレン基、
2、A3、A4:相互に独立して、非置換の1,4−フェニレン基、1個以上のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基または非置換のトランス−1,4−シクロへキシレン基、
1:水素原子、
2:炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、1個以上のハロゲン原子を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子またはシアノ基(ただし、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基または1個以上のハロゲン原子を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である場合には、該基中の炭素−炭素結合間および/または該基と環とを連結する炭素−炭素結合間に、エーテル性の酸素原子(−O−)および/またはエステル結合(−COO−および/または−OCO−)が挿入されていてもよい)、
X:−F、−CH3、−CH2F、−CHF2または−CF3
Y:−CH2−、
1、Z2:相互に独立して、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2−または単結合、を表す。
ただし、A2が非置換の1,4−フェニレン基または1個以上のハロゲン原子を有する1,4−フェニレン基であり、かつ、A3およびA4が共にトランス−1,4−シクロへキシレン基であり、かつ、Z1が単結合の場合は、Z2は、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−または単結合である。
前記但書中、Phは非置換の1,4−フェニレン基を表し、Cyは非置換のトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表す。)
【請求項2】
式(1)において、A1が非置換の1,4−フェニレン基または1〜2個のフッ素原子を有する1,4−フェニレン基であり、かつ、Xが−CH3であり、かつ、Yが−CH2−である請求項1に記載の光学活性化合物。
【請求項3】
式(1)において、A2、A3、A4が相互に独立して、非置換の1,4−フェニレン基、1〜2個のフッ素原子を有する1,4−フェニレン基または非置換のトランス−1,4−シクロへキシレン基であり、かつ、Z 、Z が相互に独立して、−COO−、−CH CH2−または単結合である請求項2に記載の光学活性化合物。
【請求項4】
式(1)において、A4が1〜2個のフッ素原子を有する1,4−フェニレン基であり、かつ、R2がシアノ基である請求項3に記載の光学活性化合物。
【請求項5】
式(1)において、A2が1〜2個のフッ素原子を有する1,4−フェニレン基である請求項3に記載の光学活性化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の光学活性化合物のうち少なくとも一種を含有する液晶組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶組成物を、電極付の基板間に挟持してなる液晶電気光学素子。

【公開番号】特開2010−13432(P2010−13432A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235194(P2008−235194)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【分割の表示】特願2001−315739(P2001−315739)の分割
【原出願日】平成13年10月12日(2001.10.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(000108030)AGCセイミケミカル株式会社 (130)
【Fターム(参考)】