説明

光学測定装置及び光学測定方法

光学測定装置は、受光軸(115)を有する光学系(100)を含む。光学系(100)は、測定部位(114)に送出されるプローブ用ビームを生成する源(102)を含む。光学系の検出器(112)は、測定部位(114)から反射ビームを受信する。装置は、光学系(100)の受光軸(115)との測定部位(114)の位置合わせの程度を判定するために、検出器(112)から出力信号を受信し且つ出力信号の特徴を評価する処理リソースを更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、眼等体の一部の生理的特性を測定するために使用される種類の光学測定装置に関する。本発明は、更に、測定部位を光学的に測定する方法に関し、例えば、眼等体の一部の生理的特性を測定するために使用される種類の方法である。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は関心が高まりつつある大きな問題であり、世界中で2億3千万人以上の人がこの疾患を有している。また、若年型糖尿病、インシュリン依存型糖尿病が過去15年間にわたり倍増したことが調査により判明している。糖尿病の5歳未満の子供の数もこの20年間で5倍に増加した。
【0003】
糖尿病に関連する病状は深刻である。患者が血糖値を適切に管理しない場合に引き起こされる可能性のある身体的損傷には、失明、心疾患及び壊疽がある。従って、糖尿病の人の死亡率は、平均的な人の死亡率よりもはるかに高い。
【0004】
患者が最後に摂取した食事からの時間、摂取した食べ物の種類、運動量及び患者が病気であるか否か等の複数の要因により、患者の血糖濃度は相対的に短い時間尺度で変動する。従って、糖尿病の人は、通常、状態を監視及び制御するために日に何度も糖濃度を検査する必要がある。実際の検査方法は患者毎に異なり、医師又は患者の糖尿病管理者により個別に指示される。
【0005】
血糖濃度検査に使用される主な方法には、その後分析される血液サンプルの採取が含まれる。この検査において、患者の指又は腕を小針で刺すことで、携帯型測定器で分析するための血液が検査片に滴下する。糖濃度測定値が許容値を上回る場合、糖濃度を許容範囲内に戻すためにインシュリンを注入する必要がある。
【0006】
血糖濃度の監視に必要な検査頻度のため、患者には、通常、1日中検査を実施し、血液サンプルを自身で抽出及び分析することが求められる。上記手順により患者が体験する問題は複数ある。第1に、その技法は侵襲的であり、感染の危険を伴う。第2に、指を頻繁に刺すことにより皮膚が硬くなる。第3に、その方法は明らかに痛みを伴う。最後に、その方法に関連する消耗品のコストは高く継続的なものである。これらの問題及びその他の問題により、糖尿病人口のある特定の人々は、必要とされる頻度ほど自分自身で検査していない。これは、検査に要求される運動機能に乏しい傾向にある老人、検査自体が社会的に恥ずかしいと考える傾向にあるティーンエイジャー、検査に随伴する不快感を受け入れない傾向にある子供に特に当てはまる。
【0007】
これらの問題を克服するために、多くの無侵襲血糖濃度測定技法が提案されてきた。一般に、これらは、皮膚を介して測定することで機能するように考案されてきたが、種々の皮膚の特徴により不正確な結果を招いてきた。
【0008】
より最近では、眼がより適切な測定部位として提案されている。眼の糖の測定に可能な技法には、結膜での分光法(例えば、米国特許第6,975,892号公報)、基底部での精神物理学的測定法(例えば、米国特許第6,895,264号公報)、糖を吸収するコンタクトレンズ又は他の植込型装置(例えば、米国特許第6,980,842号公報又は米国特許出願公開第2006/0166350号)、あるいは眼の屈折矯正の測定法(例えば、米国特許第6,442,410号公報)が含まれる。
【0009】
眼の前房における房水の糖濃度の測定を伴うある特定の方法が提案されてきた。これは、個人差はあるが、この濃度と血糖濃度との間に密接な相関性があるためである。房水の測定は、偏光分析法(例えば、米国特許第A5,896,198号公報)、ラマン技法(例えば、国際公開第WOA00/02479号)、蛍光測光法(例えば、国際公開第WO2005/120334号)、分光測定法(例えば、米国特許第A5,969,815号公報)、蛍光分光法(例えば、国際公開第WO02/087429号)又は反射光測定法(例えば、米国特許第A6,236,089号公報)等の種々の手段により達成される。
【0010】
房水の糖濃度を測定する別の望ましい方法は、房水の屈折率の測定を伴う。これは、屈折率と糖濃度との間の相関性が高いためである。この点において、米国特許第3,963,019号公報、米国特許第6,152,875号公報、国際公開第WO03/025562号、国際公開第WO05/044099号及び国際公開第WO05/058152号では、房水の屈折率の測定に関連する種々の技法が説明される。
【0011】
また、患者又はオペレータの眼に位置合わせされる器具を必要とする他の測定法が多数ある。一例として、レーザー光線近視(LASIK)手術をより安全に行なうために、角膜の厚さ及び形状を測定する必要がある(例えば、米国特許第6,585,723号公報及び米国特許出願公開第2004/0080759号で説明されるように)。角膜中心厚(CCT)、前房深度(ACD)、角膜曲率及び/又は眼の軸方向の長さ等、眼の特徴を測定する間も患者の眼への位置合わせが必要である。
【0012】
上記全ての場合において、測定適合度は、測定器と患者の眼との位置合わせのばらつきにより損なわれる。また、患者は、測定器を個人で適切に使用するために、臨床医を介さずに自身で測定器を使用し、位置合わせできることが重要である。一方、位置合わせが正確であるという確証は、臨床医にとって望ましい。
【0013】
更に、無侵襲的に眼の糖濃度及び他のパラメータを測定する際、必ずしも眼への位置合わせが適切に達成できるとは限らない場合もある。
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1の態様によると、光学系を備える光学測定装置であって、光学系は、使用時にプローブ用ビームを生成するように構成される光源と、使用時に測定部位からの反射ビームを受信するように構成される検出器と、受光光軸軸とを含み、光学系は使用時にプローブ用ビームを測定部位に送出するように構成され、光学系は検出器に動作可能に連結され且つ使用時に検出器により生成される出力の特徴を評価できる処理リソースを更に含み、出力の特徴の評価は、光学系の受光軸との測定部位の位置合わせの程度の評価に対応する光学系測定装置が提供される。。
【0015】
測定部位は、眼の特徴部位であってもよい。
【0016】
特徴の評価は、出力の特徴の定量的評価であってもよい。
【0017】
特徴の評価は、出力の特徴の定性的評価であってもよい。
【0018】
出力の特徴の評価は、測定されるパラメータの評価であってもよく、出力の特徴に対応してもよい。
【0019】
処理リソースは、受光軸との測定部位の位置合わせの程度を示し且つ出力の特徴の評価に基づくフィードバック情報を提供するように構成されてもよい。
【0020】
眼は第1の軸及び第2の軸を有してもよく、処理リソースは、受光軸との第2の軸の位置合わせを達成するために、受光軸との第1の軸の位置合わせ不良を取得するフィードバックを提供するように構成される。
【0021】
フィードバック情報は、位置合わせの可聴表示又は視覚表示であってもよい。
【0022】
プローブ用ビームは眼に不可視であってもよい。
【0023】
処理リソースは、反射ビームに対して測定し且つ出力の特徴の第1の測定値を生成するように構成されてもよい。
【0024】
出力の特徴の測定値はフィードバック情報を構成してもよい。
【0025】
出力の特徴の第1の測定値は、ピーク発光強度、テール発光強度、ピーク幅、テール幅、ピークの数、ピークの形状、ピークの場所及び/又はピーク間の距離の1つ以上に関連してもよい。測定値は、任意の数学関数、例えばプロファイルの積分又はプロファイルの微分等の積分又は微分であってもよい。
【0026】
処理リソースは、出力の別の特徴の第2の測定値を生成するように構成されてもよい。
【0027】
第1の測定値は、光学系との測定部位の位置合わせの程度を大まかに示すために使用されてもよい。
【0028】
第2の測定値は、光学系との測定部位の位置合わせの程度を精細に示すために使用されてもよい。
【0029】
装置は、光学系との実質的に最適な位置合わせの状態に対応するデータを格納する記憶装置を更に具備してもよい。
【0030】
検出器の出力は、測定部位に対するプローブ用ビームの反射に対応する信号プロファイルを有してもよい。
【0031】
装置は、プロファイルの少なくとも一部に対応する参照プロファイルデータ及び/又はそれに関する参照特徴データを格納する記憶装置を更に具備し、参照プロファイルデータ及び/又は参照特徴データは、光学系との位置合わせの状態に対応する。
【0032】
処理リソースは、測定される出力に対する信号プロファイル及び/又はそれに関する特徴データの少なくとも一部と格納される参照プロファイルデータ及び/又は格納される参照特徴データとの比較に基づいて評価するように構成されてもよい。
【0033】
検出器の出力は、それぞれがプローブ用ビームの反射の数に対応する複数のプロファイル及び/又は特徴を含むトレースであってもよい。
【0034】
反射の数は、互いに対して位置合わせ不良である測定部位及び別の測定部位からの第1の反射を含んでもよい。
【0035】
信号プロファイル又はトレースは、プローブ用ビームを使用してある期間にわたり一連のプロファイル又はトレースを複数取得し且つ一連のプロファイル又はトレースに対応する複数の出力信号を処理することにより生成されてもよい。
【0036】
複数の出力信号の処理は、所定の位置合わせの程度の閾値規則に適合しない位置合わせの程度をそれぞれ有する任意の出力信号を破棄するように、複数の出力信号をフィルタリングすることを含んでもよい。
【0037】
複数の出力信号の処理は、複数の出力信号から破棄されない出力信号を平均化することを含んでもよい。
【0038】
生理的な体の一部は測定部位を含んでもよい。生理的な体の一部は眼であってもよい。
【0039】
本発明の第2の態様によると、プローブ用ビームを生成することと、プローブ用ビームを測定部位に送出することと、受光軸を有する光学系を介して測定部位からの反射ビームを受信することと、光学系の受光軸との測定部位の位置合わせの程度を判定するために反射ビームに対応する出力信号の特徴を評価することとから成る光学測定方法が提供される。
【0040】
本発明の第3の態様によると、本発明の第2の態様に関連して上述されたような方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム要素が提供される。
【0041】
コンピュータプログラム要素は、コンピュータ可読媒体上で具体化されてもよい。
【0042】
従って、測定装置を眼の表面等の測定部位と位置合わせする装置及び方法を提供すること、並びに/あるいは眼の他の特性、例えば眼の各表面の場所又は眼の構成要素の厚さ又は場所、あるいは眼に可視である医療条件を測定するために使用される自然発生する化学物質及び意図的に添加される化学物質の双方を含む眼の他の化合物の濃度を判定するように位置合わせ不良を補正することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
次に、添付の図面を参照して、本発明の少なくとも1つの実施形態を単なる一例として説明する。
【図1】本発明の一実施形態を構成する装置示す概略図である。
【図2】図1の検出器により生成される期待出力信号の部分を示す計算グラフである。
【図3】図1の装置を使用する位置合わせ方法を示すフローチャートである。
【図4】図1の検出器により生成されるトレースを示すグラフである。
【図5】図1の装置を使用する測定技法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下の説明全体を通して、同一の図中符号は同様の部分を識別するために使用される。
【0045】
図1を参照すると、グルコメータ等の光学測定装置は、電磁放射源102を含む光学系100を含み、近赤外光等、例えば眼には不可視の光である可視光は、眼への不快感を軽減するように使用される。放射源102の出力ウィンドウ(不図示)は、放射源102の光路に配置されるビームスプリッタ104に対して配向される。ビームスプリッタ104は、放射源102の光路を走査レンズ106に対して折り曲げるように機能する。この例において、走査レンズ106は単レンズとして示されるが、当業者であれば、レンズシステムが走査レンズ106又は任意の他の適切な光学構成として機能し、実際に測定するために走査又は無走査することを理解するだろう。走査レンズ106は、ビームスプリッタ104に近接するか又はビームスプリッタ104から離間するように直線的に平行移動できる。ビームスプリッタ104は半透明鏡であるが、当業者であれば、任意の適切な他の光学素子又は光学構成、例えば偏光ビームスプリッタ及び偏光ビームスプリッタと走査レンズ106との間に配設される1/4波長板がビームスプリッタ104の機能を実行するように採用されることを理解するだろう。
【0046】
ビームスプリッタ104が走査レンズ106と集光レンズ108との間に配置されるように、集光レンズ108はビームスプリッタ104と対向して配設される。光学測定装置は共焦システムであり、ピンホールを構成する絞り110は集光レンズ108と対向して配設され、検出器112は絞り110に隣接して配設される。この例において、検出器112はフォトダイオード(図1では不図示)を含む。別の実施形態において、例えば異なる口径の2つ以上の絞りは測定部位に関する情報を解析するために採用される。
【0047】
この実施形態において、プローブ用ビームと関連付けられる測定データは、光学系100に位置合わせする患者を誘導するフィードバック情報を提供するために使用される。フィードバック情報は、臨床医等、光学測定装置の別のオペレータにより代わりに使用されてもよい。
【0048】
従って、マイクロプロセッサ122等の処理リソースは検出器112に連結され、可聴出力モジュール又は表示装置等の出力装置124はプロセッサ122に連結される。必要に応じて、制御器モジュール又はインタフェースモジュールがプロセッサ122と出力装置124との間に配設されてもよいが、光学測定装置の出力装置124又は任意の他の適切な機能エンティティにはインタフェースモジュール及び/又は制御器モジュールが一体的に提供される。プロセッサ122は、記憶装置126、例えば電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)等の不揮発性メモリ素子にも結合される。
【0049】
動作時、光学測定装置は、英国特許出願公開第B2407378号又は英国特許出願公開第A2409033号に従って測定するように採用される。しかし、装置の動作は、信号処理レベルで変更される。この点において、プローブ用平行ビーム116は、源102により放射されて走査レンズ106に誘導され、測定部位114に集光される。
【0050】
プローブ用集光ビーム118は測定部位114で反射され、プローブ用反射集光ビーム120が走査レンズ106に入射する結果、平行反射ビーム117が得られる。平行反射ビーム117は、集光レンズ108により検出器112に集光される前にビームスプリッタ104を通過する。絞り110が測定部位114と共焦であることにより、受光領域を空間的に制限する。
【0051】
検出器112上に集光反射ビームが入射する結果、検出器112は、集光反射ビームにより検出器112が励起するのに応答して電気出力信号を生成する。
【0052】
プローブ用反射平行ビーム117は、測定部位114が位置合わせされる場合、光学系114の受光軸115との測定部位114の位置合わせの程度に依存して軸上にあるか、あるいは光軸115との測定部位114の位置合わせ(又は位置合わせ不良)の程度に依存して量を変動させることにより軸外にあることが理解されるべきである。
【0053】
その結果、図2を参照すると、電気出力信号は、光軸115との測定部位114の位置合わせの程度に依存して変動する。この点において、出力信号の一部分は、測定部位114と関連付けられ且つ検出器112に入射するプローブ用集光反射ビームに応答して生成される応答を構成する。応答は、光軸115との測定部位114の位置合わせの程度と共に変動するある特定の特徴を有する信号プロファイルを有する。検出器112に入射する複数の反射により、検出器112が出力信号を生成する場合、出力信号は、経時変動するか、距離の関数として変動するか又は任意の他の特徴に関連する変動信号である。
【0054】
1つ以上の特徴を評価することで位置合わせの程度が表示される。この例において、評価対象の特徴に対応する1つ以上のパラメータ、例えばプロファイルのピーク発光強度、プロファイルのテール発光強度、プロファイルのピーク幅、プロファイルのテール幅、トレース中のピークの数、ピークの形状、ピークの場所、トレースのピーク間の距離を測定することにより、評価は定性的及び/又は定量的である。積分又は微分の即時測定及び時間ベース測定の双方が可能であるように、単一トレース又は連続トレースに関連して評価される。不明な点を排除するため、プロファイルのテールを構成するプロファイルの部分は、評価のために複数の方法で規定される。例えばテールは、所定の上限と下限との曲線の最小傾斜又は最小パーセンタイル値である。テールの出発点は、所定の勾配、例えば−1が達成される点である。
【0055】
更に又はあるいは、評価は、上記パラメータに適用される1つ以上の微分関数、積分関数又は他の適切な数学関数、あるいはプロファイルのピーク又はテールの積分に基づく。動作中、プロセッサ122は、出力信号に対して測定し、測定を分析して行なわれた測定に関連する線質係数を判定する。
【0056】
較正モードにおいて、まず光学測定装置が最初に較正され、1つ以上の測定部位が光軸115と位置合わせされることが周知である場合、1つ以上の測定部位に対して1回以上測定する。この点において、1つ以上の軸上プロファイル、即ち実質的に最大の測定値、例えば軸上プロファイル200が参照のために取得される。取得されるプロファイルの1つ以上の特徴は較正中に測定され、後で比較するためにプロセッサ122がアクセス可能な記憶装置126に格納される。更に又はあるいは、プロファイルの部分及び/あるいはプロファイル又はその部分に関連する特徴は、後で比較するために参照プロファイルデータ及び/又は参照特徴データとして記憶装置126に格納される。要求に応じて、軸上プロファイル200は、経験データを採用することなくモデル化される。モデルは、多くのシステムパラメータ、例えばビームサイズ、ビーム強度、ビームプロファイル、測定されるレンズの形状及び/又は入射光の角度等の1つ以上のレンズの特徴を考慮する。
【0057】
測定モード(図3)において、測定部位114は、較正後、測定表面114を有する眼等の光学系100に提供される。当然、眼の表面は多くの測定項目の一例にすぎない。この点において、生理的な体の一部等の検査中の部位又は任意の適切な項目は、光学系100を使用して測定される。光学測定装置は、測定部位114を測定する(ステップ300)ために使用される。検出器112により生成される出力信号は、プロセッサ122により測定及び分析され(ステップ302)、出力信号を構成するピーク発光強度及び/又は第1のプロファイル202のQ因子等、1つ以上の上述の特徴パラメータが測定される。これらの測定された特徴パラメータは、対応する事前記憶される特徴パラメータと比較され(ステップ304)、測定された定性的特徴パラメータと格納された定性的特徴パラメータとの一致の近似を示すフィードバック情報を生成する(ステップ306)ために使用される。要求に応じて、1つ以上の誤差値は、1つ以上の誤差値を入力値として有する関数により生成される比較及びフィードバック情報の結果として計算される。
【0058】
出力装置124は、フィードバック情報を受信し(ステップ308)、例えば画像表現等の可聴フィードバック信号、視覚フィードバックのようなフィードバック情報を患者又は臨床医に通信する(この例において、出力装置124は、光学系100とインタフェースする表示装置であると仮定する)。
【0059】
この第1の反復から、プロセッサ122は、第1のプロファイル202の相対的に低いピーク発光強度のために光軸115との測定部位114の位置合わせが不適切であると判定し(ステップ312)、位置合わせの程度が患者に通信され、患者は、この例において、測定部位114をより適切に位置合わせしようと眼を動かそうとする。従って、上記測定ステップ及び比較ステップ(ステップ302〜312)は、適切に位置合わせされるまで繰り返される。その結果、次にこの例において、第2のプロファイル204が光学測定装置により測定される第2の結果として取得される。この第2の反復から、測定された第2のプロファイル204の特徴は、第2のプロファイル204に対応する出力信号を使用して達成される十分に正確な後処理結果を可能にするのに十分に適し、位置合わせが適切であると仮定される(ステップ312)ため、肯定的なフィードバックが提供される。第2のプロファイル204に対して取得される測定データは、記憶装置126に格納される(ステップ314)。
【0060】
別の実施形態において、フィードバック情報は、出力信号から取得される測定データを重み付けするために使用される。更に又はあるいは、フィードバック情報は、測定されたプロファイル204に適用される事前記憶される補正率を探索するために使用される。
【0061】
更なる実施形態において、上記技法は、粗位置合わせするために第1の特徴がフィードバック情報を提供するように使用される多段位置合わせ技法に変更される。粗位置合わせされると、第2の特徴は、より精細に位置合わせするためにフィードバック情報を提供するように使用される。
【0062】
別の実施形態において、出力信号は、2つ以上のプロファイルを含むトレースである。また、トレースは、双方の角膜表面から戻る光の合計を含み、眼の接眼レンズ表面は、光学系100の光軸115との眼の位置合わせを測定するために使用される。この点において、角膜表面及び接眼レンズ表面は、当然、互いに対して回転及び横の部位の双方で位置合わせ不良であり、角膜表面及び接眼レンズの表面は、それぞれ、第1の軸及び第2の軸を有する。その結果、プロセッサ122は、種々の測定部位に対して測定することにより光学系100に対する眼全体の位置及び方向、あるいは特に角膜レンズ又は接眼レンズの位置及び方向を計算するためにこの情報を使用する。更にプロセッサ122は、光軸115を一方の第1の軸及び第2の軸と位置合わせするために、光軸115と他方の第1の軸及び第2の軸とを位置合わせ不良にするように動作する。
【0063】
この例において、測定されるトレースは、角膜レンズ表面及び接眼レンズ表面における反射に関連する多くのピークを含む(図4)。上述の較正段階をトレースに適用することにより、光学系100の光軸115との眼の種々の部位の位置合わせに対応して、軸上トレースがデータ記憶装置126に記録される。理想的なトレースが記録されると、それらは、上述の方法と同様に測定されたトレースと比較される(ステップ304)。フィードバック情報は、測定されたトレースと格納されたトレースとの適合の近似を再度示す。記憶装置126から検索される実際に格納されるトレースは、角膜表面等の特定の測定部位114に依存することが理解されるべきである。
【0064】
更に又はあるいは、プロセッサ122は、患者の動き、即ちより具体的には患者の測定部位114の動きを検出するために多くの測定を分析する。検出される動きは監視され、光軸115との測定部位114の位置合わせ及び予測される測定部位の今後の位置に関するフィードバックを間に合うように患者に提供する。従って、患者は、有益なことに、1回以上行なわれる測定の品質が十分に良いか又は悪いかだけではなく、実行される再位置合わせの結果として測定の品質が向上しているか否かも通知される。
【0065】
上記技法は、フィードバックを提供するのではなく、患者が測定部位114を含む眼を光学測定装置の光学系100に容易に提供できるようにするために使用される。光学測定装置は、位置合わせが適切である及び不適切である双方の場合に複数回測定して取得される1つ以上のプロファイルを単に拒否するか、あるいはトレースに関連して測定する場合に、1つ以上のトレースが取得されて眼との光学系100の位置合わせ不良と関連付けられる。この点において、拒否閾値が採用される。要求に応じて、拒否閾値は、上述の定性的特徴パラメータ又は定量的特徴パラメータに基づく。
【0066】
この技法の利点は、適切なデータのみが受け付けられ且つ要求される品質に達しないデータは閾値処理等により拒否され、分析に更なる時間を費やさないことである。
【0067】
更に別の実施形態(図5)において、光学系100は、複数回順次走査するように更に構成される(ステップ500)。しかし、プロセッサ122は、取得される1つ以上のプロファイルをフィルタリングするか、あるいはトレースに関連して測定する場合に、上述の任意の技法、例えば特徴パラメータの評価及び/又は事前記憶されるデータとのプロファイル/トレースの近似を使用して複数回測定することにより1つ以上のトレースが取得される。次に、プロセッサ122は、平均プロファイルを後処理(ステップ506)に従属させる前に残りの選択された測定値を平均化する(ステップ504)。例えば英国特許出願公開第B2407378号又は英国特許出願公開第A2409033号に説明されるように、平均トレースの1つ以上の面は、1つ以上の測定部位に関連付けられる1つ以上の生理的量を判定するように分析される。そのような技法は、眼の動きのばらつきを除去し、電子雑音、光電子雑音及び/又は光学雑音を軽減する。
【0068】
上記全ての技法において、標準偏差計算、最小二乗アルゴリズム又は分散計算等の
任意の適切な統計的分析は、適合性の近似を判定するために使用される。
【0069】
主に人間の眼に関して上記例を説明したが、当業者であれば、本明細書で説明される技法が任意の反射表面、例えば人間又はその他の任意の体の部分の測定に関して採用されることを理解するだろう。同様に、生理的パラメータは、体に関する上記技法を使用して測定される。生理的パラメータの一例は、血糖濃度である。
【0070】
光学測定装置は、個人使用又は臨床使用の携帯装置、例えば臨床医が存在する臨床的な環境用の携帯型装置、あるいは卓上装置、机上装置又はベンチ上装置として提供される。
【0071】
当業者は、上述の任意の位置合わせ技法において、片方の眼が位置合わせに使用され且つもう片方の眼が測定に使用されることを理解する必要がある。あるいは、両眼を位置合わせのために使用することにより被験者の快適さを向上させ、眼の動きを軽減する。
【0072】
本明細書で言及する「光」は、明確に示されない限り、約550ナノメートル〜約1400ナノメートル又は約600ナノメートル〜約1000ナノメートル等、例えば約350ナノメートル〜約2000ナノメートルの電磁スペクトルの光学範囲に関して言及することを意図する。
【0073】
本発明の他の実施形態は、例えばディスケット、CD ROM、ROM又は固定ディスク等の有形データ記憶媒体に格納される一連のコンピュータ命令であるコンピュータシステムと共に使用するコンピュータプログラム製品として実現されるか、あるいはマイクロ波又は赤外線等の有形媒体又は無線媒体を介して送信されるコンピュータデータ信号において具体化される。一連のコンピュータ命令は、上述の機能性の全て又は一部を構成し、半導体メモリ素子、磁気メモリ素子、光学メモリ素子又は他のメモリ素子等の揮発性又は不揮発性の任意のメモリ素子に格納される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を備える光学測定装置であって、前記光学系は、
使用時にプローブ用ビームを生成するように構成される光源と;
使用時に測定部位からの反射ビームを受信するように構成される検出器と;
受光軸と;
を含み、
前記光学系は、使用時に前記プローブ用ビームを前記測定部位に送出するように構成され、
前記光学系は、前記検出器に動作可能に連結され且つ使用時に前記検出器により生成される出力の特徴を評価できる処理リソースを更に含み、
前記出力の前記特徴の評価は、前記光学系の前記受光軸との前記測定部位の位置合わせの程度の評価に対応することを特徴とする光学測定装置。
【請求項2】
前記測定部位は、眼の特徴部位であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記特徴の前記評価は、前記出力の前記特徴の定量的評価であることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記特徴の前記評価は、前記出力の前記特徴の定性的評価であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記出力の前記特徴の前記評価は、測定されるパラメータの評価であり、前記出力の前記特徴に対応することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記処理リソースは、前記受光軸との前記測定部位の前記位置合わせの程度を示し且つ前記出力の前記特徴の前記評価に基づくフィードバック情報を提供するように構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
請求項2に従属する場合、前記眼は第1の軸及び第2の軸を有し、前記処理リソースは、前記受光軸との前記第2の軸の位置合わせを達成するために、前記受光軸との前記第1の軸の位置合わせ不良を取得するフィードバックを提供するように構成されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記フィードバック情報は、位置合わせの可聴表示又は視覚表示であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記プローブ用ビームは前記眼に不可視であることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記処理リソースは、前記反射ビームに対して測定し且つ前記出力の前記特徴の第1の測定値を生成するように構成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記処理リソースは、前記出力の別の特徴の第2の測定値を生成するように構成されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の測定値は、前記光学系との前記測定部位の前記位置合わせの程度を大まかに示すために使用されることを特徴とする請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記第2の測定値は、前記光学系との前記測定部位の前記位置合わせの程度を精細に示すために使用されることを特徴とする請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
前記光学系との実質的に最適な位置合わせの状態に対応するデータを格納する記憶装置を更に具備することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記検出器の前記出力は、前記測定部位に対する前記プローブ用ビームの反射に対応する信号プロファイルを有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
プロファイルの少なくとも一部に対応する参照プロファイルデータ及び/又はそれに関する参照特徴データを格納する記憶装置を更に具備し、前記参照プロファイルデータ及び/又は前記参照特徴データは、前記光学系との位置合わせの状態に対応することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記処理リソースは、前記測定される出力に対する前記信号プロファイル及び/又はそれに関する特徴データの少なくとも一部と前記格納される参照プロファイルデータ及び/又は前記格納される参照特徴データとの比較に基づいて前記評価するように構成されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記検出器の前記出力は、複数の前記プローブ用ビームの反射に各々が対応する複数のプロファイル及び/又は特徴を含むトレースであることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記反射の数は、互いに対して位置合わせ不良である前記測定部位及び別の測定部位からの第1の反射を含むことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記信号プロファイル又は前記トレースは、前記プローブ用ビームを使用してある期間にわたり一連のプロファイル又はトレースを複数取得し且つ前記一連のプロファイル又はトレースに対応する複数の出力信号を処理することにより生成されることを特徴とする請求項15乃至19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記複数の出力信号の前記処理は、所定の位置合わせの程度の閾値に適合しない位置合わせの程度をそれぞれ有する任意の出力信号を破棄するように、前記複数の出力信号をフィルタリングすることを含むことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記複数の出力信号の前記処理は、前記複数の出力信号から破棄されない出力信号を平均化することを含むことを特徴とする請求項20又は21に記載の装置。
【請求項23】
生理的な体の一部は前記測定部位を含むことを特徴とする請求項1乃至22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記生理的な体の一部は眼であることを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
プローブ用ビームを生成することと;
前記プローブ用ビームを測定部位に送出することと;
受光軸を有する光学系を介して前記測定部位からの反射ビームを受信することと;
前記光学系の前記受光軸との前記測定部位の位置合わせの程度を判定するために前記反射ビームに対応する出力信号の特徴を評価することとから成ることを特徴とする光学測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−535049(P2010−535049A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518748(P2010−518748)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050636
【国際公開番号】WO2009/016405
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(510025913)レイン アプライド ダイアノスティクス リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】LEIN APPLIED DIAGNOSTICS LIMITED
【住所又は居所原語表記】27, The Junipers, Wokingham Berkshire RG41 4UX GB
【Fターム(参考)】