説明

光学系

【課題】向上した性能を有し、小さなサイズを有する光学系を提供する。
【解決手段】物体側から像側に順次に配置される第1レンズ10、第2レンズ20、第3レンズ30、第4レンズ40、及び第5レンズ50を含み、以下の数式を満たす。1.5<n2<1.55、50<v2<70、20<v3<30、ここで、n2は第2レンズ20の屈折率であり、v2は第2レンズ20のアッベ数であり、v3は第3レンズ30のアッベ数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話機や移動通信端末機にCCDまたはCMOSのような固体撮像素子を用いたコンパクトなディジタルカメラやディジタルビデオカメラが内蔵されている。このような撮像素子は小型化する趨勢であり、これによって撮像素子に使われる光学系も高性能で、かつ小型化が求められている。
【0003】
また、従来の光学系は、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズ、フィルタ、及び受光素子を含む。この際、上記第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、及び第4レンズは、物体側から像側に順次に配置される。また、上記第1レンズ及び第3レンズは正の屈折力を有し、上記第2レンズ及び第4レンズは負の屈折力を有する。そして、上記第2レンズの屈折力が他のレンズの屈折力より大きく設計されることがある。
【0004】
上記第1レンズは物体側に凸面を有し、上記第2レンズは像側面に凹面を有することがある。上記フィルタは赤外線遮断フィルタであり、上記受光素子はCCDイメージセンサー、またはCMOSイメージセンサーでありうる。
【0005】
このような小型光学系に対し、韓国出願番号10−2007−0041825等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国出願番号10−2007−0041825
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は向上した性能を有し、小さなサイズを有する光学系を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従う光学系は、物体側から像側に順次に配置される第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズ、及び第5レンズを含み、以下の<数式1>を満たす。
【0009】
【数1】

【0010】
ここで、n2は上記第2レンズの屈折率であり、v2は上記第2レンズのアッベ数であり、v3は上記第3レンズのアッベ数である。
【0011】
一実施形態に従う光学系において、以下の<数式3>を満たすことができる。
【0012】
【数3】

【0013】
ここで、f1は上記第1レンズの有効焦点距離である。
【0014】
一実施形態において、以下の<数式4>を満たすことができる。
【0015】
【数4】

【0016】
ここで、φ1は上記第1レンズの屈折力であり、φ2は上記第2レンズの屈折力であり、φ4は上記第4レンズの屈折力である。
【0017】
一実施形態に従う光学系は、上記第1レンズ及び上記第2レンズの間に配置される絞りをさらに含むことができる。
【0018】
一実施形態において、上記第1レンズ、上記第2レンズ、及び上記第4レンズは正の屈折力を有し、上記第3レンズ及び上記第5レンズは負の屈折力を有することができる。
【0019】
一実施形態において、上記第1レンズ、上記第2レンズ、上記第3レンズ、上記第4レンズ、及び上記第5レンズの物体側面及び像側面は非球面でありうる。
【発明の効果】
【0020】
実施形態に従う光学系は、上記のように設計される時、以下の<数式2>を満たすことができる。
【0021】
【数2】

【0022】
ここで、ttlは上記第1レンズの物体側面から像面までの距離であり、Fは全体有効焦点である。
【0023】
上記のように、上記第1レンズの物体側面から像面までの距離、即ち、実施形態に従う光学系の全体距離は非常に小さい値を有することができる。
【0024】
したがって、実施形態に従う光学系は小さいサイズを有し、かつ向上した性能を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に従う小型光学系の内部構造を概略的に示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して実施形態に従う撮像レンズについて詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に従う小型光学系の内部構造を概略的に示す側断面図である。
【0028】
図1に示すように、実施形態に従う小型光学系は物体側(object side)から像側(image side)に向けて順次に、第1レンズ10、絞り15、第2レンズ20、第3レンズ30、第4レンズ40、第5レンズ50、フィルタ60、及び受光素子70を含む。
【0029】
被写体映像を獲得するために被写体の映像情報に該当する光は、上記第1レンズ10、絞り15、第2レンズ20、第3レンズ30、第4レンズ40、第5レンズ50、及びフィルタ60を通過して上記受光素子70に入射される。
【0030】
上記第1レンズ10は正(+)の屈折力(power)を有し、上記第2レンズ20は正(+)の屈折力を有し、上記第3レンズ30は負(−)の屈折力を有し、上記第4レンズ40は正(+)の屈折力を有し、上記第5レンズ50は負(−)の屈折力を有することができる。
【0031】
この際、上記第1レンズ10、上記第2レンズ20、及び上記第4レンズ40は、以下の<数式4>を満たすことができる。
【0032】
【数4】

【0033】
ここで、φ1は上記第1レンズ10の屈折力であり、φ2は上記第2レンズ20の屈折力であり、φ4は上記第4レンズ40の屈折力である。
【0034】
また、上記第1レンズ10、上記第2レンズ20、上記第3レンズ30、上記第4レンズ40、及び上記第5レンズ50は、ガラスまたはプラスチックで形成される。
【0035】
上記第1レンズ10の物体側面R1は凸形状であり、上記第1レンズ10の像側面R2は凹形状でありうる。また、上記第1レンズ10の物体側面R1及び像側面R2は非球面でありうる。また、上記第1レンズ10はメニスカス形状を有することができる。
【0036】
上記第1レンズ10の焦点距離は、次の<数式3>を満たすことができる。
【0037】
【数3】

【0038】
ここで、f1は上記第1レンズ10の有効焦点距離であり、Fは実施形態に従う小型光学系の全体焦点である。
【0039】
より詳しくは、上記第1レンズ10の焦点距離は、次の<数式5>を満たすことができる。
【0040】
【数5】

【0041】
上記第2レンズ20はメニスカス形状を有することができる。上記第2レンズ20の物体側面R4は凹形状であり、上記第2レンズ20の像側面R5は凸形状でありうる。また、上記第2レンズ20の物体側面R4及び像側面R5は非球面でありうる。
【0042】
上記第2レンズ20の屈折率(n2)は約1.5乃至約1.55でありうる。より詳しくは、d線で、上記第2レンズ20の屈折率(n2)は約1.5乃至約1.55でありうる。より詳しくは、上記第2レンズ20の屈折率(n2)は約1.54乃至約1.55でありうる。
【0043】
また、上記第2レンズ20のアッベ数(v2)は約50より大きいことがある。より詳しくは、上記第2レンズ20のアッベ数(v2)は約50乃至約70でありうる。より詳しくは、上記第2レンズ20のアッベ数(v2)は約55乃至約65でありうる。
【0044】
上記第3レンズ30は両凹形状を有することができる。上記第3レンズ30の物体側面R6は凹形状であり、上記第3レンズ30の像側面R7は凹形状でありうる。また、上記第3レンズ30の物体側面R6及び像側面R7は非球面でありうる。
【0045】
上記第3レンズ30のアッベ数(v3)は約20乃至約30でありうる。より詳しくは、上記第3レンズ30のアッベ数(v3)は約23乃至約27でありうる。
【0046】
上記第4レンズ40はメニスカス形状を有することができる。上記第4レンズ40の物体側面R8は凹形状であり、上記第4レンズ40の像側面R9は凸形状でありうる。また、上記第4レンズ40の物体側面R8及び像側面R9は非球面でありうる。
【0047】
上記第5レンズ50は少なくとも1つ以上の非球面変曲点を含んで形成される。
【0048】
この際、上記第5レンズ50の物体側面R10に1つ以上の非球面変曲点が形成される。また、上記第5レンズ50の像側面R11に1つ以上の非球面変曲点が形成される。上記第5レンズ50に形成された上記非球面変曲点は受光素子70に入射される主光線の最大射出角を調節することができる。
【0049】
像面R14である上記受光素子70がCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーの場合、各ピクセルで光量が確保される角度があり、上記角度が異なると光量が確保されなくて画面の周辺部が暗くなる現象(shading)が表れる。
【0050】
したがって、本実施形態では、上記第5レンズ50の像側面R11に非球面変曲点を形成して主光線の最大射出角を調節することによって、画面の周辺部が暗くなる現象を防止することができる。
【0051】
上記絞り15は、上記第1レンズ10及び上記第2レンズ20の間に位置して入射される光を選択的に収斂して焦点距離(focus length)を調節する機能を遂行する。
【0052】
上記フィルタ60は、赤外線遮断フィルタ60(IR cut filter)からなることができる。上記赤外線遮断フィルタ60は、外部光から放出される輻射熱が上記受光素子400に伝達されないように遮断させる機能をする。即ち、赤外線遮断フィルタ60は可視光線は透過させ、赤外線は反射させて外部に流出されるようにする構造を有する。
【0053】
そして、像が結ばれる上記受光素子70は、被写体映像に対応する光信号を電気的な信号に変換するイメージセンサーからなることができ、上記イメージセンサーはCCDまたはCMOSセンサーからなることができる。
【0054】
実施形態に従う小型光学系は、以下の<数式1>を満たすことができる。
【0055】
【数1】

【0056】
ここで、n2は上記第2レンズ20の屈折率であり、v2は上記第2レンズ20のアッベ数であり、v3は上記第3レンズ30のアッベ数である。
【0057】
また、上記<数式1>に加えて、実施形態に従う小型光学系は、以下の<数式3>をさらに満たすことができる。
【0058】
【数3】

【0059】
ここで、f1は上記第1レンズ10の有効焦点距離であり、Fは実施形態に従う小型光学系の全体有効焦点距離である。
【0060】
また、上記<数式1>及び<数式3>に加えて、実施形態に従う小型光学系は、以下の<数式4>をさらに満たすことができる。
【0061】
【数4】

【0062】
ここで、φ1は上記第1レンズ10の屈折力であり、φ2は上記第2レンズ20の屈折力であり、φ4は上記第4レンズ40の屈折力である。
【0063】
これによって、実施形態に従う小型光学系は、以下の<数式2>を満たすことができる。
【0064】
【数2】

【0065】
ここで、ttlは上記第1レンズ10の物体側面R1から像面R14までの距離であり、Fは全体有効焦点距離である。
【0066】
このように、実施形態に従う小型光学系は全体有効焦点距離を基準にして低いttlを有することができる。即ち、上記第1レンズ10の物体側面R1から像面R14までの距離、即ち実施形態に従う光学系の全体距離は非常に小さな値を有することができる。
【0067】
したがって、実施形態に従う光学系は小さいサイズを有し、かつ向上した性能を有することができる。
【0068】
実験例
実験例に従う小型光学系は、次の<表1>のような光学的特徴を有する。
【0069】
【表1】

【0070】
上記<表1>に表記した厚さは各レンズ面から次のレンズ面までの距離を表す。
以下の<表2>は実験例の非球面レンズに対する非球面係数値である。
【0071】
【表2】

【0072】
実験例の非球面レンズに対する<表2>の非球面係数値は、次の<数式6>から得ることができる。
【0073】
【数6】

Z:レンズの頂点から光軸方向への距離
C:レンズの基本曲率
Y:光軸に垂直な方向への距離
K:コーニック定数(Conic constant)
A1、A2、A3、A4、A5:非球面係数(Aspheric constant)
【0074】
このように、実験例の各レンズに対する非球面形状が決定された。
【0075】
また、実験例では以下の<表3>のように、各レンズが設計された。
【0076】
【表3】

【0077】
実験例に従う小型光学系が上記のように設計された時、次の<表4>のような性能を有することができた。
【0078】
【表4】

【0079】
このように、実験例に従う小型光学系が<数式1>及び<数式3>乃至<数式5>を満たす場合、<数式2>満たすように、ttl及びFを得ることができる。
【0080】
したがって、実施形態に従う小型光学系は、<数式1>及び<数式3>乃至<数式5>のように設計されて、小さなサイズを有し、かつ同時に向上した性能を有することができる。
【0081】
以上、本発明を好ましい実施形態をもとに説明したが、これは単なる例示であり、本発明を限定するのでない。本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内で、多様な変形及び応用が可能であることが同業者にとって明らかである。例えば、実施形態に具体的に表れた各構成要素は変形して実施することができ、このような変形及び応用にかかわる差異点も、特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に順次に配置される第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズ、及び第5レンズを含み、
以下の<数式1>を満たすことを特徴とする、光学系。
【数1】

ここで、n2は前記第2レンズの屈折率であり、v2は前記第2レンズのアッベ数であり、v3は前記第3レンズのアッベ数である。
【請求項2】
以下の<数式2>を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光学系。
【数2】

ここで、ttlは前記第1レンズの物体側面から像側面までの距離であり、Fは全体有効焦点距離である。
【請求項3】
以下の<数式3>を満たすことを特徴とする、請求項2に記載の光学系。
【数3】

ここで、f1は前記第1レンズの有効焦点距離である。
【請求項4】
以下の<数式4>を満たすことを特徴とする、請求項3に記載の光学系。
【数4】

ここで、φ1は前記第1レンズの屈折力であり、φ2は前記第2レンズの屈折力であり、φ4は前記第4レンズの屈折力である。
【請求項5】
前記第1レンズ及び前記第2レンズの間に配置される絞りをさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の光学系。
【請求項6】
前記第1レンズ、前記第2レンズ、及び前記第4レンズは正の屈折力を有し、前記第3レンズ及び前記第5レンズは負の屈折力を有することを特徴とする、請求項4に記載の光学系。
【請求項7】
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ、前記第4レンズ、及び前記第5レンズの物体側面及び像側面は非球面であることを特徴とする、請求項6に記載の光学系。
【請求項8】
前記第4レンズはメニスカス形状を含むことを特徴とする、請求項4に記載の光学系。
【請求項9】
前記第5レンズは少なくとも1つ以上の非球面変曲点を含むことを特徴とする、請求項4に記載の光学系。
【請求項10】
前記物体側から前記像側方向に前記第5レンズの次にフィルタ及び受光素子をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学系。

【図1】
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【公開番号】特開2013−54352(P2013−54352A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−188314(P2012−188314)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【出願人】(510039426)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (279)
【Fターム(参考)】