光学素子及び光スイッチ
【課題】 電気光学効果膜における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光学素子を実現する。
【解決手段】 光導波路4のコア層12において、反強誘電体相転移点に対応した所定電圧を境界としてディジタル的に屈折率が大きく変化し、当該所定電圧の前後で屈折率がほぼ一定値となることを利用して、電圧制御手段6は、当該所定電圧の前後における第1の電圧と第2の電圧との2値で光導波路4における光の屈折率を制御する。
【解決手段】 光導波路4のコア層12において、反強誘電体相転移点に対応した所定電圧を境界としてディジタル的に屈折率が大きく変化し、当該所定電圧の前後で屈折率がほぼ一定値となることを利用して、電圧制御手段6は、当該所定電圧の前後における第1の電圧と第2の電圧との2値で光導波路4における光の屈折率を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信及び光信号処理等の技術分野において用いられる光学素子及び光スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信における伝送帯域は増大の一途を辿り、波長多重化技術の進展と相俟って、高速化・大容量化が進行している。基幹通信ネットワークにおける光ファイバ網のハードウェア・インフラを構築するためには、光信号の送信先を切り替える、光スイッチが必要とされている。この光スイッチとしては、単一モードの光ファイバで利用可能であるものが必要とされている。そのためには、光の分極方向であるTEモード及びTMモードの偏光に依らずに光を交換することを要する。この要求に応えるべく、微少な鏡を動かして光を切り替える、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の機械駆動方式や、熱を加えることにより屈折率を変化させて光の進行方向を切り替える熱光学方式等が開発されてきた。
【0003】
しかしながら、これらの機械駆動方式や熱駆動方式では、光信号の送信先の切り替えに要する時間がミリ秒(msec)オーダーと比較的長く、切り替えの限界速度が遅いという問題がある。ネットワークにおける高速化は更に進んでおり、高速な光スイッチが切望されていた。
【0004】
そこで、高速に屈折率を変化させる方法として、電気光学効果を利用した方式(電気光学効果方式)がある。この電気光学効果方式を利用すれば、ナノ秒(nsec)〜マイクロ秒(μsec)オーダーの極短時間で屈折率を変化させることができるため、極めて高速に駆動する光スイッチが実現される。
【0005】
【特許文献1】特開2003−177262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気光学効果方式の光スイッチにおいて屈折率を変化させるには、光が通過する電気光学効果膜に可変の電圧を印加し、この電圧値を調節することにより屈折率を制御する。
しかしながら、光スイッチを構成する光学素子の材料、要素部分の寸法誤差、実装時の寄生容量などに起因して、電気光学効果膜への印加電圧と屈折率変化量との関係を一意に決定することができず、装置ごとに厳格な調整が必要となり、製品の歩留まり低下を惹起し、装置の更なる小型化の要請を阻害する主原因の1つとなっている。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、電気光学効果膜における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光学素子及びこの光学素子を適用した光スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光学素子は、基板と、前記基板の上方に形成されており、電気光学効果を有する少なくとも1層の反強誘電体材料からなる電気光学効果膜と、前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して前記電気光学効果膜を通過する光の屈折率を制御する電圧制御手段とを含み、前記電圧制御手段は、前記電気光学効果膜における反強誘電体相転移点となる電圧を基準値として、前記基準値よりも小さい第1の電圧と、前記基準値よりも大きい第2の電圧との2値により前記屈折率を制御する。
【0009】
本発明の光学素子は、基板と、前記基板の上方に形成されており、電気光学効果を有する少なくとも1層の反強誘電体材料からなる電気光学効果膜と、前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して前記電気光学効果膜を通過する光の屈折率を制御する電圧制御手段とを含み、印加電圧に対して略一定の屈折率となる第1の電圧領域と、印加電圧に対して屈折率が急激に変化する第2の電圧領域とを有する。
【0010】
本発明の光スイッチは、少なくとも1層の前記電気光学効果膜を有して構成された光導波路と、前記光導波路上の一端に並列して形成されており、光信号を入力する複数の入力チャネルと、前記光導波路上の他端に並列して形成されており、光信号を出力する複数の出力チャネルと、前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して、前記入力チャネルに入力した光の屈折率を制御する電圧制御手段とを含み、前記電圧制御手段は、前記電気光学効果膜における反強誘電体相転移点となる電圧を基準値として、前記基準値よりも小さい第1の電圧と、前記基準値よりも大きい第2の電圧との2値により前記屈折率を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気光学効果膜における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光学素子及びこの光学素子を適用した光スイッチが実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
−本発明の基本骨子−
本発明の基本骨子を説明するにあたり、先ず、本発明の比較例について説明する。この比較例は、言わばアナログ的性質を有する電気光学効果膜による屈折率の制御方法である。この場合、図1(a)に示すように、電気光学効果膜を有する光導波路の上下に設けられた一対の電極(図示の便宜上、上部電極のみ示す)に印加する電圧を調節する。このとき、図1(b)に示すように、連続的に変化する印加電圧に対応して連続的に変化し、各屈折率に対応した所望の出力チャネルへ出力する。このように、印加電圧に対して屈折率がアナログ的に変化し、印加電圧の微小な変化が屈折率に影響するため、光学素子の材料、要素部分の寸法誤差、実装時の寄生容量などに起因して、電気光学効果膜への印加電圧と屈折率変化量との関係を一意に決定することができない。
【0013】
そこで、印加電圧をフィードバック制御することも考えられる。
図2に示すように、上部電極を一対のプリズム電極で構成し、プリズム電極101aの電圧を高くすることにより負方向へ光を偏光し、プリズム型電極101bの電圧を高くすることでにより正方向へ光を偏光する。このように、プリズム型電極101a,101bに印加する電圧を微調整して出力位置を調節する。しかしながら、上記のようなトラッキング制御においては、2つのプリズム電極をそれぞれ制御することが必要であり、制御が複雑となることや、トラッキング制御のための微調整機構を設ける必要がある等の問題がある。
【0014】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を積み重ねた結果、電気光学効果膜の材料を反強誘電体とし、この電気光学効果膜の言わばディジタル的性質を利用して、極めて簡素な構成で電気光学効果膜における屈折率を確実に制御とする手法を案出し、装置ごとの微調整や微調整機構のような煩雑な作業や複雑な付加部材を必要としない光学素子及びこの光学素子を適用した光スイッチに想到した。
【0015】
反強誘電体として代表的なPbZrTiO3を材料に用いて、Nb1%ドープのSrTiO3基板上に形成した電気光学効果膜における光の屈折率変化を調べた。結果を図3に示す。ここでは、光の伝搬方向に電界成分を持たないTEモードと、光の伝搬方向に磁界成分を持たないTMモードとについて屈折率変化が図示されている。横軸が印加電場(V/μm)、縦軸が負方向の屈折率変化(Δn(×10-3))をそれぞれ示す。
【0016】
印加電場を大きくしてゆくと、30V/μm程度までは屈折率にさほど変化が見られず略一定の値を示す。ところが、30V/μm程度以上の電場を印加すると屈折率は急激に減少し、40V/μm程度以上では略一定の値となる。これは、反強誘電体に見られる常誘電状態から強誘電状態への相転移に伴う変化であり、30V/μm程度〜40V/μm程度の範囲内に反強誘電体相転移点が存在すると考えられる(実際には、反強誘電体相転移点は、ある程度の拡がりを持つ反強誘電体相転移範囲として存在すると考えられる。)。印加電場を0V/μmにすると、ほぼ電場印加前の屈折率へと戻る。
【0017】
本発明では、反強誘電体の示す上記の振る舞いをディジタル的に捉え、上記の例では30V/μm程度を境界値とした屈折率が略一定の2つの領域を利用する。図4は、本発明による制御方法を示す概念図である。ここで、横軸が印加電圧、縦軸が光偏向に対応した出力チャネルをそれぞれ表す。図4では便宜上、30V/μm程度〜40V/μm程度の範囲を反強誘電体相転移点に対応した一点として理想化した場合を図示する。このように、印加電圧の連続的な変化に対し、反強誘電体相転移点に対応した所定電圧近傍でディジタル的に屈折率が大きく変化する。図4と共に図3を用いて説明すれば、印加電場が30V/μm程度以下(第1の電圧領域)である場合には屈折率は殆ど変化せず、ほぼ直進光となる。印加電場が30V/μm程度〜40V/μm程度の範囲(第2の電圧領域)で屈折率は急激に変化する。そして、印加電場が40V/μm程度以上である場合には殆ど一定の屈折率を示し、ほぼ一定に偏向する。即ち、反強誘電体相転移点を含む30V/μm程度〜40V/μm程度の範囲を言わば境界領域として、当該境界領域の前後で屈折率がディジタル的に大きく変化する。本発明では、屈折率が殆ど変化しない30V/μm程度以下の印加電場に対応した電圧を第1の電圧(具体的には0V)、一定の屈折率を示す40V/μm程度以上の印加電場に対応した電圧を第2の電圧とし、この2値の電圧で光を出力する出力チャネル(この例では2つの出力チャネル)を適宜選択する。
【0018】
上記の例で30V/μm程度〜40V/μm程度の幅を境界領域とした30V/μm程度以下の領域(領域A)と40V/μm程度以上の領域(領域B)との2つ領域では、それぞれ屈折率が相異なるほぼ一定値となるため、当該2つの領域A,Bでは印加電圧の変化が屈折率に影響しない。従って、領域A内で任意に第1の電圧(具体的には0V)を、領域B内で任意に第2の電圧をそれぞれ設定することができ、印加電圧が第1の電圧及び第2の電圧から多少変動しても屈折率には影響しない。そのため、光学素子の材料、要素部分の寸法誤差、実装時の寄生容量などに起因することなく、電気光学効果膜への印加電圧と屈折率変化量との関係を一意に決定することができる。このように、屈折率変化をディジタル的に制御できることが可能であるため、装置ごとの微調整や印加電場のトラッキング制御機構等が不要となり、極めて簡素な構成で確実に所期の屈折率変化が得られる光学素子が実現する。この技術を光スイッチに適用することにより、光信号を出力する(上記の例では2つの)出力チャネルを自在に正確に選択することが可能となり、装置の更なる小型化にも対応することができる。
【0019】
なお、特許文献1には、光導波路のコア層の材料として、強誘電体または反強誘電体を用いる旨が開示されているが、反強誘電体からなるコア層の動作原理については何等の記載もなく、従って本発明を示唆するものではない。
【0020】
−本発明を適用した具体的な諸実施形態−
以下、本発明を適用した具体的な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
本実施形態では、本発明を光学素子である光偏向素子に適用した例を開示する。光偏向素子とは、入射光を所望の角度で偏向させて出力する光学素子である。
【0022】
図5は、第1の実施形態による光偏向素子の主要構成を示す模式図であり、(a)が平面図、(b)が(a)の線分I−Iに沿った断面図である。
この光偏向素子は、基板1上に形成された応力緩和層2と、応力緩和層2上に形成された下部電極3と、下部電極3上に積層された電気光学材料からなる光導波路4と、光導波路4を介して下部電極3と対向するように光導波路4上に設けられた上部電極5と、下部電極3と上部電極5との間に可変の電圧を印加する電圧制御手段6とを備えて構成されている。
【0023】
基板1は、絶縁材料、ここではSrTiO3(STO)を主成分としており、例えばNbを1%含有するSTOを材料として主成長面の結晶方位が(100)となるように構成されている。
【0024】
応力緩和層2は、PbMg0.5W0.5O3等の材料からなり、基板1に起因する光導波路4への応力を緩和する機能を有する。
下部電極3は、例えばSrRuO3、CaRuO3、LaNiO3、(LaxSr1-x)CoO3(0≦x≦1)、及び(LaxSr1-x)MnO3(0≦x≦1)から選ばれた少なくとも1種を主成分とする膜が少なくとも1層形成されてなるものであり、電圧制御手段6の一端と接続されている。
【0025】
光導波路4は、いわゆるスラブ型導波路であり、電気光学効果膜が2層以上、ここでは3層積層されてなるものであり、具体的には、下部クラッド層11と上部クラッド層13との間に光路が形成されるコア層12が挟持されて構成されている。本実施形態では、特にコア層12が反強誘電体を材料として形成されている。具体的には、単純ペロブスカイト構造として、NaNbO3、PbZrO3、Pb(Mg1/2W1/2)xO3、Pb(Cd1/2W1/2)xO3、Pb(Mn1/2Re1/2)xO3、Pb(Yb1/2Nb1/2)xO3、Pb(Lu1/2Nb1/2)xO3、Pb(La1/2Ta1/2)xO3、Pb(Mn2/3W1/3)xO3、(1−x)NaTaO3・xKNbO3(0.4≦x≦1)、(1−x)NaNbO3・xKTaO3(0≦x≦1)、(1−x)PbZrO3・xNaNbO3(0≦x≦0.1,0.8≦x≦1)、(1−x)NaNbO3・x(1/2PbNb2O6)(0≦x≦0.1)、(1−x)PbZrO3・xPbTiO3(0≦x≦0.1)、(1−x)PbHfO3・xCaHfO3(0≦x≦0.2)、(1−x)(Na1/2Bi1/2)TiO3・xPbZrO3(0.9≦x≦1)、(1−x)PbZrO3・x(K1/2Bi1/2)ZrO3(0.4≦x≦1)、(1−x)NaTaO3・xKNbO3(0.4≦x≦1,0≦x≦0.5)、xPb(Fe2/3U1/3)O3・(1−x)PbZrO3(0≦x≦0.1)、(Pb1-xSrx)(Ti1-yZry)O3(0≦x≦0.4,0.7≦y≦1)、(1−x)Pb(Ti1-yZry)O3・xLaFeO3(0≦x≦0.2,0.7≦y≦1)、(Pb0.97La0.02)(Ti1/2(Zr1-xSnx)1/2)O3(0≦x≦0.5)、0.9(Pb0.99(Ti0.98Nb0.02)O3・0.1(xPb0.99(Sn0.98Nb0.02)O3・(1−x)Pb0.99(Zr0.98Nb0.02)O3(0.5≦x≦1)、Pb0.987(TixZr0.975-xNb0.025)O3(0.5≦x≦1)、及び(Pb1-xLa(3/2)x)(Zr1-yTiy)(0≦x≦0.3,0.8≦y≦1)のうちから選ばれた少なくとも1種を含む材料からコア層12が形成される。
【0026】
コア層12の反強誘電体材料としては、タングステンブロンズ構造のものでも良い。具体的には、(Pb1-xBax)Nb2O6(0≦x≦0.4)、(1−x)(PbNb2O6)・2xPbTiO3(0≦x≦0.1)、及びBa1-xCaxNb2O6(0≦x≦0.6)のうちから選ばれた少なくとも1種を含む材料からコア層12を形成しても好適である。
【0027】
下部及び下層クラッド層11,13は、例えば(PbLa)ZrO3を材料として形成される。ここで、(PbLa)ZrO3は、組成により、反強誘電体としての性質を帯びることもある。
【0028】
上部電極5は、光導波路3上に例えば三角形状に形成されており、電圧制御手段6の他端と接続されている。
電圧制御手段6は、下部電極3と上部電極5との間に可変の電圧を印加し、光導波路4における光の屈折率を変化させて制御するものである。ここで、光導波路4のコア層12において、反強誘電体相転移点に対応した所定電圧を境界(としてディジタル的に屈折率が大きく変化し、当該所定電圧の前後で屈折率がほぼ一定値となることを利用して、電圧制御手段6は、当該所定電圧の前後における第1の電圧と第2の電圧との2値で光導波路4における光の屈折率を制御する。なおこの場合、実際には、反強誘電体相転移点は、ある程度の幅(上記したPbZrTiO3の例では30V/μm程度〜40V/μm程度の範囲)のある境界領域内に存在するため、第1の電圧を当該境界領域の最小値以下の値、第2の電圧を当該幅の最大値以上の値とする。
【0029】
ここで、本実施形態による光偏向素子の製造方法について説明する。
図6は、第1の実施形態による光偏向素子の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
先ず、図6(a)に示すように、基板1上に応力緩和層2及び下部電極3を順次形成する。
具体的には、主成長面の結晶方位が(100)であるNb1%−SrTiO3からなる基板1上に、例えばPbMg0.5W0.5O3を材料としてスパッタ法により堆積し、膜厚100nm程度の応力緩和層2を形成する。
次に、応力緩和層2上に、SrRuO3、CaRuO3、LaNiO3、(LaxSr1-x)CoO3(0≦x≦1)、及び(LaxSr1-x)MnO3(0≦x≦1)から選ばれた少なくとも1種を主材料とした少なくとも1層の膜を成膜し、これに所定の加工を施すことにより、下部電極3を形成する。
【0030】
続いて、図6(b)に示すように、下部電極3上に下部クラッド層11、コア層12、及び上部クラッド層12を順次堆積し、光導波路3を形成する。
下部及び上部クラッド層11,13としては、材料を(PbLa)ZrO3とし、ゾル−ゲル法により形成する。(PbLa)ZrO3用のゾル−ゲル溶液としては、構成金属元素の有機化合物であるPb(CH3COO)2・3H2O〔酢酸鉛〕、La(i−OC3H7)3〔ランタンイソプロポキシド〕、Zr(OC3H7)4〔ジルコニウムプロポキシド〕、及び安定剤としてのCH3COCH2COCH3〔(2,4−ペンタンジオン)を溶剤であるCH3C2H4OH〔2−メトキシエタノール〕で還流により合成する。
【0031】
具体的に、(Pb0.97La0.02)ZrO3組成を作製する場合には、Pb(CH3COO)2・3H2O/La(i−OC3H7)3のモル比を101/3とし、Zr(OC3H7)4のモル比を100とすれば良い。
【0032】
コア層12としては、材料を反強誘電体のPbZrO3とし、ゾル−ゲル法により形成する。PbZrO3用のゾル−ゲル溶液としては、構成金属元素の有機化合物であるPb(CH3COO)2・3H2O〔酢酸鉛〕、Zr(OC3H7)4〔ジルコニウムプロポキシド〕、及び安定剤としてのCH3COCH2COCH3〔(2,4−ペンタンジオン)を溶剤であるCH3C2H4OH〔2−メトキシエタノール〕で還流により合成する。
【0033】
以上の方法で作製したゾル−ゲル溶液を用いて、下部クラッド層11、コア層12及び上部クラッド層12を順次積層し、光導波路4を形成する。
先ず、主成長面の結晶方位が(100)であるNb1%−SrTiO3からなる基板1上に、(Pb0.97La0.02)ZrO3組成のゾル−ゲル前駆体をスピンコート法で塗布する。次に、塗布されたゾル−ゲル前駆体をホットプレート上において例えば140℃で5分間、350℃で5分間のベークを行う。次に、赤外線炉を使用して、酸素雰囲気中において基板1を700℃で焼成する。以上の工程により形成される膜は100nm〜200nm程度の膜厚となる。膜厚が例えば3μm程度となるまで上記の工程を繰り返し行い、(Pb0.97La0.02)ZrO3組成の下部クラッド層11を形成する。
【0034】
続いて、下部クラッド層11上にPbZrO3のゾル−ゲル前駆体をスピンコート法で塗布する。次に、塗布されたゾル−ゲル前駆体をホットプレート上において例えば140℃で5分間、350℃で5分間のベークを行う。次に、赤外線炉を使用して、酸素雰囲気中において基板1を700℃で焼成する。以上の工程により形成される膜は100nm〜200nm程度の膜厚となる。膜厚が例えば4μm程度となるまで上記の工程を繰り返し行い、PbZrO3からなるコア層12を形成する。
【0035】
続いて、コア層12上に(Pb0.97La0.02)ZrO3組成のゾル−ゲル前駆体をスピンコート法で塗布し、下部クラッド層11と同様にして膜厚が4μm程度の上部クラッド層12を形成する。
【0036】
以上の工程を経て、下部クラッド層11、コア層12及び上部クラッド層12からなる光導波路4が形成される。この光導波路4では、下部及び上部クラッド層11,13の屈折率が1.55μmの波長の光に対して2.13となり、コア層12の屈折率が1.55μmの波長の光に対して2.16となり、下部及び上部クラッド層11,13とコア層12との屈折率が異なる構造とされている。このように、下部及び上部クラッド層11,13よりもコア層12の方が屈折率の高い構成とすることにより、コア層12に導波光を集中させることができ、電極損失が小さくなるという利点がある。
【0037】
続いて、上部クラッド層13上に偏向電極4を形成する。
具体的には、図6(c)に示すように、上部クラッド層13上に、例えばCu/W膜を三角形状にマスク蒸着することにより、上部電極5を形成する。
そして、下部電極3と上部電極5とに電圧制御手段6を接続し、本実施形態の光偏向素子を完成させる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、光導波路4における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光偏向素子が実現する。
【0039】
(変形例)
ここで、第1の実施形態の変形例について説明する。
この変形例では、第1の実施形態と同様に光偏向素子を開示するが、上部電極が異なる点で相違する。なお、第1の実施形態による光偏向素子の構成部材と同一のものについては同符号を付して説明を省略する。
【0040】
図7は、第1の実施形態の変形例による光偏向素子の主要構成を示す模式図であり、(a)が平面図、(b)が(a)の線分I−Iに沿った断面図である。
この光偏向素子は、基板1上に形成された応力緩和層2と、応力緩和層2上に積層された電気光学材料からなる光導波路4と、光導波路4上に設けられた上部電極7と、上部電極7に可変の電圧を印加する電圧制御手段6とを備えて構成されている。
【0041】
本変形例の光偏向素子では、下部電極が設けられておらず、また基板1が非導電材料からなる。本変形例では、基板には絶縁材料を用いることが好ましいが、基板1は絶縁材料であるSrTiO3を主成分としており、問題はない。上部電極7は、図7(b)に示すように、互いに平行な一対の帯状電極7a,7bから構成されており、帯状電極7a,7bが光の進行方向に対して傾斜する位置に配されている。この場合、電圧制御手段6の各接続端子は帯状電極7a,7bに接続される。電圧制御手段6により帯状電極7a,7b間に電圧(上記したように2値の電圧)を印加すると、光導波路4の面内方向に電場が加わり、TEモードとTMモードとで電場に対する変化量が等しくなり、屈折率に偏光依存のない光偏向素子が実現する。
【0042】
以上説明したように、本変形例によれば、光導波路4における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光偏向素子が実現する。しかも、屈折率に偏光依存がないため、利便性に優れた光偏向素子である。
【0043】
(第2の実施形態)
本実施形態では、本発明を適用した光スイッチの具体的構成を開示する。
図8は、第2の実施形態による光スイッチの概略構成を示す模式図であり、(a)が光スイッチの主要構成部のみの概略平面図、(b)が(a)中の一点鎖線I−Iに沿った光スイッチの概略断面図である。なお、第1の実施形態と同様の構成部材等については、同符号を付して詳しい説明は省略する。また、図示の便宜上、図8(b)では電圧制御手段6の記載を省略する。
【0044】
本実施形態の光スイッチは、第1の実施形態による光偏向素子10を入力部位及び出力部位にそれぞれ2つずつ並列に配設した構成を採る。
この光スイッチは、2×2配列の光スイッチであり、光偏向機構を備えた主要構成部21と、主要構成部21が配設されるチャネル形成部22とを備えて構成されている。
【0045】
チャネル形成部22は、チャネル基板31上にチャネル導波路32が設けられて構成されている。
チャネル導波路32は、下部クラッド層41と上部クラッド層43との間に、光路が形成されるコア層42が挟持されており、光信号の入力チャネルI1,I2及び出力チャネルO1,O2を備えている。入力チャネルI1,I2は、それぞれ先端部位に信号光をコリメートするマイクロレンズ44が設けられており、各々等間隔に並設されている。出力チャネルO1,O2も同様に、それぞれ後端部位にマイクロレンズ44が設けられており、各々等間隔に並設されている。このチャネル導波路32には、主要構成部21が実装される溝45が形成されており、チャネル基板31表面の溝45の底部に露出する部位には、各種配線層46がパターン形成されている。
【0046】
チャネル形成部22においては、例えばSiからなるチャネル基板31の表面を熱酸化して膜厚5μm程度のSiO2膜を形成した後、SiO2膜の表面から3μm程度の深さまで例えばGaをドープして、膜厚2μm程度の下部クラッド層41及び膜厚2μm程度のコア層42を形成する。その後、ゾル−ゲル法又はスパッタ法等により、コア層42上に膜厚2μm程度のSiO2膜を形成し、上部クラッド層43を形成する。そして、例えばCF4系ガスをエッチングガスとして上部クラッド層43、コア層42及び下部クラッド層41をドライエッチングし、溝45をパターン形成する。
【0047】
光スイッチ20の主要構成部21は、実質的に見れば、各入力チャネルI1,I2及び各出力チャネルO1,O2に対応して第1の実施形態による光偏向素子10が光導波路3を共通としてそれぞれ配設された形に構成されている。
【0048】
各光偏向素子10は、素子基板1上に応力緩和層2及び下部電極3を介して光導波路4が設けられ、この光導波路4上に上部電極5が設けられて構成されている。即ち、光導波路3上に各入力チャネルI1,I2及び各出力チャネルO1,O2に対応してそれぞれ上部電極5が形成され、下部電極3と各上部電極5との間に可変の電圧(上記したように2値の電圧)を印加する電圧制御手段6が設けられて主要構成部21が構成されている。ここで、入力チャネルの上部電極5は当該入力チャネルの光進行方向の前方に、出力チャネルの上部電極5は当該出力チャネルの光進行方向の後方にそれぞれ配されており、入力チャネル側と出力チャネル側とで上部電極5のプリズム形状が逆に設定されており、電圧制御手段6からの印加電圧による光の偏向方向の正負が入力チャネル側と出力チャネル側とで逆になる。
【0049】
本実施形態の光スイッチにおける信号光の制御方法について図9を用いて説明する。図9では、図示の便宜上、電圧制御手段6の記載を省略する。
ここでは、入力チャネルI1から出力チャネルO1へ、入力チャネルI1から出力チャネルO2へ信号光を送る場合をそれぞれ例示する。
【0050】
入力チャネルI1から出力チャネルO1へ信号光を送る場合には、電圧制御手段6から下部電極3と各上部電極5との間に電圧を印加せず(換言すれば、0Vの第1の電圧を印加することと同義)、これにより図中L1で示すように出力チャネルO1へ向かって信号光が直進する。
【0051】
入力チャネルI1から出力チャネルO2へ信号光を送る場合には、電圧制御手段6から、下部電極3と入力チャネルI1の上部電極5との間に第2の電圧を印加するとともに、下部電極3と出力チャネルI2の上部電極5との間に第2の電圧を印加する。この電圧印加により、図中L2で示すように、入力チャネルI1の上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が偏向し、出力チャネルO2へ向かうとともに、出力チャネルO2の上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が逆方向へ偏向し、出力チャネルO2へ向かって信号光が直進する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、光導波路4における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光スイッチが実現する。
【0053】
(変形例)
ここで、第2の実施形態の変形例について説明する。
この変形例では、第2の実施形態と同様に光スイッチを開示するが、複数の主要構成部を直列に接続してなる点で相違する。本変形例の光スイッチは、nを1以上の整数として、n個の主要構成部が直列に接続されており、1段目の主要構成部には2個の入力チャネルが、n段目の主要構成部には2n個の出力チャネルがそれぞれ配されてなるものである。なお、第2の実施形態による光スイッチの構成部材と同一のものについては同符号を付して説明を省略する。
【0054】
図9は、第2の実施形態の変形例による光スイッチの主要構成を示す概略平面図である。
ここでは、k=2の場合を例示する。即ちこの光スイッチは、第2の実施形態で開示した入力チャネル及び出力チャネルがそれぞれ2個ずつ設けられた2×2配列の主要構成部21と、入力チャネル及び出力チャネルがそれぞれ4個ずつ設けられた4×4配列の主要構成部51とが直列に接続されて構成されている。
【0055】
主要構成部51は、実質的に見れば、各入力チャネルI'1,I'2,I'3,I'4及び各出力チャネルO'1,O'2,O'3,O'4に対応して第1の実施形態による光偏向素子10が光導波路3を共通としてそれぞれ配設された形に構成されている。
【0056】
各光偏向素子10は、素子基板1上に応力緩和層2及び下部電極3を介して光導波路4が設けられ、この光導波路4上に上部電極5が設けられて構成されている。即ち、光導波路3上に各入力チャネルI'1〜I'4及び各出力チャネルO'1〜O'4に対応してそれぞれ上部電極5が形成され、下部電極3と各上部電極5との間に可変の電圧(上記したように2値の電圧)を印加する電圧制御手段6が設けられて主要構成部51が構成されている。ここで、入力チャネルの上部電極5は当該入力チャネルの光進行方向の前方に、出力チャネルの上部電極5は当該出力チャネルの光進行方向の後方にそれぞれ配されており、入力チャネル側と出力チャネル側とで上部電極5のプリズム形状が逆に設定されており、電圧制御手段6からの印加電圧による光の偏向方向の正負が入力チャネル側と出力チャネル側とで逆になる。
【0057】
そして、主要構成部21の出力チャネルO1,O2が主要構成部51の入力チャネルI'2,I'3と一致するように、主要構成部21と主要構成部51とが接続されて光スイッチが構成される。
【0058】
本変形例の光スイッチにおける信号光の制御方法について図11を用いて説明する。図11では、図示の便宜上、電圧制御手段6の記載を省略する。
ここでは、主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'2へ、主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'3へ、主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'4へ信号光を送る場合をそれぞれ例示する。
【0059】
主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'2へ信号光を送る場合には、電圧制御手段6から下部電極3と主要構成部21,51の各上部電極5との間に電圧を印加せず(換言すれば、0Vの第1の電圧を印加することと同義)、これにより図中L1で示すように出力チャネルO'2へ向かって信号光が直進する。
【0060】
主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'3へ信号光を送る場合には、主要構成部21側については、電圧制御手段6から、下部電極3と入力チャネルI1の上部電極5との間に第2の電圧を印加するとともに、下部電極3と出力チャネルO2に対応する上部電極5との間に第2の電圧を印加する。この電圧印加により、図中L2で示すように、入力チャネルI1の上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が偏向し、出力チャネルO2へ向かうとともに、出力チャネルO2に対応する上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が逆方向へ偏向し、出力チャネルO2、即ち主要構成部51の入力チャネルI'2へ向かって信号光が直進する。
【0061】
続いて、主要構成部51側については、電圧制御手段6から下部電極3と各上部電極5との間に電圧を印加せず(換言すれば、0Vの第1の電圧を印加することと同義)、これにより図中L2で示すように出力チャネルO'3へ向かって信号光が直進する。
【0062】
主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'4へ信号光を送る場合には、主要構成部21側については、電圧制御手段6から、下部電極3と入力チャネルI1の上部電極5との間に第2の電圧を印加するとともに、下部電極3と出力チャネルO2に対応する上部電極5との間に第2の電圧を印加する。この電圧印加により、図中L3で示すように、入力チャネルI1の上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が偏向し、出力チャネルO2へ向かうとともに、出力チャネルO2に対応する上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が逆方向へ偏向し、出力チャネルO2、即ち主要構成部51の入力チャネルI'2へ向かって信号光が直進する。
【0063】
続いて、主要構成部51側については、電圧制御手段6から、下部電極3と入力チャネルI'2の上部電極5との間に第2の電圧を印加するとともに、下部電極3と出力チャネルO'4の上部電極5との間に第2の電圧を印加する。この電圧印加により、信号光L3は、入力チャネルI'2の上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が偏向し、出力チャネルO'4へ向かうとともに、出力チャネルO'4の上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が逆方向へ偏向し、出力チャネルO'4へ向かって直進する。
【0064】
このように、主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'4へ信号光を送る場合には、光スイッチ全体としてみれば、電圧制御手段6により2値の電圧を制御するのみで、入力チャネルI1から出力チャネルO'4へ、1つの主要構成部で第2の電圧を印加した場合の2倍に相当する光偏向を得ることができ、実質的には4×4配列の光スイッチが実現することになる。
【0065】
以上説明したように、本変形例によれば、光導波路4における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光スイッチが実現する。しかもこの場合、主要構成部の接続数に応じて大きな光偏向が得られ、2値の電圧を制御するのみで2k×2k配列の光スイッチが実現する。
【0066】
なお、本変形例において、主要構成部21と主要構成部51とで反強誘電体相転移点となる電圧が異なる反強誘電体材料から各コア層12を形成しても良い。この構成により、更に大きな光偏向を得たり、きめ細かい光偏向制御を得ることができる光スイッチが実現する。
【0067】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0068】
(付記1)基板と、
前記基板の上方に形成されており、電気光学効果を有する少なくとも1層の反強誘電体材料からなる電気光学効果膜と、
前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して前記電気光学効果膜を通過する光の屈折率を制御する電圧制御手段と
を含み、
前記電圧制御手段は、前記電気光学効果膜における反強誘電体相転移点となる電圧を基準値として、前記基準値よりも小さい第1の電圧と、前記基準値よりも大きい第2の電圧との2値により前記屈折率を制御することを特徴とする光学素子。
【0069】
(付記2)基板と、
前記基板の上方に形成されており、電気光学効果を有する少なくとも1層の反強誘電体材料からなる電気光学効果膜と、
前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して前記電気光学効果膜を通過する光の屈折率を制御する電圧制御手段と
を含み、
印加電圧に対して略一定の屈折率となる第1の電圧領域と、印加電圧に対して屈折率が急激に変化する第2の電圧領域とを有することを特徴とする光学素子。
【0070】
(付記3)前記基板は、SrTiO3を主成分とする材料からなることを特徴とする付記1又は2に記載の光学素子。
【0071】
(付記4)前記電気光学効果膜は、前記基板の結晶方位にエピタキシャル成長されてなることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の光学素子。
【0072】
(付記5)少なくとも1層の前記電気光学効果膜を含む光導波路が構成されていることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の光学素子。
【0073】
(付記6)前記光導波路は、前記電気光学効果膜からなるコア層を強誘電体材料からなる下部及び上部クラッド層により挟持してなり、前記コア層と前記クラッド層との屈折率が異なることを特徴とする付記5に記載の光学素子。
【0074】
(付記7)前記基板と前記電気光学効果膜との間に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための下部電極が設けられていることを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の光学素子。
【0075】
(付記8)前記下部電極は、SrRuO3、CaRuO3、LaNiO3、(LaxSr1-x)CoO3(0≦x≦1)、及び(LaxSr1-x)MnO3(0≦x≦1)から選ばれた少なくとも1種を主成分とする膜が少なくとも1層形成されてなるものであることを特徴とする付記7に記載の光学素子。
【0076】
(付記9)前記電気光学効果膜上に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための上部電極が設けられていることを特徴とする付記1〜8のいずれか1項に記載の光学素子。
【0077】
(付記10)前記電気光学効果膜上に、前記電圧制御手段により電圧が印加される一対の電極が設けられていることを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の光学素子。
【0078】
(付記11)前記電気光学効果膜は、単純ペロブスカイト構造を有することを特徴とする付記1〜10のいずれか1項に記載の光学素子。
【0079】
(付記12)前記単純ペロブスカイト構造は、NaNbO3、PbZrO3、Pb(Mg1/2W1/2)xO3、Pb(Cd1/2W1/2)xO3、Pb(Mn1/2Re1/2)xO3、Pb(Yb1/2Nb1/2)xO3、Pb(Lu1/2Nb1/2)xO3、Pb(La1/2Ta1/2)xO3、Pb(Mn2/3W1/3)xO3、(1−x)NaTaO3・xKNbO3(0.4≦x≦1)、(1−x)NaNbO3・xKTaO3(0≦x≦1)、(1−x)PbZrO3・xNaNbO3(0≦x≦0.1,0.8≦x≦1)、(1−x)NaNbO3・x(1/2PbNb2O6)(0≦x≦0.1)、(1−x)PbZrO3・xPbTiO3(0≦x≦0.1)、(1−x)PbHfO3・xCaHfO3(0≦x≦0.2)、(1−x)(Na1/2Bi1/2)TiO3・xPbZrO3(0.9≦x≦1)、(1−x)PbZrO3・x(K1/2Bi1/2)ZrO3(0.4≦x≦1)、(1−x)NaTaO3・xKNbO3(0.4≦x≦1,0≦x≦0.5)、xPb(Fe2/3U1/3)O3・(1−x)PbZrO3(0≦x≦0.1)、(Pb1-xSrx)(Ti1-yZry)O3(0≦x≦0.4,0.7≦y≦1)、(1−x)Pb(Ti1-yZry)O3・xLaFeO3(0≦x≦0.2,0.7≦y≦1)、(Pb0.97La0.02)(Ti1/2(Zr1-xSnx)1/2)O3(0≦x≦0.5)、0.9(Pb0.99(Ti0.98Nb0.02)O3・0.1(xPb0.99(Sn0.98Nb0.02)O3・(1−x)Pb0.99(Zr0.98Nb0.02)O3(0.5≦x≦1)、Pb0.987(TixZr0.975-xNb0.025)O3(0.5≦x≦1)、及び(Pb1-xLa(3/2)x)(Zr1-yTiy)(0≦x≦0.3,0.8≦y≦1)のうちから選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする付記11に記載の光学素子。
【0080】
(付記13)前記電気光学効果膜は、少なくとも1層がタングステンブロンズ構造を有することを特徴とする付記1〜10のいずれか1項に記載の光学素子。
【0081】
(付記14)前記タングステンブロンズ構造は、(Pb1-xBax)Nb2O6(0≦x≦0.4)、(1−x)(PbNb2O6)・2xPbTiO3(0≦x≦0.1)、及びBa1-xCaxNb2O6(0≦x≦0.6)のうちから選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする付記13に記載の光学素子。
【0082】
(付記15)少なくとも1層の前記電気光学効果膜を有して構成された光導波路と、
前記光導波路上の一端に並列して形成されており、光信号を入力する複数の入力チャネルと、
前記光導波路上の他端に並列して形成されており、光信号を出力する複数の出力チャネルと、
前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して、前記入力チャネルに入力した光の屈折率を制御する電圧制御手段と
を含み、
前記電圧制御手段は、前記電気光学効果膜における反強誘電体相転移点となる電圧を基準値として、前記基準値よりも小さい第1の電圧と、前記基準値よりも大きい第2の電圧との2値により前記屈折率を制御することを特徴とする光スイッチ。
【0083】
(付記16)前記基板と前記光導波路との間に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための下部電極が設けられていることを特徴とする付記15に記載の光スイッチ。
【0084】
(付記17)前記光導波路上に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための上部電極が設けられていることを特徴とする付記15又は16に記載の光スイッチ。
【0085】
(付記18)前記光導波路上に、前記電圧制御手段により電圧が印加される一対の電極が設けられていることを特徴とする付記15に記載の光スイッチ。
【0086】
(付記19)nを1以上の整数として、
n個の前記光導波路が直列に接続されており、1段目の前記光導波路には2個の前記入力チャネルが、n段目の前記光導波路には2n個の前記出力チャネルがそれぞれ配されてなることを特徴とする付記15〜18のいずれか1項に記載の光スイッチ。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の比較例による制御方法を示す特性図である。
【図2】印加電圧をフィードバック制御する様子を示す模式図である。
【図3】反強誘電体の電気光学効果膜に電場(電圧)を印加した際の光の屈折率変化を示す特性図である。
【図4】本発明による制御方法を示す概念図である。
【図5】第1の実施形態による光偏向素子の主要構成を示す模式図である。
【図6】第1の実施形態による光偏向素子の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図7】第1の実施形態の変形例による光偏向素子の主要構成を示す模式図である。
【図8】第2の実施形態による光スイッチの概略構成を示す模式図である。
【図9】第2の実施形態による光スイッチを用いた信号光の制御方法を説明するための概略平面図である。
【図10】第2の実施形態の変形例による光スイッチの主要構成を示す概略平面図である。
【図11】第2の実施形態の変形例による光スイッチを用いた信号光の制御方法を説明するための概略平面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 基板
2 応力緩和層
3 下部電極
4 光導波路
5,7 上部電極
6 電圧制御手段
11,41 下部クラッド層
12,42 コア層
13,43 上部クラッド層
20 光スイッチ
21,51 主要構成部
22 チャネル形成部
31 チャネル基板
32 チャネル導波路
44 マイクロレンズ
45 溝
46 配線層
47 半田ボール
I1,I2,I'1〜'4 入力チャネル
O1〜O4 出力チャネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信及び光信号処理等の技術分野において用いられる光学素子及び光スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信における伝送帯域は増大の一途を辿り、波長多重化技術の進展と相俟って、高速化・大容量化が進行している。基幹通信ネットワークにおける光ファイバ網のハードウェア・インフラを構築するためには、光信号の送信先を切り替える、光スイッチが必要とされている。この光スイッチとしては、単一モードの光ファイバで利用可能であるものが必要とされている。そのためには、光の分極方向であるTEモード及びTMモードの偏光に依らずに光を交換することを要する。この要求に応えるべく、微少な鏡を動かして光を切り替える、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の機械駆動方式や、熱を加えることにより屈折率を変化させて光の進行方向を切り替える熱光学方式等が開発されてきた。
【0003】
しかしながら、これらの機械駆動方式や熱駆動方式では、光信号の送信先の切り替えに要する時間がミリ秒(msec)オーダーと比較的長く、切り替えの限界速度が遅いという問題がある。ネットワークにおける高速化は更に進んでおり、高速な光スイッチが切望されていた。
【0004】
そこで、高速に屈折率を変化させる方法として、電気光学効果を利用した方式(電気光学効果方式)がある。この電気光学効果方式を利用すれば、ナノ秒(nsec)〜マイクロ秒(μsec)オーダーの極短時間で屈折率を変化させることができるため、極めて高速に駆動する光スイッチが実現される。
【0005】
【特許文献1】特開2003−177262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気光学効果方式の光スイッチにおいて屈折率を変化させるには、光が通過する電気光学効果膜に可変の電圧を印加し、この電圧値を調節することにより屈折率を制御する。
しかしながら、光スイッチを構成する光学素子の材料、要素部分の寸法誤差、実装時の寄生容量などに起因して、電気光学効果膜への印加電圧と屈折率変化量との関係を一意に決定することができず、装置ごとに厳格な調整が必要となり、製品の歩留まり低下を惹起し、装置の更なる小型化の要請を阻害する主原因の1つとなっている。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、電気光学効果膜における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光学素子及びこの光学素子を適用した光スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光学素子は、基板と、前記基板の上方に形成されており、電気光学効果を有する少なくとも1層の反強誘電体材料からなる電気光学効果膜と、前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して前記電気光学効果膜を通過する光の屈折率を制御する電圧制御手段とを含み、前記電圧制御手段は、前記電気光学効果膜における反強誘電体相転移点となる電圧を基準値として、前記基準値よりも小さい第1の電圧と、前記基準値よりも大きい第2の電圧との2値により前記屈折率を制御する。
【0009】
本発明の光学素子は、基板と、前記基板の上方に形成されており、電気光学効果を有する少なくとも1層の反強誘電体材料からなる電気光学効果膜と、前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して前記電気光学効果膜を通過する光の屈折率を制御する電圧制御手段とを含み、印加電圧に対して略一定の屈折率となる第1の電圧領域と、印加電圧に対して屈折率が急激に変化する第2の電圧領域とを有する。
【0010】
本発明の光スイッチは、少なくとも1層の前記電気光学効果膜を有して構成された光導波路と、前記光導波路上の一端に並列して形成されており、光信号を入力する複数の入力チャネルと、前記光導波路上の他端に並列して形成されており、光信号を出力する複数の出力チャネルと、前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して、前記入力チャネルに入力した光の屈折率を制御する電圧制御手段とを含み、前記電圧制御手段は、前記電気光学効果膜における反強誘電体相転移点となる電圧を基準値として、前記基準値よりも小さい第1の電圧と、前記基準値よりも大きい第2の電圧との2値により前記屈折率を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気光学効果膜における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光学素子及びこの光学素子を適用した光スイッチが実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
−本発明の基本骨子−
本発明の基本骨子を説明するにあたり、先ず、本発明の比較例について説明する。この比較例は、言わばアナログ的性質を有する電気光学効果膜による屈折率の制御方法である。この場合、図1(a)に示すように、電気光学効果膜を有する光導波路の上下に設けられた一対の電極(図示の便宜上、上部電極のみ示す)に印加する電圧を調節する。このとき、図1(b)に示すように、連続的に変化する印加電圧に対応して連続的に変化し、各屈折率に対応した所望の出力チャネルへ出力する。このように、印加電圧に対して屈折率がアナログ的に変化し、印加電圧の微小な変化が屈折率に影響するため、光学素子の材料、要素部分の寸法誤差、実装時の寄生容量などに起因して、電気光学効果膜への印加電圧と屈折率変化量との関係を一意に決定することができない。
【0013】
そこで、印加電圧をフィードバック制御することも考えられる。
図2に示すように、上部電極を一対のプリズム電極で構成し、プリズム電極101aの電圧を高くすることにより負方向へ光を偏光し、プリズム型電極101bの電圧を高くすることでにより正方向へ光を偏光する。このように、プリズム型電極101a,101bに印加する電圧を微調整して出力位置を調節する。しかしながら、上記のようなトラッキング制御においては、2つのプリズム電極をそれぞれ制御することが必要であり、制御が複雑となることや、トラッキング制御のための微調整機構を設ける必要がある等の問題がある。
【0014】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を積み重ねた結果、電気光学効果膜の材料を反強誘電体とし、この電気光学効果膜の言わばディジタル的性質を利用して、極めて簡素な構成で電気光学効果膜における屈折率を確実に制御とする手法を案出し、装置ごとの微調整や微調整機構のような煩雑な作業や複雑な付加部材を必要としない光学素子及びこの光学素子を適用した光スイッチに想到した。
【0015】
反強誘電体として代表的なPbZrTiO3を材料に用いて、Nb1%ドープのSrTiO3基板上に形成した電気光学効果膜における光の屈折率変化を調べた。結果を図3に示す。ここでは、光の伝搬方向に電界成分を持たないTEモードと、光の伝搬方向に磁界成分を持たないTMモードとについて屈折率変化が図示されている。横軸が印加電場(V/μm)、縦軸が負方向の屈折率変化(Δn(×10-3))をそれぞれ示す。
【0016】
印加電場を大きくしてゆくと、30V/μm程度までは屈折率にさほど変化が見られず略一定の値を示す。ところが、30V/μm程度以上の電場を印加すると屈折率は急激に減少し、40V/μm程度以上では略一定の値となる。これは、反強誘電体に見られる常誘電状態から強誘電状態への相転移に伴う変化であり、30V/μm程度〜40V/μm程度の範囲内に反強誘電体相転移点が存在すると考えられる(実際には、反強誘電体相転移点は、ある程度の拡がりを持つ反強誘電体相転移範囲として存在すると考えられる。)。印加電場を0V/μmにすると、ほぼ電場印加前の屈折率へと戻る。
【0017】
本発明では、反強誘電体の示す上記の振る舞いをディジタル的に捉え、上記の例では30V/μm程度を境界値とした屈折率が略一定の2つの領域を利用する。図4は、本発明による制御方法を示す概念図である。ここで、横軸が印加電圧、縦軸が光偏向に対応した出力チャネルをそれぞれ表す。図4では便宜上、30V/μm程度〜40V/μm程度の範囲を反強誘電体相転移点に対応した一点として理想化した場合を図示する。このように、印加電圧の連続的な変化に対し、反強誘電体相転移点に対応した所定電圧近傍でディジタル的に屈折率が大きく変化する。図4と共に図3を用いて説明すれば、印加電場が30V/μm程度以下(第1の電圧領域)である場合には屈折率は殆ど変化せず、ほぼ直進光となる。印加電場が30V/μm程度〜40V/μm程度の範囲(第2の電圧領域)で屈折率は急激に変化する。そして、印加電場が40V/μm程度以上である場合には殆ど一定の屈折率を示し、ほぼ一定に偏向する。即ち、反強誘電体相転移点を含む30V/μm程度〜40V/μm程度の範囲を言わば境界領域として、当該境界領域の前後で屈折率がディジタル的に大きく変化する。本発明では、屈折率が殆ど変化しない30V/μm程度以下の印加電場に対応した電圧を第1の電圧(具体的には0V)、一定の屈折率を示す40V/μm程度以上の印加電場に対応した電圧を第2の電圧とし、この2値の電圧で光を出力する出力チャネル(この例では2つの出力チャネル)を適宜選択する。
【0018】
上記の例で30V/μm程度〜40V/μm程度の幅を境界領域とした30V/μm程度以下の領域(領域A)と40V/μm程度以上の領域(領域B)との2つ領域では、それぞれ屈折率が相異なるほぼ一定値となるため、当該2つの領域A,Bでは印加電圧の変化が屈折率に影響しない。従って、領域A内で任意に第1の電圧(具体的には0V)を、領域B内で任意に第2の電圧をそれぞれ設定することができ、印加電圧が第1の電圧及び第2の電圧から多少変動しても屈折率には影響しない。そのため、光学素子の材料、要素部分の寸法誤差、実装時の寄生容量などに起因することなく、電気光学効果膜への印加電圧と屈折率変化量との関係を一意に決定することができる。このように、屈折率変化をディジタル的に制御できることが可能であるため、装置ごとの微調整や印加電場のトラッキング制御機構等が不要となり、極めて簡素な構成で確実に所期の屈折率変化が得られる光学素子が実現する。この技術を光スイッチに適用することにより、光信号を出力する(上記の例では2つの)出力チャネルを自在に正確に選択することが可能となり、装置の更なる小型化にも対応することができる。
【0019】
なお、特許文献1には、光導波路のコア層の材料として、強誘電体または反強誘電体を用いる旨が開示されているが、反強誘電体からなるコア層の動作原理については何等の記載もなく、従って本発明を示唆するものではない。
【0020】
−本発明を適用した具体的な諸実施形態−
以下、本発明を適用した具体的な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
本実施形態では、本発明を光学素子である光偏向素子に適用した例を開示する。光偏向素子とは、入射光を所望の角度で偏向させて出力する光学素子である。
【0022】
図5は、第1の実施形態による光偏向素子の主要構成を示す模式図であり、(a)が平面図、(b)が(a)の線分I−Iに沿った断面図である。
この光偏向素子は、基板1上に形成された応力緩和層2と、応力緩和層2上に形成された下部電極3と、下部電極3上に積層された電気光学材料からなる光導波路4と、光導波路4を介して下部電極3と対向するように光導波路4上に設けられた上部電極5と、下部電極3と上部電極5との間に可変の電圧を印加する電圧制御手段6とを備えて構成されている。
【0023】
基板1は、絶縁材料、ここではSrTiO3(STO)を主成分としており、例えばNbを1%含有するSTOを材料として主成長面の結晶方位が(100)となるように構成されている。
【0024】
応力緩和層2は、PbMg0.5W0.5O3等の材料からなり、基板1に起因する光導波路4への応力を緩和する機能を有する。
下部電極3は、例えばSrRuO3、CaRuO3、LaNiO3、(LaxSr1-x)CoO3(0≦x≦1)、及び(LaxSr1-x)MnO3(0≦x≦1)から選ばれた少なくとも1種を主成分とする膜が少なくとも1層形成されてなるものであり、電圧制御手段6の一端と接続されている。
【0025】
光導波路4は、いわゆるスラブ型導波路であり、電気光学効果膜が2層以上、ここでは3層積層されてなるものであり、具体的には、下部クラッド層11と上部クラッド層13との間に光路が形成されるコア層12が挟持されて構成されている。本実施形態では、特にコア層12が反強誘電体を材料として形成されている。具体的には、単純ペロブスカイト構造として、NaNbO3、PbZrO3、Pb(Mg1/2W1/2)xO3、Pb(Cd1/2W1/2)xO3、Pb(Mn1/2Re1/2)xO3、Pb(Yb1/2Nb1/2)xO3、Pb(Lu1/2Nb1/2)xO3、Pb(La1/2Ta1/2)xO3、Pb(Mn2/3W1/3)xO3、(1−x)NaTaO3・xKNbO3(0.4≦x≦1)、(1−x)NaNbO3・xKTaO3(0≦x≦1)、(1−x)PbZrO3・xNaNbO3(0≦x≦0.1,0.8≦x≦1)、(1−x)NaNbO3・x(1/2PbNb2O6)(0≦x≦0.1)、(1−x)PbZrO3・xPbTiO3(0≦x≦0.1)、(1−x)PbHfO3・xCaHfO3(0≦x≦0.2)、(1−x)(Na1/2Bi1/2)TiO3・xPbZrO3(0.9≦x≦1)、(1−x)PbZrO3・x(K1/2Bi1/2)ZrO3(0.4≦x≦1)、(1−x)NaTaO3・xKNbO3(0.4≦x≦1,0≦x≦0.5)、xPb(Fe2/3U1/3)O3・(1−x)PbZrO3(0≦x≦0.1)、(Pb1-xSrx)(Ti1-yZry)O3(0≦x≦0.4,0.7≦y≦1)、(1−x)Pb(Ti1-yZry)O3・xLaFeO3(0≦x≦0.2,0.7≦y≦1)、(Pb0.97La0.02)(Ti1/2(Zr1-xSnx)1/2)O3(0≦x≦0.5)、0.9(Pb0.99(Ti0.98Nb0.02)O3・0.1(xPb0.99(Sn0.98Nb0.02)O3・(1−x)Pb0.99(Zr0.98Nb0.02)O3(0.5≦x≦1)、Pb0.987(TixZr0.975-xNb0.025)O3(0.5≦x≦1)、及び(Pb1-xLa(3/2)x)(Zr1-yTiy)(0≦x≦0.3,0.8≦y≦1)のうちから選ばれた少なくとも1種を含む材料からコア層12が形成される。
【0026】
コア層12の反強誘電体材料としては、タングステンブロンズ構造のものでも良い。具体的には、(Pb1-xBax)Nb2O6(0≦x≦0.4)、(1−x)(PbNb2O6)・2xPbTiO3(0≦x≦0.1)、及びBa1-xCaxNb2O6(0≦x≦0.6)のうちから選ばれた少なくとも1種を含む材料からコア層12を形成しても好適である。
【0027】
下部及び下層クラッド層11,13は、例えば(PbLa)ZrO3を材料として形成される。ここで、(PbLa)ZrO3は、組成により、反強誘電体としての性質を帯びることもある。
【0028】
上部電極5は、光導波路3上に例えば三角形状に形成されており、電圧制御手段6の他端と接続されている。
電圧制御手段6は、下部電極3と上部電極5との間に可変の電圧を印加し、光導波路4における光の屈折率を変化させて制御するものである。ここで、光導波路4のコア層12において、反強誘電体相転移点に対応した所定電圧を境界(としてディジタル的に屈折率が大きく変化し、当該所定電圧の前後で屈折率がほぼ一定値となることを利用して、電圧制御手段6は、当該所定電圧の前後における第1の電圧と第2の電圧との2値で光導波路4における光の屈折率を制御する。なおこの場合、実際には、反強誘電体相転移点は、ある程度の幅(上記したPbZrTiO3の例では30V/μm程度〜40V/μm程度の範囲)のある境界領域内に存在するため、第1の電圧を当該境界領域の最小値以下の値、第2の電圧を当該幅の最大値以上の値とする。
【0029】
ここで、本実施形態による光偏向素子の製造方法について説明する。
図6は、第1の実施形態による光偏向素子の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
先ず、図6(a)に示すように、基板1上に応力緩和層2及び下部電極3を順次形成する。
具体的には、主成長面の結晶方位が(100)であるNb1%−SrTiO3からなる基板1上に、例えばPbMg0.5W0.5O3を材料としてスパッタ法により堆積し、膜厚100nm程度の応力緩和層2を形成する。
次に、応力緩和層2上に、SrRuO3、CaRuO3、LaNiO3、(LaxSr1-x)CoO3(0≦x≦1)、及び(LaxSr1-x)MnO3(0≦x≦1)から選ばれた少なくとも1種を主材料とした少なくとも1層の膜を成膜し、これに所定の加工を施すことにより、下部電極3を形成する。
【0030】
続いて、図6(b)に示すように、下部電極3上に下部クラッド層11、コア層12、及び上部クラッド層12を順次堆積し、光導波路3を形成する。
下部及び上部クラッド層11,13としては、材料を(PbLa)ZrO3とし、ゾル−ゲル法により形成する。(PbLa)ZrO3用のゾル−ゲル溶液としては、構成金属元素の有機化合物であるPb(CH3COO)2・3H2O〔酢酸鉛〕、La(i−OC3H7)3〔ランタンイソプロポキシド〕、Zr(OC3H7)4〔ジルコニウムプロポキシド〕、及び安定剤としてのCH3COCH2COCH3〔(2,4−ペンタンジオン)を溶剤であるCH3C2H4OH〔2−メトキシエタノール〕で還流により合成する。
【0031】
具体的に、(Pb0.97La0.02)ZrO3組成を作製する場合には、Pb(CH3COO)2・3H2O/La(i−OC3H7)3のモル比を101/3とし、Zr(OC3H7)4のモル比を100とすれば良い。
【0032】
コア層12としては、材料を反強誘電体のPbZrO3とし、ゾル−ゲル法により形成する。PbZrO3用のゾル−ゲル溶液としては、構成金属元素の有機化合物であるPb(CH3COO)2・3H2O〔酢酸鉛〕、Zr(OC3H7)4〔ジルコニウムプロポキシド〕、及び安定剤としてのCH3COCH2COCH3〔(2,4−ペンタンジオン)を溶剤であるCH3C2H4OH〔2−メトキシエタノール〕で還流により合成する。
【0033】
以上の方法で作製したゾル−ゲル溶液を用いて、下部クラッド層11、コア層12及び上部クラッド層12を順次積層し、光導波路4を形成する。
先ず、主成長面の結晶方位が(100)であるNb1%−SrTiO3からなる基板1上に、(Pb0.97La0.02)ZrO3組成のゾル−ゲル前駆体をスピンコート法で塗布する。次に、塗布されたゾル−ゲル前駆体をホットプレート上において例えば140℃で5分間、350℃で5分間のベークを行う。次に、赤外線炉を使用して、酸素雰囲気中において基板1を700℃で焼成する。以上の工程により形成される膜は100nm〜200nm程度の膜厚となる。膜厚が例えば3μm程度となるまで上記の工程を繰り返し行い、(Pb0.97La0.02)ZrO3組成の下部クラッド層11を形成する。
【0034】
続いて、下部クラッド層11上にPbZrO3のゾル−ゲル前駆体をスピンコート法で塗布する。次に、塗布されたゾル−ゲル前駆体をホットプレート上において例えば140℃で5分間、350℃で5分間のベークを行う。次に、赤外線炉を使用して、酸素雰囲気中において基板1を700℃で焼成する。以上の工程により形成される膜は100nm〜200nm程度の膜厚となる。膜厚が例えば4μm程度となるまで上記の工程を繰り返し行い、PbZrO3からなるコア層12を形成する。
【0035】
続いて、コア層12上に(Pb0.97La0.02)ZrO3組成のゾル−ゲル前駆体をスピンコート法で塗布し、下部クラッド層11と同様にして膜厚が4μm程度の上部クラッド層12を形成する。
【0036】
以上の工程を経て、下部クラッド層11、コア層12及び上部クラッド層12からなる光導波路4が形成される。この光導波路4では、下部及び上部クラッド層11,13の屈折率が1.55μmの波長の光に対して2.13となり、コア層12の屈折率が1.55μmの波長の光に対して2.16となり、下部及び上部クラッド層11,13とコア層12との屈折率が異なる構造とされている。このように、下部及び上部クラッド層11,13よりもコア層12の方が屈折率の高い構成とすることにより、コア層12に導波光を集中させることができ、電極損失が小さくなるという利点がある。
【0037】
続いて、上部クラッド層13上に偏向電極4を形成する。
具体的には、図6(c)に示すように、上部クラッド層13上に、例えばCu/W膜を三角形状にマスク蒸着することにより、上部電極5を形成する。
そして、下部電極3と上部電極5とに電圧制御手段6を接続し、本実施形態の光偏向素子を完成させる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、光導波路4における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光偏向素子が実現する。
【0039】
(変形例)
ここで、第1の実施形態の変形例について説明する。
この変形例では、第1の実施形態と同様に光偏向素子を開示するが、上部電極が異なる点で相違する。なお、第1の実施形態による光偏向素子の構成部材と同一のものについては同符号を付して説明を省略する。
【0040】
図7は、第1の実施形態の変形例による光偏向素子の主要構成を示す模式図であり、(a)が平面図、(b)が(a)の線分I−Iに沿った断面図である。
この光偏向素子は、基板1上に形成された応力緩和層2と、応力緩和層2上に積層された電気光学材料からなる光導波路4と、光導波路4上に設けられた上部電極7と、上部電極7に可変の電圧を印加する電圧制御手段6とを備えて構成されている。
【0041】
本変形例の光偏向素子では、下部電極が設けられておらず、また基板1が非導電材料からなる。本変形例では、基板には絶縁材料を用いることが好ましいが、基板1は絶縁材料であるSrTiO3を主成分としており、問題はない。上部電極7は、図7(b)に示すように、互いに平行な一対の帯状電極7a,7bから構成されており、帯状電極7a,7bが光の進行方向に対して傾斜する位置に配されている。この場合、電圧制御手段6の各接続端子は帯状電極7a,7bに接続される。電圧制御手段6により帯状電極7a,7b間に電圧(上記したように2値の電圧)を印加すると、光導波路4の面内方向に電場が加わり、TEモードとTMモードとで電場に対する変化量が等しくなり、屈折率に偏光依存のない光偏向素子が実現する。
【0042】
以上説明したように、本変形例によれば、光導波路4における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光偏向素子が実現する。しかも、屈折率に偏光依存がないため、利便性に優れた光偏向素子である。
【0043】
(第2の実施形態)
本実施形態では、本発明を適用した光スイッチの具体的構成を開示する。
図8は、第2の実施形態による光スイッチの概略構成を示す模式図であり、(a)が光スイッチの主要構成部のみの概略平面図、(b)が(a)中の一点鎖線I−Iに沿った光スイッチの概略断面図である。なお、第1の実施形態と同様の構成部材等については、同符号を付して詳しい説明は省略する。また、図示の便宜上、図8(b)では電圧制御手段6の記載を省略する。
【0044】
本実施形態の光スイッチは、第1の実施形態による光偏向素子10を入力部位及び出力部位にそれぞれ2つずつ並列に配設した構成を採る。
この光スイッチは、2×2配列の光スイッチであり、光偏向機構を備えた主要構成部21と、主要構成部21が配設されるチャネル形成部22とを備えて構成されている。
【0045】
チャネル形成部22は、チャネル基板31上にチャネル導波路32が設けられて構成されている。
チャネル導波路32は、下部クラッド層41と上部クラッド層43との間に、光路が形成されるコア層42が挟持されており、光信号の入力チャネルI1,I2及び出力チャネルO1,O2を備えている。入力チャネルI1,I2は、それぞれ先端部位に信号光をコリメートするマイクロレンズ44が設けられており、各々等間隔に並設されている。出力チャネルO1,O2も同様に、それぞれ後端部位にマイクロレンズ44が設けられており、各々等間隔に並設されている。このチャネル導波路32には、主要構成部21が実装される溝45が形成されており、チャネル基板31表面の溝45の底部に露出する部位には、各種配線層46がパターン形成されている。
【0046】
チャネル形成部22においては、例えばSiからなるチャネル基板31の表面を熱酸化して膜厚5μm程度のSiO2膜を形成した後、SiO2膜の表面から3μm程度の深さまで例えばGaをドープして、膜厚2μm程度の下部クラッド層41及び膜厚2μm程度のコア層42を形成する。その後、ゾル−ゲル法又はスパッタ法等により、コア層42上に膜厚2μm程度のSiO2膜を形成し、上部クラッド層43を形成する。そして、例えばCF4系ガスをエッチングガスとして上部クラッド層43、コア層42及び下部クラッド層41をドライエッチングし、溝45をパターン形成する。
【0047】
光スイッチ20の主要構成部21は、実質的に見れば、各入力チャネルI1,I2及び各出力チャネルO1,O2に対応して第1の実施形態による光偏向素子10が光導波路3を共通としてそれぞれ配設された形に構成されている。
【0048】
各光偏向素子10は、素子基板1上に応力緩和層2及び下部電極3を介して光導波路4が設けられ、この光導波路4上に上部電極5が設けられて構成されている。即ち、光導波路3上に各入力チャネルI1,I2及び各出力チャネルO1,O2に対応してそれぞれ上部電極5が形成され、下部電極3と各上部電極5との間に可変の電圧(上記したように2値の電圧)を印加する電圧制御手段6が設けられて主要構成部21が構成されている。ここで、入力チャネルの上部電極5は当該入力チャネルの光進行方向の前方に、出力チャネルの上部電極5は当該出力チャネルの光進行方向の後方にそれぞれ配されており、入力チャネル側と出力チャネル側とで上部電極5のプリズム形状が逆に設定されており、電圧制御手段6からの印加電圧による光の偏向方向の正負が入力チャネル側と出力チャネル側とで逆になる。
【0049】
本実施形態の光スイッチにおける信号光の制御方法について図9を用いて説明する。図9では、図示の便宜上、電圧制御手段6の記載を省略する。
ここでは、入力チャネルI1から出力チャネルO1へ、入力チャネルI1から出力チャネルO2へ信号光を送る場合をそれぞれ例示する。
【0050】
入力チャネルI1から出力チャネルO1へ信号光を送る場合には、電圧制御手段6から下部電極3と各上部電極5との間に電圧を印加せず(換言すれば、0Vの第1の電圧を印加することと同義)、これにより図中L1で示すように出力チャネルO1へ向かって信号光が直進する。
【0051】
入力チャネルI1から出力チャネルO2へ信号光を送る場合には、電圧制御手段6から、下部電極3と入力チャネルI1の上部電極5との間に第2の電圧を印加するとともに、下部電極3と出力チャネルI2の上部電極5との間に第2の電圧を印加する。この電圧印加により、図中L2で示すように、入力チャネルI1の上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が偏向し、出力チャネルO2へ向かうとともに、出力チャネルO2の上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が逆方向へ偏向し、出力チャネルO2へ向かって信号光が直進する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、光導波路4における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光スイッチが実現する。
【0053】
(変形例)
ここで、第2の実施形態の変形例について説明する。
この変形例では、第2の実施形態と同様に光スイッチを開示するが、複数の主要構成部を直列に接続してなる点で相違する。本変形例の光スイッチは、nを1以上の整数として、n個の主要構成部が直列に接続されており、1段目の主要構成部には2個の入力チャネルが、n段目の主要構成部には2n個の出力チャネルがそれぞれ配されてなるものである。なお、第2の実施形態による光スイッチの構成部材と同一のものについては同符号を付して説明を省略する。
【0054】
図9は、第2の実施形態の変形例による光スイッチの主要構成を示す概略平面図である。
ここでは、k=2の場合を例示する。即ちこの光スイッチは、第2の実施形態で開示した入力チャネル及び出力チャネルがそれぞれ2個ずつ設けられた2×2配列の主要構成部21と、入力チャネル及び出力チャネルがそれぞれ4個ずつ設けられた4×4配列の主要構成部51とが直列に接続されて構成されている。
【0055】
主要構成部51は、実質的に見れば、各入力チャネルI'1,I'2,I'3,I'4及び各出力チャネルO'1,O'2,O'3,O'4に対応して第1の実施形態による光偏向素子10が光導波路3を共通としてそれぞれ配設された形に構成されている。
【0056】
各光偏向素子10は、素子基板1上に応力緩和層2及び下部電極3を介して光導波路4が設けられ、この光導波路4上に上部電極5が設けられて構成されている。即ち、光導波路3上に各入力チャネルI'1〜I'4及び各出力チャネルO'1〜O'4に対応してそれぞれ上部電極5が形成され、下部電極3と各上部電極5との間に可変の電圧(上記したように2値の電圧)を印加する電圧制御手段6が設けられて主要構成部51が構成されている。ここで、入力チャネルの上部電極5は当該入力チャネルの光進行方向の前方に、出力チャネルの上部電極5は当該出力チャネルの光進行方向の後方にそれぞれ配されており、入力チャネル側と出力チャネル側とで上部電極5のプリズム形状が逆に設定されており、電圧制御手段6からの印加電圧による光の偏向方向の正負が入力チャネル側と出力チャネル側とで逆になる。
【0057】
そして、主要構成部21の出力チャネルO1,O2が主要構成部51の入力チャネルI'2,I'3と一致するように、主要構成部21と主要構成部51とが接続されて光スイッチが構成される。
【0058】
本変形例の光スイッチにおける信号光の制御方法について図11を用いて説明する。図11では、図示の便宜上、電圧制御手段6の記載を省略する。
ここでは、主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'2へ、主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'3へ、主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'4へ信号光を送る場合をそれぞれ例示する。
【0059】
主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'2へ信号光を送る場合には、電圧制御手段6から下部電極3と主要構成部21,51の各上部電極5との間に電圧を印加せず(換言すれば、0Vの第1の電圧を印加することと同義)、これにより図中L1で示すように出力チャネルO'2へ向かって信号光が直進する。
【0060】
主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'3へ信号光を送る場合には、主要構成部21側については、電圧制御手段6から、下部電極3と入力チャネルI1の上部電極5との間に第2の電圧を印加するとともに、下部電極3と出力チャネルO2に対応する上部電極5との間に第2の電圧を印加する。この電圧印加により、図中L2で示すように、入力チャネルI1の上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が偏向し、出力チャネルO2へ向かうとともに、出力チャネルO2に対応する上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が逆方向へ偏向し、出力チャネルO2、即ち主要構成部51の入力チャネルI'2へ向かって信号光が直進する。
【0061】
続いて、主要構成部51側については、電圧制御手段6から下部電極3と各上部電極5との間に電圧を印加せず(換言すれば、0Vの第1の電圧を印加することと同義)、これにより図中L2で示すように出力チャネルO'3へ向かって信号光が直進する。
【0062】
主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'4へ信号光を送る場合には、主要構成部21側については、電圧制御手段6から、下部電極3と入力チャネルI1の上部電極5との間に第2の電圧を印加するとともに、下部電極3と出力チャネルO2に対応する上部電極5との間に第2の電圧を印加する。この電圧印加により、図中L3で示すように、入力チャネルI1の上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が偏向し、出力チャネルO2へ向かうとともに、出力チャネルO2に対応する上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が逆方向へ偏向し、出力チャネルO2、即ち主要構成部51の入力チャネルI'2へ向かって信号光が直進する。
【0063】
続いて、主要構成部51側については、電圧制御手段6から、下部電極3と入力チャネルI'2の上部電極5との間に第2の電圧を印加するとともに、下部電極3と出力チャネルO'4の上部電極5との間に第2の電圧を印加する。この電圧印加により、信号光L3は、入力チャネルI'2の上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が偏向し、出力チャネルO'4へ向かうとともに、出力チャネルO'4の上部電極5下で光導波路4の屈折率が変化して信号光が逆方向へ偏向し、出力チャネルO'4へ向かって直進する。
【0064】
このように、主要構成部21の入力チャネルI1から主要構成部51の出力チャネルO'4へ信号光を送る場合には、光スイッチ全体としてみれば、電圧制御手段6により2値の電圧を制御するのみで、入力チャネルI1から出力チャネルO'4へ、1つの主要構成部で第2の電圧を印加した場合の2倍に相当する光偏向を得ることができ、実質的には4×4配列の光スイッチが実現することになる。
【0065】
以上説明したように、本変形例によれば、光導波路4における屈折率を容易且つ正確に制御し、装置の更なる小型化にも対応可能な光スイッチが実現する。しかもこの場合、主要構成部の接続数に応じて大きな光偏向が得られ、2値の電圧を制御するのみで2k×2k配列の光スイッチが実現する。
【0066】
なお、本変形例において、主要構成部21と主要構成部51とで反強誘電体相転移点となる電圧が異なる反強誘電体材料から各コア層12を形成しても良い。この構成により、更に大きな光偏向を得たり、きめ細かい光偏向制御を得ることができる光スイッチが実現する。
【0067】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0068】
(付記1)基板と、
前記基板の上方に形成されており、電気光学効果を有する少なくとも1層の反強誘電体材料からなる電気光学効果膜と、
前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して前記電気光学効果膜を通過する光の屈折率を制御する電圧制御手段と
を含み、
前記電圧制御手段は、前記電気光学効果膜における反強誘電体相転移点となる電圧を基準値として、前記基準値よりも小さい第1の電圧と、前記基準値よりも大きい第2の電圧との2値により前記屈折率を制御することを特徴とする光学素子。
【0069】
(付記2)基板と、
前記基板の上方に形成されており、電気光学効果を有する少なくとも1層の反強誘電体材料からなる電気光学効果膜と、
前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して前記電気光学効果膜を通過する光の屈折率を制御する電圧制御手段と
を含み、
印加電圧に対して略一定の屈折率となる第1の電圧領域と、印加電圧に対して屈折率が急激に変化する第2の電圧領域とを有することを特徴とする光学素子。
【0070】
(付記3)前記基板は、SrTiO3を主成分とする材料からなることを特徴とする付記1又は2に記載の光学素子。
【0071】
(付記4)前記電気光学効果膜は、前記基板の結晶方位にエピタキシャル成長されてなることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の光学素子。
【0072】
(付記5)少なくとも1層の前記電気光学効果膜を含む光導波路が構成されていることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の光学素子。
【0073】
(付記6)前記光導波路は、前記電気光学効果膜からなるコア層を強誘電体材料からなる下部及び上部クラッド層により挟持してなり、前記コア層と前記クラッド層との屈折率が異なることを特徴とする付記5に記載の光学素子。
【0074】
(付記7)前記基板と前記電気光学効果膜との間に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための下部電極が設けられていることを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の光学素子。
【0075】
(付記8)前記下部電極は、SrRuO3、CaRuO3、LaNiO3、(LaxSr1-x)CoO3(0≦x≦1)、及び(LaxSr1-x)MnO3(0≦x≦1)から選ばれた少なくとも1種を主成分とする膜が少なくとも1層形成されてなるものであることを特徴とする付記7に記載の光学素子。
【0076】
(付記9)前記電気光学効果膜上に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための上部電極が設けられていることを特徴とする付記1〜8のいずれか1項に記載の光学素子。
【0077】
(付記10)前記電気光学効果膜上に、前記電圧制御手段により電圧が印加される一対の電極が設けられていることを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の光学素子。
【0078】
(付記11)前記電気光学効果膜は、単純ペロブスカイト構造を有することを特徴とする付記1〜10のいずれか1項に記載の光学素子。
【0079】
(付記12)前記単純ペロブスカイト構造は、NaNbO3、PbZrO3、Pb(Mg1/2W1/2)xO3、Pb(Cd1/2W1/2)xO3、Pb(Mn1/2Re1/2)xO3、Pb(Yb1/2Nb1/2)xO3、Pb(Lu1/2Nb1/2)xO3、Pb(La1/2Ta1/2)xO3、Pb(Mn2/3W1/3)xO3、(1−x)NaTaO3・xKNbO3(0.4≦x≦1)、(1−x)NaNbO3・xKTaO3(0≦x≦1)、(1−x)PbZrO3・xNaNbO3(0≦x≦0.1,0.8≦x≦1)、(1−x)NaNbO3・x(1/2PbNb2O6)(0≦x≦0.1)、(1−x)PbZrO3・xPbTiO3(0≦x≦0.1)、(1−x)PbHfO3・xCaHfO3(0≦x≦0.2)、(1−x)(Na1/2Bi1/2)TiO3・xPbZrO3(0.9≦x≦1)、(1−x)PbZrO3・x(K1/2Bi1/2)ZrO3(0.4≦x≦1)、(1−x)NaTaO3・xKNbO3(0.4≦x≦1,0≦x≦0.5)、xPb(Fe2/3U1/3)O3・(1−x)PbZrO3(0≦x≦0.1)、(Pb1-xSrx)(Ti1-yZry)O3(0≦x≦0.4,0.7≦y≦1)、(1−x)Pb(Ti1-yZry)O3・xLaFeO3(0≦x≦0.2,0.7≦y≦1)、(Pb0.97La0.02)(Ti1/2(Zr1-xSnx)1/2)O3(0≦x≦0.5)、0.9(Pb0.99(Ti0.98Nb0.02)O3・0.1(xPb0.99(Sn0.98Nb0.02)O3・(1−x)Pb0.99(Zr0.98Nb0.02)O3(0.5≦x≦1)、Pb0.987(TixZr0.975-xNb0.025)O3(0.5≦x≦1)、及び(Pb1-xLa(3/2)x)(Zr1-yTiy)(0≦x≦0.3,0.8≦y≦1)のうちから選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする付記11に記載の光学素子。
【0080】
(付記13)前記電気光学効果膜は、少なくとも1層がタングステンブロンズ構造を有することを特徴とする付記1〜10のいずれか1項に記載の光学素子。
【0081】
(付記14)前記タングステンブロンズ構造は、(Pb1-xBax)Nb2O6(0≦x≦0.4)、(1−x)(PbNb2O6)・2xPbTiO3(0≦x≦0.1)、及びBa1-xCaxNb2O6(0≦x≦0.6)のうちから選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする付記13に記載の光学素子。
【0082】
(付記15)少なくとも1層の前記電気光学効果膜を有して構成された光導波路と、
前記光導波路上の一端に並列して形成されており、光信号を入力する複数の入力チャネルと、
前記光導波路上の他端に並列して形成されており、光信号を出力する複数の出力チャネルと、
前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して、前記入力チャネルに入力した光の屈折率を制御する電圧制御手段と
を含み、
前記電圧制御手段は、前記電気光学効果膜における反強誘電体相転移点となる電圧を基準値として、前記基準値よりも小さい第1の電圧と、前記基準値よりも大きい第2の電圧との2値により前記屈折率を制御することを特徴とする光スイッチ。
【0083】
(付記16)前記基板と前記光導波路との間に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための下部電極が設けられていることを特徴とする付記15に記載の光スイッチ。
【0084】
(付記17)前記光導波路上に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための上部電極が設けられていることを特徴とする付記15又は16に記載の光スイッチ。
【0085】
(付記18)前記光導波路上に、前記電圧制御手段により電圧が印加される一対の電極が設けられていることを特徴とする付記15に記載の光スイッチ。
【0086】
(付記19)nを1以上の整数として、
n個の前記光導波路が直列に接続されており、1段目の前記光導波路には2個の前記入力チャネルが、n段目の前記光導波路には2n個の前記出力チャネルがそれぞれ配されてなることを特徴とする付記15〜18のいずれか1項に記載の光スイッチ。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の比較例による制御方法を示す特性図である。
【図2】印加電圧をフィードバック制御する様子を示す模式図である。
【図3】反強誘電体の電気光学効果膜に電場(電圧)を印加した際の光の屈折率変化を示す特性図である。
【図4】本発明による制御方法を示す概念図である。
【図5】第1の実施形態による光偏向素子の主要構成を示す模式図である。
【図6】第1の実施形態による光偏向素子の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図7】第1の実施形態の変形例による光偏向素子の主要構成を示す模式図である。
【図8】第2の実施形態による光スイッチの概略構成を示す模式図である。
【図9】第2の実施形態による光スイッチを用いた信号光の制御方法を説明するための概略平面図である。
【図10】第2の実施形態の変形例による光スイッチの主要構成を示す概略平面図である。
【図11】第2の実施形態の変形例による光スイッチを用いた信号光の制御方法を説明するための概略平面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 基板
2 応力緩和層
3 下部電極
4 光導波路
5,7 上部電極
6 電圧制御手段
11,41 下部クラッド層
12,42 コア層
13,43 上部クラッド層
20 光スイッチ
21,51 主要構成部
22 チャネル形成部
31 チャネル基板
32 チャネル導波路
44 マイクロレンズ
45 溝
46 配線層
47 半田ボール
I1,I2,I'1〜'4 入力チャネル
O1〜O4 出力チャネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方に形成されており、電気光学効果を有する少なくとも1層の反強誘電体材料からなる電気光学効果膜と、
前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して前記電気光学効果膜を通過する光の屈折率を制御する電圧制御手段と
を含み、
前記電圧制御手段は、前記電気光学効果膜における反強誘電体相転移点となる電圧を基準値として、前記基準値よりも小さい第1の電圧と、前記基準値よりも大きい第2の電圧との2値により前記屈折率を制御することを特徴とする光学素子。
【請求項2】
基板と、
前記基板の上方に形成されており、電気光学効果を有する少なくとも1層の反強誘電体材料からなる電気光学効果膜と、
前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して前記電気光学効果膜を通過する光の屈折率を制御する電圧制御手段と
を含み、
印加電圧に対して略一定の屈折率となる第1の電圧領域と、印加電圧に対して屈折率が急激に変化する第2の電圧領域とを有することを特徴とする光学素子。
【請求項3】
少なくとも1層の前記電気光学効果膜を含む光導波路が構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記光導波路は、前記電気光学効果膜からなるコア層を強誘電体材料からなる下部及び上部クラッド層により挟持してなり、前記コア層と前記クラッド層との屈折率が異なることを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
【請求項5】
前記基板と前記電気光学効果膜との間に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための下部電極が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項6】
前記電気光学効果膜上に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための上部電極が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項7】
少なくとも1層の前記電気光学効果膜を有して構成された光導波路と、
前記光導波路上の一端に並列して形成されており、光信号を入力する複数の入力チャネルと、
前記光導波路上の他端に並列して形成されており、光信号を出力する複数の出力チャネルと、
前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して、前記入力チャネルに入力した光の屈折率を制御する電圧制御手段と
を含み、
前記電圧制御手段は、前記電気光学効果膜における反強誘電体相転移点となる電圧を基準値として、前記基準値よりも小さい第1の電圧と、前記基準値よりも大きい第2の電圧との2値により前記屈折率を制御することを特徴とする光スイッチ。
【請求項8】
前記基板と前記光導波路との間に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための下部電極が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の光スイッチ。
【請求項9】
前記光導波路上に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための上部電極が設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の光スイッチ。
【請求項10】
nを1以上の整数として、
n個の前記光導波路が直列に接続されており、1段目の前記光導波路には2個の前記入力チャネルが、n段目の前記光導波路には2n個の前記出力チャネルがそれぞれ配されてなることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の光スイッチ。
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方に形成されており、電気光学効果を有する少なくとも1層の反強誘電体材料からなる電気光学効果膜と、
前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して前記電気光学効果膜を通過する光の屈折率を制御する電圧制御手段と
を含み、
前記電圧制御手段は、前記電気光学効果膜における反強誘電体相転移点となる電圧を基準値として、前記基準値よりも小さい第1の電圧と、前記基準値よりも大きい第2の電圧との2値により前記屈折率を制御することを特徴とする光学素子。
【請求項2】
基板と、
前記基板の上方に形成されており、電気光学効果を有する少なくとも1層の反強誘電体材料からなる電気光学効果膜と、
前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して前記電気光学効果膜を通過する光の屈折率を制御する電圧制御手段と
を含み、
印加電圧に対して略一定の屈折率となる第1の電圧領域と、印加電圧に対して屈折率が急激に変化する第2の電圧領域とを有することを特徴とする光学素子。
【請求項3】
少なくとも1層の前記電気光学効果膜を含む光導波路が構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記光導波路は、前記電気光学効果膜からなるコア層を強誘電体材料からなる下部及び上部クラッド層により挟持してなり、前記コア層と前記クラッド層との屈折率が異なることを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
【請求項5】
前記基板と前記電気光学効果膜との間に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための下部電極が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項6】
前記電気光学効果膜上に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための上部電極が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項7】
少なくとも1層の前記電気光学効果膜を有して構成された光導波路と、
前記光導波路上の一端に並列して形成されており、光信号を入力する複数の入力チャネルと、
前記光導波路上の他端に並列して形成されており、光信号を出力する複数の出力チャネルと、
前記電気光学効果膜に可変の電圧を印加して、前記入力チャネルに入力した光の屈折率を制御する電圧制御手段と
を含み、
前記電圧制御手段は、前記電気光学効果膜における反強誘電体相転移点となる電圧を基準値として、前記基準値よりも小さい第1の電圧と、前記基準値よりも大きい第2の電圧との2値により前記屈折率を制御することを特徴とする光スイッチ。
【請求項8】
前記基板と前記光導波路との間に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための下部電極が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の光スイッチ。
【請求項9】
前記光導波路上に、前記電圧制御手段により電圧を印加するための上部電極が設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の光スイッチ。
【請求項10】
nを1以上の整数として、
n個の前記光導波路が直列に接続されており、1段目の前記光導波路には2個の前記入力チャネルが、n段目の前記光導波路には2n個の前記出力チャネルがそれぞれ配されてなることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の光スイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−194993(P2006−194993A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4252(P2005−4252)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「フォトニックネットワーク技術の開発事業」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「フォトニックネットワーク技術の開発事業」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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