説明

光学素子用蓋体および該光学素子用蓋体を用いた光学素子

【課題】撮像素子などの光学素子の受光特性低下を引き起こすことがない光学素子用蓋体と、この光学素子用蓋体を用いた光学素子とを提供する。
【解決手段】撮像素子チップに取り付けられる撮像素子用蓋体100Aなどの光学素子用蓋体において、光が透過する蓋本体10と、該蓋本体10が前記撮像素子チップから離間するように該蓋本体から凸起し、前記撮像素子チップに接着される枠状の凸起部20とを有し、少なくとも前記凸起部20には、着色層20aを設けるなどの着色処理が施されている撮像素子用蓋体100A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子用蓋体および該光学素子用蓋体を用いた光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ、デジタルカメラ等の受光部には、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等の撮像素子(光学素子)が搭載されている。
この撮像素子は、一般に、半導体チップ(撮像素子チップ)がセラミックパッケージ等のパッケージに収納され、該パッケージ上に、保護ガラス等の蓋体が接着した構成となっている。
【0003】
このような撮像素子として、例えば、特許文献1には、撮像素子チップを搭載するための凹部および該凹部を取り囲むシールリングを有する絶縁基体からなるパッケージと、開口部を有する金属枠体と該開口部内外に設置される透光性の窓体とから構成される蓋体とを接合してなる撮像素子が提案されている。
ところが、特許文献1に記載された撮像素子は、大型であり、小型化、薄型化、軽量化が望まれる近年の傾向に対応していないという問題があった。
【0004】
一方、例えば、特許文献2には、撮像素子チップと保護ガラスが封止用樹脂により接着した撮像素子が提案されている。この撮像素子は、撮像素子チップと保護ガラスとの距離が近く、小型であったが、前記距離が近過ぎるため、撮像素子チップの高性能化等とも相まって、製造時に保護ガラスに付着した異物(ゴミ)が撮影画像に写り込んでしまうという問題があった。
【0005】
このような事情を背景として、特許文献3には、撮像素子チップに取り付けられる撮像素子用蓋体として、光透過部が形成された蓋本体と、該蓋本体が前記撮像素子チップから離間するように、蓋本体から凸起し、撮像素子チップに接着される枠状の凸起部とを有するものが提案されている。
この撮像素子用蓋体によれば、小型であるとともに、撮像素子用蓋体に付着した異物の撮影画像への写り込みを防止することができる。撮像素子用蓋体の材質としては、耐熱性、耐衝撃性の良好なガラスなどが例示されている。
【0006】
また、特許文献4にも、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどのセンサを保護するガラス製保護材として、センサ本体に接合される凸起部(凸部)が形成されたものが開示されている。
【特許文献1】特開2004−31815号公報
【特許文献2】特開2002−237581号公報
【特許文献3】特開2006−332200号公報
【特許文献4】特開2007−288024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3および4に記載のようなガラス製の撮像素子用蓋体を使用した場合、撮像素子の受光特性が低下し、撮影画像に色相変化などが認められる場合があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、撮像素子などの光学素子の受光特性低下を引き起こすことがない光学素子用蓋体と、この光学素子用蓋体を用いた光学素子とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、凸起部を有する撮像素子用蓋体としてガラス製などの光透過性のある透明なものを使用した場合には、凸起部を透過した光が撮像素子用蓋体の内側に入り込み、それに起因して、撮像素子の受光特性が低下することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の光学素子用蓋体は、光学素子チップに取り付けられる光学素子用蓋体において、光が透過する蓋本体と、該蓋本体が前記光学素子チップから離間するように該蓋本体から凸起し、前記光学素子チップに接着される枠状の凸起部とを有し、少なくとも前記凸起部には、着色処理が施されていることを特徴とする。
前記蓋本体は平板状であり、該蓋本体の側面にも着色処理が施されていることが好ましい。
本発明の光学素子は、前記光学素子用蓋体と、該光学素子用蓋体の凸起部が接着した光学素子チップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮像素子などの光学素子における外部からの光の進入や、その光が光学素子用蓋体内で反射した内部反射光の散乱などによる受光特性低下を引き起こすことがない光学素子用蓋体と、この光学素子用蓋体を用いた光学素子とを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の光学素子用蓋体および光学素子として、撮像素子用蓋体および撮像素子を例示し、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
[光学素子用蓋体]
(撮像素子用蓋体:第1実施形態例)
図1および図2は、本発明の第1実施形態例であるガラス製の撮像素子用蓋体100Aを示すものである。この例の撮像素子用蓋体100Aは、光が透過する蓋本体10と、該蓋本体10の一面から凸起した枠状の凸起部20とを有し、着色されていない透明ガラス材料の切削加工により、蓋本体10と凸起部20とが一体に形成されたものである。
この例の蓋本体10は、平板状であって、その厚みは、好ましくは0.05〜1.5mmであり、より好ましくは0.3〜0.7mmである。
【0014】
凸起部20は、蓋本体10と撮像素子チップ(光学素子チップ)とを離間させるスペーサとしての機能を発揮するものであって、蓋本体10の外周に沿って枠状に設けられ、その先端部29が撮像素子チップに接着するようになっている。このような凸起部20が形成されることにより、この撮像素子用蓋体100Aを撮像素子チップ上に設けた場合において、蓋本体10と撮像素子チップとの距離を適度に離間させることができ、その結果、製造時などに蓋本体10に異物(ゴミ)が付着した場合でも、この異物の撮影画像への写り込みを防止することができる。
【0015】
そして、凸起部20の全周には、黒色塗料の塗布による着色処理が施されている。具体的にこの例では、図2に示すように、凸起部20の外周面全体が黒色に着色され、黒色の着色層20aが設けられている。また、この例では、蓋本体10の4つの側面全体にも、同様に黒色の着色層10aが設けられている。なお、この例では、凸起部20の内周面全体には、着色処理は施されていない。
このような着色層20aが凸起部20の全周に設けられ、着色処理が施されていると、光は凸起部20において遮断されるため、凸起部20を透過して撮像素子用蓋体100Aの外側から内側へと入り込むことができない。そのため、このような撮像素子用蓋体100Aによれば、凸起部20を透過して撮像素子用蓋体100Aの内側に入り込む光に起因した撮像素子の受光特性低下、すなわち、外部からの光の進入や、その光が光学素子用蓋体内で反射した内部反射光の散乱などによる受光特性低下を引き起こすことがない。よって、この撮像素子用蓋体100Aを備えた撮像素子によれば、受光特性低下による色相変化のない撮影画像を得ることができる。
さらに、この例では、蓋本体10の側面全体にも黒色の着色層10aが設けられ、着色処理が施されているため、蓋本体10の側面から撮像素子用蓋体100Aの内側に入り込む斜め方向の光も遮断することができる。よって、このような光に起因した撮像素子の受光特性低下も抑制することができる。
【0016】
ここで、凸起部20の全周に着色処理を施す形態としては、図2に示したように、凸起部20の外周面全体に着色層20aを設けることにより着色処理を施す形態の他、図3に部分拡大断面図を示すように、凸起部20の内周面全体に着色層20aを設けることにより着色処理を施す形態も挙げられる。また、図示は略すが、凸起部20の外周面全体と内周面全体の両方に着色層20aを設けてもよいし、あるいは、凸起部20の全周のうちの一部については外周面に着色層20aを設け、残りの一部については内周面に着色層20aを設けてもよい。すなわち、凸起部20の全周において、撮像素子用蓋体100Aの内側に入り込む光を遮断できるように、着色層20aが設けられていればよい。なお、凸起部20の先端部29は、ここでいう全周には含まれない。
また、これらのいずれの場合においても、例えば図2に示したように、蓋本体10の側面全体にも黒色の着色層10aを設け、着色処理を施すことによって、蓋本体10の側面から撮像素子用蓋体100Aの内側に入り込む斜め方向の光も遮断でき、撮像素子の受光特性低下をより抑制することができる。
これらの場合、着色層10a、20aの厚みとしては、0.5nm〜1mm程度であれば、十分に光を遮断できる。
【0017】
ここで着色層10a、20aの形成に使用される塗料としては、その種類や色には特に制限はないが、光を遮断する効果が高いことから、黒色の塗料が好ましい。
また、特に、凸起部20の内周面に着色処理を施す場合には、マット調仕上げの塗料を使用することが好ましい。マット調仕上げの塗料により、凸起部20の内周面に形成された着色層20aによれば、受光特性の低下をより抑制することができる。すなわち、蓋本体10に対して垂直方向ではなく、例えば図3中矢印で示すような斜め方向に蓋本体10を透過して、撮像素子用蓋体100Aの内側に光が入り込み、この光が凸起部20の内周面に到達した場合、ここにマット調仕上げの塗料からなる着色層20aが設けられていると、この着色層20aは光を主に吸収し、反射しにくい。ここで斜め方向の光が主に反射してしまい反射光(内部反射光)が生じると、これに起因して、撮像素子の受光特性が低下してしまう。よって、凸起部20の内周面に着色層20aを設ける場合に、マット調仕上げの塗料を使用すると、このような斜め方向の光が凸起部20の内周面で反射することに起因する、撮像素子の受光特性低下も抑制することができる。
【0018】
なお、着色層10a、20aを設ける方法としては、塗料を塗布する代わりに、黒色などに着色された着色テープを目的の箇所に貼着する方法も挙げられる。
【0019】
凸起部20の高さは、蓋本体10の撮像素子チップ側の面と撮像素子チップ表面との間の距離が50μm以上となるように設定することが好ましい。該距離を50μm以上とすることにより、蓋本体10に付着した異物の撮影画像への写り込みを防止することができ、近年の撮像素子チップの高性能化に対応することができる。
また、凸起部20の高さは、該距離が300μm以下となるように設定することがより好ましい。該距離をこの範囲とすることにより、撮像素子として小型なものとなり、好適である。
【0020】
なお、撮像素子用蓋体100Aの蓋本体10に付着した例えば長さが3μmの異物は、蓋本体10の撮像素子チップ側の面と撮像素子チップ表面との間の距離が20μmの場合では、撮影画像に影となって写り込んでしまう。しかしながら、蓋本体10の撮像素子チップ側の面と撮像素子チップ表面との間の距離が100μmの場合では、長さ3μmの異物でも写り込むことがなくなる。すなわち、異物がボヤけるようになり、写り込みとして問題ないレベルとなる。
【0021】
また、この例では、撮像素子用蓋体100Aを構成する材料として、撮像素子チップの作動により発生する熱への耐熱性や耐衝撃性に優れる点で好適なガラスを例示したが、光を透過し、外気や水分の浸入を防ぐものであればよく、例えば、ポリスチレン樹脂;アクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレートなどのエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;ポリエーテルサルフォン等の樹脂なども使用できる。また、蓋本体10は単層でも、2層以上の多層でもよく、上記材料のうち1種以上を使用できる。
【0022】
(撮像素子用蓋体:第2実施形態例)
図4は、本発明の第2実施形態例であるガラス製の撮像素子用蓋体100Bを示すものである。この例の撮像素子用蓋体100Bは、平板状の蓋本体10と、枠状の凸起部20とが別々に製造された後、これらが接着、融着等で一体化されたものである点、また、特に枠状の凸起部20は、あらかじめ黒色に着色された平板状の着色ガラス材料の切削加工により形成されたものである点で、第1実施形態例の撮像素子用蓋体100Aとは異なっている。
【0023】
このように第2実施形態例の撮像素子用蓋体100Bでは、着色ガラス材料により凸起部20が形成されることにより、凸起部20の全周に着色処理が施された状態となっている。このような撮像素子用蓋体100Bにおいても、光は凸起部20において遮断され、凸起部20を透過して撮像素子用蓋体100Bの外側から内側に入り込むことがない。そのため、第1実施形態例の場合と同様、凸起部20を透過する光に起因した撮像素子の受光特性低下を引き起こすことがなく、よって、この撮像素子用蓋体100Bを備えた撮像素子によれば、受光特性低下による色相変化のない撮影画像を得ることができる。
なお、この例の撮像素子用蓋体100Bの場合でも、蓋本体10の側面全体に黒色の着色層を設けて着色処理を施すことによって、蓋本体10の側面から撮像素子用蓋体100Bの内側に入り込む斜め方向の光も遮断でき、撮像素子の受光特性低下をより抑制することができる。
【0024】
凸起部20を着色ガラス材料で製造する方法としては、上述の着色ガラス材料の切削加工の他、ペースト状の低融点ガラス(融点400〜700℃のガラス、フィラー、レジン、溶剤等からなる溶液)を用いる方法も挙げられる。具体的には、低融点ガラスに着色剤を配合した組成物を蓋本体10の片面全体に塗布し、乾燥固化させ、低融点ガラス層を形成する。ついで、この低融点ガラス層をサンドブラスト処理して蓋本体10の外周に沿った枠状に加工し、その後焼成することで、凸起部20を形成すればよい。
また、凸起部20は、樹脂材料に黒色顔料などの着色剤を配合した着色樹脂材料で形成されてもよい。その場合、蓋本体10も、樹脂材料(透明樹脂材料)から形成してもよい。樹脂としては、第1実施形態例で例示したものなどを使用できる。
【0025】
(撮像素子用蓋体:第3実施形態例)
図5は、本発明の第3実施形態例の撮像素子用蓋体100Cを示すものである。この例の撮像素子用蓋体100Cの蓋本体10は、着色されていない透明ガラス材料からなる平板状のものである。一方、枠状の凸起部20は、蓋本体10と略平行に配置された樹脂フィルム層20bと接着剤層20cとから構成されている。
そして、凸起部20の全周(この例では凸起部20の外周面全体)と、蓋本体10の側面全体に、黒色の着色層10a、20aが設けられ、着色処理が施されている。
この例の撮像素子用蓋体100Cを製造する場合には、図6に示すように、まず、シート状の樹脂フィルム層20bの片面全体に接着剤層20cを設け(図6(a))、例えばパンチング等により打ち抜くことで枠状に形成して、凸起部20を製造する(図6(b))。ついで、こうして形成された枠状の凸起部20の接着剤層20cを蓋本体10に接着する。その後、凸起部20の全周(この例では凸起部20の外周面全体)と蓋本体10の側面全体に、第1実施形態例と同様の方法などで、黒色の着色層10a、20aを設ける(図6(c))。このような方法により、撮像素子用蓋体100Cが製造できる。
【0026】
このような撮像素子用蓋体100Cにおいても、光は凸起部20において遮断され、凸起部20を透過して撮像素子用蓋体100Cの外側から内側に入り込むことがない。そのため、第1および第2実施形態例の場合と同様、凸起部20を透過する光に起因した撮像素子の受光特性低下を引き起こすことがなく、よって、この撮像素子用蓋体100Cを備えた撮像素子によれば、受光特性低下による色相変化のない撮影画像を得ることができる。また、この例では、第1実施形態例と同様に、着色層10aも設けられているため、蓋本体10の側面から撮像素子用蓋体100Cの内側に入り込む斜め方向の光も遮断でき、撮像素子の受光特性低下をより抑制することができる。
【0027】
樹脂フィルム層20bに用いられる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル樹脂フィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィン樹脂フィルム;ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の合成樹脂フィルム等が挙げられる。中でも、ガラス転移温度が100℃以上のフィルムが、実装工程でリフロー、ハンダに耐えられるために好ましい。
また、接着剤層20cを形成する材料として、天然ゴム、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、これらの共重合物等の樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。接着剤層20cは、これらの樹脂を含む塗布液を樹脂フィルム層20bに塗布する方法や、予め作製されたフィルム状接着剤を貼り合わせる方法により、形成できる。
なお、蓋本体10は、透明ガラス材料以外に、第1実施形態例で例示した樹脂などから形成された透明樹脂板であってもよい。
【0028】
このような第3実施形態例の撮像素子用蓋体100Cでは、膜厚が予め制御された成形体である樹脂フィルム層20bを使用して凸起部20を形成するために、その高さを制御しやすい。また、構造上の耐性を目的とする弾性材料の選択や、光学的効果や視覚的効果を目的とする凸起部20のデザイン形成の容易さにも優れるなどの点で好ましい。
【0029】
[光学素子]
(撮像素子)
図7は、撮像素子200の一実施形態例を示すものであって、上述の撮像素子用蓋体100Aと、該撮像素子用蓋体100Aの凸起部20が接着した撮像素子チップ50とを有して構成されている。
具体的には、この例の撮像素子200は、凸起部20と撮像素子チップ50とが封止用接着剤30で接着されることにより一体化し、かつ、リードピン40とバンプ60とマイクロレンズ70とを具備している。
【0030】
撮像素子チップ50は、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等が、半導体チップ上に複数形成されたものである。
撮像素子チップ50上には、マイクロレンズ70がイメージセンサごとに設けられている。また、撮像素子チップ50上には、バンプ60が複数設けられ、該バンプ60にリードピン40の一端が電気的に接続されている。
【0031】
撮像素子用蓋体100Aと撮像素子チップ50とを一体化する際に使用される封止用接着剤30としては、例えば、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等からなるものが挙げられる。
なお、封止用接着剤30は、撮像素子用蓋体100Aと撮像素子チップ50とを一体化する際に、所定の部分に設けてもよいし、予め撮像素子用蓋体100Aの凸起部20側に設けておいてもよい。
また、同様にして、撮像素子用蓋体100Aの代わりに、撮像素子用蓋体100B、100Cを用いて撮像素子を構成することもできる。
【0032】
以上説明したように、このような撮像素子用蓋体100A、100B、100Cは、少なくとも凸起部20の全周に、黒色などの着色処理が施されているため、光は凸起部20において遮断され、凸起部20を透過して撮像素子用蓋体100A、100B、100Cの外側から内側へと入り込むことができない。そのため、このような凸起部20が形成された撮像素子用蓋体100A、100B、100Cによれば、凸起部20を透過して撮像素子用蓋体100A、100B、100Cの内側に入り込む光に起因した撮像素子200の受光特性低下を引き起こすことがない。よって、この撮像素子用蓋体100A、100B、100Cを備えた撮像素子200によれば、受光特性低下による色相変化のない撮影画像を得ることができる。
さらに、蓋本体10の側面全体にも黒色などの着色層10aが設けられ、着色処理が施されると、蓋本体10の側面から撮像素子用蓋体100A、100B、100Cの内側に入り込む斜め方向の光も遮断でき、このような光に起因した撮像素子200の受光特性低下も抑制することができる。
【0033】
なお、以上の説明においては、光学素子として撮像素子200を例示し、光学素子用蓋体として撮像素子用蓋体100A、100B、100Cを例示したが、その他、光学素子としては、例えば半導体レーザーや光ピックアップ部品の受光素子などが挙げられ、光学素子用蓋体としては、受光素子用蓋体などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態例である撮像素子用蓋体を示す斜視図である。
【図2】(a)図1の撮像素子用蓋体の平面図と、(b)(a)のA−A’線に沿う断面図と、(c)(b)を部分的に拡大した部分拡大断面図である。
【図3】撮像素子用蓋体の他の一例を示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態例である撮像素子用蓋体を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態例である撮像素子用蓋体を示す断面図である。
【図6】図5の撮像素子用蓋体の製造工程を示す断面図である。
【図7】本発明の撮像素子の一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
10:蓋本体
20:凸起部
29:先端部
50:撮像素子チップ
100A、100B、100C:撮像素子用蓋体
200:撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子チップに取り付けられる光学素子用蓋体において、
光が透過する蓋本体と、該蓋本体が前記光学素子チップから離間するように該蓋本体から凸起し、前記光学素子チップに接着される枠状の凸起部とを有し、
少なくとも前記凸起部には、着色処理が施されていることを特徴とする光学素子用蓋体。
【請求項2】
前記蓋本体は平板状であり、該蓋本体の側面にも着色処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用蓋体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学素子用蓋体と、該光学素子用蓋体の凸起部が接着した光学素子チップとを有することを特徴とする光学素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−129976(P2010−129976A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306650(P2008−306650)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】