説明

光学装置、位置検出方法、および表示装置の製造方法

【課題】高い位置合わせ精度を得ることの可能な光学装置、および位置検出方法を提供すると共に、上記の位置検出方法を用いた表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】位置検出装置において、積層フィルムを所定の位置に配置する。次に、その積層フィルムの端面に、積層フィルムの法線と交差する方向から直線偏光光を照射し、その状態で、積層フィルムの端面およびその近傍を積層フィルムの上方から撮像する。その後、そのようにして得られた映像に基づいて積層フィルムの位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、高い位置合わせ精度を得ることの可能な光学装置、および位置検出方法に関する。また、本技術は、上記の位置検出方法を用いた表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3次元表示が可能なディスプレイの開発が進んでいる。3次元表示方式としては、例えば、右眼用の画像と左眼用の画像とをそれぞれディスプレイの画面に表示し、これを、偏光めがねをかけた状態で観察する方式がある(例えば、特許文献1参照)。この方式は、2次元表示が可能なディスプレイ、例えばブラウン管、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイの前面に、パターニングされた位相差フィルムを配置することで実現される。位相差フィルムには、左右の眼にそれぞれ入射する光の偏光状態を制御するために、リターデンションや光学軸がディスプレイの画素レベルでパターニングされている。そのため、ディスプレイの画素に合わせて位相差フィルムを貼り合わせることが必要となる。
【0003】
ところで、位相差フィルムと表示パネルとの貼り合わせには、高精度なアライメントが必要である。そのため、例えば、位相差フィルムおよび表示パネルの双方にアライメントマークを付けておき、検出用カメラでそれぞれのアライメントマークを撮像し、得られた画像からそれぞれの位置を導出することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−221461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、対象物にアライメントマークを形成する方法としては、例えば、対象物に対してアライメントマークを蒸着や印刷などにより事後的に付与したり、マークを付した部材を用いて対象物を製造したりする方法が考えられる。しかし、そのような方法を、例えば、位相差フィルムと表示パネルとの貼り合わせなどに適用した場合には、位相差フィルムの位相差領域の形成と、アライメントマークの形成とが別工程となる。そのため、アライメント精度を向上させようとしたときには、一方の位置を認識しながら、他方を高精度に位置決めすることが必要となる。その結果、製造工程が複雑となったり、工程数が多くなったりするという問題がある。
【0006】
そこで、例えば、位相差フィルムのパターン化位相差領域およびアライメントマークの双方を、凹凸パターンを有する金属原盤による一括転写によって形成するなどして、位相差フィルムのパターン化位相差領域およびアライメントマークを同一工程で形成することが考えられる。また、例えば、位相差フィルムのパターン化位相差領域そのものを、アライメントマークとして利用することも考えられる。上記のようにした場合には、簡易な方法かつ少ない工程数でアライメント精度を向上させることができる。ただし、上記のようにした場合には、アライメントマークを画像認識するために、検出用カメラの光路上に、アライメントマークの他に、例えば、偏光板などを設けることが必要となる。
【0007】
ところが、例えば、位相差フィルムと表示パネルとの貼り合わせに際して、位相差フィルムの上面には、位相差フィルムの上面に傷および汚れが付着するのを防止する保護フィルムがあらかじめ貼り合わされていることがある。また、同様に、位相差板の裏面に、保護フィルムが貼り合わされていることもある。
【0008】
通常、保護フィルムには、リターデンションの高いPETフィルムが使われる。そのため、保護フィルムで偏光が乱されてしまうので、検出用カメラでアライメントマークを明瞭に撮像することができず、アライメントマークの位置検出の精度が低下し、位置合わせ精度が低下してしまうという問題がある。
【0009】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、高い位置合わせ精度を得ることの可能な光学装置、および位置検出方法を提供することにある。また、第2の目的は、上記の位置検出方法を用いた表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術による光学装置は、遅相軸の向きが互いに異なる複数種類の帯状の位相差領域が規則的に配置された位相差層と、この位相差層と直接または間接的に貼り合わされた保護フィルムとを含む積層体を被写体とするものである。この光学装置は、積層体を所定の位置に設置したときに、その積層体の端面に、積層体の法線と交差する方向から直線偏光光を照射することが可能な照明装置を備えている。この光学装置は、さらに、積層体の端面およびその近傍を、積層体の上方から撮像する撮像装置を備えている。
【0011】
本技術による位置検出方法は、遅相軸の向きが互いに異なる複数種類の帯状の位相差領域が規則的に配置された位相差層と、その位相差層と直接または間接的に貼り合わされた保護フィルムとを含む積層体の位置を検出する方法である。この位置検出方法は、積層体の端面に、積層体の法線と交差する方向から直線偏光光を照射した状態で、積層体の端面およびその近傍を積層体の上方から撮像し、それによって得られた映像に基づいて積層体の位置を検出するステップを含んでいる。
【0012】
本技術による光学装置および位置検出方法では、積層体の端面に対して、積層体の法線と交差する方向から直線偏光光が照射された状態で、積層体の端面およびその近傍が、積層体の上方から撮像される。これにより、保護フィルムのリタデーションが面内でばらついている場合であっても、その影響の少ない映像が得られる。
【0013】
本技術による表示装置の製造方法は、以下の3つの工程を含むものである。
(A)遅相軸の向きが互いに異なる複数種類の帯状の位相差領域が規則的に配置された位相差層と、この位相差層と直接または間接的に貼り合わされた保護フィルムとを含む積層体の位置を検出する第1工程
(B)表示パネルの位置を検出する第2工程
(C)第1工程で検出した積層体の位置の情報と、第2工程で検出した表示パネルの位置の情報とを利用して、積層体、または積層体から保護フィルムを剥離したものと、表示パネルとを互いに貼り合わせる第3工程
【0014】
本技術による表示装置の製造方法は、第1工程において、積層体の端面に、積層体の法線と交差する方向から直線偏光光を照射した状態で、積層体の端面およびその近傍を積層体の上方から撮像し、それによって得られた映像に基づいて積層体の位置を検出する。これにより、本技術による表示装置の製造方法では、保護フィルムのリタデーションが面内でばらついている場合であっても、その影響の少ない映像が得られる。
【0015】
本技術による光学装置において、直線偏光光を照射することの可能な照明装置は、例えば、反射板、光源、および第1偏光板を備えている。ここで、光源は、反射板の法線と交差する光軸を有すると共に直線偏光光を発するものである。第1偏光板は、光源および撮像装置の光軸上であって、かつ反射板と、積層体を設置する位置との間に配置されると共に、光源から発せられた光の偏光軸と平行な方向に透過軸の成分を有している。
【0016】
本技術による光学装置は、撮像装置で撮像した映像に基づいて積層体の位置を検出する検出装置をさらに備えていてもよい。この場合には、光学装置から、積層体の位置の情報を出力することができる。
【0017】
本技術による光学装置において、光源は、当該光源の光軸が、積層体を所定の位置に設置したときに当該積層体の側面またはその近傍を通過する位置に配置されていてもよい。また、光源は、当該光源から発せられた光のうち反射板で反射された光が、積層体を所定の位置に配置したときに当該積層体の側面に入射する位置に配置されていてもよい。また、光源は、当該光源から発せられた光が、積層体を所定の位置に配置したときに当該積層体の側面に直接に入射する位置に配置されていてもよい。また、光源は、当該光源の焦点が、積層体を所定の位置に設置したときに当該積層体の側面から離れた位置となるように配置されていてもよい。
【0018】
本技術による光学装置において、撮像装置は、当該撮像装置の光軸が、積層体を所定の位置に設置したときに当該積層体の端縁またはその近傍を通過する位置に配置されていてもよい。また、撮像装置の光軸は、反射板の法線と平行となっていてもよい。
【0019】
被写体である積層体内の位相差領域が、位相差領域の延在方向との関係で、0°または90°の遅相軸を有している場合には、本技術による光学装置は、撮像装置の光軸上であって、かつ撮像装置と、積層体が設置される位置との間に、光の偏光方向を変移させる素子が何も設けられておりず、積層体を所定の位置に設置したときに当該積層体から出射されてきた光を直接に撮像装置で検出するようになっていることが好ましい。このようにした場合には、0°の遅相軸を有する位相差領域と、90°の遅相軸を有有する位相差領域とで、コントラストの差を大きくすることができる。
【0020】
被写体である積層体内の位相差領域が、位相差領域の延在方向との関係で、+45°または−45°の遅相軸を有している場合には、本技術による光学装置は、撮像装置の光軸上であって、かつ撮像装置と、積層体が配置される位置との間に配置されると共に、積層体の位相差領域の延在方向と45°の角度で交差する方向に透過軸を有する第2偏光板をさらに備えていることが好ましい。このようにした場合には、+45°の遅相軸を有する位相差領域と、−45°の遅相軸を有有する位相差領域とで、コントラストの差を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本技術の光学装置、位置検出方法、および表示装置の製造方法によれば、保護フィルムのリタデーションが面内でばらついている場合であっても、その影響の少ない映像が得られるようにしたので、保護フィルムの有無に拘わらず、高い位置合わせ精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一実施の形態に係る積層フィルムの斜視図である。
【図2】図1の基材フィルムの一例を表す平面図および断面図である。
【図3】図1の基材フィルムの他の例を表す断面図である。
【図4】図1の位相差層の一例を表す平面図である。
【図5】図1の積層フィルムの位置を検出するための位置検出装置の概略構成図である。
【図6】図5の位置検出装置を撮像装置側から見たときの平面図である。
【図7】図5の位置検出装置で撮像された映像の一例を表す図である。
【図8】第1変形例に係る積層フィルムの斜視図である。
【図9】図8の基材フィルムの一例を表す平面図および断面図である。
【図10】図8の基材フィルムの他の例を表す断面図である。
【図11】図8の位相差層の一例を表す平面図である。
【図12】図8の積層フィルムの位置を検出するための位置検出装置の概略構成図である。
【図13】第2変形例に係る積層フィルムの斜視図である。
【図14】第3変形例に係る積層フィルムの斜視図である。
【図15】第4変形例に係る積層フィルムの斜視図である。
【図16】第5変形例に係る積層フィルムの斜視図である。
【図17】第6変形例に係る積層フィルムの斜視図である。
【図18】第7変形例に係る積層フィルムの斜視図である。
【図19】図5の位置検出装置の他の例の概略構成図である。
【図20】図12の位置検出装置の他の例の概略構成図である。
【図21】図2の基材フィルムの一変形例を表す平面図である。
【図22】図3の基材フィルムの一変形例を表す平面図である。
【図23】図9の基材フィルムの一変形例を表す平面図である。
【図24】図10の基材フィルムの一変形例を表す平面図である。
【図25】図2、図9の基材フィルムの他の変形例を表す平面図である。
【図26】図21、図23の基材フィルムの他の変形例を表す平面図である。
【図27】図3、図10の基材フィルムの他の変形例を表す平面図である。
【図28】図22、図24の基材フィルムの他の変形例を表す平面図である。
【図29】図4、図12の位相差層の一変形例を表す平面図である。
【図30】図29の位相差層の一変形例を表す平面図である。
【図31】一適用例に係る表示装置の断面図である。
【図32】図31の表示装置の製造手順を表す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(図1〜図7)
位相差層の遅相軸が0°、90°となっているときの検出例
2.変形例(図8〜図30)
・位相差層の遅相軸が±45°となっているときの検出例
・積層フィルムを構成するフィルムのバリエーション
・位置検出装置のバリエーション
・基材フィルムのパターン領域、位相差層のパターン化位相差領域の両端部が積層 フィルムの端面から後退している例
・フレーム領域にアライメントマークが設けられている例
3.適用例(図31、図32)
上記積層フィルムが表示装置に用いられている例
【0024】
<1.実施の形態>
[積層フィルム10の構成]
図1は、一実施の形態に係る積層フィルム10を斜視的に表すものである。積層フィルム10は、当該積層フィルム10そのもの、または当該積層フィルム10に含まれる一部のフィルムを剥離したものを3Dディスプレイに適用するものである。積層フィルム10は、例えば、図1に示したように、基材フィルム11の上面に、位相差層12、ARフィルム13および保護フィルム14を備えており、基材フィルム11の裏面に、保護フィルム15を備えている。ARフィルム13は位相差層12に接着されている。保護フィルム14はARフィルム13に剥離可能に接着されており、保護フィルム15も基材フィルム11に剥離可能に接着されている。なお、積層フィルム10は、上記以外の層をさらに備えていてもよい。
【0025】
図2(A)は、基材フィルム11の上面構成の一例を表すものである。図2(B)は、図2(A)の断面構成の一例を表すものである。基材フィルム11は、位相差層12などを支持するフィルムであり、例えば、透明樹脂フィルムによって構成されている。基材フィルム11は、例えば、光学異方性の小さい、つまり複屈折の小さいものが好ましい。そのような特性を持つ透明樹脂フィルムとしては、例えば、TAC(トリアセチルセルロース)、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンコポリマー)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などが挙げられる。ここで、COPとしては、例えば、ゼオノアやゼオネックス(日本ゼオン社の登録商標)、アートン(JSR社の登録商標)などがある。基材フィルム11の厚みは、例えば30μm〜500μmである。基材フィルム11は、例えば単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。基材フィルム11が多層構造となっている場合には、基材フィルム11は、例えば、図示しないが、基材の表面に樹脂層が形成された2層構造となっている。
【0026】
基材フィルム11は、図2(A),(B)に示したように、表面に、第1溝領域11Aおよび第2溝領域11Bを有しており、さらに平坦領域11Cを有している。なお、本実施の形態では、3Dディスプレイの表示画素領域に対応する領域であるパターン領域11−1に、第1溝領域11Aおよび第2溝領域11Bが形成されている。また、3Dディスプレイのフレーム領域に対応する領域であるフレーム領域11−2に、平坦面からなる平坦領域11Cが形成されている。
【0027】
第1溝領域11Aおよび第2溝領域11Bは、共通する一の方向(例えば水平方向)に延在する帯状の形状となっている。これら第1溝領域11Aおよび第2溝領域11Bは、基材フィルム11の面内方向に、隣接して規則的に配置されており、具体的には、第1溝領域11Aおよび第2溝領域11Bの短手方向(例えば垂直方向)に交互に配置されている。なお、第1溝領域11Aおよび第2溝領域11Bは、3Dディスプレイに含まれる画素電極(図示せず)の配列に対応して配置されている。例えば、第1溝領域11Aが3Dディスプレイの右目用画素の配列に対応して配置されており、第2溝領域11Bが3Dディスプレイの左目用画素の配列に対応して配置されている。
【0028】
第1溝領域11Aは、第1溝領域11Aの延在方向と直交する方向に延在する複数の微細な溝V1を含んでいる。一方、第2溝領域11Bは、第2溝領域11Bの延在方向に延在する複数の微細な溝V2を含んでいる。溝V1の延在方向と溝V2の延在方向とは、互いに直交している。
【0029】
溝V1,V2は、その形状(特に溝V1,V2のエッジ部分)によって液晶などを配向させる配向機能を有している。溝V1,V2の開口幅(例えばピッチ)は、例えば数μm以下となっている。溝V1,V2の開口幅が数μm以下となっていれば、製造過程において、溝V1,V2内に液晶を充填したときに、液晶分子を配向させることが容易となる。溝V1,V2の深は、数十nm以上、数μm以下となっていることが好ましい。溝V1,V2の深さが数nm程度となっている場合には、液晶分子を正しく配向させることが困難となり、溝V1,V2の深さが数μmを越える場合には、溝V1,V2の縁部で液晶の配向が乱れる傾向がある。
【0030】
なお、基材フィルム11が、例えば、図3に示したように、基材111の表面に配向膜112が形成された2層構造となっていてもよい。基材111は、例えば、上述したような透明樹脂フィルムによって構成されている。配向膜112は、例えば、光配向膜、ラビングによる配向膜、またはパターン転写による配向膜によって構成されている。配向膜112は、例えば、パターン領域11−1に、第1配向領域112Aおよび第2配向領域112Bを有しており、フレーム領域11−2に、配向機能の無い無配向領域112Cを有している。第1配向領域112Aおよび第2配向領域112Bは、共通する一の方向(例えば水平方向)に延在する帯状の形状となっている。これら第1配向領域112Aおよび第2配向領域112Bは、基材フィルム11の面内方向に、隣接して規則的に配置されており、具体的には、第1配向領域112Aおよび第2配向領域112Bの短手方向(例えば垂直方向)に交互に配置されている。なお、第1配向領域112Aおよび第2配向領域112Bは、3Dディスプレイに含まれる画素電極(図示せず)の配列に対応して配置されている。例えば、第1配向領域112Aが3Dディスプレイの右目用画素の配列に対応して配置されており、第2配向領域112Bが3Dディスプレイの左目用画素の配列に対応して配置されている。
【0031】
第1配向領域112Aおよび第2配向領域112Bでは、互いに配向特性が異なっている。具体的には、第1配向領域112Aは、第1配向領域112Aの延在方向と直交する方向(垂直方向)に液晶分子などを配向させる性質を有しており、第2配向領域112Bは、第2配向領域112Bの延在方向(水平方向)に液晶分子などを配向させる性質を有している。第1配向領域112Aおよび第2配向領域112Bの配向方向は、互いに直交している。
【0032】
図4は、位相差層12の上面構成の一例を表すものである。位相差層12は、基材フィルム11のパターン領域11−1に対応してパターン化位相差領域12−1を有しており、基材フィルム11のフレーム領域11−2に対応してフレーム領域12−2を有している。本実施の形態では、フレーム領域12−2は、位相差がほとんど無いか、または小さな領域となっている。なお、フレーム領域12−2そのものは、必要に応じてなくしてもよい。
【0033】
パターン化位相差領域12−1は、図4に示したように、第1位相差領域12Aおよび第2位相差領域12Bを有している。第1位相差領域12Aおよび第2位相差領域12Bは、共通する一の方向(例えば水平方向)に延在する帯状の形状となっている。これら第1位相差領域12Aおよび第2位相差領域12Bは、位相差層12の面内方向に、隣接して規則的に配置されており、具体的には、第1位相差領域12Aおよび第2位相差領域12Bの短手方向(例えば垂直方向)に交互に配置されている。第1位相差領域12Aは、基材フィルム11の第1溝領域11Aまたは第1配向領域112Aと対向する位置に配置されており、3Dディスプレイの右目用画素の配列に対応して配置されている。一方、第2位相差領域12Bは、基材フィルム11の第2溝領域11Bまたは第2配向領域112Bと対向する位置に配置されており、3Dディスプレイの左目用画素の配列に対応して配置されている。第1位相差領域12Aおよび第2位相差領域12Bは、3Dディスプレイの画素ピッチと同一の幅となっている。
【0034】
第1位相差領域12Aおよび第2位相差領域12Bでは、互いに位相差特性が異なっている。具体的には、第1位相差領域12Aは、第1位相差領域12Aの延在方向と直交する方向(垂直方向)(90°)に遅相軸AX1を有しており、位相差領域12Bは、位相差領域12Bの延在方向(水平方向)(0°)に遅相軸AX2を有している。遅相軸AX1,AX2は、互いに直交している。例えば、第1位相差領域12Aのリタデーションが+λ/4となっており、位相差領域12Bのリタデーションが−λ/4となっている。第1位相差領域12Aおよび第2位相差領域12Bでは、リタデーションの絶対値が互いに等しくなっていることが好ましい。なお、本明細書において、λは、例えば、後述の位置検出装置100に含まれる発光装置110の主波長(例えば、550nm)である。
【0035】
なお、リタデーションは、例えば、回転検光子法や、セナルモン法など、いくつかの楕円偏光解析にて測定することが可能なものである。本明細書では、リタデーションの値として、回転検光子法を用いることによって得られた値が示されている。また、上記において、リタデーションの符号が逆になっているのは、それぞれの遅相軸の向きが90°異なることを示している。
【0036】
また、全ての波長(可視領域全体)でリタデーションを本明細書に示した値にする必要はなく、例えば、λが500nm〜560nm程度の緑の領域の範囲内で、リタデーションが本明細書に示した値になっていることが好ましい。これは、人間の網膜は、緑の波長帯の光に対して高い感度を有していること、緑の領域で合わせることで、青や赤の領域でも比較的合うことがその理由である。
【0037】
ARフィルム13は、外光の反射を抑える機能を有するフィルムである。保護フィルム14は、保護フィルム14の下にある層(例えばARフィルム13)を傷などから保護するものである。保護フィルム15は、保護フィルム15の下にある層(例えば基材フィルム11)を傷などから保護するものである。保護フィルム14,15は、透明な樹脂フィルムであり、接着層(図示せず)または静電気などによって、その下にある層(例えばARフィルム13や基材フィルム11)の表面に、剥離可能に接着されている。保護フィルム14,15は、一般的なPETフィルムからなっていてもよい。
【0038】
[位置検出装置100の構成]
次に、位置検出装置100について説明する。位置検出装置100は、積層フィルム10の位置を検出するためのものであり、例えば、図5に示したように、発光装置110、反射板120、撮像装置130、偏光板140,150、検出装置160を備えている。位置検出装置100において、積層フィルム10は、反射板120との対向領域内であって、かつ反射板120との関係で発光装置110側に配置されるようになっている。なお、発光装置110、反射板120、および偏光板140,150からなる光学系が、位置検出装置100における照明光学系に相当する。位置検出装置100における照明光学系は、後述するように、積層フィルム10を所定の位置の設置したときに、その積層フィルム10の端面S1,S2に、積層フィルム10の法線と交差する方向から直線偏光光を照射することの可能な構成となっている。
【0039】
発光装置110は、例えば、光ファイバから光を出力する光源である。発光装置110の光源は、無偏光光を出力するものであってもよいし、偏光板140の透過軸方向と平行な方向に偏光成分を有する直線偏光光を出力するものであってもよい。なお、発光装置110の光源が直線偏光光を出力するものである場合には、場合によっては、偏光板140を省略することも可能である。
【0040】
発光装置110は、当該発光装置110の光軸AX11が、積層フィルム10を所定の位置に設置したときに積層フィルム10の側面S1,S2またはその近傍を通過する位置に配置されている。本実施の形態では、発光装置110は、当該発光装置110から発せられた光のうち反射板120で反射された光が、積層フィルム10を所定の位置に配置したときに積層フィルム10の側面S1,S2に入射する位置に配置されている。発光装置110は、例えば、積層フィルム10を所定の位置に設置したときに積層フィルム10の四隅や、積層フィルム10一辺の中央部分などを照明するようになっている。発光装置110の光軸AX11は、反射板120の法線と角度θ1(0°<θ1<90°)で交差している。角度θ1は、反射板120での反射光が側面S1,S2に入射するようにするために、例えば、40°程度となっている。
【0041】
発光装置110は、当該発光装置110の焦点が、積層フィルム10を所定の位置に設置したときに当該積層フィルム10の側面S1,S2から離れた位置となるように配置されている。つまり、発光装置110は、積層フィルム10との関係でデフォーカスされている。これは、撮像装置130で撮像することにより得られた映像が、発光装置110から発せられた光によってホワイトアウトしてしまうのを防ぐためである。
【0042】
偏光板140は、例えば、発光装置110の光ファイバの先端に取り付けられている。偏光板140の透過軸は、例えば、発光装置110から発せられた光の光軸AX11と、発光装置110から発せられた光のうち反射板120で反射された光の光軸とを含む面(例えば図5の紙面と平行な面)と平行な方向、またはその方向と直交する方向を向いている。なお、偏光板140の透過軸は、上記以外の方向を向いていてもよい。
【0043】
反射板120は、発光装置110から発せられた光を反射するものであり、例えば、表面にAg膜などの高反射膜を有する反射ミラーである。偏光板150は、発光装置110および撮像装置130の光軸AX11,AX10上であって、かつ反射板120と、積層フィルム10を設置する位置との間に配置されている。偏光板150は、発光装置110から発せられた光のうち偏光板140を透過した光の偏光軸(つまり偏光板140の透過軸)と平行な方向に透過軸の成分を有しており、好ましくは偏光板140の透過軸と平行な透過軸を有している。なお、偏光板140が省略されている場合には、偏光板150は、発光装置110から発せられた光の偏光軸と平行な方向に透過軸の成分を有しており、好ましくは発光装置110から発せられた光の偏光軸と平行な透過軸を有している。
【0044】
撮像装置130は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。撮像装置130は、積層フィルム10の端面S1およびその近傍と、積層フィルム10の端面S2およびその近傍とを、積層フィルム10の上方から撮像するようになっている。撮像装置130は、当該撮像装置130の光軸AX10が、積層フィルム10を所定の位置に設置したときに当該積層フィルム10の端縁またはその近傍を通過する位置に配置されている。撮像装置130は、積層フィルム10のうち、発光装置110で照明された部位を撮像するようになっており、例えば、図6に測定点M1〜M6で示したように、積層フィルム10を所定の位置に設置したときに積層フィルム10の四隅と、積層フィルム10一辺の中央部分とを照明するようになっている。撮像装置130の光軸AX10は、例えば、反射板120の法線と平行となっている。撮像装置130は、撮像により得られた映像を検出装置160に送出するようになっている。撮像装置130は、例えば、図7に示したように、測定点M1〜M6の映像を検出装置160に出力するようになっている。
【0045】
検出装置160は、撮像装置130で撮像された映像に基づいて積層フィルム10の位置を検出するものである。検出装置160は、撮像装置130で撮像された映像における白黒のストライプを利用して、積層フィルム10の位置を検出するようになっている。ここで、白黒のストライプは、本実施の形態では、位相差層12の第1位相差領域12Aおよび第2位相差領域12Bによって生成される。つまり、本実施の形態では、位相差層12の第1位相差領域12Aおよび第2位相差領域12Bが、アライメントマークとして機能している。
【0046】
なお、本実施の形態では、撮像装置130の光軸AX10上であって、かつ撮像装置130と、積層フィルム10が設置される位置との間に、光の偏光方向を変移させる素子が何も設けられていない。つまり、本実施の形態では、位置検出装置100は、積層フィルム10を所定の位置に設置したときに当該積層フィルム10から出射されてきた光を直接に撮像装置130で検出するようになっている。
【0047】
[検出]
次に、位置検出装置100を用いて、基材フィルム11および位相差層12を備えた積層フィルム10の位置を測定する方法について説明する。まず、基材フィルム11および位相差層12を備えた積層フィルム10を所定の位置に配置する。次に、その積層フィルム10の端面S1,S2に、積層フィルム10の法線と交差する方向から直線偏光光を照射し、その状態で、積層フィルム10の端面S1,S2およびその近傍を積層フィルム10の上方から撮像する。その後、そのようにして得られた映像に基づいて積層フィルム10の位置を検出する。
【0048】
[効果]
本実施の形態では、積層フィルム10の端面S1,S2に対して、積層フィルム10の法線と交差する斜め方向から直線偏光光が照射された状態で、積層フィルム10の端面S1,S2およびその近傍が、積層フィルム10の上方から撮像される。これにより、積層フィルム10に含まれる保護フィルム14または保護フィルム15のリタデーションが面内でばらついている場合であっても、その影響の少ない映像が得られる。その結果、保護フィルム14,15の有無に拘わらず、高精度で積層フィルム10の位置を検出することができ、後述の積層フィルム30と表示パネル20を互いに貼り合わせる際に高い位置合わせ精度を得ることができる。
【0049】
<2.変形例>
【0050】
(変形例1)
上記実施の形態では、基材フィルム11の溝V1,V2の延在方向が、第1溝領域11Aの延在方向と平行な方向(水平方向)および直交する方向(垂直方向)となっていた。同様に、基材フィルム11の第1配向領域112Aおよび第2配向領域112Bの配向方向が、第1配向領域112Aと平行な方向(水平方向)および直交する方向(垂直方向)となっていた。さらに、位相差層12の第1位相差領域12Aおよび第2位相差領域12Bの遅相軸が、第1位相差領域12A等の延在方向と平行な方向(水平方向)および直交する方向(垂直方向)となっていた。しかし、例えば、図8に示したように、基材フィルム11および位相差層12の代わりに、基材フィルム11および位相差層12の上述の特徴とは異なる特徴を有する基材フィルム21および位相差層22が設けられていてもよい。
【0051】
基材フィルム21は、例えば、図9(A),(B)に示したように、表面に、第1溝領域21Aおよび第2溝領域21Bを有しており、さらに平坦領域21Cを有している。なお、本変形例では、3Dディスプレイの表示画素領域に対応する領域であるパターン領域21−1に、第1溝領域21Aおよび第2溝領域21Bが形成されている。また、3Dディスプレイのフレーム領域に対応する領域であるフレーム領域21−2に、平坦面からなる平坦領域21Cが形成されている。
【0052】
第1溝領域21Aおよび第2溝領域21Bは、共通する一の方向(例えば水平方向)に延在する帯状の形状となっている。これら第1溝領域21Aおよび第2溝領域21Bは、基材フィルム21の面内方向に、隣接して規則的に配置されており、具体的には、第1溝領域21Aおよび第2溝領域21Bの短手方向(例えば垂直方向)に交互に配置されている。なお、第1溝領域21Aおよび第2溝領域21Bは、3Dディスプレイに含まれる画素電極(図示せず)の配列に対応して配置されている。例えば、第1溝領域21Aが3Dディスプレイの右目用画素の配列に対応して配置されており、第2溝領域21Bが3Dディスプレイの左目用画素の配列に対応して配置されている。
【0053】
第1溝領域21Aは、第1溝領域21Aの延在方向と直交以外の角度で交差する方向(例えば−45°)に延在する複数の微細な溝V3を含んでいる。一方、第2溝領域21Bは、第2溝領域21Bの延在方向と直交以外の方向であって、かつ溝V3の延在方向とは異なる方向(例えば+45°)に延在する複数の微細な溝V4を含んでいる。溝V3の延在方向と溝V4の延在方向とは、互いに直交している。
【0054】
溝V3,V4は、その形状(特に溝V3,V4のエッジ部分)によって液晶などを配向させる配向機能を有している。溝V3,V4の開口幅(例えばピッチ)は、例えば数μm以下となっている。溝V3,V4の開口幅が数μm以下となっていれば、製造過程において、溝V3,V4内に液晶を充填したときに、液晶分子を配向させることが容易となる。溝V3,V4の深は、数十nm以上、数μm以下となっていることが好ましい。溝V3,V4の深さが数nm程度となっている場合には、液晶分子を正しく配向させることが困難となり、溝V3,V4の深さが数μmを越える場合には、溝V3,V4の縁部で液晶の配向が乱れる傾向がある。
【0055】
なお、基材フィルム21が、例えば、図10に示したように、基材211の表面に配向膜212が形成された2層構造となっていてもよい。基材211は、例えば、上述したような透明樹脂フィルムによって構成されている。配向膜212は、例えば、光配向膜、ラビングによる配向膜、またはパターン転写による配向膜によって構成されている。配向膜212は、例えば、パターン領域21−1に、第1配向領域212Aおよび第2配向領域212Bを有しており、フレーム領域21−2に、配向機能の無い無配向領域212Cを有している。第1配向領域212Aおよび第2配向領域212Bは、共通する一の方向(例えば水平方向)に延在する帯状の形状となっている。これら第1配向領域212Aおよび第2配向領域212Bは、基材フィルム21の面内方向に、隣接して規則的に配置されており、具体的には、第1配向領域212Aおよび第2配向領域212Bの短手方向(例えば垂直方向)に交互に配置されている。なお、第1配向領域212Aおよび第2配向領域212Bは、3Dディスプレイに含まれる画素電極(図示せず)の配列に対応して配置されている。例えば、第1配向領域212Aが3Dディスプレイの右目用画素の配列に対応して配置されており、第2配向領域212Bが3Dディスプレイの左目用画素の配列に対応して配置されている。
【0056】
第1配向領域212Aおよび第2配向領域212Bでは、互いに配向特性が異なっている。具体的には、第1配向領域212Aは、第1配向領域212Aの延在方向と直交する方向(垂直方向)に液晶分子などを配向させる性質を有しており、第2配向領域212Bは、第2配向領域212Bの延在方向(水平方向)に液晶分子などを配向させる性質を有している。第1配向領域212Aおよび第2配向領域212Bの配向方向は、互いに直交している。
【0057】
図11は、位相差層22の上面構成の一例を表すものである。位相差層22は、基材フィルム21のパターン領域21−1に対応してパターン化位相差領域22−1を有しており、基材フィルム21のフレーム領域21−2に対応してフレーム領域22−2を有している。本変形例では、フレーム領域22−2は、位相差がほとんど無いか、または小さな領域となっている。なお、フレーム領域22−2そのものは、必要に応じてなくしてもよい。
【0058】
パターン化位相差領域22−1は、図11に示したように、第1位相差領域22Aおよび第2位相差領域22Bを有している。第1位相差領域22Aおよび第2位相差領域22Bは、共通する一の方向(例えば水平方向)に延在する帯状の形状となっている。これら第1位相差領域22Aおよび第2位相差領域22Bは、位相差層22の面内方向に、隣接して規則的に配置されており、具体的には、第1位相差領域22Aおよび第2位相差領域22Bの短手方向(例えば垂直方向)に交互に配置されている。第1位相差領域22Aは、基材フィルム21の第1溝領域21Aまたは第1配向領域212Aと対向する位置に配置されており、3Dディスプレイの右目用画素の配列に対応して配置されている。一方、第2位相差領域22Bは、基材フィルム21の第2溝領域21Bまたは第2配向領域212Bと対向する位置に配置されており、3Dディスプレイの左目用画素の配列に対応して配置されている。第1位相差領域22Aおよび第2位相差領域22Bは、3Dディスプレイの画素ピッチと同一の幅となっている。
【0059】
第1位相差領域22Aおよび第2位相差領域22Bでは、互いに位相差特性が異なっている。具体的には、第1位相差領域22Aは、第1位相差領域22Aの延在方向と直交以外の角度で交差する方向(例えば−45°)に遅相軸AX3を有しており、位相差領域22Bは、位相差領域22Bの延在方向と直交以外の方向であって、かつ遅相軸AX3とは異なる方向(例えば+45°)に遅相軸AX4を有している。遅相軸AX3,AX4は、互いに直交している。例えば、第1位相差領域22Aのリタデーションが+λ/4となっており、位相差領域22Bのリタデーションが−λ/4となっている。第1位相差領域22Aおよび第2位相差領域22Bでは、リタデーションの絶対値が互いに等しくなっていることが好ましい。
【0060】
[位置検出装置100の構成]
次に、本変形例における位置検出装置100について説明する。本変形例では、位置検出装置100は、基材フィルム21および位相差層22を備えた積層フィルム10の位置を検出するためのものであり、例えば、図12に示したように、図11に記載の位置検出装置100に、偏光板170を設けたものに相当する。偏光板170は、撮像装置130の光軸AX10上に配置されている。本変形例における位置検出装置100は、積層フィルム10の端面およびその近傍を、偏光板170を介して撮像するようになっている。偏光板170は、第1位相差領域22Aの延在方向と直交以外の角度で交差する方向に遅相軸を有しており、具体的には、第1位相差領域22Aの遅相軸AX3または、第2位相差領域22Bの遅相軸AX4と平行な方向に遅相軸を有している。
【0061】
[検出]
次に、本変形例における位置検出装置100を用いて、基材フィルム21および位相差層22を備えた積層フィルム10の位置を測定する方法について説明する。まず、基材フィルム21および位相差層22を備えた積層フィルム10を所定の位置に配置する。次に、その積層フィルム10の端面S1,S2に、積層フィルム10の法線と交差する方向から直線偏光光を照射し、その状態で、積層フィルム10の端面S1,S2およびその近傍を積層フィルム10の上方から撮像する。その後、そのようにして得られた映像に基づいて積層フィルム10の位置を検出する。
【0062】
[効果]
本変形例では、基材フィルム21および位相差層22を備えた積層フィルム10の端面S1,S2に対して、積層フィルム10の法線と交差する斜め方向から直線偏光光が照射された状態で、積層フィルム10の端面S1,S2およびその近傍が、積層フィルム10の上方から撮像される。これにより、積層フィルム10に含まれる保護フィルム14または保護フィルム15のリタデーションが面内でばらついている場合であっても、その影響の少ない映像が得られる。その結果、保護フィルム14,15の有無に拘わらず、高精度で積層フィルム10の位置を検出することができ、後述の積層フィルム30と表示パネル20を互いに貼り合わせる際に高い位置合わせ精度を得ることができる。
【0063】
(変形例2)
また、上記実施の形態およびその変形例では、積層フィルム10は、ARフィルム13が設けられていたが、例えば、図13に示したように、ARフィルム13の代わりにAG(アンチグレア)フィルム16が設けられていてもよい。
【0064】
(変形例3)
また、上記実施の形態およびその変形例では、積層フィルム10は、両面に保護フィルム14,15が設けられていたが、例えば、図14に示したように、保護フィルム15が省略されていたり、図15に示したように、保護フィルム14が省略されていたりしてもよい。
【0065】
(変形例4)
また、上記実施の形態およびその変形例では、積層フィルム10は、ARフィルム13またはAGフィルム16を備えていたが、例えば、図16に示したように、これらARフィルム13およびAGフィルム16が省略されていてもよい。さらに、本変形例において、例えば、図17に示したように、保護フィルム15が省略されていたり、図18に示したように、保護フィルム14が省略されていたりしてもよい。
【0066】
(変形例5)
また、上記実施の形態およびその変形例では、位置検出装置100において、発光装置110の光軸AX11は、積層フィルム10を通過せず、積層フィルム10の側面S1,S2から離れた位置を通過していた。しかし、例えば、図19、図20に示したように、発光装置110の光軸AX11が、積層フィルム10の側面S1,S2を通過していてもよい。つまり、この場合には、発光装置110は、当該発光装置110から発せられた光が、積層フィルム10を所定の位置に配置したときに当該積層フィルム10の側面S1,S2に直接に入射する位置に配置されている。なお、この場合においても、発光装置110は、当該発光装置110の焦点が、積層フィルム10を所定の位置に設置したときに当該積層フィルム10の側面S1,S2から離れた位置となるように配置されている。つまり、発光装置110は、積層フィルム10との関係でデフォーカスされている。また、発光装置110の光軸AX11が、積層フィルム10の側面S1,S2を通過している場合や側面S1,S2から離れている場合に、場合によっては、反射板120および偏光板150を省略することも可能である。また、反射板120および偏光板150を省略した場合に、発光装置110および偏光板140が、積層フィルム10との関係で、撮像装置130とは反対側に配置されていてもよい。
【0067】
(変形例6)
また、上記実施の形態およびその変形例では、第1溝領域11Aおよび第2溝領域11Bが基材フィルム11の端部にまで延在していたが、例えば、図21に示したように、第1溝領域11Aおよび第2溝領域11Bの端縁が基材フィルム11の端部から後退した(離れた)位置に配置されていてもよい。また、上記実施の形態およびその変形例では、第1配向領域112Aおよび第2配向領域112Bが基材フィルム11の端部にまで延在していたが、例えば、図22に示したように、第1配向領域112Aおよび第2配向領域112Bの端縁が基材フィルム11の端部から後退した(離れた)位置に配置されていてもよい。
【0068】
(変形例7)
また、上記変形例1では、第1溝領域21Aおよび第2溝領域21Bが基材フィルム21の端部にまで延在していたが、例えば、図23に示したように、第1溝領域21Aおよび第2溝領域21Bの端縁が基材フィルム21の端部から後退した(離れた)位置に配置されていてもよい。また、上記変形例1では、第1配向領域212Aおよび第2配向領域212Bが基材フィルム21の端部にまで延在していたが、例えば、図24に示したように、第1配向領域212Aおよび第2配向領域212Bの端縁が基材フィルム21の端部から後退した(離れた)位置に配置されていてもよい。
【0069】
(変形例8)
また、上記実施の形態およびその変形例において、例えば、図25,図26に示したように、フレーム領域11−2,21−2に、第1溝領域11A,21Aおよび第2溝領域11B,21Bがパターン領域11−1,21−1と同様の態様で設けられていてもよい。また、上記実施の形態およびその変形例において、例えば、図27,図28に示したように、フレーム領域11−2,21−2に、第1配向領域112A,212Aおよび第2溝領域112B,212Bがパターン領域11−1,21−1と同様の態様で設けられていてもよい。
【0070】
(変形例9)
また、上記実施の形態およびその変形例において、例えば、図29,図30に示したように、フレーム領域12−2,22−2に、第1位相差領域12A,22Aおよび第2位相差領域12B,22Bがパターン化位相差領域12−1,22−1と同様の態様で設けられていてもよい。
【0071】
<3.適用例>
次に、上記実施の形態およびその変形例に係る積層フィルム10を用いて表示装置を製造する方法について説明する。
【0072】
図31は、上記実施の形態およびその変形例に係る積層フィルム10を用いて製造した表示装置1の断面構成の一例を表すものである。表示装置1は、表示パネル20と積層フィルム10とを互いに貼り合わせたものである。表示装置1に搭載された積層フィルム10は、表示パネル20の上面に貼り合わされたものであり、保護フィルム14,15のうち少なくとも表示パネル20側の保護フィルム15が剥離された状態で表示パネル20の上面に貼り合わされている。
【0073】
図32は、積層フィルム10を用いて表示装置1を製造する手順を表す流れ図である。まず、上記実施の形態等で述べたようにして、積層フィルム10の位置を計測する(ステップS101)と共に、表示パネル20の位置を計測する(ステップS102)。次に、積層フィルム10の保護フィルム14,15のうち少なくとも保護フィルム15を必要に応じて剥離する(ステップS103)。続いて、積層フィルム10および表示パネル20の位置の情報を利用して、積層フィルム10と表示パネル20とを互いに貼り合わせる(ステップS104)。このようにして、表示装置1が製造される。
【0074】
本適用例では、上記実施の形態等で述べたようにして、積層フィルム10の位置が計測される。これにより、積層フィルム10に含まれる保護フィルム14,15のうち少なくとも一方の保護フィルムのリタデーションが面内でばらついている場合であっても、高精度で積層フィルム10の位置を検出することができる。その結果、積層フィルム10と表示パネル20を互いに貼り合わせる際に高い位置合わせ精度を得ることができる。
【0075】
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本技術を説明したが、上記実施の形態等に限定されず、種々変形が可能である。
【0076】
例えば、上記実施の形態等では、位置検出装置100には、複数の撮像装置130が用いられていたが、例えば、積層フィルム10全体を撮像可能な1台の撮像装置130だけが用いられていてもよい。
【0077】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
遅相軸の向きが互いに異なる複数種類の帯状の位相差領域が規則的に配置された位相差層と、前記位相差層と直接または間接的に貼り合わされた保護フィルムとを含む積層体を所定の位置に設置したときに、その積層体の端面に、前記積層体の法線と交差する方向から直線偏光光を照射することの可能な照明装置と、
前記積層体の端面およびその近傍を、前記積層体の上方から撮像する撮像装置と
を備えた
光学装置。
(2)
前記照明装置は、
反射板と、
前記反射板の法線と交差する光軸を有すると共に直線偏光光を発する光源と、
前記光源および前記撮像装置の光軸上であって、かつ前記反射板と、前記積層体を設置する位置との間に配置されると共に、前記光源から発せられた光の偏光軸と平行な方向に透過軸の成分を有する第1偏光板と
を有する
(1)に記載の光学装置。
(3)
前記撮像装置で撮像した映像に基づいて前記積層体の位置を検出する検出装置をさらに備えた
(1)または(2)に記載の光学装置。
(4)
前記光源は、当該光源の光軸が、前記積層体を所定の位置に設置したときに当該積層体の側面またはその近傍を通過する位置に配置されている
(2)に記載の光学装置。
(5)
前記光源は、当該光源から発せられた光のうち前記反射板で反射された光が、前記積層体を所定の位置に配置したときに当該積層体の側面に入射する位置に配置されている
(4)に記載の光学装置。
(6)
前記光源は、当該光源から発せられた光が、前記積層体を所定の位置に配置したときに当該積層体の側面に直接に入射する位置に配置されている
(4)に記載の光学装置。
(7)
前記光源は、当該光源の焦点が、前記積層体を所定の位置に設置したときに当該積層体の側面から離れた位置となるように配置されている
(4)ないし(6)のいずれか1つに記載の光学装置。
(8)
前記撮像装置は、当該撮像装置の光軸が、前記積層体を所定の位置に設置したときに当該積層体の端縁またはその近傍を通過する位置に配置されている
(2)に記載の光学装置。
(9)
前記撮像装置の光軸は、前記反射板の法線と平行となっている
(8)に記載の光学装置。
(10)
当該光学装置は、前記撮像装置の光軸上であって、かつ前記撮像装置と、前記積層体が設置される位置との間に、光の偏光方向を変移させる素子が何も設けられておりず、前記積層体を所定の位置に設置したときに当該積層体から出射されてきた光を直接に前記撮像装置で検出するようになっている
(2)に記載の光学装置。
(11)
前記撮像装置の光軸上であって、かつ前記撮像装置と、前記積層体が配置される位置との間に配置されると共に、前記積層体の位相差領域の延在方向と45°の角度で交差する方向に透過軸を有する第2偏光板をさらに備えた
(2)に記載の光学装置。
(12)
遅相軸の向きが互いに異なる複数種類の帯状の位相差領域が規則的に配置された位相差層と、前記位相差層と直接または間接的に貼り合わされた保護フィルムとを含む積層体の端面に、前記積層体の法線と交差する方向から直線偏光光を照射した状態で、前記積層体の端面およびその近傍を前記積層体の上方から撮像し、それによって得られた映像に基づいて前記積層体の位置を検出する
位置検出方法。
(13)
遅相軸の向きが互いに異なる複数種類の帯状の位相差領域が規則的に配置された位相差層と、前記位相差層と直接または間接的に貼り合わされた保護フィルムとを含む積層体の位置を検出する第1工程と、
表示パネルの位置を検出する第2工程と、
前記第1工程で検出した前記積層体の位置の情報と、前記第2工程で検出した前記表示パネルの位置の情報とを利用して、前記積層体、または前記積層体から前記保護フィルムを剥離したものと、前記表示パネルとを互いに貼り合わせる第3工程と
を含み、
前記第1工程において、前記積層体の端面に、前記積層体の法線と交差する方向から直線偏光光を照射した状態で、前記積層体の端面およびその近傍を前記積層体の上方から撮像し、それによって得られた映像に基づいて前記積層体の位置を検出する
表示装置の製造方法。
【符号の説明】
【0078】
10…積層フィルム、11,21…基材フィルム、11A,21A…第1溝領域、11B,21B…第2溝領域、11C,21C…平坦領域、11−1…パターン領域、11−2,12−2,21−2,22−2…フレーム領域、12,22…位相差層、12A,22A…第1位相差領域、12B,22B…第2位相差領域、12C,22C,112C,212C…無配向領域、12−1,22−1…パターン化位相差領域、13…ARフィルム、14,15…保護フィルム、16…AGフィルム、100…位置検出装置、110…発光装置、111,211…基材、112,212…配向膜、112A,212A…第1配向領域、112B,212B…第2配向領域、120…反射板、130…撮像装置、140,150,170…偏光板、160…検出装置、AX1〜AX4…遅相軸、AX10,AX11…光軸、M1〜M6…測定点、S1,S2…端面、V1〜V4…溝、θ1…角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遅相軸の向きが互いに異なる複数種類の帯状の位相差領域が規則的に配置された位相差層と、前記位相差層と直接または間接的に貼り合わされた保護フィルムとを含む積層体を所定の位置に設置したときに、その積層体の端面に、前記積層体の法線と交差する方向から直線偏光光を照射することの可能な照明装置と、
前記積層体の端面およびその近傍を、前記積層体の上方から撮像する撮像装置と
を備えた
光学装置。
【請求項2】
前記照明装置は、
反射板と、
前記反射板の法線と交差する光軸を有すると共に直線偏光光を発する光源と、
前記光源および前記撮像装置の光軸上であって、かつ前記反射板と、前記積層体を設置する位置との間に配置されると共に、前記光源から発せられた光の偏光軸と平行な方向に透過軸の成分を有する第1偏光板と
を有する
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記撮像装置で撮像した映像に基づいて前記積層体の位置を検出する検出装置をさらに備えた
請求項1に記載の光学装置。
【請求項4】
前記光源は、当該光源の光軸が、前記積層体を所定の位置に設置したときに当該積層体の側面またはその近傍を通過する位置に配置されている
請求項2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記光源は、当該光源から発せられた光のうち前記反射板で反射された光が、前記積層体を所定の位置に配置したときに当該積層体の側面に入射する位置に配置されている
請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記光源は、当該光源から発せられた光が、前記積層体を所定の位置に配置したときに当該積層体の側面に直接に入射する位置に配置されている
請求項4に記載の光学装置。
【請求項7】
前記光源は、当該光源の焦点が、前記積層体を所定の位置に設置したときに当該積層体の側面から離れた位置となるように配置されている
請求項4に記載の光学装置。
【請求項8】
前記撮像装置は、当該撮像装置の光軸が、前記積層体を所定の位置に設置したときに当該積層体の端縁またはその近傍を通過する位置に配置されている
請求項2に記載の光学装置。
【請求項9】
前記撮像装置の光軸は、前記反射板の法線と平行となっている
請求項8に記載の光学装置。
【請求項10】
当該光学装置は、前記撮像装置の光軸上であって、かつ前記撮像装置と、前記積層体が設置される位置との間に、光の偏光方向を変移させる素子が何も設けられておりず、前記積層体を所定の位置に設置したときに当該積層体から出射されてきた光を直接に前記撮像装置で検出するようになっている
請求項2に記載の光学装置。
【請求項11】
前記撮像装置の光軸上であって、かつ前記撮像装置と、前記積層体が配置される位置との間に配置されると共に、前記積層体の位相差領域の延在方向と45°の角度で交差する方向に透過軸を有する第2偏光板をさらに備えた
請求項2に記載の光学装置。
【請求項12】
遅相軸の向きが互いに異なる複数種類の帯状の位相差領域が規則的に配置された位相差層と、前記位相差層と直接または間接的に貼り合わされた保護フィルムとを含む積層体の端面に、前記積層体の法線と交差する方向から直線偏光光を照射した状態で、前記積層体の端面およびその近傍を前記積層体の上方から撮像し、それによって得られた映像に基づいて前記積層体の位置を検出する
位置検出方法。
【請求項13】
遅相軸の向きが互いに異なる複数種類の帯状の位相差領域が規則的に配置された位相差層と、前記位相差層と直接または間接的に貼り合わされた保護フィルムとを含む積層体の位置を検出する第1工程と、
表示パネルの位置を検出する第2工程と、
前記第1工程で検出した前記積層体の位置の情報と、前記第2工程で検出した前記表示パネルの位置の情報とを利用して、前記積層体、または前記積層体から前記保護フィルムを剥離したものと、前記表示パネルとを互いに貼り合わせる第3工程と
を含み、
前記第1工程において、前記積層体の端面に、前記積層体の法線と交差する方向から直線偏光光を照射した状態で、前記積層体の端面およびその近傍を前記積層体の上方から撮像し、それによって得られた映像に基づいて前記積層体の位置を検出する
表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−242679(P2012−242679A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113952(P2011−113952)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】