説明

光学装置及びプロジェクタ

【課題】可撓性を有する反射部材の平坦度を向上させ、軽量化、及び低コスト化が図れる光学装置、及びプロジェクタを提供すること。
【解決手段】複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の反射型光変調装置と、反射型光変調装置に照射される光束及び反射型光変調装置で変調された光束を偏光分離する複数の可撓性を有するワイヤグリッド441と、複数の反射型光変調装置にて変調された色光毎の変調光を合成し画像光を形成するクロスダイクロイックプリズム443と、ワイヤグリッド441を保持する保持部材5と、保持部材5のワイヤグリッド441を保持する保持面521とワイヤグリッド441との間に介装され、ワイヤグリッド441の平坦度を調整する調整部材7とを備える構成とした。従って、調整部材7をワイヤグリッド441と保持面521との間に介装し、ワイヤグリッド441の平坦度を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置及びプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置、赤(R),緑(G),青(B)の3つの色光毎に設けられる複数の光変調装置、及び、各光変調装置により変調された各色光を合成する色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズムとを備える、いわゆる反射型3板式プロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このプロジェクタの光学装置として、光変調装置に照射される光束及び当該光変調装置で変調された光束を偏光分離する反射部材(PBS:Polarized Beam Splitter)、及び当該反射部材を保持する保持部材を備えるものがある。当該反射部材は、プロジェクタの軽量化のために、フィルム状の可撓性を有する材料を用いることが考えられる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−29251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクタでは、反射部材と保持部材とを接着剤で固定すると、可撓性を有する反射部材は、接着力によって保持部材に対して反りが発生しやすい。また、反射部材と保持部材とをバネ等の固定部材で固定すると、可撓性を有する反射部材は、保持部材の接触する面(保持面)の表面上の歪みによって、反りが発生しやすい。このように、反射部材に反りが生じると、反射部材の平坦度が低下するため、反射部材は、偏光分離された光束の反射を適切に行なえず、投射画像に歪みが生じるという問題がある。そこで、投射画像の歪みを抑制するために、反射部材を剛性のあるガラスに固定して歪みを防止することが考えられるが、この剛性のあるガラスは、重量が重く、またコストがかかるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、可撓性を有する反射部材の平坦度を向上させ、軽量化及び低コスト化が図れる光学装置及びプロジェクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学装置は、複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記光変調装置に照射される光束及び前記光変調装置で変調された光束を偏光分離する複数の可撓性を有する反射部材と、前記複数の光変調装置にて変調された前記色光毎の変調光を合成する色合成光学装置と、前記反射部材を保持する保持部材と、前記保持部材の前記反射部材を保持する保持面と前記反射部材との間に介装され、前記反射部材の平坦度を調整する調整部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、可撓性を有する反射部材と反射部材を保持する保持部材との間には、調整部材が介装されている。このことにより、可撓性を有する反射部材が、保持面の歪みによって歪みを生じた場合、反射部材の平坦度を調整する調整部材を、反射部材と保持面との間に介装して、歪みを補正し、反射部材の平坦度を向上できる。例えば、反射部材に歪みを生じた位置に、調整部材を介装し、反射部材を保持部材から離間させて調整部材に接着剤等で固定することで、反射部材が保持面の歪みの影響を受けることを抑制できる。そして、調整部材により、反射部材の歪みを補正し、反射部材の平坦度を向上できる。調整部材が反射部材と保持面との間に介装されることで、例えば、可撓性を有する反射部材を剛性のあるガラスに固定する必要がなく、光学装置を軽量化、及び低コスト化することができる。
【0008】
本発明では、前記反射部材を前記保持部材に固定する固定部材を備えることが好ましい。
本発明によれば、反射部材は、固定部材を用いて保持部材に固定されるので、例えば、反射部材を保持部材に接着剤等で固定するよりも、より強固に固定でき、反射部材の保持面に対するずれを防止できる。
【0009】
本発明では、前記調整部材は、楔状に形成される先端部を有していることが好ましい。
本発明によれば、調整部材の先端部が楔状に形成されるので、例えば、反射部材に歪みを生じる場合に、反射部材と保持面との間に楔状の調整部材を差し込みやすく、反射部材と保持面との間に空間を生じさせて、反射部材の歪みを補正することができる。
【0010】
本発明では、前記調整部材が前記保持面に対して回動自在に軸支される軸部材を備えることが好ましい。
本発明によれば、例えば、楔状の調整部材を予め、反射部材と保持面との間に介装し、調整部材を回動させると、調整部材の楔状の先端部により反射部材と保持面との間の隙間を拡大することができる。すなわち、反射部材は、保持面の表面上の歪みの影響を抑制して、反射部材の歪みを補正できる。
【0011】
本発明では、前記保持部材には、前記保持面に対して交差する方向に複数の突起部が延出され、前記突起部には、前記反射部材が当接し、前記反射部材と前記保持面との間に形成される空間には、前記調整部材が介装されることが好ましい。
本発明によれば、保持面に対して交差する方向に複数の突起部が延出されるので、反射部材は突起部に当接して、保持部材に固定されることとなる。この際、反射部材と保持面との間に空間が形成されるので、この空間に調整部材を容易に介装でき、反射部材の歪みを簡易に補正できる。
【0012】
本発明では、光源装置と、前記光源装置から射出された光を複数の色光に分離する色分離光学装置と、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学装置と、当該光学装置により合成された光束を投射する投射光学装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクタは、上述した光学装置を備えているので、上述した光学装置と同様の作用および効果を享受できる。また、上述した光学装置によれば、剛性のあるガラスに反射部材を固定する必要がなく、プロジェクタを軽量化、及び低コスト化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
[プロジェクタの構造]
図1は、本実施形態にかかるプロジェクタ1の構造を示す図である。
プロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成し、形成したカラー画像を図示しないスクリーン上に拡大投射する。このプロジェクタ1は、図1に示すように、外装筐体2と、投射レンズ3と、光学ユニット4とを備える。
外装筐体2内には、投射光学装置としての投射レンズ3及び光学ユニット4を備える。

投射レンズ3は、複数のレンズを組み合わせた組レンズとして構成され、光学ユニット4にて形成されたカラー画像をスクリーン上に拡大投射する。
【0014】
光学ユニット4は、前記制御装置による制御の下、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するユニットである。この光学ユニット4は、図1に示すように、光源装置41と、照明光学装置42と、色分離光学装置43と、光学装置44等を備える。
光源装置41は、光源ランプ411、リフレクタ412及びUV−IRフィルタ413を備える。光源ランプ411から射出された光束は、リフレクタ412によって射出方向が揃えられ、UV−IRフィルタ413を介して照明光学装置42に向けて射出される。なお、UV−IRフィルタ413は、紫外領域及び赤外領域の光束を吸収または反射し、その他の光束を透過するものである。
【0015】
照明光学装置42は、第1レンズアレイ421、第2レンズアレイ422、偏光変換素子423、及び重畳レンズ424を備える。そして、光源装置41から射出された光束は、第1レンズアレイ421によって複数の部分光束に分割され、第2レンズアレイ422の近傍で結像する。第2レンズアレイ422から射出された各部分光束は、その中心軸(主光線)が偏光変換素子423の入射面に垂直となるように入射し、偏光変換素子423にて略1種類の直線偏光光として射出される。偏光変換素子423から直線偏光光として射出され、重畳レンズ424を介した複数の部分光束は、光学装置44の後述する3つの各反射型光変調装置442上で重畳する。
【0016】
色分離光学装置43は、青色光(B光)を反射するB光反射ダイクロイックミラー431A及び緑色光(G光)、赤色光(R光)を反射するGR光反射ダイクロイックミラー431BがX字状に配置されたクロスダイクロイックミラー431、緑色光を反射するG光反射ダイクロイックミラー432、及び2枚の反射ミラー433,434を備える。そして、色分離光学装置43は、照明光学装置42から射出された複数の部分光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する。
具体的に、照明光学装置42から射出された複数の部分光束は、クロスダイクロイックミラー431に入射し、青色光成分がB光反射ダイクロイックミラー431Aにて反射し、緑色光成分と赤色光成分とがGR光反射ダイクロイックミラー431Bにて反射し、青色光成分と緑色光成分及び赤色光成分とに分離される。
【0017】
クロスダイクロイックミラー431にて分離された青色光は、反射ミラー433で反射し、光学装置44を構成する後述するワイヤグリッド441Bに入射する。
また、クロスダイクロイックミラー431にて分離された緑色光及び赤色光は、反射ミラー434で反射した後、G光反射ダイクロイックミラー432に入射する。G光反射ダイクロイックミラー432に入射した緑色光及び赤色光のうち、緑色光は、G光反射ダイクロイックミラー432によって反射し、光学装置44を構成する後述するワイヤグリッド441Gに入射する。一方、赤色光は、G光反射ダイクロイックミラー432を透過して、光学装置44を構成する後述するワイヤグリッド441Rに入射する。
【0018】
光学装置44は、入射した光束を画像情報に応じて変調して、カラー画像を形成するものである。この光学装置44は、反射部材としての3つのワイヤグリッド441と、3つの反射型光変調装置442と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム443と、光学素子としての3つの偏光板444(各色光側の偏光板を444R、444G、444Bとする)とを備える。
【0019】
3つのワイヤグリッド441(赤色光側のワイヤグリッドを441R、緑色光側のワイヤグリッドを441G、青色光側のワイヤグリッドを441Bとする)は、可撓性を有し、格子構造に基づく回折により入射した光束を偏光分離する。各ワイヤグリッド441は、入射光束の光軸に対して略45°傾斜した状態で配置される。そして、各ワイヤグリッド441は、入射した光束のうち、偏光変換素子423で揃えられた偏光方向と略同一の偏光方向を有する偏光光を透過させ、前記偏光方向に直交する偏光方向を有する偏光光を反射させ、入射した光束を偏光分離する。各ワイヤグリッド441は、各保持部材5(図2)に固定部材6(図3)で固定される。保持部材5(図2)は、ワイヤグリッド441を保持するものであり、詳細については後述する。
【0020】
各反射型光変調装置442(ワイヤグリッド441と同様に、各色光側の反射型光変調装置を442R,442G,442Bとする)は、各ワイヤグリッド441を透過した光束の光軸に対して略直交した状態で配置される。反射型光変調装置442は、ワイヤグリッド441を透過した偏光光束の偏光方向を変調し、ワイヤグリッド441に向けて反射する。ワイヤグリッドに向けて反射された光束は、偏光変換素子423で揃えられた偏光方向に直交する偏光方向を有する偏光光のみがワイヤグリッド441にて反射される。
【0021】
各偏光板444は、クロスダイクロイックプリズム443の後述する光束入射面4431にそれぞれ対向して配設され、各ワイヤグリッド441にて反射された偏光方向と同一方向の偏光方向の直線偏光光を透過させる。すなわち、ワイヤグリッド441及び偏光板444の双方を用いることで、ワイヤグリッド441にて所望の直線偏光光以外の偏光成分が反射された場合であっても、偏光板444にて前記偏光成分を除去する構成を採用している。
【0022】
クロスダイクロイックプリズム443(以下、「プリズム443」と略す場合がある)は、各ワイヤグリッド441にて反射された各色光がそれぞれ入射される光束入射面4431(各色光側の端面を4431R,4431G,4431Bとする)と、入射した各色光を合成してカラー画像を形成し、光束を射出する光束射出面4432とを有する。このプリズム443は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。これら誘電体多層膜は、ワイヤグリッド441Gにて反射された緑色光を透過し、各ワイヤグリッド441R,441Bにて反射された赤、青色光をそれぞれ反射する。このようにして、各色光が合成されてカラー画像が形成される。そして、プリズム443で形成されたカラー画像は、光束射出面4432から射出され、上述した投射レンズ3によりスクリーンへ拡大投射される。
【0023】
[保持部材の構造]
図2は、ワイヤグリッド441及び保持部材5を示す斜視図であり、図3は、ワイヤグリッド441が調整部材7を介して保持部材5に保持される状態を示す図である。より具体的に、図3(A)は、当該状態を示す正面図であり、図3(B)は、当該状態を示す側面図である。
保持部材5は、ワイヤグリッド441と光変調装置442との間に設けられ、ワイヤグリッド441及び光変調装置442を保持する。この保持部材5は、図2に示すように、保持部材本体51と、枠部52とを備える。なお、保持部材5は、特に図示していないが、外装筐体2の内部のワイヤグリッド441、反射型光変調装置442及び偏光板444を支持し、各部材441,442,444をクロスダイクロイックプリズム443の対応する光束入射面4431に対して固定する。
【0024】
保持部材本体51は、内部に光束が通過する空洞51Aを有する中空部材である。
枠部52は、保持部材本体51の開口側端面が外方に向けて広がっている部分である。この枠部52は、保持面521と、突条部522とを備える。
保持面521は、枠部52の端面に形成され、ワイヤグリッド441を保持する面である。また、図3に示した保持面521上の調整部材7の取付位置(保持面521の四隅及び保持面521の各辺の略中央部分)のうち少なくともいずれかが、ワイヤグリッド441の歪み状況を勘案して選択される。調整部材7は、選択された取付位置(任意の位置)に取り付けられる。なお、この取付位置は、図3に示した8箇所に限定されず、ワイヤグリッド441の歪みに応じて、適宜、他の位置に調整部材7を取り付けてもよい。
突条部522は、図2に示すように、枠部52の外周に沿って形成され、保持部材本体51の外周面よりも外方に突出している。この突条部522には、後述する固定部材6が当接する。
【0025】
[固定部材の構造]
固定部材6は、クリップ状のものであり、図3に示すように、保持部材5の上下に取り付けられる。この固定部材6は、対向する一対の把持部61,62と、これら把持部61,62の一方の端部間を接続する接続部63とを備えた側面視略U字状に形成される。一方の把持部61が突条部522に当接して、他方の把持部62がワイヤグリッド441の表面を押圧することで、固定部材6は、突条部522とワイヤグリッド441とを併せて挟持する。ここで、挟持する際に生じるワイヤグリッド441の歪みを防止するために、保持面521とワイヤグリッド441との間の任意の位置には、調整部材7が介装される。
【0026】
[調整部材の構造]
図4は、本実施形態に係る調整部材7を示す斜視図であり、図4(A)は、本実施形態で用いられる調整部材7を示している。
調整部材7は、図4(A)に示すように、板金加工されて、矩形板状に形成される。この調整部材の厚みは、ワイヤグリッド441の歪み状況に応じて、所望の厚さに決定される。調整部材7が、ワイヤグリッド441と保持面521との間に介装されることで、ワイヤグリッド441の歪みが補正される。なお、調整部材7は、本実施形態では、矩形板状に形成されたが、図4(B)、(C)及び(D)に示すように、L字板状、三角板状、楔形状に形成されたものであってもよい。例えば、保持面521の四隅に介装する調整部材として、図4(B)及び(C)に示した調整部材7を用いれば、保持面521の四隅とワイヤグリッド441の四隅とが、ずれることなく保持される。
【0027】
これらの構成によれば、固定部材6は、突条部522とワイヤグリッド441とを併せて挟持した状態で、可撓性を有するワイヤグリッド441に歪みが生じ、画像光が適切に合成されていない場合には、適切な厚さの調整部材7がワイヤグリッド441と保持面521との間の任意の位置に介装される。
【0028】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
調整部材7が、ワイヤグリッド441と保持面521との間の任意の位置に介装される。すなわち、ワイヤグリッド441に歪みが生じた箇所に調整部材7を介装して、保持面521からワイヤグリッド441を離間させることで、ワイヤグリッド441の平坦度を向上でき、ワイヤグリッド441が保持面521の歪みの影響を受けることを抑制できる。すなわち、剛性のあるガラスにワイヤグリッド441を保持させる必要がなく、可撓性を有するワイヤグリッド441を用いて投射画像の歪みの発生を抑制でき、光学装置及びプロジェクタの軽量化、かつ低コスト化を図ることができる。
【0029】
〔第2実施形態〕
図5は、本発明の第2実施形態に係る保持部材5にてワイヤグリッド441が保持される状態を示す分解斜視図である。図の説明にあたって、前記実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
第2実施形態では、前記第1実施形態での枠部52の内周部分に複数の突起部523が保持面521に対して交差する方向に延出して形成される。
より具体的に、突起部523は、矩形板状に形成されて、空洞51Aの上部及び下部から保持面521に対して交差する方向に調整部材7の厚みと同じ長さ分、延出される。そして、突起部523は、ワイヤグリッド441に当接している。ワイヤグリッド441と保持面521との間には、空間Sが形成される。この空間S内に、調整部材7が介装される。なお、調整部材7の材質については、空間S内に介装できる弾力性を有するものであってもよい。
【0030】
上述した第2実施形態によれば、空洞51Aの上部及び下部には、突起部523が設けられ、この突起部523にワイヤグリッド441が当接して、空間Sが形成される。従って、ワイヤグリッド441の歪み状況に応じた厚みを有する調整部材7を空間S内に容易に挿入でき、調整部材7により、ワイヤグリッド441の歪みを補正できる。
【0031】
〔第3実施形態〕
図6は、本発明の第3実施形態に係る調整部材7を示す図であり、図7は、本実施形態でのワイヤグリッド441が保持部材5に保持される状態を示す側面図である。図7では、図6(A)〜(C)のうちの図6(A)の調整部材7が採用されている。図の説明にあたって、前記実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
前記第1実施形態では、ワイヤグリッド441が保持面521に保持された後に、ワイヤグリッド441の歪み状況に応じて、調整部材7をワイヤグリッド441と保持面521との間に介装していた。しかし、第3実施形態では、図7に示すように、断面楔状に形成された先端部71を有する調整部材7が、予め保持面521とワイヤグリッド441との間に介装される。
楔状に形成された調整部材7は、後述する軸部材としてのピン8を介して保持面521に回動自在に軸支される。そして、図6に示すように、固定部材6は、ワイヤグリッド441及び突条部522を挟持して、ワイヤグリッド441を保持部材5に固定する。
【0032】
本実施形態での調整部材7は、図6(A)に示すように、正面視略円板状に形成され、略中心部分に挿通孔72が形成される。挿通孔72には、調整部材7を回動させるピン8が挿通される。なお、本実施形態の調整部材7として、図6(A)に示す正面視略円形状の調整部材7を採用したが、これに限らず、図6(B)、(C)に示すように、図6(A)とは異なる形状に形成してもよい。具体的に、図6(B)では、調整部材7は、正面視略矩形板状に形成され、図6(C)では、正面視略三角形板状に形成される。
【0033】
上述した第3実施形態によれば、ワイヤグリッド441を保持面521との間に回動自在に構成される調整部材7を予め介装し、前記各実施形態と同様に、ワイヤグリッド441及び突条部522を、固定部材6で挟持する。そして、ワイヤグリッド441の歪み状況に応じて、ピン8を工具等(図示略)で回動させると、調整部材7がピン8を中心として、回動する。これにより、図7中の二点鎖線に示すように、調整部材7の先端部71は、ワイヤグリッド441の歪み状況に応じて、ワイヤグリッド441と保持面521との間隔を広げ、ワイヤグリッド441が保持面521の歪みの影響を受けることを抑制でき、調整部材7により、ワイヤグリッド441の歪みを補正できる。
【0034】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、数量などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、数量などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0035】
例えば、前記各実施形態では、反射型光変調装置442を3つ備える三板式のプロジェクタで構成したが、これに限定されず、反射型光変調装置442を2つ備えるプロジェクタや、反射型光変調装置442を4つ以上備えるプロジェクタとして構成してもよい。この際、プロジェクタは、ワイヤグリッド441も反射型光変調装置442と同様の個数分、備えることとなる。
前記各実施形態では、固定部材6は、単にクリップ状のものを採用していたが、これに限定されず、バネを用いたクリップ等を採用してもよい。
【0036】
また、前記各実施形態では、ワイヤグリッド441は、固定部材6により保持部材5に固定されていたが、これに限定されず、接着剤を用いて固定してもよい。
前記各実施形態では、固定部材6は、ワイヤグリッド441の上辺及び下辺を把持するように固定していたが、ワイヤグリッド441の歪み状況に応じて、右辺及び左辺を把持して固定してもよい。
【0037】
前記第2実施形態では、突起部523を空洞51Aの上部及び下部に形成したが、これに限定されず、空洞51Aの右部及び左部に形成してもよく、これらの組み合わせ等もワイヤグリッド441の歪み状況に応じて自由に選択してもよい。
前記第2実施形態では、突起部523は、保持面521と交差する方向に調整部材7の厚みと略同じ長さ分、延出していたが、延出する長さはこれに限定されない。具体的には、調整部材7の厚みよりも薄く延出してもよく、この場合には、弾力性のある調整部材を介装することで、ワイヤグリッド441の歪みを補正できる。
【0038】
前記各実施形態では、反射型光変調装置442を採用したが、これに限定されず、透過型の光変調装置やデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)等を採用してもよい。なお、DMDは米国テキサスインスツルメンツ社の商標である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、画像光を適切に合成できるため、光学装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るプロジェクタの構成を模式的に示す図。
【図2】本発明の第1実施形態に係るワイヤグリッド及び保持部材の斜視図。
【図3】前記第1実施形態に係るワイヤグリッドが保持部材に取り付けられている状態を示す図。
【図4】前記第1実施形態に係る調整部材を示す斜視図。
【図5】本発明の第2実施形態に係るワイヤグリッドが保持部材に取り付けられている状態を示す分解斜視図。
【図6】本発明の第3実施形態に係る調整部材を示す図。
【図7】前記第3実施形態に係るワイヤグリッドが保持部材に取り付けられている状態を示す側面図。
【符号の説明】
【0041】
1…プロジェクタ、3…投射レンズ(投射光学装置)、5…保持部材、6…固定部材、7…調整部材、8…ピン(軸部材)、41…光源装置、43…色分離光学装置、44…光学装置、71…先端部、441…ワイヤグリッド(反射部材)、442…反射型光変調装置(光変調装置)、443…クロスダイクロイックプリズム(色合成光学装置)、521…保持面、523…突起部、S…空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、
前記光変調装置に照射される光束及び前記光変調装置で変調された光束を偏光分離する複数の可撓性を有する反射部材と、
前記複数の光変調装置にて変調された前記色光毎の変調光を合成する色合成光学装置と、
前記反射部材を保持する保持部材と、
前記保持部材の前記反射部材を保持する保持面と前記反射部材との間に介装され、前記反射部材の平坦度を調整する調整部材とを備える
ことを特徴とする光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学装置において、
前記反射部材を前記保持部材に固定する固定部材を備える
ことを特徴とする光学装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学装置において、
前記調整部材は、楔状に形成される先端部を有している
ことを特徴とする光学装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光学装置において、
前記調整部材が前記保持面に対して回動自在に軸支される軸部材を備える
ことを特徴とする光学装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学装置において、
前記保持部材には、前記保持面に対して交差する方向に複数の突起部が延出され、
前記突起部には、前記反射部材が当接し、
前記反射部材と前記保持面との間に形成される空間には、前記調整部材が介装される
ことを特徴とする光学装置。
【請求項6】
光源装置と、
前記光源装置から射出された光を複数の色光に分離する色分離光学装置と、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学装置と、
当該光学装置により合成された光束を投射する投射光学装置とを備える
ことを特徴とするプロジェクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−72539(P2010−72539A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242502(P2008−242502)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】